説明

ターンテーブル装置

【課題】天板に照明及び給電用の配線を組み込んだターンテーブル装置を提供する。
【解決手段】ターンテーブル装置Sは、ベースフレーム10に固定されたボールベアリング20とベースフレーム10の中央に設けられた軸受部14によって天板30を支持している。天板30は浅い皿状に形成され、天板30の上面側には、照明床システム60が二重床を形成するように組み込まれる。二重床の上層側を構成する床材63は透光性を有し、その下には照明器具64が配設される。照明器具64と外部電源はロータリーコネクタ65を介して接続される。ロータリーコネクタ65は、天板30の中央に取り付けられた筒状部34aに配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面等に設置されるターンテーブル装置であって、特に、ピットが不要で、天板の高さが低く、簡易に設置可能なターンテーブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車などの物体を載せたテーブルプレートを水平に回転駆動させることにより、その上に載せた物体を所望の方向及び角度で方向転換させるターンテーブル装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1のターンテーブル装置は、駐車場等の施設に常設で設置されるもので、テーブル本体と床面とが面一となるように設置されている。テーブルプレートはその下方からベースフレーム、ガイドローラ、支持機構によって回転可能に支持されると共に、このテーブルプレートを回転駆動させる駆動機構を備えている。ターンテーブルの設置面には、支持機構及び駆動機構を収納するために、周囲の床面よりも一段低い凹部(ピット)が形成されている。
【0003】
特許文献1のターンテーブル装置は、ピットを設けて設置するため、設置場所が限られると共に、施工手間がかかるという問題点があった。また、仮設で設置するのが困難であるという問題点もあった。また、駆動装置がテーブルプレートの下の空間に納められているため、ピットの深さを大きくする必要があり、また、メンテナンス時にテーブルプレートを取り外して行わなければならないという問題点があった。
【0004】
これに対し、特許文献2のターンテーブル装置は、ピットを施工せずに平らな床面上に設置されるもので、このターンテーブル装置は、設置面(床面)上に放射状に下地材を置き、その中心に中心軸を設けると共に、下地材の上に、直径の異なる環状のレールを同心円状に取り付けてベースを形成している。一方、テーブルプレートの下面には、このレールに対応するように環状のレールを取り付付け、多数の鋼球を上下のレール間に設置することにより、テーブルプレートを回転可能にしている。また、このテーブルプレートは、摩擦係数の大きな縞鋼板が用いられており、扇形の分割板を組み立てて形成している。テーブルプレートの上面外周には摩擦駆動輪(フリクションホイール)を設置し、摩擦駆動力によってテーブルプレートを回転させている。
特許文献2のターンテーブル装置は、このような構成により、テーブル面の設置面からの高さを低くすることができ、また、床面にピットを形成せずに設置することができる。
【0005】
【特許文献1】特開2001−65188号公報
【特許文献2】特開平08−35353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2のターンテーブル装置は、天板が物品を支持する機能のみを有するものであり、照明を組み込むことは提案されていなかった。また、特許文献1、2のターンテーブル装置では、回転する天板側に給電可能な配線接続部を設けて外部と接続することは提案されていなかった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、天板に照明及び給電用の配線を組み込んだターンテーブル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
設置面上に載置される支持手段と、該支持手段によって回動可能に支持される天板と、該天板を回動させる駆動手段と、を備えたターンテーブル装置であって、前記支持手段には、前記天板の略中心部が回動自在に組み付けられ、前記天板は、前記支持手段によって支持される下層板と、該下層板よりも上方において支持される上層板と、を有して構成され、前記上層板の少なくとも一部が透光性を有する素材とされ、且つ、前記下層板と前記上層板との間に所定の空間が設けられ、該空間に照明手段が配設されたことにより解決される。
【0009】
このように、本発明のターンテーブル装置は、下層板よりも上に支持される上層板を有する二重床構造となるように天板を構成している。上層板と下層板との間には所定の空間が確保されており、照明手段が配設されている。上層板は、その少なくとも一部が透光性を有する素材であるので、天板に載せた物品を下から照明することができる。よって、展示等に好適に用いることができる。
【0010】
また、本発明において、前記照明手段と外部電源とを接続する回転接続部を備え、該回転接続部は、前記天板に固定された回転部と、前記支持手段に固定される固定部と、を有し、前記回転部と前記固定部とが導通可能に構成され、前記回転部と前記固定部は前記天板の回動に基づいて相対回動され、かつ、相対回動しても前記回転部と前記固定部との導通状態が確保されている。このように構成すると、天板と共に照明及び天板内に配設された配線が回動しても、回転接続部よって配線が絡んだりすることがなく、かつ、外部電源との導通状態が確保される。
【0011】
また、本発明において、前記下層板は、前記下層板の外周端から上方に立ち上がる略円筒状の壁部を有し、該壁部と前記下層板とによって凹部が形成され、前記上層板及び前記照明手段は、前記凹部に収容されている。このように構成すると、壁部が天板の側面となって照明手段及び配線が外部に露出しないので、外観が良好となる。
【0012】
また、本発明において、より具体的には、前記上層板は、強化ガラスからなる。上層板として強化ガラスを用いれば、大きな荷重を支持することができる。
【0013】
また、本発明において、前記上層板は複数の分割板を配列して構成され、前記分割板の端部を支持する複数の梁部材と、該梁部材の両端を支持する複数の支持脚と、を有し、該支持脚が前記下層板上に所定間隔で設置されている。このように構成すると、上層板及び受け部材を組み立て式にすることができる。また、組み立て部材により天板を二重床にすれば、同じ部材を用いて大型化や小型化に対応可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
