説明

ターゲット基地局にアクセスするための一時リソース要求識別子を割り振るための方法

【課題】ターゲット基地局にアクセスする際にワイヤレス通信デバイスによって使用される複数の一時リソース要求識別子を割り振るためのより効果的な割り当ておよび選択基準の少なくとも一方を提供する。
【解決手段】1つまたは複数のワイヤレス通信デバイスによって使用可能な、ターゲット基地局に関連付けられた一時リソース要求識別子のリストを識別する。リストは、1つまたは複数のパート・タイム一時リソース要求識別子のサブセットを含み、特定の時間における1つまたは複数のソース基地局の対応するグループへのパート・タイム一時リソース要求識別子の割り当てが、1つまたは複数のソース基地局の複数の対応するグループのうちの2つ以上の間で巡回的に行われる。一時リソース要求識別子は、一時リソース要求識別子をターゲット基地局とともに使用できる特定の通信時間間隔に対応する利用制限を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ターゲット基地局にアクセスするためのリソースの割り当てに関する。より詳細には、本発明は、セルラ・ワイヤレス通信ネットワークのターゲット基地局へのアクセスに関連する一時リソース要求識別子の割り振りに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス通信デバイスによるセルラ通信ネットワークのターゲット基地局へのアクセスの開始は、少なくともいくつかの異なる状況下において生じ得る。アクセスの開始が生じる状況の少なくともいくつかの例は、オフ状態から最初にスイッチがオンにされた後、ワイヤレス通信デバイスが始動しつつある場合、ワイヤレス通信デバイスが別のワイヤレス通信デバイスへの呼を開始しつつある場合、および/またはワイヤレス通信デバイスが第1の基地局によってサポートされるセルなどの1つのロケーションから異なる基地局によってサポートされる別のロケーションに移行しつつある場合を含む。少なくともいくつかの場合においては、ネットワーク・インフラストラクチャ(すなわちセルラ基地局)との初期通信は、一時リソース要求識別子の使用を通して円滑化され、一時リソース要求識別子は、ワイヤレス通信デバイスが識別された後、ターゲット基地局にアクセスするための通信リソースがセルラ・ワイヤレス通信インフラストラクチャによってそのワイヤレス通信デバイスに割り振られるおよび/または割り当てられるまで、一時的に1つのワイヤレス通信デバイスを別のワイヤレス通信デバイスから区別するために使用される。
【0003】
いくつかの場合においては、新しいターゲット基地局から通信リソースを獲得する必要が発生した時、ワイヤレス通信デバイスは呼の最中にある。そのような場合、ワイヤレス通信デバイスは、1つのセルを離れて別のセルに移行することができる。同様に、ワイヤレス通信デバイスの現在位置が、別のセルにおいて通信をサポートする別の(すなわちターゲット)基地局を介した継続的通信をより良くサポートできる場合、第1のセルにおいて通信コネクションをサポートする基地局との通信コネクションは、維持するのがより困難になることがある。ワイヤレス通信デバイスが第1のセルから離れてゆく速度に応じて、つまり、第1のセルを介した現在の通信コネクションが悪化してゆく速度に応じて、第1のセル内の第1の基地局から別のセル内のターゲット基地局への現在の呼接続のハンドオフを処理し、それに対応して、ターゲット基地局への確立済の呼接続の継続的通信をサポートするためのリソースの要求を処理することには、時間的制約の側面が存在することがある。
【0004】
一般に、有限個の一時識別子が存在し、これらの一時識別子は、リソースを求める様々なタイプの要求をサポートするために使用されるとともに、リソースが要求され得る任意の特定のターゲット基地局に関連付けられ、多数のワイヤレス通信デバイスからの潜在的に多数の同時および/またはほぼ同時の要求をサポートしなければならない。ターゲット基地局に対して特定のワイヤレス通信デバイスを一時的に識別するのに役立つ一時リソース要求識別子の少なくとも1つの例は、少なくともいくつかのセルラ・ワイヤレス通信システムにおいてアクセスを要求するために使用されるランダム・アクセス・チャネル(RACH)プリアンブルを含む。
【0005】
いくつかの場合においては、ターゲット基地局へのリソース要求が行われることがある異なるタイプの状況のうちの少なくともいくつかのために、利用可能な一時リソース要求識別子のサブセットを取っておくことができる。例えば、進行中および/または確立済の呼のソース基地局からターゲット基地局へのハンドオーバを円滑化するために、一時リソース要求識別子のうちの少なくともいくつかを確保しておくことができる。いくつかの場合においては、特定の一時リソース要求識別子がワイヤレス通信デバイスに割り当てられる。他の場合においては、使用される特定の一時リソース要求識別子は、特定のタイプの要求に関連付けられた一時リソース要求識別子の対応するリストから、ワイヤレス通信デバイスによってランダムに選択することができる。
【0006】
多数のワイヤレス通信デバイスが同じ一時リソース要求識別子を同時に利用しようと試みる場合、同じ一時リソース要求識別子を使用しようと試みているワイヤレス通信デバイスのうちの1つまたは複数がリソースの要求を正常に完了し得ることを妨げる衝突が時に生じることがある。これは、呼をサポートするソース基地局を介した既存の通信コネクションが今まさに呼接続を維持するために必要な閾値よりも低下しようとしている時、既存の呼接続中にハンドオーバを要求する場合など、特定のターゲット基地局から通信リソースを獲得する必要が時間的に差し迫っている場合に、特に問題となることがある。1つまたは複数のワイヤレス通信デバイスが任意の特定の期間にリソースの要求を正常に完了できない場合、一般に、続けて要求を試みる必要がある。
【0007】
特定のターゲット基地局にアクセスするために使用される特定の一時リソース要求識別子がワイヤレス通信デバイスによって選択される場合(ランダムに、恣意的に、および/または特定の予め設定されたパターンに従ってなど)、2つ以上のワイヤレス通信デバイスが、同じ一時リソース要求識別子を独立に選択して使用する可能性が常に存在する。同じ一時リソース要求識別子が選択されて使用される公算は一般に、選択を行うワイヤレス通信デバイスの数と、選択対象となる利用可能な一時リソース要求識別子の数に依存する。
