説明

チェンソー

【課題】見映えを悪くすることなく保護部材の内側の空間を広くすることができるチェンソーを提供すること。
【解決手段】本発明のチェンソーでは、取付軸10を中心としたフロントガード20の回動範囲R内にある所定位置P1,Paにフロントガード20を戻すように付勢する板ばね30を備え、この板ばね30の付勢力により、回動させたフロントガード20を所定位置P1,Paまで戻す。そして、この板ばね30をフロントガード20内に収容することにより、板ばね30を露出させないようにし、見映えを悪くすることを防止すると共に、板ばね30を、その一端31をチェンケース7に、他端32をフロントガード20に設けられた第1ピン21を押圧するばねとすることにより、ねじりコイルばねを用いた場合に取付軸10の軸線方向にばねが長くなるようなことを防止し、ばねによる幅方向の長さを低減し、フロントガード20の内側の空間を広くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェンソーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に記載されるように、チェンソー本体に取り付けられるケース部材であるクラッチカバーと、このクラッチカバーに対し取付軸を介して取り付けられた保護部材であるハンドガードとを備えるチェンソーが知られている。
【0003】
このハンドガードは、チェンソー本体の幅方向(操作者から見て左右方向)の前方の所定範囲を覆って操作者の手等を保護する略L字状の部材であり、L字を構成する一方の直線部の一端が基端とされて取付軸に支持され、L字を構成する他方の直線部がチェンソー本体の前方を横切るように構成されている。
【0004】
このようなチェンソーのハンドガードにあっては、ソーチェンの駆動を停止させるための操作レバー等として兼用する場合があり、そのために、操作をすべく上記取付軸を中心としてハンドガードは回動可能とされている。このようなチェンソーにあっては、回動させたハンドガードを元の位置まで戻すため、取付軸に、当該取付軸を巻くように復帰用のねじりコイルばねを設けるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−293872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記ハンドガードでは、例えば樹脂より成り幅方向に横切るハンドガードのその幅方向における先端位置が概ね決まっているため、ハンドガードの剛性を高めるためにはハンドガードの基端側となる取付軸をチェンソー本体の幅方向(左右方向)中央に寄せて(幅方向外側から内側の位置に)配置するのが望ましい。
【0007】
しかしながら、取付軸をチェンソー本体の幅方向中央に寄せてしまうと、ハンドガードより幅方向内側の空間が狭くなり、例えばスイッチ操作等のためのスペースが狭くなり、操作性が低下することとなる。
【0008】
一方、ハンドガードを高剛性とし、取付軸をチェンソー本体の中央から離れた幅方向外側に配置する場合には、復帰用のねじりコイルばねのばね定数を高くする必要があるが、この場合、ねじりコイルばねは、取付軸の軸線方向に長くならざるを得ず、前述したハンドガードの一方の直線部の幅方向外側に更に突出することとなり見映えが悪い。また、ねじりコイルばねをハンドガードの一方の直線部の幅方向内側に配置した場合には、前述したようにスイッチ操作等のためのスペースが狭くなる。
【0009】
そこで本発明は、見映えを悪くすることなく保護部材の内側の空間を広くすることができるチェンソーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るチェンソーは、チェンソー本体(3)に取り付けられるケース部材(7)と、ケース部材(7)に対し、チェンソー本体(3)の幅方向(D)に延びる軸線を有する取付軸(10)を介し当該取付軸(10)を中心として上下方向に回動可能に取り付けられ、幅方向(D)の所定範囲(W)を覆う保護部材(20)と、を備えるチェンソー(1)であって、一端(31)がケース部材(7)に取り付けられ、他端(32)が保護部材(20)に設けられた突出部(21)を押圧する板ばね(30)を備え、板ばね(30)は、保護部材(20)内に収容され、保護部材(20)の回動範囲(R)内にある所定位置(P1,Pa)に保護部材(20)が戻るように付勢することを特徴とする。
【0011】
