ターボファンケースと製造方法
ガスタービン用のケーシングは、相互に一体化されたファンケースと中間ケースとガスジェネレータケースとを含む。別の態様では、セミ・モノコック構造、改良型ストラット設計などのような構造効率を向上させるいくつかの態様を含む構造がケーシングに設けられる。エンジンケース内で荷重を伝達するための改良型荷重経路および手段も開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジン、より詳しくはターボファンエンジンのケースに関連する。
【背景技術】
【0002】
一般的な航空パイロットによって経済的に操縦できる手頃な「超小型」ターボファンエンジン(つまり2000ポンドスラスト以下)の需要がある。小型のターボファンガスタービンエンジンは、軍条例で配備されるミサイルに使用するものとして知られているが、経済的で手頃で効率的な動作と、数千時間(分でなく)で測定された耐久性などの要件は、設計者にとって無関係であった。そのため、このような先行技術によるミサイルエンジン設計からは、この種の市場が実現するのに必要となる主な要素成果物(デリバラブル)は何も得られない。同様に、産業用マイクロタービンが利用できるが、重量とサイズなどの要件から明らかに、その設計は航空機原動機としての使用にはあまり適していない。
【0003】
また、従来の大型ターボファンエンジンを縮小しても、主として、重量に対する強度や公差など、ある種の要因を比例して縮小できないことによる問題が生じる。例えば、ターボファンエンジンは一般的に、主として軽量化のためである細分化されたケースアセンブリを有するが、これは製造と組立を容易にもする。従来のケースアセンブリ200が図1に図示されており、中心線212を中心に、ファンケース202と、中間ケース204と、コンプレッサケース206と、ガスジェネレータケース208と、タービンケース210と、タービン排気ケース211とを含む。ガスジェネレータケース208とタービンケース210とタービン排気ケース211とはエンジンの高温部を包囲し、一般的には、良好な耐熱性を有する鋼またはニッケル合金で製造される。しかし、鋼は比較的重く、そのため中間ケース204とコンプレッサケース206などの比較的低温の部分では、一般的にマグネシウムまたはアルミニウムなど軽量の材料を使用する。鋼は、その強度がブレード脱落事故への対処に望ましいため、従来、ファンケース202に使用されている。
【0004】
同じような先行技術の構造300が図2に図示されており、ケースアセンブリ300(上半分のみ示される)は、中心線312に沿って一緒にボルト結合されたファンケース344と中間ケース346とガスジェネレータケース352(タービンケースと排気ケースは示されていない)とを有する。コンプレッサブレードを囲繞するコンプレッサシュラウド348が、箇所357のベアリングシート(図示せず)のように中間ケース346にボルト結合されている。材料の異なるケースコンポーネントの間の熱膨張率の差に対応するため、フランジ接続部302,304,306が設けられている。一般的にケースコンポーネントは段階的に組み立てられ、エンジンコンポーネントのトップレベルアセンブリがここに組み付けられる。
【0005】
しかし、これらの大型ケース設計を単純に縮小すると、「超小型」ターボファンエンジンではいくつかの理由から問題が生じる。一つは、関連する公差の累積であって、これは一般的には比例しない(つまり、部品サイズが小さくなるにつれて製造および組立プロセスの精度が向上しない)。一般的なターボファンエンジンでは、累積公差はコンポーネントのサイズに比べて小さいため、それほど重要でない。しかし、例えばブレード先端の間隙を考慮すると、燃料消費率(SFC)はブレード先端の間隙と直接関連するので、累積公差は超小型ターボファンエンジンの全体的な効率に非常に重大な影響を及ぼす。不適当な累積公差によって生じる先端摩擦を回避するため、ブレード先端間隙は累積公差を考慮しなければならず、そのため累積公差は効率に直接的な影響を与えるのである。縮小によって生じる別の問題は、たいていは各要素が異なる割合で縮小されることである。例えば、公称寸法で本来のサイズの半分に縮小されたコンポーネントの重量が必ずしも半分になるわけではない。
【0006】
サイズ縮小に対する障害となる別の面は、補正が必要であるために重量と複雑性を高める熱膨張率の差である。例えば、付属品ギヤボックス(AGB)タワーシャフトは一般的に、熱膨張の差を補うために伸縮式の設計(および関連のベアリング)を必要とする。超小型ターボファンエンジンでは、このような適応により、エンジンが実現不可能なほど高価となり、動作が非効率的となる。そのため、縮小ターボファンは全く非効率的であるとともに重く、ゆえにジェネラルアビエーション(一般航空)市場で使用するには高価すぎる。ゆえに、超小型ターボファンエンジンのこのような設計問題に対処することが重要である。
【0007】
別の問題は、エンジンスラスト、異物衝突、ブレード脱落事故など、ベアリングを介して及ぼされる荷重によって生じるとともに、当然支持されなければならないエンジン重量によって生じる慣性荷重により生じる、エンジンマウントに対する非対称な荷重を、図1と2に描かれているようなエンジンケースが受けることである。これらの非対称荷重の結果、エンジンケースを通してエンジンマウントへ伝達されなければならない曲げモーメントとせん断力が発生する。先行技術では一般的に、プレート曲がり(板曲げ)の際の曲げモーメントを受け止めるのに、鋳造エンジンケースコンポーネント(図1の202,204,206,208,210,211など)のような厚壁構造に依存している。しかし、プレート曲がりでは、厚壁ケーシングが、破損を起こすことなく曲げ力に抵抗してこれを支承する必要がある。しかし、超小型エンジンにおいては、厚いケーシングはエンジン重量全体の中で重要なコンポーネントとなる。この問題への代替アプローチが、ナセル荷重がエンジンへ伝えられるように、エンジンとナセル構造に亘って荷重、特に曲げ、を伝達するための一体的ウェブ構造が提示された米国特許第4,132,069号に開示されている。しかし、この方法ではエンジンにコンポーネントを追加し、これが信頼性を低下させるとともに重量とコストを増大させる。そのため、いくつかの面でエンジンケース技術の改良が望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そのため、ガスタービンエンジンケース技術を改良することが本発明の目的の一つである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、少なくともファンアセンブリとコンプレッサセンブリと燃焼器アセンブリとタービンアセンブリとを含むターボファンエンジン用のケーシングが設けられる。このケーシングは、ファンケース部分と中間ケース部分とガスジェネレータケース部分とを含む。ファンケース部分と中間ケース部分とガスジェネレータ部分とは一体的に結合されることにより、一体的ケーシングを形成する。
【0010】
本発明の別の態様によれば、バイパスターボファンエンジンが設けられる。このバイパスターボファンエンジンは、エンジン内で流れが流通状態となるように配置された少なくともファンとコンプレッサとガスジェネレータと、少なくともコンプレッサとガスジェネレータの周囲に画定されるバイパス空気流とを含む。ファンとコンプレッサとガスジェネレータとをほぼ包囲する単体ケーシングが設けられる。
【0011】
本発明のさらなる態様によれば、航空機用のターボファンエンジンが設けられ、このターボファンエンジンは、推進ファン部分とコンプレッサ部分とガスジェネレータ部分とを含む回転アセンブリを含む。回転アセンブリは軸方向長さを有する。回転アセンブリをほぼその軸長に沿って包囲することによりエンジン内にメイン流路を画定する略管形のケーシングアセンブリが設けられる。ケーシングアセンブリは、一体化された単体である。
【0012】
本発明の別のさらなる態様によれば、ケーシングアセンブリを含むターボエンジンの重量を低下させる方法が設けられる。この方法は、ターボファンエンジンと関連のバイパス流とを包囲するため単体の一体化されたケースを設ける段階を含む。
【0013】
本発明のまたさらなる態様によれば、航空機用のガスターボファンエンジンを組み立てる方法が設けられる。この方法は、ファンケースと中間ケースとガスジェネレータケースとを含むガスターボファンエンジンケーシングアセンブリを設ける段階と、推進ファンアセンブリとコンプレッサアセンブリとガスジェネレータアセンブリとをケーシングアセンブリに載置する段階と、他のコンポーネントをケーシングアセンブリに取り付けることによりエンジンの組立を完了する段階とを含む。
【0014】
本発明のさらに別の態様によれば、航空機ターボファンバイパスエンジン用のケーシングが設けられ、このケーシングは、エンジンを囲繞するのに適しており、エンジンを航空機へ取り付けるのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、エンジンのメインシャフトを支持する少なくとも1個のベアリングを支持するのに適した内側ハブであって、内側ハブからケースまで延在する複数のストラットによりケース内部に支持された内側ハブであり、ストラットが内側ハブからケースまでの主要荷重経路を画定する、内側ハブと、ストラットにより内側ハブとケースとの中間に支持されたスプリッタであり、ストラットがさらにスプリッタからケースまでの主要スプリッタ荷重経路を画定し、エンジンのコア空気流通路とバイパス空気流通路との間でエンジン吸入空気流を分割するのに適したスプリッタとを含み、ケースが、複数のリブとその間の複数の薄壁せん断パネルとを含むセミ・モノコック構造を有し、これによりケースは、リブの圧縮力と引張力により、ケーシングに付与される外部荷重のバランスを取って、バランスの取れたせん断力をパネルで受け止めるのに適している。
【0015】
本発明のさらに別の態様によれば、エンジンコアと、エンジンコアの少なくとも一部分を包囲するケーシングとを含む航空機バイパスターボファンエンジンが設けられ、ケーシングは、複数の中空ストラットと複数の相接部材とを含み、ストラットは、内側ハブとケーシングとの間において周方向配列で延在し、ストラットの各々は、相接部材の少なくとも1個により、少なくとも2本の周方向隣接ストラットと相接し、相接部材の各々は、それぞれストラット側面に取り付けられた二つの端部を有し、各部材は中空密閉区分を含み、密閉区分は、ストラット側面と、隣接のストラットの間に延在する少なくとも1個の要素とにより少なくとも部分的に密閉され、この要素は、相接部材および隣接のストラットに対する整合のため、相接部材にトルクが付与される時にストラットにせん断力を伝達するのに適している。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、外側リング部分と、内側ハブ部分と、複数の中空ストラットと、複数の中空トルクボックス部材とを含む航空機バイパスターボファンエンジンケーシングが設けられ、外側リング部分は、航空機へのエンジン支持接続のため少なくとも1個のエンジンマウントを有し、ストラットは、周方向配列で配置されるとともに、内側ハブ部分を外側リング部分へ取り付けるため内側ハブ部分から外側リング部分まで延在し、複数のトルクボックス部材は、少なくとも1個が配列内の隣接のストラットの間に延在することにより各ストラットをすぐ隣接するストラットに接続するように配置され、トルクボックス部材は、付与されるトルクをせん断力へ変換して、このせん断力をストラットへ伝達するのに適している。
【0017】
本発明の別の態様によれば、航空機バイパスターボファンエンジン用の荷重支承装置が設けられ、この装置は、少なくとも1個のメインシャフトベアリングを支持する内側ハブと、少なくとも1個のエンジンマウントを有する外側ケーシングと、周方向配列で延在する複数のストラットを含む中空ストラットアセンブリとを含み、複数のストラットはそれぞれ、内側ハブに接続された第1端部から外側ケーシングに接続された第2端部まで延在し、ストラットは、配列内のすぐ隣接のストラットと対向する側面を有し、ストラットアセンブリは、隣接するストラットの間での荷重分散のための手段を含み、この手段は、隣接するストラットの間に延在するとともに、各ストラット側面の中間部分に接続されている。
【0018】
本発明の別の態様によれば、航空機バイパスターボファンエンジン用の荷重支承装置が設けられ、この装置は、少なくとも1本の空気流通路を一緒に画定する外側リングおよび内側リングと、周方向配列で通路にわたって外側リングおよび内側リングの間に径方向に延在する複数の中空ストラットと、複数の中空トルクボックスとを含み、各トルクボックスは、せん断伝達ジョイントによって、隣接するストラットの中間部分に接合され、外側リングは、エンジンを航空機へ取り付けるための複数のエンジンマウントを有し、トルクボックスは、これに取り付けられたエンジンコアによりトルクボックスへ付与されるトルクを、エンジンマウントにエンジンコアの荷重が伝達されるための、せん断力としてストラットへ伝達するのに適したウェブ部材を含む。
【0019】
本発明のまた別の態様によれば、航空機バイパスターボファンエンジン用のケーシングが設けられ、このケーシングは、エンジンを囲繞するのに適するとともに、エンジンを航空機へ取り付けるのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、エンジンのメインシャフトを支持する少なくとも1個のベアリングを支持するのに適した内側ハブとを含み、内側ハブは、内側ハブとケースとの間に延在する複数のストラットによりケースに対して支持され、内側ハブは、複数の補剛材と、その間の複数の薄壁せん断パネルとを含むセミ・モノコック構造を有し、これにより内側ハブは、内側ハブに付与される外部曲げ力を、実質的に補剛材の圧縮力および引張力とパネルのせん断力として分解するのに適している。
【0020】
本発明のまたさらなる態様によれば、航空機バイパスターボファンエンジン用のケーシングが設けられ、このケーシングは、エンジンを囲繞するのに適するとともに、エンジンを航空機に取り付けるのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、エンジンのメインシャフトを支持する少なくとも1個のベアリングを支持するのに適した内側ハブとを含み、内側ハブは、内側ハブとケースとの間に延在する複数のストラットによりケースに対して支持され、内側ハブは、複数の補剛材と、その間の複数の薄壁せん断パネルとを含むセミ・モノコック構造を有し、補剛材とパネルとは、内側ハブに付与される外部曲げモーメントを、補剛材の圧縮力および引張力とパネルのせん断力として受け止めるような構造を持つ。
【0021】
本発明の別の態様によれば、航空機ターボファンバイパスエンジン用のケーシングが設けられ、このケーシングは、エンジンを囲繞するのに適するとともに、エンジンを航空機へ取り付けるのに適した複数のエンジンマウント上に有するケースと、エンジンのメインシャフトを支持する少なくとも1個のベアリングを支持するのに適した内側ハブであって、内側ハブとケースとの間に延在する複数のストラットによりケースの内部に支持される内側ハブであり、ストラットが内側ハブからケースまでの主要荷重経路を画定する、内側ハブと、ストラットにより内側ハブとケースとの中間に支持されたスプリッタとを含み、ストラットはさらに、スプリッタからケースへの主要スプリッタ荷重経路を画定し、スプリッタは、エンジンコアの空気流通路とバイパス空気流通路との間においてエンジン吸入空気流を分割するのに適しており、ストラットは、スプリッタと内側ハブとの間で荷重経路を遮断することにより内側ハブへのスプリッタ荷重の伝達を阻止するための後縁部分の手段を含む。
【0022】
本発明のさらなる態様によれば、ガスタービンエンジン用のシャフトベアリング支持装置が設けられ、この装置は、ベアリング支持部材と抑制装置と抑制面とを含み、抑制装置と抑制面とは、ベアリング支持部材に取り付けられたベアリングによって支持されたシャフトが使用時に撓む時に、相対的な撓みを間に受け、所望する最大の相対的撓みが発生した時に抑制装置と抑制面との間に接触が生じるように、所望する最大の相対的撓みに等しい間隙が抑制装置と抑制面との間に設けられ、これにより抑制装置と抑制面は、所望する最大の相対的撓みを超える撓みを接触により阻止するのに適している。
【0023】
本発明の付加的な態様によれば、航空機ターボファンバイパスエンジン用のケーシングが設けられ、このケーシングは、エンジンを囲繞するのに適するとともに、エンジンを航空機に搭載するのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、エンジン構造とケースとの間に延在する複数のストラットとを有し、ストラットは、エンジン構造からケース上のエンジンマウントへ荷重を伝達するため、エンジン構造からケースへの主要荷重経路を画定し、ストラットはそれぞれ、ストラットの長さに沿って複数のストラット区分の重心位置の軌跡に沿って画定される重心軸を有し、エンジンマウントは、ストラット重心軸の1本に実質的に対応するようにケースに配置されることにより、ストラットによってエンジンマウントへ伝達される荷重の結果としてのケースの曲げ荷重を最小にする。
【0024】
本発明のさらなる態様によれば、航空機ターボファンバイパスエンジン用のケーシングが設けられ、このケーシングは、エンジンを囲繞するのに適するとともに、エンジンを航空機へ取り付けるのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、エンジン構造とケースとの間に延在する複数のストラットとを含み、ストラットは、エンジン構造からケースのエンジンマウントへ荷重を伝達するためエンジン構造からケースまで少なくとも1本の荷重経路を画定し、少なくとも数本のストラットは、予め選択された荷重が荷重経路に沿って付与されると塑性変形することにより、ストラットからエンジンマウントへの荷重伝達を、予選択荷重を下回る量までストラットが制限するのに適している。このようなケーシングを設ける方法も開示されている。
【0025】
なお、本発明の他の特徴と長所は、後述する好適な実施例を参照すれば、より良く理解されるだろう。
【0026】
本発明の一体的ターボファンエンジンケーシングは、とりわけ、組立後のケーシングアセンブリへの最終機械加工作業を可能にして、アセンブリの累積公差を減少させる。そのため本発明では、最小ブレード先端間隙と他の累積公差の縮小が達成されるターボファンエンジンの組立方法が設けられ、好都合である。一体的ケーシングアセンブリはまた、ケーシングアセンブリのフランジ接続部の数を減少させて、ケーシング全体で一般的に重い材料を使用するにもかかわらず、超小型ターボファンエンジンの総重量を驚くほど低下させる。さらに、一体的ケーシングも、熱膨張の差を必要十分なほど小さくすることにより、ジェネラルアビエーション超小型ターボファンエンジンのための経済的な設計が得られる。新規のセミ・モノコック構造も、従来よりも良好な重量対比強度を持つケースを可能にし、ストラット構造および内部構造の改良も得られる。
【0027】
本出願および添付された請求項の文章を通して使用される「一体的な」、「一体化する」、「一体化した」の語は、(一般的に非破壊的な意味での)分解が可能でないように一体的に結合された部品を意味するものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の特徴を概説したので、好適な実施例を例として示す添付図面を参照する。
【0029】
図3から始めて図面を参照すると、本発明によるターボファンガスタービンエンジン10の一例は、周方向に離間した複数のファンブレード14を有するファンアセンブリ13と、周方向に離間した複数の低圧コンプレッサ(LPC)ブレード50と高圧コンプレッサ(HPC)ブレード51とを有するコンプレッサ区分16と、ディフューザ18と、燃焼器20と、高圧タービン(HPT)22と、低圧タービン(LPT)24とを、長手方向中心軸12を中心とする連続流通状態で含む。LPT24は第1つまり低圧(LP)のシャフト26によりファンアセンブリ13に接続され、HPT22は第2つまり高圧(HP)のシャフト28によりコンプレッサアセンブリ16に接続されている。燃焼器20へ燃料を噴射するため、燃料噴射手段30が設けられている。
【0030】
略管形ケーシングアセンブリ32は、エンジン10を包囲することにより、エンジン10のコアを通って入口34から排出口(図示せず)まで延在するメイン流路36と、バイパス流路37とを画定する。
【0031】
図3,4,6を参照すると、本発明の一実施例によるケーシングアセンブリ32は、ファンロータアセンブリ13を収容する略管形ファン部分つまり「ケース」44と、ファンケース44の下流の略管形中間ケースすなわち中間部分つまり「ケース」46と、中間部分46の下流のガスジェネレータ部分つまり「ケース」52とを含む。さらに後述するように、中間部分46は、コンプレッサアセンブリ16のブレード先端を囲繞するコンプレッサシュラウド48と、HPシャフトベアリング59を取り付けるためのベアリングシート58とを含む。
【0032】