【0008】
上述のように、特定のワイヤレス通信デバイスによって使用される特定の一時リソース要求識別子を割り当てることは可能である。ワイヤレス通信デバイスによって使用される一時リソース要求識別子が、ランダムに選択されることなしに割り当てられる場合、衝突の公算は、少なくとも同じエンティティによって割り当てられた特定の一時リソース要求識別子の間では、より細かく管理することができる。しかし、時には、特定のターゲット基地局にリソースを要求しようと試みる特定のワイヤレス通信デバイスが、ターゲット基地局と関連するエリアと異なる方向から接する多数の異なるソース基地局を出所とすることがある。そのような場合、異なる周囲のソース基地局から来るすべての可能なワイヤレス通信デバイスに一時リソース要求識別子を割り当てることができる共通エンティティは、望ましくない通信工程であることがある。そのような場合、先に割り当てられた同じ識別子が使用済として検出されるまで、または対応するタイムアウト期間が経過するまで、一時リソース要求識別子を求める要求を行うこと、割り当てられた一時リソース要求識別子を受信すること、および割り当てられた一時リソース要求識別子を使用することに関連する待ち時間が、一定の継続期間中に同じ一時リソース要求識別子をさらに割り当てることを妨げることがあり、それが今度は、有限個の一時リソース要求識別子を使用する割り当て要求をサポートできる速度を制限することがある。いくつかの場合においては、割り当てられた識別子が使用される時まで、割り当てられた識別子を伝達するのに必要な全期間にわたって、特定の計画された要求のために一時リソース要求識別子を確保しておくことは、非実用的なことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、ターゲット基地局にアクセスする際にワイヤレス通信デバイスによって使用される複数の一時リソース要求識別子のうちの1つを割り振るためのより効果的な割り当ておよび/または選択基準を提供する方法は有益となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、セルラ・ワイヤレス通信サポート・インフラストラクチャの複数のソース基地局によって、ワイヤレス通信デバイスに、セルラ・ワイヤレス通信サポート・インフラストラクチャのターゲット基地局にアクセスするための一時リソース要求識別子を割り振るための方法を提供する。方法は、ターゲット基地局にリソースを要求する1つまたは複数のワイヤレス通信デバイスによって使用可能な、ターゲット基地局に関連付けられた一時リソース要求識別子のリストを識別することを含み、リストは、1つまたは複数のパート・タイム一時リソース要求識別子のサブセットを含み、特定の時間における1つまたは複数のソース基地局の対応するグループへのパート・タイム一時リソース要求識別子の割り当ては、1つまたは複数のソース基地局の複数の対応するグループのうちの2つ以上の間で巡回的に行われる。次に、方法は、特定のワイヤレス通信デバイスが特定のソース基地局と通信している間に、特定のワイヤレス通信デバイスによるターゲット基地局へのリソースの要求を検出することを提供する。次いで、特定のソース基地局を含む1つまたは複数のソース基地局の対応するグループに現在関連付けられている一時リソース要求識別子が、特定のワイヤレス通信デバイスに割り振られる。
【0011】
少なくとも1つの実施形態においては、リストは、1つまたは複数のソース基地局の複数の対応するグループのうちの1つにそれぞれが割り当てられる1つまたは複数のフル・タイム一時リソース要求識別子のサブセットを追加的に含む。
【0012】
本発明はさらに、セルラ・ワイヤレス通信サポート・インフラストラクチャの複数のソース基地局によって、ワイヤレス通信デバイスに、セルラ・ワイヤレス通信サポート・インフラストラクチャのターゲット基地局にアクセスするための一時リソース要求識別子を割り振るための方法を提供する。方法は、1つまたは複数のワイヤレス通信デバイスが特定のソース基地局と通信している間に、1つまたは複数のワイヤレス通信デバイスからのターゲット基地局へのリソースの要求を検出することを含む。次に、ターゲット基地局へのリソースの要求が検出されたワイヤレス通信デバイスの各々が割り振りを待っている時間長が決定される。ターゲット基地局へのリソースの要求が検出されたワイヤレス通信デバイスの各々が割り振りを待っている時間長に基づいて、次に、1つまたは複数の一時リソース要求識別子のうちの1つが、複数の予め設定された通信間隔の各々において、特定のソース基地局による割り当てに利用可能であるとして識別された一時リソース要求識別子のリストから、特定のソース基地局による割り当てに利用可能であるとして識別された一時リソース要求識別子のリスト内の一時リソース要求識別子の数にその最大数が等しい、ターゲット基地局へのリソースの要求が検出された多くのワイヤレス通信デバイスの各々に割り当てられる。ターゲット基地局へのリソースの要求が検出されたワイヤレス通信デバイスの数が、特定のソース基地局による割り当てに利用可能であるとして識別された一時リソース要求識別子のリスト内の一時リソース要求識別子の数を超過している場合、ターゲット基地局へのリソースの要求が検出されたワイヤレス通信デバイスの各々が割り振りを待っている時間長が最大許容可能割り当て遅延を超過しているワイヤレス通信デバイスが存在しない限り、特定のソース基地局による割り当てに利用可能であるとして識別された一時リソース要求識別子のリスト内の一時リソース要求識別子の数を超える超過分に等しい数のワイヤレス通信デバイスへの割り当てを、次の予め設定された通信間隔において行うために持ち越す。一方、時間長が最大許容可能割り当て遅延を超過しているワイヤレス通信デバイスが存在するならば、ターゲット基地局へのリソースの要求が検出されたワイヤレス通信デバイスの各々が割り振りを待っている時間長が最大許容可能割り当て遅延を超過しているワイヤレス通信デバイスの対応する1つに、一時リソース要求識別子のリストから、1つまたは複数の一時リソース要求識別子のうちの1つをそれぞれ割り当て、ターゲット基地局へのリソースの要求が検出されたワイヤレス通信デバイスの各々が割り振りを待っている時間長が最大許容可能割り当て遅延を超過しているすべてのワイヤレス通信デバイスに一時リソース要求識別子が割り当てられるまで、ソース基地局に割り当てられていない一時リソース要求識別子を順次的に割り当てる。
