説明

ダクトカバー取付構造およびデスク

【課題】着脱容易であっても安定した操作性と確実な起立状態を確保できる新たなダクトカバー取付構造を実現する。
【解決手段】ダクトカバー4を軸6a、6b及び軸受4a、4bを介してケーブルダクト3の開口30を開閉する位置に回転可能に支持させるにあたり、軸6a,6bと軸受4a,4bとの間に、ダクトカバー4の角度が使用位置にある角度(水平)から所定角度θ1に至るまでの範囲内で軸6a,6bの軸受4a,4bに対する着脱を許容する着脱許容部Aと、ダクトカバー4の角度が所定角度θ1に至った以降に軸6a,6bの軸受4a,4bに対する着脱を規制する着脱規制部とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダクトカバーの着脱容易性と回転の安定性とを好適に両立させたダクトカバー取付構造およびデスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のダクトカバーは、旧来よりケーブルダクトの開口を塞ぐ位置に単に平板状のダクトカバーを載せ置くだけの構造のものが最もシンプルであるが、開閉操作時にダクトカバーが誤って開口内に落下する等の不具合を生じる場合がある。
【0003】
そこで、このような不具合に対処したものとして、例えば特許文献1に示すもの等が知られている。
【0004】
このものは、天板に開口されたケーブルダクトと、このケーブルダクトの開口位置の長手方向内側縁に設けられた係合凹部と、長手方向中央部で2つ折り自在に枢支され長手方向端縁に前記係合凹部に係合する係合突部を有するダクトカバーとで構成され、該ダクトカバーを平坦状に展開したとき前後の係合突部が前後の係合凹部に係合してケーブルダクトを閉鎖し、ダクトカバーを開けるときいずれかの係合突部が支点となって前後任意方向に開放するようにして、開閉操作時にダクトカバーが誤って開口内に落下することを防ぐようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−177053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、このような構造のものは、逆にダクトカバーが常に開口縁に付帯するため、最大開口が制限され、特にコンセントやハブ等を出し入れする際に支障が大きくなる。また、開口を開放するときにはダクトカバーは2つ折りにされて何れかの開口縁側に起立状態にされるため、デスクを対面配置してケーブルダクトを共用する際に、対面位置から同時にケーブルダクトにアクセスすることができないなど、ケーブルダクトの利用にも制約が生じる。
【0007】
そこで、平板状のダクトカバーの対向する縁部をそれぞれ2軸及びそれらに対応する軸受を介してケーブルダクトの開口縁に支持させ、一方の軸を軸受から開放することでダクトカバーを何れの方向へも回転可能とするとともに、水平な閉止状態から上方へ持ち上げることで2軸が同時に軸受から外れるような半枢支構造を採用して、逐一ダクトカバーを取り外す手間とその際の落下の可能性を極力減らすことが有効な手段として考えられる。
【0008】
しかしながら、天板の反使用端が向き合っている中央部にデスクトップパネル等を配置したときには、このパネルがダクトカバー上に位置することとなるため、ダクトカバーがデスクトップパネルと干渉して外し難い状態となり、配線作業がしづらくなる。
【0009】
これに対し、ダクトカバーの姿勢によらずに軸を軸受に対して着脱可能とすると、回転時に軸が軸受から外れ易くなり、また、ダクトカバーを起立姿勢を保持するための停止用のストッパにダクトカバーが強く突き当たった際に軸受部分が不慮に外れるおそれがある。さらに、起立姿勢を保持するために起立したダクトカバーをデスク本体側に別途に設けたストッパで停止させるように構成すると、デスク本体側に余分な構造が必要になり、ダクト空間も狭められることになる。
【0010】
これらのことは、デスクが単独で使用される場合においても、ダクトカバーの縁部を軸及び軸受を介してケーブルダクトの開口縁に回転可能かつダクトカバーの姿勢によらずに着脱可能に構成した場合には同様の事情を抱えることとなる。