図5と6を参照すると、やはり略管形の形状であるガスジェネレータ部分52は、燃焼器20とおそらくはHPT22またはその一区分を収容するためのものである。略管形ケースのタービン・排気ケース54はモジュール方式で設けられ、LPT24を収容して排気ミキサアセンブリ(図示せず)を支持するためのガスジェネレータケース52の後端部107に取り付けられる(つまり一体化されない)ことが望ましい。
【0033】
エンジン10はさらに、モジュール方式で設けられてケーシングアセンブリ32の中間部分46に取り付けられる(つまり一体化されない)ことが望ましい管形バイパスダクトケース56を含む。管形バイパスダクトケース56は、ガスジェネレータ部分52を概ね包囲し、ここから径方向に離間することによりバイパス44の下流区分をこの間に画定する。
【0034】
ケースコンポーネントが着脱自在に相互に取り付けられる先行技術による細分化ケースを設ける代わりに、本発明では、すべてのケーシングコンポーネントが一体的に相互に装着された単体ケーシングアセンブリ32が設けられる。再び図3を参照すると、ケーシングアセンブリ32のファンケース部分44と中間ケース部分46とコンプレッサシュラウド部分48とベアリングマウント58とガスジェネレータ部分52とはすべて、溶接によって、または一体的製作、ろう付け結合、コンポーネントを単体に結合および接合する他の方法などの他のプロセスによって、相互に一体的に結合される。バイパスダクトケース56は、エンジンアセンブリ10の組立および保守に好都合となるようにケーシング32と一体化されておらず、そのため、中間部分46およびバイパスダクトケース56からそれぞれ径方向に延出する係合フランジ60,62を一緒にボルト結合することによって接続されることが望ましい。上述したタービン・排気ケース54も、例えば係合フランジ64,66を一緒にボルト結合することにより、ケーシング32の後端部に取り付けられることが望ましい。本発明の一体的ケースを形成するように一体化されることが最も望ましい他のケースと区別するため、バイパスダクト56とケース54は図4では破線で示されている。所望であれば、ケーシングアセンブリ32はバイパス・排気ダクトを一体的に含むこともできる。
【0035】
ケーシング32の個々のコンポーネントは、1種類の材料、例えば鋼で製作されることが望ましいが、所望する一体的接合技術(例えば溶接)により材料が信頼性をもって一緒に接合される限りは、材料の組合せ(例えば鋼とインコネルなど)が使用されてもよい。さらに後述するように、ケーシングの個々の部分は別々に製作されることが望ましく、こうすれば、例えば多様なプロセスおよび材料の使用を可能にする。任意で、金属射出成形など実質的に単一の作業で、ケーシング32が一体的に形成されてもよい。
【0036】
驚くべきことに、本発明のケーシング32全体は鋼などの比較的重い材料から製作されるが、超小型ターボファンエンジン(つまり、望ましくは2000ポンドスラスト以下、より望ましくは1500ポンドスラスト以下、最も望ましくは1000ポンドスラスト以下)では、これから説明するように、本発明により、エンジンSFCに直接影響する予想できない重要な利点が得られる。
【0037】
第一に、全体として比較的重い材料(例えば、マグネシウムと対比された鋼)が使用されていても、フランジ部品数を減少することによる軽量化は驚くほど重要である。縮小されたフランジでも、超小型ターボファンエンジンに対してかなりの重量を占め、これを取り除くことにより、先行技術の教示とは対照的に、ケーシングのどこかに重量を追加しても不釣合いなほど重量が軽減することが分かっている。そのため、先行技術の教示と対照的に、軽量の材料の使用を可能にする細分化ケースは、超小型ターボファン分野では実際には重くなってしまうことが分かっている。そのため、本発明によって、有益な重量の再配分が行われる。
【0038】
第二に、フランジ接続部を減少させると、公差を持つ部品と接続部の数を減少させることにより累積公差を少なくし、有益である。したがって、例えばコンプレッサベアリングマウントとコンプレッサシュラウドとを単一の部品に一体化することにより、著しく小さなコンプレッサブレード先端間隙が得られるのである。
【0039】
第三に、熱不整合部品の減少は、超小型ターボファンエンジンの著しい単純化を可能にする。第一の態様では、熱不整合の減少は、接続部に残るに違いない公差を改善する。第二の態様では、ケーシング32内の熱不整合を改良することにより、付属品ギヤボックス(AGB)など他のシステムとの境界面が非常に単純化される。
【0040】
本発明の第二の態様では、超小型ターボファンにさらなる利点を付与するケーシング32の構造が開示される。図4と5を参照して、ケーシング32の中間部分46の構造をより詳細に説明する。中間部分46は、径方向外方に延出するバイパスダクトフランジ60によって一体化された前方端部70および後方端部71を有する外側リング68を含む。外側リング68の外面には、外側リング68の剛性を補強する補剛リブ72と、やはりこの点での補助を行うエンジンマウント74とが設けられている。図5と6から分かるように、リブ72は相互に格子状に配置され、これにより外側リング68を複数のパネル68Bに分割する。AGBタワーシャフト(図示せず)を機能的に支持するとともにリング68にさらに剛性を付与するため、外側リング68には取付支持体82が設けられている。やはり外側リング68に設けられているのは、AGBを装着するための装着ブラケット84である。オイルチューブ入口83やN1プローブボス85など、他の付帯設備も設けられている。
【0041】
ケーシング32の中間部分46は、前方端部78と後方端部80とを有する内側ハブ76も含む。内側ハブ76は、さらに後述するように、外側リング68と同軸に配置され、周方向に離間するとともに内側ハブ76から外側リング68へ径方向外方かつ略後方に延出する複数のケーシングストラット40によって、外側リング68内に支持されている。HPCベアリング59(図3参照)を収容および支持することが望ましい環状ベアリングシート58は、内側ハブ76の後方端部80に(例えば後述するように溶接により)一体的に装着される。LPシャフトベアリングのための前方ベアリングハウジング(図示せず)を装着するため、内側ハブ76の前方端部78にも取付フランジ77が設けられている(図4,5参照)。
【0042】
ケーシング32の中間部分46はまた、環状内壁85と、エンジン10内の空気流に対して下流において軸方向に延在する環状外壁86とを、環状前縁先端88から拡散するように含むスプリッタ42を含む。これにより、環状バイパス経路37の一区分は外側リング68とスプリッタ42の環状外壁86との間に画定されるのに対して、コア流路36は、スプリッタ42の環状内壁85と内側ハブ76との間に画定される。さらに後述するように、内壁85と外壁86との間において内部ウェブ94がスプリッタ42に設けられて、内壁および外壁に取り付けられるとともに、望ましくはストラット40にも取り付けられている。上述したように、圧縮された空気流の圧力に耐えるため、スプリッタ42の内壁85よりも厚いことが望ましいコンプレッサシュラウド48が、(後述するように、例えば溶接により)内壁85に一体化されている。
【0043】
それぞれのケーシングストラット40を収容するため、周方向に離間した複数のスロット90がほぼ環状先端88の付近からスプリッタ42へ軸方向に延在している。ケーシングストラット40を装着するため、複数の対応ボス91,93が内側ハブ76および外側リング68にそれぞれ設けられている。
【0044】
抽気バルブ(図示せず)を固定するため、スプリッタ42の環状外壁86の後方端部には、抽気バルブハウジング92(図4,6参照)が装着されることが望ましい。中間部分46はまた、抽気システム(図示せず)と協働するため、スプリッタ42の外壁86に画定された抽気孔96を有する。抽気孔96は、スプリッタ42の製作時に形成されることが望ましい。
【0045】
組み立てられる際には、最も一般的には鋳造される先行技術の中間ケースの概観を持つが、本発明では、中間部分46の個々のコンポーネントが多様な製造プロセスによって製作されるので好都合である。好適なプロセスについてこれから説明する。外側リング68と内側ハブ76は中実体から機械加工される。外側リング68は概してかなり薄く(つまり金属薄板)、補剛材リブ72とともに、軽量だが頑丈なセミ・モノコック構造を中間ケース部分46に付与する。オイルチューブ入口83とN1プローブボス85などの付帯設備アタッチメントには鋳造(または所望により、金属射出成形、鍛造、機械加工など)が行われて外側リングに溶接またはろう付け結合されるのに対して、タワーシャフト支持体82などの他の「アタッチメント」はリングと一体的に機械加工される。ストラット40は、(金属射出成形、ハイドロ成形、フロー成形、鋳造などのプロセスが使用されるが)薄板金属二分割部分に形成されてから、中空構造となるように溶接によって一体的に結合されることが望ましい。ストラットの1本はAGBタワーシャフト(図示せず)を、別のストラットはオイルチューブとN1プローブ(図示せず)などを収容することが望ましい。ストラット40がボス91,93とスロット90内に溶接されることにより、ケーシング32の中間ケース部分46となるように外側リング68とスプリッタ42と内側ハブ70が組み立てられることが望ましい。
【0046】
図9を参照すると、代替実施例では、ストラット40と外側リング68にそれぞれ溶接されるフランジ付コンポーネント40A,68Aを含めることにより、スプリッタ42および外側リング68を備える変形ジョイントとなる構造を有するストラット40を、中間ケース部分46が有する。このようなフランジ付コンポーネントは、接続溶接部などをより頑丈にするために設けられ、ゆえにこの実施例は、本発明が設計者に自由度を付与することも示している。
【0047】
個々のコンポーネントは、一体化された中間部分46が設けられるように、望ましくは溶接(または上述した一般的なタイプの一体的結合技術)により一体化されるが、これは、中間部分46をケーシング32の他の部分(つまりファン部分44など)に一体化する前であることが望ましい。中間部分46の詳細は、様々なエンジンモデルに使用される様々な実施例に応じて変化する。
【0048】
図4と6を参照すると、ファン部分44は、ブレード14を囲繞する環状上流区分98を含む(図3参照)。上流区分98は、ブレード脱落事故の抑止を保証するほど頑丈であるか、そのためのインサート(図示せず)を含むことが望ましい。ファンケース44は、上流区分98から下流縁部103まで延在する下流区分100を含む。下流区分100は、後述するように、ファン出口ベーン38の外端部を配置して支持するスロット101を含む。
【0049】
図10を参照すると、ステータのないファン出口ベーン38が望ましくはファン部分44の外側から摺動によって挿入され、そのためこれに応じて、ファン部分44の区分100(図6参照)と内側シュラウド102にはスロット101が画定されている。ファン出口ベーン38は、ファン部分44の区分100と内側シュラウド102との間において対応するスロットに着脱自在に取り付けられ、柔軟な圧縮ばめインサートグロメット120(図11参照)とストラップ122により、ここに着脱自在に保持される。
【0050】
ファン部分44は、鋼、ニッケル、インコネルなど、一種類の材料からフロー成形される。これに代わる製造・成形技術を使用してもよく、一種類以上の材料が使用されてもよい。
【0051】
ファンケース部分44の後端部103を中間部分4の外側リング68の前方端部70に一体的に結合、望ましくは溶接することで一体的ジョイント130(図4参照)を形成することにより、ファン部分44は中間部分46に一体化される。ファン部分44の内側シュラウド102も、望ましくは132での溶接により、中間部分46の内側ハブ76に装着される。内側シュラウド102とファン出口ベーン38とは、ケーシングアセンブリ32に一体化されずに、ファン部分44が中間部分46と一体化された後で、上述したようにファン部分44へ着脱自在に取り付けられることが望ましい。
【0052】
ケーシング32のガスジェネレータケース部分52は、望ましくは単一の製造プロセスで製作されることにより一体化された、上流区分104と略円筒形の下流区分106とを含む。一体的内側リング108は上流区分104に配置され、望ましくは溶接により、ガスジェネレータケース52に前方端部で一体化される。ディフューザ18のフランジ110Aと抽気バルブ150とを固定する(図3,4,12参照)ため、取付フランジ110は内側リング108の内縁部から径方向外方に延出する。当該技術の熟練者には理解できるように、燃料噴射手段30など、ガスジェネレータ部分のエンジンコンポーネントを収容するかもしくは取り付けるため、ガスジェネレータケース52にはいくつかの開口部140(図6参照)が設けられている。下流円筒形区分106は、タービンおよび/または排気ケース54との接続のため、径方向外方に延在する取付フランジ112と一体化された後端部107を有する。ガスジェネレータケース52は、やはり望ましくは溶接により、134において中間部分46の環状外壁86のスプリッタ42の後端部89と、前端部で一体化されている。
【0053】
こうしてケーシング32のファン部分44と中間部分46とガスジェネレータ部分52とは、各々の設計と設計者の希望に応じて、例えば中実体からの機械加工、薄板金属の製作、鍛造、鋳造、フロー成形などにより、別々に製作される。別々に製作されたケースは次に、望ましくは溶接により一体的に装着される。この時、ケーシング32の製造または組立中に発生する累積公差を減らすため、ロータアセンブリの設置に先立って、一体化されたケーシング32の内部を最終的に機械加工することが望ましい。これにより、先行技術装置よりも累積公差を劇的に減少させる。
【0054】
各部分が形成される方法と、これら部分を装着するための手段そのものは、本発明にとって重要でなく、設計者の自由裁量に任される。そのため本発明では、超小型ターボファンエンジン用の一体化ケースアセンブリを設ける際の設計者の必要性を満たすための製造プロセスの選択に自由度が許される。これにより本発明では、多様な製造技術が可能であり、その中でも、先行技術によるケーシング設計では利用することのできない、中実体からの機械加工、フロー成形、薄板金属構造が注目に値する。
【0055】
本発明のまた別の態様では、本発明により可能となる製造の自由度によって、ケースに一体的に設けられたベアリングマウントが、先行技術のベアリングマウントよりも部品点数の点ではるかに単純となる。一般的な先行技術ガスタービンエンジンでは、精度の高い機械加工プロセスにもかかわらず必然的に生じるロータのアンバランスにより生じる振動を減衰するための「リスかご」として知られるアセンブリを含む、複雑なベアリングマウントが必要である。しかし本発明では、ベアリングマウント58などのベアリングマウントは、材料、構造剛性などと相関関係にある一体化による自由度を備えるため、ベアリングマウント58そのものを製造中に「調整」できることによりリスかごの必要性を回避する。こうしてベアリングマウント58は一体的に設計され、減衰機能を実施するように設けられて、別々のリスかごアセンブリの必要性を無くす。リスかごは、重量と長さと複雑性をエンジンに加えるので、このコンポーネントを無くすことは当然価値があり、そのため本発明の別の有益な特徴となる。
【0056】
さて図5,6,12を参照すると、本発明のまたさらなる態様において、ターボファンエンジンを組み立てるための方法について以下に説明する。先行技術と異なり、本発明のケーシング32は、回転コンポーネントまたは他のガスタービンコンポーネントが組み込まれる前に完全に(または実質的に)組み立てられることが望ましい。ゆえに、第一段階は、上述したようにケーシングアセンブリ32のコンポーネントを製造して組み立てることである。やはり上述した次の段階は、エンジンの効率的な動作に影響する、蓄積された累積公差を取り除くため、ベアリングマウントとコンプレッサシュラウドに関連する表面と同様の表面など、ケーシング32の内面の機械加工であることが望ましい。次の段階は、望ましくはケーシングアセンブリ32の入口34からファン部分44へと、ファンロータアセンブリ13をケーシング32の内部へ挿入して(図示されていない段階)、望ましくはガスジェネレータ部分52から抽気バルブ150とコンプレッサアセンブリ16とをケーシング32へ挿入することであり、ガスジェネレータ部分52(図12を参照)を介することが望ましい。ディフューザ18と燃焼器20とタービンアセンブリと他のコンポーネントも、やはり望ましくはガスジェネレータ部分52の後端部からケーシング32へ挿入される。次に、タービン・排気ケース54とバイパスダクト56と他のエンジンコンポーネントとをケーシングアセンブリ32へ取り付けることにより、エンジン10の組立プロセスが完成する。ケーシングへのこれら内部アセンブリの挿入および組立の具体的な順序は、好みまたはエンジン10の設計レイアウトに左右されるが、本発明は、完成または実質的に完成したケーシング32の内部へのエンジン10のコアの組み付けを含むことにより、全体としてより効率的な、ガスタービンエンジンのための組立技術を可能にする。
【0057】
また本発明では、フランジ接続部などの固定具が必要なく、そのため必要な「最終」組立段階が少ないため、ガスタービンエンジンの短時間組立が行われ、好都合である。
【0058】
上述したように、本発明は、いわゆる超小型ガスタービンエンジン、すなわち、「個人用」ジェット機と呼ばれることもあるジェネラルアビエーション航空機に使用するための一般的に2000ポンドスラスト以下のエンジンに使用するという特定用途を持つ。この市場は、縮小の限界と経済的な設計および動作への挑戦が行われているガスタービンターボファン技術の最先端である。ミサイルエンジンに使用されるものなどの先行技術の小型タービンは全く適していない。ミサイルエンジンは(軍隊の遺産的慣行のため)、製造と動作が例外なく高価であり、最大スラストで連続運転される極めて短時間(数時間)の寿命となるように設計されている。しかしここで考案される超小型ターボファンは、当然、数千時間にわたって様々なスラストレベル(例えばアイドル、地上移動、離陸、上昇、巡航、進入、着陸)で断続的に作動し、言うまでもなく、手頃な値段で運転が静かであり環境に優しくなければならない。同様に、動力発生分野ではマイクロタービンが急増し始めているが、航空機の用途では、工業用マイクロタービン設計には一般的に見られない極めて軽量で信頼性のある設計を必要とするので、この技術もたいてい適していない。したがって、本発明では、ジェネラルアビエーションパイロットに操作が手頃なターボファンを提供するという分野において進歩が見られる。
【0059】
本発明では、超小型ターボファンサイズの範囲において、従来の大型設計よりもケーシングの総重量を低下させるターボファンケーシングを設けることが可能である。軽量化の一部は、設計者が金属の使用を最適化することにより重量を低下させられる一体的補剛肉薄シェル構造を有する中間ケース区分46の肉薄シェル補剛セミ・モノコック設計によるものである。再び図5,6,7を参照すると、外側リング68の「パネル」68Bのバランスの取れたせん断力を受け止める補強部材の圧縮力および張力により外部荷重のバランスを取るため、リブ72およびストラット40により、そしてエンジンマウント74とリング68上の他の類似の特徴により、肉薄「シート」外側リング68の「パネル」68Bが特定の箇所で補強される。こうして、500%以上厚い鋳造構造に匹敵する剛性を備える安定した構造が得られる。ケーシングの総重量が著しく低下するのは、この方法をアタッチメントの簡易化と組み合わせることによるものである。
【0060】
再び図5,6,7を参照すると、上述したように、外側リング68は、外側リング68を中心として軸方向かつ周方向に延在することにより複数の肉薄シェルパネル68Bを間に画定する複数のリブ72を含む薄壁セミ・モノコック設計を持つ。リブ72の軸方向および周方向の配置により、パネル68Bは略矩形の形状を持ち、リブは多かれ少なかれ相互に平行または垂直である。リブ72と肉薄シェルパネル68Bとを示す図14に、外側リング68の部分的上面図が見られる。
【0061】
スプリッタ42は支持されて、コア流通路36をバイパス流通路37から分離する。各ストラット40は前縁40Aから後縁40Bまで延在し、後縁は、曲げまたはねじれ40Eによって結合された内側部分40Cと外側部分40Dとを有する曲げ、ねじれ、不連続を持つ輪郭を有する。各ストラット40は内端部から外端部(図示せず)まで延在して、内側および外側リングに一体的に設けられたボス93,91とそれぞれ当接してこれに接続される。
【0062】
さて図13を参照すると、スプリッタ42がストラット40に結合され、ストラット40およびスプリッタ42と協働することにより隣接ストラット40の間に複数の密閉区分中空トルクボックス41を画定する(図15も参照)内部ウェブ94を含む(図3〜5参照)。そのため、図15に描かれたエンジンの例では、6本のストラットが見られるので、6個のトルクボックス41がこの間に形成されている。ストラット40とスプリッタ42とウェブ94とは、せん断力伝達ジョイント(例えば、溶接、ろう付け結合、他の接合によるジョイント、または一体的構造を持ち、それ自体は「ジョイント」でないもの)により、相互に結合されている。ジョイント(図16aで42A,94Aによって指示されている)は、後述するように、予想される荷重によるトルクボックスの変形を防止するのに必要なせん断力接続部を設けるのに充分に頑丈であることが望ましい。これらのトルクボックスは、ガスジェネレータケースからスプリッタまで伝達されるエンジンコアの重量に関連する曲げモーメントを伝達するための機構となる(例えば図3,4,6参照)。