【0013】
本発明はまたさらに、複数の通信時間間隔の1つにおいて、ワイヤレス通信デバイスに、セルラ・ワイヤレス通信サポート・インフラストラクチャのターゲット基地局にアクセスするための複数の利用可能な一時リソース要求識別子から一時リソース要求識別子を割り振るための方法を提供する。方法は、1つまたは複数のワイヤレス通信デバイスについてターゲット基地局へのリソースの要求を検出することを含む。次に、一時リソース要求識別子の対応する1つが、1つまたは複数のワイヤレス通信デバイスの特定の1つに割り振られ、一時リソース要求識別子の少なくともいくつかが、一時リソース要求識別子がターゲット基地局とともに使用できる特定の通信時間間隔に対応する利用制限を含み、利用制限は、一時リソース要求識別子が1つまたは複数のワイヤレス通信デバイスの特定の1つによってその間使用できる、複数の通信時間間隔のすべてよりも少数である複数の通信時間間隔のサブセットを定義する。
【0014】
少なくとも1つの実施形態においては、同じ一時リソース要求識別子が、多数のワイヤレス通信デバイスに割り振られ、多数のワイヤレス通信デバイスの各々に対する利用制限が、複数の通信時間間隔の異なるサブセットに対応する。
【0015】
本発明の上記および他の特徴および利点は、添付の図面に従って以下に説明する本発明の1つまたは複数の好ましい実施形態から明らかとなる。本発明は、添付の図面に示された例示的な実施形態によって非限定的に説明される。添付の図面において同様の参照符号は類似の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の少なくとも1つの実施形態による動作環境を説明する例示的なワイヤレス通信システムの少なくとも一部の例示的なトポグラフィ図。
【図2】本発明の少なくとも1つの実施形態による動作環境をさらに説明する通信エリアと複数の近隣通信エリアの一部分のさらなる例示的なトポグラフィ図。
【図3】ハンドオーバの一部としての、移動加入者によってターゲット基地局にリソースを要求するための方法の情報フロー図。
【図4】本発明の少なくとも1つの実施形態による、ターゲット基地局へのリソース要求の一部として割り振られおよび/または割り当てられる一時リソース要求識別子の例示的な配列リストを示す図。
【図5】複数の予め設定された通信時間間隔の系列、およびターゲット基地局とともに使用される少なくともいくつかの割り振り可能な一時リソース要求識別子と1つまたは複数のソース基地局との例示的なパート・タイム関連性を示す図。
【図6A】ターゲット基地局にリソースを要求する際に使用される特定の通信時間間隔においてワイヤレス通信デバイスに割り振られる一時リソース要求識別子のソース基地局または基地局グループへの例示的な割り当てと、一時リソース要求識別子の割り振りの例示的な順序を示す図。
【図6B】ターゲット基地局にリソースを要求する際に使用される特定の通信時間間隔においてワイヤレス通信デバイスに割り振られる一時リソース要求識別子のソース基地局または基地局グループへの例示的な割り当てと、一時リソース要求識別子の割り振りの例示的な順序を示す図。
【図7】本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態による、一時リソース要求識別子を割り振る際に使用される例示的なフレーム参照システムを示す図。
【図8】本発明の少なくとも1つの実施形態による、セルラ・ワイヤレス通信サポート・インフラストラクチャの複数のソース基地局によって、セルラ・ワイヤレス通信サポート・インフラストラクチャのターゲット基地局にアクセスするための一時リソース要求識別子をワイヤレス通信デバイスに割り振るための方法のフローチャート。
【図9】本発明の少なくとも1つの態様による、ターゲット基地局へのリソースの要求が検出されたワイヤレス通信デバイスが割り振りを待っている時間長に基づいて、フル・タイム一時リソース要求識別子およびパート・タイム一時リソース要求識別子が割り振られる方法のより詳細なフローチャート。
【図10】本発明の少なくとも1つの態様による、特定の期間において特定のソース基地局のためのフル・タイム一時リソース要求識別子およびパート・タイム一時リソース要求識別子のすべてがすでに割り振られた場合に、一時リソース要求識別子を割り振るための方法のより詳細なフローチャート。
【図11】本発明の少なくとも1つの実施形態による、セルラ・ワイヤレス通信サポート・インフラストラクチャのターゲット基地局によって、ターゲット基地局にアクセスするための一時リソース要求識別子をワイヤレス通信デバイスに割り振るための方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の詳細な実施形態を本明細書で説明するが、ここで説明する実施形態は、種々の形態で実現することができる本発明の単なる例示に過ぎない。本明細書で説明する特定の構造および機能の詳細は、限定的に解釈されるべきではなく、特許請求の範囲の基礎として、また、詳述する好適な構造において本発明を種々利用する方法を当業者に教示するための代表例として役立つに過ぎない。さらに、本明細書で使用される用語および語句は、限定的であることを意図しておらず、むしろ本発明を理解する上での説明を提供することを意図している。
【0018】
図1は、ワイヤレス通信システムの少なくとも一部の例示的なトポグラフィ図を示している。トポグラフィ図100は、重なり合う円として示された複数のセル102を含む。円は、複数のセルラ領域の各々に関連するフットプリントまたはカバレージ・エリアのおおまかな近似に過ぎず、実際には、伝送エリアは、それほど均一には確定されない。各セルは一般に、サービス局と呼ばれる1つまたは複数の基地局(BS)104によってサービスされ、各基地局104は、対応するセル102の範囲内に所在および/または範囲内で移動108する移動ワイヤレス通信デバイスなどの移動加入者(MS)106と通信する、1つまたは複数のトランシーバ基地局と関連付けることができる。
