説明

ダイオキシン類の分析方法

【課題】 高感度な検出ができるダイオキシン類の分析方法を得る。
【解決手段】 濃度既知である複数のダイオキシン類異性体についてダイオキシン類異性体ごとに特定波長スペクトルを取得し、該取得された各特定波長スペクトルについて複数の特定波長を選択し、該選択された特定波長におけるイオン信号量とダイオキシン類異性体濃度との関係を表す検量線を各ダイオキシン類異性体について前記選択された全ての特定波長ごとに作成する第1の工程と、第1の工程で作成した各ダイオキシン類異性体の検量線に基づき、複数の特定波長におけるイオン信号量と複数のダイオキシン類異性体濃度との関係を表す感度行列を作成する第2の工程と、被分析試料の特定波長スペクトルを取得し、該特定波長スペクトルのイオン信号量と第2の工程で得た感度行列を用いて、前記被分析試料の複数のダイオキシン類異性体の濃度を定量する第3の工程と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス中に含まれているダイオキシン類(ダイオキシン類対策特別措置法により規定されたダイオキシン類:ポリクロロジベンゾパラダイオキシン、ポリクロロジベンゾフラン、コプラナポリクロロビフェニル)をレーザーイオン化質量分析方法によりリアルタイムで分析するダイオキシン類の分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば一般廃棄物、産業廃棄物などの焼却炉、汚泥焼却炉などの各種焼却炉、熱分解炉、溶融炉などから排出される排ガスには、有害な有機化合物が含まれていることが確認されており、その中でも極めて猛毒の多塩素化ダイオキシンおよびその誘導体(以下「ダイオキシン類」という)の高感度な分析方法の開発が望まれている。
ごみ焼却炉等から排出されるダイオキシン類の濃度分析にあたり、公定法として定められている方法は、高分解能ガスクロマトグラフ(HRGC)と高分解能二重収束形質量分析計(HRMS)を用いる手法である(JIS K 0311)。この方法は、極低濃度で存在するダイオキシン類を高感度で分析する手法として確立されているが、一方で測定の手順が非常に煩雑であり、分析に30日〜50日の期間を要するという問題点を抱えている。
そのため、ダイオキシン類の迅速且つ高感度な分析方法が期待されており、高感度分析が可能なレーザー分析法の適用が考えられている。
【0003】
そこで、このような高感度分析が可能なレーザー分析法として、超音速分子ジェット法とレーザー多光子イオン化法とを組み合わせることにより、試料中の塩素化有機化合物のスペクトルを測定するという提案がなされている(例えば非特許文献1)。この提案では、試料を真空中に噴出させ、瞬時に絶対零度近傍まで冷却することによって、スペクトルを単純化している。
【0004】
また、試料にレーザー光を照射して標的物質を選択的にイオン化させ、標的物質を検出する方法が提案されている(例えば特許文献1)。
【0005】
さらに、第1のレーザー光で励起され、励起三重項状態に移動した標的物質をイオン化できるように、固定波長の第2のレーザー光を使用することによりイオン化効率を向上させるニ波長光イオン化質量分析装置が提案されている(例えば特許文献2)。
【非特許文献1】Rapid Commun. Mass Spectron 誌、第7巻、183(1993年)
【特許文献1】特開平8−222181号公報
【特許文献2】特開2002−202289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1に開示された方法では、ダイオキシン類の検出下限がppbオーダーであり、排ガス中の含まれるダイオキシン類を直接分析するには10〜10倍の濃縮または高感度化が必要になり、現実には検出が困難であるという問題がある。
また、特許文献1に開示された方法において、ダイオキシン類のような塩素原子を含む有機化合物を直接分析しようとすると、塩素原子数が多くなるにつれて、いわゆる重原子効果により励起三重項状態にある標的物質の励起寿命が短くなる。このため、十分な感度を得ることができないという問題がある。
【0007】
特許文献2においては、当該文献に開示された方法でイオン化効率が向上する理由は以下の通りであるとされている。すなわち、ダイオキシン類を第1の波長を有する第1のレーザー光で励起状態S1に励起させると、内部重原子効果により速やかに励起状態T1にエネルギー移動する。この励起状態T1の寿命はμs程度と励起状態S1の寿命に対して長いので、励起状態T1にある分子をイオン化するための第2の波長を有する第2のレーザー光を照射することで効率的にイオン化することが可能となる。
したがって、特許文献2の方法では、ダイオキシン類を励起状態S1に励起させるための第1の波長を有する第1のレーザー光を照射することを前提としている。
しかし、多様な標的物質の各々について、標的物質を基底状態から励起状態へ移行させるための第1のレーザー光の最適な波長については特許文献2には開示されておらず、また、他の文献においてもこれを示したものはない。
【0008】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、超音速ジェット多光子共鳴イオン化法によるレーザーイオン化質量分析方法において、標的物質以外の夾雑物が多く存在する場合であっても夾雑物の影響をなくして高感度な検出ができるダイオキシン類の分析方法を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1)請求項1の発明
