説明

ターゲット搬送装置及び液体噴射装置

【課題】ターゲットの搬送量を正確に検出することができるターゲット搬送装置及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】連続紙Sを挟持した状態で連続紙Sに対して上流側から下流側に向けた搬送力を付与する搬送ローラー対18と、搬送ローラー対18によって挟持された連続紙Sに対して連続紙Sの搬送方向の上流側に向けた張力を付与するガイド部材17と、連続紙Sの搬送経路において搬送ローラー対18よりも上流側となる位置に設けられ、ガイド部材17によって張力が付与された連続紙Sの搬送量を非接触に検出する撮像ユニット21とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターゲットを搬送するターゲット搬送装置、及びこのターゲット搬送装置を備えた液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体噴射装置の一種として、液体噴射ヘッドから液体をターゲットに噴射して画像を形成するインクジェット式のプリンターが知られている。こうしたプリンターのうちには、ターゲットの搬送量を検出するためのセンサーを備えたプリンターがある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のプリンターは、そのようなセンサーとして、モーションセンサーを備えている。そして、このモーションセンサーが用紙の表面から反射されるレーザー光を受光し、そのレーザー光に含まれる用紙の表面形状を反映した干渉模様(スペックルパターン)の移動量に基づいて用紙の搬送量が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4096740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のプリンターでは、用紙を挟持して搬送力を付与するローラー対が用紙の搬送経路上に設けられ、このローラー対の近傍にモーションセンサーが設けられている。そのため、ローラー対から繰り出される用紙に歪みが生じた場合には、用紙におけるモーションセンサーの検出対象となる部位が浮き上がるように変形することがあり得る。この場合、モーションセンサーと用紙との距離が変化するため、モーションセンサーが用紙から反射したレーザー光の干渉模様を鮮明に検出することができず、用紙の搬送量を正確に検出することができない虞があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ターゲットの搬送量を正確に検出することができるターゲット搬送装置及び液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のターゲット搬送装置は、ターゲットを挟持した状態で当該ターゲットに対して上流側から下流側に向けた搬送力を付与する搬送手段と、前記搬送手段によって挟持された前記ターゲットに対して前記ターゲットの搬送方向の上流側に向けた張力を付与する張力付与手段と、前記ターゲットの搬送経路において前記搬送手段よりも上流側となる位置に設けられ、前記張力付与手段によって張力が付与された前記ターゲットの搬送量を非接触に検出する搬送量検出手段とを備えた。
【0008】
上記構成によれば、搬送手段によって挟持されたターゲットのうち搬送量検出手段による検出対象となる部位に対して張力付与手段が張力を付与する。したがって、ターゲットと搬送量検出手段との距離が一定に維持されるため、搬送量検出手段によりターゲットの搬送量を正確に検出することができる。
【0009】
また、本発明のターゲット搬送装置において、前記張力付与手段は、前記ターゲットにおける当該張力付与手段よりも上流側となる部位を重力に従って垂れ下げた状態で前記ターゲットを支持する。
【0010】
上記構成によれば、張力付与手段よりもターゲットの上流側部位が重力に従って垂れ下がることにより、搬送手段によって挟持されたターゲットに対してターゲットの自重によって張力を付与することができる。
【0011】
また、本発明のターゲット搬送装置において、前記張力付与手段は、前記ターゲットを支持する面が前記ターゲットの搬送方向において湾曲した湾曲面状をなす。
上記構成によれば、ターゲットにおける搬送手段よりも上流側となる部位は、張力付与手段によって支持される部位がターゲットの搬送方向において湾曲することにより、ターゲットの搬送方向と交差する幅方向での剛性が増強される。そのため、搬送手段がターゲットを挟持して搬送力を付与する際に、ターゲットに対して幅方向に歪みが生じたとしてもターゲットの変形が抑制されるため、搬送量検出手段によりターゲットの搬送量を更に正確に検出することができる。
【0012】
また、本発明のターゲット搬送装置において、前記ターゲットにおける前記搬送量検出手段による検出対象となる部位は、前記搬送経路における前記張力付与手段よりも下流側に位置し、且つ、前記張力付与手段によって支持される部位と同一の高さ又は当該部位よりも上方に位置する。