【0011】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、着脱容易であっても安定した操作性と確実な起立状態を確保できる新たなダクトカバー取付構造を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0013】
すなわち、本発明のダクトカバー取付構造は、ダクトカバーを軸及び軸受を介してケーブルダクトの開口を開閉する位置に回転可能に支持させたものであって、前記軸と前記軸受との間に、ダクトカバーの角度が開口を閉止する使用位置にある角度から所定角度に至るまでの範囲内で軸の軸受に対する着脱を許容する着脱許容部と、ダクトカバーの角度が前記所定角度に至った以降に軸の軸受に対する着脱を規制する着脱規制部とを設けたことを特徴とする。
【0014】
このように構成すれば、周辺環境に応じて、適切な角度でダクトカバーの着脱を行うことが可能になる。しかも、ダクトカバーが所定角度に至った以降に開口に対する着脱が規制されるため、安定した回転領域も同時に確保することができ、ダクトカバーが起立位置で停止用のストッパに強く突き当たるなどしても、軸受部分が不慮に外れる不都合を有効に解消することができる。
【0015】
ダクトカバーを起立角度に簡易且つ確実に保持するためには、前記軸と前記軸受との間に、ダクトカバーが起立角度に達したときの回転終端を与える停止部を設けていることが望ましい。
【0016】
着脱許容部による着脱容易性と着脱規制部による外れ難い状態とを簡易に実現するためには、着脱許容部が、軸受の一部に設けた挿脱口を弾性的に押し広げながら軸の着脱を許容する構造をなし、着脱規制部が、所定角度に至った以降に軸と軸受との間に挿脱口の弾性変形を抑制する引っ掛かり構造を構成することが好ましい。
【0017】
着脱許容部と着脱規制部とを簡易に構成するためには、軸受が挿脱口の内側に係止部を有するとともに、軸を断面において長軸方向と短軸方向を有するものにし、長軸方向に沿って挿脱口を通過させた軸を、装着位置で回転させて、長軸方向の両端を前記係止部に引っ掛けるようにしていることが好適である。
【0018】
このような異形な軸の好ましい実施の態様としては、当該軸が、軸心に平行な平面によって切除した平坦面を一部に有し、回転終端において前記平坦面を前記軸受の内壁に突き当てて軸をその位置に停止させる停止部を構成するようにしているものが挙げられる。
【0019】
ケーブルダクトへのアクセスの便を有効に向上させるためには、ダクトカバーの対向する縁部をそれぞれ2軸及びそれらと対をなす軸受を介してケーブルダクトの開口を閉止する位置に支持させ、一方の軸を軸受から開放するとともに他方の軸を軸受に支持させたままでダクトカバーを何れの方向へも回転可能とし、対応する軸と軸受の間にそれぞれ回転許容部と回転規制部を設けていることが好ましい。
【0020】
反使用端における配線処理の便を有効に向上させたデスクを構成するためには、上記のダクトカバー取付構造を天板の反使用端側に配置されるダクトカバーに適用して、当該ダクトカバーをケーブルダクトの開口を塞ぐ位置に配置していることが望ましい。
【0021】
この場合、ダクトカバーの着脱をデスクトップパネルと干渉し難い角度で行うためには、ダクトカバーの上方に所定の隙間を介してデスクトップパネルの下端部を位置づけているものが好適である。
【0022】
ダクトカバー開閉時の作業性を一層向上させるためには、ダクトカバーの縁部と天板の反使用端との間に、指を差し込める程度の間隙が確保されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、以上説明した構成であるから、ダクトカバーを軸及び軸受を介してケーブルダクトの開口を開閉する位置に回転可能かつダクトカバーの姿勢によらずに着脱可能に構成するにあたり、着脱容易であって必要なときにはダクトカバーの開口を全面的に開放することができると同時に、所定角度以上に回転させる際には外れ難い安定した操作性を確保することができ、状況に応じて適切なダクトカバーの取り扱いを可能にする新規有用なダクトカバー取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係るデスクを示す斜視図。