本発明に係るダイオキシン類の分析方法は、超音速ジェット多光子共鳴イオン化法を用いたレーザーイオン化質量分析において、濃度既知である複数のダイオキシン類異性体についてダイオキシン類異性体ごとに特定波長スペクトルを取得し、該取得された各特定波長スペクトルについて複数の特定波長を選択し、該選択された特定波長におけるイオン信号量とダイオキシン類異性体濃度との関係を表す検量線を各ダイオキシン類異性体について前記選択された全ての特定波長ごとに作成する第1の工程と、
第1の工程で作成した各ダイオキシン類異性体の検量線に基づき、複数の特定波長におけるイオン信号量と複数のダイオキシン類異性体濃度との関係を表す感度行列を作成する第2の工程と、
被分析試料の特定波長スペクトルを取得し、該特定波長スペクトルのイオン信号量と第2の工程で得た感度行列を用いて、前記被分析試料の複数のダイオキシン類異性体の濃度を定量する第3の工程と、を備え
第1の工程における特定波長スペクトルは、ダイオキシン類異性体を第1の波長を有する第1のレーザー光で励起し、励起されたダイオキシン類異性体を第2の波長を有する第2のレーザー光でイオン化してイオン信号量を計測する操作を前記第1のレーザー光の波長を順次変えながら繰り返すことによって取得するものとし、該取得された各特定波長スペクトルにおいて選択する複数の特定波長について、
(1)ダイオキシン類異性体が1,2,3,4,6,7,8-HpCDD(ヘプタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)の場合の特定波長として、317.66nm、317.36nm、315.10nm、314.60nm、314.37nm、313.65nm、312.96nm、312.80nm、312.20nm、311.90nm、311.61nm、311.00nm、310.39nm、310.12nmからなる群のうち少なくとも一つの波長を用い、
(2)ダイオキシン類異性体がOCDD(オクタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)の場合の特定波長として、321.85nm、321.14nm、319.76nm、317.90nm、316.23nm、315.80nm、315.48nm、315.21nm、314.57nm、312.60nm、312.04nm、311.69nm、310.87nmからなる群のうち少なくとも一つの波長を用い、
(3)ダイオキシン類異性体がOCDF(オクタクロロジベンゾフラン)の場合の特定波長として、329.89nm、329.41nm、329.28nm、329.11nm、329.02nm、328.93nm、327.35nm、326.38nm、325.48nmからなる群のうち少なく一つの波長を用いるものである。
【0010】
超音速ジェット多光子共鳴イオン化法を用いたレーザーイオン化質量分析によるダイオキシン類の分析方法においては、高速パルスバルブを通ってノズルより真空中に噴射されたガス中のダイオキシン類は、イオン化ゾーンにおいて励起用レーザー光により基底状態から励起状態へ選択的に移行され、ダイオキシン類のイオン化エネルギーから前記励起用レーザー光子エネルギーを差し引いたエネルギー以上の光子エネルギーを有するイオン化用レーザー光によりイオン化される。イオン化されたダイオキシン類の分子は電場によって質量分析装置に引き込まれ、質量分析装置にてイオン信号量を検出され、質量分析される。質量分析装置としては、飛行時間型質量分析計、二重収束型質量分析計、四重極質量分析計、イオントラップ式質量分析計などを用いることができる。
【0011】
<第1の工程>
第1の工程は濃度既知である複数のダイオキシン類異性体についてダイオキシン類異性体ごとに特定波長スペクトルを取得するが、その際に、ダイオキシン類異性体を第1の波長を有する第1のレーザー光で励起し、励起されたダイオキシン類異性体を第2の波長を有する第2のレーザー光でイオン化してイオン信号量を計測する操作を前記第1のレーザー光の波長を順次変えながら繰り返すことによって取得する。すなわち、濃度既知である複数のダイオキシン類異性体について励起用レーザー光の波長を300nm〜340nmまで0.01nmずつ変えることにより、横軸に励起用レーザー光の波長を表し、縦軸に励起用レーザー光により励起しイオン化用レーザー光によりイオン化されたダイオキシン類異性体のイオン信号量を表す各ダイオキシン類異性体の特定波長スペクトルを取得する。
ここで、波長213nmのレーザー光をイオン化用レーザー光とした場合の3種類の7塩素化、8塩素化ダイオキシン類異性体の特定波長スペクトル図及び該特定波長スペクトルについて複数の特定波長を表にしたものを図1〜図3に示す。
なお、図1〜図3の表における信号強度は、それぞれの異性体毎に、最も強い信号強度を1として規格化して示してある。
【0012】
特定波長スペクトルを取得した後、該特定波長スペクトルについて複数の特定波長を選択する。この選択の基準としては、以下のように定めることが好ましい。0.1〜0.5nmの波長間隔において、イオン信号量の大きいピークを示す波長に着目し、その周囲の波長により小さいイオン信号量のピークが存在する場合に、ダイオキシン体ではピーク群のほぼ中央の最も高いイオン信号量のピークを示す波長を特定波長とし、順次選択の対象とする波長領域をずらして選択する。また、フラン体ではピーク群の内短波長側の最も高いイオン信号量のピークを示す波長を特定波長とする。選択の対象とする波長間隔を0.1〜0.5nmとしたのは、イオン信号量のピークがブロードになっている場合でも特定波長を選択できるようにするためである。
各ダイオキシン類異性体についての特定波長スペクトルにおいて選択された全ての特定波長λについてイオン信号量とダイオキシン類異性体濃度との関係を表す下記数1に示す検量線を求める。ここでは説明を簡易にするため、イオン信号量とダイオキシン類濃度との関係を一次式で表しているが、他の関数として表してもよいことは言うまでもない。
【数1】