【0063】
スプリッタ42はさらに、トルクボックス41の若干後方に周方向補剛リング43を含むことが望ましい。同様に、内側ハブ76は、その内面に一対の周方向補剛リング76A,76Bをそれぞれ含むことが望ましく、ストラット40とボス91とが内側ハブ76と当接する箇所に対応するように軸方向に配置されることが望ましい。後で詳述するように、内側ハブ76は、ベアリング57においてメイン低スプールスラストベアリングを支持し、また、ベアリングアタッチメントシート58とベアリングバンパ58Aも含む。
【0064】
マウント74がストラット40の重心軸“CA”(図12参照)とほぼ整合するようにマウント74がストラット40に対して配置されることにより、マウント74に対してストラットを曲げようとする荷重の傾向を著しく軽減することが望ましい。「重心軸」は、ストラット40のすべての軸方向区分の重心を通る(つまり、図13に見られるように、ストラット40の水平区分の重心を通る)線を意味することが理解できるだろう。
【0065】
このように、上述した、肉薄シェルせん断パネル68Bと軸方向及び周方向の補剛材72とで構成されるセミ・モノコック構造である外側リング68は、従来の航空機胴体を裏返ししたものに類似している。この構造に付与される荷重は、リブ72の張力または圧縮力(最初の荷重の方向に応じて)として受け止められ、パネル68Aの対向せん断力によって内部でバランスが保たれる。こうして応力は隣接リブ72の間で分散され、面内方向の張力と圧縮力とせん断力への分解によって曲げ力が回避される。このようにせん断力で荷重を受け止める方法は、一般的な先行技術による鋳造エンジンケースと比較して、比較的高い構造効率と剛性とを中間ケース部分46に与える。上記の設計では、エンジンマウント74とストラットボス93も、隣接するせん断パネルと連通する張力/圧縮荷重ベアリング部材として作用する。こうして、最終的に航空機へ伝達するため、ストラット40/ボス93を介して荷重が外側リング68へ伝えられ、セミ・モノコック構造つまりリブとせん断パネルを通してエンジンマウント74へ伝えられる。面外方向の曲げ力は面内方向の圧縮/引張荷重へ分解されるため、プレート曲がりの際にケーシング区分のみによって曲げが受け止められることがなくなるので、先行技術による厚いケース区分は必要ない。その結果、鋼など高い係数(modulus)の材料が使用される際には特に、先行技術よりも著しく軽量なケーシングが得られる。図14に見られるリブ・パネル構造が好適であるが、格子は規則的でもある必要も矩形である必要もなく、設計者が好む効率的な構造を使用すればよい。
【0066】
外側リング68と同様に、内側ハブ76も以下のようにセミ・モノコック構造を備える。補剛材リング76A,76Bとストラットボス91とは、図17に描かれているように、リング76A,76Bとストラットボス91の引張または圧縮荷重をパネル76Cのせん断力として受け止めることにより構造のバランスを取る複数の肉薄シェルせん断パネル76Cに、ハブ76の環状面を分割するように協働する。このようにして、内側ハブの曲げが最小となるため、パネル76Cは先行技術よりもかなり薄い(例えば本発明は0.050インチ以下のパネルを有する)。さらに後述するように、曲げを減少させるためベアリングバンパ58Aが設けられてもよい。
【0067】
使用時には、内側ハブ76に付与されるベアリング荷重は、以下のようにストラット40を介して外側リング68に伝達される。一般的に、エンジンスラストと、ブレード脱落事故または鳥の衝突のような一時的な力学的事故により発生するベアリング荷重は、主としてベアリングセット57(ベアリング58は一般的に、このような事故時の付加的な荷重にはほとんど役立たない)に受け止められて、内側ハブ76の前縁に伝えられる。セミ・モノコック設計の内側ハブは、上述したように付与された荷重を引張/圧縮、せん断力として内部で受け止める。ベアリング荷重は、圧縮または引張力として主としてストラット40の前縁40Aを通ってマウントパッド74へ伝えられる。後述する理由から、マウントパッド74はストラット40断面の重心軸CA上に(またはその付近に)設けられる。
【0068】
使用時には、ガスジェネレータケースを介して接続されたエンジンの残部によってエンジン慣性荷重がスプリッタ42にも付与され、これはストラット40を介して外側リング68へ伝達される。一般的に、エンジン慣性荷重は(ガスジェネレータケースが装着された)スプリッタを介して中間ケース46へ伝わり、圧縮または引張荷重としてストラット40の後方外側部分40Dで受け止められる。これらの荷重はストラットおよびトルクボックスを曲げようとし、そのため、補剛材94が引張または圧縮力としてストラットの後部へ伝達するせん断力へ荷重を変換するというトルクボックス41の反応によって、ストラット40の構造に受け止められる。トルクボックス41について、以下でより詳細に説明する。
【0069】
トルクボックス41は、ストラット40とスプリッタ42と補剛材94との間に形成される中空の密閉室である。以下で明らかとなるように、トルクボックス41は目的と機能において航空機ウィングに設けられるトルクボックスに類似しているが、ここでは円筒体に巻かれた航空機ウィングに構造が類似している。いずれ分かるように、後方補剛材ウェブ94は、この円筒形ウィングの翼桁に類似している。トルクボックス41は、1本以上のストラットに付与される荷重(例えば、曲げモーメントと横せん断力)を室内のバランスの取れたせん断力の流れへ「変換」し、これから説明するように、これは次に隣接のストラットへ「伝達」されてこれに受け止められる。
【0070】
図15,16a,16bを参照すると、1本のストラット40上の一方向の曲げモーメントなどの荷重は、トルクボックス41’によって2本の隣接ストラット40’へ伝えられ、これらストラットが言うまでもなく力を吸収して、反作用成分を隣接ストラットへ伝達することにより第1ストラットへ付与された荷重の影響を低下させようとする。このようにして荷重の分散が達成される。(図16bでは説明を目的として3本のストラットの相互作用のみが示されているが、ストラット40’は同様に、外部および内部荷重をそれぞれのトルクボックスを介して隣接のストラットに伝達し、こうして外部および内部荷重はストラット40間の構造全体に再分配される。)やはり図16aを参照すると、以下で詳述するように、スプリッタに装着されたガスジェネレータの重量/慣性によって付与されるものなど、トルクボックス41へ付与されるねじれ荷重(丸い点刻矢印で指示)も、この場合には望ましくは大部分がせん断力としてトルクボックス41に受け止められ、ウェブ94からストラット40までせん断力伝達ジョイント94Aを通るせん断力(直線の点刻矢印で指示)によって、少なくとも部分的に面内方向荷重としてストラット40へ伝えられる。補剛材リング43は、慣性荷重をより均一にトルクボックス41へ分散するのに役立つ。そのためトルクボックスの構成と構造はともに、隣接ストラットの間で荷重を分配するとともに、ねじれおよび曲げ荷重をせん断力に変換するのに役立ち、この力がストラット40のほぼ純粋な(望ましくは)圧縮力または引張力として伝達される。
【0071】
そのため、ストラットの接続が固有の形であるので、トルクボックスを通して隣接ストラットの間で1本のストラットの変位の傾向が固有の形で受け止められてバランスが取られ、これは、鳥の衝突などの一時的な力学的事故の場合でも、荷重を再分配するだけでなくストラットへの曲げ力の大きさをかなり低下させる。プレート曲げが見られないため先行技術と比べてケーシングとストラットの断面厚さがかなり減少し、曲げ力がかなり低下して、本発明のストラットの薄壁構造の使用が可能となる。
【0072】
やはり図16aを参照すると、トルクボックス41からストラット40へ伝達される面内方向の荷重は、引張または圧縮(荷重の方向に応じて)としてストラット40の後部40Dに付与され、この内部引張または圧縮荷重は次に、ストラット40の後部40Dによって外側リング68と最終的にはエンジンマウント74へ伝えられる。ストラット40’の形状は、慣性荷重からベアリング荷重を分割するのに使用される。すなわち、ストラット40の後部40Bの曲げまたはひねり40Eは、ストラット40の軸方向剛性を低下させて、エンジンで発生する荷重のための2本の別々の荷重経路(つまり、上述したように1本はベアリング荷重のため、1本は慣性荷重のため)となる。ストラット40のひねり形状は内側ハブへの荷重経路を遮断することにより、スプリッタからハブへの荷重の伝達を妨げる。これは、ストラットへの曲げを有益に減少させて荷重の伝達を単純にすることにより、薄壁ストラット構造の採用を可能にする。図18aと18bを参照すると、先行技術のストラットは、伝達された曲げ力を受け止める必要があったので、適切な曲げ強度を付与するのに充分に厚い区分(図18b)が先行技術ストラットでは必要であった。しかし本発明では、ストラット40の曲げが低下すること、また望ましくは無くなることによって、当然、先行技術よりもはるかに軽量の薄板金属ストラット(図18a)を使用できる。
【0073】
上述したように、エンジンマウントは重心軸に沿って(またはできる限りその近くに)配置されることにより、ストラット40から中間ケース46へ伝えられた引張/圧縮荷重の結果として中間ケース46へ付与される曲げモーメントを無くす(または処理可能なレベルまで低下させる)ことが望ましい。このようにして、中間ケース46およびストラット40における曲げが低下し、さらにケースとストラットのセミ・モノコックおよび薄壁設計を充分に活用する機会が増えることにより、構造効率を最大に、重量を最小にする。内側ハブ76と外側リング68のセミ・モノコック構造の構造効率はこうして向上し、本発明のストラット40を使用することによって強化され、これらのコンポーネントは個別でも有効に使用できるが、これらの二つ以上また望ましくは三つすべてを一緒に使用すると、その結果得られるその間の本質的な協働により、さらなる長所と利点が達成される。
【0074】
上述したように、ねじれ荷重の結果としてトルクボックス41に生じるバランスの取れたせん断力の流れは、スプリッタとストラットのジョイント(42A,94A)において主としてせん断荷重としてストラット40に受け止められる。こうしてこれらのジョイントでは引張荷重が実質的に存在せず、ジョイント42A,94Aを設けるため隅肉溶接部の使用が可能となるので好都合である。また、これらのジョイントの長さが比較的長く、構造全体の複数のジョイントの間で(つまり複数のトルクボックスで)荷重が分散されることにより、ジョイントへのせん断応力は比較的低く、そのためストラットとトルクボックス断面の厚さをさらに減少させられる。こうして、非常に薄い寸法の金属薄板が使用できる。
【0075】
ストラットは、マウントへ伝達される許容範囲の荷重をその圧縮能力により制限する荷重「ヒューズ」として作用するように設計されると好都合である。(薄壁ストラットへ充分な圧縮荷重が付与されると、ストラットが破壊することは理解できるだろう。)例えば、ストラットは、ある閾値荷重(例えば重大な衝突)を受けた時に破壊することにより、このような事故の際に航空機へ伝達される荷重(ひいては破損)の量を制限するように設計される。上述の好適な態様において考えられる実施例では、内側ハブによってストラットへ閾値ベアリング荷重が付与されると、このような事故の荷重を受けて破損することにより、これをエンジンマウントおよび航空機へ伝達するのでなく塑性変形によりエネルギーを吸収するように前縁が設計されている(つまりその厚さなどにより)。設計時には、ストラットにより伝達される最大許容荷重が決定されてから、この最大荷重または比較的大きな荷重が付与されると破壊するか構造が損なわれることにより、エンジンマウントへの荷重伝達を制限するストラット構造が決定される。
【0076】
図13を再び参照すると、内側ハブ76の剛性の向上を助けるため、ベアリングバンパ58Aを設けることができる。例えば、中間サイズの鳥が衝突する事故の際に、内側ハブ76にはかなり大きな非対称ベアリング荷重が付与され、これはエンジンシャフトの曲げを引き起こし、ベアリングハウジング、そしてベアリングシート58を歪ませる傾向がある。バンパ58Aは、バンパ58Aとベアリングシート58(またはベアリングまたは他の適切な表面)との間にある小さな間隙(この特徴を描くには図13の縮尺は小さすぎるので図示されていない)を備える、脚部または抑制タイプの装置である。間隙は、このような事故の際に望ましい許容範囲の撓みの量に対応することが望ましい(例えば0.005インチ)。比較的大きな撓みを受けた場合、バンパはベアリングシート58がこのような撓みに抵抗するのを助ける。そのため、内側ハブ76の厚さはこの曲げ力と撓みを単独で受け止める必要がないので、この単純な装置によって、内側ハブ76の後部(つまりベアリングシート58を支持する部分)がかなり薄くなる。そのため、これはストラット40の底部と後部への荷重を軽くするのに役立つため、内側ハブ76とベアリングシート58が薄く、さらに軽量になる。
【0077】
本発明のそれぞれの面によって達成される個々の軽量化は、大型ターボファンエンジンについての検討では重要ではないが、超小型ターボファンエンジン(例えば2000ポンドスラスト以下)の場合には、細かい軽量化が蓄積される結果、大きな軽量化となる。
【0078】
本発明は、面外方向の荷重(例えば曲げ荷重)を平面へ戻し、せん断パネルによって引張・圧縮荷重のバランスを取ることにより、隣接パネルの間に、等しく反対方向のせん断力の流れを生み出そうとする多面構造である。
【0079】
本出願では、「薄壁」は金属薄板のタイプの厚さを意味し、「薄い」は付与される荷重に対して解釈されるため、薄壁はプレート曲がりの際に付与される曲げ力を実質的に受け止めることはできない。
【0080】
上記の説明は好適な実施例についてのものであるが、本発明は、添付された請求項の範囲から逸脱せずに改良と変更を行うことができることが理解できるだろう。例えば、超小型ターボファンエンジンへの適用に関して説明されたが、本発明の原理を適用する際には大型のターボファンまたは他のガスタービンエンジンでも何らかの利点が得られる。ある材料と製造方法の使用が好適なものとして開示されたが、本発明を逸脱せずに他の材料と方法を代わりに使用してもよい。本発明の利点を達成するために、ケースは上述のように一体化される必要はない。同様に、ストラットは必ずしもすべての実施例で中空である必要はないし、上述のように単一の「室」を含む必要はなく、多数の室が中に画定されてもよい(図19参照)。図16cに見られるように、トルクボックスは、より多くの室を含んでもよい。トルクボックスはスプリッタそのものを含む必要はなく、スプリッタの内部またはその他の箇所の付加的な構造であってもよい。ベアリングと慣性の両方の荷重を伝達するには単一のストラットが望ましいが、多数のストラット(例えば上流および下流のストラットの対)が使用されてもよい。リング68とハブ76のセミ・モノコックせん断パネルは、矩形または規則的なサイズである必要はない。発明者が意図した本発明の範囲に包含されるこの他の改良は当該技術の熟練者には明らかであり、そのため、添付された請求項にはこのような改良を除外する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】従来のターボファンエンジン用ケースアセンブリの簡単な分解斜視図である。
【図2】同様の従来ケースアセンブリの概略断面図である。
【図3】本発明によるターボファンケースの概略断面図である。
【図4】図3の実施例の部分的な概略断面図である。
【図5】図4のアセンブリの中間部分の、一部切除された分解等角図である。
【図6】図5の中間ケース部分の組立手順を示す、図4のアセンブリの分解等角図である。
【図7】図5と6に示された中間ケース部分の等角正面図である。
【図8】図5〜7に示された中間ケース部分の等角背面図である。
【図9】本発明の中間ケース部分の代替実施例の一部についての分解拡大等角正面図である。
【図10】本発明の組立済みケースの断面についての拡大等角正面図である。
【図11】ファン出口ベーンの設置を示す本発明の一部分の拡大断面図である。
【図12】本発明による組立段階を示すいくらか概略的な断面図である。
【図13】図12の一部の拡大図である。
【図14】図13のケースの部分的上面図である。
【図15】図12のケースの背面図である。
【図16a】図15と同様の視点から見た図12のケースのスプリッタおよびストラットにおける力の伝達を概略的に表す。
【図16b】図15と同様の視点から見た図12のケースのスプリッタおよびストラットにおける力の伝達を概略的に示す。
【図16c】スプリッタの代替構造を示し、図16aと類似している。
【図17】図12のケースの内側ハブのいくらか概略的な上面図である。
【図18a】図12のストラットの断面図である。
【図18b】先行技術によるストラットの同様の図を示す。
【図19】図12のストラットの代替構造についてのいくらか概略的な図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジン、より詳しくはターボファンエンジンのケースに関連する。
【背景技術】
【0002】
一般的な航空パイロットによって経済的に操縦できる手頃な「超小型」ターボファンエンジン(つまり2000ポンドスラスト以下)の需要がある。小型のターボファンガスタービンエンジンは、軍条例で配備されるミサイルに使用するものとして知られているが、経済的で手頃で効率的な動作と、数千時間(分でなく)で測定された耐久性などの要件は、設計者にとって無関係であった。そのため、このような先行技術によるミサイルエンジン設計からは、この種の市場が実現するのに必要となる主な要素成果物(デリバラブル)は何も得られない。同様に、産業用マイクロタービンが利用できるが、重量とサイズなどの要件から明らかに、その設計は航空機原動機としての使用にはあまり適していない。
【0003】
また、従来の大型ターボファンエンジンを縮小しても、主として、重量に対する強度や公差など、ある種の要因を比例して縮小できないことによる問題が生じる。例えば、ターボファンエンジンは一般的に、主として軽量化のためである細分化されたケースアセンブリを有するが、これは製造と組立を容易にもする。従来のケースアセンブリ200が図1に図示されており、中心線212を中心に、ファンケース202と、中間ケース204と、コンプレッサケース206と、ガスジェネレータケース208と、タービンケース210と、タービン排気ケース211とを含む。ガスジェネレータケース208とタービンケース210とタービン排気ケース211とはエンジンの高温部を包囲し、一般的には、良好な耐熱性を有する鋼またはニッケル合金で製造される。しかし、鋼は比較的重く、そのため中間ケース204とコンプレッサケース206などの比較的低温の部分では、一般的にマグネシウムまたはアルミニウムなど軽量の材料を使用する。鋼は、その強度がブレード脱落事故への対処に望ましいため、従来、ファンケース202に使用されている。
【0004】
同じような先行技術の構造300が図2に図示されており、ケースアセンブリ300(上半分のみ示される)は、中心線312に沿って一緒にボルト結合されたファンケース344と中間ケース346とガスジェネレータケース352(タービンケースと排気ケースは示されていない)とを有する。コンプレッサブレードを囲繞するコンプレッサシュラウド348が、箇所357のベアリングシート(図示せず)のように中間ケース346にボルト結合されている。材料の異なるケースコンポーネントの間の熱膨張率の差に対応するため、フランジ接続部302,304,306が設けられている。一般的にケースコンポーネントは段階的に組み立てられ、エンジンコンポーネントのトップレベルアセンブリがここに組み付けられる。
【0005】
しかし、これらの大型ケース設計を単純に縮小すると、「超小型」ターボファンエンジンではいくつかの理由から問題が生じる。一つは、関連する公差の累積であって、これは一般的には比例しない(つまり、部品サイズが小さくなるにつれて製造および組立プロセスの精度が向上しない)。一般的なターボファンエンジンでは、累積公差はコンポーネントのサイズに比べて小さいため、それほど重要でない。しかし、例えばブレード先端の間隙を考慮すると、燃料消費率(SFC)はブレード先端の間隙と直接関連するので、累積公差は超小型ターボファンエンジンの全体的な効率に非常に重大な影響を及ぼす。不適当な累積公差によって生じる先端摩擦を回避するため、ブレード先端間隙は累積公差を考慮しなければならず、そのため累積公差は効率に直接的な影響を与えるのである。縮小によって生じる別の問題は、たいていは各要素が異なる割合で縮小されることである。例えば、公称寸法で本来のサイズの半分に縮小されたコンポーネントの重量が必ずしも半分になるわけではない。
【0006】
