説明

ダニ構成物、その使用、捕食性カブリダニAmblyseiusswirskiiを飼育するための方法、前記捕食性カブリダニを飼育するための飼育システム、および作物に対する生物的害虫防除方法

【課題】ダニ構成物を利用する作物における生物的害虫防除方法を提供する。
【解決手段】捕食性カブリダニ種Amblyseius Swirskiiの個体群と、前記カブリダニ種を飼育するためまたは作物に前記カブリダニ種を放飼するために利用することができる人工寄主個体群とを含む新規ダニ構成物とし、捕食性カブリダニ種Amblyseius Swirskiiを人工的に飼育する。また、ダニ構成物の使用により作物害虫の防除を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一の態様によると、新規ダニ構成物に関する。
【0002】
第二の態様によると、本発明は、捕食性カブリダニ種Amblyseius swirskiiの新規飼育方法に関する。
【0003】
第三の態様によると、本発明は、捕食性カブリダニ種Amblyseius swirskiiを飼育するための人工寄主としてのコナダニ(Astigmatid mite)の新規使用に関する。
【0004】
第四および五の態様によると、本発明は、捕食性カブリダニ種Amblyseius swirskiiを飼育するための新規飼育システム、および作物害虫の防除のためのこの飼育システムの使用に関する。
【0005】
なお、さらなる態様によると、本発明は、本発明のダニ構成物を利用する、作物における生物的害虫防除方法に関する。
【背景技術】
【0006】
捕食性カブリダニ(カブリダニ科(Phytoseiidae))は、温室作物におけるハダニおよびアザミウマの生物学的防除に広く使用されている。温室作物において最も重要なアザミウマ種は、ミカンキイロアザミウマ(Western Flower Thrips)(ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis))およびネギアザミウマ(Onion Thrips)(ネギアザミウマ(Thrips tabaci))である。これらは、捕食性ダニ Amblyseius cucumeris(ククメリスカブリダニ)およびAmblyseious barkeri(Hansen,L.S.and Geyti,J.,1985;Ramakers,P.M.J.and van Lieburg,M.J.,1982;Ramakers,P.M.J.,1989;Sampson,C.,1998;およびJacobson,R.J.,1995)ならびにIphiseius degenerans(Ramakers,P.M.J.and Voet,S.J.P.,1996)で防除することができる。被食者不在の場合、これらのダニ種は、アマトウガラシ(トウガラシ(Capsicum annuum L.)などの花粉の継続的供給をもたらす作物の中に定着し、居続けることができる。例えばキュウリおよび大部分の鑑賞作物などの花粉が自由に入手できない作物では、食餌が人工的に供給されない限り、これらのダニ種を用いることができない。これは、作物に植物の花粉を散布することによって行うことができる。
【0007】
あるいは、(Sampson,C.(1998)によりまたは英国特許第2393890号に開示されているような)制御放飼システムをククメリスカブリダニに用いることができる。この制御放飼システムは、糠、酵母および小麦麦芽からなる食餌混合物を収容する区画を有するサッシェと、穀物ダニであるTyrophagus putrescentiae(ケナガコナダニ)の個体群と、捕食性ダニであるククメリスカブリダニの個体群とからなる。穀物ダニであるケナガコナダニは、その食餌混合物を用いて活動的個体群を発生させ、捕食性ダニ個体群のための人工寄主として役立つ。前記サッシェは、フックによって作物に吊るされ、4から6週間の期間にわたって捕食性ダニを継続的に放飼することとなる。
【0008】
ククメリスカブリダニは、食餌の存在に対する数の反応がどちらかと言えば弱いため、十分な害虫防除を有するには大量の捕食性ダニを放飼しなければならない。これは、上で説明した食餌混合物を用いて十分な量の穀物ダニであるケナガコナダニを飼育することができ、それらを用いて非常に大量のククメリスカブリダニを経済的に飼育することができるため、経済的に可能である。
【0009】
アザミウマに対して、より高い捕食率および数の反応で、さらにずっと有効な捕食性ダニ、例えばTyphlodromalus limonicusおよびIphiseius degeneransも存在するが、ククメリスカブリダニは、容易に、非常に大量に育成できるため、なお、最も一般的に用いられている種である。
【0010】
Iphiseius degeneransは、花粉の継続的供給をもたらし、それによってダニを殖やすことができるトウゴマ植物(Castor Bean Plant)(ヒマ(Ricinus communis L.)、トウダイクサ科(Euphorbiaceae))を用いて大量飼育することができる。それらの植物を成長させるために必要な広い面積および温室への高い投資のため、Iphiseius degeneransの原価は、ククメリスカブリダニと比較して非常に高い。この高い原価のため、飼育者は、非常に少ない数、一般には1ヘクタール当たり1000〜2000匹の捕食性ダニしか放飼できない。従って、Iphiseius degeneransの施用は、捕食性ダニが害虫防除に十分な個体群を発生することができる十分な花粉を提供する唐辛子(トウガラシ(Capsicum annuum L.))に限定される。Iphiseius degeneransの個体群は、アザミウマ害虫個体群に対して有意な影響を及ぼすことができるために十分な強度で作物中に存在するまでに、数ヶ月かかることもある。
【0011】