【0013】
上記構成によれば、ターゲットにおける搬送量検出手段による検出対象となる部位には、搬送手段と張力付与手段との間でターゲットの自重によって張力が付与されている。したがって、ターゲットと搬送量検出手段との距離が一定に維持されるため、搬送量検出手段によりターゲットの搬送量を正確に検出することができる。
【0014】
また、本発明のターゲット搬送装置において、前記搬送量検出手段は、前記ターゲットにおいて前記張力付与手段によって支持される面側から前記ターゲットの搬送量を検出する。
【0015】
上記構成によれば、張力付与手段によって支持されるターゲットの厚みが変化したとしても、ターゲットと搬送量検出手段との距離は変化しない。そのため、搬送量検出手段は、ターゲットの厚みに影響を受けることなく、ターゲットの搬送量を精度良く検出することができる。
【0016】
また、本発明の液体噴射装置は、ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、上記構成のターゲット搬送装置とを備えた。
上記構成によれば、上記ターゲット搬送装置の発明と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る実施形態のプリンターの模式図。
【図2】撮像ユニットの断面図。
【図3】(a)〜(c)は、本発明に係る別の実施形態のプリンターの要部を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を液体噴射装置の一種であるインクジェット式のプリンターに具体化した一実施形態を図1及び図2に従って説明する。
図1に示すように、プリンター11は、長尺状のターゲットとしての連続紙Sを繰り出す繰り出し部13と、繰り出された連続紙Sにインク(液体)を噴射して記録処理を実行する記録部14と、記録部14にて記録処理が実行された連続紙Sを巻き取る巻き取り部15とを備えている。
【0019】
すなわち、図1に示す配置例では、連続紙Sにおける搬送方向の上流側となる後側寄りの位置に繰り出し部13が配設されるとともに、下流側となる前側寄りの位置に巻き取り部15が配設されている。そして、繰り出し部13と巻き取り部15との間となる搬送経路の途中位置に記録部14が配設されている。
【0020】
繰り出し部13には、左右方向(図1の紙面と直交する方向)に延びる巻き軸16が回転可能に設けられている。そして、その巻き軸16には、連続紙Sがあらかじめロール状に巻かれた状態で巻き軸16と一体回転可能に支持されている。すなわち、連続紙Sは、巻き軸16が回転することにより巻き軸16から繰り出されて搬送方向の下流側に搬送される。
【0021】
また、巻き軸16の前方斜め上方には、巻き軸16から上方に向けて繰り出された連続紙Sを後方下側から巻き掛けて前方の記録部14に導くガイド部材17が設けられている。ガイド部材17は、連続紙Sの搬送方向において反重力方向となる上方向に向けて凸となる円弧状に湾曲している。そして、巻き軸16から繰り出された連続紙Sは、ガイド部材17における湾曲方向の外側に位置する外側面17aに対して後方下側から巻き掛けられた状態で、ガイド部材17によって下側から支持されている。なお、連続紙Sにおいてガイド部材17よりも搬送方向の上流側となる部位は、ガイド部材17の外側面17aの下端部から重力に従って下方に垂れ下がっている。そのため、巻き軸16に巻装された連続紙Sの一部は、巻き軸16から巻き解かれて巻き軸16の下方に自重で垂れ下がっている。
【0022】
また、連続紙Sの搬送方向においてガイド部材17よりも下流側となるガイド部材17の前側の位置には、搬送手段としての搬送ローラー対18が設けられている。搬送ローラー対18は、駆動ローラー19と従動ローラー20とにより構成されている。そして、駆動ローラー19と従動ローラー20とにより連続紙Sが挟持された状態で、駆動ローラー19の駆動回転に伴って従動ローラー20が従動回転することで連続紙Sに対して記録部14に向けた搬送力が付与される。また、連続紙Sの搬送経路におけるガイド部材17と搬送ローラー対18との間には、連続紙Sの搬送量を非接触に検出するための搬送量検出手段としての撮像ユニット21が設けられている。すなわち、撮像ユニット21は、連続紙Sの搬送経路において搬送ローラー対18よりも上流側となる位置に設けられている。
【0023】
なお、搬送ローラー対18が連続紙Sを挟持する部位となる、駆動ローラー19の周面の最上部及び従動ローラー20の周面の最下部は、ガイド部材17の外側面17aの上端部とほぼ同一の高さに位置している。そのため、連続紙Sにおける撮像ユニット21の検出対象となる部位は、その紙面が水平面と平行となるようにガイド部材17と搬送ローラー対18との間で水平に配置され、ガイド部材17の外側面17aの上端部とほぼ同一の高さに位置している。
【0024】