○ 本発明のターンテーブル装置は、上層板と下層板との間に所定の空間を設けて照明手段を配設している。そして、上層板の少なくとも一部を透光性を有する素材としたことにより、天板に載せた物品を下から照明することができる。
○ 本発明のターンテーブル装置は、照明手段と外部電源とを接続する回転接続部を備えているので、天板と共に照明及び天板内に配設された配線が回動しても、回転接続部よって配線が絡んだりすることがなく、かつ、外部電源との導通状態が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
図1〜図12は本発明のターンテーブル装置の一実施形態を示すものであり、図1はターンテーブル装置の断面図、図2はベースフレームの平面図、図3〜図5は分割フレームの平面図、図6はターンテーブルの装置の一部拡大断面図(図1の領域Aの拡大図)、図7はボールベアリングの平面図、図8は天板の下面図、図9は天板の上面図、図10は駆動装置の平面図、図11は照明床システムを組み込んだターンテーブル装置の断面図、図12はターンテーブルの装置の一部拡大断面図(図11の領域Bの拡大図)である。
【0016】
本発明のターンテーブル装置を、主に物品の展示用に用いられるターンテーブル装置に適用した一実施形態について説明する。このターンテーブル装置Sは、設置面にピットを形成せずに設置可能であり、所望の屋内空間や屋外空間に簡易に設置することができるものである。また、簡易に分解して除去することが可能である。よって、施設内に後付けで容易に設置することができ、仮設の展示空間やイベント空間の設営にも好適に用いることができる。また、このターンテーブル装置Sは、その上に載せる物品を下方から照明することができるように構成されている。
【0017】
ターンテーブル装置Sに載せる物品としては、大型の展示品、例えば乗用車程度の大きさのものが想定される。また、物品と共にオペレーターをターンテーブル装置上に載せることも可能である。なお、物品がこのようなものに限定されないのは勿論であり、支持荷重及びテーブル面の大きさの範囲内であれば各種の物品を載せることが可能である。また、用途についても展示用に限定されず、作業用に用いることも可能である。
【0018】
ターンテーブル装置Sは、図1等に示すように、設置面(例えば、展示室の床面など)上に設置される組み立て式のベースフレーム10と、ベースフレーム10に固定されるボールベアリング20と、ベースフレーム10及びボールベアリング20に支持される天板30と、天板30を回転駆動させる駆動装置40と、を主要構成要素とする。また、ターンテーブル装置Sは、後述する自動反転制御や緊急停止制御を行うために、検出スイッチ70と操作ユニット80を備えている。
なお、ターンテーブル装置Sは左右対称であり、図1で省略して示した部分は右半分と同様である。また、後述するように、天板30は、その上面側に照明床システム60(図11参照)を組み込むことができる。
【0019】
(ベースフレームの構成)
まず、図2〜図5に基づいて、ベースフレーム10の構成について説明する。ベースフレーム10は金属製の防錆処理が施された板材を組み立てたものであり、その外形は薄型の円盤状である。ベースフレーム10は、全体の中心の位置に配設される円形プレート11と、この円形プレート11を中心として径方向に放射状に配設される径方向フレーム12と、円形プレート11を中心として同心円状に配設された複数の環状フレームからなる周方向フレーム13と、円形プレート11の上面中心に取り付けられる筒状の軸受部14と、を主要構成要素とする。
ベースフレーム10は、ターンテーブル装置Sの設置面上に、複数のボールベアリング20を所定の配置で設置するための下地材としての機能を有する。また、ベースフレーム10は、天板30を回動自在に支持する支持部としての機能を有する。
【0020】
円形プレート11、径方向フレーム12、周方向フレーム13はいずれも同一の板厚の板材であるので、設置面上に並べて配置したときに面一となる。
径方向フレーム12は所定の幅の細長い板材であり、長さの異なる2種類の直線状のフレーム12A,12Bからなる。長い方のフレーム12Aは、ベースフレーム10の外周ライン上から径方向内側に向かって放射状に配設されている。一方、短い方のフレーム12Bは、ベースフレーム10の中心に置かれた円形プレート11の外周から、径方向外側に向かって放射状に配設されている。フレーム12Bの径方向外側の端部は、周方向フレーム13のうち、最も内側の環状フレーム(後述するフレーム13E)に接合されている。そして、この環状フレームの径方向外側に、長い方のフレーム12Aの端部が接合される。フレーム12A,12Bはそれぞれ周方向に略等間隔で配設されており、その数は、外側のフレーム12Aの数が内側のフレーム12Bの倍となっている。従って、フレーム12Aは、一本おきにフレーム12Bと角度が一致する位置に配置されている。
【0021】
周方向フレーム13は、径方向フレーム12と略等しい幅の細長い板材であり、長さの異なる短いフレーム13A〜13Dと、環状のフレーム13Eからなる。周方向フレーム13は、短いフレーム13A〜13Dを周方向に略等間隔に配列して同心円状にした4つの環状フレームを有している。各々の環状フレームは径方向フレーム12と交差するように配置されている。すなわち、フレーム13A〜13Dは、環状フレームを交差部で分割した形状である。フレーム13A〜13Dの長さ方向の端面は、フレーム12Aに当接している。フレーム12Aは放射状に配置されているので、フレーム13A〜13Dの形状は長方形ではなく略台形である。なお、フレーム13A〜13Dは円弧状であってもよい。最も外側のフレーム13Aを並べた環状フレームはベースフレーム10の外周ライン上に位置する。また、最も内側の環状のフレーム13Eは、一体に形成してもよく、放射状に分割したものを接合して用いてもよい。
【0022】
軸受部14は略円筒形であり、その下端面を円形プレート11の上面に当接させて取り付けられている。軸受部14の中心軸の位置は円形プレート11の中心と一致する。軸受部14には、後述する天板30の中心に配設される軸部材34が回動自在に組み付けられる。従って、軸受部14は、天板30を回動自在に支持することができる。また、軸受部14の側面(円筒面)には開口が設けられている。この開口を通って、後述する照明床システム60に給電するための配線が外部電源に接続される。
【0023】
ベースフレーム10は、上述した各部材を接合して組み立てられるが、まず、円形プレート11、フレーム12A,12B、及びフレーム13A〜13Eの各部材を途中まで組み立てていくつかの分割フレームを形成する。分割フレームへの組み立ては、このターンテーブル装置Sの各構成部品の製造時に製造工場において行われる。よって、ターンテーブル装置Sの設置現場では、分割フレームの組み立てのみが行われる。このようにすると、設置現場での組み立て作業が簡略化されると共に、設置現場へ運搬する部材を小型化することができる。よって、ターンテーブル装置Sの設置が容易化される。