ナミハダニ(Tetranychus urticae)は、捕食性ダニを放飼することにより、世界中の温室および屋外作物において防除に成功している。最も重要な種は、生物学的防除用に市販されている最も古いダニであるチリカブリダニ(Phytoseiulus persimilis)(Hussey,N.W.and Scopes,N.E.A.,1985)、およびミヤコカブリダニ(Neoseiulus californicus)(Wei−Lan Ma and Laing,J.E.,1973)である。両方の捕食性ダニが、温室内のマメ植物(インゲンマメ(Phaseolus vulgaris))においてそれらの天然寄主ナミハダニを用いて大量飼育されている。
【0012】
科学文献には、コナジラミを捕食する幾つかの捕食性ダニが報告されている(Teich,Y.1966;Swirski,E.et al.,1967;Nomikou,M.et al.,2001)。残念なことに、今までのところ、コナジラミの生物学的防除用に市販されている捕食性ダニはまだない。おそらく、捕食性ダニがコナジラミを捕食することが知られているにもかかわらず、コナジラミに対する増加性生物学的防除因子としてのそれらの使用性能が、当分野において認知されていないためである。増加性生物学的防除の際、生物作用因子が、害虫防除のために作物中に放飼される。さらにいっそう重要なこととして、増加性生物学的防除因子としてのそれらの使用性能にとって最も重要なことである作物への大量の捕食性ダニの放飼を可能にすることのために必要な経済的大量飼育システムであって、当分野において利用できる、コナジラミに対して効く可能性がある捕食性ダニ種用のシステムはない。
【0013】
その代わりとして、コナジラミは、温室コナジラミ(Trialeurodes vaporariorum(オンシツコナジラミ))に対して捕食寄生蜂、例えばオンシツツヤコバチ(Encarsia formosa)およびサバクツヤコバチ(Eretmocerus eremicus)を、ならびに、タバココナジラミBemisia tabaci(タバココナジラミ)に対して捕食寄生蜂であるムンダズツヤコバチ(Eretmocerus mundus)を放飼することによって防除される。また、例えば捕食性メクラカメムシであるMacrolophus caliginosusおよびテントウムシ科昆虫であるDelphastus catalinaeなどの幾つかの捕食者が大量飼育され、放飼されている。これらすべての捕食寄生者および捕食者の大量飼育は、植物の温室生産とコナジラミを伴い、これは少なからぬ投資を必要とする。
【0014】
飼育培地内の人工寄主ダニを用いて経済的に大量に飼育することができる捕食性ダニによるコナジラミおよび他の作物害虫の生物学的防除は、このような飼育システムには限られた面積が使用されるため、非常に有利である。さらに、このようなシステムでは捕食性ダニの飼育を制御された人工気候室内で行うことができる。従って、温室および作物への大きな投資を必要としない。
【0015】
最近の研究は、アザミウマ(ネギアザミウマおよびミカンキイロアザミウマ)ならびにコナジラミ(オンシツコナジラミおよびタバココナジラミ)の非常に効率的な生物学的防除因子としての捕食性ダニであるAmblyseius swirskiiの可能性を指摘している(Nomikou,M.,Janssen,A.,Schraag,R.and Sabelis,M.W.,2001;Messelink,G.& Steenpaal,S.2003;Messelink,G.2004;Messelink,G.& Steenpaal,S.2004;Bolckmans,K.& Moerman,M.2004;Messelink,G.& Pijnakker,J.2004)。Amblyseius swirskiiは、害虫および植物花粉の存在に対して非常に強い数の反応を示した。これは、良好な生物学的防除を達成するために放飼しなければならないダニの数が、ククメリスカブリダニと比較してずっと少ないことを意味する。1つの試験では、アマトウガラシ植物の葉1枚につき1匹のAmblyseius swirskiiの放飼により、結果として、葉1枚につき30匹のククメリスカブリダニを放飼したときと同レベルのミカンキイロアザミウマが防除された(Bolckmans,K.& Moerman,M.2004)。
【0016】
当分野では、花粉(Messelink,G.& Pijnakker,J.2004)または鱗翅目の昆虫であるガイマイツヅリガ(Corcyra cephalonica)もしくはスジコナマダラメイガ(Ephestia kuehniella)からの卵(Romeith,A.H.M.et al.,2004)を使用するAmblyseius swirskiiの飼育しか開示されていない。
【0017】
花粉での飼育には、トウゴマ植物(トウゴマ)などの植物を生産するための大きな温室面積、または屋外で蒲(ガマ属の一種(Typha spp.))などの適切な植物の花粉を収集することが必要である。屋外での植物花粉の収集は、非常に大きな労働力を要し、限られた量しか収集することができない。蜜蜂によって収集された植物花粉は、捕食性ダニの飼育には適さない。
【0018】
鱗翅目の昆虫の卵を用いる飼育は、卵の生産への大きな投資が必要であり、従って、非常に費用がかかる。
【0019】
Amblyseius swirskiiのために利用できる食餌物質の欠点のため、この捕食性ダニは、大量には市場に出回っていない。従って、Amblyseius Swirskiiを経済的に大量生産できる代替食餌源は、この捕食性ダニを、様々な作物害虫に対して使用するための増加性生物学的防除因子としての使用に適するようにすることができ、有益である。
【0020】
Amblyseius swirskiiは、少なくとも1つのコナダニ種を含む人工寄主個体群を用いて飼育できることが今般判明した。
【0021】
従って、第一の態様によると、本発明は、捕食性カブリダニ種Amblyseius swirskiiの飼育個体群と、少なくとも1つのコナダニ種を含む人工寄主個体群とを含む、ダニ構成物に関する。
【0022】