【0013】
仮に、図1〜3に示した3種類のダイオキシン類異性体についてそれぞれ2つの特定波長を選択するものとする。そして、図1に示したダイオキシン類異性体を異性体1とし、図の順にしたがって異性体2,3とし、異性体1については特定波長λ、λを選択し、異性体2については特定波長λ、λを選択し、同様にして異性体3特定波長λ、λを選択する。
【0014】
ダイオキシン類異性体1、2、3について、全ての特定波長λ、λ、・・、λ、λについて検量線を下記数2のように求める。
【数2】

【0015】
<第2の工程>
第2の工程は、第1の工程で作成した各ダイオキシン類異性体の各特定波長についての検量線に基づき、複数の特定波長におけるイオン信号量と複数のダイオキシン類異性体濃度との関係を表す感度行列を作成する工程である。
この工程では、まず、被分析試料に含まれるダイオキシン類異性体を同定し、それを前提として感度行列を作成する場合と、同定しないで感度行列を作成する場合が含まれる。
ここでは、被分析試料に含まれるダイオキシン類異性体を同定する場合を例に挙げて説明する。
なお、特定波長スペクトルは個々のダイオキシン類異性体によって異なり、それぞれ特徴的な特定波長スペクトルを有している。従って、複数のダイオキシン類異性体を含む被分析試料の特定波長スペクトルは、そこに含まれるダイオキシン類異性体の特定波長スペクトルの各パターンが重畳して現れる。そこで、この被分析試料の特定波長スペクトルのプロフィールと予め求めている標準試料の特定波長スペクトルのプロフィールとを比較して、被分析試料に含まれるダイオキシン類異性体を同定することができる。
【0016】
被分析試料中に2種のダイオキシン類異性体1、2が同定され、それぞれ濃度C、Cで含まれているとして、波長λ、λ、λ、λにおける被分析試料のイオン信号量をS(λ)、S(λ)、S(λ)、S(λ)とすると、下記数3の連立方程式を立てることができる。
【数3】