記録部14には、連続紙Sを支持可能な支持台22が設けられている。また、記録部14において支持台22と対向する位置には、液体噴射ヘッドとしてのラインヘッドタイプの記録ヘッド23が設けられている。記録ヘッド23の下面はインクを噴射する図示しない複数のノズルが開口するノズル形成面になっている。記録ヘッド23は、水平方向において連続紙Sの搬送方向と直交する方向に延びるとともに、長手方向の長さが連続紙Sの最大紙幅に対応する長さを有している。そして、記録ヘッド23は、搬送ローラー対18によって挟持されて搬送される連続紙Sに対してインクを噴射して記録処理を実行する。
【0025】
また、連続紙Sの搬送方向において記録ヘッド23よりも下流側となる記録ヘッド23の前側の位置には、記録ヘッド23から連続紙Sに噴射されたインクを加熱して定着させるためのヒーター24が設けられている。また、連続紙Sの搬送方向においてヒーター24よりも下流側となる支持台22の前側の位置には、支持台22を挟んでガイド部材17と前後方向で対向する中継ローラー25が設けられている。なお、中継ローラー25の周面の頂部は、ガイド部材17の外側面17aの上端部、及び、支持台22の支持面22aとほぼ同一の高さに位置している。そのため、搬送ローラー対18により上流側から下流側に向けて搬送力を付与された連続紙Sは、支持台22の支持面22aに摺接しつつ下流側となる前側に搬送される。そして、連続紙Sは、中継ローラー25に後方上側から巻き掛けられることにより、連続紙Sの搬送方向が水平方向から前斜め下方に変換されて巻き取り部15に搬送される。
【0026】
巻き取り部15には、中継ローラー25の前方斜め下方に巻き取り軸26が回転駆動可能に設けられている。そして、巻き取り軸26の回転駆動に伴って連続紙Sの搬送方向の下流端となる先端が巻き取り軸26に対して巻き取られる。
【0027】
次に、撮像ユニット21について説明する。
図2に示すように、撮像ユニット21の外装を構成するケース40は、円錐台筒状をなす先端部(上端部)に透光ガラス41が取着されている。この透光ガラス41は、連続紙Sとの間に隙間を介在させた状態で上下に対向しており、連続紙Sに対して接触していない。また、ケース40内には、例えば発光ダイオード(LED)からなる発光部42が設けられている。この発光部42は、透光ガラス41に向かって光を出射可能な角度姿勢でケース40の内壁面に固定されている。また、ケース40内には、発光部42から出射されて透光ガラス41を透過した光が連続紙Sの裏面で反射した後に再び透光ガラス41を透過してケース40内に入射した反射光を集光させる集光レンズ43が設けられている。さらに、ケース40内には、集光レンズ43により集光された連続紙Sの裏面の像が結像される撮像面44aを有する撮像素子44が設けられている。撮像素子44は、例えば2次元イメージセンサーにより構成されている。なお、集光レンズ43は、撮像素子44の撮像面44a上に連続紙Sの裏面の像が結像され得る高さに、保持部材45を介して保持されている。そして、撮像ユニット21は、連続紙Sにおいてガイド部材17によって支持される面側から連続紙Sのテクスチャー(紙面模様)を撮像し、一定の時間間隔で撮像された前後2枚の画像を比較することにより、連続紙Sの単位時間当たりの搬送量を算出する。
【0028】
次に、上記のように構成されたプリンター11の作用について、特に、撮像ユニット21が連続紙Sの搬送量を検出する際の作用に着目して以下説明する。
さて、連続紙Sにおいてガイド部材17よりも搬送方向の上流側となる部位がガイド部材17の外側面17aの下端部から重力に従って下方に垂れ下がっているため、搬送ローラー対18によって挟持された連続紙Sにはその自重によって搬送方向の上流側に向けた張力が作用する。すなわち、本実施形態では、ガイド部材17は、搬送ローラー対18によって挟持された連続紙Sに対して連続紙Sの搬送方向の上流側に向けた張力を作用させる張力付与部材として機能する。そのため、連続紙Sにおいて撮像ユニット21による検出対象となる搬送ローラー対18とガイド部材17との間の部位は、弛みなく張られた状態となる。その結果、連続紙Sから反射される反射光の光軸方向における連続紙Sと撮像素子44の撮像面44aとの距離が維持される。したがって、撮像素子44の撮像面44aには連続紙Sのテクスチャーの画像が鮮明に結像されるため、この撮像素子44の撮像結果によって得られる連続紙Sのテクスチャーの移動量に基づいて連続紙Sの搬送量が正確に検出される。
【0029】
上記実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)搬送ローラー対18によって挟持された連続紙Sのうち撮像ユニット21による検出対象となる部位に対してガイド部材17が張力を付与する。したがって、連続紙Sと撮像ユニット21との距離が一定に維持されるため、撮像ユニット21により連続紙Sの搬送量を正確に検出することができる。
【0030】