【0024】
図3〜図5に示すように、本実施形態のベースフレーム10は、3種類の分割フレーム10A〜10Cの形状にまず組み立てられる。分割フレーム10Aは、図3に示すように、ベースフレーム10の中央部分を形成するものであり、円形プレート11と、径方向フレームであるフレーム12Bと、最も内側の環状フレームであるフレーム13Eを接合して一体に組み立てたものである。分割フレーム10B及び10Cは、分割フレーム10Aを除くドーナツ状の部位を放射状に8つに分割して扇形にした形状である。分割位置はフレーム12Aの位置であり、分割位置におけるフレーム12Aは分割フレーム10B側に含まれる。分割フレーム10Bと10Cは周方向に交互に配置される。このように、分割フレーム10B,10Cは、周方向のフレーム材であるフレーム13A〜13Dと、径方向のフレーム材であるフレーム12Aを格子状に接合することにより形成されている。
【0025】
以上のように、設置現場でベースフレーム10を組み立てるための部品として、合計9つの分割フレーム10A〜10Cが予め製作されるが、最小単位の部材である円形プレート11、フレーム12A,12B、及びフレーム13A〜13Eの各部材同士の接合方法としては、例えば突合せ溶接のように接合部分が板厚方向に突出しない接合方法が用いられる。これらはいずれも同一の板厚の板材であるので、その端面同士を当接させて突合せ溶接することにより、均一な厚さの凹凸のない分割フレーム10A〜10Cが得られる。よって、ベースフレーム10の厚さを薄くすることができる。
また、分割フレーム10A〜10Cは、ターンテーブル装置Sの設置現場において、後述するボールベアリング20を介して接合される。そのため、分割フレーム10A〜10Cには、予め接合用の溶接ボルト15が所定位置に取り付けられている。
【0026】
ここで、ベースフレーム10の具体的な寸法の一例を述べる。以下の例は、ターンテーブル装置Sを比較的大型の直径約5mタイプのものとした場合の構成である。円形プレート11、フレーム12A,12B、及びフレーム13A〜13Eはいずれも鋼製の板材であり、溶融亜鉛めっき処理が施されている。その板厚は4.5mmである。円形プレート11の直径は400mmであり、フレーム12A,12B、フレーム13A〜13Eの部材幅はいずれも50mmである。
【0027】
また、分割フレーム10Aの外径(すなわちフレーム13Eの外径)は1550mmであり、分割フレーム10Aに用いられる径方向フレームであるフレーム12Bの長さは525mmである。また、分割フレーム10B,10Cに用いられる径方向フレームであるフレーム12Bの長さは1745mmである。また、周方向フレームであるフレーム13A〜13Eの取り付け間隔(径方向の間隔)は、フレーム13A〜13Cの部材中心間間隔が450mm、フレーム13Cと13Dの部材中心間間隔が425mm、フレーム13Dと13Eの部材中心間間隔が425mmである。以上の寸法設定により、外径が5040mmのベースフレーム10が形成される。なお、上記構成及び寸法設定は一例であり、ターンテーブル装置Sの大きさ(外径)に応じて種々変更可能である。
【0028】
(ボールベアリングの構成)
続いて、図6、図7等に基づいてボールベアリング20の構成について説明する。図6は図1の領域Aの拡大図であり、ボールベアリング20の側面図が示されている。図7はボールベアリング20の平面図である。ボールベアリング20は、ハウジング21と、ハウジング21の内部に回転自在に支承される球体22と、ハウジング21が上面に固定される接合板23と、を備えている。ハウジング21、球体22は所定の強度の金属製であるが、金属製に限定されるものでなく、ベアリングに用いられる通常の素材を種々適用可能である。また、接合板23は上記ベースフレーム10と同様の材質である。
【0029】
このボールベアリング20は、他の物体に設けられたベアリング面と低摩擦で接触する面を上面側に有している。ハウジング21は、円形の平面プレート21aと、平面プレート21aの上面から上方に向かって立ち上がる円筒形の壁部21bと、壁部21bの上端開口を閉塞する閉塞面21cと、を有し、閉塞面21cの中央に円形の開口21dが形成されている。開口21dの周囲は上方に若干盛り上がった形状になっている。別の表現を用いれば、ハウジング21は、カップ状の凹型容器の底面に開口を開けてひっくり返し、円形プレート上に固定した形状ともいえる。上方に面する開口21dにはハウジング21内に3次元的に回動自在に支持された球体22が摺動可能に内接しており、球体22は、開口よりも上方に所定寸法突出している。このような構成により、ボールベアリング20の上に載せた物体は、回動自在な球体22によって支持されるので、低摩擦で支持される。
【0030】
接合板23は略正方形の板材であり、その中央に平面プレート21aがビス等の締結部材により固定される。なお、溶接等により固定しても良い。このとき、ハウジング21に保持される球体22の中心と、接合板23の中心とが一致するように固定される。また、接合板23の外周寄りには、ベースフレーム10との固定用のボルト穴23aが4箇所形成されている。ボルト穴23aは、球体22を中心として90度ずつ角度をずらした4つの位置に形成されている。
【0031】
次に、ボールベアリング20とベースフレーム10との接合方法について説明する。ボールベアリング20は、図2に示すように、径方向フレーム12(フレーム12A,12B)と周方向フレーム13(フレーム13A〜13E)とが交差する位置に取り付けられる。より詳しくは、格子状に配置されたフレーム材の中心線の交差点と、ボールベアリング20内の球体22の中心の位置とが一致するようにボールベアリング20が配置され、固定される。そのため、ベースフレーム10の各フレーム材には、各交差点にボールベアリング20を配置したときに、その接合板23のボルト穴23aに対応する位置に、予め溶接ボルト15が取り付けられている。よって、ボールベアリング20は、取付位置に配設する際に各ボルト穴23aに溶接ボルト15を通し、上方からナット止めすることにより、設計位置に容易に固定することができる。
【0032】
