説明

ターゲット搬送装置及び液体噴射装置

【課題】ターゲットの蛇行を抑制しつつ、ターゲットの搬送量を精度良く検出することができるターゲット搬送装置及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】連続紙Sの搬送方向と交差する幅方向において離間配置された複数の分割ローラー体21を有し、当該分割ローラー体21が連続紙Sを挟持して搬送力を付与する搬送ローラー対と、連続紙Sの幅方向において分割ローラー体21によって挟持される被挟持部分とその搬送方向において対応する位置に配置され、搬送ローラー対によって搬送される連続紙Sの搬送量を非接触に検出する撮像ユニット30とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターゲットを搬送するターゲット搬送装置、及びこのターゲット搬送装置を備えた液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体噴射装置の一種として、液体噴射ヘッドから液体をターゲットに噴射して画像を形成するインクジェット式のプリンターが知られている。例えば、特許文献1に記載のプリンターは、用紙(ターゲット)を挟持した状態で用紙に対して搬送力を付与する搬送ローラー対が用紙の搬送経路上に設けられている。この搬送ローラー対は、搬送駆動ローラーと搬送従動ローラーとから構成され、搬送従動ローラーを用紙の幅方向に離間配置した複数の分割ローラー体で構成することにより、搬送ローラー対から繰り出される用紙が幅方向に蛇行することを抑制している。
【0003】
また、近年では、こうした搬送ローラー対によるターゲットの搬送量を監視するためのセンサーを設けたプリンターが提案されている。例えば、特許文献2に記載のプリンターには、そのようなセンサーとして、記録用紙(ターゲット)の表面の画像を連続的に撮影する撮影装置が設けられている。そして、このプリンターでは、撮影装置から得られる画像に含まれる記録用紙の表面の起伏に応じた特定の画像パターンの移動量に基づいて、搬送駆動ローラーと搬送従動ローラーとの間に挟持されて搬送力が付与された記録用紙の搬送量が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−271293号公報
【特許文献2】特開2007−217176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2に記載のプリンターにおいて、記録用紙が幅方向に蛇行することを抑制するために、搬送従動ローラーを記録用紙の幅方向に離間配置された複数の分割ローラー体で構成したとする。この場合、記録用紙が記録ヘッド(液体噴射ヘッド)から噴射されたインク(液体)を吸収して膨潤すると、記録用紙は、幅方向で隣り合う分割ローラー体の間に対応する部分が搬送駆動ローラーと搬送従動ローラーとによって挟持されていないために局所的に変形する。その結果、撮影装置と記録用紙との間の距離が変化するため、撮影装置が記録用紙の表面の起伏を鮮明に撮影することができず、記録用紙の搬送量を正確に検出することができない虞があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ターゲットの蛇行を抑制しつつ、ターゲットの搬送量を精度良く検出することができるターゲット搬送装置及び液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のターゲット搬送装置は、ターゲットの搬送方向と交差する幅方向において離間配置された複数の挟持部を有し、当該挟持部が前記ターゲットを挟持して搬送力を付与する搬送手段と、前記ターゲットの前記幅方向において前記挟持部によって挟持される被挟持部分とその搬送方向において対応する位置に配置され、前記搬送手段によって搬送される前記ターゲットの搬送量を非接触に検出する搬送量検出手段とを備えた。
【0008】
上記構成によれば、搬送手段からターゲットに対して搬送力が付与された際に、ターゲットに対して幅方向に歪みが生じたとしても、ターゲットは、その幅方向において挟持部によって挟持される被挟持部分とその搬送方向において対応する領域部分が変形することはほとんどない。そのため、その領域部分を検出対象としている搬送量検出手段とターゲットとの距離が変化することはほとんどない。したがって、ターゲットの幅方向に離間配置された複数の挟持部により、ターゲットが幅方向に蛇行することを抑制しつつ、ターゲットの被挟持部分と搬送方向で対応する領域部分が通過する位置に配置された搬送量検出手段により、ターゲットの搬送量を精度良く検出することができる。
【0009】