【図2】同デスクをダクトカバーを取り外した状態で示す斜視図。
【図3】同ダクトカバーを支持する軸受構造を説明するための部分斜視図。
【図4】同ダクトカバーを支持する軸受構造を説明するための部分斜視図。
【図5】同ダクトカバーを支持する軸受構造を説明するための部分斜視図。
【図6】同ダクトカバーが使用位置にあるときの断面図。
【図7】同ダクトカバーが着脱許容角度にあるときの断面図。
【図8】同ダクトカバーが着脱禁止角度に至ったときの断面図。
【図9】同ダクトカバーが起立角度に至ったときの断面図。
【図10】本発明の変形例を示す図。
【図11】本発明の他の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0026】
図1及び図2に示す本実施形態のデスク1は、左右の脚体1a、1bの間に天板21、22を架設し、天板21、22の反使用端21a、22a側にケーブルダクト3を構成してなるもので、ケーブルダクト3への出し入れ口となる上方への開口30を塞ぐべく、その開口縁にダクトカバー4を着脱可能に配している。特にこの実施形態は、対面使用可能なように天板21、22の反使用端21a、22aを共通の背板5を挟んで対向させ、ケーブルダクト3を一対の天板21、22の反使用端21a、22a間に開口させているものである。
【0027】
そして、背板5の両端部および中央部に支持体61、61、62を配置してその上端部にダクトカバー受け61a、62aを設け、これらの支持体61、62と一対の天板21、22の反使用端21a、22aとで囲まれる開口30を塞ぐ平板状のダクトカバー4を、隣接するダクトカバー受け61a、62a間にそれぞれ架け渡して取り付けるようにしている。図において、ダクトカバー4上に起立している閉塞部材7及び支持体61,61間に取り付けられるデスクトップパネル8については後述する。
【0028】
図3は中央部のダクトカバー受け62aを、ケーブルダクト3を構成するダクト部材31とともに拡大したものである。ダクト部材31は板金素材からなるチャネル状のもので、図2にも示すように底壁31aを背板5の上面51に載せ置いた状態に配置され、側壁31bの上端に天板支持面31cを有している。このダクト部材31は、天板21、22の反使用端21a、22a側から開口30を通じて落とし込んだケーブルやコンセント、ハブ等を収める機能とともに、特に天板21,22が幅広である大型の場合に天板中央部の沈み込みを防ぐ役割を兼ねるものである。ケーブルダクト3は、このダクト部材31を主体として天板21、22間に形成される配線通路(配線空間)である。
【0029】
中央部に配置される支持体62は、下端をダクト部材31の底壁31aに固定した概略柱状のもので、上端に構成されるダクトカバー受け62aは、図3及び図4に示すように当該支持体62の左右両端面にあって、ダクトカバー4との間に軸受構造を構成するための各一対の軸6a、6bを天板幅方向(X方向)に向けて突出させてなる。また、図2において背板5の両端部に配置される支持体61、61も概略柱状のもので、上端に構成されるダクトカバー受け61aは、図5に示すように支持体61の対応する端面にあって、ダクトカバー4との間に軸受構造を構成するための各一対の軸6a、6bを、中央部のダクトカバー受け62aを構成する各一対の軸6a、6bと軸心を合致させて天板幅方向(X方向)に向けて突出させてなる。
【0030】
一方、ダクトカバー4の左右両端面には、図4及び図5に示すように、これらの軸6a、6bと係り合う各一対の軸受4a、4bが設けてある。一対の軸6a、6bの中心間ピッチと一対の軸受4a、4bの中心間ピッチとは互いに等しく設定されている。
【0031】
