説明

チェン

【課題】寿命が摩耗により短くなってしまうことを、容易かつ安価に防止することができるチェンを提供する。
【解決手段】交互に連結されるピンリンク38とローラリンク8を有するチェン34であって、ピンリンク38におけるピンリンクプレート40の外側表面の一部に保護ブロック部材44を装着するようにした。
【効果】寿命が摩耗により短くなってしまうことを、容易かつ安価に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱物等の硬い搬送対象物を搬送する搬送装置に用いられるチェンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9及び図10は、従来の搬送装置2の一部を示す側面図、及び平面図である。この従来の搬送装置2は、水平方向に伸びて互いに平行に並んで配置される2本のチェン4を備えている。この2本のチェン4は、無端チェンであり、かつ、回転軸が略水平であって略水平方向に離れて配置される不図示の複数のスプロケット間を、略水平方向に循環駆動するものである。図9及び図10のチェン4は、少なくとも図示されている範囲内で、複数のスプロケット間の循環経路におけるスプロケットの下側を略水平方向に走行している状態を示すものである。
【0003】
チェン4は、図11に示すように、交互に連結される複数のピンリンク6と複数のローラリンク8とを備えて構成されている。チェン4のピンリンク6のそれぞれは、図11及び図12に示すように、一対のピンリンクプレート10、及び2本のピン12を備えている。
【0004】
ピンリンク6における一対のピンリンクプレート10のそれぞれには、図11に示すように、2つのピン用孔14が、チェン4の長さ方向に一定間隔だけ離れて形成されている。ピンリンク6の2本のピン12のそれぞれは、図12に示すように、その長さ中間部分において、後述するローラリンク8のブシュ22を軸支しており、このブシュ22の両端からその長さ方向の両外側に突出したピン12の長さ部分が、互いに対向する一対のピンリンクプレート10のそれぞれのピン用孔14に嵌合している。
【0005】
また、ピンリンク6のピン12は、その長さ方向の両端部12a,12bのそれぞれが、一対のピンリンクプレート10のそれぞれの外側に突出している。このピン12の一方の端部12aは、他の長さ部分よりも若干太く形成されていることにより抜けないようになっている。また、ピン12の他方の端部12bには、その軸線と交差する方向に貫通する抜止めピン16が打ち込まれている。
【0006】
また、チェン4のローラリンク8のそれぞれは、一対のローラリンクプレート20、2本のブシュ22、及び2個のローラ24を備えている。ローラリンク8のローラリンクプレート20には、ピンリンク6のピンリンクプレート10のピン用孔14に対応するブシュ用孔26が形成されている。
【0007】
ローラリンク8のブシュ22は、その長さ中間部分において、ローラ24を軸支しており、このローラ24の両端からその長さ方向の両外側に突出したブシュ22の長さ部分が、互いに対向する一対のローラリンクプレート20のそれぞれのブシュ用孔26に嵌合している。このブシュ22は、その長さ方向の両端部のそれぞれが、一対のローラリンクプレート20のそれぞれの外側に突出している。
【0008】
また、チェン4のローラリンク8のローラリンクプレート20と、ピンリンク6のピンリンクプレート10との間には、計4個のオイルシール28のそれぞれが配置されている。
【0009】
また、搬送装置2は、図9及び図10に示すように、チェン4により搬送される複数のバケット30を備えている。この複数のバケット30のそれぞれは、2本のチェン4が互いに対向する方向に幅を有しており、この幅方向の両端部のそれぞれが、2本のチェン4のそれぞれに、アタッチメント32等を介して連結されている。バケット30同士は、チェン4の長さ方向に互いに一定の間隔を空けて配置されている。また、バケット30は、その進行方向(矢印S)の前側が開放されていることにより、進行方向の前側から搬送対象物を内部に取り込むようになっている。
【0010】
ここで、この搬送装置2は、上述したように、その2本のチェン4のそれぞれが、循環駆動されるようになっている。このため、搬送装置2のチェン4のそれぞれ及びバケット30は、図示しないがその全体の搬送経路の往路が下側に、復路が上側に配置されるようになっており、復路と往路では、互いの上下関係が逆転するようになっている。
【0011】
このような従来の搬送装置2は、図示しないが、破砕した鉄鉱石もしくは銅鉱石等の鉱石、又は他の破砕した鉱物等の搬送対象物を、その集積所から他の場所や装置等まで搬送するのに用いられている。搬送装置2のバケット30は、搬送対象物の集積所内をチェン4によりほぼ水平に搬送されるようになっており、その際に、集積された搬送対象物の上層部分をほぼ水平にすくい取って、搬送対象物を内部に取り込むようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来の搬送装置2のチェン4においては、このチェン4が鉱石や鉱物等の搬送対象物と接触して摩耗してしまうため、その寿命が短くなってしまうという問題があった。