また、本発明のターゲット搬送装置において、前記搬送量検出手段は、前記搬送手段よりも前記ターゲットの搬送方向の下流側に配置される。
上記構成によれば、搬送量検出手段は、搬送手段が搬送するターゲットのうち、その幅方向において挟持部によって挟持される被挟持部分とその搬送方向において対応する領域部分を検出対象としている。そのため、搬送手段が搬送するターゲットと搬送量検出手段との距離が変化することがほとんどないため、搬送量検出手段がターゲットの搬送量を精度良く検出することができる。
【0010】
また、本発明のターゲット搬送装置は、前記搬送手段によって搬送される前記ターゲットを支持する支持部材を更に備え、前記搬送量検出手段は、前記ターゲットにおいて前記支持部材によって支持される面側から前記ターゲットの搬送量を検出する。
【0011】
上記構成によれば、支持部材によって支持されるターゲットの厚みが変化したとしても、ターゲットと搬送量検出手段との距離は変化しない。そのため、ターゲットの厚みに影響を受けることなく、ターゲットの搬送量を精度良く検出することができる。
【0012】
また、本発明のターゲット搬送装置において、前記搬送量検出手段は、前記ターゲットの前記幅方向における前記被挟持部分の中央部分とその搬送方向において対応する位置に配置される。
【0013】
上記構成によれば、搬送手段からターゲットに対して搬送力が付与された際に、ターゲットに対して幅方向に歪みが生じたとしても、ターゲットは、特に、その幅方向において挟持部によって挟持される被挟持部分の中央部分とその搬送方向において対応する領域部分が変形することが確実に抑制される。そのため、その領域部分を検出対象としている搬送量検出手段とターゲットとの距離が変化することがより確実に抑制されることにより、搬送量検出手段がターゲットの搬送量をより精度良く検出することができる。
【0014】
また、本発明の液体噴射装置は、ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、上記構成のターゲット搬送装置とを備えた。
上記構成によれば、上記ターゲット搬送装置の発明と同様の効果が得られる。
【0015】
また、本発明の液体噴射装置において、前記液体噴射ヘッドは、前記ターゲットの搬送方向において前記搬送手段よりも下流側に設けられ、前記搬送手段によって挟持された前記ターゲットに対して液体を噴射する。
【0016】
上記構成によれば、ターゲットが液体噴射ヘッドから噴射された液体を吸収して伸びを生じたとしても、ターゲットは、その幅方向において挟持部によって挟持される被挟持部分とその搬送方向において対応する領域部分が変形することがほとんどない。そのため、その領域部分を検出対象としている搬送量検出手段とターゲットとの距離はほとんど変化しないため、搬送量検出手段がターゲットの搬送量を精度良く検出することができる。
【0017】
また、本発明の液体噴射装置は、前記液体噴射ヘッドから前記ターゲットに噴射された前記液体を加熱して定着させる加熱手段を更に備えた。
上記構成によれば、ターゲットが加熱手段によって加熱されて伸びを生じたとしても、ターゲットは、幅方向において挟持部によって挟持される被挟持部分とその搬送方向において対応する領域部分が変形することがほとんどない。そのため、その領域部分を検出対象としている搬送量検出手段とターゲットとの距離はほとんど変化しないため、搬送量検出手段がターゲットの搬送量を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る実施形態のプリンターの模式図。
【図2】記録部の平面図。
【図3】撮像ユニットの断面図。
【図4】連続紙に撓み部が形成された状態の記録部を示す図面であって、(a)は平面図、(b)は連続紙の搬送方向の下流側から見た正面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を液体噴射装置の一種であるインクジェット式のプリンターに具体化した一実施形態を図1〜図4に従って説明する。
図1に示すように、プリンター11は、長尺状のターゲットとしての連続紙Sを繰り出す繰り出し部13と、繰り出された連続紙Sにインク(液体)を噴射して記録処理を実行する記録部14と、記録部14にて記録処理が実行された連続紙Sを巻き取る巻き取り部15とを備えている。
【0020】
すなわち、連続紙Sにおける搬送方向の上流側となる後側寄りの位置に繰り出し部13が配設されるとともに、下流側となる前側寄りの位置に巻き取り部15が配設されている。そして、繰り出し部13と巻き取り部15との間となる搬送経路の途中位置に記録部14が配設されている。
【0021】
