説明

タービンケーシング

【課題】タービンケーシングを提供する。
【解決手段】本明細書に説明するタービンケーシング(100)は、第1のセクションフランジ(130)と、第2のセクションフランジ(140)とを含み、第1のセクションフランジ(130)及び第2のセクションフランジ(140)は、継手(125)において合さり、ヒートシンク(170)が、継手(125)の周りに配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、総括的にはガスタービンに関し、より具体的には、熱勾配によって生じる「非真円度(out of roundness)」を減少させるタービンケーシング用の継手形状部に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なタービンケーシングは一般的に、互いに連結された複数のセクションで形成される。これらのセクションは、ボルト付きフランジによってあらゆる配向としてまた同様な構成として連結することができる。ガスタービンの過渡的始動時には、水平継手は、ボルトに適応するのに必要な付加的材料の量のため、ケーシングの残りの部分よりも低温状態を維持する可能性がある。水平継手を昇温させる時間が、周囲のケーシングを昇温させる時間よりも遅くなる可能性があるという事実のために、この温度差により、ケーシングが「非真円度」になるおそれがある。この状態はまた、楕円化又は「パッカ」とも呼ばれる。運転停止に際しては、水平継手が高温状態を維持するが、その周りのケーシングが冷却して反対のケーシング運動又は楕円化を引き起こすようになる反対の状態が発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5605438号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、タービンのような回転機械用のケーシングの継手の周りで「非真円度」を引き起こす可能性がある熱勾配の存在を低減又は排除する要望が存在している。このような熱勾配の排除は、その内部に均一な間隙を維持することにより、装置において高い運転効率を備えた状態でのより長い寿命を促進するものでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本出願は、タービンケーシングについて説明する。本明細書に説明する本タービンケーシングは、第1のセクションフランジと、第2のセクションフランジとを含み、第1のセクションフランジ及び第2のセクションフランジは、継手において合さり、ヒートシンクが、継手の周りに配置される。
【0006】
本出願はさらに、タービンケーシングについて説明する。本タービンケーシングは、上部半体フランジと、下部半体フランジとを含み、上部半体フランジ及び下部半体フランジは、継手において合さり、複数のヒートシンクフィンが、継手の周りに配置される。
【0007】
本出願はさらに、フランジ継手において合さった複数のセクションを有するタービンケーシングを安定化させる方法について説明する。本明細書に説明する本方法は、各セクションの平均半径方向撓みを求めるステップと、各セクションの最小半径方向撓みを差し引くステップと、各セクションの平均半径方向撓みを減少させるようにフランジ継手の各々に対してヒートシンクを付加するステップとを含む。
【0008】
本出願のこれらの及びその他の特徴は、幾つかの図面及び特許請求の範囲と共になした以下の詳細な説明を精査することにより当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本明細書に説明するケーシングのボルト継手の斜視図。
【図2】本明細書に説明するケーシングの別の実施形態の側面平面図。
【図3】図2のケーシングのボルト継手の側面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、幾つかの図を通して同じ参照符合が同様の要素を表わしている図面を参照すると、図1は、本明細書に説明するタービンケーシング100を示す。タービンケーシング100は、上部半体110及び下部半体120を含む。本明細書では、他の構成もまた使用することができる。上部半体110は、一対の上部半体フランジ130を含むことができ、一方、下部半体120は、一対の下部半体フランジ140を含むことができる。互いに隣接して配置されると、ケーシング100の上部半体110及び下部半体120は、継手125において合さる。開口150が、継手125においてフランジ130、140を貫通して延びる。上部半体110及び下部半体120は、フランジ130、140の開口150を貫通して延びるボルト160によって連結される。本明細書では、他の連結手段も使用することができる。
【0011】