【0019】
一般に、移動加入者106がサービス基地局104から遠ざかれば遠ざかるほど、信号は弱くなる。反対に、移動局106が別の基地局104に接近するにつれて、信号は一般に強くなる。移動加入者106がサービス基地局104から遠ざかり続け、近隣セル102の基地局104に接近し続けていると、ある時点で、継続的通信の制御を近隣セル102の基地局104に移転したほうが望ましくなる。制御を移転する決定は一般に、サービス基地局と各近接セル102の基地局から受信される信号の相対強度に基づいて決定される。すなわち、オーバ・ザ・エア(over the air)動作規格と関連して動作するワイヤレス通信デバイスは、サービス・セルと1つまたは複数の近隣セルとの両方からの信号の相対強度を監視する。
【0020】
移動局が2つのセルの間の境界領域に接近すると、ソフト・ハンドオーバを利用するオーバ・ザ・エア動作規格は、多数のセルラ領域からの信号を同時に監視し始め、移動局がその存在をセルラ領域の1つにおいて堅固に確立するまで、多数のセルラ領域の各々の間で特定の通信を転送する。ソフト・ハンドオーバは通例、メイク・ビフォー・ブレークと呼ばれ、一般に、それまでのサービス・セルと、ソフト・ハンドオーバ中の他のすべてのセルラ領域との他のすべての通信コネクションを解放する前に、新しいターゲット・セルとの通信チャネルを確立する。この移行期間中、移動局106は、信号を監視することができ、または、最大6つの異なるセルラ領域との同時通信チャネルを確立することができる。どの場合も、新しい各ターゲット基地局との通信は、新しいターゲット・セルラ領域内の基地局に対するリソース要求を通して供給される。いくつかの場合においては、多数のセルラ領域から送られる信号は、信号受信を高性能化するために組み合わせることができる。
【0021】
他の場合においては、ハード・ハンドオーバを利用することができ、移動加入者との通信コネクションを維持するためには別の領域に関連する別の基地局のほうがより適していると決定された場合、ソース基地局は、新しいターゲット基地局とコネクションを確立するよう移動局に命令し、時には、新しいターゲット基地局とのコネクションの確立に関連して使用する一時リソース要求識別子を提供する。新しいコネクションを確立するための情報を提供すると、ソース基地局との通信は切断され、進行中の継続的通信に対するサポートは、ターゲット基地局とのコネクションが確立されるまで中断される。
【0022】
矢印108は、左下のセルラ領域内のエリアから3つの異なる隣接セルラ領域が重なり合う領域110に対応するエリアへの、移動局106の可能な例示的移動を表すことを意図している。移動局がこのエリア内に存在する間、移動局は、重なり合う3つのセルの各々から同じ通信を受信する(112)ことによって、通信コネクションを確立する必要があり、通信コネクションを維持する。これは一般に、移動局106が専用チャネルを介してセルラ・ネットワーク・インフラストラクチャとの通信コネクションに関わる場合である。そのような場合、重なり合う3つのセルは、専用チャネルを介した特定の通信のための、特定の移動局のアクティブ・セットとして識別することができる。
【0023】
特定のターゲット・セルラ・エリアおよび対応するターゲット基地局に対して、特定の移動加入者の移行元である対応するソース基地局を有する、いくつかの隣接または近接セルラ・エリアが存在する。図2は、本発明の少なくとも1つの実施形態の動作環境をさらに説明する通信エリアおよび複数の近隣通信エリアの一部分のさらなる例示的なトポグラフィ図を示している。図2に示される実施形態では、ターゲット・セルラ領域Tと、それを取り囲む6つの潜在的なソース・セルラ領域S1〜S6を含む、部分的な六角形パターン200が示されている。6つの潜在的なソース・セルラ領域S1〜S6は各々、対応するターゲット基地局を介したターゲット・セルラ領域の通信リソースへのアクセスを要求するための一時リソース要求識別子を割り当てる際に、ターゲット・セルラ領域Tと協調して働く必要がある。そのような要求の発生は一般に、ソース・セルラ領域S1〜S6の1つからターゲット・セルラ領域Tへの移動加入者の移動202と同時に起こる。一般に、潜在的なソース・セルラ領域S1〜S6の各々は、1つまたは複数のソース基地局の異なるグループを表す。
【0024】
いくつかのシステムでは、移動局は利用可能な識別子のリストから一時リソース要求識別子をランダムに選択することが可能であるが、そのような場合には、第2の移動局も同じ識別子を選択する可能性がある。ほぼ同じ時間に同じ識別子を使用する多数の移動局による衝突または競合の可能性が生じ、この衝突または競合は、移動局の一方または両方の能力を制限して、要求された通信リソースへのアクセスを獲得できなくすることがある。代替的に、1つまたは複数の通信システム・エンティティは、衝突および/または競合の可能性を制限することを意図した方式で、一時リソース要求識別子を割り振ることができる。
【0025】
先に述べたように、ターゲット・セルラ領域Tに関連するターゲット基地局へのリソースの要求は、時に、進行中の通信の制御をハンドオーバする決定と関連付けられることがあり得る。図3は、ハンドオーバの一部としての、移動加入者によってターゲット基地局にリソースを要求するための方法の情報フロー図300を示している。
【0026】
最初に、移動加入者302と、図示の実施形態におけるソース基地局304など、最初に移動加入者にサービスしている基地局との間の通信306の少なくとも一部分として、ハンドオーバが望ましいことを示唆する特性が監視される。いくつかの場合においては、特性は、通信される物理信号の測定可能な特徴とすることができる。他の場合においては、特性は、監視中の信号を介して通信される情報とすることができる。ハンドオーバ決定を行う目的で監視できる特性のいくつかの例は、信号強度と、位置や移動速度および移動方向を含む移動加入者のロケーションとを含む。これらおよび/または他の信号特性から、移動加入者をソース基地局304からターゲット基地局308にハンドオーバすべきかどうかについての判定310が行われる。