ボールベアリング20は、分割フレーム10A〜10C同士の接合ライン上にも取り付けられる。接合ライン上に取付けられたボールベアリング20は、接合板23が隣り合う分割フレームに跨って配置されることになるので、4つのボルト穴23aのうち少なくとも1つが他の3つとは異なる分割フレーム上の溶接ボルト15に固定される。つまり、接合板23を介して隣り合う分割フレームが接合される。本実施形態では、このような構成により、ボールベアリング20の接合板23が、分割フレーム10A〜10C同士を接合するための接合部材を兼ねることができる。よって、ボールベアリング20の上端のベースフレーム10の上面からの高さを低くすることができ、天板30の支持位置を低くすることができる。
なお、接合板23は、ハウジング21の一部すなわちハウジング21と一体に形成されていてもよい。
【0033】
なお、図2〜5に示すように、本実施形態では、フレーム材同士の交差点に全てボールベアリング20を取り付けているわけではない。すなわち、分割フレーム10Aと、その外周側の分割フレーム10B,10Cとの接合ライン上では、交差点間の間隔が狭いため、1箇所おきにボールベアリング20を配置している。一方、分割フレーム10A内には、径方向フレーム上の周方向フレームとの交差点がないためボールベアリング20間の間隔が広い。そこで、フレーム12B上の所定にもボールベアリング20が配置されており、2つのボルト穴23aだけで固定されている。なお、接合板23は、ボルト穴23aが4箇所不要な場合は必要な位置だけにボルト穴23aが形成されてもよい。
【0034】
ここで、ボールベアリング20の具体的な寸法の一例を述べる。以下の例は、ベースフレーム10の欄で説明した直径約5mタイプのターンテーブル装置Sにおいて、積載荷重を5t以内となるようにボールベアリング20を配置する場合である。ボールベアリング20として、公知の重荷重用ボールベアリングであって1個当りの耐荷重100kgのものを用いる。ハウジング21、球体22は鋼製(SCM415等)である。
ボールベアリング20は、上述した配置により、ベースフレーム10上に合計152個設置される。この場合の可能積載荷重の算出方法は、支持荷重の単純合計値15.2t(=100kg×152個)に、使用率(70%)と安全率(70%)を乗じて得た荷重7.69t(=15.2t×0.7×0.7)から、天板30の自重1.2tと、天板30によって支持される照明床システム60の自重1.2t(=50kg/照明器具1台×20台+周辺部材の荷重)を減じた荷重が5.29tとなることから、端数を切り捨てて5tとしている。
【0035】
ボールベアリング20は、外形高さ寸法が34.5mmである。すなわち、接合板23の板厚が4.5mmであり、平面プレート21aから球体22の頂点までの寸法が30mmである。従って、ベースフレーム10上にこのボールベアリング20を固定すると、球体22の頂点の設置面からの高さ(図6の寸法h)は39mmとなる。また、ボールベアリング20の平面形状は、ハウジング21の平面プレート21aの直径が65mmであり、壁部21bの直径が41mmである。また、接合板23は一辺が150mmの正方形であり、ボルト穴23aは各辺の中央から20mm内側の位置に形成されている。ボルト穴23aは径8mmである。なお、上記構成及び寸法設定は一例であり、ターンテーブル装置Sの大きさや積載荷重に応じて種々変更可能である。
【0036】
なお、本実施形態では、同一の高さのボールベアリング20を薄板状のベースフレーム10の上に設置している。従って、ボールベアリング20の上端の高さを揃えるためにはベースフレーム10が設置される設置面を水平かつ平滑な面とする必要がある。上述した直径約5m、積載荷重5tタイプでは、ボールベアリング20により適切に荷重を分担支持するためには、設置面の水平精度を±3mm以内とすることが望ましい。そこで、水平精度を確保するために、設置面上にレベル調整部材として合板等を設置すると好適である。
【0037】
(天板の構成)
続いて、図6、図8、図9等に基づいて天板30の構成について説明する。天板30は、裏面(下面)側に配設された円形の平面プレート31と、表面(上面)側に配設された円形の平面プレート32と、平面プレート32の外周に溶接等により接合される外周壁33と、平面プレート31及び平面プレート32の中央を貫通するように配設される軸部材34と、を有して構成されている。天板30は、これらの部材により、全体として浅い皿状に形成されている。
【0038】
平面プレート31と平面プレート32は板厚の異なる金属製の板材からなり、上面側の平面プレート32の方が板厚が薄く、わずかに直径が大きい。図8、図9はそれぞれ天板30を下面側(平面プレート31側)と上面側(平面プレート32側)からみた平面図であり、平面プレート31と平面プレート32の平面図が示されている。この図に示すように、平面プレート31と平面プレート32は、それぞれ、複数の分割プレート31aと分割プレート32aを組み立てて形成されている。2枚のプレートのうち、裏面側に配設された平面プレート31は、3つの同心円により径方向に4つに区切られ、そのうち中央の円形部分を除くドーナツ状の部分がそれぞれ周方向に8つに区切られている。中央の円形部分には、その中央に軸部材34を挿通可能な穴31bが形成されており、この穴31bを通るラインで2分割されている。薄い方の平面プレート32も同様に、2つの同心円により径方向に3つに区切られており、最も内側の円形部分は、その中央に穴31bよりも大きい穴32bが形成されている。
【0039】
平面プレート31と平面プレート32は、図8、図9のような配置に並べた分割プレート31a及び分割プレート31aの中心を合わせて2層に積層したのち、各分割プレート31a,32aの外周沿いの所定箇所を、もう一層のプレートにビス、フィニッシュネイル等によって締結する。これにより、板材を2層接合して1枚の積層板を形成している。このとき、各分割プレート31a,32aは、隣り合う分割プレートとの間に目地となる隙間を設けるようにして並べられている。従って、温度変化により分割プレート31a,32aが膨張・収縮しても、積層板全体の外形が変化しにくくなっている。
【0040】
軸部材34は、ベースフレーム10の中央に固定された軸受部14によって回動自在に支持可能な筒状部34aと、平面プレート32の中央の穴32bに内接する大きさの円形プレートからなるフランジ板34bと、を備えており、フランジ板34bの中央に形成された穴に筒状部34aを貫通させて溶接固定して形成されている。この筒状部34aは、その内部に後述する照明床システム60への給電配線の接続部である回転接続ユニットを配設することができる。
【0041】
平面プレート31と平面プレート32を積層して接合した積層板の中央部分は、穴31bと穴32bの直径が異なるために、平面プレート31の厚み分だけ凹んだ段差状となっている。軸部材34は、この段差部にフランジ板34bを嵌めこんでフランジ板34bと平面プレート31とをビス止めすることにより、積層板の中央に取り付けられている。
【0042】