(2)連続紙Sにおけるガイド部材17よりも搬送方向の上流側となる部位が重力に従って下方に垂れ下がることにより、搬送ローラー対18によって挟持された連続紙Sに対して連続紙Sの自重によって張力を付与することができる。
【0031】
(3)連続紙Sにおける搬送ローラー対18よりも搬送方向の上流側となる部位は、ガイド部材17によって支持される部位が連続紙Sの搬送方向において湾曲することにより、連続紙Sの搬送方向と交差する幅方向での剛性が増強される。そのため、搬送ローラー対18が連続紙Sを挟持して搬送力を付与する際に、連続紙Sに対して幅方向に歪みが生じたとしても連続紙Sの変形が抑制されるため、撮像ユニット21により連続紙Sの搬送量を更に正確に検出することができる。
【0032】
(4)連続紙Sにおける撮像ユニット21による検出対象となる部位は、連続紙Sの搬送方向におけるガイド部材17よりも下流側に位置し、且つ、ガイド部材17によって支持される部位とほぼ同一の高さに位置している。そのため、連続紙Sにおいて撮像ユニット21による検出対象となる搬送ローラー対18とガイド部材17との間の部位には、連続紙Sの自重によって張力が作用する。したがって、連続紙Sと撮像ユニット21との距離が一定に維持されるため、撮像ユニット21により連続紙Sの搬送量を正確に検出することができる。
【0033】
(5)撮像ユニット21は、連続紙Sにおいてガイド部材17によって支持される面側から連続紙Sの搬送量を検出する。そのため、ガイド部材17によって支持される連続紙Sの厚みが変化したとしても、連続紙Sと撮像ユニット21との距離は変化しない。したがって、撮像ユニット21は、連続紙Sの厚みに影響を受けることなく、連続紙Sの搬送量を精度良く検出することができる。
【0034】
(6)連続紙Sにおいて撮像ユニット21による検出対象となる部位は、連続紙Sの搬送方向において搬送ローラー対18を挟んで記録ヘッド23とは反対側に位置している。そのため、連続紙Sが記録ヘッド23から噴射されたインクを吸収して膨潤することにより伸びを生じたとしても、連続紙Sにおいて撮像ユニット21による検出対象となる部位は弛みなく張られた状態が維持される。したがって、連続紙Sと撮像ユニット21との距離が一定に維持されるため、撮像ユニット21により連続紙Sの搬送量を精度良く検出することができる。
【0035】
(7)連続紙Sにおいて撮像ユニット21による検出対象となる部位は、連続紙Sの搬送方向において搬送ローラー対18を挟んでヒーター24とは反対側に位置している。そのため、連続紙Sがヒーター24から熱が加わることにより伸びを生じたとしても、連続紙Sにおいて撮像ユニット21による検出対象となる部位は弛みなく張られた状態が維持される。したがって、連続紙Sと撮像ユニット21との距離が一定に維持されるため、撮像ユニット21により連続紙Sの搬送量を精度良く検出することができる。
【0036】
なお、上記実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態において、撮像ユニット21は、連続紙Sにおいてガイド部材17によって支持される面とは反対の面側から連続紙Sの搬送量を検出するようにしてもよい。
【0037】
・上記実施形態において、ガイド部材17を搬送ローラー対18よりも下方に配置すると共に、連続紙Sにおいて撮像ユニット21による検出対象となる部位としてガイド部材17よりも上方に位置する部位を設定してもよい。
【0038】
・上記実施形態において、図3(a)に示すように、ガイド部材17の外側面17aの最上部に撮像ユニット21を埋設し、ガイド部材17及び撮像ユニット21を連続紙Sの搬送方向において重畳するように配置してもよい。
【0039】
・上記実施形態において、ガイド部材17の外側面17aは、重力方向となる下方向に凸となる湾曲した形状をなしてもよい。
・上記実施形態において、ガイド部材17の外側面17aは、必ずしも湾曲面状をなす必要はない。例えば、図3(b)に示すように、ガイド部材17を矩形板状に構成し、その平面状をなす上面17bに対して巻き軸16から繰り出された連続紙Sを上側から巻き掛けるようにしてもよい。この構成では、連続紙Sにおいてガイド部材17よりも搬送方向の上流側となる部位は、ガイド部材17の上面17bの後端部から重力に従って下方に垂れ下がる。そのため、搬送ローラー対18によって挟持された連続紙Sには、連続紙Sの自重に従って搬送方向の上流側に向けての張力が作用する。
【0040】
・上記実施形態において、図3(c)に示すように、ガイド部材17に代えて、巻き軸16から繰り出された連続紙Sを巻き掛ける中継ローラー50を設けてもよい。この構成では、連続紙Sにおいて中継ローラー50よりも搬送方向の上流側となる部位が重力に従って下方に垂れ下がる。そのため、搬送ローラー対18によって挟持された連続紙Sには、連続紙Sの自重に従って搬送方向の上流側に向けての張力が作用する。
【0041】