繰り出し部13には、左右方向(紙面と直交する方向)に延びる巻き軸16が回転可能に設けられている。そして、その巻き軸16には、連続紙Sがあらかじめロール状に巻かれた状態で巻き軸16と一体回転可能に支持されている。すなわち、連続紙Sは、巻き軸16が回転することにより巻き軸16から繰り出されて搬送方向の下流側に搬送される。
【0022】
また、巻き軸16の前方斜め上方には、巻き軸16から繰り出された連続紙Sを巻き掛けて記録部14に導く第1中継ローラー17が左右方向に延びた状態で回転可能に設けられている。そして、第1中継ローラー17に対して巻き軸16から繰り出された連続紙Sを後側下方から巻き掛けることにより、連続紙Sの搬送方向が水平方向に変換されている。
【0023】
また、連続紙Sの搬送方向において第1中継ローラー17よりも下流側となる第1中継ローラー17の前側の位置には、搬送手段としての搬送ローラー対18が設けられている。搬送ローラー対18は、駆動ローラー19と従動ローラー20とにより構成されている。図2に示すように、駆動ローラー19は、連続紙Sの幅方向の全域に亘って延びている。一方で、従動ローラー20は、駆動ローラー19と平行に連続紙Sの幅方向となる左右方向に延びており、同方向において離間配置された複数(本実施形態では5つ)の挟持部としての分割ローラー体21によって構成されている。なお、これらの分割ローラー体21は、連続紙Sの幅方向となる左右方向に等間隔に配置されている。そして、駆動ローラー19と分割ローラー体21とにより連続紙Sが狭持された状態で、駆動ローラー19の駆動回転に伴って分割ローラー体21が従動回転することで連続紙Sに対して記録部14に向けた搬送力が付与される。
【0024】
図1に示すように、記録部14には、連続紙Sを支持可能な支持部材としての支持台22が設けられている。支持台22は、上側が開口した有底略箱体状をなす本体部23と、該本体部23の上側の開口を閉塞する矩形板状をなす支持板24とによって構成されている。支持板24には、支持板24の厚み方向となる上下方向に貫通する多数の吸引孔25が形成されている。また、本体部23の下面中央部には開口部26が設けられると共に、この開口部26を塞ぐように吸引ファン27が設けられている。また、本体部23の内側には、平面視で支持板24と対応する矩形板状をなす加熱手段としてのヒーター28が設けられている。ヒーター28は、支持板24に対して支持面24aの裏面側(下側)から接触している。そして、ヒーター28は、図示しない電源から電流が供給されることによって発熱し、支持板24の支持面24a全体をほぼ均一に加熱する。したがって、ヒーター28からの熱は支持板24を介して連続紙Sに伝わる。
【0025】
また、ヒーター28における支持板24の吸引孔25と対応する位置には、ヒーター28を上下方向に貫通する貫通孔29が形成されている。そして、吸引ファン27が駆動すると、開口部26を介して本体部23内が吸引されて貫通孔29内及び吸引孔25内に負圧が発生し、この負圧の発生により支持板24の支持面24aに連続紙Sが吸着される。なお、支持板24の支持面24aには、連続紙Sの搬送量を非接触に検出するための搬送量検出手段としての撮像ユニット30が埋設されている。すなわち、撮像ユニット30は、搬送ローラー対18よりも連続紙Sの搬送方向の下流側に配置されている。
【0026】
また、記録部14において支持台22と対向する位置には、液体噴射ヘッドとしてのラインヘッドタイプの記録ヘッド31が設けられている。記録ヘッド31の下面はインクを噴射する図示しない複数のノズルが開口するノズル形成面になっている。記録ヘッド31は、水平方向において連続紙Sの搬送方向と直交する方向に延びるとともに、長手方向の長さが連続紙Sの最大紙幅に対応する長さを有している。そして、記録ヘッド31は、搬送ローラー対18によって挟持されて搬送される連続紙Sに対してインクを噴射して記録処理を実行する。
【0027】
また、支持台22の前側には、該支持台22を挟んで第1中継ローラー17と前後に対向する第2中継ローラー32が第1中継ローラー17と平行に延びるように設けられている。第1中継ローラー17及び第2中継ローラー32は、各々の周面の頂部が支持板24の支持面24aと同一の高さに位置している。そのため、連続紙Sは、支持板24の支持面24aに摺接しつつ下流側となる前側に搬送される。そして、連続紙Sは、第2中継ローラー32に前側上方から巻き掛けられることにより、連続紙Sの搬送方向が水平方向から前斜め下方に変換されて巻き取り部15に搬送される。
【0028】
巻き取り部15には、第2中継ローラー32の前方斜め下方に巻き取り軸33が回転駆動可能に設けられている。そして、巻き取り軸33の回転駆動に伴って連続紙Sの搬送方向の下流端となる先端が巻き取り軸33に対して巻き取られる。
【0029】
次に、撮像ユニット30について説明する。