本発明に係るチェンソーでは、取付軸(10)を中心とした保護部材(20)の回動範囲(R)内にある所定位置(P1,Pa)に保護部材(20)が戻るように付勢する板ばね(30)を備え、この板ばね(30)の付勢力により、回動させた保護部材(20)を所定位置(P1,Pa)まで戻すことができる。ここで、板ばね(30)は保護部材(20)内に収容されるため、板ばね(30)が保護部材(20)から露出することはなく、見映えを悪くすることを防止できる。また、板ばね(30)は、一端(31)がケース部材(7)に、他端(32)が保護部材(20)に設けられた突出部(21)を押圧するばねであるため、ねじりコイルばねを用いた場合に取付軸(10)の軸線方向にばねが長くなるようなことを防止できる。よって、ばねによる幅方向(D)の長さを低減でき、保護部材(20)の内側の空間を広くすることができる。すなわち、見映えを悪くすることなく保護部材の内側の空間を広くすることができる。
【0012】
ここで、上記作用を効果的に奏する構成としては、保護部材(20)は、取付軸(10)から前方に延びる基部(20a)と、チェンソー本体(3)を覆うように基部(20a)から幅方向(D)に延びる保護部(20b)とを有し、板ばね(30)は、基部(20a)内に収容されている構成が挙げられる。
【0013】
また、基部(20a)は、幅方向(D)に直交する方向に厚さを有し使用状態において略前後方向に延びる上面板(23)と、この上面板(23)に連設され幅方向(D)に厚さを有する側面板(24)とを備え、一端(31)はケース部材(7)に対し係止され、他端(32)は、側面板(24)の内面(24a)に設けられた突出部(21)の上側を摺接可能に押圧することが好ましい。
【0014】
このようなチェンソーによれば、他端(32)は、突出部(21)の上側を摺接可能に押圧するため、板ばね(30)の取り付けは容易である。また、板ばね(30)は、突出部(21)を介して保護部材(20)を下方に付勢することができ、簡易な構成で保護部材(20)を所定位置(P1,Pa)に戻すことができる。更には、ケース部材(7)から保護部材(20)を取り外す際には、板ばね(30)は、突出部(21)から離脱しケース部材(7)側に係止されて残るため、板ばね(30)の脱落を防止でき、保守性を向上できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るチェンソーによれば、見映えを悪くすることなく保護部材の内側の空間を広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係るチェンソーの右側面図である。
【図2】図1のチェンソーの上面図である。
【図3】図1のチェンソーの後面図である。
【図4】チェンソーの使用時の状態を示す図であり、チェンケースを内側から見た図である。
【図5】チェンソーのブレーキを作動させた状態を示す図であり、チェンケースを内側から見た図である。
【図6】チェンソーのブレーキを解除する際の状態を示す図であり、チェンケースを内側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るチェンソーについて、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図1は、本発明の第1実施形態に係るチェンソーの右側面図、図2は、図1のチェンソーの上面図、図3は、図1のチェンソーの後面図である。
【0018】
図1に示すように、チェンソー1は、エンドレスのチェーン6aに鋸刃6bを付けたソーチェン6を有し、このソーチェン6をチェンソー本体3から前方(図示右側)に突出するガイドバー4と、チェンソー本体3内のスプロケット2との外周に掛け渡し、操作者が、チェンソー本体3の前側上部から左側部に亘って設けられたフロントハンドル8(図2、図3も参照)を左手で握ると共に、チェンソー本体3の前側上部から後部に亘って設けられたリヤハンドル9のその把手部9aを右手で握り、エンジン(図示せず)を駆動させることでスプロケット2を回転させ、ソーチェン6を、スプロケット2及びガイドバー4の外周により形成されている略長円状の周回軌道を移動させることによって、道具を前後に引くことなく例えば木材等の対象物を鋸断することができるものである。
【0019】
このチェンソー1は、チェンソー本体3のスプロケット2側の側面(図1の手前側の側面)を覆うようにしてチェンソー本体3に取り付けられるチェンケース(ケース部材)7と、チェンケース7に対し、チェンソー本体3の幅方向D(図2、図3参照)に延びる軸線を有する取付軸10を介し当該取付軸10を中心として上下方向に回動可能(図4等参照)に取り付けられたフロントガード(保護部材)20とを備えている。なお、本実施形態の説明においては、特に断らない限り、ガイドバー4の突出方向を前、チェンケース7の取り付け側を右とする。
【0020】