サイズ縮小に対する障害となる別の面は、補正が必要であるために重量と複雑性を高める熱膨張率の差である。例えば、付属品ギヤボックス(AGB)タワーシャフトは一般的に、熱膨張の差を補うために伸縮式の設計(および関連のベアリング)を必要とする。超小型ターボファンエンジンでは、このような適応により、エンジンが実現不可能なほど高価となり、動作が非効率的となる。そのため、縮小ターボファンは全く非効率的であるとともに重く、ゆえにジェネラルアビエーション(一般航空)市場で使用するには高価すぎる。ゆえに、超小型ターボファンエンジンのこのような設計問題に対処することが重要である。
【0007】
別の問題は、エンジンスラスト、異物衝突、ブレード脱落事故など、ベアリングを介して及ぼされる荷重によって生じるとともに、当然支持されなければならないエンジン重量によって生じる慣性荷重により生じる、エンジンマウントに対する非対称な荷重を、図1と2に描かれているようなエンジンケースが受けることである。これらの非対称荷重の結果、エンジンケースを通してエンジンマウントへ伝達されなければならない曲げモーメントとせん断力が発生する。先行技術では一般的に、プレート曲がり(板曲げ)の際の曲げモーメントを受け止めるのに、鋳造エンジンケースコンポーネント(図1の202,204,206,208,210,211など)のような厚壁構造に依存している。しかし、プレート曲がりでは、厚壁ケーシングが、破損を起こすことなく曲げ力に抵抗してこれを支承する必要がある。しかし、超小型エンジンにおいては、厚いケーシングはエンジン重量全体の中で重要なコンポーネントとなる。この問題への代替アプローチが、ナセル荷重がエンジンへ伝えられるように、エンジンとナセル構造に亘って荷重、特に曲げ、を伝達するための一体的ウェブ構造が提示された米国特許第4,132,069号に開示されている。しかし、この方法ではエンジンにコンポーネントを追加し、これが信頼性を低下させるとともに重量とコストを増大させる。そのため、いくつかの面でエンジンケース技術の改良が望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そのため、ガスタービンエンジンケース技術を改良することが本発明の目的の一つである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、少なくともファンアセンブリとコンプレッサセンブリと燃焼器アセンブリとタービンアセンブリとを含むターボファンエンジン用のケーシングが設けられる。このケーシングは、ファンケース部分と中間ケース部分とガスジェネレータケース部分とを含む。ファンケース部分と中間ケース部分とガスジェネレータ部分とは一体的に結合されることにより、一体的ケーシングを形成する。
【0010】
本発明の別の態様によれば、バイパスターボファンエンジンが設けられる。このバイパスターボファンエンジンは、エンジン内で流れが流通状態となるように配置された少なくともファンとコンプレッサとガスジェネレータと、少なくともコンプレッサとガスジェネレータの周囲に画定されるバイパス空気流とを含む。ファンとコンプレッサとガスジェネレータとをほぼ包囲する単体ケーシングが設けられる。
【0011】
本発明のさらなる態様によれば、航空機用のターボファンエンジンが設けられ、このターボファンエンジンは、推進ファン部分とコンプレッサ部分とガスジェネレータ部分とを含む回転アセンブリを含む。回転アセンブリは軸方向長さを有する。回転アセンブリをほぼその軸長に沿って包囲することによりエンジン内にメイン流路を画定する略管形のケーシングアセンブリが設けられる。ケーシングアセンブリは、一体化された単体である。
【0012】
本発明の別のさらなる態様によれば、ケーシングアセンブリを含むターボエンジンの重量を低下させる方法が設けられる。この方法は、ターボファンエンジンと関連のバイパス流とを包囲するため単体の一体化されたケースを設ける段階を含む。
【0013】
本発明のまたさらなる態様によれば、航空機用のガスターボファンエンジンを組み立てる方法が設けられる。この方法は、ファンケースと中間ケースとガスジェネレータケースとを含むガスターボファンエンジンケーシングアセンブリを設ける段階と、推進ファンアセンブリとコンプレッサアセンブリとガスジェネレータアセンブリとをケーシングアセンブリに載置する段階と、他のコンポーネントをケーシングアセンブリに取り付けることによりエンジンの組立を完了する段階とを含む。
【0014】
本発明のさらに別の態様によれば、航空機ターボファンバイパスエンジン用のケーシングが設けられ、このケーシングは、エンジンを囲繞するのに適しており、エンジンを航空機へ取り付けるのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、エンジンのメインシャフトを支持する少なくとも1個のベアリングを支持するのに適した内側ハブであって、内側ハブからケースまで延在する複数のストラットによりケース内部に支持された内側ハブであり、ストラットが内側ハブからケースまでの主要荷重経路を画定する、内側ハブと、ストラットにより内側ハブとケースとの中間に支持されたスプリッタであり、ストラットがさらにスプリッタからケースまでの主要スプリッタ荷重経路を画定し、エンジンのコア空気流通路とバイパス空気流通路との間でエンジン吸入空気流を分割するのに適したスプリッタとを含み、ケースが、複数のリブとその間の複数の薄壁せん断パネルとを含むセミ・モノコック構造を有し、これによりケースは、リブの圧縮力と引張力により、ケーシングに付与される外部荷重のバランスを取って、バランスの取れたせん断力をパネルで受け止めるのに適している。
【0015】
本発明のさらに別の態様によれば、エンジンコアと、エンジンコアの少なくとも一部分を包囲するケーシングとを含む航空機バイパスターボファンエンジンが設けられ、ケーシングは、複数の中空ストラットと複数の相接部材とを含み、ストラットは、内側ハブとケーシングとの間において周方向配列で延在し、ストラットの各々は、相接部材の少なくとも1個により、少なくとも2本の周方向隣接ストラットと相接し、相接部材の各々は、それぞれストラット側面に取り付けられた二つの端部を有し、各部材は中空密閉区分を含み、密閉区分は、ストラット側面と、隣接のストラットの間に延在する少なくとも1個の要素とにより少なくとも部分的に密閉され、この要素は、相接部材および隣接のストラットに対する整合のため、相接部材にトルクが付与される時にストラットにせん断力を伝達するのに適している。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、外側リング部分と、内側ハブ部分と、複数の中空ストラットと、複数の中空トルクボックス部材とを含む航空機バイパスターボファンエンジンケーシングが設けられ、外側リング部分は、航空機へのエンジン支持接続のため少なくとも1個のエンジンマウントを有し、ストラットは、周方向配列で配置されるとともに、内側ハブ部分を外側リング部分へ取り付けるため内側ハブ部分から外側リング部分まで延在し、複数のトルクボックス部材は、少なくとも1個が配列内の隣接のストラットの間に延在することにより各ストラットをすぐ隣接するストラットに接続するように配置され、トルクボックス部材は、付与されるトルクをせん断力へ変換して、このせん断力をストラットへ伝達するのに適している。
【0017】
本発明の別の態様によれば、航空機バイパスターボファンエンジン用の荷重支承装置が設けられ、この装置は、少なくとも1個のメインシャフトベアリングを支持する内側ハブと、少なくとも1個のエンジンマウントを有する外側ケーシングと、周方向配列で延在する複数のストラットを含む中空ストラットアセンブリとを含み、複数のストラットはそれぞれ、内側ハブに接続された第1端部から外側ケーシングに接続された第2端部まで延在し、ストラットは、配列内のすぐ隣接のストラットと対向する側面を有し、ストラットアセンブリは、隣接するストラットの間での荷重分散のための手段を含み、この手段は、隣接するストラットの間に延在するとともに、各ストラット側面の中間部分に接続されている。
【0018】
本発明の別の態様によれば、航空機バイパスターボファンエンジン用の荷重支承装置が設けられ、この装置は、少なくとも1本の空気流通路を一緒に画定する外側リングおよび内側リングと、周方向配列で通路にわたって外側リングおよび内側リングの間に径方向に延在する複数の中空ストラットと、複数の中空トルクボックスとを含み、各トルクボックスは、せん断伝達ジョイントによって、隣接するストラットの中間部分に接合され、外側リングは、エンジンを航空機へ取り付けるための複数のエンジンマウントを有し、トルクボックスは、これに取り付けられたエンジンコアによりトルクボックスへ付与されるトルクを、エンジンマウントにエンジンコアの荷重が伝達されるための、せん断力としてストラットへ伝達するのに適したウェブ部材を含む。
【0019】
本発明のまた別の態様によれば、航空機バイパスターボファンエンジン用のケーシングが設けられ、このケーシングは、エンジンを囲繞するのに適するとともに、エンジンを航空機へ取り付けるのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、エンジンのメインシャフトを支持する少なくとも1個のベアリングを支持するのに適した内側ハブとを含み、内側ハブは、内側ハブとケースとの間に延在する複数のストラットによりケースに対して支持され、内側ハブは、複数の補剛材と、その間の複数の薄壁せん断パネルとを含むセミ・モノコック構造を有し、これにより内側ハブは、内側ハブに付与される外部曲げ力を、実質的に補剛材の圧縮力および引張力とパネルのせん断力として分解するのに適している。
【0020】
本発明のまたさらなる態様によれば、航空機バイパスターボファンエンジン用のケーシングが設けられ、このケーシングは、エンジンを囲繞するのに適するとともに、エンジンを航空機に取り付けるのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、エンジンのメインシャフトを支持する少なくとも1個のベアリングを支持するのに適した内側ハブとを含み、内側ハブは、内側ハブとケースとの間に延在する複数のストラットによりケースに対して支持され、内側ハブは、複数の補剛材と、その間の複数の薄壁せん断パネルとを含むセミ・モノコック構造を有し、補剛材とパネルとは、内側ハブに付与される外部曲げモーメントを、補剛材の圧縮力および引張力とパネルのせん断力として受け止めるような構造を持つ。
【0021】
本発明の別の態様によれば、航空機ターボファンバイパスエンジン用のケーシングが設けられ、このケーシングは、エンジンを囲繞するのに適するとともに、エンジンを航空機へ取り付けるのに適した複数のエンジンマウント上に有するケースと、エンジンのメインシャフトを支持する少なくとも1個のベアリングを支持するのに適した内側ハブであって、内側ハブとケースとの間に延在する複数のストラットによりケースの内部に支持される内側ハブであり、ストラットが内側ハブからケースまでの主要荷重経路を画定する、内側ハブと、ストラットにより内側ハブとケースとの中間に支持されたスプリッタとを含み、ストラットはさらに、スプリッタからケースへの主要スプリッタ荷重経路を画定し、スプリッタは、エンジンコアの空気流通路とバイパス空気流通路との間においてエンジン吸入空気流を分割するのに適しており、ストラットは、スプリッタと内側ハブとの間で荷重経路を遮断することにより内側ハブへのスプリッタ荷重の伝達を阻止するための後縁部分の手段を含む。
【0022】
本発明のさらなる態様によれば、ガスタービンエンジン用のシャフトベアリング支持装置が設けられ、この装置は、ベアリング支持部材と抑制装置と抑制面とを含み、抑制装置と抑制面とは、ベアリング支持部材に取り付けられたベアリングによって支持されたシャフトが使用時に撓む時に、相対的な撓みを間に受け、所望する最大の相対的撓みが発生した時に抑制装置と抑制面との間に接触が生じるように、所望する最大の相対的撓みに等しい間隙が抑制装置と抑制面との間に設けられ、これにより抑制装置と抑制面は、所望する最大の相対的撓みを超える撓みを接触により阻止するのに適している。
【0023】
本発明の付加的な態様によれば、航空機ターボファンバイパスエンジン用のケーシングが設けられ、このケーシングは、エンジンを囲繞するのに適するとともに、エンジンを航空機に搭載するのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、エンジン構造とケースとの間に延在する複数のストラットとを有し、ストラットは、エンジン構造からケース上のエンジンマウントへ荷重を伝達するため、エンジン構造からケースへの主要荷重経路を画定し、ストラットはそれぞれ、ストラットの長さに沿って複数のストラット区分の重心位置の軌跡に沿って画定される重心軸を有し、エンジンマウントは、ストラット重心軸の1本に実質的に対応するようにケースに配置されることにより、ストラットによってエンジンマウントへ伝達される荷重の結果としてのケースの曲げ荷重を最小にする。
【0024】
本発明のさらなる態様によれば、航空機ターボファンバイパスエンジン用のケーシングが設けられ、このケーシングは、エンジンを囲繞するのに適するとともに、エンジンを航空機へ取り付けるのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、エンジン構造とケースとの間に延在する複数のストラットとを含み、ストラットは、エンジン構造からケースのエンジンマウントへ荷重を伝達するためエンジン構造からケースまで少なくとも1本の荷重経路を画定し、少なくとも数本のストラットは、予め選択された荷重が荷重経路に沿って付与されると塑性変形することにより、ストラットからエンジンマウントへの荷重伝達を、予選択荷重を下回る量までストラットが制限するのに適している。このようなケーシングを設ける方法も開示されている。
【0025】
なお、本発明の他の特徴と長所は、後述する好適な実施例を参照すれば、より良く理解されるだろう。
【0026】
本発明の一体的ターボファンエンジンケーシングは、とりわけ、組立後のケーシングアセンブリへの最終機械加工作業を可能にして、アセンブリの累積公差を減少させる。そのため本発明では、最小ブレード先端間隙と他の累積公差の縮小が達成されるターボファンエンジンの組立方法が設けられ、好都合である。一体的ケーシングアセンブリはまた、ケーシングアセンブリのフランジ接続部の数を減少させて、ケーシング全体で一般的に重い材料を使用するにもかかわらず、超小型ターボファンエンジンの総重量を驚くほど低下させる。さらに、一体的ケーシングも、熱膨張の差を必要十分なほど小さくすることにより、ジェネラルアビエーション超小型ターボファンエンジンのための経済的な設計が得られる。新規のセミ・モノコック構造も、従来よりも良好な重量対比強度を持つケースを可能にし、ストラット構造および内部構造の改良も得られる。
【0027】
本出願および添付された請求項の文章を通して使用される「一体的な」、「一体化する」、「一体化した」の語は、(一般的に非破壊的な意味での)分解が可能でないように一体的に結合された部品を意味するものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の特徴を概説したので、好適な実施例を例として示す添付図面を参照する。
【0029】
図3から始めて図面を参照すると、本発明によるターボファンガスタービンエンジン10の一例は、周方向に離間した複数のファンブレード14を有するファンアセンブリ13と、周方向に離間した複数の低圧コンプレッサ(LPC)ブレード50と高圧コンプレッサ(HPC)ブレード51とを有するコンプレッサ区分16と、ディフューザ18と、燃焼器20と、高圧タービン(HPT)22と、低圧タービン(LPT)24とを、長手方向中心軸12を中心とする連続流通状態で含む。LPT24は第1つまり低圧(LP)のシャフト26によりファンアセンブリ13に接続され、HPT22は第2つまり高圧(HP)のシャフト28によりコンプレッサアセンブリ16に接続されている。燃焼器20へ燃料を噴射するため、燃料噴射手段30が設けられている。
【0030】
略管形ケーシングアセンブリ32は、エンジン10を包囲することにより、エンジン10のコアを通って入口34から排出口(図示せず)まで延在するメイン流路36と、バイパス流路37とを画定する。
【0031】
図3,4,6を参照すると、本発明の一実施例によるケーシングアセンブリ32は、ファンロータアセンブリ13を収容する略管形ファン部分つまり「ケース」44と、ファンケース44の下流の略管形中間ケースすなわち中間部分つまり「ケース」46と、中間部分46の下流のガスジェネレータ部分つまり「ケース」52とを含む。さらに後述するように、中間部分46は、コンプレッサアセンブリ16のブレード先端を囲繞するコンプレッサシュラウド48と、HPシャフトベアリング59を取り付けるためのベアリングシート58とを含む。
【0032】
図5と6を参照すると、やはり略管形の形状であるガスジェネレータ部分52は、燃焼器20とおそらくはHPT22またはその一区分を収容するためのものである。略管形ケースのタービン・排気ケース54はモジュール方式で設けられ、LPT24を収容して排気ミキサアセンブリ(図示せず)を支持するためのガスジェネレータケース52の後端部107に取り付けられる(つまり一体化されない)ことが望ましい。
【0033】
エンジン10はさらに、モジュール方式で設けられてケーシングアセンブリ32の中間部分46に取り付けられる(つまり一体化されない)ことが望ましい管形バイパスダクトケース56を含む。管形バイパスダクトケース56は、ガスジェネレータ部分52を概ね包囲し、ここから径方向に離間することによりバイパス44の下流区分をこの間に画定する。
【0034】
ケースコンポーネントが着脱自在に相互に取り付けられる先行技術による細分化ケースを設ける代わりに、本発明では、すべてのケーシングコンポーネントが一体的に相互に装着された単体ケーシングアセンブリ32が設けられる。再び図3を参照すると、ケーシングアセンブリ32のファンケース部分44と中間ケース部分46とコンプレッサシュラウド部分48とベアリングマウント58とガスジェネレータ部分52とはすべて、溶接によって、または一体的製作、ろう付け結合、コンポーネントを単体に結合および接合する他の方法などの他のプロセスによって、相互に一体的に結合される。バイパスダクトケース56は、エンジンアセンブリ10の組立および保守に好都合となるようにケーシング32と一体化されておらず、そのため、中間部分46およびバイパスダクトケース56からそれぞれ径方向に延出する係合フランジ60,62を一緒にボルト結合することによって接続されることが望ましい。上述したタービン・排気ケース54も、例えば係合フランジ64,66を一緒にボルト結合することにより、ケーシング32の後端部に取り付けられることが望ましい。本発明の一体的ケースを形成するように一体化されることが最も望ましい他のケースと区別するため、バイパスダクト56とケース54は図4では破線で示されている。所望であれば、ケーシングアセンブリ32はバイパス・排気ダクトを一体的に含むこともできる。
【0035】
ケーシング32の個々のコンポーネントは、1種類の材料、例えば鋼で製作されることが望ましいが、所望する一体的接合技術(例えば溶接)により材料が信頼性をもって一緒に接合される限りは、材料の組合せ(例えば鋼とインコネルなど)が使用されてもよい。さらに後述するように、ケーシングの個々の部分は別々に製作されることが望ましく、こうすれば、例えば多様なプロセスおよび材料の使用を可能にする。任意で、金属射出成形など実質的に単一の作業で、ケーシング32が一体的に形成されてもよい。
【0036】
驚くべきことに、本発明のケーシング32全体は鋼などの比較的重い材料から製作されるが、超小型ターボファンエンジン(つまり、望ましくは2000ポンドスラスト以下、より望ましくは1500ポンドスラスト以下、最も望ましくは1000ポンドスラスト以下)では、これから説明するように、本発明により、エンジンSFCに直接影響する予想できない重要な利点が得られる。
【0037】
第一に、全体として比較的重い材料(例えば、マグネシウムと対比された鋼)が使用されていても、フランジ部品数を減少することによる軽量化は驚くほど重要である。縮小されたフランジでも、超小型ターボファンエンジンに対してかなりの重量を占め、これを取り除くことにより、先行技術の教示とは対照的に、ケーシングのどこかに重量を追加しても不釣合いなほど重量が軽減することが分かっている。そのため、先行技術の教示と対照的に、軽量の材料の使用を可能にする細分化ケースは、超小型ターボファン分野では実際には重くなってしまうことが分かっている。そのため、本発明によって、有益な重量の再配分が行われる。
【0038】
第二に、フランジ接続部を減少させると、公差を持つ部品と接続部の数を減少させることにより累積公差を少なくし、有益である。したがって、例えばコンプレッサベアリングマウントとコンプレッサシュラウドとを単一の部品に一体化することにより、著しく小さなコンプレッサブレード先端間隙が得られるのである。
【0039】