Amblyseius swirskii Athias−Henriot,1962,(Chant D.A.and McMurtry J.A.,2004),(=Typhlodromips swirskii(Athias−Henriot),1962),(de Moraes et al.,2004)は、Swirski,E.et al.,1967およびAthias−Henriot,C.,1962により説明されているように、その天然寄主植物から単離することができる。
【0023】
コナダニは、Hughes A.M.,1977により説明されているようにそれらの自然生息場所から単離することができ、またParkinson,C.L.(1992)およびSolomon,M.E.& Cunnington,A.M.(1963)により説明されているように維持および培養することができる。
【0024】
人工寄主種は、捕食性カブリダニとは異なる自然生息場所に棲む種であるが、それにもかかわらず、1つ以上の生活期の人工寄主が、少なくとも1つの生活期の捕食性カブリダニにとって適当な被食者である。最も重要なこととして、捕食性カブリダニは、発生する能力を有し、また人工寄主の食餌を用いて飼養すると繁殖して、その飼育個体群の個体数が増大できる能力がある。
【0025】
Amblyseius swirskiiの自然生息場所は、それが有害生物(昆虫およびダニ)を捕食する植物上にある。通常、コナダニは、穀物および穀物製品(例えば、小麦粉、ふすま)などの保存食品の上、乾燥果実の上または他の家庭の場において害虫として見出される。
【0026】
従って、本発明の構成物は、ダニの新規共棲を提供し、これは、捕食性カブリダニ Amblyseius swirskiiが、コナダニとは異なる生息場所に棲むので、自然には起こらない。
【0027】
本発明の構成物は、Amblyseius swirskiiの大量飼育のみに適するのではない。Amblyseius swirskiiの移動捕食生活期、またはこれらの移動性生活期に発展し得る生活期も含むので、生物的作物保護因子として利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】参照する科および種の概要を図1に提供する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
好ましい実施形態において、本構成物は、個体群の個体のための担体を含む。この担体は、個体に担体表面を提供するために適している任意の固体材料であってもよい。好ましくは、前記担体は、ダニ個体群が生じさせる代謝ガスおよび熱を交換することができる多孔質培地を提供する。適する担体の例は、植物材料、例えば、(小麦)ふすま、蕎麦殻、もみ殻、おがくず、粗挽きトウモロコシなどである。
【0030】
前記人工寄主個体群に適する食餌物質を前記構成物に対して加えれば、さらに好ましい。あるいは、前記担体自体が、適する食餌物質を含むことができる。適する食餌物質は、Parkinson,C.L.,1992;Solomon,M.E.& Cunnington,A.M.,1963;Chmielewski,W,1971a;Chmielewski,W,1971bまたは英国特許第2393890号によって説明されているものと同様であり得る。
【0031】
好ましい実施形態によると、前記人工寄主は、
i)サトウダニ科(Carpoglyphidae)、例えば、
サトウダニ属(Carpoglyphus)、例えばサトウダニ(Carpoglyphus lactis)から、
ii)チリダニ科(Pyroglyphidae)、例えば、
ヒョウヒダニ属(Dermatophagoides)、例えばヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronysinus)またはコナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)から、
Euroglyphus属、例えばEuroglyphus longiorまたはEuroglyphus mayneiから、
Pyroglyphus属、例えばPyroglyphus africanusから、
iii)グリシファグス科(Glyciphagidae)、例えば、
グリシファグス属(Glycyphagus)、例えばGlyciphagus destructorまたはGlyciphagus domesticusから、
Lepidoglyphus属、例えばLepidoglyphus destructorから、
iv)コナダニ科(Acaridae)、例えば、
ケナガコナダニ属(Tyrophagus)、例えばケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)またはTyrophagus tropicusから、
コナダニ属(Acarus)、例えば、アシブトコナダニ(Acarus siro)またはAcarus farrisから、
ホシカダニ属(Lardoglyphus)、例えばコウノホシカダニ(Lardoglyphus konoi)から
選択される少なくとも1つのダニ種を含む。
【0032】
異なるAmblyseius swirskii種系統間で、人工寄主の許容差が観察される場合がある。さらに、選択的飼養により特定の人工寄主に適合する系統を飼養することが可能な場合もある。
【0033】
本明細書において、用語「飼育」は、有性生殖による個体群の繁殖および増加を含むと理解されなければならない。
【0034】
飼育個体群は、両方の性の成熟成体、および/または性的に成熟した成体へと成熟することができる他の生活期の両方の性の個体、例えば卵および/または若虫を含むことができる。あるいは、この飼育個体群は、1つ以上の受精した雌を含むことができる。本質において、この飼育個体群は、有性生殖によりその個体数を増加することができる。
【0035】
