説明

タービンの支持構造及びガスタービン

【課題】タービンの支持構造及びガスタービンにおいて、タービン本体に作用する曲げ応力や熱応力を低減することで耐久性の向上を図る。
【解決手段】円筒形状をなすタービン本体としての排気室14の外周側にリング形状をなす外殻部材71を配置し、排気室14と外殻部材71とを熱伸びを吸収可能な複数の短冊形状をなす排気ダクトサポート33により連結し、外殻部材71に排気室14を建屋に設置するための排気室脚部92を連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、圧縮した高温・高圧の空気に対して燃料を供給して燃焼し、発生した燃焼ガスをタービンに供給して回転動力を得るガスタービンにおいて、床面にタービンを設置するためのタービンの支持構造、並びに、このタービンの支持構造が適用されるガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、圧縮機と燃焼器とタービンにより構成されており、空気取入口から取り込まれた空気が圧縮機によって圧縮されることで高温・高圧の圧縮空気となり、燃焼器にて、この圧縮空気に対して燃料を供給して燃焼させ、高温・高圧の燃焼ガスがタービンを駆動し、このタービンに連結された発電機を駆動する。この場合、タービンは、車室内に複数の静翼及び動翼が交互に配設されて構成されており、燃焼ガスにより動翼を駆動することで発電機の連結される出力軸を回転駆動している。そして、タービンを駆動した燃焼ガスは、排気車室のディフューザにより静圧に変換されてから大気に放出される。
【0003】
このように構成されたガスタービンは、静翼及び動翼が収容される排気車室と排気室と排気ダクトがそれぞれ円筒形状をなして連結されて構成されており、複数の脚部をもって建屋内の床面に設置されている。この排気車室、排気室、排気ダクトは、外側ケーシングと内側ケーシングがストラットにより連結されることで、二重の円筒形状をなし、外側ケーシングと内側ケーシングの間の空間部が排気ガスの通路となっている。そして、この外側ケーシングの両側にそれぞれ脚部が連結され、この複数の脚部により排気車室、排気室、排気ダクトが床面に設置されることとなる。
【0004】
このタービンの支持構造としては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【0005】
【特許文献1】特開平07−293277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来のタービンの支持構造では、排気車室、排気室、排気ダクトにおける外側ケーシングの両側にそれぞれ脚部を連結し、この複数の脚部により排気車室、排気室、排気ダクトを床面に設置している。排気車室、排気室、排気ダクトは、重量物であることから、外側ケーシングにおける脚部の取付部に曲げ応力が作用し、変形などを招くおそれがある。そのため、この外側ケーシングの外周面に周方向に沿ってリブを設け、このリブを介して脚部を連結している。
【0007】
ところが、タービンの稼動時には、排気車室、排気室、排気ダクトにおける外側ケーシングが排気ガスにより高温となり、熱伸びが発生する。すると、この外側ケーシングは、リブにより強度を上げた部分とその他の部分とで熱伸び量が異なり、ここに熱応力が発生し、変形や破損等が発生するおそれがある。
【0008】
本発明は上述した課題を解決するものであり、タービン本体に作用する曲げ応力や熱応力を低減することで耐久性の向上を図るタービンの支持構造及びガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための請求項1の発明のタービンの支持構造は、円筒形状をなすタービン本体と、該タービン本体に対してその外周側に配置されるリング形状をなす外殻部材とが、熱伸びを吸収可能なサポート部材により連結され、前記外殻部材に前記タービン本体を設置するための脚部が連結されることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2の発明のタービンの支持構造では、前記タービン本体は、燃焼ガスが流動する排気室を有し、該排気室と前記外殻部材とが前記サポート部材により連結されると共に、前記外殻部材に排気ダクトが連結されることを特徴としている。
【0011】
請求項3の発明のタービンの支持構造では、前記外殻部材と前記排気ダクトとの間に高温伸縮継手が介装されることを特徴としている。
【0012】
請求項4の発明のタービンの支持構造では、前記サポート部材は、複数の短冊形状をなし、一端部が前記排気室の端部に連結される一方、他端部が前記外殻部材の端部に連結されることを特徴としている。
【0013】