【0027】
ハンドオーバが望ましいことを示す肯定的な判定の場合、ターゲット基地局308など、後に移動加入者302にサービスする予定の基地局に通信コネクションの形でリソースを要求する目的で、ランダム・アクセス・チャネル(RACH)プリアンブルなどの一時リソース要求識別子が、移動加入者に割り振られる。いくつかの場合においては、ソース基地局304が、一時リソース要求識別子を識別し、割り振ることができる。他の場合においては、ソース基地局304は、割り振られる一時リソース要求識別子を識別し、取得するために、ターゲット基地局308と協調して働くことができる。どちらの場合も、識別される一時リソース要求識別子は一般に、ソース基地局304によって移動加入者に伝達される(312)。一時リソース要求識別子がターゲット基地局308によって割り当てられる場合、ソース基地局304は一般に、ハンドオーバが望ましいことをターゲット基地局に通知する(314)とともに、ハンドオーバ確認および新しい通信コネクションを確立する際に使用される割り振られた一時リソース要求識別子を含む伝達情報を受信する(316)ためにターゲット基地局308と通信する必要がある。
【0028】
移動加入者302は、ソース基地局304から一時リソース要求識別子を受信すると(312)、ランダム・アクセス・チャネル・プリアンブルなどの割り当てられた一時リソース要求識別子を使用して、ターゲット基地局308のリソースへのアクセスを要求する(318)。ターゲット基地局308のリソースを求める要求は一般に、アップロード・リンクが確立され(320)、ハンドオーバが確認された(322)ときに完了する。
【0029】
ソース基地局304が一時リソース要求識別子を割り振る場合、ソース基地局304は一般に、ハンドオーバをサポートする目的でターゲット基地局308にリソースを要求する際に使用するために確保されている一時リソース要求識別子のリストから一時リソース要求識別子を選択する。潜在的に多数の異なるソース基地局および/または基地局S1〜S6のグループが、利用可能な一時リソース要求識別子を同じリストから選択するので、多数の移動加入者が同じ一時リソース要求識別子を割り振られそれを使用しようと試みることから生じる競合および衝突を最低限に抑えるために、一時リソース要求識別子のリスト内における各ソース基地局S1〜S6の開始地点は、しばしば互いにずらされる。
【0030】
図4は、本発明の少なくとも1つの実施形態に従って、ターゲット基地局へのリソース要求の一部として割り振りおよび/または割り当て可能な一時リソース要求識別子の例示的な配列リスト400を示している。配列リストは、フル・タイム割り当てを有する一時リソース要求識別子P1〜P12の組402と、パート・タイム割り当てを有する一時リソース要求識別子P13〜P15の組404を含む。
【0031】
図示された実施形態では、フル・タイム一時リソース要求識別子の組402は、割り当て可能な一時リソース要求識別子P1〜P12の循環リストを含み、この循環リストでは、異なるソース基地局S1〜S6は、図中の対応する矢印によって識別される異なる地点においてリストからの選択を開始する。例えば、ソース基地局S1は、P1で開始する一時リソース要求識別子を割り振るものとして識別される。特定の期間における第2の割り振りは、P2であり、第3の割り振りは、P3であり、これは、S2によって割り当てられる第1の一時リソース要求識別子に一致する。P12を割り振ると、特定の期間における次の割り振りは、P1に一致する。少なくともいくつかの場合においては、一時リソース要求識別子の循環リスト内の開始地点は、各所定期間の開始時にリセットされる。
【0032】
全体的に等しい間隔を空けて配置された選択開始地点が示されているが、いくつかの場合においては、いくつかのソース基地局に対しては隣接する開始地点の間により大きいまたはより小さい間隔を提供したほうが望ましいことがある。例えば、間隔の相違は、特定のソース基地局および/またはソース基地局のグループを出所とする移動加入者のうちでターゲット基地局へのハンドオーバを要求することが予想される移動加入者の数または割合について、そのソース基地局および/またはソース基地局のグループが不均衡なほど多いもしくは少ない数または不均衡なほど大きいもしくは小さい割合を有すると有益なことがある。特定の一対の基地局の間でのハンドオーバを要求する移動加入者の予想割合または予想数に影響する可能性がある要因の1つの例は、2つの対応するセルラ領域の間の境界を横断する交通量の多いハイウェイの存在を含む。
【0033】
図示された実施形態では、パート・タイム一時リソース要求識別子の組404は、パート・タイム・ベースおよび/または部分的な割り振りのために、特定のソース基地局に割り当てることができる1つまたは複数の一時リソース要求識別子を含む。パート・タイム割り当ては、パート・タイム・ベースでの割り振り目的で特定のソース基地局に割り当てられる一時リソース要求識別子を含み、および/またはハンドオーバ要求をサポートする際の任意のソース基地局によるパート・タイム・ベースでの割り振り目的で割り当てられる一時リソース要求識別子を含む。一時リソース要求識別子がパート・タイム・ベースで特定のソース基地局に割り当てられる場合、異なるソース基地局には、1つまたは複数の所定期間中の割り振りのために、特定の一時リソース要求識別子を割り当てることができる。そのような割り当ては、本質的に定期的なものであってもよいし、または必要に応じて行うものであってもよい。
【0034】
図5は、複数の予め設定された通信時間間隔F1〜F6およびFn〜Fn+3の系列500と、ターゲット基地局208とともに使用される少なくともいくつかの割り振り可能な一時リソース要求識別子P13〜P15と1つまたは複数のソース基地局との例示的なパート・タイム関連性を示している。予め設定された通信時間間隔は、通信システム内における時間尺度の確立された単位に対応することができ、または一時リソース要求識別子の割り当ておよび割り振りで使用するために確立された期間の任意の系列とすることができる。多くの場合においては、予め設定された通信時間間隔は、通信フレームの系列など、有限の持続期間を有する事前確立されたおよび/または既存の周期的な期間と一致する。
