説明

タンク装置

【課題】貯留タンクを小型化することができる、あるいは装置全体を小型化することができるタンク装置を提供することを目的とする。
【解決手段】供給された液体を貯留する主タンクと、前記主タンクからオーバーフローする液体を流出させる流出路と、を有する貯留タンクと、前記流出路を流れる液体を検知する液体検知センサと、前記液体検知センサが前記流出路を流れる液体を検知すると、前記主タンクへの液体の供給を停止させる制御を実行し、前記供給を停止させる制御を実行した後に前記液体検知センサが前記流出路を流れる液体を所定時間よりも長く検知すると、異常信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とするタンク装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、タンク装置に関し、具体的にはタンクの満水状態やタンクへの異常給水などを検知することができるタンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タンク装置の中には、例えば、貯留タンクの満水状態を検知する装置や、貯留タンクへの異常給水を検知する装置などが設けられたものがある。そして、液体を受ける容器の上部に漏えい検出室が設けられ、その漏えい検出室に設けられた電極式検出器により液体の漏えいを事前に検知する漏えい検出装置がある(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された漏えい検出装置を貯留タンクとして利用する場合には、貯留タンクの満水状態を検知する水位検知装置と、貯留タンクへの異常給水を検知する異常検知装置と、の複数の検知装置を設ける必要がある。そうすると、貯留タンクが大型化して、タンク装置全体として大型化するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−25230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、貯留タンクを小型化することができる、あるいは装置全体を小型化することができるタンク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、供給された液体を貯留する主タンクと、前記主タンクからオーバーフローする液体を流出させる流出路と、を有する貯留タンクと、前記流出路を流れる液体を検知する液体検知センサと、前記液体検知センサが前記流出路を流れる液体を検知すると、前記主タンクへの液体の供給を停止させる制御を実行し、前記供給を停止させる制御を実行した後に前記液体検知センサが前記流出路を流れる液体を所定時間よりも長く検知すると、異常信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とするタンク装置である。
このタンク装置によれば、制御部は、1つのセンサにより、すなわち液体検知センサにより、主タンクが満水状態であることと、主タンクへの異常供給が行われていることと、を検知することができる。そのため、貯留タンクを小型化することができる。その結果、タンク装置全体を小型化することができる。
【0007】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記流出路は、前記主タンクからオーバーフローする液体を一時的に貯留し流出させるセンサ用滞留部であり、前記センサ用滞留部は、前記センサ用滞留部内の液体を流出させる流出口を有し、前記液体検知センサは、前記流出口から流出する液体を検知することを特徴とするタンク装置である。
このタンク装置によれば、液体検知センサは、主タンクからオーバーフローした液体であって流出口から流出する液体を検知する。そのため、制御部は、主タンクが満水状態であることと、主タンクへの異常供給が行われていることと、をより早く検知することができる。
【0008】
また、第3の発明は、第2の発明において、前記流出口の下部の開口幅は、前記流出口の上部の開口幅よりも小さいことを特徴とするタンク装置である。
このタンク装置によれば、センサ用滞留部内の水位が高いときには、センサ用滞留部からの水の流出を促進することができ、一方で、センサ用滞留部内の水位が低いときには、センサ用滞留部からの水の流出を抑制することができる。そのため、制御部は、正常給水と異常給水とを判別しやすく、主タンクに流入する単位時間当たりの水量が少ないときでも、主タンクへの異常給水が行われていることをより確実に検知できる。
【0009】
また、第4の発明は、第1の発明において、前記流出路は、前記主タンクに接続され前記主タンクからオーバーフローする液体を流出させる排水配管であり、前記液体検知センサは、下端部が前記排水配管の内部に進入するように配置され、前記排水配管の内部を流れる液体を検知することを特徴とするタンク装置である。
このタンク装置によれば、液体検知センサは、排水配管内を流れる水を検知するため、主タンクからのオーバーフロー水が排水配管内を流れているときと、流れていないときと、の違いをより早く検知できる。そのため、制御部は、主タンクへの異常給水が行われていることをより早く検知できる。また、排水配管は管状となっているため、主タンクからのオーバーフロー水が飛散することを抑制することができる。そのため、排水配管内を流れる水は、液体検知センサの下端部により確実に接触することができる。つまり、液体検知センサは、排水配管内を流れる水をより確実に検知できる。
【0010】
また、第5の発明は、上方または下方からみたときの断面積が下方部よりも上方部の方が小さく、供給された液体を貯留する主タンクを有する貯留タンクと、前記主タンクの満水水位よりも高い水位の液体を検知する液体検知センサと、前記液体検知センサが前記満水水位よりも高い水位の液体を検知すると、前記主タンクへの液体の供給を停止させる制御を実行する制御部と、を備え、前記主タンクは、上部よりも下部における開口幅が小さく、前記満水水位よりも高い水位の液体をオーバーフローさせる流出口を有し、前記制御部は、前記供給を停止させる制御を実行した後に前記液体検知センサが前記満水水位よりも高い水位の液体を所定時間よりも長く検知すると、異常信号を出力することを特徴とするタンク装置である。
このタンク装置によれば、制御部は、1つのセンサにより、すなわち液体検知センサにより、主タンクが満水状態であることと、主タンクへの異常供給が行われていることと、を検知することができる。そのため、貯留タンクを小型化することができる。その結果、タンク装置全体を小型化することができる。また、流出口の開口幅は、上部よりも下部の方が小さいため、主タンク内の水位は、満水水位よりも高くなりやすい。そのため、制御部は、正常給水と異常給水とを判別しやすく、主タンクに流入する単位時間当たりの水量が少ないときでも、主タンクへの異常給水が行われていることをより確実に検知できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の態様によれば、貯留タンクを小型化することができる、あるいは装置全体を小型化することができるタンク装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態にかかるタンク装置を備えたトイレ室を例示する斜視模式図である。