第三に、熱不整合部品の減少は、超小型ターボファンエンジンの著しい単純化を可能にする。第一の態様では、熱不整合の減少は、接続部に残るに違いない公差を改善する。第二の態様では、ケーシング32内の熱不整合を改良することにより、付属品ギヤボックス(AGB)など他のシステムとの境界面が非常に単純化される。
【0040】
本発明の第二の態様では、超小型ターボファンにさらなる利点を付与するケーシング32の構造が開示される。図4と5を参照して、ケーシング32の中間部分46の構造をより詳細に説明する。中間部分46は、径方向外方に延出するバイパスダクトフランジ60によって一体化された前方端部70および後方端部71を有する外側リング68を含む。外側リング68の外面には、外側リング68の剛性を補強する補剛リブ72と、やはりこの点での補助を行うエンジンマウント74とが設けられている。図5と6から分かるように、リブ72は相互に格子状に配置され、これにより外側リング68を複数のパネル68Bに分割する。AGBタワーシャフト(図示せず)を機能的に支持するとともにリング68にさらに剛性を付与するため、外側リング68には取付支持体82が設けられている。やはり外側リング68に設けられているのは、AGBを装着するための装着ブラケット84である。オイルチューブ入口83やN1プローブボス85など、他の付帯設備も設けられている。
【0041】
ケーシング32の中間部分46は、前方端部78と後方端部80とを有する内側ハブ76も含む。内側ハブ76は、さらに後述するように、外側リング68と同軸に配置され、周方向に離間するとともに内側ハブ76から外側リング68へ径方向外方かつ略後方に延出する複数のケーシングストラット40によって、外側リング68内に支持されている。HPCベアリング59(図3参照)を収容および支持することが望ましい環状ベアリングシート58は、内側ハブ76の後方端部80に(例えば後述するように溶接により)一体的に装着される。LPシャフトベアリングのための前方ベアリングハウジング(図示せず)を装着するため、内側ハブ76の前方端部78にも取付フランジ77が設けられている(図4,5参照)。
【0042】
ケーシング32の中間部分46はまた、環状内壁85と、エンジン10内の空気流に対して下流において軸方向に延在する環状外壁86とを、環状前縁先端88から拡散するように含むスプリッタ42を含む。これにより、環状バイパス経路37の一区分は外側リング68とスプリッタ42の環状外壁86との間に画定されるのに対して、コア流路36は、スプリッタ42の環状内壁85と内側ハブ76との間に画定される。さらに後述するように、内壁85と外壁86との間において内部ウェブ94がスプリッタ42に設けられて、内壁および外壁に取り付けられるとともに、望ましくはストラット40にも取り付けられている。上述したように、圧縮された空気流の圧力に耐えるため、スプリッタ42の内壁85よりも厚いことが望ましいコンプレッサシュラウド48が、(後述するように、例えば溶接により)内壁85に一体化されている。
【0043】
それぞれのケーシングストラット40を収容するため、周方向に離間した複数のスロット90がほぼ環状先端88の付近からスプリッタ42へ軸方向に延在している。ケーシングストラット40を装着するため、複数の対応ボス91,93が内側ハブ76および外側リング68にそれぞれ設けられている。
【0044】
抽気バルブ(図示せず)を固定するため、スプリッタ42の環状外壁86の後方端部には、抽気バルブハウジング92(図4,6参照)が装着されることが望ましい。中間部分46はまた、抽気システム(図示せず)と協働するため、スプリッタ42の外壁86に画定された抽気孔96を有する。抽気孔96は、スプリッタ42の製作時に形成されることが望ましい。
【0045】
組み立てられる際には、最も一般的には鋳造される先行技術の中間ケースの概観を持つが、本発明では、中間部分46の個々のコンポーネントが多様な製造プロセスによって製作されるので好都合である。好適なプロセスについてこれから説明する。外側リング68と内側ハブ76は中実体から機械加工される。外側リング68は概してかなり薄く(つまり金属薄板)、補剛材リブ72とともに、軽量だが頑丈なセミ・モノコック構造を中間ケース部分46に付与する。オイルチューブ入口83とN1プローブボス85などの付帯設備アタッチメントには鋳造(または所望により、金属射出成形、鍛造、機械加工など)が行われて外側リングに溶接またはろう付け結合されるのに対して、タワーシャフト支持体82などの他の「アタッチメント」はリングと一体的に機械加工される。ストラット40は、(金属射出成形、ハイドロ成形、フロー成形、鋳造などのプロセスが使用されるが)薄板金属二分割部分に形成されてから、中空構造となるように溶接によって一体的に結合されることが望ましい。ストラットの1本はAGBタワーシャフト(図示せず)を、別のストラットはオイルチューブとN1プローブ(図示せず)などを収容することが望ましい。ストラット40がボス91,93とスロット90内に溶接されることにより、ケーシング32の中間ケース部分46となるように外側リング68とスプリッタ42と内側ハブ70が組み立てられることが望ましい。
【0046】
図9を参照すると、代替実施例では、ストラット40と外側リング68にそれぞれ溶接されるフランジ付コンポーネント40A,68Aを含めることにより、スプリッタ42および外側リング68を備える変形ジョイントとなる構造を有するストラット40を、中間ケース部分46が有する。このようなフランジ付コンポーネントは、接続溶接部などをより頑丈にするために設けられ、ゆえにこの実施例は、本発明が設計者に自由度を付与することも示している。
【0047】
個々のコンポーネントは、一体化された中間部分46が設けられるように、望ましくは溶接(または上述した一般的なタイプの一体的結合技術)により一体化されるが、これは、中間部分46をケーシング32の他の部分(つまりファン部分44など)に一体化する前であることが望ましい。中間部分46の詳細は、様々なエンジンモデルに使用される様々な実施例に応じて変化する。
【0048】
図4と6を参照すると、ファン部分44は、ブレード14を囲繞する環状上流区分98を含む(図3参照)。上流区分98は、ブレード脱落事故の抑止を保証するほど頑丈であるか、そのためのインサート(図示せず)を含むことが望ましい。ファンケース44は、上流区分98から下流縁部103まで延在する下流区分100を含む。下流区分100は、後述するように、ファン出口ベーン38の外端部を配置して支持するスロット101を含む。
【0049】
図10を参照すると、ステータのないファン出口ベーン38が望ましくはファン部分44の外側から摺動によって挿入され、そのためこれに応じて、ファン部分44の区分100(図6参照)と内側シュラウド102にはスロット101が画定されている。ファン出口ベーン38は、ファン部分44の区分100と内側シュラウド102との間において対応するスロットに着脱自在に取り付けられ、柔軟な圧縮ばめインサートグロメット120(図11参照)とストラップ122により、ここに着脱自在に保持される。
【0050】
ファン部分44は、鋼、ニッケル、インコネルなど、一種類の材料からフロー成形される。これに代わる製造・成形技術を使用してもよく、一種類以上の材料が使用されてもよい。
【0051】
ファンケース部分44の後端部103を中間部分4の外側リング68の前方端部70に一体的に結合、望ましくは溶接することで一体的ジョイント130(図4参照)を形成することにより、ファン部分44は中間部分46に一体化される。ファン部分44の内側シュラウド102も、望ましくは132での溶接により、中間部分46の内側ハブ76に装着される。内側シュラウド102とファン出口ベーン38とは、ケーシングアセンブリ32に一体化されずに、ファン部分44が中間部分46と一体化された後で、上述したようにファン部分44へ着脱自在に取り付けられることが望ましい。
【0052】
ケーシング32のガスジェネレータケース部分52は、望ましくは単一の製造プロセスで製作されることにより一体化された、上流区分104と略円筒形の下流区分106とを含む。一体的内側リング108は上流区分104に配置され、望ましくは溶接により、ガスジェネレータケース52に前方端部で一体化される。ディフューザ18のフランジ110Aと抽気バルブ150とを固定する(図3,4,12参照)ため、取付フランジ110は内側リング108の内縁部から径方向外方に延出する。当該技術の熟練者には理解できるように、燃料噴射手段30など、ガスジェネレータ部分のエンジンコンポーネントを収容するかもしくは取り付けるため、ガスジェネレータケース52にはいくつかの開口部140(図6参照)が設けられている。下流円筒形区分106は、タービンおよび/または排気ケース54との接続のため、径方向外方に延在する取付フランジ112と一体化された後端部107を有する。ガスジェネレータケース52は、やはり望ましくは溶接により、134において中間部分46の環状外壁86のスプリッタ42の後端部89と、前端部で一体化されている。
【0053】
こうしてケーシング32のファン部分44と中間部分46とガスジェネレータ部分52とは、各々の設計と設計者の希望に応じて、例えば中実体からの機械加工、薄板金属の製作、鍛造、鋳造、フロー成形などにより、別々に製作される。別々に製作されたケースは次に、望ましくは溶接により一体的に装着される。この時、ケーシング32の製造または組立中に発生する累積公差を減らすため、ロータアセンブリの設置に先立って、一体化されたケーシング32の内部を最終的に機械加工することが望ましい。これにより、先行技術装置よりも累積公差を劇的に減少させる。
【0054】
各部分が形成される方法と、これら部分を装着するための手段そのものは、本発明にとって重要でなく、設計者の自由裁量に任される。そのため本発明では、超小型ターボファンエンジン用の一体化ケースアセンブリを設ける際の設計者の必要性を満たすための製造プロセスの選択に自由度が許される。これにより本発明では、多様な製造技術が可能であり、その中でも、先行技術によるケーシング設計では利用することのできない、中実体からの機械加工、フロー成形、薄板金属構造が注目に値する。
【0055】
本発明のまた別の態様では、本発明により可能となる製造の自由度によって、ケースに一体的に設けられたベアリングマウントが、先行技術のベアリングマウントよりも部品点数の点ではるかに単純となる。一般的な先行技術ガスタービンエンジンでは、精度の高い機械加工プロセスにもかかわらず必然的に生じるロータのアンバランスにより生じる振動を減衰するための「リスかご」として知られるアセンブリを含む、複雑なベアリングマウントが必要である。しかし本発明では、ベアリングマウント58などのベアリングマウントは、材料、構造剛性などと相関関係にある一体化による自由度を備えるため、ベアリングマウント58そのものを製造中に「調整」できることによりリスかごの必要性を回避する。こうしてベアリングマウント58は一体的に設計され、減衰機能を実施するように設けられて、別々のリスかごアセンブリの必要性を無くす。リスかごは、重量と長さと複雑性をエンジンに加えるので、このコンポーネントを無くすことは当然価値があり、そのため本発明の別の有益な特徴となる。
【0056】
さて図5,6,12を参照すると、本発明のまたさらなる態様において、ターボファンエンジンを組み立てるための方法について以下に説明する。先行技術と異なり、本発明のケーシング32は、回転コンポーネントまたは他のガスタービンコンポーネントが組み込まれる前に完全に(または実質的に)組み立てられることが望ましい。ゆえに、第一段階は、上述したようにケーシングアセンブリ32のコンポーネントを製造して組み立てることである。やはり上述した次の段階は、エンジンの効率的な動作に影響する、蓄積された累積公差を取り除くため、ベアリングマウントとコンプレッサシュラウドに関連する表面と同様の表面など、ケーシング32の内面の機械加工であることが望ましい。次の段階は、望ましくはケーシングアセンブリ32の入口34からファン部分44へと、ファンロータアセンブリ13をケーシング32の内部へ挿入して(図示されていない段階)、望ましくはガスジェネレータ部分52から抽気バルブ150とコンプレッサアセンブリ16とをケーシング32へ挿入することであり、ガスジェネレータ部分52(図12を参照)を介することが望ましい。ディフューザ18と燃焼器20とタービンアセンブリと他のコンポーネントも、やはり望ましくはガスジェネレータ部分52の後端部からケーシング32へ挿入される。次に、タービン・排気ケース54とバイパスダクト56と他のエンジンコンポーネントとをケーシングアセンブリ32へ取り付けることにより、エンジン10の組立プロセスが完成する。ケーシングへのこれら内部アセンブリの挿入および組立の具体的な順序は、好みまたはエンジン10の設計レイアウトに左右されるが、本発明は、完成または実質的に完成したケーシング32の内部へのエンジン10のコアの組み付けを含むことにより、全体としてより効率的な、ガスタービンエンジンのための組立技術を可能にする。
【0057】
また本発明では、フランジ接続部などの固定具が必要なく、そのため必要な「最終」組立段階が少ないため、ガスタービンエンジンの短時間組立が行われ、好都合である。
【0058】
上述したように、本発明は、いわゆる超小型ガスタービンエンジン、すなわち、「個人用」ジェット機と呼ばれることもあるジェネラルアビエーション航空機に使用するための一般的に2000ポンドスラスト以下のエンジンに使用するという特定用途を持つ。この市場は、縮小の限界と経済的な設計および動作への挑戦が行われているガスタービンターボファン技術の最先端である。ミサイルエンジンに使用されるものなどの先行技術の小型タービンは全く適していない。ミサイルエンジンは(軍隊の遺産的慣行のため)、製造と動作が例外なく高価であり、最大スラストで連続運転される極めて短時間(数時間)の寿命となるように設計されている。しかしここで考案される超小型ターボファンは、当然、数千時間にわたって様々なスラストレベル(例えばアイドル、地上移動、離陸、上昇、巡航、進入、着陸)で断続的に作動し、言うまでもなく、手頃な値段で運転が静かであり環境に優しくなければならない。同様に、動力発生分野ではマイクロタービンが急増し始めているが、航空機の用途では、工業用マイクロタービン設計には一般的に見られない極めて軽量で信頼性のある設計を必要とするので、この技術もたいてい適していない。したがって、本発明では、ジェネラルアビエーションパイロットに操作が手頃なターボファンを提供するという分野において進歩が見られる。
【0059】
本発明では、超小型ターボファンサイズの範囲において、従来の大型設計よりもケーシングの総重量を低下させるターボファンケーシングを設けることが可能である。軽量化の一部は、設計者が金属の使用を最適化することにより重量を低下させられる一体的補剛肉薄シェル構造を有する中間ケース区分46の肉薄シェル補剛セミ・モノコック設計によるものである。再び図5,6,7を参照すると、外側リング68の「パネル」68Bのバランスの取れたせん断力を受け止める補強部材の圧縮力および張力により外部荷重のバランスを取るため、リブ72およびストラット40により、そしてエンジンマウント74とリング68上の他の類似の特徴により、肉薄「シート」外側リング68の「パネル」68Bが特定の箇所で補強される。こうして、500%以上厚い鋳造構造に匹敵する剛性を備える安定した構造が得られる。ケーシングの総重量が著しく低下するのは、この方法をアタッチメントの簡易化と組み合わせることによるものである。
【0060】
再び図5,6,7を参照すると、上述したように、外側リング68は、外側リング68を中心として軸方向かつ周方向に延在することにより複数の肉薄シェルパネル68Bを間に画定する複数のリブ72を含む薄壁セミ・モノコック設計を持つ。リブ72の軸方向および周方向の配置により、パネル68Bは略矩形の形状を持ち、リブは多かれ少なかれ相互に平行または垂直である。リブ72と肉薄シェルパネル68Bとを示す図14に、外側リング68の部分的上面図が見られる。
【0061】
スプリッタ42は支持されて、コア流通路36をバイパス流通路37から分離する。各ストラット40は前縁40Aから後縁40Bまで延在し、後縁は、曲げまたはねじれ40Eによって結合された内側部分40Cと外側部分40Dとを有する曲げ、ねじれ、不連続を持つ輪郭を有する。各ストラット40は内端部から外端部(図示せず)まで延在して、内側および外側リングに一体的に設けられたボス93,91とそれぞれ当接してこれに接続される。
【0062】
さて図13を参照すると、スプリッタ42がストラット40に結合され、ストラット40およびスプリッタ42と協働することにより隣接ストラット40の間に複数の密閉区分中空トルクボックス41を画定する(図15も参照)内部ウェブ94を含む(図3〜5参照)。そのため、図15に描かれたエンジンの例では、6本のストラットが見られるので、6個のトルクボックス41がこの間に形成されている。ストラット40とスプリッタ42とウェブ94とは、せん断力伝達ジョイント(例えば、溶接、ろう付け結合、他の接合によるジョイント、または一体的構造を持ち、それ自体は「ジョイント」でないもの)により、相互に結合されている。ジョイント(図16aで42A,94Aによって指示されている)は、後述するように、予想される荷重によるトルクボックスの変形を防止するのに必要なせん断力接続部を設けるのに充分に頑丈であることが望ましい。これらのトルクボックスは、ガスジェネレータケースからスプリッタまで伝達されるエンジンコアの重量に関連する曲げモーメントを伝達するための機構となる(例えば図3,4,6参照)。
【0063】
スプリッタ42はさらに、トルクボックス41の若干後方に周方向補剛リング43を含むことが望ましい。同様に、内側ハブ76は、その内面に一対の周方向補剛リング76A,76Bをそれぞれ含むことが望ましく、ストラット40とボス91とが内側ハブ76と当接する箇所に対応するように軸方向に配置されることが望ましい。後で詳述するように、内側ハブ76は、ベアリング57においてメイン低スプールスラストベアリングを支持し、また、ベアリングアタッチメントシート58とベアリングバンパ58Aも含む。
【0064】
マウント74がストラット40の重心軸“CA”(図12参照)とほぼ整合するようにマウント74がストラット40に対して配置されることにより、マウント74に対してストラットを曲げようとする荷重の傾向を著しく軽減することが望ましい。「重心軸」は、ストラット40のすべての軸方向区分の重心を通る(つまり、図13に見られるように、ストラット40の水平区分の重心を通る)線を意味することが理解できるだろう。
【0065】
このように、上述した、肉薄シェルせん断パネル68Bと軸方向及び周方向の補剛材72とで構成されるセミ・モノコック構造である外側リング68は、従来の航空機胴体を裏返ししたものに類似している。この構造に付与される荷重は、リブ72の張力または圧縮力(最初の荷重の方向に応じて)として受け止められ、パネル68Aの対向せん断力によって内部でバランスが保たれる。こうして応力は隣接リブ72の間で分散され、面内方向の張力と圧縮力とせん断力への分解によって曲げ力が回避される。このようにせん断力で荷重を受け止める方法は、一般的な先行技術による鋳造エンジンケースと比較して、比較的高い構造効率と剛性とを中間ケース部分46に与える。上記の設計では、エンジンマウント74とストラットボス93も、隣接するせん断パネルと連通する張力/圧縮荷重ベアリング部材として作用する。こうして、最終的に航空機へ伝達するため、ストラット40/ボス93を介して荷重が外側リング68へ伝えられ、セミ・モノコック構造つまりリブとせん断パネルを通してエンジンマウント74へ伝えられる。面外方向の曲げ力は面内方向の圧縮/引張荷重へ分解されるため、プレート曲がりの際にケーシング区分のみによって曲げが受け止められることがなくなるので、先行技術による厚いケース区分は必要ない。その結果、鋼など高い係数(modulus)の材料が使用される際には特に、先行技術よりも著しく軽量なケーシングが得られる。図14に見られるリブ・パネル構造が好適であるが、格子は規則的でもある必要も矩形である必要もなく、設計者が好む効率的な構造を使用すればよい。
【0066】
外側リング68と同様に、内側ハブ76も以下のようにセミ・モノコック構造を備える。補剛材リング76A,76Bとストラットボス91とは、図17に描かれているように、リング76A,76Bとストラットボス91の引張または圧縮荷重をパネル76Cのせん断力として受け止めることにより構造のバランスを取る複数の肉薄シェルせん断パネル76Cに、ハブ76の環状面を分割するように協働する。このようにして、内側ハブの曲げが最小となるため、パネル76Cは先行技術よりもかなり薄い(例えば本発明は0.050インチ以下のパネルを有する)。さらに後述するように、曲げを減少させるためベアリングバンパ58Aが設けられてもよい。
【0067】
使用時には、内側ハブ76に付与されるベアリング荷重は、以下のようにストラット40を介して外側リング68に伝達される。一般的に、エンジンスラストと、ブレード脱落事故または鳥の衝突のような一時的な力学的事故により発生するベアリング荷重は、主としてベアリングセット57(ベアリング58は一般的に、このような事故時の付加的な荷重にはほとんど役立たない)に受け止められて、内側ハブ76の前縁に伝えられる。セミ・モノコック設計の内側ハブは、上述したように付与された荷重を引張/圧縮、せん断力として内部で受け止める。ベアリング荷重は、圧縮または引張力として主としてストラット40の前縁40Aを通ってマウントパッド74へ伝えられる。後述する理由から、マウントパッド74はストラット40断面の重心軸CA上に(またはその付近に)設けられる。