好ましくは、前記人工寄主個体群は、上で定義したとおりの飼育個体群であり、例えば、それ自体を維持することができ、またはある程度までそれ自体を発生させることさえできる。前記人工寄主が、飼育個体群として供給される場合、好ましくは、その人工寄主のための食餌物質も供給される。この食餌物質は、Solomon,M.E.and Cunnington,A.M.,1963;Parkinson,C.L.,1992;Ramakers,P.M.J.and van Lieburg,M.J.,1982;英国特許第2393890号に開示されているような食餌物質と同様であり得る。
【0036】
前記人工寄主は、好ましくは、サトウダニ科(Carpoglyphydae)から、例えばサトウダニ属(Carpoglyphus)から選択され、最も好ましくは、乾燥果実ダニ Carpoglyphus lactis(サトウダニ)(Linne,1758)(ダニ目:サトウダニ科)である。
【0037】
サトウダニは、様々な保存有機材料の上および中で発生する普遍種である。これは、主として、乾燥果実、例えば、乾燥イチジク、乾燥プルーン、干しブドウなどの上、および蜜蜂の巣箱内の壊死組織片上で見出される(Hughes,A.M.,1977;Chmielewski,W.,1971(a);Chmielewski,W.,1971(b))。ケナガコナダニとは対照的に、サトウダニは、作物を傷める原因にならない。従って、この好ましい選択からの人工寄主は、その人工寄主個体群の個体が作物と接触できるような方法で本発明の構成物を作物保護に使用するとき、例えば、作物の上もしくは付近に直接施用するとき、または徐放性/制御/持続性放飼サッシェの中に入れて使用するとき、有利である。
【0038】
サトウダニのさらなる利点は、普遍種であるとみなされることである。従って、それを含む製品の国際取引は、外来種が多くの国で遭遇するような規制上の制約にほとんど遭遇しない。
【0039】
また、サトウダニは、特に、Amblyseius swirskiiに適する人工寄主であることが判明した。この捕食者は、多数の生活期、および一定の環境下ではすべての生活期のこの寄主を用いて飼養することができるからである。
【0040】
好ましい実施形態ではサトウダニが人工寄主であるが、別の実施形態では、サトウダニ科以外、例えばサトウダニ属以外、または特にサトウダニ以外を選択してもよいことは、理解しなければならない。
【0041】
本構成物において、捕食性カブリダニ種の個体数は、人工寄主の個体数に対して、約1000:1から1:20、例えば、約100:1から1:20、例えば1:1から1:10、好ましくは、約1:4、1:5または1:7であり得る。
【0042】
これらの相対数は、その構成物の特定の使用目的、および/または人工寄主でのカブリダニ個体群の発育の段階に依存し得る。一般に、人工寄主の個体が、カブリダニの個体数に対して過剰に存在する構成物は、十分な被食者がカブリダニに提供されるため、カブリダニ種の飼育に好ましい。しかし、カブリダニ個体群は、人工寄主を捕食しながら増加するので、カブリダニ種の個体の相対数は、増加する。
【0043】
高い相対数の捕食性カブリダニを含む構成物は、より低い相対数を含む構成物から形成されてもよく、人工寄主を捕食することによって捕食性カブリダニの飼育個体数を増大させることができる。あるいは、低い相対数の捕食性カブリダニを含む構成物を、より高い相対数を含む構成物と(場合によっては担体および/または人工寄主に適する食餌物質と併せて)人工寄主のみを含む構成物を含む、より低い相対数を含む構成物とを混合することにより、形成することができる。
【0044】
さらなる態様によると、本発明は、捕食性カブリダニ種Amblyseius swirskiiを飼育するための方法に関する。本方法は、本発明の構成物を提供すること、および前記捕食性カブリダニの個体に前記人工寄主個体群の個体を捕食させることを含む。
【0045】
前記捕食性カブリダニの最適な発生のために、本構成物は、例えば、18〜35℃、好ましくは20〜30℃、さらに好ましくは20〜25℃、最も好ましくは22〜25℃で維持される。適する相対湿度範囲は、75〜95%、好ましくは80〜90%の間である。これらの温度および相対湿度幅は、一般に、人工寄主種の維持にも適する。
【0046】
前記構成物が、多孔質培地を提供できる担体と、人工寄主種に適する食餌物質とを含むこと、および前記人工寄主種が、その担体上に三次元培養物として維持されることが好ましい。このような三次元培養物では、人工寄主種のメンバーが、三次元で自由に動くことができる。このようにして、人工寄主種は担体のより大きな容積にはびこり、より最適に食餌物質を利用することができる。その人工寄主の個体に対するAmblyseius swirskiiの移動性期のサイズに鑑みて、一般に、Amblyseius swirskiiも、その人工寄主を採食すると、その担体の全容積にはびこることになる。好ましくは、この三次元培養物は、2つの次元の寸法が1つの時限の寸法より大きい三次元層、すなわち立体の層の中に担体を設けることによって得られる。具体例は、メートルオーダーの長さと幅およびセンチメートルオーダーの一定の厚さを有する水平層である。三次元層は、代謝熱およびガスを十分に交換することができ、且つ、二次元層に比べて大きな生産容積を提供するため、好ましい。
【0047】
さらなる態様によると、本発明は、捕食性カブリダニ Amblyseius swirskiiを飼育するための人工寄主としてのコナダニの使用を目的とする。前記コナダニは、好ましくは、
i)サトウダニ科、例えば、
サトウダニ属、例えばサトウダニから、
ii)チリダニ科、例えば、
ヒョウヒダニ属、例えばヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニから、
Euroglyphus属、例えばEuroglyphus longiorまたはEuroglyphus mayneiから、
Pyroglyphus属、例えばPyroglyphus africanusから、
iii)グリシファグス科、例えば、
グリシファグス属、例えばGlyciphagus destructorまたはGlyciphagus domesticusから、