【図2】本実施形態の受尿装置を表す平面模式図である。
【図3】本実施形態にかかるタンク装置を表す平面模式図である。
【図4】本実施形態にかかるタンク装置の主構成および水路構成を例示するブロック図である。
【図5】本実施形態の比較例にかかるタンク装置の主構成および水路構成を例示するブロック図である。
【図6】本実施形態の貯留タンクの具体例を表す平面模式図である。
【図7】本具体例の貯留タンクを側方から眺めた断面模式図である。
【図8】本具体例の貯留タンクを他の側方から眺めた断面模式図である。
【図9】本実施形態の主タンクおよびセンサ用滞留部の水位を表すタイムチャートである。
【図10】本実施形態の貯留タンクの他の具体例を側方から眺めた断面模式図である。
【図11】本具体例の貯留タンクを他の側方から眺めた断面模式図である。
【図12】本実施形態の貯留タンクのさらに他の具体例を側方から眺めた断面模式図である。
【図13】本具体例の貯留タンクを他の側方から眺めた断面模式図である。
【図14】本実施形態の貯留タンクのさらに他の具体例を側方から眺めた断面模式図である。
【図15】本具体例の貯留タンクを他の側方から眺めた断面模式図である。
【図16】本実施形態の具体例にかかるタンク装置の主構成および水路構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかるタンク装置を備えたトイレ室を例示する斜視模式図である。
また、図2は、本実施形態の受尿装置を表す平面模式図である。
【0014】
図1に表したトイレ室には、便器110が設けられている。便器110の後方上部には、局部洗浄装置120が設けられていてもよい。局部洗浄装置120は、便座に座った使用者の「おしり」などに水を噴射して、「おしり」などを洗浄することができる。なお、本願明細書において、「水」という場合には、冷水のみならず、加温されたお湯も含むものとする。
【0015】
便器110の側方には、前後方向に延在する棚板310が設けられている。その棚板310の下方には、キャビネット350、320、330が設けられている。キャビネット350には、後に詳述するように、使用者の尿を採尿して尿糖値や体温値(尿温値)などを測定する尿糖計計測部240や、液体を一時的に貯留する貯留タンク220などが内蔵されている。使用者の尿の採尿は、図2に表したように、便器110に設けられた受尿装置170により行われる。
【0016】
より具体的には、受尿装置170は、便器110に付設された駆動部171と、駆動部171により駆動される回動アーム173と、回動アーム173の先端部に設けられ便器110のボウル111内を移動可能な受尿部175と、受尿部175により受尿した尿をキャビネット350内に搬送する搬送管177と、を有する。図2に表した受尿装置170は、受尿部175が受尿位置にある状態を表している。この状態において、使用者が受尿部175に放尿した尿を当てることによって、受尿装置170は受尿を行うことができる。
【0017】
また、キャビネット320には、使用者の血圧値を測定する血圧計160などが内蔵されていてもよい。また、トイレ室の床面701の下方には、使用者の体重を測定する体重計150が設けられていてもよい。この場合、体重計150の上方には、体重計パネル151が床面701と略同一面となるように設けられる。そのため、体重計150は、体重計パネル151に覆われ、使用者から見えない状態で配置される。
【0018】
また、棚板310の下方には、ペーパーホルダ341やトイレットペーパー343が設けられていてもよいし、棚板310の上面には、水栓345を付設したボウル347が設けられていてもよい。さらに、棚板310の上方の壁面703には、鏡349が設けられていてもよい。
【0019】
壁面703には、トイレリモコン130が付設されている。使用者は、トイレリモコン130を操作することによって、例えば便器110の洗浄を実行させたり、便器110の便座や便蓋を電動により開閉させることができる。また、壁面703には、例えば、キャビネット350に内蔵された尿糖計計測部240や、体重計150や、血圧計160などの生体情報測定装置から送られてきた測定値を表示部に表示したり、メモリに記憶する端末装置140が付設されている。
【0020】
つまり、図1に表したトイレ室には、健康管理システムが備えられている。そして、端末装置140は、キャビネット350に内蔵された尿糖計計測部240や体重計150や血圧計160などの複数の生体情報測定装置から出力された測定値を受信し、端末装置140が有する表示部141にそれらの測定値を表示する機能や、端末装置140が有する図示しないメモリにそれらの測定値を記憶する機能などを有する。
【0021】
図3は、本実施形態にかかるタンク装置を表す平面模式図である。
本実施形態にかかるタンク装置200は、キャビネット350(図1参照)の内部に設けられている。本実施形態にかかるタンク装置200は、通電により開閉して下流への通水/止水を選択的に切り替える電磁弁210と、電磁弁210から供給された液体を一時的に貯留する貯留タンク220と、受尿された使用者の尿に基づいて尿糖値や体温値(尿温値)などを測定する尿糖計計測部240と、尿糖値を測定する際に用いられる試薬などを貯留したり注入したりする液注入ユニット部250と、を備える。なお、以下の説明においては、電磁弁210から貯留タンク220に供給される液体は水である場合を例に挙げて説明する。
【0022】
尿糖計計測部240は、電磁弁210の開閉動作を制御可能な制御部241と、分配装置243と、尿グルコース濃度を検知し検知信号を出力する尿糖検知センサ245と、を有する。分配装置243は、例えば「ロータリーバルブ・シリンジポンプ」などと呼ばれ、ロータリーバルブを切り換えつつシリンジポンプを作動させることにより、ロータリーバルブのポートのいずれかからシリンジポンプに液体を吸引したり、ロータリーバルブのポートの他のいずれかからシリンジポンプ内の液体を吐出することができる。より具体的には、分配装置243は、受尿部175により受尿された尿を吸引したり、貯留タンク220に貯留された水を吸引したり、液注入ユニット部250に貯留された試薬を吸引したり、尿糖検知センサ245に尿を吐出したりすることができる。
【0023】
例えば、分配装置243は、制御部241から制御されることにより、受尿部175により受尿された尿を搬送管177を通して吸引し、センサ配管283を通して尿糖検知センサ245に搬送する。その後、分配装置243は、制御部241から制御されることにより、液注入ユニット部250から試薬配管281、282を通して試薬を吸引し、センサ配管283を通して尿糖検知センサ245に搬送する。これにより、尿糖検知センサ245に搬送された尿は、試薬と混合され希釈される。