請求項5の発明のタービンの支持構造では、前記サポート部材の外側にて、前記排気室と前記外殻部材とを連結するガスシールが設けられることを特徴としている。
【0014】
請求項6の発明のタービンの支持構造では、前記サポート部材は、円錐台形状をなし、軸方向の一端部が前記排気室の端部に連結される一方、他端部が前記外殻部材の端部に連結されることを特徴としている。
【0015】
また、請求項7の発明のガスタービンは、圧縮機で圧縮した圧縮空気に燃焼器で燃料を供給して燃焼し、発生した燃焼ガスをタービンに供給することで回転動力を得るガスタービンにおいて、前記タービンは、排気室とその外周側に配置されるリング形状をなす外殻部材とが熱伸びを吸収可能なサポート部材により連結され、前記外殻部材と排気ダクトとが連結され、前記外殻部材に前記排気室を設置するための脚部が連結される、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明のタービンの支持構造によれば、円筒形状をなすタービン本体と、タービン本体に対してその外周側に配置されるリング形状をなす外殻部材とを、熱伸びを吸収可能なサポート部材により連結し、外殻部材にタービン本体を設置するための脚部を連結している。従って、外殻部材及びサポート部材が高剛性部材であることから、タービン本体の重量のよる曲げ応力を十分に支持することができ、また、サポート部材によりタービン本体の熱伸びを吸収することができ、タービン本体に作用する曲げ応力や熱応力を低減することで耐久性の向上を図ることができる。
【0017】
請求項2の発明のタービンの支持構造によれば、タービン本体として燃焼ガスが流動する排気室を設け、排気室と外殻部材とをサポート部材により連結すると共に、外殻部材に排気ダクトを連結するので、外殻部材及びサポート部材が高剛性部材であることから、排気室の重量のよる曲げ応力を十分に支持することができ、また、サポート部材により排気室及び排気ダクトの熱伸びを吸収することができる。
【0018】
請求項3の発明のタービンの支持構造によれば、外殻部材と排気ダクトとの間に高温伸縮継手を介装するので、排気室と排気ダクトとの間の熱伸びを高温伸縮継手により効率的に吸収することができ、耐久性の向上を図ることができる。
【0019】
請求項4の発明のタービンの支持構造によれば、サポート部材を複数の短冊形状とし、一端部を排気室の端部に連結する一方、他端部を外殻部材の端部に連結するので、サポート部材を複数の短冊形状とすることで高剛性部材となり、排気室の重量による曲げ応力を適正に支持することができる。
【0020】
請求項5の発明のタービンの支持構造によれば、サポート部材の外側にて、排気室と外殻部材とを連結するガスシールを設けるので、排気室と排気ダクトとの連結部からの排気ガスの漏洩を防止することができる。
【0021】
請求項6の発明のタービンの支持構造によれば、サポート部材を円錐台形状とし、軸方向の一端部を排気室の端部に連結する一方、他端部を外殻部材の端部に連結するので、サポート部材を円錐台形状とすることで高剛性部材となり、排気室の重量のよる曲げ応力を適正に支持することができる。
【0022】
また、請求項7の発明のガスタービンによれば、圧縮機と燃焼器とタービンにより構成し、タービンの排気室とその外周側に配置されるリング形状をなす外殻部材とを熱伸びを吸収可能なサポート部材により連結し、外殻部材と排気ダクトとを連結し、外殻部材に排気室を設置するための脚部を連結している。従って、外殻部材及びサポート部材が高剛性部材であることから、タービン本体の重量のよる曲げ応力を十分に支持することができ、また、サポート部材によりタービン本体の熱伸びを吸収することができ、タービン本体に作用する曲げ応力や熱応力を低減することで耐久性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るタービンの支持構造及びガスタービンの好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の実施例1に係るガスタービンにおけるタービンの支持構造を表すタービンの要部断面図、図2は、実施例1のタービンの支持構造を表す図1のII−II断面図、図3は、実施例1のガスタービンにおける排気室と排気ダクトとの連結部を表す断面図、図4は、排気室と排気ダクトとの連結部を表す平面図、図5は、実施例1のガスタービンの概略構成図である。
【0025】
