説明

ダニを防除するための2,2−ジメチル−3−(2,4−ジクロロフェニル)−2−オキソ−1−オキサスピロ[4.5]デク−3−エン−4−イルブタノエートの使用

本発明は、ホップ、キーウィ、小果実、堅果、コーヒー、トロピカルフルーツ、スパイス及び針葉樹におけるダニを防除するための、2,2−ジメチル−3−(2,4−ジクロロフェニル)−2−オキソ−1−オキサスピロ[4.5]デク−3−エン−4−イルブタノエートの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホップ、キーウィフルーツ、小果樹、堅果、コーヒー、トロピカルフルーツ、スパイス及び針葉樹におけるダニ(acarids)を防除するための、2,2−ジメチル−3−(2,4−ジクロロフェニル)−2−オキソ−1−オキサスピロ[4.5]デク−3−エン−イルブタノエートの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
化合物2,2−ジメチル−3−(2,4−ジクロロフェニル)−2−オキソ−1−オキサスピロ[4.5]デク−3−エン−イルブタノエートは、EP−A−528156により公知となっている
2,2−ジメチル−3−(2,4−ジクロロフェニル)−2−オキソ−1−オキサスピロ[4.5]デク−3−エン−イルブタノエートの殺ダニ活性も、EP−A−528156により公知となっている。
【発明の開示】
【0003】
驚くべきことに、2,2−ジメチル−3−(2,4−ジクロロフェニル)−2−オキソ−1−オキサスピロ[4.5]デク−3−エン−イルブタノエートがホップ、キーウィフルーツ、小果樹、堅果、コーヒー、トロピカルフルーツ、スパイス及び針葉樹におけるダニを防除するのに特に適していることが見いだされた。
【0004】
従って、本発明は、ホップ、キーウィフルーツ、小果樹、堅果、コーヒー、トロピカルフルーツ、スパイス及び針葉樹におけるダニを防除するための2,2−ジメチル−3−(2,4−ジクロロフェニル)−2−オキソ−1−オキサスピロ[4.5]デク−3−エン−イルブタノエートの使用に関する。
【0005】
2,2−ジメチル−3−(2,4−ジクロロフェニル)−2−オキソ−1−オキサスピロ[4.5]デク−3−エン−イルブタノエートは、以下の式(I)で表される。
【0006】
【化2】