・上記実施形態において、連続紙Sを巻き取る方向に巻き軸16を回転駆動させることにより、連続紙Sに対して搬送方向の上流側に向けての張力を作用させるようにしてもよい。また、巻き軸16に対して回動抵抗を付与することにより、連続紙Sに対して搬送方向の上流側に向けての張力を作用させるようにしてもよい。さらに、連続紙Sの搬送経路上における巻き軸16と搬送ローラー対18との間に、連続紙Sに摺接して摩擦力を付与する摩擦板を設けることにより、連続紙Sに対して搬送方向の上流側に向けての張力を作用させるようにしてもよい。
【0042】
・上記実施形態において、連続紙Sの搬送量を非接触に検出する搬送量検出手段は、光学式のセンサーに限定されず、例えば、連続紙Sに対して音波を入射し、連続紙Sから反射された音波の周波数変化に基づいて連続紙Sの搬送量(搬送速度)を検出する音波式のセンサーであってもよい。
【0043】
・上記実施形態において、連続紙Sを挟持して搬送力を付与する搬送手段は、一対のローラーに限定されず、例えば、連続紙Sを支持した状態で周回移動する無端状の搬送ベルトと、この搬送ベルトとの間で連続紙Sを挟持した状態で従動回転する従動ローラーとによって構成してもよい。
【0044】
・上記実施形態において、ターゲットは、ロール状に巻かれた長尺状のターゲットに限定されず、単票状のターゲットを採用してもよい。
・上記実施形態において、ターゲットの材質は紙に限定されず、布や樹脂フィルム、樹脂シート、金属シートなどを採用してもよい。
【0045】
・上記実施形態において、プリンター11として、シリアル方式又はラテラル方式のプリンターに具体化してもよい。
・上記実施形態において、液体噴射装置をインクジェット式のプリンター11に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置に具体化してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【0046】
・上記実施形態において、ターゲット搬送装置は、ターゲットに対して記録処理を実行する記録装置に備えられるものに限らず、ターゲットに対して任意の処理を行う各種処理装置に備えられるターゲット搬送装置としてもよい。
【符号の説明】
【0047】
11…液体噴射装置としてのプリンター、17…張力付与手段としてのガイド部材、18…搬送手段としての搬送ローラー対、21…搬送量検出手段としての撮像ユニット、23…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、S…ターゲットとしての連続紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットを挟持した状態で当該ターゲットに対して上流側から下流側に向けた搬送力を付与する搬送手段と、
前記搬送手段によって挟持された前記ターゲットに対して前記ターゲットの搬送方向の上流側に向けた張力を付与する張力付与手段と、
前記ターゲットの搬送経路において前記搬送手段よりも上流側となる位置に設けられ、前記張力付与手段によって張力が付与された前記ターゲットの搬送量を非接触に検出する搬送量検出手段と
を備えたことを特徴とするターゲット搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のターゲット搬送装置において、
前記張力付与手段は、前記ターゲットにおける当該張力付与手段よりも上流側となる部位を重力に従って垂れ下げた状態で前記ターゲットを支持することを特徴とするターゲット搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載のターゲット搬送装置において、
前記張力付与手段は、前記ターゲットを支持する面が前記ターゲットの搬送方向において湾曲した湾曲面状をなすことを特徴とするターゲット搬送装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のターゲット搬送装置において、
前記ターゲットにおける前記搬送量検出手段による検出対象となる部位は、前記搬送経路における前記張力付与手段よりも下流側に位置し、且つ、前記張力付与手段によって支持される部位と同一の高さ又は当該部位よりも上方に位置することを特徴とするターゲット搬送装置。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のうち何れか一項に記載のターゲット搬送装置において、
前記搬送量検出手段は、前記ターゲットにおいて前記張力付与手段によって支持される面側から前記ターゲットの搬送量を検出することを特徴とするターゲット搬送装置。
【請求項6】
ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載のターゲット搬送装置と
を備えたことを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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