本実施例のガスタービンは、図5に示すように、圧縮機11と燃焼器12とタービン13と排気室14により構成される。このガスタービン13には、図示しない発電機が連結されている。この圧縮機11は、空気を取り込む空気取入口15を有し、圧縮機車室16内に複数の静翼17と動翼18が交互に配設されてなり、その外側に抽気マニホールド19が設けられている。燃焼器12は、圧縮機11で圧縮された圧縮空気に対して燃料を供給し、バーナで点火することで燃焼可能となっている。タービン13は、タービン車室20内に複数の静翼21と動翼22が交互に配設されている。このタービン車室20の下流側に排気車室27を介して排気室14が配設されている。排気室14は、タービン13に連続する排気ディフューザ23を有している。また、圧縮機11、燃焼器12、タービン13、排気室14の中心部を貫通するようにロータ(タービン軸)24が位置している。ロータ24は、圧縮機11側の端部が軸受部25により回転自在に支持される一方、排気室14側の端部が軸受部26により回転自在に支持されている。そして、このロータ24は、各動翼18,22が植付けられたディスクが複数重ねられてなり、排気室14側の端部に図示しない発電機の駆動軸が連結されている。
【0026】
従って、圧縮機11の空気取入口15から取り込まれた空気が、複数の静翼17と動翼18を通過して圧縮されることで高温・高圧の圧縮空気となる。燃焼器12にて、この圧縮空気に対して所定の燃料が供給され、燃焼する。そして、この燃焼器12で生成された作動流体である高温・高圧の燃焼ガスが、タービン13を構成する複数の静翼21と動翼22を通過することでロータ24を駆動回転し、このロータ24に連結された発電機を駆動する。排気ガスは排気室14の排気ディフューザ23で静圧に変換されてから大気に放出される。
【0027】
上述したタービン13において、図1及び図2に示すように、複数の静翼21と動翼22(いずれも図5参照)が交互に配設されるタービン車室20があり、その下流側に排気車室27がある。排気車室27は、円筒形状をなしている。排気車室27の排気ガスの流動方向下流側に排気室14が配置されている。この排気室14は円筒形状をなしている。排気室14の排気ガスの流動方向下流側に排気ダクト31が配置されている。排気ダクト31は、円筒形状をなしている。そして、排気車室27と排気室14とが熱伸びを吸収可能な排気室サポート32により連結されている。また、排気室14と排気ダクト31とが熱伸びを吸収可能な排気ダクトサポート(サポート部材)33及び熱伸びを吸収可能なエキスパンジョンジョイント(高温伸縮継手)34により連結されている。
【0028】
この場合、本実施例では、タービン本体としての排気室14における排気ガスの流動方向下流側の端部に対して、その外周側にリング形状をなす外殻部材71が配置されている。排気室14と外殻部材71とが排気ダクトサポート33により連結され、外殻部材71と排気ダクト31とがエキスパンジョンジョイント34により連結され、外殻部材71に排気室14を設置するための排気室脚部92が連結されている。
【0029】
排気車室27には、その内側に円筒形状をなす排気ディフューザ41が配置されている。この排気ディフューザ41は、円筒形状をなす外側ディフューザ42と内側ディフューザ43がストラットシールド44により連結されて構成される。このストラットシールド44は、円筒形状や楕円形状などの中空形状をなし、排気ディフューザ41の周方向に均等間隔で複数設けられている。そして、内側ディフューザ43の内周部には、軸受45を介してロータ24が回転自在に支持されており、この軸受45に潤滑オイルを供給するオイル配管46が配設されている。なお、ストラットシールド44内には、ストラット47が配設されている。ストラットシールド44の内部空間は、外部から排気ディフューザ41の内側の空間や、排気車室27と排気ディフューザ41との間の空間に冷却空気を供給可能となっている。これ冷却空気により、後述するディフューザサポート48も冷却することができる。なお、ストラット44は、一端を排気車室27に固定され、他端を軸受箱に固定されている。
【0030】
排気車室27と排気ディフューザ41とは、ディフューザサポート48により連結されている。このディフューザサポート48は、短冊形状をなし、タービン13の軸方向に沿って延設されると共に、周方向に複数所定の間隔で並設されている。また、このディフューザサポート48は、排気車室27と排気ディフューザ41との間で温度差により熱伸びが発生したとき、変形することでその熱伸びを吸収可能となっている。特に、タービン13の始動時などの過渡期には、熱伸びが発生しやすい。ディフューザサポート48は、一端部が排気車室27にボルト49により締結され、他端部が外側ディフューザ42にボルト50により締結されている。このディフューザサポート48を外側から被覆するように、排気車室27が設けられている。外側ディフューザ42と排気車室27との間には、ガスシール51が設けられており、排気車室27とタービン車室20を遮断している。