【0017】
上記の連立方程式を行列で表すと、下記数4となり、下式のAを感度行列と呼ぶ。
【数4】

【0018】
<第3の工程>
第3の工程は、被分析試料の特定波長スペクトルを取得し、該特定波長スペクトルのイオン信号量と第2の工程で得た感度行列を用いて、前記被分析試料の複数のダイオキシン類異性体の濃度を定量する工程である。
この工程では、まず被分析試料の特定波長スペクトルを、第1の工程と同様に励起用レーザー光の波長を300nm〜340nmまで0.01nmずつ掃引することにより取得する。
この例では、上記のダイオキシン類異性体1,2が同定されているので、これらのダイオキシン類異性体1,2の特定波長であるλ、λ、λ、λにおけるイオン信号量S(λ)、S(λ)、S(λ)、S(λ)を検出する。この検出値と前記感度行列に基づいて被分析試料に含まれるダイオキシン類異性体1,2の濃度Cを定量する。
具体的には、濃度Cは感度行列Aの逆行列A−1を用いて、C=A−1(S−B)として算出できる。
【0019】
なお、ダイオキシン類の特定波長スペクトルは広い波長域で特定波長が存在することが知られており、すべての波長において解析すると膨大なデータ量になってしまう。そこで、複数本の特定波長について得られる検量線を用いることでデータ処理量を少なくでき、複数のダイオキシン類の同時定量を濃度に関係なく迅速に分析できる。
【0020】
なお、上記の各ダイオキシン類異性体について用いる特定波長の規定値については、±0.045
nmの誤差範囲を含むものとする。これは、高速パルスバルブから出た超高速ジェット状のダイオキシン類異性体を含むガスの冷却が不十分な場合、特定波長でのイオン信号量のピークがブロードとなることがあるからである。
この±0.045 nmの誤差範囲を含む点は、請求項2〜6の発明においても同様である。
【0021】
2)請求項2の発明
請求項2に係る発明は、上記(1)に示した請求項1の発明における第2の工程が、被分析試料に含まれるダイオキシン類異性体を同定する工程を含み、該工程で同定されたダイオキシン類異性体の検量線に基づいて感度行列を作成するものである。
つまり、上記(1)の説明において述べたように、第2の工程において分析試料に含まれるダイオキシン類異性体を同定するようにしたので、感度行列が簡単になり、演算が容易になる。
なお、ダイオキシン類異性体を同定する方法については、特に限定されるものではないが、例えば、前述したように、既知のダイオキシン類異性体の特定波長スペクトルのプロフィールを用いて行うようにすればよい。
【0022】
3)請求項3の発明
請求項3に係る発明は、上記(1)に示した請求項1の発明における第2の工程が第1工程で作成した全ての検量線に基づいて感度行列を作成するものである。
すなわち、この発明では感度行列を作成する段階では被分析試料に含まれるダイオキシン類異性体を同定しないものであり、感度行列が複雑である反面、ダイオキシン類異性体の同定工程を省略できるという効果がある。
具体的には、被分析試料中に3種全てのダイオキシン類異性体1、2・・、3がそれぞれ濃度C、C、Cで含まれているとして、波長λ、λ、・・・λ、λにおけるイオン信号量をS(λ)、S(λ)、・・、S(λ)、S(λ)として、行列式を求めると、下記数5となり、その他は前記の同定を含む場合と同様の手順により定量ができる。
【0023】
【数5】

【0024】
4)請求項4の発明
請求項4の発明に係るダイオキシン類の分析方法は、超音速ジェット多光子共鳴イオン化法を用いたレーザーイオン化質量分析による特定波長スペクトルからダイオキシン類異性体を同定するものであって、
被分析試料の特定波長スペクトルを取得する第1工程と、該第1工程で取得した特定波長スペクトルと予め求めた1,2,3,4,6,7,8-HpCDD(ヘプタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)の特定波長に基づいて前記被分析試料に含まれる1,2,3,4,6,7,8-HpCDD(ヘプタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)を同定する第2工程とを含み、前記第1の工程における特定波長スペクトルは、被分析試料を第1の波長を有する第1のレーザー光で励起し、励起された被分析試料を第2の波長を有する第2のレーザー光でイオン化してイオン信号量を計測する操作を前記第1のレーザー光の波長を順次変えながら繰り返すことによって取得するものとし、前記第2工程で用いる1,2,3,4,6,7,8-HpCDD(ヘプタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)の特定波長として下記の表に示されるものの中から少なくとも2つを選択し、該選択した特定波長において前記第1工程で取得した特定波長スペクトルが特定波長を示すかどうかで判定することを特徴とするものである。
【表4】

【0025】
(5)請求項5の発明
請求項3の発明に係るダイオキシン類の分析方法は、超音速ジェット多光子共鳴イオン化法を用いたレーザーイオン化質量分析による特定波長スペクトルからダイオキシン類異性体を同定するものであって、
被分析試料の特定波長スペクトルを取得する第1工程と、該第1工程で取得した特定波長スペクトルと予め求めたOCDD(オクタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)の特定波長に基づいて前記被分析試料に含まれるOCDD(オクタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)を同定する第2工程とを含み、前記第1の工程における特定波長スペクトルは、被分析試料を第1の波長を有する第1のレーザー光で励起し、励起された被分析試料を第2の波長を有する第2のレーザー光でイオン化してイオン信号量を計測する操作を前記第1のレーザー光の波長を順次変えながら繰り返すことによって取得するものとし、前記第2工程で用いるOCDD(オクタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)の特定波長として下記の表に示されるものの中から少なくとも2つを選択し、該選択した特定波長において前記第1工程で取得した特定波長スペクトルが特定波長を示すかどうかで判定することを特徴とするものである。
【表5】