これらの軸6a、6b及び軸受4a、4bは、ダクトカバー4を双方向に対して回転可能に支持させるためのもので、図6→図7→図8→図9に示すように一方の軸6bを軸受4bから開放するとともに他方の軸6aを軸受4aに支持させたままでダクトカバー4を一方向へ回転させることができ、また、図示しないがこれとは対称的に、他方の軸6aを軸受4aから開放するとともに一方の軸6bを軸受4bに支持させたままでダクトカバー4を他方向へ回転させることができるようにしている。そして、ダクトカバー4の角度が開口を閉止する使用位置4(R)にあるときの角度(図6参照)から所定角度θ1(図8参照)に至るまでの範囲内にあるときに図7に矢印Pで示すように軸6aの軸受4aに対する着脱を許容し、ダクトカバー4の角度が図8に示す所定角度θ1に至った以降、図9に示す起立角度θ2までの間で軸6aの軸受4aに対する着脱を規制するものである。但し、図8及び図9に想像線で示すデスクトップパネル8があるときは、図7に示すようにダクトカバー4が矢印Qのように回転した際にデスクトップパネル8と干渉する位置4が最大開き角度θ3であり、これを越えてダクトカバー4が回転されるのはデスクトップパネル8が配置されていないときである。
【0032】
軸受構造について具体的に説明すると、軸受4a、4bは、図4〜図7等に示すようにダクトカバー4を構成する樹脂製の端部部材41に形成されていて、下向き概略C字状をなし、下端側には固定片42と弾性片43によって軸受面に通じる挿脱口S(図7参照)が設けられて、挿脱口Sよりも内空部が広がった形態をなしている。弾性片43は、軸6a、6bの着脱に伴って挿脱口Sを押し広げる方向に弾性変形可能なもので、例えば図7→図6のように嵌め込まれた軸6a、6bに対してこれを抱え込むように先端43aが挿脱口Sを狭める方向に突出している。固定片42も、先端42aが挿脱口Sを狭める方向に突出している。
【0033】
一方、一対の軸6a、6bは、軸心に平行な平面によって切除した平坦面6yを一部に有する、断面D字状をなす中実のもので、平坦面6yを向かい合わせた状態で対称的に設けられている。これらの軸6a、6bは、平坦面6yが上下方向を向くように配置してある。以下、必要に応じ、軸断面において平坦面6yに平行な方向を長軸方向(図4におけるm方向)、平坦面6yに垂直な方向を短軸方向(図4におけるn方向)と称する。
【0034】
このダクトカバー4が図1、図6等に示すように前記開口30を閉止する水平な使用位置4(R)にあるときには、ダクトカバー4の上面49はダクトカバー受け61a、62aの上面69や天板面29と略同じ高さ位置にあり、ダクトカバー4の対向する縁部48、48と天板の反使用端21a、22aとの間には、指を差し込める程度の間隙Δが確保されている。ダクトカバー4には、後述するようにデスクトップパネル8の下端部81とダクトカバー4の上面49との間の隙間Lを塞いで対面側から天板作業面を視認し得なくするための閉塞部材7が付帯させてあるが、この閉塞部材7がなければ、図6の状態からダクトカバー4を上面49と直交する方向(Z方向)へ持ち上げると、図4に示した長軸方向(m方向)に沿って軸6a、6bが挿脱口Sに向かい、短軸方向(n方向)を通過させ得る程度に弾性片43が挿脱口Sを広げる方向に弾性的に変形することによって、軸6a、6bの離脱を許容することができる。軸6a、6bを嵌め合わせるときも、弾性片43の比較的小さい弾性変形を伴って押し込まれる。軸6a、6bを軸受4a、4bに嵌め込んだ図6等の状態で弾性片43はある程度弾性復元しており、先端43aが軸6a、6bの外周のうち平坦面6yではなく円筒面6zに接触した状態にある。このとき、固定片42の先端42aは平坦面6yに接触ないし近接している。このような着脱が成り立つ関係にある部位を着脱許容部Aと称する。
【0035】