【0031】
排気室14は、円筒形状をなす外筒52と内筒53がフォローストラット54により連結されて構成され、このフォローストラット54は、円筒形状や楕円形状などの中空形状をなし、排気室14の周方向に均等間隔で複数設けられている。フォローストラット54は、排気室14の外筒52側において開口しており、フォローストラット54の内部は、大気と連通している。
【0032】
排気車室27と排気室14とは、排気室サポート32により連結されている。排気ディフューザ41と排気室14とは、外側ディフューザ42、外筒52、内側ディフューザ43、内筒53の端部がそれぞれ接近して対向している。外側ディフューザ42と外筒52は、排気ガスの流動方向下流側に向けて拡径しているが、内側ディフューザ43と内筒53は、排気ガスの流動方向下流側に向けて同径となっている。そして、排気ディフューザ41の外側ディフューザ42より外周側に位置する排気車室27の端部と、排気室14の外筒52の端部とが排気室サポート32により連結されている。
【0033】
この排気室サポート32は、短冊形状をなし、タービン13の軸方向に沿って延設されると共に、周方向に複数所定の間隔で並設されている。また、この排気室サポート32は、排気車室27と排気室14との間で温度差により熱伸びが発生したとき、変形することでその熱伸びを吸収可能となっている。なお、熱伸びは、タービン13の始動時などの過渡期や高負荷時に発生しやすい。
【0034】
排気車室27の端部には連結リング55がボルト56により固定されている。排気室サポート32は、一端部の連結フランジ32aがこの連結リング55にボルト57により締結され、他端部の連結フランジ32bが排気室14における外筒52の取付フランジ52aにボルト58により締結されている。また、排気車室27の下流側の端部と外側ディフューザ42の下流側の端部との間にガスシール59が設けられる。連結リング55と外筒52の上流側の端部との間に排気室サポート32の内側に位置してガスシール60が設けられている。更に、内側ディフューザ43と内筒53の端部間にゴムシール61が設けられている。
【0035】
ガスシール59は、ストラットシールド44の内部を伝わって供給される冷却空気を外側ディフューザ41と排気車室27との間にとどめる役割を有する。
【0036】
排気車室27の外周面に断熱材62が装着されている。同様に、排気室14の外周面に断熱材62が装着されている。排気室サポート32は、排気室14の外筒52の外側に設けられており、排気室サポート32はこの断熱材63の外側に配置されている。排気室サポート32は、外気により冷却可能となっている。また、断熱材63は、フォローストラット54の開口部をさけるように配置される。大気の取入れを阻害しないためである。
【0037】
図1乃至図4に示す排気ダクト31は、円筒形状をなし、排気室14と排気ダクトサポート33及びエキスパンジョンジョイント34により連結されている。排気室14の端部の外周側にリング形状をなす外殻部材71が配置されている。排気室14の端部と、外殻部材71の内周部とが排気ダクトサポート33により連結されている。この排気ダクトサポート33は、短冊形状をなし、タービン13の軸方向に沿って延設されると共に、周方向に複数所定の間隔で並設されている。また、この排気ダクトサポート33は、排気室14と排気ダクト31との間で温度差により熱伸びが発生したとき、変形することでその熱伸びを吸収可能となっている。特に、熱伸びは、タービン13の始動時などの過渡期や高負荷時に発生しやすい。一方、外殻部材71は、断面が外側に開口したコ字形状をなし、排気室14の外周面とほぼ平行な外殻本体71aと、この外殻本体71aの両側から排気室14の外周面とほぼ直行して立ち上がる連結フランジ71b,71cと、外殻本体71aから排気室14の外周面側に突出する連結フランジ71dとを有している。
【0038】
そして、排気ダクトサポート33は、一端部の連結フランジ33aが外殻部材71の取付フランジ71dにボルト72により締結され、他端部の連結フランジ33bが排気室14における外筒52の連結フランジ52bにボルト73により締結されている。また、外殻部材71の取付フランジ71bと外側筒52との間に排気ダクトサポート33の外側に位置してガスシール74が設けられている。
【0039】