【0026】
6)請求項6の発明
請求項4の発明に係るダイオキシン類の分析方法は、超音速ジェット多光子共鳴イオン化法を用いたレーザーイオン化質量分析による特定波長スペクトルからダイオキシン類異性体を同定するものであって、
被分析試料の特定波長スペクトルを取得する第1工程と、該第1工程で取得した特定波長スペクトルと予め求めたOCDF(オクタクロロジベンゾフラン)の特定波長に基づいて前記被分析試料に含まれるOCDF(オクタクロロジベンゾフラン)を同定する第2工程とを含み、前記第1の工程における特定波長スペクトルは、被分析試料を第1の波長を有する第1のレーザー光で励起し、励起された被分析試料を第2の波長を有する第2のレーザー光でイオン化してイオン信号量を計測する操作を前記第1のレーザー光の波長を順次変えながら繰り返すことによって取得するものとし、前記第2工程で用いるOCDF(オクタクロロジベンゾフラン)の特定波長として下記の表に示されるものの中から少なくとも2つを選択し、該選択した特定波長において前記第1工程で取得した特定波長スペクトルが特定波長を示すかどうかで判定することを特徴とするものである。
【表6】

【発明の効果】
【0027】
請求項1〜3の本発明によれば、超音速ジェット多光子共鳴イオン化法によるレーザーイオン化質量分析方法において、被分析試料中に含まれる7塩素化、8塩素化ダイオキシン類の異性体を高精度で同時に定量することができる。
また、請求項4〜6の発明によれば、複数のダイオキシン類の異性体を含む被分析試料に特定のダイオキシン類の異性体が含まれているかどうかを正確に判定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図4は本実施の形態に係るダイオキシン類の分析方法に用いるレーザーイオン化質量分析装置の構成の説明図である。以下、図4に基づいて本実施の形態に用いるレーザーイオン化質量分析装置を概説する。
ガス発生装置1で発生したキャリアガス中に含まれるダイオキシン類は、キャリアガスと共に高速パルスバルブ2に供給され、ノズルから真空容器内3へ噴射され、十分に冷却される。ノズルから真空中に噴射されたキャリアガス中のダイオキシン類は波長可変レーザー発振器4から出射される励起用レーザー光とイオン化レーザー発振器5から出射されるイオン化用レーザー光により、イオン化ゾーンにおいて励起・イオン化される。
イオン化されたダイオキシン類はリペラー電極と引き出し電極間に発生している引力静電場によって質量分析器6(リフレクトロン型飛行時間質量分析装置)に引き込まれる。すなわち、引力電場によって加速されたダイオキシン類イオンは引き出し電極と接地電極間に発生している引力電場によってさらに加速され、且つパルス圧縮される。接地電極を通過したイオンはアインツェルレンズの静電場によって進行方向と垂直な径方向に絞られ、その後、偏向電極での電場によってイオンの軌道が曲げられる。偏向電極を通過したイオンは、差動排気用開口を通過し、質量分析器6に導かれるのである。質量分析器6に導かれたイオン化されたダイオキシン類は、イオン反射電極によって軌道が曲げられ、イオン検出器に到達し、電気信号に変化され、演算装置7によりデータ処理される。
【0029】
ガス発生装置1としては、例えばガステック社製の高沸点有機物定濃度ガス発生装置が用いられ、一定濃度のダイオキシン類を高速パルスバルブに供給する。
高速パルスバルブ2のノズル径は、例えばφ1.1mmが好ましい。また、ダイオキシン類の吸着を防ぐ為にノズル温度は200℃以上が好ましい。
真空容器3内にはレーザー光を多重反射させてイオン化ゾーンにレーザー光を蓄積することにより感度向上させる多重反射装置が設けられている。この多重反射装置は複数の凹面鏡を環状に配列してなる2組のミラーセットを左右に対向配置してなる。
ダイオキシン励起用波長可変レーザー発振器4はナノ秒パルスレーザー光であり、色素レーザー発振器や光パラメトリック発振器を使用することができる。選択的にダイオキシン類を励起させるために、励起用レーザー光のスペクトル線幅は0.01nm以下が好ましい。
励起用レーザー光のエネルギーは1mJ程度で、過大なレーザー強度によるフラグテーションを防ぐため、ダイオキシン類への照射の際にレンズ等による集光はしない。
【0030】
イオン化用レーザー発振器5はNd:YAGレーザー発振器であり、5倍波(波長213nm)でナノ秒パルスレーザー光をイオン化レーザー光として使用する。5倍波による1色2光子イオン化を避けるために、イオン化用レーザー光のエネルギーは0.1mJ以下が好ましい。上記レーザー同様、レンズ等による集光はしない。
遅延パルス発生器により時間的に重なって同期された励起用レーザー光とイオン化用レーザー光はレーザー光混合器を用いて、見かけ上重なった1本のレーザー光にされ、レーザー光は真空中に入射され、真空中に噴射されたキャリアガス中のダイオキシン類にイオン化ゾーンにおいて同時に照射される。
【0031】
上記の装置を用いた本実施の形態に係るダイオキシン類の分析方法について、1,2,3,4,6,7,8-HpCDD(ヘプタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)、OCDD(オクタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)、OCDF(オクタクロロジベンゾフラン)が含まれたガスを被分析試料とした場合を例に挙げて説明する。
濃度既知の1,2,3,4,6,7,8-HpCDD(ヘプタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)、OCDD(オクタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)、OCDF(オクタクロロジベンゾフラン)を含む複数のダイオキシン類異性体について励起用レーザー光の波長を300nm〜340nmまで0.01nmずつ掃引することにより、各ダイオキシン類異性体の特定波長スペクトルを取得する。