ケーシング100の継手125の熱応答性は、継手125の周りに配置したヒートシンク170を付加することにより、向上させることができる。具体的には、ヒートシンク170は、あらゆるパラメータ化ジオメトリ形状部とすることができる。ヒートシンク170は、高さ、幅、長さ、仰角、テーパ、尖端の鋭さ、厚さ、曲がり、形状などのようなあらゆるパラメーを変化させることができる。
【0012】
この実施例では、ヒートシンク170は各々、上部半体フランジ130と対向させてケーシング100の上部半体110上に配置した上部フィン180と下部半体フランジ140と対向させて下部半体120上に配置した下部フィン190とを含むことができる。フィン180、190は、ケーシング110の内部に僅かに延びることができる。フィン180、190は、接触した状態にすることができ、或いはこれらフィン180、190は、所定の距離だけ分離した状態にすることができる。フィン180、190を分離することにより、熱膨張時又はその他の間にフィン180、190が互いに膠着しかつ応力を加える可能性を減少させることができる。フィン180、190は、タービンケーシング100の材料と同一の又は異なる材料で製作することができる。フィン180、190は、溶接、鋳造、或いは機械的に又はその他の方法でケーシング100に取付けることができる。フィン180、190は、継手125の周りの表面積を増大させて、有効表面積の増大により熱伝達を高めるようにするのに役立つ。フィン180、190は、あらゆる所望の形状を採ることができる。
【0013】
フィン180、190の使用により、少なくとも始動時の一時期におけるケーシング100の「非真円度」を減少させることができる。具体的には、「非真円度」は、ケーシング100の半体110、120の平均半径方向撓みから最小半径方向撓みを差し引いたものである。フィン180、190は、始動時の一時期における「非真円度」を減少させることができるが、しかしながら、フィン180、190は、定常状態の「非真円度」を僅かに高めることができるのみである。フィン180、190は、クールダウン時にも同様に「非真円度」を減少させる。フィン190及びヒートシンク170の寸法は、ケーシング100が受ける熱勾配及び「非真円度」に抗するようにバランスさせることができる。より大きな熱勾配は、ヒートシンク170の異なる寸法を使用することができるように、より大きなヒートシンク170を必要とする可能性がある。
【0014】
図2及び図3は、本明細書に説明するタービンケーシング200の別の実施形態を示す。上記したのと同様に、タービンケーシング200は、上部半体210及び下部半体220を含むことができる。本明細書では、他の構成もまた使用することができる。上部半体210及び下部半体220は、実質的に同一であるので、上部半体210のみを示している。上部半体210及び下部半体220の各端部は、継手225において合さりかつ連結される。半体210、220は、継手225において一対の上部半体フランジ230及び一対の下部半体フランジ240を含むことができる。フランジ230、240は、該フランジ230、240内に配置された複数の開口250を含む。ケーシング200の半体210、220は、上記の開口250を貫通して延びるボルト160によって又は他の形式の連結手段によって連結することができる。
【0015】
ケーシング200の半体210、220は、該半体210、220内に配置された複数のスロット260を含むことができる。スロット260は、所望の場合にはシュラウド、ブレード、バケット又は他の構造体を収容することができる。ケーシング200の半体210、220はまた、該半体210、220内に配置された複数の空所265を含むことができる。これらの空所265は、ケーシング200の外縁部に沿った陥凹部の形態を採ることができ、或いはこれらの空所265は、所望の場合には内部に配置することができる。
【0016】
ケーシング200の半体210、220はまた、空所265の周りで継手225に隣接して配置された1以上のヒートシンク270を含むことができる。ヒートシンク270は、タービンケーシング200の上部半体210の周りに配置された上部フィン280の組及び/又はケーシング200の下部半体220の周りに配置された下部フィン290の組の形態を採ることができる。フィン280、290は、継手225のフランジ230、240に隣接させて配置することができる。
【0017】
図示するように、フィン280、290は、その寸法が継手225に隣接してより大きい面積を有し、次に継手225から離れる方向に移動するにつれてその面積が減少するように変化させることができる。それに代えて、フィン280、290は、ほぼ均一な形状を有することができる。あらゆる数のフィン280、290を使用することができる。フィン280、290のあらゆる形状を使用することもできる。上記したように、全体としてヒートシンク270は、あらゆる所望の形態を採ることができる。