次に、このダクトカバー4に対して、図6に示す使用位置4(R)から一方の軸6aの回りの回転力を与えると、図6→図7に示すように他方の軸6bが軸受4bから開放されて、一方の軸6aの回りに回転することができる。前述した軸6a、6bの着脱を許容する着脱許容部Aは、ダクトカバー4が図6に示す使用位置4(R)にある角度すなわち略0°(水平)から図8に示す所定角度θ1の直前まで機能し、その間が着脱許容角度となる。ダクトカバー4が図8に示す所定角度θ1に達した以降、図9に示す起立角度θ2に至るまでの間は、弾性片43の先端43aが固定片42の先端42aとともに軸6a、6bの平坦面6yに回り込んだ状態になる。この状態では、ダクトカバー4に上面49と直交する方向(Z方向)への力を付与しても、固定片42及び弾性片43の先端43a、42aが平坦面6yに引っ掛かって、挿脱口Sの弾性変形が抑制される。すなわち、弾性片43および固定片42の先端43a、42aが軸6a、6bを係止する係止部として機能して、平坦面6yのうち図4に示した長軸方向(m方向)の両端がこれらの係止部43a、42aに引っ掛かり、挿脱口Sからの離脱を規制する。このような規制が成り立つ関係にある部位を着脱規制部B、この着脱規制部Bが機能している間を着脱規制角度と称する。
【0036】
さらにこの実施形態では、ダクトカバー4が水平位置から略95°回転した図9に示す起立角度θ2を回転終端とすべく、この起立角度θ2で平坦面6yが軸受4aの内壁に突き当たってダクトカバー4の回転を停止させる停止部4kを構成するようにしている。このとき、ダクトカバー4の重心Mは軸6aの真上を僅かに超えた位置に移動して、ダクトカバー4が安定して起立角度θ2に停止する。以上は、ダクトカバー4が逆方向に回転したときも全く同様である。
【0037】
次に、図1に示すデスクトップパネル8及び閉塞部材7について説明する。両端部の支持体61にはデスクトップパネル取付部61dが設けてあり、通常は図2に示すようにカバー61cによって閉塞されている。このカバー61cを図1に示すように開いてその奥にある図示しないデスクトップパネル取付部を上方に開放し、パネル本体80の両側から垂下する支持杆82をデスクトップパネル取付部に上方から挿し込むことで、ダクトカバー4の上方にデスクトップパネル8の下端部81が位置づけられる。
【0038】
その際、デスクトップパネル8の下端部81をダクトカバー4の上面49に直接載せ置くのではなく、ダクトカバー4の上方に図6に示したように所定の隙間Lを介して若干浮かせて配置することで、この隙間Lを利用して前記ダクトカバー4を、同図において閉塞部材7が無いとしたならばデスクトップパネル8を取り外すことなく使用位置4(R)から退避させることができる。
【0039】
しかしながら、閉塞部材7が無いとしたならばデスクトップパネル8の下端部81とダクトカバー4の上面49との間の隙間Lを通して対面側から天板作業面が視認されるので、これを塞ぐべく、本実施形態は、前記ダクトカバー4に前記隙間Lを塞ぐ閉塞部材7をオプション部材として付帯させているものである。そして、図6→図7に示すようにダクトカバー4の使用位置4(R)からの退避時に、閉塞部材7を隙間閉塞位置7(R)から同時に退避させるようにしている。
【0040】
具体的に説明すると、ダクトカバー4は、図4及び図5に示すように、対応位置に軸受4a、4bを有する一対の端部部材41、41と、両端に前記端部部材41、41を嵌め合わせることによってこれら両端部部材41、41間に架け渡されるカバー本体40とを具備している。カバー本体40は押し出し材であって、上面49に長手方向に沿って延び開口よりも内空が広がった形状の係り合い溝49aを有している。一方、閉塞部材7は、図4及び図5に矢印で示すように前記係り合い溝49aに対して端部71からのスライド動作のみによって着脱可能な拡開した基端72を有する板状のもので、端部71からスライド挿入してダクトカバー4の短手方向(図4におけるT方向)の中央部より上方に立ち上がった状態に配され、端部部材41、41を嵌め合わせた状態で当該端部部材41の端板41aで係り合い溝49aを閉止して、閉塞部材7を抜脱不能としている。
【0041】