Lepidoglyphus属、例えばLepidoglyphus destructorから、
iv)コナダニ科、例えば、
ケナガコナダニ属、例えばケナガコナダニまたはTyrophagus tropicusから、
コナダニ属、例えば、アシブトコナダニまたはAcarus farrisから、
ホシカダニ属、例えばコウノホシカダニから
選択される。
【0048】
前記コナダニは、上で論じた理由のため、好ましくはサトウダニ科から、例えばサトウダニ属から選択され、最も好ましくはサトウダニである。
【0049】
さらなる態様によると、本発明は、前記捕食性カブリダニ Amblyseius swirskiiを飼育するための飼育システムに関する。
【0050】
本飼育システムは、本発明の構成物を保持する容器を含む。前記容器は、両方の個体群の個体を拘束するために適する任意のタイプのものであり得る。本飼育システムは、その内側と外側の間に代謝ガスおよび熱の交換を助長する手段、例えば通気穴を含むことができる。このような通気穴は、前記個体群の個体がその容器から逃げ出すことができないようにしなければならない。これは、例えば網でそれらの通気穴を覆うことによって行うことができる。
【0051】
本飼育システムは、前記カブリダニ種の大量飼育に適し得る。あるいは、本飼育システムは、作物に捕食性カブリダニを放飼するために使用することもできる。この場合、前記容器を、一定の時期に移動性期の捕食性カブリダニを放飼するために適するようにすることができる。これは、開けることができる閉鎖開口部をその容器に設けることによって行うことができる。あるいは、またはそれと併せて、所与の時間間隔でその容器を離れる移動性期カブリダニ数を制限するような比較的小さな解放開口部を、その容器に設けることができる。このように、本飼育システムは、Sampson,C.,1998によりおよび英国特許第2393890号に開示されているような徐放性または持続開放性システムと同様に機能することができる。
【0052】
作物に捕食性カブリダニを放飼するための飼育システムは、好ましくは、それを作物の中に吊るすことができ、または作物の根本に置くことができるような寸法である。作物の中に吊るすために、その容器に吊り下げ手段、例えばコードまたはフックを設けることができる。
【0053】
さらなる態様によると、本発明は、商品作物における作物害虫を防除するための本構成物または飼育システムの使用を目的とする。
【0054】
前記害虫は、コナジラミ、例えば、オンシツコナジラミまたはタバココナジラミ;アザミウマ、例えば、ネギアザミウマ、またはハナアザミウマ類(Frankliniella spp.)、例えばミカンキイロアザミウマ、ハダニ、例えば、ナミハダニ;ホコリダニ、例えば、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)から選択することができる。捕食性カブリダニ Amblyseius swirskiiは、これらの害虫の防除に良好な効能を示す。
【0055】
前記作物は、(温室)野菜作物、例えば、唐辛子(トウガラシ(Capsicum annuum))、茄子(ナス(Solanum melogena))、ウリ科植物(ウリ科(Cucurbitaceae))、例えば胡瓜(キュウリ(Cucumis sativa))、メロン(マクワウリ(Cucumis melo))、西瓜(スイカ(Citrullus lanatus));小果実(例えば、苺(オランダイチゴ(Fragaria×ananassa)、木苺(キイチゴ(Rubus ideaus)));(温室)鑑賞作物(例えば、バラ、ガーベラ、キク);または樹木作物、例えば、柑橘類(Citrus spp.)から選択することができるが、これらに限定されない。
【0056】
さらに、本発明は、本発明の構成物を作物に供給することを含む、作物における生物的害虫防除方法に関する。
【0057】
前記害虫は、本発明の使用の場合と同様に選択することができる。
【0058】
本発明の方法において、本構成物は、多数の作物植物の付近に、例えば上にまたは根本に、前記構成物の一定量を施用することにより、供給することができる。本構成物は、増加性生物的害虫防除に捕食性ダニ構成物を利用するための一般的な施行であるので、作物植物の上にまたは作物植物の根本にそれを単に散布することによって作物植物に供給することができる。散布により個々の作物植物各々に供給することができる本構成物の量は、1〜20mL、例えば1〜10mL、好ましくは2〜5mLの範囲であり得る。
【0059】
あるいは、本構成物は、作物に捕食性カブリダニを放飼するために適する本発明の飼育システムとして、多数の作物植物に供給することができる。本飼育システムは、多数の作物植物の付近に、例えば中にまたは根本に置くことができる。
【0060】
本発明の生物的害虫防除方法では、すべての作物植物に本構成物を供給する必要がない場合もある。商品作物は、通常、密集して栽培されるからである。捕食性カブリダニは、作物植物から別の作物植物へと広がることができる。十分な作物保護をもたらすために本発明の構成物を供給しなければならない作物植物の数は、具体的な環境に依存し得、またそれは、当業者が経験を基に容易に決定できる。通常、1ヘクタール当たりの放飼される捕食性カブリダニ数を決定することが多い。この数は、1ヘクタール当たり1000〜3,000,000、典型的には、1ヘクタール当たり250,000〜1,000,000または250,000〜500,000の範囲であり得る。
【0061】
本発明の生物的害虫防除方法のさらに好ましい実施形態において、作物は、本構成物の使用に関連して説明したとおり選択される。
【0062】
さて、以下の実施例を参照しながら、本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明の種々の態様の非限定的な実施形態を示すものである。
【実施例1】
【0063】
