説明

ダンパ装置およびダンパ装置を備えた冷蔵庫

【課題】電動ダンパの開口を確実に閉じることにより、信頼性の高い温度制御を行うことができ、省エネルギー性能が高い冷蔵庫を得ることを目的とする。
【解決手段】冷蔵庫本体に設けられた冷凍温度帯室と、この冷凍温度帯室の後方に設けられ冷却器が設置される冷却器室と、この冷却器室から冷凍温度帯室へ冷気を送風する送風機と、冷却器室と冷凍温度帯室とを仕切り送風機で送風された冷気を冷凍温度帯室へ吹き出す吹き出し口を有する仕切板と、冷凍温度帯室への送風量を制御する冷凍室ダンパと、を備えた冷蔵庫であって、冷凍室ダンパは、冷却器室と吹き出し口とを連通する開口を有するフレームと、開口を開閉する開閉体と、この開閉体を駆動する駆動手段と、を備え、冷凍室ダンパの開口の面積は吹き出し口の面積よりも大きいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパ装置およびダンパ装置を備えた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵室及び冷凍室を共通の冷却器によって冷却する、冷気強制循環方式の冷蔵庫において、冷蔵室の温度はおよそ3〜5[℃]、冷凍室はおよそ−18[℃]に制御され、夫々温度帯が異なる。そのため、冷却室から冷気ダクトを経由して冷蔵室及び冷凍室に夫々冷気を分配する場合、冷気流量を切り替える必要がある。
【0003】
冷気流量を切り替える手段である、電動ダンパに関わる従来技術として、特許文献1及び特許文献2の技術が知られている。
【0004】
特許文献1には、冷蔵室冷却用ダクトに設けた冷蔵室用ダンパと、冷凍室冷却用ダクトに設けた冷凍室用ダンパとを備え、冷蔵室用ダンパのみを開放して冷蔵室のみを冷却する構成が記載されている。
【0005】
特許文献2には、冷却室から冷凍室及び冷蔵室へ夫々冷気を供給する風路を並列に設け、冷却室から冷凍室への風路内部にダンパを有し、適正風量に制御する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−180719号公報
【特許文献2】特開2002−31466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び特許文献2に記載の構成では、低温側となる冷凍室とは別に、高温側となる冷蔵室の冷却のみを行うことで、冷却効率の向上と省エネルギー化が図られている。
【0008】
ここで、ダンパ装置は冷気ダクト内に設けられる。このことから、送風抵抗を低減するために、ダンパ装置を開いた際の開口面積を拡大することが考えられる。特に、近年の冷蔵庫においては、内容積の大型化が求められており、開口面積を拡大しつつ貯蔵空間内の容積を減少しないような形態とすることが望ましい。
【0009】
一方、冷気ダクトの占有体積を低減した場合、冷気の送風抵抗が増大する。すると、必要な冷気を送風するための送風機(送風ファン)の消費電力が増大して、省エネルギー性能が低下するおそれがある。
【0010】
そこで、貯蔵空間内の容積を減少させず、かつ省エネルギー性能を向上させるために、冷気ダクトを扁平な形状として冷蔵庫の奥行き方向の寸法を小さくする構成がよい。そのためのダンパ装置の形状として、奥行き寸法を小さく、幅を広げた横長の細長い長方形状とすることが望ましい。
【0011】
また、一例として、冷蔵室用ダンパを閉、冷凍室用ダンパを開とする場合、冷蔵室用ダンパに隙間があると、当該隙間から冷蔵室内にも冷気が流れ込む。すると、本来ならば冷凍室内のみを冷却するだけの冷気が必要なのに対して、冷蔵室内に漏れる冷気の分の冷却熱量が余計に必要となる。よって、省エネルギー性の観点から、電動ダンパを閉とする際に、密閉度を高めることが望ましい。
【0012】
すなわち、ダンパ装置の開口面積を大型化しつつ、閉鎖時の密閉性を向上することが望ましい。しかし、ダンパ装置の開口面積を大型化すると、各部品が大型化するため、部品の剛性が低下して弾性変形しやすく、閉鎖時に隙間が生じやすくなって密閉しにくくなる、という課題がある。
【0013】
特許文献1及び特許文献2には、冷凍室用ダンパの開口面積と冷凍室への空気吹き出し口との大小関係については述べられていない。また、開閉体であるバッフルの閉止性とバッフル形状の適正な縦横比に関しては記載されていない。換言すると、バッフルの開口と冷凍室の吹き出しノズルやファン寸法との望ましい大小関係、あるいはバッフルの適切な縦横寸法の比率については述べられていない。
【0014】
そこで、上記従来技術の問題点に鑑み、本発明は、電動ダンパの開口を確実に閉じることにより、信頼性の高い温度制御を行うことができるダンパ装置を得ることを目的とする。また、電動ダンパの開口を確実に閉じることにより、信頼性の高い温度制御を行うことで、省エネルギー性能が高い冷蔵庫を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、本発明の冷蔵庫は、冷蔵庫本体に設けられた冷凍温度帯室と、該冷凍温度帯室の後方に設けられ冷却器が設置される冷却器室と、前記冷却器室から前記冷凍温度帯室へ冷気を送風する送風機と、前記冷却器室と前記冷凍温度帯室とを仕切り前記送風機で送風された冷気を前記冷凍温度帯室へ吹き出す吹き出し口を有する仕切板と、前記冷凍温度帯室への送風量を制御する冷凍室ダンパと、を備えた冷蔵庫において、前記冷凍室ダンパは、前記冷却器室と前記吹き出し口とを連通する開口を有するフレームと、前記開口を開閉する開閉体と、該開閉体を駆動する駆動手段と、を備え、該冷凍室ダンパの前記開口の面積は前記吹き出し口の面積よりも大きいことを特徴とする。