外周壁33は、天板30の側面部(外周面)を構成するものであり、その内径が平面プレート32の外径よりもわずかに大きい環状の壁部33aと、壁部33aの一端側から径方向外側に向けて延出されたフランジ部33bと、を有する。図6に示すように、外周壁33は、フランジ部33bが上向きになるように配設されており、平面プレート31,32は、壁部33aの下端寄りの位置に配置されている。そして、上面側にある平面プレート32の外周端と、壁部33aの内周面とが溶接により接合されている。このような構成により、天板30の上面側は、平面プレート32と外周壁33によって囲まれる浅い凹状空間となっている。この凹状空間は、後述する照明床システム60を設置するための設置空間として用いることができる。
【0043】
天板30は、以上のような構成により中央に軸が設けられた浅い皿状に組み立てられている。その裏面側は、中央部から軸部材34の筒状部34aが下方に突出し、外周端から外周壁33がわずかに下方に突出しているが、その他の部位は、平面プレート31によって略平滑な面となっている。天板30をベースフレーム10及びボールベアリング20に組み付けると、平面プレート31が上方からボールベアリング20の球体22に当接する。すなわち、平面プレート31の下面がベアリング面となる。それと共に、壁部33aを軸受部14に挿入して回動自在に組み付けることにより、天板30を、ベースフレーム10とボールベアリング20からなる支持手段によって、水平な状態で、回動自在に支持することができる。ボールベアリング20は、その平面分布が偏らないように配設されているので、天板30のどの位置に荷重を加えても、その荷重が荷重点の周囲のボールベアリング20によって適宜分担支持される。
【0044】
ここで、天板30の具体的な寸法の一例を述べる。以下の例は、ベースフレーム10、ボールベアリング20の欄で説明した直径約5mタイプ、積載荷重5tのターンテーブル装置Sに用いられる天板30の構成である。
下面側の平面プレート31の板厚は6mmであり、上面側の平面プレート32の板厚は4.5mmである。従って、天板30をボールベアリング20によって支持させると、天板30の上面(平面プレート32の上面)の設置面からの高さは、球体22の上端高さである39mmに板厚を加えた値となり、49.5mmである。また、平面プレート31と平面プレート32は、分割プレート31a間の目地、及び、分割プレート32a間の目地が2mmとなるように組み立てられている。平面プレート32の外径は5046mmであり、平面プレート31の外径は5030mmである。
【0045】
外周壁33は、125mm×75mm、板厚7mmのアングル材を切断加工して曲げ加工し、リング状(軸方向長さが短い筒状)に形成したものである。すなわち、元のアングル材の125mmの辺を110mmに切断加工すると共に、75mmの辺を30mmに切断加工し、110mmに切断した辺を筒状に形成して壁部33aとし、30mmの辺が径方向外側に延出されるようにしてフランジ部33bとしている。平面プレート32は、その上面の高さが壁部33aの下端から20mmとなるように位置合わせした状態で壁部33aに接合されている。従って、平面プレート32と外周壁33によって形成される凹状空間の深さは90mmとなっている。また、壁部33aの内側面と平面プレート32の端面との隙間は2mmであるので、この凹状空間の内径は5050mmである。
【0046】
軸部材34は、回動軸である筒状部34aの外径寸法が49mm、長さが35mmである。筒状部34aは、フランジ板34bの中央から上方に9.5mm突出するように接合されている。従って、フランジ板34bを平面プレート32の中央の穴32bに面一になるようにはめ込むと、筒状部34aの下端は、球体22に当接している平面プレート31の下面から、15mm下向きに突出する。球体22の上端からベースフレーム10の上面までの高さは34.5mmであるので、天板30をベースフレーム10及びボールベアリング20に組み付けると、軸部材34の下端すなわち筒状部34aの下端は、ベースフレーム10の上面から20.5mmの位置にある。従って、このような構成では、軸部材34を回動自在に組み付けるためには、ベースフレーム10の軸受部14の上端の高さが、20.5mmを越えるようにする必要がある。
【0047】
(駆動装置の構成)
続いて、図6、図10等に基づいて駆動装置40の構成について説明する。駆動装置40は、減速機付きの駆動モータ41と、駆動モータ41の出力軸41aを回転軸として回転するモータ側ギヤ42と、モータ側ギヤ42と噛合するミドルギヤ43と、ミドルギヤ43と噛合する2つの出力ギヤ44A,44Bと、出力ギヤ44A,44Bの回転軸45A,45Bに取り付けられる車輪46A,46B(摩擦駆動輪)と、車輪46A,46Bをそれぞれ天板30側へ常時付勢する付勢手段47A,47Bと、駆動モータ41,モータ側ギヤ42,ミドルギヤ43等を内部に収納するハウジング48と、を備えている。
【0048】
図6に示すように、駆動装置40では、天板30の側面部を形成する壁部33aの外周面に向かって突出するように車輪46A,46Bを設置している。車輪46A,46Bは、壁部33aの外周面に所定の押圧力で圧接されている。この状態で車輪46A,46Bが回転駆動されると、壁部33aの表面と車輪46A,46Bとが所定の摩擦力で摺接し、壁部33a側すなわち天板30側に回転駆動力が伝達される。すなわち、壁部33aの外周面が本発明の摩擦駆動面に相当する。
【0049】
駆動装置40を本実施形態のように摩擦駆動方式とすると、従来のチェーンとスプロケットや、ベルト機構を用いた駆動方式、ラックとピニオンを用いた駆動方式等に比べて、動力伝達機構をコンパクトに構成することができる。よって、駆動手段を小型化することができる。また、チェーンや歯車面の噛み合いによる駆動音が少なく、作動時の騒音を低減することができる。また、動力伝達機構に塵埃等が蓄積されたことによる不具合等が発生しにくい。
また、車輪46A,46B(摩擦駆動輪)が天板30側(径方向内側)に向かって付勢手段47A,47Bにより常時付勢されているので、天板30と車輪46A,46Bの相対位置が多少ずれても車輪46A,46Bを天板30に常に圧接することができる。従って、駆動力を確実に伝達でき、かつ、大きな駆動力を伝達することができる。よって、駆動負荷の増大に対応可能である。
【0050】