また、エキスパンジョンジョイント34にて、リング形状をなす一対の取付フランジ75,76には、支持フランジ77,78が立設されると共に、この取付フランジ75,76を掛け渡すようにリング形状をなす抜け止めシール79が連結されている。支持フランジ77,78及び抜け止めシール79により形成された空間部に断熱材80が充填されている。ブーツ81は、この断熱材80を被覆している。津81の端部は、支持フランジ77,78にボルト82,83により締結されている。そして、一方の取付フランジ75が外殻部材71の連結フランジ71bにボルト84により締結され、他方の取付フランジ76が排気ダクト31の端部にボルト85により締結されている。このエキスパンジョンジョイント34は、タービン13の高負荷時に、排気室14と排気ダクト31との間で断熱を行うと共に、温度差により熱伸びが発生したときに、変形することでその熱伸びを吸収可能となっている。
【0040】
各取付フランジ75,76の内周面に断熱材86,87が装着されると共に、排気ダクト31の内周面に断熱材88が装着されている。エキスパンジョンジョイント34は、この断熱材86,87,88の外側に配置されることとなり、外気により冷却可能となっている。
【0041】
そして、図1及び図2に示すように、排気室14に複数の短冊形状からなる複数の排気ダクトサポート33を介して連結された外殻部材71にて、外殻本体71aの両側にそれぞれ取付ブラケット91が固定され、この各取付ブラケット91に排気室脚部92がそれぞれ連結されている。従って、排気室14は、2つの排気室脚部92により図示しないタービン建屋の床面に設置されることとなる。即ち、排気室14は、周方向に並設された複数の排気ダクトサポート33を介して外殻部材71に支持され、この外殻部材71が排気室脚部92を介して床面に設置されることとなる。
【0042】
この場合、排気ダクトサポート33は、所定の幅を有して短冊状をなし、排気室14における長手方向(排気ガスの流動方向)に沿って装着されている。また、排気ダクトサポート33は、排気室14の周方向に並設されることから、上下(周)方向に対して高剛性部材となる。また、外殻部材71は、外殻本体71aと連結フランジ71b,71cとからなるコ字形断面に連結フランジ71dを加えた異形断面であることから、上下(周)方向に対して高剛性部材となる。そのため、排気ダクトサポート33と外殻部材71が高剛性部材であることから、排気室14の重量を十分に支持することができる。また、排気ダクトサポート33の変形により排気室14の熱伸びを十分に吸収することができる。
【0043】
なお、図1に示すように、排気ダクト31は、複数の排気ダクト脚部93,94により建屋の床面に設置されており、排気車室27は、図示しないが、排気車室脚部により建屋の床面に設置されている。
【0044】
このように実施例1のタービンの支持構造にあっては、円筒形状をなすタービン本体としての排気室14の外周側にリング形状をなす外殻部材71を配置し、排気室14と外殻部材71とを熱伸びを吸収可能な排気ダクトサポート33により連結し、外殻部材71に排気室14を建屋に設置するための排気室脚部92を連結している。
【0045】
従って、外殻部材71及び排気ダクトサポート33が高剛性部材であることから、排気室14の重量のよる曲げ応力を十分に支持することができ、また、排気ダクトサポート33により排気室14の熱伸びを吸収することができ、排気室14に作用する曲げ応力や熱応力を低減することで耐久性の向上を図ることができる。
【0046】
また、実施例1のタービンの支持構造では、外殻部材71と排気ダクト31との間にエキスパンジョンジョイント34を介装している。そのため、排気室14と排気ダクト31との間の熱伸びをこのエキスパンジョンジョイント34により効率的に吸収することができ、耐久性の向上を図ることができる。
【0047】
また、実施例1のタービンの支持構造では、排気ダクトサポート33を複数の短冊形状とし、一端部を排気室14の端部に連結する一方、他端部を外殻部材71の端部に連結している。そのため、排気ダクトサポート33を複数の短冊形状とすることで高剛性部材となり、排気室14の重量による曲げ応力を適正に支持することができる。
【0048】
また、実施例1のタービンの支持構造では、排気ダクトサポート33の外側にて、排気室14と外殻部材71とを連結するガスシール74を設けており、排気室14と排気ダクト31との連結部からの排気ガスの漏洩を防止することができる。
【0049】
そして、実施例1のガスタービンにあっては、圧縮機11と燃焼器12とタービン13により構成し、タービン13の排気室14とその外周側に配置されるリング形状をなす外殻部材71とを熱伸びを吸収可能な排気ダクトサポート33により連結し、外殻部材71と排気ダクト31とをエキスパンジョンジョイント34を介して連結し、外殻部材71に排気室14を設置するための排気室脚部92を連結している。
【0050】
従って、外殻部材71及び排気ダクトサポート33が高剛性部材であることから、排気室14の重量のよる曲げ応力を十分に支持することができ、また、排気ダクトサポート33により排気室14の熱伸びを吸収することができ、排気室14に作用する曲げ応力や熱応力を低減することで、ガスタービン全体の耐久性の向上を図ることができる。