【0035】
図示された実施形態では、一時リソース要求識別子P13〜P15の各々は、ソース基地局S1〜S6の1つに巡回的に割り当てられ、そのソース基地局が、対応する割り当て期間中に、その一時リソース要求識別子を割り振ることを可能にする。単なる例として、P13は、第1の通信時間間隔と、その後の6つ置きの通信時間間隔(F7、F13、F19など)において、S1に割り当てられる。さらに、P14は、第5の通信時間間隔と、その後の6つおきの通信時間間隔において、S1に割り当てられ、P15は、第3の通信時間間隔と、その後の6つ置きの通信時間間隔において、S1に割り当てられる。P13〜P15は、一般に重なり合うことのない方式で、S2〜S6の各々にも同様に割り当てられる。そのように、6つのソース基地局の各々は、1つおきの予め設定された通信時間間隔において割り振られる追加的な一時リソース要求識別子を有する。一般に、割り当てられる一時リソース要求識別子は、ターゲット基地局にリソースを要求することに関連して使用するために、予め設定された通信時間間隔の各々において、独立に割り当てることが可能である。ソース基地局のいくつかは、他のソース基地局とは異なる時間間隔の割合にて、割り振りの目的でパート・タイム一時リソース要求識別子にアクセスすることも可能である。
【0036】
図6Aおよび図6Bは、ターゲット基地局にリソースを要求する際に使用される特定の通信時間間隔においてワイヤレス通信デバイスに割り振られる一時リソース要求識別子のソース基地局または基地局グループへの例示的な割り当てと、一時リソース要求識別子の割り振りの例示的な順序を示している。少なくとも1つの実施形態によれば、割り当てられたフル・タイム一時リソース要求識別子の割り振りの前に、任意に割り当てられたパート・タイム一時リソース要求識別子が、リソースを要求しようと試みる移動加入者に割り振られる。
【0037】
割り当てられたすべてのパート・タイムおよびフル・タイム一時リソース要求識別子を割り振ると、ソース基地局は、順番に一列に並んだフル・タイム一時リソース要求識別子のうち最後に割り振られたものの次に存在する、別の基地局に割り当てられたフル・タイム一時リソース要求識別子を割り振ることができる。S1の場合、図6Aに示されるように、一時リソース要求識別子のすべてのパート・タイム割り当ての次に、図示の例においてはP1およびP2などのように特定のソース基地局に関連するすべてのフル・タイム一時リソース要求識別子を含む割り振りの順序をもたらす。同じ予め設定された通信時間間隔におけるさらなる割り振りは、S2に割り当てられたP3を割り振る。S1によるP3の割り振りは、同様にS2が使用のためにP3を割り振った場合、衝突または競合を引き起こす可能性がある。図6Bは、S2のための割り振りの例示的な順序を示しており、現在のすべてのパート・タイム割り当ての次に、割り当てられたフル・タイム割り当てP3およびP4を含む。一時リソース要求識別子のさらなる割り振りは、P5を使用しようと試み、次にP6を使用しようと試み、以降も同様である。
【0038】
予め設定された通信時間間隔が満了すると、ソース基地局の各々は、その特定のソース基地局に割り当てられていないフル・タイム一時リソース要求識別子のリストから列内の次のフル・タイム一時リソース要求識別子を割り振ろうと試みる前に、すべてのパート・タイム割り当ておよびすべてのフル・タイム割り当てを初めに用いる一時リソース要求識別子の割り振りを開始する。
【0039】
本発明の少なくとも1つのさらなる実施形態では、ターゲット基地局がすべてのリソース要求に対して一時リソース要求識別子を割り振ることも可能である。図3に示されたタイミング図において述べられたように、これは一般に、ソース基地局とターゲット基地局との間の追加的な通信を必要とする。ソース基地局とターゲット基地局との間の追加的な通信のため、特定の移動加入者による割り振りの受信はさらに遅延する。少なくともいくつかの状況では、特定の一時リソース要求識別子を2つ以上の予め設定された通信時間間隔において割り振ることが有益なことがある。
【0040】
しかし、いくつかの予め設定された通信時間間隔にまたがることがある全期間中にわたって単一の移動加入者によって使用するために特定の一時リソース要求識別子を確保する代わりに、ターゲット基地局は、割り振りを行う場合に、一時リソース要求識別子が使用できる時に関する利用制限および/または時間制限を付加的に含めることができる。このようにして、相互に排他的な期間に対応するように通信利用制限が選択された場合には、通信衝突または競合のおそれなしに、同じ一時リソース要求識別子を別の移動加入者に割り当てることができる。さらに、利用制限が完全ではないがほとんど相互に排他的な場合には、通信衝突または競合の可能性を減らすことができる。例えば、例示的な1つの実施形態は、同じ一時リソース要求識別子を、第1の移動加入者には偶数番目の通信時間間隔において使用するために割り振ることができ、第2の移動加入者には奇数番目の通信時間間隔において使用するために割り振ることができる。そのような制限は、競合または衝突のおそれなしに、また一時リソース要求識別子の許容可能な使用を著しく遅延させることなしに、同じ数の一時リソース要求識別子を用いて、割り振りの数を効果的に2倍にする。同じ数の一時リソース要求識別子の利用をさらに大きく増倍できるように、またさらに異なる倍数を、オフセット値と共に使用することができる。
【0041】
図7は、一時リソース要求識別子を割り振る際に使用される例示的なフレーム参照システム700を示している。システムは、示されるように、Fに対応する参照フレームを確立することを可能にし、Nの倍数は、Nフレームおきに生じる通信時間間隔のグループの1つを定義することができる。オフセットOの使用は、Nフレームおきに生じる通信時間間隔の異なるグループをさらに定義することができる。そのような環境では、ゼロ以上N未満の異なるオフセット値を用いて、最大N個の異なるグループを定義することができる。このようにして、ターゲット基地局は、利用可能な通信時間間隔の一部において使用するために、同じ一時リソース要求識別子を多数の移動加入者に割り当てることができる。