図10に駆動装置40の平面図を示す。この図では、ハウジング48の一部を切り欠いて示している。駆動装置40は、この図に示すように、2つの車輪46A,46Bを備えており、車輪46A,46Bの回転軸45A,45Bにそれぞれ取り付けられた2つの出力ギヤ44A,44Bを、1つのミドルギヤ43に噛合させて駆動している。従って、車輪46A,46Bは同期して同一方向に回転駆動される。出力ギヤ44A,44B、回転軸45A,45B、車輪46A,46B、及び付勢手段47A,47Bは、2組の摩擦駆動機構を構成している。すなわち、駆動装置40は、出力ギヤ44A,回転軸45A,車輪46A,付勢手段47Aからなる第1の摩擦駆動機構と、出力ギヤ44B,回転軸45B,車輪46B,付勢手段47Bからなる第2の摩擦駆動機構とを備えている。第1の摩擦駆動機構と第2の摩擦駆動機構は、付勢手段47A,47Bが付勢方向が異なるように構成されている点のみが相違しており、他の構成は同一である。
【0051】
駆動モータ41は全体として細長い形状とされ、その上面から上方に向かって出力軸41aが突出している。出力軸41aにはモータ側ギヤ42が組み付けられている。モータ側ギヤ42と、2つの摩擦駆動機構の出力ギヤ44A,44Bは、ミドルギヤ43を介して連結されている。
【0052】
このように構成したのは以下の理由による。2つの摩擦駆動輪である車輪46A,46Bは、それぞれ出力ギヤ44A,44Bと同一の軸に組み付けられており、これらは、天板30をその側面側からを摩擦駆動するために、その回転軸45A,45Bがターンテーブル装置Sの設置面に対して垂直となっている。摩擦駆動輪を天板30の側面側に設ければ、天板30の下方に摩擦駆動輪の収納空間を設けたり摩擦駆動輪が天板の上面から上方に突出しないので、ターンテーブル装置Sを薄型化することができる。
このとき、出力ギヤ44A,44Bに直接モータ側ギヤ42を噛合させて駆動力を伝達しようとすると、駆動モータ41と2つの車輪46A,46Bの平面位置が重なってしまうため、これらの上下配置をずらし、駆動モータ41を上方に移動させて出力軸41aを下方に向けて突出させる必要がある。従って、駆動モータ41の上端から摩擦駆動輪の下端までの寸法が長くなり、駆動装置40の高さが天板30の上端の高さよりも高くなってしまう可能性がある。
【0053】
そこで、本実施形態では、ミドルギヤ43を設けることにより、駆動装置40の上方側に平面的に連結されたギヤを集約させて配置し、駆動モータ及び車輪46A,46Bを駆動装置40の下方に平面的に並べて配置している。これにより、駆動装置40の高さ寸法をより小さくすることができ、ターンテーブル装置S全体の高さ寸法を小さくすることができる。このような構成により、駆動装置40の上端が、天板30の上端であるフランジ板34bよりも低い位置となっている。よって、外観上良好であり、また、ターンテーブル装置Sを利用するときに駆動手段が邪魔になりにくい。
【0054】
付勢手段47A,47Bは、いわゆるスプリングキャスターに用いられる機構と同様の構成であり、車輪46A,46Bを常時天板30の径方向中央側に向かって付勢している。すなわち、車輪46A,46Bは、ハウジング48等に固定されておらず、ベースフレーム10及び天板30に対して、相対移動可能に構成されている。従って、車輪46A,46Bの回転軸である回転軸45A,45B及び出力ギヤ44A,44Bも、同様に、ベースフレーム10に対して相対移動可能となっている。
なお、出力ギヤ44A,44Bはベースフレーム10に対して固定されたミドルギヤ43と噛合しているが、付勢手段47A,47Bの付勢力により移動する際の車輪46A,46B、回転軸45A,45B、及び出力ギヤ44A,44Bの移動経路は、ミドルギヤ43の噛合面に沿った形状となっている。従って、出力ギヤ44A,44Bが移動してもミドルギヤ43との噛合位置が変わるだけで噛合状態は維持される。よって、常時動力伝達が可能である。
【0055】
これに対し、駆動モータ41、モータ側ギヤ42、ミドルギヤ43の3つの部材は、ベースフレーム10に対して相対移動しないように固定されている。例えば、ハウジング48内にブラケットやマウント等の固定手段を設けて駆動モータ41を固定している。また、ミドルギヤ43の回転軸をハウジング48内に固定している。そして、ハウジング48を、ベースフレーム10の端部に接合された支持プレート48a上に固定している。
【0056】
付勢手段47Aの構成について説明すると、付勢手段47Aは、車輪46Aの回転軸45Aに一端が回転自在に組み付けられたアーム状の揺動部材51と、揺動部材51の他端を揺動自在に支持する揺動軸52と、揺動軸52を支持するアーム状のブラケット53と、揺動部材51とブラケット53に両端が固定された弾性部材54と、を有している。
【0057】
揺動部材51及びブラケット53はターンテーブル装置Sの設置面に対して略水平に配設されている。また、揺動軸52は設置面に対して略垂直であり、回転軸45Aに対して略平行となっている。また、弾性部材54(例えばスプリング)は、揺動軸52の位置とは異なる位置において揺動部材51とブラケット53に固定されている。
このような構成において、揺動部材51は、弾性部材54の弾性力により、揺動軸52を中心として天板30側に回動する方向に付勢される。これにより、揺動部材51の先端に設けられた回転軸45Aが天板30側に付勢され、車輪46Aが天板30の側面に所定の押圧力で圧接される。一方、ブラケット53は、ハウジング48又は支持プレート48aに固定されており、ベースフレーム10に対して相対移動しない。これにより、ブラケット53は、車輪46Aを壁部33aの外周面に押圧した場合の反力を支持することができる。
【0058】
付勢手段47Bは、付勢手段47Aとその付勢方向を除いて同一の構成である。すなわち、図10に示すように、付勢手段47Bは、付勢手段47Aの揺動部材51,揺動軸52、ブラケット53、弾性部材54を、ミドルギヤ43と天板30の中心とを結ぶライン(図10に示す反転中心O)を反転中心として反転させた構成である。このように構成すると、付勢手段47A,47Bは、各々の揺動部材が揺動軸を中心として逆回りの方向に付勢される。このように構成すると、付勢力により車輪46A,46Bが壁部33aの外周面を押圧した場合の押圧力及び反力は、反転中心Oを中心として対称な方向となる。従って、車輪46A,46Bに対する反力の周方向成分が相殺されるので、駆動装置40は、反力の径方向成分のみを支持可能に設置されていればよい。従って、駆動装置40が駆動中にずれたりしにくく、車輪46A,46B(摩擦駆動輪)と天板30の側面(摩擦駆動面)との摩擦状態を良好に維持することができる。
【0059】
車輪46A及び付勢手段47Aは、公知のスプリングキャスターを用いて構成することが可能であり、このようにすれば、既存の部品を用いて駆動装置40を簡易に製作することができる。よって、コストダウンを図ることができる。
【0060】