【0068】
使用時には、ガスジェネレータケースを介して接続されたエンジンの残部によってエンジン慣性荷重がスプリッタ42にも付与され、これはストラット40を介して外側リング68へ伝達される。一般的に、エンジン慣性荷重は(ガスジェネレータケースが装着された)スプリッタを介して中間ケース46へ伝わり、圧縮または引張荷重としてストラット40の後方外側部分40Dで受け止められる。これらの荷重はストラットおよびトルクボックスを曲げようとし、そのため、補剛材94が引張または圧縮力としてストラットの後部へ伝達するせん断力へ荷重を変換するというトルクボックス41の反応によって、ストラット40の構造に受け止められる。トルクボックス41について、以下でより詳細に説明する。
【0069】
トルクボックス41は、ストラット40とスプリッタ42と補剛材94との間に形成される中空の密閉室である。以下で明らかとなるように、トルクボックス41は目的と機能において航空機ウィングに設けられるトルクボックスに類似しているが、ここでは円筒体に巻かれた航空機ウィングに構造が類似している。いずれ分かるように、後方補剛材ウェブ94は、この円筒形ウィングの翼桁に類似している。トルクボックス41は、1本以上のストラットに付与される荷重(例えば、曲げモーメントと横せん断力)を室内のバランスの取れたせん断力の流れへ「変換」し、これから説明するように、これは次に隣接のストラットへ「伝達」されてこれに受け止められる。
【0070】
図15,16a,16bを参照すると、1本のストラット40上の一方向の曲げモーメントなどの荷重は、トルクボックス41’によって2本の隣接ストラット40’へ伝えられ、これらストラットが言うまでもなく力を吸収して、反作用成分を隣接ストラットへ伝達することにより第1ストラットへ付与された荷重の影響を低下させようとする。このようにして荷重の分散が達成される。(図16bでは説明を目的として3本のストラットの相互作用のみが示されているが、ストラット40’は同様に、外部および内部荷重をそれぞれのトルクボックスを介して隣接のストラットに伝達し、こうして外部および内部荷重はストラット40間の構造全体に再分配される。)やはり図16aを参照すると、以下で詳述するように、スプリッタに装着されたガスジェネレータの重量/慣性によって付与されるものなど、トルクボックス41へ付与されるねじれ荷重(丸い点刻矢印で指示)も、この場合には望ましくは大部分がせん断力としてトルクボックス41に受け止められ、ウェブ94からストラット40までせん断力伝達ジョイント94Aを通るせん断力(直線の点刻矢印で指示)によって、少なくとも部分的に面内方向荷重としてストラット40へ伝えられる。補剛材リング43は、慣性荷重をより均一にトルクボックス41へ分散するのに役立つ。そのためトルクボックスの構成と構造はともに、隣接ストラットの間で荷重を分配するとともに、ねじれおよび曲げ荷重をせん断力に変換するのに役立ち、この力がストラット40のほぼ純粋な(望ましくは)圧縮力または引張力として伝達される。
【0071】
そのため、ストラットの接続が固有の形であるので、トルクボックスを通して隣接ストラットの間で1本のストラットの変位の傾向が固有の形で受け止められてバランスが取られ、これは、鳥の衝突などの一時的な力学的事故の場合でも、荷重を再分配するだけでなくストラットへの曲げ力の大きさをかなり低下させる。プレート曲げが見られないため先行技術と比べてケーシングとストラットの断面厚さがかなり減少し、曲げ力がかなり低下して、本発明のストラットの薄壁構造の使用が可能となる。
【0072】
やはり図16aを参照すると、トルクボックス41からストラット40へ伝達される面内方向の荷重は、引張または圧縮(荷重の方向に応じて)としてストラット40の後部40Dに付与され、この内部引張または圧縮荷重は次に、ストラット40の後部40Dによって外側リング68と最終的にはエンジンマウント74へ伝えられる。ストラット40’の形状は、慣性荷重からベアリング荷重を分割するのに使用される。すなわち、ストラット40の後部40Bの曲げまたはひねり40Eは、ストラット40の軸方向剛性を低下させて、エンジンで発生する荷重のための2本の別々の荷重経路(つまり、上述したように1本はベアリング荷重のため、1本は慣性荷重のため)となる。ストラット40のひねり形状は内側ハブへの荷重経路を遮断することにより、スプリッタからハブへの荷重の伝達を妨げる。これは、ストラットへの曲げを有益に減少させて荷重の伝達を単純にすることにより、薄壁ストラット構造の採用を可能にする。図18aと18bを参照すると、先行技術のストラットは、伝達された曲げ力を受け止める必要があったので、適切な曲げ強度を付与するのに充分に厚い区分(図18b)が先行技術ストラットでは必要であった。しかし本発明では、ストラット40の曲げが低下すること、また望ましくは無くなることによって、当然、先行技術よりもはるかに軽量の薄板金属ストラット(図18a)を使用できる。
【0073】
上述したように、エンジンマウントは重心軸に沿って(またはできる限りその近くに)配置されることにより、ストラット40から中間ケース46へ伝えられた引張/圧縮荷重の結果として中間ケース46へ付与される曲げモーメントを無くす(または処理可能なレベルまで低下させる)ことが望ましい。このようにして、中間ケース46およびストラット40における曲げが低下し、さらにケースとストラットのセミ・モノコックおよび薄壁設計を充分に活用する機会が増えることにより、構造効率を最大に、重量を最小にする。内側ハブ76と外側リング68のセミ・モノコック構造の構造効率はこうして向上し、本発明のストラット40を使用することによって強化され、これらのコンポーネントは個別でも有効に使用できるが、これらの二つ以上また望ましくは三つすべてを一緒に使用すると、その結果得られるその間の本質的な協働により、さらなる長所と利点が達成される。
【0074】
上述したように、ねじれ荷重の結果としてトルクボックス41に生じるバランスの取れたせん断力の流れは、スプリッタとストラットのジョイント(42A,94A)において主としてせん断荷重としてストラット40に受け止められる。こうしてこれらのジョイントでは引張荷重が実質的に存在せず、ジョイント42A,94Aを設けるため隅肉溶接部の使用が可能となるので好都合である。また、これらのジョイントの長さが比較的長く、構造全体の複数のジョイントの間で(つまり複数のトルクボックスで)荷重が分散されることにより、ジョイントへのせん断応力は比較的低く、そのためストラットとトルクボックス断面の厚さをさらに減少させられる。こうして、非常に薄い寸法の金属薄板が使用できる。
【0075】
ストラットは、マウントへ伝達される許容範囲の荷重をその圧縮能力により制限する荷重「ヒューズ」として作用するように設計されると好都合である。(薄壁ストラットへ充分な圧縮荷重が付与されると、ストラットが破壊することは理解できるだろう。)例えば、ストラットは、ある閾値荷重(例えば重大な衝突)を受けた時に破壊することにより、このような事故の際に航空機へ伝達される荷重(ひいては破損)の量を制限するように設計される。上述の好適な態様において考えられる実施例では、内側ハブによってストラットへ閾値ベアリング荷重が付与されると、このような事故の荷重を受けて破損することにより、これをエンジンマウントおよび航空機へ伝達するのでなく塑性変形によりエネルギーを吸収するように前縁が設計されている(つまりその厚さなどにより)。設計時には、ストラットにより伝達される最大許容荷重が決定されてから、この最大荷重または比較的大きな荷重が付与されると破壊するか構造が損なわれることにより、エンジンマウントへの荷重伝達を制限するストラット構造が決定される。
【0076】
図13を再び参照すると、内側ハブ76の剛性の向上を助けるため、ベアリングバンパ58Aを設けることができる。例えば、中間サイズの鳥が衝突する事故の際に、内側ハブ76にはかなり大きな非対称ベアリング荷重が付与され、これはエンジンシャフトの曲げを引き起こし、ベアリングハウジング、そしてベアリングシート58を歪ませる傾向がある。バンパ58Aは、バンパ58Aとベアリングシート58(またはベアリングまたは他の適切な表面)との間にある小さな間隙(この特徴を描くには図13の縮尺は小さすぎるので図示されていない)を備える、脚部または抑制タイプの装置である。間隙は、このような事故の際に望ましい許容範囲の撓みの量に対応することが望ましい(例えば0.005インチ)。比較的大きな撓みを受けた場合、バンパはベアリングシート58がこのような撓みに抵抗するのを助ける。そのため、内側ハブ76の厚さはこの曲げ力と撓みを単独で受け止める必要がないので、この単純な装置によって、内側ハブ76の後部(つまりベアリングシート58を支持する部分)がかなり薄くなる。そのため、これはストラット40の底部と後部への荷重を軽くするのに役立つため、内側ハブ76とベアリングシート58が薄く、さらに軽量になる。
【0077】
本発明のそれぞれの面によって達成される個々の軽量化は、大型ターボファンエンジンについての検討では重要ではないが、超小型ターボファンエンジン(例えば2000ポンドスラスト以下)の場合には、細かい軽量化が蓄積される結果、大きな軽量化となる。
【0078】
本発明は、面外方向の荷重(例えば曲げ荷重)を平面へ戻し、せん断パネルによって引張・圧縮荷重のバランスを取ることにより、隣接パネルの間に、等しく反対方向のせん断力の流れを生み出そうとする多面構造である。
【0079】
本出願では、「薄壁」は金属薄板のタイプの厚さを意味し、「薄い」は付与される荷重に対して解釈されるため、薄壁はプレート曲がりの際に付与される曲げ力を実質的に受け止めることはできない。
【0080】
上記の説明は好適な実施例についてのものであるが、本発明は、添付された請求項の範囲から逸脱せずに改良と変更を行うことができることが理解できるだろう。例えば、超小型ターボファンエンジンへの適用に関して説明されたが、本発明の原理を適用する際には大型のターボファンまたは他のガスタービンエンジンでも何らかの利点が得られる。ある材料と製造方法の使用が好適なものとして開示されたが、本発明を逸脱せずに他の材料と方法を代わりに使用してもよい。本発明の利点を達成するために、ケースは上述のように一体化される必要はない。同様に、ストラットは必ずしもすべての実施例で中空である必要はないし、上述のように単一の「室」を含む必要はなく、多数の室が中に画定されてもよい(図19参照)。図16cに見られるように、トルクボックスは、より多くの室を含んでもよい。トルクボックスはスプリッタそのものを含む必要はなく、スプリッタの内部またはその他の箇所の付加的な構造であってもよい。ベアリングと慣性の両方の荷重を伝達するには単一のストラットが望ましいが、多数のストラット(例えば上流および下流のストラットの対)が使用されてもよい。リング68とハブ76のセミ・モノコックせん断パネルは、矩形または規則的なサイズである必要はない。発明者が意図した本発明の範囲に包含されるこの他の改良は当該技術の熟練者には明らかであり、そのため、添付された請求項にはこのような改良を除外する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】従来のターボファンエンジン用ケースアセンブリの簡単な分解斜視図である。
【図2】同様の従来ケースアセンブリの概略断面図である。
【図3】本発明によるターボファンケースの概略断面図である。
【図4】図3の実施例の部分的な概略断面図である。
【図5】図4のアセンブリの中間部分の、一部切除された分解等角図である。
【図6】図5の中間ケース部分の組立手順を示す、図4のアセンブリの分解等角図である。
【図7】図5と6に示された中間ケース部分の等角正面図である。
【図8】図5〜7に示された中間ケース部分の等角背面図である。
【図9】本発明の中間ケース部分の代替実施例の一部についての分解拡大等角正面図である。
【図10】本発明の組立済みケースの断面についての拡大等角正面図である。
【図11】ファン出口ベーンの設置を示す本発明の一部分の拡大断面図である。
【図12】本発明による組立段階を示すいくらか概略的な断面図である。
【図13】図12の一部の拡大図である。
【図14】図13のケースの部分的上面図である。
【図15】図12のケースの背面図である。
【図16a】図15と同様の視点から見た図12のケースのスプリッタおよびストラットにおける力の伝達を概略的に表す。
【図16b】図15と同様の視点から見た図12のケースのスプリッタおよびストラットにおける力の伝達を概略的に示す。
【図16c】スプリッタの代替構造を示し、図16aと類似している。
【図17】図12のケースの内側ハブのいくらか概略的な上面図である。
【図18a】図12のストラットの断面図である。
【図18b】先行技術によるストラットの同様の図を示す。
【図19】図12のストラットの代替構造についてのいくらか概略的な図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンアセンブリとコンプレッサアセンブリと燃焼器アセンブリとタービンアセンブリとを少なくとも含むターボファンエンジンのためのケーシングであって、
ファンケース部分と、
中間ケース部分と、
ガスジェネレータケース部分と、
を含み、
前記ファンケース部分と前記中間ケース部分と前記ガスジェネレータケース部分とが一体的に結合されることにより一体的ケーシングを形成することを特徴とするケーシング。
【請求項2】
前記ファンケース部分と前記中間ケース部分と前記ガスジェネレータケース部分とが同じ材料で製作されることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載のケーシング。
【請求項3】
前記中間ケース部分がさらに、一体的コンプレッサシュラウド部分と一体的ベアリングマウント部分とを含むことを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載のケーシング。
【請求項4】
前記ベアリングマウント部分が、シャフトベアリングに一体的な減衰を与えるような構造を持つことを特徴とする特許請求の範囲第3項に記載のケーシング。
【請求項5】
前記個々のファンケース部分と前記中間ケース部分と前記ガスジェネレータケース部分とが個別に製作されて一緒に溶接されることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載のケーシング。
【請求項6】
前記ファンケース部分と前記中間ケース部分と前記ガスジェネレータケース部分とが、フランジ無しの接続により一緒に結合されることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載のケーシング。
【請求項7】
エンジン内において流れが流通状態となるように配置されたファンとコンプレッサとガスジェネレータと、少なくとも該コンプレッサとガスジェネレータとの周囲に画定されるバイパス空気流とを少なくとも含み、かつ、
前記ファンとコンプレッサとガスジェネレータとを実質的に包囲する単体ケーシングと、
を含むバイパスターボファンエンジン。
【請求項8】
前記ケーシングがさらに、前記コンプレッサのブレード先端を囲繞する一体的コンプレッサシュラウドを含むことを特徴とする特許請求の範囲第7項に記載のターボファンエンジン。
【請求項9】
前記ケーシングがさらに、コンプレッサシャフトベアリングを該ケーシングに直接取り付けるための一体的ベアリングシートを含むことを特徴とする特許請求の範囲第8項に記載のターボファンエンジン。
【請求項10】
前記ベアリングシートが、前記コンプレッサシャフトベアリングに一体的な減衰を与えるような構造を持つことを特徴とする特許請求の範囲第9項に記載のターボファンエンジン。
【請求項11】
前記ケーシングが、前記エンジン内においてバイパス空気流通路を少なくとも部分的に画定することを特徴とする特許請求の範囲第7項に記載のターボファンエンジン。
【請求項12】
推進ファン部分とコンプレッサ部分とガスジェネレータ部分とを含む回転アセンブリであって、軸方向長さを有する回転アセンブリと、
実質的に前記軸方向長さに沿って前記回転アセンブリを包囲することにより前記エンジンを通るメイン流路を画定する略管形ケーシングアセンブリであって、一体化された単体であるケーシングアセンブリと、
を含む、航空機用のターボファンエンジン。
【請求項13】
前記ケーシングアセンブリがさらに、前記コンプレッサ部分の複数のコンプレッサブレード先端を囲繞する一体的シュラウド区分を含むことを特徴とする特許請求の範囲第12項に記載の航空機用ターボファンエンジン。
【請求項14】
前記ケーシングアセンブリがさらに、前記コンプレッサ部分のコンプレッサシャフトを機能的に支持するための一体的ベアリングシートを含むことを特徴とする特許請求の範囲第12項に記載の航空機用ターボファンエンジン。
【請求項15】
前記ケーシングが、前記エンジンのバイパスエアダクトの少なくとも一部分を画定することを特徴とする特許請求の範囲第12項に記載の航空機用ターボファンエンジン。
【請求項16】
ケーシングアセンブリを有するターボファンエンジンの重量を低下させる方法であって、該ターボファンエンジンと関連のバイパス流とを包囲するように単体の一体的ケースを設ける段階を含む方法。
【請求項17】
さらに、中間ケース部分とファンケース部分とガスジェネレータ部分とをフランジ無しの接続で一体化する段階を含むことを特徴とする特許請求の範囲第16項の方法。
【請求項18】
コンプレッサシャフトベアリング支持体を前記ケースに一体化する追加段階を含むことを特徴とする特許請求の範囲第16項に記載の方法。
【請求項19】
コンプレッサシュラウドを前記ケースに一体化する追加段階を含むことを特徴とする特許請求の範囲第16項に記載の方法。
【請求項20】
ファンケースと中間ケースとガスジェネレータケースとを含むガスターボファンエンジンケーシングアセンブリを設ける段階と、
推進ファンアセンブリとコンプレッサアセンブリとガスジェネレータアセンブリとを前記ケーシングアセンブリに載置する段階と、
他のコンポーネントを前記ケーシングアセンブリに取り付けることにより、前記エンジンの組立を完了する段階と、
を含む、航空機用ガスターボファンエンジンを組み立てる方法。
【請求項21】
前記ファンケースと中間ケースとガスジェネレータケースとをそれぞれ設ける段階と、
前記推進ファンアセンブリと前記コンプレッサアセンブリと前記ガスジェネレータアセンブリとを前記ケーシングに載置する前に、前記ファンケースと中間ケースとガスジェネレータケースとをフランジ無しの接続を用いて一体化することにより該ケーシングを組み立てる段階と、
をさらに含むことを特徴とする特許請求の範囲第20項に記載の方法。
【請求項22】
前記中間ケースが、コンプレッサシュラウドと、ファンエアバイパス流ダクトの一区分とを含むことを特徴とする特許請求の範囲第21項に記載の方法。
【請求項23】
前記ケーシングアセンブリにおける累積公差を減少させるため前記一体化ケーシングアセンブリの内面を機械加工する段階をさらに含むことを特徴とする特許請求の範囲第20項に記載の方法。
【請求項24】
航空機ターボファンバイパスエンジン用のケーシングであって、
前記エンジンを囲繞するのに適するとともに、エンジンを航空機へ取り付けるのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、
前記エンジンのメインシャフトを支持する少なくとも1個のベアリングを支持するのに適した内側ハブであって、該内側ハブと前記ケースとの間に延在する複数のストラットにより該ケース内部に支持される内側ハブであり、該ストラットが、該内側ハブから該ケースまでの主要荷重経路を画定する、内側ハブと、
前記ストラットにより前記内側ハブと前記ケースとの中間に支持されたスプリッタであって、該ストラットがさらに、該スプリッタから該ケースまでの主要スプリッタ荷重経路を画定し、前記エンジンのコア空気流通路とバイパス空気流通路との間でエンジン吸入空気流を分割するのに適したスプリッタと、
を含み、
前記ケースが、複数のリブと、この間の複数の薄壁せん断パネルと、を含むセミ・モノコック構造を有し、これにより該ケースが、該リブの圧縮力と引張力により、前記ケーシングに付与される外部荷重のバランスを取って該パネルのバランスせん断力を受け止めるのに適していることを特徴とするケーシング。
【請求項25】
スプリッタが、該スプリッタに取り付けられた前記エンジンのエンジンコアを支持するのに適しており、該エンジンコアが、前記スプリッタ主要荷重経路を通して該エンジンマウントに実質的に支持される重量を有することを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項26】
前記セミ・モノコック構造がさらに、外側リングに取り付けられた前記ストラットを含み、これにより、該ストラットが、前記リブによって実施されるものと実質的に同様の補剛機能と荷重伝達機能とを少なくとも実施することを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項27】