図2及び図3に示すように、チェンソー本体3のリヤハンドル9は、チェンソー本体3の幅方向D中央よりもチェンケース7側(図2では図示下側)に寄る位置において前後方向に延びるように設けられており、その前側上部には、上述したエンジンの駆動時等に操作者により操作されるスイッチ5が設けられている。
【0021】
チェンケース7は、チェンソー本体3の右側面の略全面を覆うケース本体12と、ケース本体12のチェンソー本体3側の側面(左側面)を覆うケースカバー13とを有している。ケース本体12は、鋸断作業中の非常時等にスプロケット2の回転を停止させるためのブレーキ機構であるチェンブレーキ40(図4〜図6参照)を内蔵している。チェンブレーキ40の詳細については、後述する。
【0022】
フロントガード20は、鋸断されて飛散する木材等から操作者(主に操作者の手等)を保護するためのものであり、平面視略L字状の形状を成している(図2参照)。このフロントガード20は、その基端側がチェンケース7の前側上部においてケース本体12とケースカバー13とを幅方向Dから挟み込むようにして取付軸10を介して取り付けられており、取付軸10から前方に延びる基部20aと、当該基部20aの先端から、チェンソー本体3を覆うように幅方向Dに延びる略長方形板状の保護部20bとを有している。すなわち、基部20aは、L字を構成する一方の直線部に相当し、保護部20bは、L字を構成する他方の直線部に相当する。
【0023】
このフロントガード20の基部20aは、図2〜図4に示すように、前後方向に対する垂直断面が略L字状を成しており、幅方向Dに直交する方向に厚さを有し図4に実線で示す使用状態において略前後方向に延びる上面板23と、この上面板23の左右両側の側部に連設されて下方に延び幅方向Dに厚さを有する対向する側面板24とを具備し、これらの上面板23及び側面板24を備える基部20aが、幅方向Dに所定の長さAを有する構成とされている。そして、上面板23の内側(左側)端部は、リヤハンドル9の右側面から幅方向Dに長さBだけ離間している。
【0024】
フロントガード20の保護部20bは、フロントハンドル8の前方において、その左端部(先端部)が、リヤハンドル9の左側面から幅方向Dに長さC離間する位置まで延在している。この長さCは、安全性確保の観点から、規格により定められており、例えば100mm以上とされている。
【0025】
このようにして、フロントガード20は、チェンソー本体3の前方において、幅方向Dの所定範囲Wを覆うと共に、前述したように取付軸10を中心として上下方向に回動可能とされている。
【0026】
図4は、チェンソー1の使用時の状態、図5は、チェンソー1のブレーキ40を作動させた状態、図6は、チェンソー1のブレーキ40を解除する際の状態をそれぞれ示す図であり、チェンケース7を内側から見た図である。図4〜図6では、ケースカバー13の一部を破断させてチェンケース7に内蔵されたチェンブレーキ40の構成を示している。
【0027】
図4〜図6に示すように、フロントガード20は、取付軸10を中心としてチェンソー本体3の前方から上方に至る所定の回動範囲R(図4参照)を回動可能とされており、対向する側面板24の内面24aに支持され幅方向Dに所定長さを有して設けられた丸棒状の第1ピン(突出部)21及び第2ピン22を備えている。
【0028】
第1ピン21は、図4に実線で示す通常の使用状態を基準として、基部20aの後側(図示右側)且つ上側に配置され、第2ピン22は、第1ピン21よりも前方且つ下方に配置されている。第1ピン21及び第2ピン22は、フロントガード20の回動に伴いそれぞれ回動軌跡L1,L2を描いて移動する。第1ピン21は、チェンブレーキ46のブレーキを作動させるためのものであり、第2ピン22は、チェンブレーキ46のブレーキを解除するためのものである。この第1ピン21及び第2ピン22を備えることにより、フロントガード20は、チェンブレーキ40を操作する機能を有している。
【0029】
チェンブレーキ40は、第1ピン21又は第2ピン22からの押圧作用を受けて軸41を中心に回動させられブレーキの作動又は解除を行うためのブレーキレバー43と、ブレーキレバー43の基端側にその一端が連結されたリンク44と、角溝形状のスプリング収容部46内に配置され、リンク44の他端側に連結されてリンク44により圧縮力を受けて縮む圧縮コイルばねであるスプリング45と、スプリング45の伸張に伴い、エンジンに連結されて回転しているクラッチドラム48を制動するためのバンド47とを有している。
【0030】
ブレーキレバー43は、軸41よりも上部に延びたピン当接部43aが、図4に実線で示すように第1ピン21及び第2ピン22の間に位置するように設けられており、フロントガード20の下降操作に伴い第1ピン21により上方から摺接状態で押し下げられることによりブレーキを作動させ、一方、フロントガード20の上昇操作に伴い第2ピン22により下方から摺接状態で押し上げられることによりブレーキを解除させる(図4の回動軌跡L1,L2参照)。