【実施例2】
【0051】
図6は、本発明の実施例2に係るガスタービンにおけるタービンの支持構造を表すタービンの要部断面図である。
【0052】
実施例2のガスタービンにおけるタービンの支持構造において、図6に示すように、タービン本体としての排気室101は円筒形状をなしている。この排気室101における排気ガスの流動方向下流側の端部に対して、その外周側にリング形状をなす外殻部材102が配置されており、排気室101と外殻部材102とが排気ダクトサポート(サポート部材)103により連結されている。また、排気室101の排気ガスの流動方向下流側に排気ダクト104が配置されている。排気ダクト104は円筒形状をなし、外殻部材102と排気ダクト104とがエキスパンジョンジョイント(高温伸縮継手)105により連結されている。そして、外殻部材102に排気室101を設置するための図示しない排気室脚部が連結されている。
【0053】
即ち、排気室101の端部の外周側にリング形状をなす外殻部材102が配置されている。気室101の端部と、外殻部材102の内周部とが排気ダクトサポート103により連結されている。この排気ダクトサポート103は、円錐台形状をなしている。排気室101と排気ダクト104との間で温度差により熱伸びが発生したとき、変形することでその熱伸びを吸収可能となっている。特に、この熱伸びは、タービンの始動時などの過渡期や高負荷時に発生しやすい。一方、外殻部材102は、断面が外側に開口したコ字形状をなしている。この外殻部材102は、排気室101の外周面とほぼ平行な外殻本体102aと、この外殻本体102aの両側から排気室101の外周面とほぼ直行して立ち上がる連結フランジ102b,102cと、外殻本体102aから排気室101の外周面側に突出する連結フランジ102dとを有している。そして、排気ダクトサポート103は、一端部が外殻部材102の取付フランジ102dにボルト106により締結され、他端部が排気室101に固着されている。
【0054】
また、エキスパンジョンジョイント105にて、リング形状をなす一対の取付フランジ107,108には、支持フランジ109,110が立設されている。そして、この支持フランジ109,110により形成された空間部に断熱材111が充填され、ベローズ112により被覆され、カバー113がボルト114,115により締結されている。そして、一方の取付フランジ107が外殻部材102の連結フランジ102bにボルト116により締結され、他方の取付フランジ108が排気ダクト104の端部にボルト117により締結されている。このエキスパンジョンジョイント105は、タービンの高負荷時に、排気室101と排気ダクト104との間で断熱を行うと共に、温度差により熱伸びが発生したときに、変形することでその熱伸びを吸収可能となっている。
【0055】
そして、図示しないが、外殻部材102の両側にそれぞれ取付ブラケットを介して排気室脚部がそれぞれ連結されている。従って、排気室101は、2つの排気室脚部によりタービン建屋の床面に設置されることとなる。即ち、排気室101は、排気ダクトサポート103を介して外殻部材102に支持され、この外殻部材102が排気室脚部を介して床面に設置されることとなる。
【0056】
この場合、排気ダクトサポート103は、円錐台形状をなし、排気室101における長手方向(排気ガスの流動方向)に沿って装着されることから、上下(周)方向に対して高剛性部材となる。また、外殻部材102は、外殻本体102aと連結フランジ102b,102cとからなるコ字形断面に連結フランジ102dを加えた異形断面であることから、上下(周)方向に対して高剛性部材となる。そのため、排気ダクトサポート103と外殻部材102が高剛性部材であることから、排気室101の重量を十分に支持することができる。また、排気ダクトサポート103の変形により排気室101の熱伸びを十分に吸収することができる。
【0057】
このように実施例2のタービンの支持構造にあっては、円筒形状をなすタービン本体としての排気室101の外周側にリング形状をなす外殻部材102を配置し、排気室101と外殻部材102とを熱伸びを吸収可能な排気ダクトサポート103により連結し、外殻部材102に排気室101を建屋に設置するための排気室脚部を連結している。
【0058】
従って、外殻部材102及び排気ダクトサポート103が高剛性部材であることから、排気室101の重量のよる曲げ応力を十分に支持することができ、また、排気ダクトサポート103により排気室101の熱伸びを吸収することができ、排気室101に作用する曲げ応力や熱応力を低減することで耐久性の向上を図ることができる。