上記各欄において説明した直径約5mタイプ、積載荷重5tのターンテーブル装置Sに用いられる駆動装置40の具体的な構成について説明する。駆動装置40は上記のように各々2つの摩擦駆動輪を備えており、1台のターンテーブル装置Sを3台の駆動装置40によって駆動する。これらは天板30の外周側に周方向に略等間隔で設置されている。各駆動装置40において、車輪46A及び付勢手段47Aは、公知のスプリングキャスターを用いて構成されている。車輪46A,46Bの車輪面と壁部33aの外周面との摩擦係数を0.03程度とされる。よって、3台の駆動装置40で駆動するために、各々の駆動モータ41として、モータ容量0.75kwタイプのモータを用いる。なお、本実施形態では、減速機付きモータである駆動モータ41の減速比を240/1とすることにより、天板30が、約4分で一回転するように構成されている。
【0061】
なお、ボールベアリング20及び天板30の説明で示したように、直径約5mタイプ、積載荷重5tのタイプでは、天板30を支持する球体22の頂点の設置面からの高さが39mmであり、天板30の上端の設置面からの高さ(図6の寸法H)は、140.5mmとなっている。従って、駆動装置40の高さをこの高さ以内とすれば、ターンテーブル装置Sの高さを最も低くすることができる。
【0062】
(照明床システムの構成)
続いて、天板30に組み込まれる照明床システム60について説明する。図11は照明床システム60を組み込んだターンテーブルの断面図である。照明床システム60は、天板30の上面側に二重床を形成するように組み込まれるものであり、設置面である平面プレート32の上面に所定間隔で配設される支持脚61と、支持脚61の間に水平に架け渡される梁部材62と、梁部材62の上に敷設される床材63と、床材63の下に設置される照明器具64と、照明器具64と外部電源とを接続するためのロータリーコネクタ65と、を備えている。
【0063】
支持脚61は、所定の長さの支柱の下端にベースプレートを取り付け、上端に梁部材62の端部に係合される係合部が設けられた構成である。係合部は、例えば、支柱を中心として十字型となるように水平に延出された腕部のような形状である。支柱は、その長さが調整可能であり、床材63の設置高さやその水平精度を調整することができる。
梁部材62は、所定の長さの棒状の部材であり、その両端に、支持脚61の係合部(例えば、腕部)に係合可能な係止部が設けられている。梁部材62には、水平に架け渡したときに上方向きとなる側面により、床材63の端部を支持可能に構成されている。例えば、この側面を平らな面とすれば、床材63の端部を載せることができる。
床材63は所望の材質のものを用いることができるが、照明床として用いるためには、所定の強度及び透光性のあるものが適している。例えば、強化ガラスや、アクリル板等の樹脂板、薄板状の石板、等を用いることができる。また、金属や木材等の透光性がない材質であっても、格子板、メッシュ板、多孔質板などの形状とすることにより、強度及び透光性を備えた床材となる。
【0064】
支持脚61は、例えば、平面プレート32の上面に所定のモジュール間隔で縦横に設置され、梁部材62はその支持脚61の間に格子状に掛け渡される。これにより、格子状の床フレームが形成される。床材63は矩形板であり、1辺の長さが支持脚61のモジュール間隔に応じた長さである。支持脚61は、床材63を、天板30の上端すなわち、フランジ部33bの上端面と面一な高さに支持するような長さに調整される。このようにすると、物品を載せる面が面一となるので好適である。天板30の上面は浅い皿状の凹状空間であり、床材63は、この凹状空間を塞ぐように敷設される。よって、外周側の床材63は円弧状にカットされる。なお、フランジ部33bの内周側を床材63の厚み分凹ませることにより、床材63の端部をフランジ部33bによって支持させてもよい。
【0065】
照明器具64は、平面プレート32の上面と床材63の下面との間に設けられた浅い円盤状の隙間空間に設置可能な高さの器具であり、平面プレート32の上面に所定間隔で複数設置される。その配置は、例えば、下方から床材63を所定の照度で均等に照らすような配置とされる。
照明器具64に給電する配線は、ロータリーコネクタ65を介して外部電源に接続される。ロータリーコネクタ65は、回転体への電源供給に好適に用いられるものであり、回転部と固定部とを所定の軸まわりに回転自在に組み付けて構成されている。回転部と固定部は回転しても通電状態が維持されるように構成されている。
【0066】
ロータリーコネクタ65は、略円筒状であり、本実施形態では、図12に示すように、天板30の中央に取り付けられた筒状部34a内にロータリーコネクタ65が挿入され、その上端側を回転部65aとするように配設されている。ロータリーコネクタ65の下端側に配設された固定部65bは筒状部34aの下端から突出しており、ベースフレーム10側の固定部材である軸受部14の内部に固定されている。回転部65aに接続された給電配線は、平面プレート32上に配設され照明器具64に接続される。一方、固定部65bに接続された電源側配線は、軸受部14の側面の開口に挿通され、ベースフレーム10と天板30との間の隙間を経てターンテーブル装置Sの外部に延出される。このような構成により、回転部65aは天板30及び照明器具64と共に回転されるので、天板30側の配線が絡まることがない。一方、固定部65bはベースフレーム10側に固定されて動かないので、外部電源との接続状態を維持できる。
【0067】
以上のように、本実施形態のターンテーブル装置Sは、天板30の上面側に簡易な構成で照明床システム60を組み込むことができるので、下方から物体を照明することができ、展示効果を高めることができる。
【0068】
(自動反転制御)
続いて、ターンテーブル装置Sを自動で反転制御するための構成について説明する。本実施形態では、上述のような駆動装置40を備えているので、駆動装置40への給電制御を行うことにより、天板30を所定の作動範囲において作動するように制御することができる。また、駆動装置40の駆動モータ41に給電する電圧の方向を切り換えることにより、天板30の回転方向を切り換えることができる。
【0069】
ターンテーブル装置Sは、図1に示すように、天板30の回転量を検出するための検出スイッチ70を有している。検出スイッチ70は、例えばベースフレーム10の所定位置に設けられたレバースイッチ等の本体部71と、天板30のレバースイッチと対応する位置に設けられた作動片72とを有する。検出スイッチ70は、天板30が反転位置まで回転したときに、本体部71と作動片72とが接触するように取り付けられる。本体部71は、作動片72に接触してレバースイッチの接続状態が切り換えられると、その旨を検知した検知信号を駆動装置40に送信する。駆動装置40では、検知信号に基づいて給電制御が行われる。具体的には、検出スイッチ70の検知信号に基づいて駆動モータ41の電圧方向が切り換えられる。これにより、ターンテーブル装置Sが所定の位置まで回動されたときに反転させることができる。