このとき、取得された1,2,3,4,6,7,8-HpCDD(ヘプタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)、OCDD(オクタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)、OCDF(オクタクロロジベンゾフラン)の特定波長スペクトルは、図1〜3に示す通りである。
図1〜3に示される特定波長スペクトルについて、1,2,3,4,6,7,8-HpCDD(ヘプタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)の特定波長としてλ1=317.66nm、λ2=317.36nmを選択し、OCDD(オクタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)の特定波長としてはλ3=321.85nm、λ4=321.14nmを選択し、OCDF(オクタクロロジベンゾフラン)の特定波長としてはλ5=329.89nm、λ6=329.41nm
を選択する。
【0032】
次に選択された特定波長λ1、λ2、λ3、λ4、λ5、λ6におけるイオン信号量とダイオキシン類異性体濃度との関係を表す検量線を各ダイオキシン類異性体について前記選択された全ての特定波長ごとに作成する。
1,2,3,4,6,7,8-HpCDD(ヘプタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)の濃度をC1[ppt]、OCDD(オクタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)の濃度をC2[ppt]、OCDF(オクタクロロジベンゾフラン)の濃度をC3[ppt]として、それぞれの波長において求めた検量線を示すと下記のようになる。
S1234678DD1)=4C1+0.02、 S1234678DD2)=5C1+0.02、
SOCDD3)=5C2+0.05、 SOCDD4)=2C2+0.01、
SOCDF5)=2C3+0.04、 SOCDF6)=4C3+0.04
【0033】
以上のような検量線が予め求められており、それらがデータベースとして保有されている。
以上を前提として、1,2,3,4,6,7,8-HpCDD(ヘプタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)、OCDD(オクタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)、OCDF(オクタクロロジベンゾフラン)が含まれた被分析試料について励起用レーザー光の波長を300nm〜340nmまで0.01nmずつ掃引することにより、被分析試料の特定波長スペクトルを取得する。このとき取得された被分析試料の特定波長スペクトルを図5に示す。
被分析試料にどのようなダイオキシン類異性体が含まれているか不明の場合には、取得された被分析試料の特定波長スペクトルと予め取得されている標準試料の特定波長スペクトルに基づいて被分析試料に含まれるダイオキシン類異性体を同定する。被分析試料の特定波長スペクトルについて長波長側から順に特定波長に着目して、当該特定波長と同波長の特定波長を有するダイオキシン類異性体を同定する。特定波長λ1=329.89nmと同一の特定波長を有するダイオキシン類異性体の特定波長スペクトルを参照する。波長329.89nmが特定波長となっているダイオキシン類異性体としては、図3に示すように、OCDF(オクタクロロジベンゾフラン)がある。OCDFの特定波長スペクトルを参照すると、前記329.89nm の他に329.41nmが特定波長となっている。そこで今度は逆に、被分析試料の特定波長スペクトルを参照したときと329.41nmが特定波長となっている。これによって、被分析試料にはOCDF(オクタクロロジベンゾフラン)が含まれていると同定する。
同様の手順によって、1,2,3,4,6,7,8-HpCDD(ヘプタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)、OCDD(オクタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)を同定する。
【0034】
被分析試料の中に1,2,3,4,6,7,8-HpCDD(ヘプタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)、OCDD(オクタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)、OCDF(オクタクロロジベンゾフラン)が含まれていることが同定されると、次に、予め作成した検量線から被分析試料に含まれる1,2,3,4,6,7,8-HpCDD(ヘプタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)、OCDD(オクタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)、OCDF(オクタクロロジベンゾフラン)を定量するための感度行列を作成する。
この例では、被分析試料に含まれるダイオキシン類異性体が同定されており、感度行列の作成に用いる検量線は上記に示した1,2,3,4,6,7,8-HpCDD(ヘプタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)、OCDD(オクタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)、OCDF(オクタクロロジベンゾフラン)の検量線の中から1つの波長を用いればよい。例えばλ1、λ3、λ5の検量線を用いると、感度行列を求めるための連立方程式は次のようになる。
1234678DD1)=4C1 +0.02
OCDD3)=5C2+0.05
OCDF5)=2C3+0.04
【0035】
上記の連立方程式を行列で表すと、下記数6となる。
【数6】