【0007】
式(I)で表される化合物の調製については、EP−A−1272480に記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
式(I)で表される化合物は、好ましくは、クモ綱の節足動物、例えば、Scorpio maurus、Latrodectus mactans、Acarus siro、Argas spp.、Ornithodoros spp.、Dermanyssus gallinae、Eriophyes ribis、Phyllocoptruta oleivora、Boophilus spp.、Rhipicephalus spp.、Amblyomma spp.、Hyalomma spp.、Ixodes spp.、Psoroptes spp.、Chorioptes spp.、Sarcoptes spp.、Tarsonemus spp.、Bryobia praetiosa、Panonychus spp.、Tetranychus spp.、Hemitarsonemus spp.、及び、Brevipalpus spp.などを防除するのに使用することができる。Panonychus spp.、及び、Tetranychus spp.を防除するのが特に好ましい。
【0009】
式(I)で表される化合物は、好ましくは、ホップ;キーウィフルーツ;小果樹、例えば、スグリ、セイヨウスグリ、キイチゴ、ブラックベリー、イチゴ、ブルーベリーなど;堅果、例えば、アーモンド、ピスタチオ、ブナ、カシューナッツ、ヘイゼルナッツ、ブラジルナッツ、バターナッツ、クリ、ヒッコリーナッツ、マカダミアナッツ、ペカンナッツ、ココナッツ、クルミ;トロピカルフルーツ、例えば、マンゴー、パパイヤ、ナツメヤシ;コーヒー;スパイス、例えば、チリ;並びに、針葉樹、例えば、トウヒ及びモミなどで使用することができる。
【0010】
これらの植物は、慣習的な育種及び最適化法によって得ることが可能であるか、又は、生物工学的方法と遺伝子工学的方法によって得ることが可能であるか、又は、前記方法の組合せによって得ることが可能であり、トランスジェニック植物、及び、植物育種業者の権利によって保護され得る植物品種又は保護され得ない植物品種を包含する。植物の部分は、苗条(shoot)、葉、花及び根などの、植物の地上部及び地下部の全ての部分及び器官を意味するものと理解され、その例としては、葉、針状葉、葉柄、茎、花、子実体、果実、種子、根、塊茎及び根茎などを挙げることができる。植物の部分には、収穫物(harvested material)、並びに、栄養繁殖器官(vegetative propagation material)及び生殖増殖器官(generative propagation material)、例えば、挿穂、塊茎、根茎、挿苗及び種子なども包含される。
【0011】
上記活性成分を用いた植物及び植物の部分の本発明による処理は、慣習的な処理方法を用いて、例えば、浸漬、散布、噴霧、ミスト散布(misting)、ばらまき(scattering)、塗布などによって、及び、増殖器官、特に種子の場合は、さらに、1以上のコーティングを施すことによって、直接的に行うか、又は、植物の周囲、生息環境又は貯蔵所に作用させることにより行う。
【0012】
式(I)で表される化合物からなる活性成分は、液剤、エマルション剤、水和剤、懸濁液剤、粉末剤(powders)、粉剤(dust)、ペースト剤、可溶性粉末剤(soluble powders)、顆粒剤、サスポエマルション製剤、活性成分を含浸させた天然物質又は合成物質、及び、高分子物質中に超微細カプセル化したもののような慣習的な製剤に変換することができる。
【0013】
これらの製剤は、既知方法で、例えば、適切な場合には界面活性剤(即ち、乳化剤及び/又は分散剤及び/又は泡形成剤)を使用して、該活性成分を増量剤(即ち、液体溶媒及び/又は固体担体)と混合することにより、製造する。
【0014】
増量剤として水を使用する場合は、例えば、有機溶媒を補助溶媒として使用することもできる。適する液体溶媒は、本質的に、芳香族化合物、例えば、キシレン、トルエン又はアルキルナフタレン類、塩素化芳香族化合物及び塩素化脂肪族炭化水素、例えば、クロロベンゼン類、クロロエチレン類及び塩化メチレン、脂肪族炭化水素、例えば、シクロヘキサン及びパラフィン類、例えば、鉱油留分、鉱油及び植物油、アルコール類、例えば、ブタノール又はグリコールとそれらのエーテル及びエステル、ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はシクロヘキサノン、強極性溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドであり、さらに、水も適している。
【0015】
適する固体担体は、例えば、アンモニウム塩、及び、粉砕された天然鉱物、例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト又はケイ藻土、及び、粉砕された合成鉱物、例えば、高分散性シリカ、アルミナ及びシリケートなどであり; 顆粒剤に適する固体担体は、例えば、粉砕して分別した天然石、例えば、方解石、大理石、軽石、海泡石及びドロマイト、並びに、無機及び有機の粗挽き粉からなる合成顆粒、並びに、有機材料、例えば、おがくず、ココナッツ殻、トウモロコシ穂軸及びタバコの葉柄などからなる顆粒などであり; 適する乳化剤及び/又は泡形成剤は、例えば、非イオン性及びアニオン性乳化剤、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル類、例えば、アルキルアリールポリグリコールエーテル類、アルキルスルホネート類、アルキルスルフェート類、アリールスルホネート類、及び、タンパク質加水分解産物などであり; 適する分散剤は、例えば、リグニン亜硫酸廃液及びメチルセルロースなどである。
【0016】
上記製剤において、粘着剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、粉末又は顆粒又はラテックスの形態にある天然ポリマー及び合成ポリマー、例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニル、並びに、天然のリン脂質、例えば、セファリン及びレシチン、及び合成リン脂質などを使用することができる。別の添加剤は、鉱油又は植物油などであり得る。
【0017】
着色剤、例えば、無機顔料、例えば、酸化鉄、酸化チタン及びPrussian Blue、並びに、有機染料、例えば、アリザリン染料、アゾ染料及び金属フタロシアニン染料、並びに、微量栄養素、例えば、鉄塩、マンガン塩、ホウ素塩、銅塩、コバルト塩、モリブデン塩及び亜鉛塩などを使用することができる。
【0018】
上記製剤は、一般に、0.1〜95重量%の活性成分、好ましくは、0.5〜90重量%の活性成分を含有する。
【0019】
市販製剤から調製した使用形態の活性成分含有量は、広い範囲で変えることができる。そのような使用形態における活性成分の濃度は、0.0000001〜95重量%の活性成分、好ましくは、0.0001〜1重量%の活性成分であり得る。
それらは、そのような使用形態に合うように適合させた慣習的な方法により施用する。
【実施例】
【0020】
使用実施例
実施例A
害虫: ナミハダニ(Tetranychus urticae)
作物: ホップ
式(I)で表される化合物(240SC)を、0.0048%(a.i.)の濃度で、0.005%(a.i.)のシス−シハロトリン(050EC)との比較で試験した。式(I)の化合物は害虫発生の初期段階で使用し、シス−シハロトリンは害虫の発生が高レベルに達したときに施用した。
【0021】
噴霧混合物(2000L/ha)は、圧縮空気で作動させる背負式噴霧器を用いて施用した。
【0022】
プロットサイズは6植物であり、異なった各試験当たりの反復数は2であった。
【0023】
ハダニに対する活性は、処理の4日後、14日後及び21日後(式(I)で表される化合物)、並びに、処理の4日後、11日後及び18日後(シス−シハロトリン)に、葉1枚当たりの生存しているハダニ(10枚の葉/プロット)を計数し、Abbottの式を用いて効力を計算することにより決定した。
【0024】
【表1】