【0024】
そして、尿糖検知センサ245は、尿と試薬との混合物中の尿グルコース濃度を検知し、その尿グルコース濃度に応じた検知信号を出力する。制御部241は、尿糖検知センサ245からの検知信号に基づいて尿糖値を演算し、端末装置140の表示部141に尿糖値を表示することができる。つまり、制御部241は、分配装置243の動作を制御したり、尿糖検知センサ245からの検知信号に基づいて尿糖値を演算したりすることができる。
【0025】
このように、分配装置243には尿や試薬が流入する。そのため、分配装置243の内部を洗浄する必要がある。また、受尿部175に関しても同様に、その受尿部175は、使用者が放尿した尿を受ける。そのため、受尿部175の内部を洗浄する必要がある。ここで、分配装置243は、精密装置であるため、水道圧がかけられ洗浄されると破損する場合がある。そのため、分配装置243を洗浄する際には、水道圧が直接的にかからないようにすることがより好ましい。そこで、本実施形態にかかるタンク装置200には、貯留タンク220が設けられている。
【0026】
貯留タンク220は、配水管285を介して電磁弁210に接続され、電磁弁210から配水管285を通して導水された水を一時的に貯留することができる。そして、分配装置243は、制御部241から制御されることにより、貯留タンク220に貯留された水を貯留タンク配管286を通して吸引し、分配装置243の内部をその水により洗浄することができる。なお、貯留タンク220内においてオーバーフローした水(オーバーフロー水)は、貯留タンク220の下部に接続された排水トラップ270を通して排水される。これについては、後に詳述する。
【0027】
一方、受尿部175の内部は、水道圧がかけられ洗浄される。そのため、受尿部175の内部を洗浄するための洗浄水を一時的に貯留するタンクなどは必要ない。これにより、本実施形態にかかるタンク装置200では、貯留タンク220を小型化することができ、またタンク装置200全体を小型化することができる。なお、本実施形態では、水道圧がかけられた水道水により受尿部175の内部を洗浄するため、受尿部175の内部に水道水を導く配管の途中には、後に詳述するように、安全弁を設けることが好ましい。そして、安全弁が作動した場合には、その安全弁から吹き出した水は、後に詳述するように、貯留タンク220に設けられたバッファタンクを通して排水トラップ270から排水される。
【0028】
次に、本実施形態にかかるタンク装置の主構成および水の流れについて、図面を参照しつつ説明する。
図4は、本実施形態にかかるタンク装置の主構成および水路構成を例示するブロック図である。
また、図5は、本実施形態の比較例にかかるタンク装置の主構成および水路構成を例示するブロック図である。
つまり、図4および図5は、タンク装置の主な構成および水の流れを1つの図面においてそれぞれ例示している。
【0029】
本実施形態にかかるタンク装置200は、図3に関して前述したように、電磁弁210と、貯留タンク220と、分配装置243を有する尿糖計計測部240と、を備える。電磁弁210の上流側には、手動による開閉が可能とされ、例えば、タンク装置200の取付・取り外しや保守点検の際などに水路を随時遮断可能な止水栓205が設けられている。また、貯留タンク220には、液体検知センサ221が設けられている。この液体検知センサ221は、後に詳述するように、電極を有し、その電極の下端に液体(液面)が接触して通電することにより、その液体を検知することができる。また、液体検知センサ221は、貯留タンク220に貯留された水の量の上限(満水状態)を検知したり、電磁弁210などの止水不良(異常給水)を検知したりすることができる。
【0030】
本実施形態にかかるタンク装置200では、受尿部175を洗浄する水は、止水栓205および電磁弁210を通して受尿部175に直接的に導かれる。そして、受尿部175の内部は、電磁弁210を通して直接的に導かれた水により洗浄される。受尿部175の内部を洗浄した水は、その後、便器110のボウル111に適宜排出される。
一方、分配装置243を洗浄する水は、止水栓205および電磁弁210を通して貯留タンク220に一時的に貯留される。そして、分配装置243は、制御部241から制御されることにより、貯留タンク220に貯留された水を吸引できる。これにより、分配装置243の内部をその吸引した水により洗浄することができる。また、図3に関して前述したように、貯留タンク220内において生じたオーバーフロー水は、排水トラップ270を通して排水される。
【0031】
これに対して、本実施形態の比較例にかかるタンク装置は、受尿部175および分配装置243の内部を洗浄する水を一時的に貯留する補助タンク420と、補助タンク420内に貯留された水を吸引し受尿部175内に吐出するポンプ430と、を備える。また、補助タンク420には、補助タンク420に貯留された水の量の上限を検知する第1のフロートスイッチ441と、補助タンク420に貯留された水の量の下限を検知する第2のフロートスイッチ442と、が設けられている。なお、その他の主構成については、図4に表したタンク装置の主構成と同様である。
【0032】
本比較例では、受尿部175を洗浄する水は、止水栓205および電磁弁210を通して補助タンク420に一時的に貯留される。そして、ポンプ430は、制御部241から制御されることにより、補助タンク420に貯留された水を吸引し受尿部175の内部に吐出できる。これにより、受尿部175の内部をその吐出した水により洗浄することができる。
これと同様に、分配装置243を洗浄する水も、止水栓205および電磁弁210を通して補助タンク420に一時的に貯留される。そして、分配装置243は、制御部241から制御されることにより、補助タンク420に貯留された水を吸引できる。これにより、分配装置243の内部をその吸引した水により洗浄することができる。
【0033】
このように、本実施形態の比較例にかかるタンク装置では、補助タンク420は、受尿部175および分配装置243の内部を洗浄する水を一時的に貯留する。そのため、補助タンク420は、本実施形態の貯留タンク220よりも大きい。言い換えれば、本実施形態の貯留タンク220は、比較例の補助タンク420よりも小さい。また、受尿部175の内部を洗浄するために必要な水量は、分配装置243の内部を洗浄するために必要な水量よりも多い。言い換えれば、分配装置243の内部を洗浄するために必要な水量、すなわち本実施形態の貯留タンク220に貯留される水量は、受尿部175の内部を洗浄するために必要な水量よりも少ない。
【0034】
そのため、本実施形態にかかるタンク装置200では、貯留タンク220をより小型化することができる。また、比較例の補助タンク420には第1および第2のフロートスイッチ441、442が設けられているのに対して、本実施形態の貯留タンク220には液体検知センサ221が設けられている。そのため、貯留タンク220をさらに小型化することができる。これについては、後に詳述する。