<コナダニ Carpoglyphus lactis(サトウダニ)の大量飼育>
パン酵母を含有する培地を用いてサトウダニを大量飼育した(Chmielewski,W.,1971(a);Chmielewski,W.,1971(b))。
【0064】
この培養物を、22℃と25℃の間で85から90%の相対湿度の通気性容器(例えば、ダニが逃げるのを防止するために47マイクロメートルの細目網を有する十分な通気穴を備えたバケット)の中に保持する。新たな培地を少なくとも毎週1度、追加することにより、首尾よく大量飼育を行うことができる。この量は、培地中のダニの数に依存するが、一般に、その培養物の最初の量の100から300%の間の培地を追加する。飼育層の厚さは、1から10cmであり得るが、代謝ガス、例えば二酸化炭素および酸素、ならびに代謝熱の最適な交換を確保するために厚すぎないようにする。ダニの培地に対するバイオマス重量百分率は、サトウダニをこの培地を用いて飼育したとき、20%と30%の間になった。一般に、この個体群は、週に2から4倍増加する。
【実施例2】
【0065】
<サトウダニでのAmblyseius swirskiiの大量飼育>
担体として5から25cmの蕎麦殻の層を有する通気性容器(例えば、ダニが逃げるのを防止するために47マイクロメートルの細目網とを有する、代謝ガスおよび熱の最適な交換を確保するために十分な通気穴を備えたバケット)の中で、Amblyseius swirskiiを飼育する。
【0066】
この担体層は、代謝ガス、例えば二酸化炭素および酸素、ならびに代謝熱の最適な交換を確保するために厚すぎてはならない。少なくとも毎週1度、サトウダニの飼育個体群を、15%から30%のダニの培地に対するバイオマス重量百分率で、その容器に追加する。
【0067】
追加すべきサトウダニの量は、その飼育容器内に存在する捕食性カブリダニおよびサトウダニの数を基に計算する。最適には、新たなサトウダニを追加した後、捕食者の被食者に対する比率は、1:7から1:12の間にするべきである。この培養物を、その飼育容器の中で、22℃と25℃の間の温度、85から90%の相対湿度および最大750ppmのCOレベルで保持する。このようにして、Amblyseius swirskiiの飼育個体群は、週に2倍から3倍になり得る。一般に、飼育支持層1グラム当たり100から500匹の捕食性ダニの密度を達成することができる。
【実施例3】
【0068】
<幼若および成熟生活期のサトウダニでのAmblyseius swirskiiの産卵試験>
この実験の目的は、Amblyseius swirskiが、サトウダニの幼若期(卵、幼虫および若虫)を好むかどうかを調べること、または、成熟生活期のこの人工寄主を用いることによってもAmblyseius swirskiを飼養することが可能であることを調べることである。このために、Amblyseius swirskiiの異なる飼育システム(一部は、幼若期のサトウダニで飼養し、他は、成体のサトウダニで飼養する)を作った。食餌源が成熟期のサトウダニである場合で1日当たりAmblyseius swirskii雌1匹について生まれた卵の平均数の差を、食餌源が幼若期のサトウダニである場合と比較する。
【0069】
材料および方法
実験開始時、Amblyseius swirskii成体を、数週間前に開始したAmblyseius swirskii大量培養物から取った。30匹の若い成体の雌および12匹の雄をこの大量培養物からピックアップし、6つの新たに準備した飼育容器に移した。Amblyseius swirskiiの5匹の雌および2匹の雄を各容器に入れた。それらのうちの3つには、食餌源として、十分な量の幼若期のサトウダニを入れた。残りの3つの試験培養物は、サトウダニの成体で飼養した。
【0070】
6つの試験培養物を準備したら、それらを、制御された温度(25℃)および湿度(75%)の条件下の人工気候室内に配置した。この条件で2または3日後、それらを取り出した。前のものと同様の6つの新たな飼育容器を準備して、前に用いたのと同じ5匹の雌および2匹の雄を移した。前の段階の場合のように、食餌源として十分な量の幼若または成熟期のサトウダニを各試験容器に追加した。雄および雌を移した後、それらを移した後のその飼育容器の中の卵の数を数えた。
【0071】
古い飼育システムは、二回目の計数のために2または3日の間その人工気候室内で保存して、隠れている可能性のある子孫を検出し、その後、破壊した。古い飼育システムと同様に、新しいものも保存して、同じ手順を繰り返した。毎日、各飼育容器内のサトウダニの残量をチェックした。必要に応じて、十分な量を追加した。
【0072】
新しい飼育システムの子孫数の評価(最初の計数)と古い飼育システムの子孫数の評価(2回目の計数)の両方によって、2または3日ごとにデータを得た。雌の数を基準にして、および各飼育容器において見つけた子孫の総量を基準にして、1日に雌1匹について生まれた卵の平均数を得た。
【0073】
結果
<食餌源としての成熟期のサトウダニ>
(2〜3日に1度、評価を行う)全実験中の雌1匹について生まれた卵の数の進展を比較すると、平均は、卵1.27から2.07個/雌/日の範囲である。
【0074】
全期間についての総合平均は、1日に雌1匹につき卵1.80個である。雌1匹について生まれた卵の総量は、16日間の期間で約29個である。第一、第二および第三の独立した飼育容器についての1日に雌1匹について生まれた卵の平均数を比較すると、これらは、それぞれ、1.84、1.72および1.85である。この実験データを下の表1に提示する。
【0075】
【表1】

【0076】
<食餌源としての幼若期のサトウダニ>
(2〜3日に1度、評価を行う)全実験中の雌1匹について生まれた卵の数の進展を比較すると、平均は、卵1.43から2.07個/雌/日の範囲であることが判明した。
【0077】
全期間についての平均は、1日に雌1匹につき卵1.84個である。雌1匹について生まれた卵の総量は、18日間の期間で約33個である。3つの独立した飼育容器についての1日に雌1匹について生まれた卵の平均数を比較すると、第一、第二および第三飼育システムについての平均は、それぞれ、1.72、1.89および1.81である。結果を下の表2に示す。