【0036】
したがって、感度行列Aの逆行列A-1は下記数7となる。
【数7】

【0037】
一方、λ1=317.66nm、λ3=321.85nm、λ5=329.89nmにおける被分析試料のイオン信号強度を検出することによって、S(λ1)、S(λ3)、S(λ5)を求める。ここで、S(λ1)=50a.u.、S(λ3)=100a.u.、S(λ5)=120a.u.であったとすれば、C1=12.5[ppt]、C2=20[ppt]、C3=60[ppt]となる。
したがって、被分析試料には、1,2,3,4,6,7,8-HpCDD(ヘプタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)が12.5[ppt]、OCDD(オクタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)が20[ppt]、OCDF(オクタクロロジベンゾフラン)が60[ppt]含まれていることが検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る1,2,3,4,6,7,8-HpCDD(ヘプタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)特定波長スペクトル及び選択可能な複数の特定波長を示す図である。
【図2】本発明に係るOCDD(オクタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)特定波長スペクトル及び選択可能な複数の特定波長を示す図である。
【図3】本発明に係るOCDF(オクタクロロジベンゾフラン)特定波長スペクトル及び選択可能な複数の特定波長を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るダイオキシン類の分析方法に用いるレーザーイオン化質量分析装置の構成の説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態で用いた被分析試料の特定波長スペクトルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音速ジェット多光子共鳴イオン化法を用いたレーザーイオン化質量分析によるダイオキシン類の分析方法において、
濃度既知である複数のダイオキシン類異性体についてダイオキシン類異性体ごとに特定波長スペクトルを取得し、該取得された各特定波長スペクトルについて複数の特定波長を選択し、該選択された特定波長におけるイオン信号量とダイオキシン類異性体濃度との関係を表す検量線を各ダイオキシン類異性体について前記選択された全ての特定波長ごとに作成する第1の工程と、
第1の工程で作成した各ダイオキシン類異性体の検量線に基づき、複数の特定波長におけるイオン信号量と複数のダイオキシン類異性体濃度との関係を表す感度行列を作成する第2の工程と、
被分析試料の特定波長スペクトルを取得し、該特定波長スペクトルのイオン信号量と第2の工程で得た感度行列を用いて、前記被分析試料の複数のダイオキシン類異性体の濃度を定量する第3の工程とを備え、
第1の工程における特定波長スペクトルは、ダイオキシン類異性体を第1の波長を有する第1のレーザー光で励起し、励起されたダイオキシン類異性体を第2の波長を有する第2のレーザー光でイオン化してイオン信号量を計測する操作を前記第1のレーザー光の波長を順次変えながら繰り返すことによって取得するものとし、該取得された各特定波長スペクトルにおいて選択する複数の特定波長について、
(1)ダイオキシン類異性体が1,2,3,4,6,7,8-HpCDD(ヘプタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)の場合の特定波長として、317.66nm、317.36nm、315.10nm、314.60nm、314.37nm、313.65nm、312.96nm、312.80nm、312.20nm、311.90nm、311.61nm、311.00nm、310.39nm、310.12nmからなる群のうち少なくとも一つの波長を用い、
(2)ダイオキシン類異性体がOCDD(オクタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)の場合の特定波長として、321.85nm、321.14nm、319.76nm、317.90nm、316.23nm、315.80nm、315.48nm、315.21nm、314.57nm、312.60nm、312.04nm、311.69nm、310.87nmからなる群のうち少なくとも一つの波長を用い、
(3)ダイオキシン類異性体がOCDF(オクタクロロジベンゾフラン)の場合の特定波長として、329.89nm、329.41nm、329.28nm、329.11nm、329.02nm、328.93nm、327.35nm、326.38nm、325.48nmからなる群のうち少なくとも一つの波長を用いることを特徴とするダイオキシン類の分析方法。
【請求項2】
第2工程は、被分析試料に含まれるダイオキシン類異性体を同定する工程を含み、該工程で同定されたダイオキシン類異性体の検量線に基づいて感度行列を作成することを特徴とする請求項1記載のダイオキシン類の分析方法。
【請求項3】
第2工程は、第1工程で作成した全ての検量線に基づいて感度行列を作成することを特徴とする請求項1に記載のダイオキシン類の分析方法。
【請求項4】
超音速ジェット多光子共鳴イオン化法を用いたレーザーイオン化質量分析による特定波長スペクトルからダイオキシン類異性体を同定する分析方法であって、
被分析試料の特定波長スペクトルを取得する第1工程と、該第1工程で取得した特定波長スペクトルと予め求めた1,2,3,4,6,7,8-HpCDD(ヘプタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)の特定波長に基づいて前記被分析試料に含まれる1,2,3,4,6,7,8-HpCDD(ヘプタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)を同定する第2工程とを含み、前記第1の工程における特定波長スペクトルは、被分析試料を第1の波長を有する第1のレーザー光で励起し、励起された被分析試料を第2の波長を有する第2のレーザー光でイオン化してイオン信号量を計測する操作を前記第1のレーザー光の波長を順次変えながら繰り返すことによって取得するものとし、前記第2工程で用いる1,2,3,4,6,7,8-HpCDD(ヘプタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)の特定波長として下記の表に示されるものの中から少なくとも2つを選択し、該選択した特定波長において前記第1工程で取得した特定波長スペクトルが特定波長を示すかどうかで判定することを特徴とするダイオキシン類の分析方法。
【表1】