図3に示すように、撮像ユニット30の外装を構成するケース40は、円錐台筒状をなす先端部(上端部)に透光ガラス41が取着されている。そして、撮像ユニット30は、透光ガラス41が支持板24の支持面24aに形成された孔24bに嵌め込まれた状態で支持台22に組み付けられている。なお、透光ガラス41の上面は支持板24の支持面24aよりも下方に位置しているため、透光ガラス41は支持板24の支持面24a上に位置する連続紙Sに対して接触していない。
【0030】
ケース40内には、例えば発光ダイオード(LED)からなる発光部42が設けられている。この発光部42は、透光ガラス41に向かって光を出射可能な角度姿勢でケース40の内壁面に固定されている。また、ケース40内には、発光部42から出射されて透光ガラス41を透過した光が連続紙Sの裏面で反射した後に再び透光ガラス41を透過してケース40内に入射した反射光を集光させる集光レンズ43が設けられている。さらに、ケース40内には、集光レンズ43により集光された連続紙Sの裏面の像が結像される撮像面44aを有する撮像素子44が設けられている。撮像素子44は、例えば2次元イメージセンサーにより構成されている。なお、集光レンズ43は、撮像素子44の撮像面44a上に連続紙Sの裏面の像が結像され得る高さに、保持部材45を介して保持されている。そして、撮像ユニット30は、連続紙Sにおいて支持板24によって支持される面側から連続紙Sのテクスチャー(紙面模様)を撮像し、一定の時間間隔で撮像された前後2枚の画像を比較することにより、連続紙Sの単位時間当たりの搬送量を算出する。
【0031】
なお、図2に示すように、透光ガラス41は、支持板24の支持面24aにおける連続紙Sの幅方向の中央位置に設けられている。そして、透光ガラス41は、従動ローラー20を構成する分割ローラー体21のうち、中央に位置する分割ローラー体21に対して連続紙Sの搬送方向において対応する位置に配置されている。より具体的には、透光ガラス41は、分割ローラー体21における軸線方向の中央部分に対して連続紙Sの搬送方向において対応する位置に配置されている。すなわち、透光ガラス41は、連続紙Sの幅方向において分割ローラー体21によって挟持される被挟持部分の中央部分とその搬送方向において対応する位置に配置されている。
【0032】
次に、上記のように構成されたプリンター11の作用について、特に、撮像ユニット30が連続紙Sの搬送量を検出する際の作用に着目して説明する。
さて、支持板24の支持面24a上に載置された連続紙Sに対して記録ヘッド31からインクが噴射されると、連続紙Sはインクを吸収して膨潤することにより伸びを生じる。また、支持板24の支持面24a上に載置された連続紙Sは、記録ヘッド31から噴射されたインクを加熱して定着させるためにヒーター28から熱が加わることによっても伸びを生じる。この場合、連続紙Sは、吸引ファン27によって支持板24の支持面24a上に吸着されているため幅方向の両側に拡がり難くなっている。そのため、連続紙Sは、支持板24の支持面24aから浮き上がる方向に変形しようとする。
【0033】
ここで、連続紙Sは、その幅方向において駆動ローラー19と従動ローラー20とによって挟持される部分とその搬送方向において対応する部分については、連続紙Sの伸びに伴って支持板24の支持面24aから浮き上がる方向に変形することが規制される。一方で、連続紙Sは、その幅方向において駆動ローラー19と従動ローラー20とによって挟持されない部分とその搬送方向において対応する部分については、連続紙Sの伸びに伴って支持板24の支持面24aから浮き上がる方向に変形することが許容される。その結果、図4(a)及び図4(b)に示すように、連続紙Sは、その幅方向において隣り合う分割ローラー体21間に対応する部分については、支持板24の支持面24aから浮き上がる方向に撓み変形するため、同部分には連続紙Sの搬送方向に延びる撓み部50が形成される。
【0034】
この点、本実施形態では、撮像ユニット30は、連続紙Sに対して入射させる光が透過する透光ガラス41が、分割ローラー体21の中央部分に対して連続紙Sの搬送方向において対応する位置に設けられている。そのため、撮像ユニット30による連続紙Sの検出部位が、連続紙Sの伸びに伴って透光ガラス41から遠ざかる方向に変形することはほとんどない。その結果、撮像ユニット30は、連続紙Sが伸びを生じたとしても、連続紙Sから反射される反射光の光軸方向における連続紙Sと撮像素子44の撮像面44aとの距離が維持される。したがって、撮像素子44の撮像面44aには連続紙Sのテクスチャーの画像が鮮明に結像されるため、この撮像素子44の撮像結果によって得られる連続紙Sのテクスチャーの移動量に基づいて連続紙Sの搬送量が正確に検出される。
【0035】