【0078】
【表2】

結果は、Amblyseius swirskiiが、幼若期と成熟期、両方のサトウダニを用いて繁殖できることを示している。
【実施例4】
【0079】
<ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)でのAmblyseius swirskiiの産卵>
実施例3において説明したのと同じ一般実験アウトラインで、ケナガコナダニを食餌源として使用したときのAmblyseius swirskii雌1匹について生まれた卵の平均数を判定した。
【0080】
しかし、この実験では、人工寄主の幼若体および成体についての区別的な判定は行わなかった。その代わりに、ケナガコナダニ個体群の個体を非選択的に追加した。
【0081】
結果
(2〜3日に1度、評価を行う)全実験中の雌1匹について生まれた卵の数の進展を比較すると、平均は、卵0.84〜1.60個/雌/日の範囲である。全期間についての最終平均は、1日当たり雌1匹につき卵1.23個である。雌1匹について生まれた卵の総量は、17日間の期間で約20個である。3つの独立した飼育容器についての1日に雌1匹について生まれた卵の平均数を比較すると、第一、第二および第三飼育容器についての平均は、それぞれ、1.17、1.28および1.23である。このデータを下の表3に提示する。
【0082】
【表3】

結果は、Amblyseius swirskiiが、ケナガコナダニを用いて繁殖できることを示している。
【0083】
[参考文献]
【表4A】

【表4B】

【表4C】

【表4D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
捕食性カブリダニ種Amblyseius Swirskiiの飼育個体群と、
少なくとも1つのコナダニ(Astigmatid mite)種を含む人工寄主個体群と、
任意選択的に、前記個体群の個体のための担体と
を含むダニ構成物。
【請求項2】
前記コナダニが、
i)サトウダニ科(Carpoglyphidae)、例えば、
サトウダニ属(Carpoglyphus)、例えばサトウダニ(Carpoglyphus lactis)から、
ii)チリダニ科(Pyroglyphidae)、例えば、
ヒョウヒダニ属(Dermatophagoides)、例えばヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronysinus)またはコナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)から、
Euroglyphus属、例えばEuroglyphus longiorまたはEuroglyphus mayneiから、
Pyroglyphus属、例えばPyroglyphus africanusから、
iii)グリシファグス科(Glyciphagidae)、例えば、
グリシファグス属(Glycyphagus)、例えばGlyciphagus destructorまたはGlyciphagus domesticusから、
Lepidoglyphus属、例えばLepidoglyphus destructorから、
iv)コナダニ科(Acaridae)、例えば、
ケナガコナダニ属(Tyrophagus)、例えばケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)またはTyrophagus tropicusから、
コナダニ属(Acarus)、例えば、アシブトコナダニ(Acarus siro)、Acarus farrisから、
ホシカダニ属(Lardoglyphus)、例えばコウノホシカダニ(Lardoglyphus konoi)から
選択され、好ましくは(i)から選択される、請求項1に記載の構成物。
【請求項3】
前記人工寄主個体群に適する食餌物質を含む、請求項1または2に記載の構成物。
【請求項4】
前記人工寄主個体群が、飼育個体群である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項5】
前記捕食性カブリダニ種の個体数が、人工寄主の個体数に対して、約100:1から1:20、例えば、約1:1から1:10、例えば約1:4、1:5または1:7である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項6】
捕食性カブリダニ種Amblyseius Swirskiiを飼育するための方法であって、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の構成物を提供するステップと、
前記捕食性カブリダニの個体に前記人工寄主個体群の個体を捕食させるステップと
を含む方法。
【請求項7】
前記構成物が、18〜35℃および/または相対湿度60〜95%で維持される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記構成物が、担体および適切な食餌物質を含み、前記人工寄主個体群が、その担体上に三次元飼育物として維持される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
捕食性カブリダニ Amblyseius Swirskiiを飼育するための人工寄主としてのコナダニの使用。
【請求項10】
前記コナダニが、
i)サトウダニ科、例えば、
サトウダニ属、例えばサトウダニから、
ii)チリダニ科、例えば、
ヒョウヒダニ属、例えばヤケヒョウヒダニまたはコナヒョウヒダニから、
Euroglyphus属、例えばEuroglyphus longiorまたはEuroglyphus mayneiから、
Pyroglyphus属、例えばPyroglyphus africanusから、