【0035】
また、比較例にかかるタンク装置では、ポンプ430が設けられているのに対して、本実施形態にかかるタンク装置200では、ポンプ430は設けられていない。これは、本実施形態にかかるタンク装置200では、止水栓205および電磁弁210を通して水道圧がかけられた水道水により受尿部175の内部を洗浄するためである。これによれば、タンク装置200全体を小型化することができる。
【0036】
次に、本実施形態の貯留タンクの具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図6は、本実施形態の貯留タンクの具体例を表す平面模式図である。
また、図7は、本具体例の貯留タンクを側方から眺めた断面模式図である。
また、図8は、本具体例の貯留タンクを他の側方から眺めた断面模式図である。
なお、図7は、図6に表したA−A断面に相当し、図8は、図6に表したB−B断面に相当する。また、図6では、説明の便宜上、蓋部220bを省略している。
【0037】
本具体例の貯留タンク220は、図7および図8に表したように、タンク部220aと、蓋部220bと、を有する。タンク部220aは、電磁弁210から供給された水を一時的に貯留可能な主タンク222と、主タンク222からオーバーフローした液体(本実施形態では水)を一時的に貯留し流出させるセンサ用滞留部(流出路)223と、を有する。そのセンサ用滞留部223は、センサ用滞留部223内の水を流出させる流出口224を有する。また、タンク部220aの下部には、貯留タンク配管286に接続される貯留タンク配管接続部286aと、排水トラップ270に接続される排水部225と、が設けられている。
【0038】
液体検知センサ221は、その下端部がセンサ用滞留部223内に進入するようにして配置され、センサ用滞留部223を流れる水、あるいはセンサ用滞留部223に一時的に貯留する水、あるいは流出口224から流出する水を検知することができる。より具体的には、液体検知センサ221は、電極221aと電極221bとを有し、電極221aおよび電極221bの下端に水(水面)が接触して通電することにより、センサ用滞留部223を流れる水、あるいはセンサ用滞留部223に一時的に貯留する水、あるいは流出口224から流出する水を検知することができる。なお、液体検知センサ221は、蓋部220bに適宜固定されている。
【0039】
蓋部220bの上部には、図7および図8に表したように、配水管285に接続される配水管接続部285aが設けられている。そして、配水管285および配水管接続部285aを通して電磁弁210から貯留タンク220に供給される水は、図7に表した矢印W1のように、まず主タンク222に供給され貯留される。そして、センサ用滞留部223の上端部223aまで水が貯留されると、その水は、図7および図8に表した矢印W2のように、上端部223aを越えてオーバーフロー水としてセンサ用滞留部223に向かって流れる。
【0040】
そして、主タンク222からセンサ用滞留部223に流れてきた水は、センサ用滞留部223に一時的に貯留される。これは、流出口224の開口面積あるいは開口幅は、上部よりも下部の方が小さいためである。これによれば、センサ用滞留部223内の水位が低いとき、あるいはセンサ用滞留部223に流入する単位時間当たりの水量が少ないときには、流出口224は、センサ用滞留部223からの水の流出を抑制することができ、そのセンサ用滞留部223により多くの水を貯留することができる。一方、センサ用滞留部223内の水位が高いとき、あるいはセンサ用滞留部223に流入する単位時間当たりの水量が多いときには、流出口224は、センサ用滞留部223からの水の流出を促進することができ、そのセンサ用滞留部223からより多くの水を流出させることができる。
【0041】
そして、図7に表したように、センサ用滞留部223に一時的に貯留された水が、液体検知センサ221(電極221aおよび電極221b)の下端部に接触すると、その液体検知センサ221は、流出口224から流出する水を検知する。そうすると、制御部241は、液体検知センサ221からの検知信号により、主タンク222が満水状態となり、水が流出口224から流出していると判断し、電磁弁210を閉じて止水する制御を実行する。これにより、主タンク222への水の供給は停止される。つまり、液体検知センサ221は、主タンク222の満水状態を検知することができ、制御部241は、その液体検知センサ221からの検知信号により主タンク222の満水状態を判断し止水する制御を実行することができる。
【0042】
主タンク222への水の供給が停止されると、主タンク222からセンサ用滞留部223へ向かう水の流れも停止する。また、センサ用滞留部223の底部223bは、図8に表したように、排水部225に向かって下方に傾斜している。そのため、センサ用滞留部223に一時的に貯留された略全ての水は、図8に表した矢印W3のように、流出口224から流出する。そして、その水は、図8に表した矢印W4のように、排水部225および排水トラップ270を通して排水される。
【0043】
なお、図8に表した矢印W3のように、水が流出口224から流出するのは、主タンク222への水の供給が停止された後だけではない。つまり、主タンク222からセンサ用滞留部223に流れたオーバーフロー水は、センサ用滞留部223に一時的に貯留されつつ、図8に表した矢印W3のように流出口224から流出する。あるいは、主タンク222からセンサ用滞留部223に流れたオーバーフロー水の一部は、センサ用滞留部223に一時的に貯留され、その他部は、図8に表した矢印W3のように流出口224から流出する。そして、主タンク222への水の供給が停止されると、センサ用滞留部223に一時的に貯留された略全ての水は、流出口224から流出する。
【0044】
次に、主タンク222およびセンサ用滞留部223の水位について図面を参照しつつ説明し、本実施形態の貯留タンク220についてさらに説明する。
図9は、本実施形態の主タンクおよびセンサ用滞留部の水位を表すタイムチャートである。
【0045】
まず、配水管接続部285aを通して供給された水が、図7に表した矢印W1のように、主タンク222に供給され貯留されると、主タンク222内の水位は、図9に表したように、時間の経過とともに上昇する(時間t0〜t1)。続いて、センサ用滞留部223の上端部223aまで水が貯留されると、オーバーフロー水は、図7および図8に表した矢印W2のように、上端部223aを越えてセンサ用滞留部223に向かって流れる。そのため、センサ用滞留部223内の水位は、時間の経過とともに上昇する(時間t1〜t2)。
【0046】
ここで、センサ用滞留部223内の水位が上昇し始めたとき(時間t1)、あるいはその後に、センサ用滞留部223に一時的に貯留された水が液体検知センサ221の下端部に接触すると、その液体検知センサ221は、センサ用滞留部223を流れる水、あるいはセンサ用滞留部223に一時的に貯留する水、あるいは流出口224から流出する水を検知する。このとき、制御部241は、液体検知センサ221からの検知信号により、主タンク222が満水状態であると判断できる。