上記実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)搬送ローラー対18から連続紙Sに対して搬送力が付与された際に、連続紙Sに対して幅方向に歪みが生じたとしても、連続紙Sは、その幅方向において搬送ローラー対18によって挟持される被挟持部分とその搬送方向において対応する領域部分が変形することはほとんどない。そのため、その領域部分を検出対象としている撮像ユニット30と連続紙Sとの距離が変化することはほとんどない。したがって、搬送ローラー対18は、連続紙Sの幅方向に離間配置された複数の分割ローラー体21により、連続紙Sが幅方向に蛇行することを抑制しつつ、連続紙Sの被挟持部分と搬送方向で対応する領域部分に配置された撮像ユニット30により、連続紙Sの搬送量を精度良く検出することができる。
【0036】
(2)撮像ユニット30は、連続紙Sにおいて支持板24によって支持される面側から連続紙Sの搬送量を検出する。そのため、支持板24によって支持される連続紙Sの厚みが変化したとしても、連続紙Sと撮像ユニット30との距離は変化しない。そのため、撮像ユニット30は、連続紙Sの厚みに影響を受けることなく、連続紙Sの搬送量を精度良く検出することができる。
【0037】
(3)搬送ローラー対18から連続紙Sに対して搬送力が付与された際に、連続紙Sに対して幅方向に歪みが生じたとしても、連続紙Sは、特に、その幅方向において分割ローラー体21の中央部分とその搬送方向において対応する領域部分が変形することが確実に抑制される。そのため、その領域部分を検出対象としている撮像ユニット30と連続紙Sとの距離が変化することがより確実に抑制されることにより、撮像ユニット30が連続紙Sの搬送量をより精度良く検出することができる。
【0038】
(4)連続紙Sが記録ヘッド31から噴射されたインクを吸収して伸びを生じたとしても、連続紙Sは、その幅方向において搬送ローラー対18によって挟持された被挟持部分とその搬送方向において対応する領域部分が変形することがほとんどない。そのため、その領域部分を検出対象としている撮像ユニット30と連続紙Sとの距離はほとんど変化しないため、撮像ユニット30が連続紙Sの搬送量を精度良く検出することができる。
【0039】
(5)連続紙Sがヒーター28によって加熱されて伸びを生じたとしても、連続紙Sは、幅方向において搬送ローラー対18によって挟持された被挟持部分とその搬送方向において対応する領域部分が変形することがほとんどない。そのため、その領域部分を検出対象としている撮像ユニット30と連続紙Sとの距離はほとんど変化しないため、撮像ユニット30が連続紙Sの搬送量を精度良く検出することができる。
【0040】
(6)透光ガラス41は、連続紙Sの幅方向において搬送ローラー対18によって挟持された被挟持部分とその搬送方向において対応する領域部分に配置されている。そのため、連続紙Sにおいて透光ガラス41の鉛直上方に位置する部分は、連続紙Sが伸びを生じたとしても、支持板24の支持面24aから浮き上がる方向に変形することがほとんどない。すなわち、透光ガラス41の上面は、連続紙Sが伸びを生じたとしても、連続紙Sによって上側から被覆された状態が維持される。その結果、記録ヘッド31から噴射されたインクの一部がインクミストとして支持板24の支持面24aの上方に滞留した場合に、こうしたインクミストが透光ガラス41に付着することを抑制できる。
【0041】
なお、上記実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態において、連続紙Sに噴射されたインクを加熱して定着させるヒーターを支持台22よりも連続紙Sの搬送方向の下流側に設けてもよい。また、連続紙Sに噴射されたインクを加熱して定着させるヒーターを省略した構成としてもよい。
【0042】
・上記実施形態において、撮像ユニット30による連続紙Sの検出部位は、連続紙Sの幅方向において分割ローラー体21によって挟持される被挟持部分とその搬送方向において対応する部位であれば、連続紙Sの幅方向において分割ローラー体21の中央部分から外れた部分とその搬送方向において対応する部位としてもよい。
【0043】
・上記実施形態において、撮像ユニット30は、連続紙Sの搬送経路上における支持台22よりも上流側又は下流側となる位置に設けてもよい。また、撮像ユニット30は、連続紙Sにおいて支持台22によって支持される面とは反対の面側から連続紙Sの搬送量を検出するようにしてもよい。
【0044】
・上記実施形態において、撮像ユニット30は、連続紙Sの搬送経路上における搬送ローラー対18よりも上流側に配置してもよい。