iii)グリシファグス科、例えば、
グリシファグス属、例えばGlyciphagus destructorまたはGlyciphagus domesticusから、
Lepidoglyphus属、例えばLepidoglyphus destructorから、
iv)コナダニ科、例えば、
ケナガコナダニ属、例えばケナガコナダニまたはTyrophagus tropicusから、
コナダニ属、例えば、アシブトコナダニまたはAcarus farrisから、
ホシカダニ属、例えばコウノホシカダニから
選択され、好ましくは(i)から選択される、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の構成物を保持する容器を含む、捕食性カブリダニ Amblyseius swirskiiを飼育するための飼育システム。
【請求項12】
前記容器が、前記カブリダニの少なくとも1つの移動性生活期のための出口を含む、請求項11に記載の飼育システム。
【請求項13】
前記出口が、前記少なくとも1つの移動性生活期の持続性放飼をもたらすために適している、請求項12に記載の飼育システム。
【請求項14】
商品作物における作物害虫防除のための、請求項1〜5のいずれか1項に記載の構成物の使用。
【請求項15】
前記構成物を請求項11〜13のいずれか1項に記載の飼育システムで供給する、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記作物害虫が、コナジラミ、例えば、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)またはタバココナジラミ(Bemisia tabaci);アザミウマ、例えば、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、もしくはハナアザミウマ類(Frankliniella spp.)、例えばミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、ハダニ、例えば、ナミハダニ(Tetranychus urticae)、ホコリダニ、例えば、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)から選択される、請求項14または15に記載の使用。
【請求項17】
前記作物が、(温室)野菜作物、例えば、唐辛子(トウガラシ(Capsicum annuum))、茄子(ナス(Solanum melogena))、ウリ科植物(ウリ科(Cucurbitaceae))、例えば胡瓜(キュウリ(Cucumis sativa))、メロン(マクワウリ(Cucumis melo))、西瓜(スイカ(Citrullus lanatus));小果実(例えば、苺(オランダイチゴ(Fragaria×ananassa)、木苺(キイチゴ(Rubus ideaus)));(温室)鑑賞作物(例えば、バラ、ガーベラ、キク);または樹木作物、例えば、柑橘類(Citrus spp.)から選択される、請求項14〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
作物に請求項1〜5のいずれか1項に記載の構成物を供給することを含む、作物における生物的害虫防除のための方法。
【請求項19】
前記害虫が、コナジラミ、例えば、オンシツコナジラミまたはタバココナジラミ;アザミウマ、例えば、ネギアザミウマ、またはハナアザミウマ類、例えばミカンキイロアザミウマ;ハダニ、例えば、ナミハダニ;ホコリダニ、例えば、チャノホコリダニから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記構成物が、多数の作物植物、好ましくは各作物植物の付近、例えば根本に前記構成物の一定量を施用することによって供給される、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記の量が、1〜10mL、好ましくは2〜5mLである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記構成物が、請求項11〜13に記載の飼育システムで、前記飼育システムを多数の食物植物、好ましくは各食物植物の付近に配置することにより、例えば前記飼育システムを前記多数の作物植物に吊るすことにより、供給される、請求項18〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記作物が、(温室)野菜作物、例えば、唐辛子(トウガラシ(Capsicum annuum))、茄子(ナス(Solanum melogena))、ウリ科植物(ウリ科(Cucurbitaceae))、例えば胡瓜(キュウリ(Cucumis sativa))、メロン(マクワウリ(Cucumis melo))、西瓜(スイカ(Citrullus lanatus));小果実(例えば、苺(オランダイチゴ(Fragaria×ananassa))、木苺(キイチゴ(Rubus ideaus)));(温室)鑑賞作物(例えば、バラ、ガーベラ、キク);または樹木作物、例えば、柑橘類(Citrus spp.)から選択される、請求項18〜22のいずれか1項に記載の方法。


【図1】
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【公開番号】特開2011−121958(P2011−121958A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1216(P2011−1216)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【分割の表示】特願2007−549289(P2007−549289)の分割
【原出願日】平成16年12月31日(2004.12.31)
【出願人】(507223568)コッパート・ベスローテン・フェンノートシャップ (4)
【Fターム(参考)】