【請求項5】
超音速ジェット多光子共鳴イオン化法を用いたレーザーイオン化質量分析による特定波長スペクトルからダイオキシン類異性体を同定する分析方法であって、
被分析試料の特定波長スペクトルを取得する第1工程と、該第1工程で取得した特定波長スペクトルと予め求めたOCDD(オクタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)の特定波長に基づいて前記被分析試料に含まれるOCDD(オクタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)を同定する第2工程とを含み、前記第1の工程における特定波長スペクトルは、被分析試料を第1の波長を有する第1のレーザー光で励起し、励起された被分析試料を第2の波長を有する第2のレーザー光でイオン化してイオン信号量を計測する操作を前記第1のレーザー光の波長を順次変えながら繰り返すことによって取得するものとし、前記第2工程で用いるOCDD(オクタクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン)の特定波長として下記の表に示されるものの中から少なくとも2つを選択し、該選択した特定波長において前記第1工程で取得した特定波長スペクトルが特定波長を示すかどうかで判定することを特徴とするダイオキシン類の分析方法。
【表2】

【請求項6】
超音速ジェット多光子共鳴イオン化法を用いたレーザーイオン化質量分析による特定波長スペクトルからダイオキシン類異性体を同定する分析方法であって、
被分析試料の特定波長スペクトルを取得する第1工程と、該第1工程で取得した特定波長スペクトルと予め求めたOCDF(オクタクロロジベンゾフラン)の特定波長に基づいて前記被分析試料に含まれるOCDF(オクタクロロジベンゾフラン)を同定する第2工程とを含み、前記第1の工程における特定波長スペクトルは、被分析試料を第1の波長を有する第1のレーザー光で励起し、励起された被分析試料を第2の波長を有する第2のレーザー光でイオン化してイオン信号量を計測する操作を前記第1のレーザー光の波長を順次変えながら繰り返すことによって取得するものとし、前記第2工程で用いるOCDF(オクタクロロジベンゾフラン)の特定波長として下記の表に示されるものの中から少なくとも2つを選択し、該選択した特定波長において前記第1工程で取得した特定波長スペクトルが特定波長を示すかどうかで判定することを特徴とするダイオキシン類の分析方法。
【表3】


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−184137(P2006−184137A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378559(P2004−378559)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年7月5日 第13回環境化学討論会実行委員会発行の「日本環境化学会 第13回 環境化学討論会講演要旨集」に発表
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度、新エネルギー・産業技術総合開発機構、知的基盤創成・利用促進研究開発、ダイオキシン類等の迅速超微量物分析装置の研究開発委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(502317493)株式会社IDXテクノロジーズ (3)