・上記実施形態において、連続紙Sの搬送量を非接触に検出する搬送量検出手段は、光学式のセンサーに限定されず、例えば、連続紙Sに対して音波を入射し、連続紙Sから反射された音波の周波数変化に基づいて連続紙Sの搬送量(搬送速度)を検出する音波式のセンサーを採用してもよい。
【0045】
・上記実施形態において、連続紙Sを挟持して搬送力を付与する搬送手段は、一対のローラーに限定されず、例えば、連続紙Sを支持した状態で周回移動する無端状の搬送ベルトと、この搬送ベルトとの間で連続紙Sを挟持した状態で従動回転する従動ローラーとによって構成してもよい。
【0046】
・上記実施形態において、ターゲットは、ロール状に巻かれた長尺状のターゲットに限定されず、単票状のターゲットを採用してもよい。
・上記実施形態において、ターゲットの材質は紙に限定されず、布や樹脂フィルム、樹脂シート、金属シートなどを採用してもよい。
【0047】
・上記実施形態において、プリンター11として、シリアル方式又はラテラル方式のプリンターを採用してもよい。
・上記実施形態において、液体噴射装置をインクジェット式のプリンター11に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置に具体化してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【0048】
・上記実施形態において、ターゲット搬送装置は、ターゲットに対して記録処理を実行する記録装置に備えられるものに限らず、ターゲットに対して任意の処理を行う各種処理装置に備えられるターゲット搬送装置としてもよい。
【符号の説明】
【0049】
11…液体噴射装置としてのプリンター、18…搬送手段としての搬送ローラー対、21…挟持部としての分割ローラー体、22…支持部材としての支持台、28…加熱手段としてのヒーター、30…搬送量検出手段としての撮像ユニット、31…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、S…ターゲットとしての連続紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットの搬送方向と交差する幅方向において離間配置された複数の挟持部を有し、当該挟持部が前記ターゲットを挟持して搬送力を付与する搬送手段と、
前記ターゲットの前記幅方向において前記挟持部によって挟持される被挟持部分とその搬送方向において対応する位置に配置され、前記搬送手段によって搬送される前記ターゲットの搬送量を非接触に検出する搬送量検出手段と
を備えたことを特徴とするターゲット搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のターゲット搬送装置において、
前記搬送量検出手段は、前記搬送手段よりも前記ターゲットの搬送方向の下流側に配置されることを特徴とするターゲット搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のターゲット搬送装置において、
前記搬送手段によって搬送される前記ターゲットを支持する支持部材を更に備え、
前記搬送量検出手段は、前記ターゲットにおいて前記支持部材によって支持される面側から前記ターゲットの搬送量を検出することを特徴とするターゲット搬送装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のターゲット搬送装置において、
前記搬送量検出手段は、前記ターゲットの前記幅方向における前記被挟持部分の中央部分とその搬送方向において対応する位置に配置されることを特徴とするターゲット搬送装置。
【請求項5】
ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のターゲット搬送装置と
を備えたことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液体噴射装置において、
前記液体噴射ヘッドは、前記ターゲットの搬送方向において前記搬送手段よりも下流側に設けられ、前記搬送手段によって挟持された前記ターゲットに対して液体を噴射することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液体噴射装置において、
前記液体噴射ヘッドから前記ターゲットに噴射された前記液体を加熱して定着させる加熱手段を更に備えたことを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−107351(P2013−107351A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255860(P2011−255860)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】