かかる閉塞部材7は、図6に示す隙間閉塞位置7(R)において、ダクトカバー4の上面49からデスクトップパネル8の下端部81における厚み中心8xに向かって起立状態で配される。ダクトカバー4は既述したように、デスクトップパネル8が無いときには上方へ取り外すことができるが、デスクトップパネル8および閉塞部材7があるときには、上方へ取り外すことはできない。これに対して、本実施形態は、ダクトカバー4の回転によるケーブルダクト3の開口30からの退避動作に伴って図6→図7に示すように閉塞部材7がデスクトップパネル8の厚み中心8xから遠ざかる方向に移動するようにして構成してある。そして、閉塞部材7の先端73がデスクトップパネル8の下端部81から厚み方向(Y方向)に抜け出した位置で、いまだ軸6a、6bと軸受4a、4bの間に構成される着脱許容部Aが機能する角度すなわち着脱許容角度(0°〜θ1の範囲)内にあるように設定してあり、同図矢印Pで示すように閉塞部材7をデスクトップパネル8と干渉させることなくダクトカバー4を取り外すことができるようにしている。勿論、デスクトップパネル8と干渉する最大開き角度θ3に移動させて配線処理をすることもでき、デスクトップパネル8が無いときは図9に示す起立角度θ2に移動させて配線処理を行うことも可能である。
【0042】
なお、図6に示す配線カバー4の使用位置7(R)で閉塞部材7をデスクトップパネル8の下端部81に接触ないし近接させると、軸6a、6b回りの閉塞部材7の先端73の回転軌跡がデスクトップパネル8と干渉するので、図6に示すように閉塞部材7の先端73とデスクトップパネル8の下端部81との間に干渉を回避し且つ閉塞機能を損なわない程度のクリアランスCが設けてある。勿論、閉塞部材7をデスクトップパネル8の下端部81に接触ないし近接させるのであれば、少なくとも先端73に軟質樹脂等の素材を採用しておけば足りる。
【0043】
また、図1及び図2に示すように、この実施形態では閉塞部材7はダクトカバー4とともに天板幅方向に2つに分かれて配置され、中央部の支持体62で閉塞部材7が途切れて隙間が生じたように表してあるが、閉塞部材7の一部を天板幅方向に延び出せることでかかる隙間を埋めたり、中央部の支持体62上に固定の閉塞部材を別途に設けてかかる隙間を埋めるなど、適宜の対応が可能であるため、特に詳細には図示していないものである。
【0044】
以上のように、本実施形態に係るダクトカバー取付構造は、ダクトカバー4を軸6a、6b及び軸受4a、4bを介してケーブルダクト3の開口30を開閉する位置に回転可能に支持させるにあたり、前記軸6a(6b)と前記軸受4a(4b)との間に、ダクトカバー4の角度が使用位置4(R)にある角度(水平)から所定角度θ1に至るまでの範囲内で軸6a(6b)の軸受4a(4b)に対する着脱を許容する着脱許容部Aと、ダクトカバー4の角度が前記所定角度θ1に至った以降に軸6a(6b)の軸受4a(4b)に対する着脱を規制する着脱規制部Bとを設けたので、周辺環境に応じて、適切な角度でダクトカバー4の着脱を行うことが可能になる。しかも、ダクトカバー4が所定角度θ1に至った以降に開口30に対する着脱が規制されるため、安定した回転領域も同時に確保することができ、ダクトカバー4が回転終端である起立角度θ2で停止用のストッパに強く突き当たるなどしても、軸受部分が不慮に外れる不都合を有効に解消することができる。
【0045】
また、前記軸6a(6b)と前記軸受4a(4b)との間に、ダクトカバー4が起立角度に達したときの回転終端を与える停止部4kを設けているので、デスク本体側に余分なストッパ構造を別途に構成することが不要になり、ダクト空間を狭める不具合等も有効に回避することができる。
【0046】
特に、着脱許容部Aに、軸受4a、4bの一部に設けた挿脱口Sを弾性的に押し広げながら軸6a、6bの着脱を許容する構造を採用する一方、着脱規制部Bに、所定角度に至った以降に軸6a(6b)と軸受4a(4b)との間に挿脱口Sの弾性変形を抑制する引っ掛かり構造を採用したので、軸6a(6b)と軸受4a(4b)の間の簡単な構造だけで、着脱許容部Aによる着脱容易性と、着脱規制部Bによる外れ難い状態とを有効に実現することができる。
【0047】