【0016】
また、前記吹き出し口は複数設けられ、前記冷凍室ダンパの前記開口の面積は前記複数の吹き出し口の合計の面積よりも大きいことを特徴とする。
【0017】
また、前記冷凍室ダンパの前記開口は長方形状であって、縦横比が4〜11であることを特徴とする。
【0018】
また、前記開口の面積は6000〜6500mm2であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明のダンパ装置は、長方形状の開口を有するフレームと、前記開口を開閉する開閉体と、該開閉体を駆動する駆動手段と、を備えたダンパ装置において、前記開口の縦横比は4〜11であり、且つ該開口の面積は6000〜6500mm2であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電動ダンパの開口を確実に閉じることにより、信頼性の高い温度制御を行うことができるダンパ装置を得ることができる。また、電動ダンパの開口を確実に閉じることにより、信頼性の高い温度制御を行うことで、省エネルギー性能が高い冷蔵庫を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の正面外形図である。
【図2】冷蔵庫の庫内の構成を表す図1のX−X断面図である。
【図3】冷蔵庫の庫内の構成を表す正面図である。
【図4】図2の要部拡大説明図である。
【図5】図2の要部拡大説明図である。
【図6】図3におけるF範囲を示す拡大斜視図である。
【図7】図6のE−E断面斜視図である。
【図8】ダンパの全体構成を示す斜視図である。
【図9】ダンパの全体構成を示す斜視図である。
【図10】ダンパの構成を示す図8のY−Y断面図である。
【図11】ダンパの駆動手段を図8の矢印Z方向に見た概略図である。
【図12】ダンパの駆動手段を図8の矢印Z方向に見た概略図である。
【図13】ダンパの駆動手段を図8の矢印Z方向に見た概略図である。
【図14】ダンパの駆動手段を図8の矢印Z方向に見た概略図である。
【図15】開閉体の周囲に均一な圧接力が加わった状態を説明する概略斜視図である。
【図16】開閉体の短辺比とモーメント比の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る冷蔵庫の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本実施形態の冷蔵庫の正面外形図である。図2は、冷蔵庫の庫内の構成を表す図1におけるX−X縦断面図である。図3は、冷蔵庫の庫内の構成を表す正面図であり、冷気ダクトや吹き出し口の配置などを示す図である。図4と図5は、図2の要部拡大説明図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態の冷蔵庫1は、上方から、冷蔵室2,製氷室3,上段冷凍室4,下段冷凍室5,野菜室6から構成されている。
【0025】
冷蔵室2は、前方に左右に分割された観音開きの冷蔵室扉2a,2bを備え、製氷室3,上段冷凍室4,下段冷凍室5,野菜室6は、それぞれ引き出し式の製氷室扉3a,上段冷凍室扉4a,下段冷凍室扉5a,野菜室扉6aを備えている。以下では、冷蔵室扉2a,2b,製氷室扉3a,上段冷凍室扉4a,下段冷凍室扉5a,野菜室扉6aを単に扉2a,2b,3a,4a,5a,6aと称する。
【0026】
また、冷蔵庫1は、扉2a,2b,3a,4a,5a,6aの開閉状態をそれぞれ検知する図示しない扉センサと、扉開放状態と判定された状態が所定時間、例えば、1分間以上継続された場合に、使用者に報知する図示しないアラーム,冷蔵室2の温度設定や上段冷凍室4や下段冷凍室5の温度設定をする図示しない温度設定器等を備えている。
【0027】
図2に示すように、冷蔵庫1の庫外と庫内は、発泡断熱材(発泡ポリウレタン)を充填することにより形成される断熱箱体10により隔てられている。冷蔵庫1の断熱箱体10は、複数の真空断熱材25を実装している。
【0028】
庫内は、断熱仕切壁28により冷蔵室2と、上段冷凍室4及び製氷室3(図1参照、図2中で製氷室3は図示されていない)とが隔てられ、断熱仕切壁29により、下段冷凍室5と野菜室6とが隔てられている。
【0029】
扉2a,2b(図1参照)の庫内側には、複数の扉ポケット32が備えられている。また、冷蔵室2は複数の棚36により縦方向に複数の貯蔵スペースに区画されている。
【0030】
図2に示すように、上段冷凍室4,下段冷凍室5及び野菜室6は、それぞれの室の前方に備えられた扉4a,5a,6aと一体に、収納容器4b,5b,6bがそれぞれ設けられている。扉4a,5a,6aの図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより収納容器4b,5b,6bが引き出せるようになっている。図1に示す製氷室3にも同様に、扉3aと一体に、図示しない収納容器(図2中(3b)で表示)が設けられ、扉3aの図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより収納容器3bが引き出せるようになっている。
【0031】
図2に示すように(適宜図3から図7参照)、冷却器7は下段冷凍室5の略背部に備えられた冷却器収納室8内に設けられている。冷却器7の上方には庫内送風機9(送風機)が設けられている。冷却器7と熱交換して冷やされた空気(以下、冷却器7で冷やされた低温空気を「冷気」と称する)は、庫内送風機9によって、冷蔵室送風ダクト11,野菜室送風ダクト14,上段冷凍室送風ダクト12,下段冷凍室送風ダクトである冷気ダクト13及び図示しない製氷室送風ダクトを介して、冷蔵室2,野菜室6,上段冷凍室4,下段冷凍室5,製氷室3の各室へ送られる。各室への送風は、冷蔵室冷却ダンパ20と冷凍室冷却ダンパ50の開閉により制御される。
【0032】
ちなみに、冷蔵室2,製氷室3,上段冷凍室4,下段冷凍室5及び野菜室6への各送風ダクトは、図3に破線で示すように冷蔵庫1の各室の背面側に設けられている。具体的には、冷蔵室冷却ダンパ20が開状態、冷凍室冷却ダンパ50が閉状態の場合、冷気は冷蔵室送風ダクト11を経て多段に設けられた吹き出し口2cから冷蔵室2に送られ、冷蔵室送風ダクト11から分岐した野菜室送風ダクト14を経て、吹き出し口6cから野菜室6に送られる。
【0033】
なお、冷蔵室2を冷却した冷気は、例えば、冷蔵室2の下面に設けられた戻り口2dから冷蔵室戻りダクト16を経て、冷却器収納室8の正面から見て、例えば、右側下部に戻る。また、別の構成としては、戻り口2dから野菜室送風ダクト14を経て吹き出し口6cから野菜室6に送風された後、戻り口6dから冷却器収納室8に戻る。
【0034】
図3において、冷凍室冷却ダンパ50が開状態のとき、冷却器7で熱交換された冷気が庫内送風機9により、図示省略の製氷室送風ダクトや上段冷凍室送風ダクト12を経て吹き出し口3c,4cからそれぞれ製氷室3,上段冷凍室4へ送風され、冷気ダクト13を経て吹き出し口5cから下段冷凍室5へ送風される。この点からも冷凍室冷却ダンパ50は、後述する送風機カバー56部の上方に取り付けられ、製氷室3への送風を容易にしている。
【0035】
また、上段冷凍室4,下段冷凍室5,製氷室3を冷却した冷気は、下段冷凍室5の後部下方に設けられた冷凍室戻り口17を介して、冷却器収納室8に戻る。
【0036】
図4は、冷凍室冷却ダンパ50と冷蔵室冷却ダンパ20とをともに開放した状態、図5は冷凍室冷却ダンパ50を閉鎖し、冷蔵室冷却ダンパ20のみを開放した状態を示す。図6は冷凍室戻り口17から冷蔵室ダクト15に至るまでの構成を示す斜視図、図7は図6におけるE−E方向の断面斜視図である。
【0037】
図4から図7において、吹き出し口3c,4c,5cを形成するのが仕切板54である。この仕切板54は冷凍室4,下段冷凍室5,冷却器収納室8を区画する。
【0038】
55は庫内送風機9が取り付けられているファンモータ固定部である。ファンモータ固定部55は、冷却器収納室8と仕切板54との間を区画している。庫内送風機9は、ファンモータ固定部55に取り付けられている。
【0039】
56は送風機カバーで、庫内送風機9の前面を覆っている。送風機カバー56と仕切板54との間には、冷気ダクト13が形成されている。また、送風機カバー56の上部は、冷凍室冷却ダンパ50の吹き出し口56aが形成されている。
【0040】
また、送風機カバー56は、送風機9が吹き出す冷気が前面を覆うことによって引き起こす乱流を整流して騒音等の発生を防止する整流部56bを有している。
【0041】
また、送風機カバー56は、仕切板54との間に庫内送風機9より吹き出された冷気を吹き出し口3c,4c,5c等に導くべく、上段冷凍室送風ダクト12、及び冷気ダクト13を形成している。
【0042】
更に、送風機カバー56は、庫内送風機9が吹き出す冷気を冷蔵室冷却ダンパ20側に送風する役目も果たしている。
【0043】
すなわち、送風機カバー56部に設けられた冷凍室冷却ダンパ50に入らない冷気は、冷蔵室ダクト15を経由して図4の如く冷蔵室冷却ダンパ20側に行く。
【0044】
そして、図4に示すように製氷室3を含む冷凍温度帯室と、野菜室6を含む冷蔵温度帯室との両方の室に冷気を送る時、多量の冷気は冷凍室冷却ダンパ50側に送られ、わずかの冷気は冷蔵室ダクト15側に行くよう構成されている。
【0045】
なお、上記の冷蔵室冷却ダンパ20は、図4ないし図5に示す如く、冷蔵室2の後部に取り付けられている。さらに、冷蔵室冷却ダンパ20は、図3に示すように正面からみて水平よりも傾斜して配置されており、位置の高い方にモータ等の駆動手段60を設けている。
【0046】
次に、冷却器7の下方には除霜ヒータ22が設置されている。除霜ヒータ22の上方には、除霜水が除霜ヒータ22に滴下することを防止するために、上部カバー53が設けられている。
【0047】
冷却器7及びその周辺の冷却器収納室8の壁に付着した霜が除霜によって融解すると、除霜水は冷却器収納室8の下部に備えられた樋23に流入する。その後に、排水管27を介して機械室19に配された蒸発皿21に達し、後記する凝縮器の熱により蒸発させられる。
【0048】
また、冷却器7の正面から見て右上部には冷却器に取り付けられた冷却器温度センサ35、冷蔵室2には冷蔵室温度センサ33、下段冷凍室5には冷凍室温度センサ34がそれぞれ備えられている。そして、それぞれ冷却器7の温度(以下、冷却器温度と称する),冷蔵室2の温度(以下、冷蔵室温度と称する),下段冷凍室5の温度(以下、冷凍室温度と称する)を検知できるようになっている。
【0049】
さらに、冷蔵庫1は、庫外の温湿度環境(外気温度,外気湿度)を検知する図示しない外気温度センサと外気湿度センサを備えている。なお、野菜室6にも野菜室温度センサ33aを配置してもよい。
【0050】
断熱箱体10の下部背面側には、機械室19が設けられており、機械室19には、圧縮機24及び図示しない凝縮器が収納されており、図示しない庫外送風機により凝縮器の熱が除熱される。ちなみに、本実施形態では、イソブタンを冷媒として用い、冷媒封入量は約80gと少量にしている。
【0051】
冷蔵庫1の天井壁上面側にはCPU,ROMやRAM等のメモリ,インターフェース回路等を搭載した制御基板31が配置されている。制御基板31は、前記した外気温度センサ,外気湿度センサ,冷却器温度センサ35,冷蔵室温度センサ33,冷凍室温度センサ34,扉2a,2b,3a,4a,5a,6aの各扉の開閉状態をそれぞれ検知する扉センサ,冷蔵室2内壁に設けられた図示しない温度設定器,下段冷凍室5内壁に設けられた図示しない温度設定器等と接続する。そして、前記ROMに予め搭載されたプログラムにより、圧縮機24のON,OFF等の制御,冷蔵室冷却ダンパ20及び冷凍室冷却ダンパ50を個別に駆動する後述するそれぞれの駆動モータの制御,庫内送風機9のON/OFF制御や回転速度制御,前記庫外送風機のON/OFF制御や回転速度制御等の制御,前記した扉開放状態を報知するアラームのON/OFF等の制御を行う。
【0052】
次に、冷蔵室冷却ダンパ20が閉状態で、且つ冷凍室冷却ダンパ50が開状態で、冷凍温度帯室(製氷室3,上段冷凍室4及び下段冷凍室5)のみの冷却が行われている状態では、図4中に破線で図示した冷蔵室2に向かう矢印80方向の空気は流れない。すなわち、庫内送風機9から送風された冷気は、全て冷凍室冷却ダンパ50を通って製氷室,上段冷凍室4、および下段冷凍室5に送風される。
【0053】
製氷室3に製氷室送風ダクトを介して送風された冷気及び上段冷凍室4に上段冷凍室送風ダクト12(図2参照)を介して送風された冷気は、下段冷凍室5に下降し、下段冷凍室5に冷気ダクト13(図2参照)を介して送風された冷気とともに、図4中に矢印Cで示す冷凍室戻り空気の流れとなる。すなわち、下段冷凍室5の奥壁下部に配された冷凍室戻り口17を経由して冷却器収納室8の下部前方から冷却器収納室8に流入し、冷却器配管7aに多数のフィンが取り付けられて構成された冷却器7と熱交換する。
【0054】
なお、冷凍室戻り口17の横幅寸法は、冷却器7の幅寸法とほぼ等しい横幅である。
【0055】
次に、冷蔵室冷却ダンパ20及び冷凍室冷却ダンパ50が共に開状態の場合には、図4に破線で示した冷蔵室2に向かう矢印80方向の空気も流れる。すると、庫内送風機9から送風された冷気の一部は、冷蔵室冷却ダンパ20を通って冷蔵室2(冷蔵温度帯室)に送風され、他は冷凍室冷却ダンパ50を通って製氷室3,上段冷凍室4、および下段冷凍室5(冷凍温度帯室)に送風される。ここで、冷凍室冷却ダンパ50を開いた場合、冷凍室冷却ダンパ50に設けられた後述する開閉体64の先端は冷蔵室ダクト15を完全に塞がないよう、適切な隙間を設けて配置されている。
【0056】
一方、図5に示すように冷蔵室冷却ダンパ20が開状態、且つ冷凍室冷却ダンパ50が閉状態で、冷蔵温度帯室(冷蔵室2及び野菜室6)のみの冷却が行われている場合では、冷蔵室2からの戻り冷気は、図3中に矢印Dで示す冷蔵室戻り空気のように、野菜室送風ダクト14ないし冷蔵室戻りダクト16を介して、冷却器収納室8の側方下部から冷却器収納室8に流入し、冷却器7と熱交換する。
【0057】
なお、野菜室6を冷却した冷気は、図4に示す如く、野菜室戻り口6d(図4参照)を介して、冷却器収納室8の下部に流入するが、風量が冷凍温度帯室を循環する風量や冷蔵室2を循環する風量に比べて少ない。
【0058】
上記にて説明したように、冷蔵庫1内の冷気の切替えは冷蔵室冷却ダンパ20及び冷凍室冷却ダンパ50を夫々適宜に開閉することにより行う構成である。
【0059】
次に、図8から図14を用いて、冷凍室冷却ダンパ50を例として、電動ダンパの構成と動作の一例について説明する。
【0060】
図8と図9は冷凍室冷却ダンパ50の構成の一例を示す斜視図である。図9は図8の矢印S方向から見た図であり、図10は図8におけるY−Y方向の断面図である。
【0061】
冷凍室冷却ダンパ50は、開口62を一面に備え、例えば樹脂製のフレーム63と、フレーム63の一端にモータや減速歯車などの駆動系を内蔵した駆動手段60を備え、駆動軸61から駆動力を出力する。
【0062】
開閉体64は樹脂製の板状の開閉板64aと、該開閉板64aの一面に設けられた密閉部材64bとを備える。密閉部材64bは、発泡ウレタンや発泡ポリエチレンといった柔軟な材料で成形されており、フレーム63に設けられた幅W,高さhの開口62に対向して設けられる。
【0063】
開閉体64の一端は、駆動軸61に軸支されており、他端はフレーム63に設けられた支軸65のまわりに回転自在に設けられている。開閉体64は、駆動軸61と支軸65とを結んだ回動軸のまわりに揺動自在であり、かつ前記回動軸は開閉体64の長手方向の一辺と平行に、その一辺の近傍に配置されている。フレーム63の開口62の長手方向略中央部には、開口62の変形を抑止するための補強の支柱62aが設けられている。
【0064】
図8から図10は、開閉体64が閉鎖された状態を示している。開閉体64は閉位置において、柔軟な密閉部材64bがフレーム63に設けられた開口62の内周に沿って設けられた接触部66と接触することによって開口62を密閉する。モータを回転させると、駆動軸61を介して開閉体64が図示の矢印方向におよそ90°回動して開閉体は64′で示した開位置となる。開位置と閉位置との間を開閉体64が回転動作することによって、開位置においては開口62を冷気が通過することができ、閉位置においては冷気の流れを阻止して閉鎖する構成である。
【0065】
次に、駆動手段60の構成と動作の一例について図11から図14を用いて説明する。図11から図14は、駆動手段60を図5の矢印Z方向に見た概略図である。駆動手段60はモータ70を有し、モータ70の出力軸71にはピニオンギヤ72が設けられており、モータ70の駆動とともに回転してトルクを出力する。アイドラギヤ73はアイドラ支点74のまわりに回動自在に軸支された減速歯車である。
【0066】
アイドラギヤ73の外周は、ピニオンギヤ72とかみ合うギヤ73aを有し、ピニオンギヤ72からのトルクを減速しながら伝達する。アイドラギヤ73の一部には、部分歯車73bが設けられている。部分歯車73bは、例えばアイドラギヤ73が90°回転する範囲のみに設けられている。部分歯車73bの歯車形状以外の部分には、円柱状をなした円柱部73cが設けられている。なお、ギヤ73aと部分歯車73bは、アイドラギヤ73の高さ方向に対して、互いにずれた位置に設けられている。
【0067】
出力ギヤ75は、駆動軸61のまわりに回動自在に軸支され、開閉体64と嵌合されている。開閉体64と出力ギヤ75とは連結されており、一体として回動する。出力ギヤ75の一部には、部分歯車75bが設けられている、部分歯車75bは、アイドラギヤ73の一部に設けられた部分歯車73bとかみ合って、アイドラギヤ73と連動して例えば90°だけ回転する。
【0068】
出力ギヤ75の部分歯車75bを挟んで両側には、円弧形状をした第一のストッパ75cと第二のストッパ75dとが設けられている。第一のストッパ75cと第二のストッパ75dは、開閉体64が開位置及び閉位置において、それぞれアイドラギヤ73の円柱部73cと互いに嵌合される位置関係にある。出力ギヤ75が部分歯車75bのかみ合う範囲であるおよそ90°回動することにより、出力ギヤ75と連結された開閉体64が回動する構成である。
【0069】
次に、駆動手段60の動作について説明する。
【0070】
図11は、駆動手段60は開閉体64が閉鎖状態にあり、図8から図10と同様な状態を図示している。アイドラギヤ73に設けられた円柱部73cは、出力ギヤ75の第二のストッパ75dと嵌合しており、開閉体64を閉鎖状態で保持している。
【0071】
図12は、図11の状態からモータ70を駆動して、ピニオンギヤ72,アイドラギヤ73,出力ギヤ75をそれぞれ矢印方向に回転した状態であり、出力ギヤ75の一部である部分歯車75bとアイドラギヤ73の一部に設けられた部分歯車73bとかみ合っている。出力ギヤ75の第二のストッパ75dは、アイドラギヤ73の円柱部73cから離反した位置となる。
【0072】
図13は図12よりもさらに矢印方向に回動した位置を示している。図14においてはおよそ90°回動して、出力ギヤ75の一部である部分歯車75bとアイドラギヤ73の一部に設けられた部分歯車73bとのかみ合いが終了した状態を示す。この状態で、出力ギヤ75の第一のストッパ75cはアイドラギヤ73の円柱部73cと嵌合した位置となって、開閉体64を開放状態で保持する。開閉体64を再度閉鎖する際には、図14の状態から図13,図12の状態を経由して図11の状態に至る。
【0073】
上記のように動作することによって、ダンパ50は開閉体64の開閉動作を行う。
【0074】
ここで、冷凍温度帯室に収納した冷凍食品などを長期にわたって保存するためには、冷凍温度帯室内部の温度ムラを低減して、できるだけ均一に冷却することが望ましい。すなわち、図2又は図4等により説明したように、冷凍温度帯室内に冷気を吹き込む吹き出し口3c,4c,5cは、冷凍温度帯室の背面側にある。そのため、冷凍温度帯室内においては冷気が手前側に送風されるまでの間に温度上昇する傾向がある。この傾向は、冷気の流量が少なく流速が遅いほど顕著となる。そのため、冷凍温度帯室の温度ムラを低減するには、吹き出し口3c,4c,5cから所定以上の量の冷気を冷凍温度帯室に吹き込むとともに、その冷気の流速を高めることが有効である。
【0075】
また、流量を増加させて且つ流速を高めるためには、庫内送風機9を大型化することが有効であるが省エネルギー性の観点からは望ましくない。また、騒音が大きくなる等の問題があるので、庫内送風機9を大型化するのではなく、送風抵抗を低減することによって損失を減らし、冷気の流速を高めることが望ましい。
【0076】
次に、図4から図7によって、送風抵抗を低減するための構成について説明する。
【0077】
庫内送風機9によって圧力が高められて吐出された冷気は、送風機カバー56に沿って図7の矢印57のように流れる。冷凍室冷却ダンパ50の開口を通過した後の冷気は、矢印58aないし矢印58bを経て、吹き出し口3c,4c,5cから吐出される。
【0078】
ここで、庫内送風機9から吐出される冷気は、整流部56bで整流されて、その大部分が矢印57aのように流れる。整流部56bによって、上流から下流に向かって徐々に広がる風路が形成されていることによる。しかし、一部の冷気は矢印57のごとく拡散する。そこで、冷凍室冷却ダンパ50の幅寸法Wを庫内送風機9の直径Dよりも大とする。これにより、冷気を滑らかに冷凍室冷却ダンパ50に導入でき好適である。
【0079】
庫内送風機9によって一旦高められた冷気の圧力は、冷気の送風経路内の抵抗によって下流側では徐々に低くなった後、最後は流速を高めるために面積を縮小された吹き出し口3c,4c,5cから冷凍温度帯室内に吐出される。
【0080】
ここで、庫内送風機9から吹き出し口3c,4c,5cに至るまでの冷気の送風経路内に面積の極小部分があると、その部分において局部的に流速が高まり、オリフィスとなる。そのため、上流側と下流側とで圧力差が生じ、下流側、すなわち吹き出しノズル側の圧力が低下する。すると、面積を絞った吹き出しノズルにおける冷気の流速も流量も低下するので、温度ムラが生じやすくなる。
【0081】
すなわち、庫内送風機9から吹き出し口3c,4c,5cに至るまでの冷気の通風抵抗を低減するためには、送風経路内に面積が極小となる部分がないように構成するのがよい。すなわち、庫内送風機9から吹き出し口3c,4c,5cまでの間の冷気ダクト内に設けられた冷凍室冷却ダンパ50の開口面積は、吹き出し口3c,4c,5cの面積よりも大、とすることが好適である。
【0082】
ここで、吹き出し口の面積は冷気の流量と流速によって定まる。以下、それらの適正値を算出する。
【0083】
まず、冷凍室から外部に漏洩する熱漏洩量を概算する。内容量が600Lクラスの冷蔵庫1の寸法は、概ね幅750[mm],奥行き700[mm],高さ1800[mm]程度であり、高さのうち冷凍室の占める高さは、概ね700[mm]である。
【0084】
冷凍室を縦横高さが700×750×700[mm]の立方体として表面積を計算すると、上下面は冷蔵室又は野菜室と接しており、その面積は、
0.7[m]×0.75[m]×2=1.05[m2] …(1)
となる。
【0085】
室温である外気と接する面は、上下面以外の4面であり、その表面積は、
0.7[m]×0.7[m]×2+0.7[m]×0.75[m]×2=2.03[m2] …(2)
となる。
【0086】
ここで、冷凍室から外気に漏れる熱漏洩量Qを概算するにあたり、簡単のために外気と接する面からのみ熱漏洩すると仮定して、面積を2[m2]、壁面の冷凍室内部から外気への熱通過率K=0.35[W/(m2・K)]、内部温度を−18[℃]、外気温度を+30[℃]とすると、熱漏洩量Qは表面積×熱通過率×温度差で表され、
Q=2[m2]×0.35[W/(m2・K)]×48[K]=33.6[W] …(3)
となる。
【0087】
次に、必要な冷気の流量について概算する。
【0088】
冷却器7によって冷却された冷気は、冷凍温度帯室内に吹き込まれて、貯蔵食品等から熱を奪うとともに、一部は冷蔵庫1の表面から冷凍温度帯室外に熱漏洩して温度が上昇した後に冷凍室戻り口17から冷却器7に戻る。
【0089】
ここで、冷気の流量をV[m3]、冷気の温度上昇をΔt[℃]、空気の比熱をCp[kJ/(kg・K)]、空気の密度をρ[kg/m3]とすると、冷気から奪われる熱量Q[kJ/min]は、
Q=V×Δt×Cp×ρ …(4)
で表される。必要な熱量Qから流量Vを求めるには、
V=Q/(Δt×Cp×ρ) …(5)
となる。
【0090】
ここで、式(3)に示されるように、熱漏洩量は33.6[W]、食品の温度を下げるために必要な熱量が熱漏洩と同等の33.6[W]とすると、全体で必要な熱量は、
Q=67.2[W]=4.03[kJ/min]
である。
【0091】
ここで、冷気は冷凍温度帯室内に−20℃で流入して−15[℃]で冷却器に戻るとすれば、冷気の温度上昇Δt=5[℃]、比熱Cp=1.01[kJ/(kg・K)]、空気の密度ρ=1.4[kg/m3])とすれば、
V=4.03/(5×1.01×1.4)=0.57[m3/min] …(6)
となり、冷気の流量としては、およそ0.6[m3/min]が必要である。
【0092】
冷凍室において温度むらが生じないためには、吹き出しノズルから吐出される冷気の流速は、およそ2[m/s]程度が必要であるとされている。ここで、冷気の流量が式(6)により概算したように、およそ毎分0.6[m3]、流速が2[m/s]程度であるとすれば、吐出口の面積Sはおよそ、
S=0.6/(2×60)=0.005[m2]=5000[mm2] …(7)
となる。冷凍室冷却ダンパ50の開口62の面積は、これよりも大とするのが好都合であり、例えば20%から30%程度大とすると、6000から6500[mm2]とするのが好適である。
【0093】
次に、冷凍室冷却ダンパ50の開口62の形状について説明する。先に説明したように、開口62の幅Wはファンの直径Dよりも大とすることが好適である。しかし、開口62の面積を一定として幅Wを拡大した場合、高さ寸法hを小さくして、縦横比の大きい細長い形状となる。
【0094】
また、開閉動作を行う開閉体64は、開口62よりも一回り大きく、開口62を閉鎖するよう構成されている。その縦横比は開口62の縦横比と概ね同じである。
【0095】
開閉体64は板状であって、密閉性を向上するために適切な縦横比の範囲について、図15を参照して説明する。
【0096】
図15は、開閉体64が駆動軸61,支軸65からなる回動軸のまわりに矢印59方向に回転して、密閉部材64bが接触部66(図示せず)と均一に接触した状態を示す。この状態で、接触面の全周にわたって一様な押圧力として分布荷重p[N/mm]が生じる。図15では、分布荷重pを模式的に矢印で示している。r1は駆動軸61から接触部66の最も遠い辺68aまでの距離、r2は駆動軸61から接触部66の最も近い辺68bまでの距離である。
【0097】
ここで、計算のために分布荷重pを各辺の中央に加わる集中荷重Pとして簡易化して、長辺,短辺においてそれぞれP1[N],P2[N]とした場合、
P1=p×W …(8)
P2=p×h …(9)
となる。
【0098】
ここで、
h=r1−r2 …(10)
として、長辺に生じる駆動軸61まわりのモーメントは、
(1)駆動軸61から最も遠い辺68aにおいては
M1=P1×r1=p×W×r1 …(11)
(2)駆動軸61から最も近い辺68bにおいては
M2=P1×r2=p×W×r2 …(12)
(3)側辺68cにおいては
M3=P2×(h/2+r2)=p×h×(h/2+r2) …(13)
である。
【0099】
よって、駆動軸61まわりに生じるモーメントMはそれらの合計であり、側辺は2ヶ所なので、
M=M1+M2+2×M3 …(14)
=p×W×r1+p×W×r2+2×p×h×(h/2+r2)
=p×{W×(r1+r2)+h×(h+2×r2)}
=p×{W×(h+2×r2)+h×(h+2×r2)}
=p×(W+h)×(h+2×r2) …(15)
となる。
【0100】
式(15)の意味するところは、均一の分布荷重pを全周に加える際に必要となる駆動トルクMを算出するものである。ここで、計算された駆動トルクMが小さいほど、小さいトルクで同じ分布荷重pが得られることになる。よって、Mが小さいほど密閉部材64bの開口62への当接圧力が最大となり、好適であることを示す。
【0101】
すなわち、分布荷重pを単位荷重1であるとして、無次元化したモーメント比をM′とすれば、
M′=(W+h)×(h+2×r2) …(16)
となる。
【0102】
したがって、式(16)の右辺を最小とする開閉体64の幅W及び高さhの関係が最も望ましい形状である、ということである。
【0103】
ここで、先に述べたように、開口62の面積を6400[mm2]とし、開口62を正方形とする場合、幅Wと高さhはともに80[mm]となる。
【0104】
一方、開口62を細長い長方形形状とする場合、幅Wを拡大し高さhを縮小し、かつ面積は6400[mm2]とするので、一例として、W=160[mm],h=40[mm]となる。
【0105】
ここで、開口62の短辺であるh寸法と、正方形の場合の一辺の長さW=80[mm]との比を短辺比Cとして無次元化する。正方形の場合、h=80[mm]であり、C=1となる。また、W=160[mm],h=40[mm]の長方形の場合、C=0.5となる。すなわち、短辺比Cが小さいほど細長い形状であることを示している。
【0106】
図16に、短辺比とモーメント比との関係を示す。図16では、実装上実現可能な寸法の一例としてr2=6[mm]として、C≒0.2〜1.0となる範囲、すなわちh=15〜80[mm]の範囲において、モーメント比M′を式(16)によってそれぞれ計算した結果を示す。
【0107】
図16に示すように、モーメント比M′はC=0.4において極小値となる。これは、C=1の正方形の場合と比較して約70%となり、短辺比Cの好適な範囲として0.3から0.5程度となることがわかる。すなわち、幅W×高さhの好適な範囲は、267[mm]×24[mm]から160[mm]×40[mm]となる。また、最適値は183[mm]×35[mm]となる。
【0108】
この短辺比Cを長辺Wと短辺hとの比率である縦横比として表すと、短辺比0.3の場合は11.125、短辺比0.5の場合は4となる。すなわち、縦横比で表すと4から11の範囲が好適であり、最適値は5.23となる。
【0109】
先に説明したように、ここで求められたダンパ開口62の幅Wよりもファン直径Dを小とする方が送風抵抗を低減するために望ましい、よって、ファン直径Dはφ150[mm]以下とすることが望ましい。
【0110】
次に、冷凍室冷却ダンパ50の配置について説明すると、図3ないし図7に示すように、冷凍室冷却ダンパ50は水平面に平行に配置するのではなく、図3では図示右側が低くなるように傾斜して配置する。これによって、冷凍室冷却ダンパ50の一部に結露した水分を斜面に沿って排水できるので、水分がダンパ内部に滞留して氷結することがなく好適である。さらに、冷凍室冷却ダンパ50の一端に設けられた駆動手段60を傾斜の高所側に配置する。これによって、排水が駆動手段60に入り込まず、さらに好適である。
【0111】
以上説明したように、本発明においては、冷凍室冷却ダンパ50の開口62の面積を冷凍室への冷気の吹き出し口の面積よりも大とする。
【0112】
これによって、送風経路の圧力損失を低減し、通風抵抗の少ない冷蔵庫を提供できる。
【0113】
さらに、冷凍室冷却ダンパ50の開口62の寸法は、面積が同一である正方形の一辺の長さと短辺hの長さとを比較した短辺比Cにおいて0.3から0.5、長辺と短辺の比である縦横比で表すと4から11の範囲とする。
【0114】
これによって、密閉部材64bと開口62の接触部66との間の当接圧力が最大となり、密閉性を向上して冷気の漏れを防止できるので好適である。すなわち幅W×高さhは267[mm]×24[mm]から160[mm]×40[mm]の範囲が好適であり、最適値は183[mm]×35[mm]となり、開閉体64であるバッフルの寸法も開口62より一回り大きいが略同等の寸法である。開閉体64の奥行き寸法は24から40[mm]となって幅と比べて小さいので、冷気ダクト13の奥行き寸法を小となして冷蔵庫1の奥行きを小さくできるので都合がよい。
【0115】
以上の構成により、通風抵抗が少なく、かつ気密性を向上することで冷気の漏れを低減して、省エネルギー化が図れる冷蔵庫を提供できる。従って、冷蔵庫内の食品を所定温度範囲に維持しながら省エネルギー性能を確保し、食品の貯蔵温度維持ができる冷蔵庫を得ることができる。
【0116】
本発明は以上説明した如く、冷凍室冷却ダンパの開口部の面積を冷凍室への冷気の吹き出し口の面積よりも大とすることによって、送風経路の圧力損失を低減し、通風抵抗の少ない冷蔵庫を提供できる、という効果がある。
【0117】
さらに冷凍室冷却ダンパの開口部の寸法は、面積が同一である正方形の一辺の長さと短辺hの長さとを比較した短辺比Cにおいて0.3から0.5、長辺と短辺の比である縦横比で表すと4から11の範囲とすることによって、密閉部材と開口部接触部との間の当接圧力が最大となり、密閉性を向上して冷気の漏れを防止できるので、省エネルギー化が図れるものである。
【符号の説明】
【0118】
1 冷蔵庫
2 冷蔵室(冷蔵温度帯室)
3 製氷室(冷凍温度帯室)
4 上段冷凍室(冷凍温度帯室)
5 下段冷凍室(冷凍温度帯室)
6 野菜室(冷蔵温度帯室)
7 冷却器
8 冷却器収納室
9 庫内送風機(送風機)
10 断熱箱体
11 冷蔵室送風ダクト
12 上段冷凍室送風ダクト
13 冷気ダクト
15 冷蔵室ダクト
16 冷蔵室戻りダクト
17 冷凍室戻り口
19 機械室
20 冷蔵室冷却ダンパ
21 蒸発皿
22 除霜ヒータ
23 樋
24 圧縮機
31 制御基板
33 冷蔵室温度センサ
33a 野菜室温度センサ
34 冷凍室温度センサ
35 冷却器温度センサ
50 冷凍室冷却ダンパ
53 上部カバー
54 仕切板
55 ファンモータ固定部
56 送風機カバー
56a 吹き出し口
56b 整流部
60 駆動手段
61 駆動軸
62 開口
62a 支柱
63 フレーム
64 開閉体
64a 開閉板
64b 密閉部材
65 支軸
66 接触部
67 圧接力
70 モータ
71 出力軸
72 ピニオンギヤ
73 アイドラギヤ
74 アイドラ支点
75 出力ギヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫本体に設けられた冷凍温度帯室と、
該冷凍温度帯室の後方に設けられ冷却器が設置される冷却器室と、
前記冷却器室から前記冷凍温度帯室へ冷気を送風する送風機と、
前記冷却器室と前記冷凍温度帯室とを仕切り前記送風機で送風された冷気を前記冷凍温度帯室へ吹き出す吹き出し口を有する仕切板と、
前記冷凍温度帯室への送風量を制御する冷凍室ダンパと、を備えた冷蔵庫において、
前記冷凍室ダンパは、
前記冷却器室と前記吹き出し口とを連通する開口を有するフレームと、
前記開口を開閉する開閉体と、
該開閉体を駆動する駆動手段と、を備え、
該冷凍室ダンパの前記開口の面積は前記吹き出し口の面積よりも大きいことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記吹き出し口は複数設けられ、前記冷凍室ダンパの前記開口の面積は前記複数の吹き出し口の合計の面積よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記冷凍室ダンパの前記開口は長方形状であって、縦横比が4〜11であることを特徴とする、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記開口の面積は6000〜6500mm2であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の冷蔵庫。
【請求項5】
長方形状の開口を有するフレームと、
前記開口を開閉する開閉体と、
該開閉体を駆動する駆動手段と、を備えたダンパ装置において、
前記開口の縦横比は4〜11であり、且つ該開口の面積は6000〜6500mm2であることを特徴とするダンパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−58684(P2011−58684A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207642(P2009−207642)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)