【0070】
本実施形態では、検出スイッチ70が2箇所に設けられている。そこで、天板30は、この2箇所の間を作動範囲として連続反転駆動する。なお、検出スイッチ70の検出信号に基づいて、駆動モータ41を停止させたり、その回転速度を変更する等の制御を行うこともできる。このようにすれば、種々の動作パターンで天板30を動かすことができる。よって、展示効果を高めることができる。
また、検出スイッチ70は、天板30の回転量を検出可能なものであれば種々のものを適用可能である。また、駆動装置40に制御部を設けて検知信号を判定し、判定結果に基づいて駆動モータ41を制御する代わりに、駆動モータ41への給電回路に直接レバースイッチを組み込んで電圧方向を切り換えるような簡易な構成としてもよい。
【0071】
(緊急停止制御)
続いて、ターンテーブル装置Sを緊急時に迅速に停止させるための構成について説明する。本実施形態のターンテーブル装置Sは、駆動装置40等に設けられた固定設置式の操作盤のほかに、図1に示すような無線リモコン式の操作ユニット80を有している。この操作ユニット80には、通常の操作スイッチに加えて、緊急停止発信機81と、この緊急停止発信機81から緊急停止信号を発信させるための操作部である緊急停止スイッチ82が組み込まれている。
【0072】
ターンテーブル装置Sが大型だと、緊急停止が必要な場合に固定設置型の操作盤の位置に移動するのに時間がかかり、その結果緊急停止が遅れてしまう。また、固定設置型の操作盤では、天板30上のオペレーターが操作しにくく、緊急停止が難しい。そこで、無線リモコン式の操作ユニット80を設け、駆動装置40がこの操作ユニット80に組み込まれた緊急停止発信機81からの停止信号を受信して駆動モータ41を停止制御する。このようにすれば、確実かつ迅速に緊急停止制御を行うことができ、ターンテーブル装置Sの安全性及び操作性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本実施形態のターンテーブル装置の断面図である。
【図2】ベースフレームの平面図である。
【図3】分割フレーム(分割フレーム10A)の平面図である。
【図4】分割フレーム(分割フレーム10B)の平面図である。
【図5】分割フレーム(分割フレーム10C)の平面図である。
【図6】ターンテーブルの装置の一部拡大断面図(図1の領域Aの拡大図)である。
【図7】ボールベアリングの平面図である。
【図8】天板の下面図である。
【図9】天板の上面図である。
【図10】駆動装置の平面図である。
【図11】照明床システムを組み込んだターンテーブル装置の断面図である。
【図12】ターンテーブルの装置の一部拡大断面図(図11の領域Bの拡大図)である。
【符号の説明】
【0074】
10‥‥ベースフレーム(支持手段の一部)
10A〜10C‥分割フレーム
11‥‥円形プレート
12‥‥径方向フレーム
12A,12B‥‥フレーム
13‥‥周方向フレーム
13A〜13E‥‥フレーム
14‥‥軸受部
15‥‥溶接ボルト
20‥‥ボールベアリング(支持手段の一部)
21‥‥ハウジング
21a‥平面プレート
21b‥壁部
21c‥閉塞面
21d‥開口
22‥‥球体
23‥‥接合板
23a‥ボルト穴
30‥‥天板
31,32‥‥‥平面プレート(下層板の一部)
31a,32a‥分割プレート
31b,32b‥穴
33‥‥外周壁
33a‥壁部
33b‥フランジ部
34‥‥軸部材
34a‥筒状部
34b‥フランジ板
40‥‥駆動装置(駆動手段)
41‥‥駆動モータ
41a‥出力軸
42‥‥モータ側ギヤ
43‥‥ミドルギヤ
44A,44B‥‥出力ギヤ
45A,45B‥‥回転軸
46A,46B‥‥車輪
47A,47B‥‥付勢手段
48‥‥ハウジング
48a‥支持プレート
51‥‥揺動部材
52‥‥揺動軸
53‥‥ブラケット
54‥‥弾性部材
60‥‥照明床システム
61‥‥支持脚
62‥‥梁部材
63‥‥床材(上層板、分割板)
64‥‥照明器具(照明手段)
65‥‥ロータリーコネクタ(回転接続部)
65a‥回転部
65b‥固定部
70‥‥検出スイッチ
71‥‥本体部
72‥‥作動片
80‥‥操作ユニット
81‥‥緊急停止発信機
82‥‥緊急停止スイッチ
O‥‥‥反転中心
S‥‥‥ターンテーブル装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面上に載置される支持手段と、該支持手段によって回動可能に支持される天板と、該天板を回動させる駆動手段と、を備えたターンテーブル装置であって、
前記支持手段には、前記天板の略中心部が回動自在に組み付けられ、
前記天板は、前記支持手段によって支持される下層板と、該下層板よりも上方において支持される上層板と、を有して構成され、
前記上層板の少なくとも一部が透光性を有する素材とされ、且つ、前記下層板と前記上層板との間に所定の空間が設けられ、該空間に照明手段が配設されたことを特徴とするターンテーブル装置。
【請求項2】
前記照明手段と外部電源とを接続する回転接続部を備え、該回転接続部は、前記天板に固定された回転部と、前記支持手段に固定される固定部と、を有し、前記回転部と前記固定部とが導通可能に構成され、
前記回転部と前記固定部は前記天板の回動に基づいて相対回動され、かつ、相対回動しても前記回転部と前記固定部との導通状態が確保されることを特徴とする請求項1に記載のターンテーブル装置。
【請求項3】
前記下層板の外周端から上方に立ち上がる略円筒状の壁部を有し、該壁部と前記下層板とによって凹部が形成され、
前記上層板及び前記照明手段は、前記凹部に収容されることを特徴とする請求項1に記載のターンテーブル装置。
【請求項4】
前記上層板は、強化ガラスからなることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載のターンテーブル装置。
【請求項5】
前記上層板は複数の分割板を配列して構成され、
前記分割板の端部を支持する複数の梁部材と、該梁部材の両端を支持する複数の支持脚と、を有し、該支持脚が前記下層板上に所定間隔で設置されることを特徴とする請求項1に記載のターンテーブル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−213659(P2008−213659A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53520(P2007−53520)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(500533880)株式会社昭栄美術 (4)
【Fターム(参考)】