前記セミ・モノコック構造がさらに前記エンジンマウントを含、これにより、該エンジンマウントが、前記リブによって実施されるものと実質的に同様の補剛機能と荷重伝達機能とを少なくとも実施することを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項28】
前記内側ハブがセミ・モノコック構造を含むことを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項29】
前記内側ハブセミ・モノコック構造が、隣接するストラット接続部の間に画定される複数の薄壁せん断パネルを含むことを特徴とする特許請求の範囲第28項のケーシング。
【請求項30】
前記ストラットが前記スプリッタから前記内側ハブへ実質的に荷重を伝えないことを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項31】
少なくとも1個のエンジンマウントが少なくとも1本のストラットの重心軸に沿って配置されることを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項32】
前記スプリッタが前記コア空気流通路とバイパス空気流通路との間で空気流を分割するための空気力学面を含むことを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項33】
前記リブと前記せん断パネルとが前記ケースに一体的に設けられることを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項34】
前記リブが間に格子を画定するように協働することを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項35】
前記複数のリブが、平行部材と垂直部材とを含む略矩形格子状に配列されることを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項36】
前記リブが前記エンジンに対して前記パネルの略径方向外方にあることを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項37】
前記ケーシングが前記エンジンケーシングの中間ケース部分であることを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項38】
前記ケーシングが、少なくとも前記エンジンのファンとコンプレッサと燃焼器とを収容するモノリシックケースを含むことを特徴とする特許請求の範囲第37項のケーシング。
【請求項39】
エンジンコアと、該エンジンコアの少なくとも一部分を包囲するケーシングとを含み、該ケーシングが、複数の中空ストラットと、相接する複数の部材とを含み、該ストラットが、内側ハブと該ケーシングとの間において周方向配列で延在し、該ストラットの各々が、該部材の少なくとも1個により少なくとも2本の周方向隣接ストラットに相接し、該部材の各々が、ストラット側面に各々が取り付けられた二つの端部を有し、各部材が中空密閉区分を含み、該密閉区分が、該ストラット側面と、隣接ストラットの間に延在する少なくとも1個の要素とによって少なくとも部分的に密閉され、該要素が、該部材へトルクが付与されると、該部材および隣接ストラットに対する整合のため、該ストラットへせん断力を伝達するのに適していることを特徴とする航空機バイパスターボファンエンジン。
【請求項40】
前記部材が前記隣接ストラットの中間点に取り付けられることを特徴とする特許請求の範囲第39項のエンジン。
【請求項41】
前記部材が相互に結合されることを特徴とする特許請求の範囲第39項のエンジン。
【請求項42】
前記部材が、バイパス流通路とコア流通路との間で空気を分割するのに適したスプリッタと一体化されることを特徴とする特許請求の範囲第39項のエンジン。
【請求項43】
前記エンジンコアが前記部材に取り付けられ、かつ、前記エンジンコア荷重が該部材と要素とストラットを順に通って前記ケーシングのエンジンマウントへ伝達されるように該ケーシングが適応していることを特徴とする特許請求の範囲第39項のエンジン。
【請求項44】
前記エンジンマウントがストラット重心軸と同軸に配置されることを特徴とする特許請求の範囲第43項のエンジン。
【請求項45】
前記ケーシングの全体に画定される空気流経路にわたって前記ストラットが設けられることを特徴とする特許請求の範囲第39項のエンジン。
【請求項46】
前記内側ハブが少なくとも1個のメインシャフトベアリングを支持し、かつ、該ベアリングからの荷重が、実質的に前記ストラットの曲げのない引張力および圧縮力として該ストラットを通して前記ケーシングのエンジンマウントへ伝達されるように、該ケーシングが適応していることを特徴とする特許請求の範囲第39項のエンジン。
【請求項47】
前記ケーシングが前記エンジンケーシングの中間ケース部分であることを特徴とする特許請求の範囲第39項のエンジン。
【請求項48】
前記ケーシングが、前記エンジンのファンとコンプレッサと燃焼器とを少なくとも収容するモノリシックケースを含むことを特徴とする特許請求の範囲第47項のエンジン。
【請求項49】
外側リング部分と内側ハブ部分と複数の中空ストラットと複数の中空トルクボックス部材とを含み、該外側リング部分が、航空機へのエンジン支持接続のための少なくとも1個のエンジンマウントを有し、該ストラットが、周方向配列で配置されるとともに、該内側ハブ部分を該外側リング部分へ取り付けるため該内側ハブ部分から該外側リング部分へ延在し、該複数のトルクボックス部材が、少なくとも1個が該配列の隣接ストラット間に延在することにより各ストラットをすぐ隣接するストラットへ接続するように配置され、該トルクボックス部材が、付与されたトルクをせん断力へ変換して該せん断力を該ストラットへ伝達するのに適している、航空機バイパスターボファンエンジンケーシング。
【請求項50】
前記トルクボックス部材が前記ストラットとともに密閉区分を形成することを特徴とする特許請求の範囲第49項のケーシング。
【請求項51】
前記トルクボックス部材が、前記エンジンのコア部分に接続されるとともに、該コアから前記マウントへ支持荷重を伝達するための少なくとも1本の主要荷重経路を画定し、該荷重経路が、該トルクボックス部材を通って該少なくとも1個のエンジンマウントへ伝わることを特徴とする特許請求の範囲第49項のケーシング。
【請求項52】
前記トルクボックス部材が各ストラットの中間点で各ストラットに接続されることを特徴とする特許請求の範囲第49項のケーシング。
【請求項53】
前記トルクボックス部材が、吸入空気流をコア流通路とバイパス流通路との間で分割するのに適したスプリッタと一体化されることを特徴とする特許請求の範囲第49項のケーシング。
【請求項54】
前記ストラットが、前記ケーシング全体に画定される吸入空気流経路にわたって設けられることを特徴とする特許請求の範囲第49項のケーシング。
【請求項55】
前記内側ハブ部分が少なくとも1個のメインシャフトベアリングを支持し、かつ、前記ケーシングが、該ベアリングからの荷重が前記ストラットを通して実質的に曲げのない該ストラットの引張力および圧縮力として前記エンジンマウントへ伝達されるように適応していることを特徴とする特許請求の範囲第49項のケーシング。
【請求項56】
前記ケーシングが前記エンジンケーシングの中間ケース部分であることを特徴とする特許請求の範囲第49項のケーシング。
【請求項57】
航空機バイパスターボファンエンジン用の荷重支承装置であって、
少なくとも1個のシャフトベアリングを支持する内側ハブと、
少なくとも1個のエンジンマウントを有する外側ケーシングと、
周方向配列で延在する複数のストラットを含み、該複数のストラットの各々が、前記内側ハブに接続された第1端部から前記外側ケーシングに接続された第2端部まで延在し、該ストラットが、該配列においてすぐ隣接するストラットと対向する側面を有する、中空ストラットアセンブリであって、隣接するストラットの間で荷重を分散するための手段を含み、該手段が、隣接するストラットの間に延在するとともに各ストラット側面の中間部分に接続される、ストラットアセンブリと、
を含む、荷重支承装置。
【請求項58】
前記荷重分散のための手段が、該手段に付与されるトルクをせん断力に変換するための手段と、該せん断力を面内方向の力として前記ストラットへ伝達するための手段とを含むことを特徴とする特許請求の範囲第57項の装置。
【請求項59】
航空機バイパスターボファンエンジン用の荷重支承装置であって、少なくとも1本の空気流通路を一緒に画定する外側リングおよび内側リングと、周方向配列で該通路にわたって該外側リングおよび該内側リングの間で径方向に延在する複数の中空ストラットと、複数の中空トルクボックスとを含み、各トルクボックスが、隣接するストラットの中間部分へせん断伝達ジョイントで接合され、該外側リングが、該エンジンを航空機へ取り付けるための複数のエンジンマウントを有し、該トルクボックスが、エンジンマウントへのエンジンコア荷重伝達のため、取り付けられたエンジンコアにより該トルクボックスへ付与されるトルクをせん断力として該ストラットへ伝達するのに適している、装置。
【請求項60】
前記エンジンコアが重量を有し、該重量が前記トルクボックスを通して前記マウントへ完全に伝達されることを特徴とする特許請求の範囲第59項の装置。
【請求項61】
前記トルクボックスが、前記ストラットに付与される曲げモーメントを、前記ウェブ部材を通して該ストラットへ軸方向の力として伝達するのに適していることを特徴とする特許請求の範囲第59項の装置。
【請求項62】
前記装置が前記エンジンの中間ケース部分であることを特徴とする特許請求の範囲59項の装置。
【請求項63】
航空機バイパスターボファンエンジン用のケーシングであって、
前記エンジンを囲繞するのに適するとともに、該エンジンを航空機へ取り付けるのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、
前記エンジンのメインシャフトを支持する少なくとも1個のベアリングを支持するのに適した内側ハブであって、該内側ハブと前記ケースとの間に延在する複数のストラットにより該ケースに対して支持された内側ハブであり、複数の補剛材と間の複数の薄壁せん断パネルとを含むセミ・モノコック構造を有する内側ハブであり、これにより該内側ハブに付与される外部曲げ力を実質的に該補剛材の圧縮力および引張力と該パネルのせん断力として分解するのに適した内側ハブと、
を含むケーシング。
【請求項64】
前記補剛材が少なくとも前記ストラットを含み、該ストラットが前記内側ハブに一体的に接続されることを特徴とする特許請求の範囲第63項のケーシング。
【請求項65】
前記補剛材が、前記内側ハブと一体的になった、少なくとも一対の周方向に離間したリングを含むことを特徴とする特許請求の範囲第64項のケーシング。
【請求項66】
前記ケースが前記ケーシングの中間ケース部分であることを特徴とする特許請求の範囲第63項のケーシング。
【請求項67】
航空機バイパスターボファンエンジン用のケーシングであって、
前記エンジンを囲繞するのに適するとともに、該エンジンを航空機に取り付けるのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、
前記エンジンのメインシャフトを支持する少なくとも1個のベアリングを支持するのに適した内側ハブであって、該内側ハブと前記ケースとの間に延在する複数のストラットにより該ケースに対して支持され、複数の補剛材と間の複数の薄壁せん断パネルとを含むセミ・モノコック構造を有し、かつ、該補剛材とパネルが、該内側ハブへ付与される外部曲げモーメントを、該補剛材の圧縮力および引張力と該パネルのせん断力として受け止める、内側ハブと、
を含む、ケーシング。
【請求項68】
前記補剛材が少なくとも前記ストラットを含み、該ストラットが前記内側ハブに一体的に接続されることを特徴とする特許請求の範囲第67項のケーシング。
【請求項69】
前記補剛材が、前記内側ハブと一体的になった、少なくとも一対の周方向に離間したリングを含むことを特徴とする特許請求の範囲第68項のケーシング。
【請求項70】
前記ケースが前記ケーシングの中間ケース部分であることを特徴とする特許請求の範囲第67項のケーシング。
【請求項71】
航空機ターボファンバイパスエンジン用のケーシングであって、
前記エンジンを囲繞するのに適するとともに、該エンジンを航空機に取り付けるのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、
前記エンジンのメインシャフトを支持する少なくとも1個のベアリングを支持するのに適した内側ハブであって、該内側ハブと前記ケースとの間に延在する複数のストラットにより該ケースの内部に支持され、かつ、該ストラットが、該内側ハブから該ケースへの主要荷重経路を画定する、内側ハブと、
前記ストラットにより前記内側ハブと前記ケースとの中間に支持されたスプリッタであって、該ストラットがさらに、該スプリッタから該ケースへの主要スプリッタ荷重経路を画定し、該スプリッタが、エンジン吸入空気流を前記エンジンのコア空気流通路とバイパス空気流通路との間で分割するのに適している、スプリッタと、
を含み、
前記ストラットが、前記スプリッタと内側ハブとの間の荷重経路を遮断することにより該内側ハブへのスプリッタ荷重の伝達を阻止するための後縁部分の手段を含むことを特徴とするケーシング。
【請求項72】
前記手段が前記ストラット後縁の曲げ部を含むことを特徴とする特許請求の範囲第71項のケーシング。
【請求項73】
前記ケースが前記ケーシングの中間ケース部分であることを特徴とする特許請求の範囲第71項のケーシング。
【請求項74】
ガスタービンエンジン用のシャフトベアリング支持装置であって、ベアリング支持部材と抑制装置と抑制面とを含み、該抑制装置と該抑制面とが、該ベアリング支持部材に取り付けられたベアリングにより支持されたシャフトが使用中に撓む時に、相対的撓みを間に受け、また、所望する最大の相対的撓みが生じる時に該抑制装置と該抑制面との間に接触が生じるように、所望する最大の該相対的撓みに等しい間隙が、該抑制装置と抑制面との間に設けられ、これにより該抑制装置と該抑制面とが、該接触のため該所望する最大相対的撓みを超える撓みを阻止するのに適していることを特徴とするシャフトベアリング支持装置。
【請求項75】
航空機ターボファンバイパスエンジン用のケーシングであって、
前記エンジンを囲繞するのに適するとともに、該エンジンを航空機に取り付けるのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、
エンジン構造と前記ケースとの間に延在する複数のストラットであって、エンジン構造かが該ケースの前記エンジンマウントへの荷重の伝達のため該エンジン構造から該ケースまでの主要荷重経路を画定するストラットであり、該ストラットの長さに沿って複数のストラット区分の重心位置の軌跡に沿って画定される重心軸を各々が有するストラットと、
を含み、
前記エンジンマウントが、前記ストラット重心軸の1本と実質的に対応するように前記ケースに配置されることにより、荷重が該ストラットにより該エンジンマウントへ伝達されて、該ケースの曲げ荷重を最小にすることを特徴とするケーシング。
【請求項76】
前記ケースが前記ケーシングの中間ケース部分であることを特徴とする特許請求の範囲第75項のケーシング。
【請求項77】
航空機ターボファンバイパスエンジン用のケーシングであって、
前記エンジンを囲繞するのに適するとともに、該エンジンを航空機に取り付けるのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、
エンジン構造と前記ケースとの間に延在する複数のストラットであって、該エンジン構造から該ケースの前記エンジンマウントへ荷重を伝達するため該エンジン構造から該ケースへの少なくとも1本の荷重経路を画定するストラットであり、少なくとも数本のストラットが、該荷重経路に沿う予め選択された荷重が該ストラットへ付与されると塑性変形することにより、該ストラットから該エンジンマウントへの荷重伝達を、該予め選択された荷重を下回る量に該ストラットが制限するのに適していることを特徴とするケーシング。
【請求項78】
前記ケースが前記ケーシングの中間ケース部分であることを特徴とする特許請求の範囲第77項のケーシング。
【請求項1】
ファンアセンブリとコンプレッサアセンブリと燃焼器アセンブリとタービンアセンブリとを少なくとも含むターボファンエンジンのためのケーシングであって、
ファンケース部分と、
中間ケース部分と、
ガスジェネレータケース部分と、
を含み、
前記ファンケース部分と前記中間ケース部分と前記ガスジェネレータケース部分とが一体的に結合されることにより一体的ケーシングを形成することを特徴とするケーシング。
【請求項2】
前記ファンケース部分と前記中間ケース部分と前記ガスジェネレータケース部分とが同じ材料で製作されることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載のケーシング。
【請求項3】
前記中間ケース部分がさらに、一体的コンプレッサシュラウド部分と一体的ベアリングマウント部分とを含むことを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載のケーシング。
【請求項4】
前記ベアリングマウント部分が、シャフトベアリングに一体的な減衰を与えるような構造を持つことを特徴とする特許請求の範囲第3項に記載のケーシング。
【請求項5】
前記個々のファンケース部分と前記中間ケース部分と前記ガスジェネレータケース部分とが個別に製作されて一緒に溶接されることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載のケーシング。
【請求項6】
前記ファンケース部分と前記中間ケース部分と前記ガスジェネレータケース部分とが、フランジ無しの接続により一緒に結合されることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載のケーシング。
【請求項7】
エンジン内において流れが流通状態となるように配置されたファンとコンプレッサとガスジェネレータと、少なくとも該コンプレッサとガスジェネレータとの周囲に画定されるバイパス空気流とを少なくとも含み、かつ、
前記ファンとコンプレッサとガスジェネレータとを実質的に包囲する単体ケーシングと、
を含むバイパスターボファンエンジン。
【請求項8】
前記ケーシングがさらに、前記コンプレッサのブレード先端を囲繞する一体的コンプレッサシュラウドを含むことを特徴とする特許請求の範囲第7項に記載のターボファンエンジン。
【請求項9】
前記ケーシングがさらに、コンプレッサシャフトベアリングを該ケーシングに直接取り付けるための一体的ベアリングシートを含むことを特徴とする特許請求の範囲第8項に記載のターボファンエンジン。
【請求項10】
前記ベアリングシートが、前記コンプレッサシャフトベアリングに一体的な減衰を与えるような構造を持つことを特徴とする特許請求の範囲第9項に記載のターボファンエンジン。
【請求項11】
前記ケーシングが、前記エンジン内においてバイパス空気流通路を少なくとも部分的に画定することを特徴とする特許請求の範囲第7項に記載のターボファンエンジン。
【請求項12】
推進ファン部分とコンプレッサ部分とガスジェネレータ部分とを含む回転アセンブリであって、軸方向長さを有する回転アセンブリと、
実質的に前記軸方向長さに沿って前記回転アセンブリを包囲することにより前記エンジンを通るメイン流路を画定する略管形ケーシングアセンブリであって、一体化された単体であるケーシングアセンブリと、
を含む、航空機用のターボファンエンジン。
【請求項13】
前記ケーシングアセンブリがさらに、前記コンプレッサ部分の複数のコンプレッサブレード先端を囲繞する一体的シュラウド区分を含むことを特徴とする特許請求の範囲第12項に記載の航空機用ターボファンエンジン。
【請求項14】
前記ケーシングアセンブリがさらに、前記コンプレッサ部分のコンプレッサシャフトを機能的に支持するための一体的ベアリングシートを含むことを特徴とする特許請求の範囲第12項に記載の航空機用ターボファンエンジン。
【請求項15】
前記ケーシングが、前記エンジンのバイパスエアダクトの少なくとも一部分を画定することを特徴とする特許請求の範囲第12項に記載の航空機用ターボファンエンジン。
【請求項16】
ケーシングアセンブリを有するターボファンエンジンの重量を低下させる方法であって、該ターボファンエンジンと関連のバイパス流とを包囲するように単体の一体的ケースを設ける段階を含む方法。
【請求項17】
さらに、中間ケース部分とファンケース部分とガスジェネレータ部分とをフランジ無しの接続で一体化する段階を含むことを特徴とする特許請求の範囲第16項の方法。
【請求項18】
コンプレッサシャフトベアリング支持体を前記ケースに一体化する追加段階を含むことを特徴とする特許請求の範囲第16項に記載の方法。
【請求項19】
コンプレッサシュラウドを前記ケースに一体化する追加段階を含むことを特徴とする特許請求の範囲第16項に記載の方法。