【0042】
図8は、本発明の少なくとも1つの実施形態による、セルラ・ワイヤレス通信サポート・インフラストラクチャの複数のソース基地局によって、ワイヤレス通信デバイスに、セルラ・ワイヤレス通信サポート・インフラストラクチャのターゲット基地局にアクセスするための一時リソース要求識別子を割り振るための方法のフローチャート800を示している。方法は、ソース基地局の特定のグループへのその割り当てが複数のグループの間で巡回的に行われるリソース要求識別子を含む、ターゲット基地局にリソースを要求する1つまたは複数の移動加入者などのワイヤレス通信デバイスによって使用される、ターゲット基地局に関連付けられた一時リソース要求識別子のリストを識別すること(802)を含む。特定のワイヤレス通信デバイスによるターゲット基地局へのリソースの要求が、ソース基地局と通信を行っている間に検出される(804)。その後、ワイヤレス通信デバイスが通信しているソース基地局を含むソース基地局のグループに現在関連付けられている一時リソース要求識別子が、ターゲット基地局にリソースを要求する目的で、ワイヤレス通信デバイスに割り振られる(806)。
【0043】
図9は、本発明の少なくとも1つの態様による、ターゲット基地局へのリソースの要求が検出されたワイヤレス通信デバイスが割り振りを待っている時間長に基づいて、フル・タイム一時リソース要求識別子およびパート・タイム一時リソース要求識別子が割り振られる(806)方法のより詳細なフローチャート900を示している。より具体的には、ターゲット基地局へのリソースの要求が検出されたワイヤレス通信デバイスが割り振りを待っている時間長が決定される(902)。その後、一時リソース要求識別子が、ワイヤレス通信デバイスの各々が割り振りを待っている時間長に基づいて割り振られる(904)。多くの場合においては、利用可能な一時リソース要求識別子は、最も長く割り振りを待っている、トランシーバ基地局へのリソースの要求が検出されたワイヤレス通信デバイスに割り当てられる。
【0044】
図10は、本発明の少なくとも1つの態様による、特定の期間において特定のソース基地局にフル・タイム一時リソース要求識別子およびパート・タイム一時リソース要求識別子のすべてがすでに割り振られた場合に、一時リソース要求識別子を割り振るための方法のより詳細なフローチャート1000を示している。方法は、ソース基地局の特定のグループに関連付けられたフル・タイムおよびパート・タイム一時リソース要求識別子のすべてが割り振られた後に、一時リソース要求識別子がまだ割り振られていないリソース要求が存在するかどうかを決定すること(1002)を含む。その後、特定の通信時間間隔においてパート・タイムおよびフル・タイム一時リソース要求識別子のすべてが割り振られた後に、割り振りを受けていないリソース要求が存在するかどうかに関して決定(1004)が行われる。割り振りを受けていないリソース要求が存在する場合、リソースを求める1つまたは複数のワイヤレス通信デバイスの各々について、ターゲット基地局へのリソースの要求が一時リソース要求識別子によって満たされていない時間長が決定される(1006)。
【0045】
その後、時間長が、最大許容可能割り振り遅延と比較される(1008)。移動加入者の特定の1つについて、最大許容可能割り振り遅延を超過していない場合、その特定の移動加入者への一時リソース要求識別子の割り振りは、複数の予め設定された通信間隔のうちの次の通信間隔まで持ち越される(1012)。移動加入者の特定の1つについて、最大許容可能割り振り遅延を超過している場合、異なるソース基地局に割り当てられた識別子を含む識別子のリストからターゲット基地局に関連付けられた次の一時リソース要求識別子が割り振られる(1010)。
【0046】
図11は、本発明の少なくとも1つの実施形態による、セルラ・ワイヤレス通信サポート・インフラストラクチャのターゲット基地局によって、ワイヤレス通信デバイスに、ターゲット基地局にアクセスするための一時リソース要求識別子を割り振るための方法のフローチャート1100を示している。方法は、1つまたは複数のワイヤレス通信デバイスからのターゲット基地局へのリソースの要求を検出する(1102)。一時リソース要求識別子の対応する1つが、1つまたは複数のワイヤレス通信デバイスの特定の1つに割り振られ(1104)、一時リソース要求識別子の少なくともいくつかは、ターゲット基地局とともに一時リソース要求識別子が使用できる特定の通信時間間隔に対応する利用制限を含む。上で述べたように、そのような制限は、Nフレームおきに生じる通信時間間隔のグループを定義するばかりでなく、参照時間フレームに関するオフセットも含むことができる。
【0047】
大部分は、ハンドオーバをサポートする際のターゲット基地局へのリソースの要求という文脈で、本発明を説明したが、本発明の教示から同様に利益を得る、一時リソース要求識別子の割り振りおよび使用を含む、リソースがターゲット基地局に要求される他の場合が存在する。例えば、移動加入者またはワイヤレス通信デバイスが、データのアップロードまたはダウンロードおよびデータの予想到着時間の管理に関連して、ターゲット基地局との同期の更新に関わる場合、リソースの要求が同期の要求を含み、および/または同期の要求に関わる場合、ならびにターゲット基地局へのアクセスが開始され、または再確立される場合において役立つことがある。
【0048】
本発明の好ましい実施形態および他の実施形態を例示および説明したが、本発明がそのようなものに限定されないことは明らかである。当業者は、特許請求の範囲に規定される本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、種々の改訂、変更、変形、置換、および均等物を推考し得る。
【符号の説明】
【0049】
302:ワイヤレス通信デバイス、304:ソース基地局、308:ターゲット基地局。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルラ・ワイヤレス通信サポート・インフラストラクチャの複数のソース基地局によって、ワイヤレス通信デバイスに、前記セルラ・ワイヤレス通信サポート・インフラストラクチャのターゲット基地局にアクセスするための一時リソース要求識別子を割り振るための方法であって、