【0031】
ここで、第2ピン22の回動中心は取付軸10であり、ピン当接部43aの回動中心は軸41であることにより、第2ピン22の回動軌跡L2とピン当接部43a先端の回動軌跡L3とは、ブレーキレバー43のブレーキ解除位置付近で交差するようになっている(図6参照)。そのため、フロントガード20の上昇操作によって、ピン当接部43a先端より下方に位置する第2ピン22により押し上げられたブレーキレバー43は、その後、第2ピン22から離脱する構成とされている。
【0032】
バンド47は、クラッチドラム48の外周に着脱自在に巻回された部材であり、一端がスプリング45の先端側(上端側)に接続され、他端がスプリング45の基端側に固定されている。このバンド47は、図4及び図6に示すブレーキ非作動状態では、クラッチドラム48から離隔されてその回転を許容し、図5に示すブレーキ作動状態では、スプリング45の伸張に従いクラッチドラム48を締め付けて制動する。
【0033】
なお、チェンブレーキ40のスプリング45は、ブレーキ非作動又は作動のいずれの状態においても、その位置(姿勢)を保持するようになっている。よって、フロントガード20の下降操作又は上昇操作によってチェンブレーキ40のブレーキを作動又は解除するためには、スプリング45の姿勢保持力を上回る程度の強い力でフロントガード20を操作すれば良い。なお、このチェンブレーキ40では、チェンソー1使用時の跳ね返り現象である所謂キックバックが発生した場合に、ハンドガード40に作用する慣性力又は左手から受ける押し下げ力により、チェンソー1が非常停止するようになっている。
【0034】
ここで、本実施形態のチェンソー1にあっては、フロントガード20内に収容され、フロントガード20の回動範囲R内にある所定位置P1,Pa(図4参照)にフロントガード20が戻るように付勢する板ばね30を備えている。
【0035】
この板ばね30は、フロントガード20を構成する基部20aの幅方向Dの長さA(図2、図3参照)よりも短い所定の幅を有し、上方に向けて多少凸となるように緩やかに湾曲しながら略前後方向に延びる板ばねであり、その後側の一端31がチェンケース7に取り付けられ、それ以外の部分は基部20a内に収容され、その前側の他端32が第1ピン21の上側を摺接可能な状態で押圧している。
【0036】
より詳しくは、板ばね30の一端31は、前方に向けて開放するように略U字状に折り返されてケース本体12の上部外壁形状に沿った形状とされており、ケース本体12の上部外壁にそのU字部分が嵌め込まれた上でケース本体12とケースカバー13とにより幅方向D両側から挟み込まれるようにして、チェンケース7に対し係止されている。
【0037】
このような構成により、板ばね30は、フロントガード20の回動範囲Rのうち、図4に示す所定位置P1よりも上方の回動位置においては主に第1ピン21を介してフロントガード20を下方に付勢する(押し下げる)。そして、フロントガード20が所定位置P1に位置しているときには、ピン当接部43aは第1ピン21と第2ピン22との間にある。
【0038】
以上の構成を有するチェンソー1では、図4に実線で示す通常の使用状態においては、フロントガード20は、第1ピン21が板ばね30の他端32から下方への付勢力を受けつつブレーキ解除位置にあるピン当接部43aにより制止されて、前述の所定位置P1よりも多少上方の所定位置Paに位置している。
【0039】
ここで、例えばキックバック等によって、慣性力若しくは操作者の左手によりフロントガード20が取付軸10を中心として下方に回動すると、ピン当接部43aが第1ピン21により押し下げられてブレーキが作動する。その後、フロントガード20は、第1ピン21を介して板ばね30から下方への付勢力を受けつつ、ケース本体12に設けられた図示しないストッパにより制止されて所定位置P1で停止する(図5参照)。
【0040】
更に、フロントガード20が操作者により所定位置P1から上方に回動させられて図6に示す位置P4まで移動すると、ピン当接部43aが第2ピン22により押し上げられてブレーキが解除される。なお、フロントガード20がこの位置P4よりも更に上方に回動させられた場合、例えば、図4の仮想線で示す位置P3では、第2ピン22はピン当接部43aから離脱するため、ブレーキレバー43とは干渉しなくなる。
【0041】
そして、ブレーキが解除された状態で操作者の手がフロントガード20から離れると、ピン当接部43aの位置はブレーキ解除状態である上方位置に保持されたまま、フロントガード20が、板ばね30から下方に向けての付勢力を第1ピン21を介して受けて下方に回動し、ピン当接部43aに当接する所定位置Paに戻る(図4の実線参照)。