【0018】
従って、ヒートシンク170、270の使用により、より多くの熱量を継手125、225の周りのより低温又はより高温の区域に対して流入させるか又は取り去ることが可能になり、従って、ケーシング100、200の残りの部分に対する継手125、225の熱応答を向上させることが可能になる。その結果として、ケーシング100、200の周りでのより良好かつより均一な間隙により、高いガスタービン及び/又は圧縮機/タービン効率を得ることができる。「非真円度」の減少はまた、圧縮機ブレード、タービンブレード又は他の構成部品に対するより少ない摩擦及びより少ない補修費用をもたらすことができる。
【0019】
以上の説明は、単に本出願の好ましい実施形態のみに関するものであること、また本明細書では、提出した特許請求の範囲及びその均等物によって定まる本発明の一般的な技術思想及び技術的範囲から逸脱することなく、当業者が数多くの変更及び修正を行うことができることを理解されたい。
【符号の説明】
【0020】
100 タービンケーシング
110 上部半体
120 下部半体
125 継手
130 上部半体フランジ
140 下部半体フランジ
150 開口
160 ボルト
170 ヒートシンク
180 上部フィン
190 下部フィン
200 ケーシング
210 上部半体
220 下部半体
225 継手
230 上部半体フランジ
240 下部半体フランジ
250 開口
260 スロット
265 空所
270 ヒートシンク
280 上部フィン
290 下部フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のセクションフランジ(130)と、
第2のセクションフランジ(140)と、を含み、
前記第1のセクションフランジ(130)及び第2のセクションフランジ(140)が、継手(125)において合さり、
ヒートシンク(170)が、前記継手(125)の周りに配置される、
タービンケーシング(100)。
【請求項2】
前記ヒートシンク(170)が、前記第1のセクションフランジ(130)の周りに配置された1以上の第1のセクションフィン(180)を含む、請求項1記載のタービンケーシング(100)。
【請求項3】
前記ヒートシンク(170)が、前記第2のセクションフランジ(140)の周りに配置された1以上の第2のセクションフィン(190)を含む、請求項2記載のタービンケーシング(100)。
【請求項4】
前記1以上の第1のセクションフィン(180)及び1以上の第2のセクションフィン(190)が、接触した状態になっている、請求項3記載のタービンケーシング(100)。
【請求項5】
前記1以上の第1のセクションフィン(180)及び1以上の第2のセクションフィン(190)が、分離した状態になっている、請求項3記載のタービンケーシング(100)。
【請求項6】
その上に前記第1のセクションフランジ(130)を備えた第1のセクションケーシング(110)と、
その上に前記第2のセクションフランジ(140)を備えた第2のセクションケーシング(120)と、
をさらに含む、請求項1記載のタービンケーシング(100)。
【請求項7】
前記ヒートシンク(170)が、前記第1のセクションケーシング(110)及び第2のセクションケーシング(120)に沿って、前記継手(225)から離れる方向に移動するにつれてその面積が減少する、請求項6記載のタービンケーシング(100)。
【請求項8】
前記ヒートシンク(170)が、前記第1のセクションフランジ(130)及び第2のセクションフランジ(140)内の1以上の空所(265)内に配置される、請求項1記載のタービンケーシング(100)。
【請求項9】
前記ヒートシンク(170)が、該タービンケーシング(100)内部に突出している、請求項1記載のタービンケーシング(100)。
【請求項10】
フランジ継手(125)において合さった複数のセクション(110、120)を有するタービンケーシングを安定化させる方法であって、
各セクション(110、120)の平均半径方向撓みを求めるステップと、
各セクション(110、120)の最小半径方向撓みを差し引くステップと、
各セクション(110、120)の平均半径方向撓みを減少させるように前記フランジ継手(125)の各々に対してヒートシンク(170)を付加するステップと、を含む、
方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−174530(P2009−174530A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9419(P2009−9419)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY