説明

ダニ駆除水溶液

本発明は、10〜100g/lの炭酸水素ナトリウムを含むダニ駆除水溶液に関する。本発明は、前記水溶液の、人間環境要素を処理するための使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ダニ駆除水溶液に関する。本発明は、該水溶液の使用にも関する。
用語“ダニ駆除水溶液”は、ダニの死をもたらす水溶液を意味することを意図する。ダニは卵形態、幼虫形態又は成虫形態でよい。本水溶液の作用は直接的でよい。例えば、ダニ駆除水溶液が該ダニの生き残りに必要な物質を駆除する場合、間接的でもよい。
ダニは大きさが1/10ミリメートルに近いクモガタ類の小動物であり、特に家内の寝具及びカーペット内で発生し、人間のアレルギー反応を引き起こしうる。その最適生存条件は55〜85%の湿度と15〜35℃の温度を必要とする。ダニは、基本的に、厚織物内に蓄積する鱗片及び有機物質を食べている。成人は1日に平均して1.5gの死んだ皮膚を失い、これは150万匹のダニを養うのに十分である。
除虫菊剤及びペルメトリン(permethrin)のような合成ピレトリン類似化合物を用いてダニと戦うことは知られており、かつ普及したプラクティスである。これら物質は神経毒性であり、人間に対するその有害さがますます立証されている。
人間に有害でないピレトリン類似化合物代用品が多くのユーザーに要求されている。
さらに、人間環境内の織物の処理では、粉末形態のダニ駆除組成物は均等に適用し難く、ダニ駆除組成物を織物の中心に浸透させることは難しい。
【0002】
本発明は、自然かつ人間に無害であり、ダニを簡単、効率的かつ経済的に排除できる水溶液を提供することに関する。
結果として、本発明は、少なくとも10g/lの炭酸水素ナトリウムを含むダニ駆除水溶液に関する。
炭酸水素ナトリウムは人間に無害であるとみなされている製品である。炭酸水素ナトリウムは、人間の食物の種々の集団(米国のFDAのような)によって認可さえされている。
ダニは本発明のダニ駆除水溶液を吸収せず、かつ水が蒸発すると炭酸水素ナトリウムは最終的に微細粒子の形態で結晶化することが観察された。これら微細粒子がダニの外面に付着する。理論的解釈に拘泥されたくなく、かつ他の作用態様を排除するものではないが、発明者らは、炭酸水素塩の粒子が、ダニの角皮及び卵の殻の特定の膜交換平衡にダメージを与えると考え、それが脱水及び最後にはその死を誘発すると考えられる。
本ダニ駆除水溶液は、少なくとも10g/lの炭酸水素ナトリウムを含む。100g/lより多くは必要ない。少なくとも30g/lの炭酸水素ナトリウム、好ましくは40g/lを含むことが推奨される。本水溶液は、80g/l以下、好ましくは60g/l以下の炭酸水素ナトリウムを含むことが有利である。40g/l〜60g/lの炭酸水素ナトリウムを含むダニ駆除水溶液が特に好適である。
【0003】
本発明の有利な実施形態では、本水溶液は、他のダニ駆除物質を含まない。従って、唯一のダニ駆除活性物質が炭酸水素ナトリウムである。特に、本水溶液は除虫菊剤又はペルメトリンのような神経毒性物質を含有しない。
本発明は、上述した本発明の水溶液の、そのダニ駆除効果のため、特に人間環境の要素を処理するための使用にも関する。
用語“人間環境の要素”は、オフィス又は家のような人間が生活する建物内のインテリア要素を意味することを意図する。特に、これは、人間が接触し、かつダニの発生に都合のよい素材要素に関する。これら要素は、例えば、寝具(マットレス、枕、寝具用織物)、ラグ、カーペット、アームチェア、種々の布用織物、軟質玩具又は羊毛を含む。自然かつ人間に無害である本発明の水溶液は、ラグ、カーペット、寝具用織物及び布用織物を処理するために特に好適である。
【0004】
本発明の使用では、本発明の水溶液が処理する織物中に正確に浸透することが必須である。特にブラッシング、散布又は浸漬によって適用することができる。
本発明の使用の第1有利形態では、本水溶液を散布によって適用する。散布は、非常に微細な液滴を形成し、かつそれらを処理する要素上に射出することにある。ガスの膨張によって散布を補助することができ、液滴の射出を向上させる。それは通常“スプレー”と呼ばれる。適用するダニ駆除水溶液の量(平方メートル当たり)は、処理する表面の性質に応じて変わりうる。少なくとも10ml/m2、好ましくは40ml/m2の量が通常必要であることが観察された。しかし、まれな場合、100ml/m2を超え、或いは60ml/m2を超える量を適用することが有利である。40〜60ml/m2の範囲の量の使用が推奨される。
第2有利実施形態では、処理する要素を本水溶液中に浸漬することによって本水溶液を該要素に適用して処理する。この実施形態では、浸漬時間は、処理する要素中への水溶液の正確な浸透を保証するのに十分でなければならない。
【0005】
以下の実施例は、ダニと戦うための本発明の水溶液の効力を非限定様式で実証する。
(実施例1)
ふるいにかけて較正した小片(大きさ1mm未満の断片)として小麦麦芽とビール酵母の50/50(質量/質量)混合物から成る物質上で育てた実験室菌株由来のダニ(デルマトファゴイデス・プテロニスシヌス(dermatophagoides pteronyssinus))を用いた。温度は23〜25℃であり、硫酸アンモニウム飽和水溶液([(NH4)2SO4])の存在下に置いて相対湿度を75%で維持し;菌株は暗所で保存した。
数片の標準生綿(150g/m2)に全段階の約200匹のダニを予め寄生させた。
水中に10、30又は50g/lの炭酸水素ナトリウムを混合して得た水溶液を数片の標準生綿に散布して処理した。
水溶液の適用率は30〜50ml/m2を使用した。
炭酸水素ナトリウム溶液を噴霧し、生綿表面全体に均等かつ正確に射出した。
15分、1時間、2時間、4時間及び24時間後にダニの死亡率を記録した。
同体積の水による噴霧にさらしたダニの自然死亡率を決定するため平行してダニの対照バッチをモニターした。
一連の実験をそれぞれ3回繰り返し、得られた死亡率の平均を取った。
以下の結果が観察された。




















【0006】
【表1】

【0007】
この実験は、処理前に生綿片にダニが寄生しており、本発明の溶液の治癒的ダニ駆除効果を実証している。
【0008】
(実施例2)
手順は、ダニ駆除水溶液を散布によって適用せず、数片の標準生綿(150g/m2)を炭酸水素ナトリウム溶液のバッチ内に浸漬したことを除き、実施例1のように行った。
3種の炭酸水素ナトリウム濃度、10、30及び50g/lを使用した。
織物の乾燥後、全段階の約200匹のダニを織物の上に沈着させ、ダニ死亡率を時間の関数として測定した。
3及び6週間後にダニ死亡率を記録した。
以下の結果が観察された。
【0009】
【表2】

【0010】
この実験は、処理した後に生綿片にダニを寄生させており、本発明の溶液の予防的ダニ駆除効果を実証している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも10g/lの炭酸水素ナトリウムを含み、他のいかなるダニ駆除物質もない、ダニ駆除水溶液。
【請求項2】
10〜100g/lの炭酸水素ナトリウムを含み、他のいかなるダニ駆除物質もない、請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
40〜60g/lの炭酸水素ナトリウムを含む、請求項2に記載の溶液。
【請求項4】
神経毒性物質のない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶液。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のダニ駆除水溶液の、人間環境の要素を処理するための使用。
【請求項6】
前記人間環境の要素が、ラグ及びカーペットから成ることを特徴とする請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記人間環境の要素が、寝具用織物又は布用織物から成ることを特徴とする請求項5又は6に記載の使用。
【請求項8】
前記水溶液を散布によって適用することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
40〜60ml/m2の量の溶液を適用することを特徴とする請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記処理を前記水溶液中に浸漬して行うことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の使用。

【公表番号】特表2006−510698(P2006−510698A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561350(P2004−561350)
【出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014523
【国際公開番号】WO2004/056183
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(591001248)ソルヴェイ (252)
【Fターム(参考)】