【0047】
続いて、制御部241は、主タンク222が満水状態であると判断し、電磁弁210を閉じて止水すると(時間t2)、センサ用滞留部223内の水位は低下する(時間t2〜t3)。そして、センサ用滞留部223に一時的に貯留された略全ての水は、流出口224から流出する(時間t3)。このとき、本実施形態の制御部241は、電磁弁210を閉じたとき(時間t2)から、センサ用滞留部223に一時的に貯留された略全ての水が流出口224から流出したとき(時間t3)までの経過時間を計測し記憶することができる。
【0048】
そして、その経過時間(時間t2〜t3)が適宜設定された所定時間(閾値)よりも長いときには、制御部241は、主タンク222への異常給水が行われていると判断し、異常信号を出力できる。主タンク222への異常給水が行われる場合としては、例えば、電磁弁210が故障することにより止水できなくなる場合や、電磁弁210におけるシール性が低下することにより止水までの時間がよりかかる場合などが挙げられる。また、本実施形態のタンク装置200では、制御部241は、異常信号を出力することにより、例えば、トイレリモコン130あるいは端末装置140に異常給水である旨を表示したり、音や光で報知することができる。
【0049】
本具体例の貯留タンク220を備えるタンク装置200によれば、制御部241は、1つのセンサにより、すなわち液体検知センサ221により、主タンク222が満水状態であることと、主タンク222への異常給水が行われていることと、を検知することができる。そのため、貯留タンク220を小型化することができる。また、主タンク222に貯留される水は、分配装置243を洗浄する水であり、受尿部175を洗浄する水ではない。受尿部175を洗浄する水は、図4に関して前述したように、止水栓205および電磁弁210を通して受尿部175に直接的に導かれる。そのため、貯留タンク220をさらに小型化することができる。
【0050】
また、流出口224の開口面積あるいは開口幅は、上部よりも下部の方が小さいため、センサ用滞留部223に流入する単位時間当たりの水量が少ないときでも、センサ用滞留部223には、主タンク222からのオーバーフロー水がより確実に一時的に貯留される。そのため、液体検知センサ221は、センサ用滞留部223に流入する単位時間当たりの水量が少ないときでも、主タンク222の満水状態をより早く検知できる。さらに、センサ用滞留部223内の水位が高いときには、センサ用滞留部223からの水の流出を促進することができ、一方で、センサ用滞留部223内の水位が低いときには、センサ用滞留部223からの水の流出を抑制することができる。そのため、正常給水での経過時間(時間t2〜t3)と、異常給水での経過時間(時間t2〜t3)と、の間の差が生じやすい。そのため、制御部241は、センサ用滞留部223に流入する単位時間当たりの水量が少ないときでも、主タンク222への異常給水が行われていることをより確実に検知できる。
【0051】
次に、本実施形態の貯留タンクの他の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図10は、本実施形態の貯留タンクの他の具体例を側方から眺めた断面模式図である。 また、図11は、本具体例の貯留タンクを他の側方から眺めた断面模式図である。
なお、図10は、図6に表したA−A断面と同様の箇所における断面に相当し、図11は、図6に表したB−B断面と同様の箇所における断面に相当する。
【0052】
本具体例の貯留タンク510は、図6〜図8に関して前述した具体例と同様に、タンク部510aと、蓋部510bと、を有する。タンク部510aは、電磁弁210から供給された水を一時的に貯留可能な主タンク222と、主タンク222からオーバーフローした水を流出(排水)させる流出路513と、を有する。この流出路513は、主タンク222内の水を流出させる流出口511を有する。
【0053】
つまり、本具体例の貯留タンク510の流出口511は、流出路513の上流側に設けられている。すなわち、流出口511には、主タンク222から流出路513に向かうオーバーフロー水が通過する。一方で、図6〜図8に関して前述した具体例では、流出口224は、センサ用滞留部(流出路)223の下流側に設けられている。すなわち、流出口224には、センサ用滞留部(流出路)223から排水部225に向かって排出される水が通過する。
【0054】
また、流出路513の底部513bは、図11に表したように、排水部225に向かって下方に傾斜している。そのため、本具体例の貯留タンク510では、主タンク222からのオーバーフロー水は、流出路513に一時的に貯留されることはない。液体検知センサ221は、その下端部が流出路513内に進入するようにして配置され、流出路513を流れる水を検知することができる。なお、その他の構造については、図6〜図8に関して前述した具体例の構造と同様である。
【0055】
配水管285および配水管接続部285aを通して電磁弁210から貯留タンク510に供給される水は、図10に表した矢印W1のように、まず主タンク222に供給され貯留される。そして、流出口511の下端部511aまで水が貯留されると、その水は、図10に表した矢印W5のように、流出口511から流出路513へ向かって流出する。あるいは、主タンク222に貯留された水の水位が高くなった場合には、その水は、図10に表した矢印W6のように、流出口511の上端部511bを越えて流出路513へ向かって流出する。
【0056】
そして、主タンク222から流出路513に流出した水は、流出路513に沿って、より具体的には底部513bに沿って流れ、図11に表した矢印W7のように、排水部225に向かって流れる。その後、その水は、図11に表した矢印W4のように、排水部225および排水トラップ270を通して排水される。
【0057】
ここで、流出路513を流れる水が液体検知センサ221(電極221aおよび電極221b)の下端部に接触すると、その液体検知センサ221は、流出路513を流れる水を検知する。そうすると、制御部241は、液体検知センサ221からの検知信号により、主タンク222が満水状態となり、水が流出路513を流れていると判断し、電磁弁210を閉じて止水する制御を実行する。これにより、主タンク222への水の供給は停止される。
【0058】
また、制御部241は、電磁弁210を閉じてから、液体検知センサ221が流出路513を流れる水を検知しなくなるまでの経過時間を計測し記憶することができる。そして、その経過時間が適宜設定された所定時間(閾値)よりも長いときには、制御部241は、主タンク222への異常給水が行われていると判断し、異常信号を出力できる。
【0059】
本具体例の貯留タンク510を備えるタンク装置200によれば、液体検知センサ221は、流出路513に一時的に貯留される水ではなく、流出路513を流れる水を検知できる。そのため、制御部241は、流出路513を流れる水の単位時間当たりの水量が少ないときでも、主タンク222の満水状態をより早く検知できる。また、液体検知センサ221は、主タンク222からのオーバーフロー水が流出路513を流れているときと、流れていないときと、の違いをより早く検知できるため、制御部241は、主タンク222への異常給水が行われていることをより早く検知できる。
【0060】
また、流出口511の開口面積あるいは開口幅は、図6〜図8に関して前述した具体例の流出口224と同様に、上部よりも下部の方が小さい。そのため、主タンク222に供給される単位時間当たりの水量が少ないときには、主タンク222から流出路513への水の流出を抑制することができ、一方で、主タンク222に供給される単位時間当たりの水量が多いときには、主タンク222から流出路513への水の流出を促進することができる。また、その他の効果についても、図6〜図9に関して前述した具体例の効果と同様の効果を得ることができる。
【0061】
次に、本実施形態の貯留タンクのさらに他の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図12は、本実施形態の貯留タンクのさらに他の具体例を側方から眺めた断面模式図である。
また、図13は、本具体例の貯留タンクを他の側方から眺めた断面模式図である。
なお、図12は、図6に表したA−A断面と同様の箇所における断面に相当し、図13は、図6に表したB−B断面と同様の箇所における断面に相当する。
【0062】
本具体例の貯留タンク520は、図6〜図8に関して前述した具体例と同様に、タンク部520aと、蓋部520bと、を有する。タンク部520aは、電磁弁210から供給された水を一時的に貯留可能な主タンク222と、主タンク222からオーバーフローした水を流出(排水)させる排水配管(流出路)521と、排水配管521に接続され排水配管521からの水を排水部225に排水させる排水チューブ523と、を有する。
【0063】
つまり、本具体例の貯留タンク520の排水配管(流出路)521は、図6〜図8に関して前述した具体例のセンサ用滞留部233、および図9〜図10に関して前述した具体例の流出路513のようには上方が開放されているわけではなく管状となっている。これは、排水チューブ523に関しても同様である。これによれば、主タンク222からのオーバーフロー水が飛散することを抑制することができる。
【0064】
排水配管521は、図13に表したように、排水部225に向かって下方に傾斜している。また、排水チューブ523は、図13に表したように、排水部225に向かって下方に傾斜し、その途中において、排水部225に向かって略鉛直方向に屈曲している。そのため、主タンク222からのオーバーフロー水は、排水配管521および排水チューブ523に一時的に貯留されることはない。液体検知センサ221は、その下端部が排水配管521内に進入するようにして配置され、排水配管521内を流れる水を検知することができる。なお、その他の構造については、図6〜図8に関して前述した具体例の構造と同様である。
【0065】
配水管285および配水管接続部285aを通して電磁弁210から貯留タンク520に供給される水は、図12に表した矢印W1のように、まず主タンク222に供給され貯留される。そして、排水配管521の内側の水位まで水が貯留されると、その水は、図12に表した矢印W8のように、排水配管521の内部に向かって流出する。あるいは、主タンク222に貯留された水の水位が高くなった場合には、その水は、図13に表した矢印W10のように、排水配管521および排水チューブ523の外部に設けられた流出口525から流出する。この場合には、流出口525から流出した水は、排水配管521および排水チューブ523の内部を流れることはない。
【0066】
そして、排水配管521内に流出した水は、図13の表した矢印W9のように、排水配管521および排水チューブ523の内部を流れ、排水部225に向かって流れる。その後、その水は、図13に表した矢印W4のように、排水部225および排水トラップ270を通して排水される。
【0067】
ここで、排水配管521内を流れる水が液体検知センサ221(電極221aおよび電極221b)の下端部に接触すると、その液体検知センサ221は、排水配管521内を流れる水を検知する。そうすると、制御部241は、液体検知センサ221からの検知信号により、主タンク222が満水状態となり、水が排水配管521内を流れていると判断し、電磁弁210を閉じて止水する制御を実行する。これにより、主タンク222への水の供給は停止される。
【0068】
また、制御部241は、図6〜図8および図9〜図10に関して前述した具体例と同様に、電磁弁210を閉じてから、液体検知センサ221が排水配管521内を流れる水を検知しなくなるまでの経過時間を計測し記憶することができる。そして、その経過時間が適宜設定された所定時間(閾値)よりも長いときには、制御部241は、主タンク222への異常給水が行われていると判断し、異常信号を出力できる。
【0069】
本具体例の貯留タンク520を備えるタンク装置200によれば、排水配管521が管状となっているため、主タンク222からのオーバーフロー水が飛散することを抑制することができる。そのため、排水配管521内を流れる水は、液体検知センサ221の下端部により確実に接触することができる。つまり、液体検知センサ221は、排水配管521内を流れる水をより確実に検知できる。これによれば、制御部241は、排水配管521内を流れる水の単位時間当たりの水量にかかわらず、主タンク222の満水状態をより確実に検知できる。また、液体検知センサ221は、排水配管521内を流れる水を検知するため、主タンク222からのオーバーフロー水が排水配管521内を流れているときと、流れていないときと、の違いをより早く検知できる。そのため、制御部241は、主タンク222への異常給水が行われていることをより早く検知できる。また、その他の効果についても、図6〜図9に関して前述した具体例の効果と同様の効果を得ることができる。
【0070】
次に、本実施形態の貯留タンクのさらに他の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図14は、本実施形態の貯留タンクのさらに他の具体例を側方から眺めた断面模式図である。
また、図15は、本具体例の貯留タンクを他の側方から眺めた断面模式図である。
なお、図14は、図6に表したA−A断面と同様の箇所における断面に相当し、図15は、図6に表したB−B断面と同様の箇所における断面に相当する。
【0071】
本具体例の貯留タンク530は、図6〜図8に関して前述した具体例と同様に、タンク部530aと、蓋部530bと、を有する。タンク部510aは、電磁弁210から供給された水を一時的に貯留可能な主タンク222を有する。この主タンク222は、主タンク222内の水を流出させる流出口531を有する。つまり、流出口531は、主タンク222の満水水位よりも高い水位の水をオーバーフローさせる。そして、本具体例の貯留タンク530は、図6〜図8、図9〜図10、および図11〜図12に関して前述した具体例のようには、主タンク222からオーバーフローした水を流出(排水)させる流出路を有していない。