また、軸受4a、4bが挿脱口Sの内側に係止部43a、42aを有するとともに、軸6a、6bを断面において長軸方向(m方向)と短軸方向(n方向)を有するものにし、長軸方向(m方向)に沿って挿脱口Sを通過させた軸6a、6bを、装着位置で回転させて、長軸方向(m方向)の両端を前記係止部43a、42aに引っ掛ける構造を採用しているので、軸6a、6bを異形にして係止部43a、42aとの関係を適宜に設定するだけで、着脱許容部Aと着脱規制部Bとを簡易に構成することができる。
【0048】
具体的には、軸6a、6bが、軸心に平行な平面によって切除した平坦面6yを一部に有し、回転終端で前記平坦面6yを軸受4a、4bの内壁に突き当てて軸6a、6bをその位置に停止させる停止部4kを構成するようにしているので、軸6a、6bの回転終端を簡素に実現することができる。
【0049】
とりわけ、本実施形態は、ダクトカバー4の対向する縁部48、48をそれぞれ2軸6a、6b及びそれらと対をなす軸受4a、4bを介してケーブルダクト3の開口30を閉止する位置に支持させ、一方の軸6b(6a)を軸受4b(4a)から開放するとともに他方の軸6a(6b)を軸受4a(4b)に支持させたままでダクトカバー4を何れの方向へも回転可能として、対応する軸6a(6b)と軸受4a(4b)の間にそれぞれ回転許容部Aと回転規制部Bを設けており、何れの側へもダクトカバー4を回転させることができるので、ケーブルダクト3へのアクセスの便を有効に向上させることができる。
【0050】
このようなダクトカバー取付構造は、種々のダクトカバーに対して適用することができるが、本実施形態ではかかるダクトカバー取付構造を天板21、22の反使用端21a、22a側に配置されるダクトカバー4に適用して、当該ダクトカバー4をケーブルダクト3の開口30を塞ぐ位置に配置しているので、デスク1の反使用端21a、22aにおける配線処理の便を有効に向上させることができる。
【0051】
この場合、ダクトカバー4の上方に所定の隙間Lを介してデスクトップパネル8の下端部81を位置づけているので、その隙間Lの範囲内でおいて、ダクトカバー4の着脱をデスクトップパネル8と干渉し難い角度で適切に行うことができる。
【0052】
さらに、ダクトカバー4の縁部48と天板21、22の反使用端21a、22aとの間に、指を差し込める程度の間隙Δが確保されており、ダクトカバー4を図7に実線で示すように少し起こした状態で、縁部48を指で摘むなどして着脱作業を行うことができるので、作業性をより一層有効に向上させることができる。
【0053】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0054】
例えば、上記実施形態では、ダクトカバー4の対向する縁部48、48をそれぞれ2軸6a、6b及びそれらと対をなす軸受4a、4bを介してケーブルダクト3の開口30を閉止する位置に支持させ、一方の軸6b(6a)を軸受4b(4a)から開放するとともに他方の軸6a(6b)を軸受4a(4b)に支持させたままでダクトカバー4を何れの方向へも回転して両開き可能とし、対応する軸6a(6b)と軸受4a(4b)の間にそれぞれ回転許容部Aと回転規制部Bを設けたが、図10に示すように、ダクトカバー104の一方の縁部148a側を軸106a及びそれと対をなす軸受104aを介してケーブルダクト103の開口130を閉止する位置に支持させた片開きタイプのものにおいても、軸106aと軸受104aの間に回転許容部Aと回転規制部Bを設けたり、閉塞部材107がデスクトップパネル108の厚み中心108xから遠ざかるようにすれば、上記に準じた作用効果が奏される。この場合、ダクトカバー104の他方の縁部148b側は簡単なキャッチ機構100を介してケーブルダクト103の開口130を閉止する位置に支持させておいてもよい。図示のキャッチ機構100は、上記軸6bおよび軸受4bに類似の軸106bおよび軸受104bによって構成されているものである。
【0055】
また、同図においては、ダクトカバー104の他方の縁部148bに軟質樹脂等からなる可撓部104zが設けてあり、使用位置104(R)で天板122との間隙Δを塞いで、必要に応じて押し開くことができるものであり、これを上記実施形態の両回転タイプのダクトカバー4の両縁部48、48に採用することも有効である。