【請求項20】
ファンケースと中間ケースとガスジェネレータケースとを含むガスターボファンエンジンケーシングアセンブリを設ける段階と、
推進ファンアセンブリとコンプレッサアセンブリとガスジェネレータアセンブリとを前記ケーシングアセンブリに載置する段階と、
他のコンポーネントを前記ケーシングアセンブリに取り付けることにより、前記エンジンの組立を完了する段階と、
を含む、航空機用ガスターボファンエンジンを組み立てる方法。
【請求項21】
前記ファンケースと中間ケースとガスジェネレータケースとをそれぞれ設ける段階と、
前記推進ファンアセンブリと前記コンプレッサアセンブリと前記ガスジェネレータアセンブリとを前記ケーシングに載置する前に、前記ファンケースと中間ケースとガスジェネレータケースとをフランジ無しの接続を用いて一体化することにより該ケーシングを組み立てる段階と、
をさらに含むことを特徴とする特許請求の範囲第20項に記載の方法。
【請求項22】
前記中間ケースが、コンプレッサシュラウドと、ファンエアバイパス流ダクトの一区分とを含むことを特徴とする特許請求の範囲第21項に記載の方法。
【請求項23】
前記ケーシングアセンブリにおける累積公差を減少させるため前記一体化ケーシングアセンブリの内面を機械加工する段階をさらに含むことを特徴とする特許請求の範囲第20項に記載の方法。
【請求項24】
航空機ターボファンバイパスエンジン用のケーシングであって、
前記エンジンを囲繞するのに適するとともに、エンジンを航空機へ取り付けるのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、
前記エンジンのメインシャフトを支持する少なくとも1個のベアリングを支持するのに適した内側ハブであって、該内側ハブと前記ケースとの間に延在する複数のストラットにより該ケース内部に支持される内側ハブであり、該ストラットが、該内側ハブから該ケースまでの主要荷重経路を画定する、内側ハブと、
前記ストラットにより前記内側ハブと前記ケースとの中間に支持されたスプリッタであって、該ストラットがさらに、該スプリッタから該ケースまでの主要スプリッタ荷重経路を画定し、前記エンジンのコア空気流通路とバイパス空気流通路との間でエンジン吸入空気流を分割するのに適したスプリッタと、
を含み、
前記ケースが、複数のリブと、この間の複数の薄壁せん断パネルと、を含むセミ・モノコック構造を有し、これにより該ケースが、該リブの圧縮力と引張力により、前記ケーシングに付与される外部荷重のバランスを取って該パネルのバランスせん断力を受け止めるのに適していることを特徴とするケーシング。
【請求項25】
スプリッタが、該スプリッタに取り付けられた前記エンジンのエンジンコアを支持するのに適しており、該エンジンコアが、前記スプリッタ主要荷重経路を通して該エンジンマウントに実質的に支持される重量を有することを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項26】
前記セミ・モノコック構造がさらに、外側リングに取り付けられた前記ストラットを含み、これにより、該ストラットが、前記リブによって実施されるものと実質的に同様の補剛機能と荷重伝達機能とを少なくとも実施することを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項27】
前記セミ・モノコック構造がさらに前記エンジンマウントを含、これにより、該エンジンマウントが、前記リブによって実施されるものと実質的に同様の補剛機能と荷重伝達機能とを少なくとも実施することを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項28】
前記内側ハブがセミ・モノコック構造を含むことを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項29】
前記内側ハブセミ・モノコック構造が、隣接するストラット接続部の間に画定される複数の薄壁せん断パネルを含むことを特徴とする特許請求の範囲第28項のケーシング。
【請求項30】
前記ストラットが前記スプリッタから前記内側ハブへ実質的に荷重を伝えないことを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項31】
少なくとも1個のエンジンマウントが少なくとも1本のストラットの重心軸に沿って配置されることを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項32】
前記スプリッタが前記コア空気流通路とバイパス空気流通路との間で空気流を分割するための空気力学面を含むことを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項33】
前記リブと前記せん断パネルとが前記ケースに一体的に設けられることを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項34】
前記リブが間に格子を画定するように協働することを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項35】
前記複数のリブが、平行部材と垂直部材とを含む略矩形格子状に配列されることを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項36】
前記リブが前記エンジンに対して前記パネルの略径方向外方にあることを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項37】
前記ケーシングが前記エンジンケーシングの中間ケース部分であることを特徴とする特許請求の範囲第24項のケーシング。
【請求項38】
前記ケーシングが、少なくとも前記エンジンのファンとコンプレッサと燃焼器とを収容するモノリシックケースを含むことを特徴とする特許請求の範囲第37項のケーシング。
【請求項39】
エンジンコアと、該エンジンコアの少なくとも一部分を包囲するケーシングとを含み、該ケーシングが、複数の中空ストラットと、相接する複数の部材とを含み、該ストラットが、内側ハブと該ケーシングとの間において周方向配列で延在し、該ストラットの各々が、該部材の少なくとも1個により少なくとも2本の周方向隣接ストラットに相接し、該部材の各々が、ストラット側面に各々が取り付けられた二つの端部を有し、各部材が中空密閉区分を含み、該密閉区分が、該ストラット側面と、隣接ストラットの間に延在する少なくとも1個の要素とによって少なくとも部分的に密閉され、該要素が、該部材へトルクが付与されると、該部材および隣接ストラットに対する整合のため、該ストラットへせん断力を伝達するのに適していることを特徴とする航空機バイパスターボファンエンジン。
【請求項40】
前記部材が前記隣接ストラットの中間点に取り付けられることを特徴とする特許請求の範囲第39項のエンジン。
【請求項41】
前記部材が相互に結合されることを特徴とする特許請求の範囲第39項のエンジン。
【請求項42】
前記部材が、バイパス流通路とコア流通路との間で空気を分割するのに適したスプリッタと一体化されることを特徴とする特許請求の範囲第39項のエンジン。
【請求項43】
前記エンジンコアが前記部材に取り付けられ、かつ、前記エンジンコア荷重が該部材と要素とストラットを順に通って前記ケーシングのエンジンマウントへ伝達されるように該ケーシングが適応していることを特徴とする特許請求の範囲第39項のエンジン。
【請求項44】
前記エンジンマウントがストラット重心軸と同軸に配置されることを特徴とする特許請求の範囲第43項のエンジン。
【請求項45】
前記ケーシングの全体に画定される空気流経路にわたって前記ストラットが設けられることを特徴とする特許請求の範囲第39項のエンジン。
【請求項46】
前記内側ハブが少なくとも1個のメインシャフトベアリングを支持し、かつ、該ベアリングからの荷重が、実質的に前記ストラットの曲げのない引張力および圧縮力として該ストラットを通して前記ケーシングのエンジンマウントへ伝達されるように、該ケーシングが適応していることを特徴とする特許請求の範囲第39項のエンジン。
【請求項47】
前記ケーシングが前記エンジンケーシングの中間ケース部分であることを特徴とする特許請求の範囲第39項のエンジン。
【請求項48】
前記ケーシングが、前記エンジンのファンとコンプレッサと燃焼器とを少なくとも収容するモノリシックケースを含むことを特徴とする特許請求の範囲第47項のエンジン。
【請求項49】
外側リング部分と内側ハブ部分と複数の中空ストラットと複数の中空トルクボックス部材とを含み、該外側リング部分が、航空機へのエンジン支持接続のための少なくとも1個のエンジンマウントを有し、該ストラットが、周方向配列で配置されるとともに、該内側ハブ部分を該外側リング部分へ取り付けるため該内側ハブ部分から該外側リング部分へ延在し、該複数のトルクボックス部材が、少なくとも1個が該配列の隣接ストラット間に延在することにより各ストラットをすぐ隣接するストラットへ接続するように配置され、該トルクボックス部材が、付与されたトルクをせん断力へ変換して該せん断力を該ストラットへ伝達するのに適している、航空機バイパスターボファンエンジンケーシング。
【請求項50】
前記トルクボックス部材が前記ストラットとともに密閉区分を形成することを特徴とする特許請求の範囲第49項のケーシング。
【請求項51】
前記トルクボックス部材が、前記エンジンのコア部分に接続されるとともに、該コアから前記マウントへ支持荷重を伝達するための少なくとも1本の主要荷重経路を画定し、該荷重経路が、該トルクボックス部材を通って該少なくとも1個のエンジンマウントへ伝わることを特徴とする特許請求の範囲第49項のケーシング。
【請求項52】
前記トルクボックス部材が各ストラットの中間点で各ストラットに接続されることを特徴とする特許請求の範囲第49項のケーシング。
【請求項53】
前記トルクボックス部材が、吸入空気流をコア流通路とバイパス流通路との間で分割するのに適したスプリッタと一体化されることを特徴とする特許請求の範囲第49項のケーシング。
【請求項54】
前記ストラットが、前記ケーシング全体に画定される吸入空気流経路にわたって設けられることを特徴とする特許請求の範囲第49項のケーシング。
【請求項55】
前記内側ハブ部分が少なくとも1個のメインシャフトベアリングを支持し、かつ、前記ケーシングが、該ベアリングからの荷重が前記ストラットを通して実質的に曲げのない該ストラットの引張力および圧縮力として前記エンジンマウントへ伝達されるように適応していることを特徴とする特許請求の範囲第49項のケーシング。
【請求項56】
前記ケーシングが前記エンジンケーシングの中間ケース部分であることを特徴とする特許請求の範囲第49項のケーシング。
【請求項57】
航空機バイパスターボファンエンジン用の荷重支承装置であって、
少なくとも1個のシャフトベアリングを支持する内側ハブと、
少なくとも1個のエンジンマウントを有する外側ケーシングと、
周方向配列で延在する複数のストラットを含み、該複数のストラットの各々が、前記内側ハブに接続された第1端部から前記外側ケーシングに接続された第2端部まで延在し、該ストラットが、該配列においてすぐ隣接するストラットと対向する側面を有する、中空ストラットアセンブリであって、隣接するストラットの間で荷重を分散するための手段を含み、該手段が、隣接するストラットの間に延在するとともに各ストラット側面の中間部分に接続される、ストラットアセンブリと、
を含む、荷重支承装置。
【請求項58】
前記荷重分散のための手段が、該手段に付与されるトルクをせん断力に変換するための手段と、該せん断力を面内方向の力として前記ストラットへ伝達するための手段とを含むことを特徴とする特許請求の範囲第57項の装置。
【請求項59】
航空機バイパスターボファンエンジン用の荷重支承装置であって、少なくとも1本の空気流通路を一緒に画定する外側リングおよび内側リングと、周方向配列で該通路にわたって該外側リングおよび該内側リングの間で径方向に延在する複数の中空ストラットと、複数の中空トルクボックスとを含み、各トルクボックスが、隣接するストラットの中間部分へせん断伝達ジョイントで接合され、該外側リングが、該エンジンを航空機へ取り付けるための複数のエンジンマウントを有し、該トルクボックスが、エンジンマウントへのエンジンコア荷重伝達のため、取り付けられたエンジンコアにより該トルクボックスへ付与されるトルクをせん断力として該ストラットへ伝達するのに適している、装置。
【請求項60】
前記エンジンコアが重量を有し、該重量が前記トルクボックスを通して前記マウントへ完全に伝達されることを特徴とする特許請求の範囲第59項の装置。
【請求項61】
前記トルクボックスが、前記ストラットに付与される曲げモーメントを、前記ウェブ部材を通して該ストラットへ軸方向の力として伝達するのに適していることを特徴とする特許請求の範囲第59項の装置。
【請求項62】
前記装置が前記エンジンの中間ケース部分であることを特徴とする特許請求の範囲59項の装置。
【請求項63】
航空機バイパスターボファンエンジン用のケーシングであって、
前記エンジンを囲繞するのに適するとともに、該エンジンを航空機へ取り付けるのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、
前記エンジンのメインシャフトを支持する少なくとも1個のベアリングを支持するのに適した内側ハブであって、該内側ハブと前記ケースとの間に延在する複数のストラットにより該ケースに対して支持された内側ハブであり、複数の補剛材と間の複数の薄壁せん断パネルとを含むセミ・モノコック構造を有する内側ハブであり、これにより該内側ハブに付与される外部曲げ力を実質的に該補剛材の圧縮力および引張力と該パネルのせん断力として分解するのに適した内側ハブと、
を含むケーシング。
【請求項64】
前記補剛材が少なくとも前記ストラットを含み、該ストラットが前記内側ハブに一体的に接続されることを特徴とする特許請求の範囲第63項のケーシング。
【請求項65】
前記補剛材が、前記内側ハブと一体的になった、少なくとも一対の周方向に離間したリングを含むことを特徴とする特許請求の範囲第64項のケーシング。
【請求項66】
前記ケースが前記ケーシングの中間ケース部分であることを特徴とする特許請求の範囲第63項のケーシング。
【請求項67】
航空機バイパスターボファンエンジン用のケーシングであって、
前記エンジンを囲繞するのに適するとともに、該エンジンを航空機に取り付けるのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、
前記エンジンのメインシャフトを支持する少なくとも1個のベアリングを支持するのに適した内側ハブであって、該内側ハブと前記ケースとの間に延在する複数のストラットにより該ケースに対して支持され、複数の補剛材と間の複数の薄壁せん断パネルとを含むセミ・モノコック構造を有し、かつ、該補剛材とパネルが、該内側ハブへ付与される外部曲げモーメントを、該補剛材の圧縮力および引張力と該パネルのせん断力として受け止める、内側ハブと、
を含む、ケーシング。
【請求項68】
前記補剛材が少なくとも前記ストラットを含み、該ストラットが前記内側ハブに一体的に接続されることを特徴とする特許請求の範囲第67項のケーシング。
【請求項69】
前記補剛材が、前記内側ハブと一体的になった、少なくとも一対の周方向に離間したリングを含むことを特徴とする特許請求の範囲第68項のケーシング。
【請求項70】
前記ケースが前記ケーシングの中間ケース部分であることを特徴とする特許請求の範囲第67項のケーシング。
【請求項71】
航空機ターボファンバイパスエンジン用のケーシングであって、
前記エンジンを囲繞するのに適するとともに、該エンジンを航空機に取り付けるのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、
前記エンジンのメインシャフトを支持する少なくとも1個のベアリングを支持するのに適した内側ハブであって、該内側ハブと前記ケースとの間に延在する複数のストラットにより該ケースの内部に支持され、かつ、該ストラットが、該内側ハブから該ケースへの主要荷重経路を画定する、内側ハブと、
前記ストラットにより前記内側ハブと前記ケースとの中間に支持されたスプリッタであって、該ストラットがさらに、該スプリッタから該ケースへの主要スプリッタ荷重経路を画定し、該スプリッタが、エンジン吸入空気流を前記エンジンのコア空気流通路とバイパス空気流通路との間で分割するのに適している、スプリッタと、
を含み、
前記ストラットが、前記スプリッタと内側ハブとの間の荷重経路を遮断することにより該内側ハブへのスプリッタ荷重の伝達を阻止するための後縁部分の手段を含むことを特徴とするケーシング。
【請求項72】
前記手段が前記ストラット後縁の曲げ部を含むことを特徴とする特許請求の範囲第71項のケーシング。
【請求項73】
前記ケースが前記ケーシングの中間ケース部分であることを特徴とする特許請求の範囲第71項のケーシング。
【請求項74】
ガスタービンエンジン用のシャフトベアリング支持装置であって、ベアリング支持部材と抑制装置と抑制面とを含み、該抑制装置と該抑制面とが、該ベアリング支持部材に取り付けられたベアリングにより支持されたシャフトが使用中に撓む時に、相対的撓みを間に受け、また、所望する最大の相対的撓みが生じる時に該抑制装置と該抑制面との間に接触が生じるように、所望する最大の該相対的撓みに等しい間隙が、該抑制装置と抑制面との間に設けられ、これにより該抑制装置と該抑制面とが、該接触のため該所望する最大相対的撓みを超える撓みを阻止するのに適していることを特徴とするシャフトベアリング支持装置。
【請求項75】
航空機ターボファンバイパスエンジン用のケーシングであって、
前記エンジンを囲繞するのに適するとともに、該エンジンを航空機に取り付けるのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、
エンジン構造と前記ケースとの間に延在する複数のストラットであって、エンジン構造かが該ケースの前記エンジンマウントへの荷重の伝達のため該エンジン構造から該ケースまでの主要荷重経路を画定するストラットであり、該ストラットの長さに沿って複数のストラット区分の重心位置の軌跡に沿って画定される重心軸を各々が有するストラットと、
を含み、
前記エンジンマウントが、前記ストラット重心軸の1本と実質的に対応するように前記ケースに配置されることにより、荷重が該ストラットにより該エンジンマウントへ伝達されて、該ケースの曲げ荷重を最小にすることを特徴とするケーシング。
【請求項76】
前記ケースが前記ケーシングの中間ケース部分であることを特徴とする特許請求の範囲第75項のケーシング。
【請求項77】
航空機ターボファンバイパスエンジン用のケーシングであって、
前記エンジンを囲繞するのに適するとともに、該エンジンを航空機に取り付けるのに適した複数のエンジンマウントを有するケースと、
エンジン構造と前記ケースとの間に延在する複数のストラットであって、該エンジン構造から該ケースの前記エンジンマウントへ荷重を伝達するため該エンジン構造から該ケースへの少なくとも1本の荷重経路を画定するストラットであり、少なくとも数本のストラットが、該荷重経路に沿う予め選択された荷重が該ストラットへ付与されると塑性変形することにより、該ストラットから該エンジンマウントへの荷重伝達を、該予め選択された荷重を下回る量に該ストラットが制限するのに適していることを特徴とするケーシング。
【請求項78】
前記ケースが前記ケーシングの中間ケース部分であることを特徴とする特許請求の範囲第77項のケーシング。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19】
【公表番号】特表2007−500298(P2007−500298A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521350(P2006−521350)
【出願日】平成16年7月19日(2004.7.19)
【国際出願番号】PCT/CA2004/001014
【国際公開番号】WO2005/012696
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(592228505)プラット アンド ホイットニー カナダ コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】Pratt & Whitney Canada, Inc.
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月19日(2004.7.19)
【国際出願番号】PCT/CA2004/001014
【国際公開番号】WO2005/012696
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(592228505)プラット アンド ホイットニー カナダ コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】Pratt & Whitney Canada, Inc.
[ Back to top ]