【0072】
主タンク222は、図14に表したように、下方部よりも上方部の方が小さい断面積を有する。つまり、貯留タンク530を上方あるいは下方からみたときの主タンク222の断面積は、下方部よりも上方部の方が小さい。そして、流出口531は、図14に表したように、主タンク222の上方部であって、その断面積が小さい部分に設けられている。流出口531の開口面積あるいは開口幅は、図6〜図8に関して前述した具体例の流出口224と同様に、上部よりも下部の方が小さい。また、液体検知センサ221は、その下端部が主タンク222内であって、流出口531の下端部531aと同じ高さあるいはそれよりも高い位置となるように設置されている。
【0073】
配水管285および配水管接続部285aを通して電磁弁210から貯留タンク530に供給される水は、図14に表した矢印W1のように、まず主タンク222に供給され貯留される。そして、主タンク222内の水位が上昇すると、図14に表した矢印W11のように、主タンク222の断面積が小さい部分における水位が上昇する。そして、流出口531の下端部531a(満水水位)よりも高い水位まで水が貯留されると、その水は、図15に表した矢印W12のように、流出口531から排水部225へ向かって流出する。あるいは、主タンク222に貯留された水の水位が高くなった場合には、その水は、図15に表した矢印W13のように、流出口531の上端部531bを越えて排水部225へ向かって流出する。その後、流出口531から流出した水は、図15に表した矢印W4のように、排水部225および排水トラップ270を通して排水される。
【0074】
ここで、前述したように、流出口531の開口面積あるいは開口幅は、上部よりも下部の方が小さい。そのため、主タンク222内の水位が流出口531の下端部531a近傍である場合には、主タンク222からの水の流出は抑制される。これにより、主タンク222内の水位は、流出口531の下端部531aよりも高くなる。そうすると、主タンク222内の水(水面)は、液体検知センサ221(電極221aおよび電極221b)の下端部に接触する。そのため、液体検知センサ221は、水位が下端部531a(満水水位)よりも高くなった水を検知することができる。そうすると、制御部241は、液体検知センサ221からの検知信号により、主タンク222が満水状態となり、水が流出口531から流出していると判断し、電磁弁210を閉じて止水する。これにより、主タンク222への水の供給は停止される。
【0075】
続いて、主タンク222への水の供給が停止されると、主タンク222内の水位は徐々に低下し、流出口531の下端部531aと同じ高さとなる。そうすると、主タンク222内の水(水面)は、液体検知センサ221の下端部とは非接触となる。ここで、制御部241は、電磁弁210を閉じてから、液体検知センサ221が主タンク222内の水を検知しなくなるまでの経過時間を計測し記憶することができる。そして、その経過時間が適宜設定された所定時間(閾値)よりも長いときには、制御部241は、主タンク222への異常給水が行われていると判断し、異常信号を出力できる。
【0076】
本具体例の貯留タンク530を備えるタンク装置200によれば、図6〜図8に関して前述した具体例のセンサ用滞留部223や、図10〜図11に関して前述した具体例の流出路513や、図12〜図13に関して前述した具体例の排水配管521などを設ける必要がない。そのため、貯留タンク530の構造を簡略化し、貯留タンク530およびタンク装置200を小型化することができる。また、流出口531の開口面積あるいは開口幅は、上部よりも下部の方が小さいため、図6〜図9に関して前述した具体例と同様に、制御部241は、正常給水と異常給水とを判別しやすく、主タンク222に流入する単位時間当たりの水量が少ないときでも、主タンク222への異常給水が行われていることをより確実に検知できる。また、その他の効果についても、図6〜図9に関して前述した具体例の効果と同様の効果を得ることができる。
【0077】
次に、本実施形態の具体例にかかるタンク装置の主構成および水の流れについて、図面を参照しつつ説明する。
図16は、本実施形態の具体例にかかるタンク装置の主構成および水路構成を例示するブロック図である。
つまり、図16は、図14に表したブロック図と同様に、タンク装置の主な構成および水の流れを1つの図面において例示している。
【0078】
本具体例にかかるタンク装置では、図示しない水道管に接続された給水口201と、水中の異物を捕捉するフィルタ(ストレーナ)202と、上流への水の逆流を防ぐ逆止弁203と、給水圧を所定の圧力範囲に調整する調圧弁204と、が設けられている。また、調圧弁204の下流側の流路は、受尿部175へ導水する流路と、貯留タンク220へ導水する流路と、に分岐されている。
【0079】
受尿部175側の流路には、主電磁弁210aと、流路内の圧力を所定圧力に抑える安全弁261と、外部から空気を取り込んで水の流れを促進するバキュームブレーカ263と、給水圧にかかわらず水の流量を一定に保つ定流量弁265と、が設けられている。図3に関して前述したように、本実施形態では、水道圧がかけられた水道水により受尿部175の内部を洗浄するため、本具体例のように、受尿部175側の流路に安全弁261を設けることが好ましい。
一方、貯留タンク220側の流路には、副電磁弁210bと、バキュームブレーカ263と、が設けられている。
【0080】
また、貯留タンク220は、図6および図8に表したように、バッファタンク228を有する。ここで、主電磁弁210aや調圧弁204などの調圧性能が低下し、安全弁261から水が流出した場合には、その流出した水は、図16に表した破線のように、貯留タンク220のバッファタンク228に導水される。また、バキュームブレーカ263が外部から空気を取り込んで水の流れを促進する際に、バキュームブレーカ263から水が流出した場合には、その流出した水は、図16に表した破線のように、貯留タンク220のバッファタンク228に導水される。そして、バッファタンク228に導水された水は、排水部225および排水トラップ270を通して排水される。
【0081】
このように、貯留タンク220は、分配装置243を洗浄する水を一時的に貯留する主タンク222だけではなく、安全弁261およびバキュームブレーカ263から流出した水を受けるバッファタンク228を有していてもよい。また、貯留タンク220は、バッファタンク228の一部に安全弁センサ用滞留部229を有していてもよい。この安全弁センサ用滞留部229には、例えば、液体検知センサ221と同様の電極を有する液体検知センサが、下端部を安全弁センサ用滞留部229内に進入するようにして配置される。
【0082】