【0056】
さらに、上記実施形態では軸6a、6bの形状を、一部に平坦面6yを有する中実のD字形状としたが、強度が確保できれば、図11(a)に示すような中空のD字形状をなす軸206a、206bを採用したり、同図(b)に示すようなC字形状の軸306a、306b等を採用することもできる。勿論、対応する軸受4a、4bの方の形状も、上記実施形態に限定されるものではない。要は、軸や軸受の間に着脱許容部や着脱規制部、停止部等が構成できれば、特に形状や構造は問わない。
【0057】
その他、ダクトカバー側に軸を突出させ、支持体側のダクトカバー受けを軸受とする構成など、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1…デスク
3…ケーブルダクト
4…ダクトカバー
4a、4b…軸受
4k…停止部
4(R)…使用位置
6a、6b…軸
6y…平坦面
8…デスクトップパネル
21、22…天板
21a、22a…反使用端
30…開口
43a、42a…係止部
48…対向する縁部
81…下端部
A…着脱許容部
B…着脱規制部
L…隙間
m…長軸方向
n…短軸方向
S…挿脱口
θ1…所定角度
Δ…間隙



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクトカバーを軸及び軸受を介してケーブルダクトの開口を開閉する位置に回転可能に支持させたものであって、
前記軸と前記軸受との間に、ダクトカバーの角度が前記開口を閉止する使用位置から所定角度に至るまでの範囲内で軸の軸受に対する着脱を許容する着脱許容部と、ダクトカバーの角度が前記所定角度に至った以降に軸の軸受に対する着脱を規制する着脱規制部とを設けたことを特徴とするダクトカバー取付構造。
【請求項2】
前記軸と前記軸受との間に、ダクトカバーが起立角度に達したときの回転終端を与える停止部を設けている請求項1記載のダクトカバー取付構造。
【請求項3】
着脱許容部は、軸受の一部に設けた挿脱口を弾性的に押し広げながら軸の着脱を許容する構造をなし、着脱規制部は、所定角度に至った以降に軸と軸受との間に挿脱口の弾性変形を抑制する引っ掛かり構造を構成するものである請求項1又は2記載のダクトカバー取付構造。
【請求項4】
軸受が挿脱口の内側に係止部を有するとともに、軸を断面において長軸方向と短軸方向を有するものにし、長軸方向に沿って挿脱口を通過させた軸を、装着位置で回転させて、長軸方向の両端を前記係止部に引っ掛けるようにしている請求項2又は3記載のダクトカバー取付構造。
【請求項5】
軸が、軸心に平行な平面によって切除した平坦面を一部に有し、回転終端において前記平坦面を軸受の内壁に突き当てて軸をその位置に停止させるための停止部を構成するようにしている請求項4記載のダクトカバー取付構造。
【請求項6】
ダクトカバーの対向する縁部をそれぞれ2軸及びそれらと対をなす軸受を介してケーブルダクトの開口を閉止する位置に支持させ、一方の軸を軸受から開放するとともに他方の軸を軸受に支持させたままでダクトカバーを何れの方向へも回転可能とし、対応する軸と軸受の間にそれぞれ回転許容部と回転規制部を設けている請求項1〜5記載のダクトカバー取付構造。
【請求項7】
請求項1〜6記載のダクトカバー取付構造を天板の反使用端側に配置されるダクトカバーに適用して、当該ダクトカバーをケーブルダクトの開口を塞ぐ位置に配置していることを特徴とするデスク。
【請求項8】
ダクトカバーの上方に所定の隙間を介してデスクトップパネルの下端部を位置づけている請求項7記載のデスク。
【請求項9】
ダクトカバーの縁部と天板の反使用端との間に、指を差し込める程度の間隙が確保されている請求項7又は8記載のデスク。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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