【0059】
また、実施例2のタービンの支持構造では、排気ダクトサポート103を円錐台形状とし、軸方向の一端部を排気室101の端部に連結する一方、他端部を外殻部材102の端部に連結しており、排気ダクトサポート103を円錐台形状とすることで高剛性部材となり、排気室101の重量による曲げ応力を適正に支持することができる。
【0060】
なお、上述した各実施例では、本発明のタービン本体を排気室14とし、この排気室14と外殻部材71とを排気ダクトサポート33により連結し、外殻部材71に排気室脚部92を連結したが、この構成に限定されるものではない。即ち、本発明のタービン本体を排気車室27とし、この排気室14の外側にサポート部材を介して外殻部材を設け、この外殻部材に排気車室脚部を連結したり、本発明のタービン本体を排気ダクト31とし、この排気ダクト31の外側にサポート部材を介して外殻部材を設け、この外殻部材に排気ダクト脚部を連結してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係るタービンの支持構造及びガスタービンは、タービン本体に熱伸びを吸収可能なサポート部材を介して連結した外殻部材に脚部を連結することで、タービン本体に作用する曲げ応力や熱応力を低減することで耐久性の向上を図るものであり、いずれの種類のガスタービンにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施例1に係るガスタービンにおけるタービンの支持構造を表すタービンの要部断面図である。
【図2】実施例1のタービンの支持構造を表す図1のII−II断面図である。
【図3】実施例1のガスタービンにおける排気室と排気ダクトとの連結部を表す断面図である。
【図4】排気室と排気ダクトとの連結部を表す平面図である。
【図5】実施例1のガスタービンの概略構成図である。
【図6】本発明の実施例2に係るガスタービンにおけるタービンの支持構造を表すタービンの要部断面図である。
【符号の説明】
【0063】
11 圧縮機
12 燃焼器
13 タービン
14,102 排気室(タービン本体)
20 タービン車室
27 排気車室(タービン本体)
31,102 排気ダクト(タービン本体)
32 排気室サポート(サポート部材)
33,103 排気ダクトサポート(サポート部材)
34,105 エキスパンジョンジョイント(高温伸縮継手)
23,41 排気ディフューザ
48 ディフューザサポート
51,59,60,74 ガスシール
62,63,80,86,87,88 断熱材
71,102 外殻部材
92 排気室脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状をなすタービン本体と、該タービン本体に対してその外周側に配置されるリング形状をなす外殻部材とが、熱伸びを吸収可能なサポート部材により連結され、前記外殻部材に前記タービン本体を設置するための脚部が連結されることを特徴とするタービンの支持構造。
【請求項2】
前記タービン本体は、燃焼ガスが流動する排気室を有し、該排気室と前記外殻部材とが前記サポート部材により連結されると共に、前記外殻部材に排気ダクトが連結されることを特徴とする請求項1に記載のタービンの支持構造。
【請求項3】
前記外殻部材と前記排気ダクトとの間に高温伸縮継手が介装されることを特徴とする請求項2に記載のタービンの支持構造。
【請求項4】
前記サポート部材は、複数の短冊形状をなし、一端部が前記排気室の端部に連結される一方、他端部が前記外殻部材の端部に連結されることを特徴とする請求項2または3に記載のタービンの支持構造。
【請求項5】
前記サポート部材の外側にて、前記排気室と前記外殻部材とを連結するガスシールが設けられることを特徴とする請求項2から4のいずれか一つに記載のタービンの支持構造。
【請求項6】
前記サポート部材は、円錐台形状をなし、軸方向の一端部が前記排気室の端部に連結される一方、他端部が前記外殻部材の端部に連結されることを特徴とする請求項2または3に記載のタービンの支持構造。
【請求項7】
圧縮機で圧縮した圧縮空気に燃焼器で燃料を供給して燃焼し、発生した燃焼ガスをタービンに供給することで回転動力を得るガスタービンにおいて、
前記タービンは、排気室とその外周側に配置されるリング形状をなす外殻部材とが熱伸びを吸収可能なサポート部材により連結され、
前記外殻部材と排気ダクトとが連結され、
前記外殻部材に前記排気室を設置するための脚部が連結される、
ことを特徴とするガスタービン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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