本具体例のタンク装置によれば、下端部が安全弁センサ用滞留部229内に進入するようにして配置された液体検知センサは、安全弁センサ用滞留部229内に貯留された水を検知することができる。そうすると、制御部241は、その液体検知センサからの検知信号により、安全弁261あるいはバキュームブレーカ263から水が流出していると判断し、異常信号を出力できる。制御部241は、異常信号を出力することにより、例えば、主電磁弁210aや調圧弁204などの調圧性能が低下した旨、または安全弁261あるいはバキュームブレーカ263から水が流出している旨をトイレリモコン130あるいは端末装置140に表示したり、音や光で報知することができる。
【0083】
また、貯留タンク220は、安全弁261およびバキュームブレーカ263から流出した水を受けるバッファタンク228を有するため、安全弁261あるいはバキュームブレーカ263から多量の水が流出しても、排水トラップ270において水の流れが悪くなったり逆流したりすることを抑制することができる。また、その他の効果についても、図6〜図9に関して前述した具体例の効果と同様の効果を得ることができる。
【0084】
以上説明したように、本実施形態によれば、制御部241は、1つのセンサにより、すなわち液体検知センサ221により、主タンク222が満水状態であることと、主タンク222への異常給水が行われていることと、を検知することができる。そのため、貯留タンク220を小型化することができる。また、貯留タンク220の主タンク222は、分配装置243を洗浄する水を貯留できればよい。そのため、貯留タンク220をさらに小型化することができる。その結果、タンク装置200全体を小型化することができる。
【0085】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、貯留タンク220などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや液体検知センサ221の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、本実施形態の説明では、前述したように、タンク装置200において貯留される液体は水である場合を例に挙げて説明したが、タンク装置200において貯留される液体は水だけに限定されるわけではない。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0086】
110 便器、 111 ボウル、 120 局部洗浄装置、 130 トイレリモコン、 140 端末装置、 141 表示部、 150 体重計、 151 体重計パネル、 160 血圧計、 170 受尿装置、 171 駆動部、 173 回動アーム、 175 受尿部、 177 搬送管、 200 タンク装置、 201 給水口、 202 フィルタ、 203 逆止弁、 204 調圧弁、 205 止水栓、 210 電磁弁、 210a 主電磁弁、 210b 副電磁弁、 220 貯留タンク、 220a タンク部、 220b 蓋部、 221 液体検知センサ、 221a、221b 電極、 222 主タンク、 223 センサ用滞留部、 223a 上端部、 223b 底部、 224 流出口、 225 排水部、 228 バッファタンク、 229 安全弁センサ用滞留部、 240 尿糖計計測部、 241 制御部、 243 分配装置、 245 尿糖検知センサ、 250 液注入ユニット部、 261 安全弁、 263 バキュームブレーカ、 265 定流量弁、 270 排水トラップ、 281、282 試薬配管、 283 センサ配管、 285 配水管、 285a 配水管接続部、 286 貯留タンク配管、 286a 貯留タンク配管接続部、 310 棚板、 320、330 キャビネット、 341 ペーパーホルダ、 343 トイレットペーパー、 345 水栓、 347 ボウル、 349 鏡、 350 キャビネット、 420 補助タンク、 430 ポンプ、 441 第1のフロートスイッチ、 442 第2のフロートスイッチ、 510 貯留タンク、 510a タンク部、 510b 蓋部、 511 流出口、 511a 下端部、 511b 上端部、 513 流出路、 513b 底部、 520 貯留タンク、 520a タンク部、 520b 蓋部、 521 排水配管、 523 排水チューブ、 525 流出口、 530 貯留タンク、 530a タンク部、 530b 蓋部、 531 流出口、 531a 下端部、 531b 上端部、 701 床面、 703 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された液体を貯留する主タンクと、前記主タンクからオーバーフローする液体を流出させる流出路と、を有する貯留タンクと、
前記流出路を流れる液体を検知する液体検知センサと、
前記液体検知センサが前記流出路を流れる液体を検知すると、前記主タンクへの液体の供給を停止させる制御を実行し、前記供給を停止させる制御を実行した後に前記液体検知センサが前記流出路を流れる液体を所定時間よりも長く検知すると、異常信号を出力する制御部と、
を備えたことを特徴とするタンク装置。
【請求項2】
前記流出路は、前記主タンクからオーバーフローする液体を一時的に貯留し流出させるセンサ用滞留部であり、
前記センサ用滞留部は、前記センサ用滞留部内の液体を流出させる流出口を有し、
前記液体検知センサは、前記流出口から流出する液体を検知することを特徴とする請求項1記載のタンク装置。
【請求項3】
前記流出口の下部の開口幅は、前記流出口の上部の開口幅よりも小さいことを特徴とする請求項2記載のタンク装置。
【請求項4】
前記流出路は、前記主タンクに接続され前記主タンクからオーバーフローする液体を流出させる排水配管であり、
前記液体検知センサは、下端部が前記排水配管の内部に進入するように配置され、前記排水配管の内部を流れる液体を検知することを特徴とする請求項1記載のタンク装置。
【請求項5】
上方または下方からみたときの断面積が下方部よりも上方部の方が小さく、供給された液体を貯留する主タンクを有する貯留タンクと、
前記主タンクの満水水位よりも高い水位の液体を検知する液体検知センサと、
前記液体検知センサが前記満水水位よりも高い水位の液体を検知すると、前記主タンクへの液体の供給を停止させる制御を実行する制御部と、
を備え、
前記主タンクは、上部よりも下部における開口幅が小さく、前記満水水位よりも高い水位の液体をオーバーフローさせる流出口を有し、
前記制御部は、前記供給を停止させる制御を実行した後に前記液体検知センサが前記満水水位よりも高い水位の液体を所定時間よりも長く検知すると、異常信号を出力することを特徴とするタンク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−236211(P2010−236211A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83616(P2009−83616)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】