【0042】
以上説明した本実施形態のチェンソー1によれば、取付軸10を中心としたフロントガード20の回動範囲R内にある所定位置P1,Paにフロントガード20が戻るように付勢する板ばね30を備え、この板ばね30の付勢力により、回動させたフロントガード20を所定位置P1,Paまで戻すようにし、この板ばね30をフロントガード20内に収容するようにしているため、板ばね30がフロントガード20から露出することはなく、見映えを悪くすることが防止されると共に、板ばね30を、一端31がチェンケース7に、他端32がフロントガード20に設けられた第1ピン21を押圧するばねとしているため、ねじりコイルばねを用いた場合に取付軸10の軸線方向にばねが長くなるようなことを防止でき、これにより、ばねによる幅方向Dの長さを低減でき、フロントガード20の内側の空間、特に、フロントガード20とリヤハンドル9との間の空間(図2、図3の長さB)を広くすることができる。その結果、操作者によるスイッチ5等の操作のためのスペース(図2、図3の長さB)が広く(長く)なり、操作性及び安全性が向上する。
【0043】
また、幅方向Dの全長を低減できることからチェンソー1の軽量化を図ることができ、フロントガード20の保護部20bの全長も短くなることから、剛性の確保もし易くなる。
【0044】
また、板ばね30の他端32は、第1ピン21の上側を摺接可能に押圧しているため、板ばね30の取り付けが容易であると共に、板ばね30が第1ピン21を介してフロントガード20に下方に付勢することができ、簡易な構成でフロントガード20を所定位置P1,Paに戻すことができる。更には、チェンケース7からフロントガード20を取り外す際には、板ばね30は、第1ピン21から離脱しチェンケース7側に係止されて残るため、板ばね30の脱落を防止でき、保守性を向上できる。
【0045】
また、従来のように復帰用のねじりコイルばねを用いる場合に比して、板ばね30を用いるため、軽量化が図られる。
【0046】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、板ばね30が基部20a内に収容されている場合について説明したが、チェンケース7から保護部20bにかけて設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…チェンソー、3…チェンソー本体、7…チェンケース(ケース部材)、10…取付軸、20…フロントガード(保護部材)、20a…基部、20b…保護部、21…第1ピン(突出部)、23…上面板、24…側面板、24a…内面、30…板ばね、31…一端、32…他端、D…幅方向、P1,Pa…所定位置、R…回動範囲、W…所定範囲。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェンソー本体(3)に取り付けられるケース部材(7)と、前記ケース部材(7)に対し、前記チェンソー本体(3)の幅方向(D)に延びる軸線を有する取付軸(10)を介し当該取付軸(10)を中心として上下方向に回動可能に取り付けられ、前記幅方向(D)の所定範囲(W)を覆う保護部材(20)と、を備えるチェンソー(1)であって、
一端(31)が前記ケース部材(7)に取り付けられ、他端(32)が前記保護部材(20)に設けられた突出部(21)を押圧する板ばね(30)を備え、
前記板ばね(30)は、前記保護部材(20)内に収容され、前記保護部材(20)の回動範囲(R)内にある所定位置(P1,Pa)に前記保護部材(20)が戻るように付勢することを特徴とするチェンソー。
【請求項2】
前記保護部材(20)は、前記取付軸(10)から前方に延びる基部(20a)と、前記チェンソー本体(3)を覆うように前記基部(20a)から前記幅方向(D)に延びる保護部(20b)とを有し、
前記板ばね(30)は、前記基部(20a)内に収容されていることを特徴とする請求項1記載のチェンソー。
【請求項3】
前記基部(20a)は、前記幅方向(D)に直交する方向に厚さを有し使用状態において略前後方向に延びる上面板(23)と、この上面板(23)に連設され前記幅方向(D)に厚さを有する側面板(24)とを備え、
前記一端(31)は前記ケース部材(7)に対し係止され、
前記他端(32)は、前記側面板(24)の内面(24a)に設けられた前記突出部(21)の上側を摺接可能に押圧することを特徴とする請求項2記載のチェンソー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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