【0025】
実施例B
害虫: ナミハダニ(Tetranychus urticae)
作物: ホップ
式(I)で表される化合物(240SC)を、0.0144%(a.i.)の濃度で、0.05%(a.i.)の標準的なアミトラズ(200EC)との比較で試験した。混合物は1回散布した。
【0026】
噴霧混合物(2200L/ha)は、トラクターで作動させるけん引式散布機を用いて施用した。プロットサイズは60植物であり、異なった各試験当たり、2反復で実施した。
【0027】
ハダニに対する活性は、処理の5日後、12日後、19日後及び34日後に、葉1枚当たりの生存しているハダニ(60枚の葉/プロット)を計数し、Abbottの式を用いて効力を計算することにより決定した。
【0028】
【表2】

【0029】
実施例C
害虫: ナミハダニ(Tetranychus urticae)
作物: クログルミの木
式(I)で表される化合物(240SC)を、2.02オンス(a.i.)/100ガロン(=0.126ポンド(a.i.)/エーカー)の濃度で、0.125ポンド(a.i.)/エーカーの施用量のPYRAMAT(ピリダベン,75WP)との比較で試験した。
【0030】
噴霧混合物(100ガロン/エーカー)は、電動式手持ち散布機(motor-operated hand-held sprayer)を用いて施用した。
【0031】
試験は、1プロット当たり1本の木を用いて3反復実験で実施した。
【0032】
ハダニに対する効力は、施用の前、施用の1週間後、2週間後及び6週間後に、1本の木当たり8枚の葉の上で生存している卵及び若虫を計数し、次いで、Henderson & Tiltonの式を用いて計算することにより決定した。
【0033】
【表3】

【0034】
実施例D
害虫: Eotetranychus hicoriae
作物: ペカンナッツの木
式(I)で表される化合物(240SC)を、0.313ポンド(a.i.)/エーカーの施用量で、0.50ポンド(a.i.)/エーカーのACRAMIT(ビフェナゼート,50WP)との比較で試験した。
【0035】
噴霧混合物(105ガロン/エーカー)は、電動式手持ち散布機を用いて施用した。
【0036】
試験は、1プロット当たり1本の木を用いて4反復実験で実施した。
【0037】
ペカンリーフスコーチマイト(pecan leaf scorch mite)に対する効力は、施用の6日後及び13日後に、1本の木当たり5枚の葉の上で生存しているダニを計数し、次いで、Abbottの式を用いて計算することにより決定した。
【0038】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホップにおけるダニを防除するための、式(I):
【化1】

で表される化合物の使用。
【請求項2】
キーウィフルーツにおけるダニを防除するための、式(I)で表される化合物の使用。
【請求項3】
小果樹におけるダニを防除するための、式(I)で表される化合物の使用。
【請求項4】
堅果におけるダニを防除するための、式(I)で表される化合物の使用。
【請求項5】
コーヒーにおけるダニを防除するための、式(I)で表される化合物の使用。
【請求項6】
トロピカルフルーツにおけるダニを防除するための、式(I)で表される化合物の使用。
【請求項7】
スパイスにおけるダニを防除するための、式(I)で表される化合物の使用。
【請求項8】
針葉樹におけるダニを防除するための、式(I)で表される化合物の使用。

【公表番号】特表2009−513540(P2009−513540A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519802(P2006−519802)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007225
【国際公開番号】WO2005/004605
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】