1つまたは複数のワイヤレス通信デバイスが特定のソース基地局と通信している間に、前記1つまたは複数のワイヤレス通信デバイスからの前記ターゲット基地局へのリソースの要求を検出すること、
前記ターゲット基地局へのリソースの要求が検出された前記ワイヤレス通信デバイスの各々が割り振りを待っている時間長を決定すること、
前記ターゲット基地局へのリソースの要求が検出された前記ワイヤレス通信デバイスの各々が割り振りを待っている前記時間長に基づいて、複数の予め設定された通信間隔の各々において、特定のソース基地局による割り当てに利用可能であるとして識別された一時リソース要求識別子のリストから、前記特定のソース基地局による割り当てに利用可能であるとして識別された一時リソース要求識別子の前記リスト内に含まれる一時リソース要求識別子の数にその数が等しい、前記ターゲット基地局へのリソースの要求が検出された前記ワイヤレス通信デバイスの各々に、1つまたは複数の一時リソース要求識別子のうちの1つを割り当てること、
前記ターゲット基地局へのリソースの要求が検出された前記ワイヤレス通信デバイスの数が、前記特定のソース基地局による割り当てに利用可能であるとして識別された一時リソース要求識別子の前記リスト内の一時リソース要求識別子の数を超過している場合、前記ターゲット基地局へのリソースの要求が検出された前記ワイヤレス通信デバイスの各々が割り振りを待っている前記時間長が最大許容可能割り当て遅延を超過しているワイヤレス通信デバイスが存在しない限り、前記特定のソース基地局による割り当てに利用可能であるとして識別された一時リソース要求識別子の前記リスト内の一時リソース要求識別子の数を超える超過分に等しい数の、前記ターゲット基地局へのリソースの要求が検出された前記ワイヤレス通信デバイスへの割り当てを、次の予め設定された通信間隔において行うために持ち越し、前記時間長が最大許容可能割り当て遅延を超過しているワイヤレス通信デバイスが存在するならば、前記ターゲット基地局へのリソースの要求が検出された前記ワイヤレス通信デバイスの各々が割り振りを待っている前記時間長が最大許容可能割り当て遅延を超過している前記ワイヤレス通信デバイスの対応する1つに、一時リソース要求識別子の前記リストから、前記1つまたは複数の一時リソース要求識別子のうちの1つをそれぞれ割り当て、前記ターゲット基地局へのリソースの要求が検出された前記ワイヤレス通信デバイスの各々が割り振りを待っている前記時間長が最大許容可能割り当て遅延を超過しているすべてのワイヤレス通信デバイスに一時リソース要求識別子が割り当てられるまで、前記ソース基地局に割り当てられていない一時リソース要求識別子を順次的に割り当てること、
を備える方法。
【請求項2】
複数の通信時間間隔の1つにおいて、ワイヤレス通信デバイスに、セルラ・ワイヤレス通信サポート・インフラストラクチャのターゲット基地局にアクセスするための一時リソース要求識別子を複数の利用可能な一時リソース要求識別子から割り振るための方法であって、
1つまたは複数のワイヤレス通信デバイスについて前記ターゲット基地局へのリソースの要求を検出すること、
前記複数の一時リソース要求識別子の対応する1つを前記1つまたは複数のワイヤレス通信デバイスの特定の1つに割り振ることであって、前記一時リソース要求識別子の少なくともいくつかが、前記一時リソース要求識別子を前記ターゲット基地局とともに使用できる特定の通信時間間隔に対応する利用制限を含み、前記利用制限が、前記一時リソース要求識別子が前記1つまたは複数のワイヤレス通信デバイスの前記特定の1つによってその間使用できる前記複数の通信時間間隔よりも少数である複数の通信時間間隔のサブセットを定義する、前記複数の一時リソース要求識別子の対応する1つを前記1つまたは複数のワイヤレス通信デバイスの特定の1つに割り振ること、
を備える方法。
【請求項3】
前記複数の通信時間間隔のサブセットが、N個(Nは整数)の通信時間間隔おきに1つの通信時間間隔を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
同じ一時リソース要求識別子が複数のワイヤレス通信デバイスに割り振られ、前記複数のワイヤレス通信デバイスの各々に対する前記利用制限が、前記複数の通信時間間隔の異なるサブセットに対応する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の通信時間間隔のサブセットが、奇数個の通信時間間隔おきに1つの通信時間間隔を含むか、または偶数個の通信時間間隔おきに1つの通信時間間隔を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記1つまたは複数のワイヤレス通信デバイスの前記特定の1つからの前記ターゲット基地局へのリソースの要求が、前記1つまたは複数のワイヤレス通信デバイスの前記特定の1つが現在通信しているソース基地局によって検出され、前記検出された要求が、前記ターゲット基地局に伝達され、
前記ターゲット基地局が、前記ソース基地局を介して前記1つまたは複数のワイヤレス通信デバイスの前記特定の1つに伝達される前記複数の一時リソース要求識別子の対応する1つを割り振る、請求項2に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−257306(P2012−257306A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−178400(P2012−178400)
【出願日】平成24年8月10日(2012.8.10)
【分割の表示】特願2010−528100(P2010−528100)の分割
【原出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(510284071)モトローラ モビリティ エルエルシー (50)
【氏名又は名称原語表記】MOTOROLA MOBILITY LLC
【Fターム(参考)】