【0013】
つまり、搬送装置2は、そのチェン4を駆動してバケット30により搬送対象物をすくい取りながら、これらチェン4及びバケット30の進行方向と略直角の方向に水平移動していくようになっている。このため、搬送装置2のチェン4は、水平移動する搬送装置2全体の進行方向上にある搬送対象物に接触してしまうので、図13及び図14に示すように、ピンリンクプレート10の下部等が徐々に摩り減って変形してしまうという問題があった。
【0014】
また、このようなチェン4の摩耗対策として、このチェン4の表面に溶解した材料を吹き付けて皮膜を形成する溶射などの表面処理を施したり、チェン4自体を硬い材質で製作したりした場合には、チェン4の製作費用が高額になるため、現実的ではないという問題があった。
【0015】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、寿命が摩耗により短くなってしまうことを、容易かつ安価に防止することができるチェンを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために本発明は、
交互に連結されるピンリンクとローラリンクを有するチェンであって、
前記ピンリンクにおけるピンリンクプレートの外側表面の一部に保護ブロック部材を装着したことを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明によるチェンにおいて、前記保護ブロック部材を、前記ピンリンクプレートの進行方向の前側のみに装着したことを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明によるチェンにおいて、前記保護ブロック部材が、前記ピンリンクプレートの進行方向の前端部よりも前方に、及び/又は前記ピンリンクプレートの進行方向と直角方向に張り出して形成される張り出し部を有することを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明によるチェンにおいて、前記ピンリンクとローラリンクが長さ方向に一体化されて、ピンリンク側の端部とローラリンク側の端部が連結されるオフセットリンクに適用されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
このような本発明のチェンによれば、
交互に連結されるピンリンクとローラリンクを有するチェンであって、
前記ピンリンクにおけるピンリンクプレートの外側表面の一部に保護ブロック部材を装着したことにより、
当該チェンの寿命が摩耗により短くなってしまうことを、容易かつ安価に防止することができる。
【0021】
また、本発明のチェンによれば、前記保護ブロック部材を、前記ピンリンクプレートの進行方向の前側のみに装着したことにより、
当該チェンの寿命が摩耗により短くなってしまうことを、さらに容易かつ安価に防止することができる。
【0022】
また、本発明のチェンによれば、前記保護ブロック部材が、前記ピンリンクプレートの進行方向の前端部よりも前方に、及び/又は前記ピンリンクプレートの進行方向と直角方向に張り出して形成される張り出し部を有することにより、
当該チェンの寿命が摩耗により短くなってしまうことを、さらに容易かつ安価に防止することができる。
【0023】
また、本発明のチェンによれば、前記ピンリンクとローラリンクが長さ方向に一体化されて、ピンリンク側の端部とローラリンク側の端部が連結されるオフセットリンクに適用されることにより、
オフセットリンクを用いたチェンの寿命が摩耗により短くなってしまうことを容易かつ安価に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係るチェンを実施するための最良の形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
図1から図4は、本発明の第1の実施の形態に係るチェン34について説明するために参照する図である。従来と同様の部分には同じ符号を用いて説明し、従来と同様の構成についての重複する説明は省略するものとする。図1及び図2のチェン34は、少なくとも図示されている範囲内で、複数のスプロケット間の循環経路におけるスプロケットの下側を略水平方向に走行している状態を示すものである。
【0025】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係るチェン34のそれぞれは、前記従来のチェン4におけるピンリンク6の代わりに、構成がピンリンク6と全く異なるピンリンク38を備えている。このピンリンク38は、図10に示す前記従来のチェン4におけるピンリンク6のそれぞれにおける一対のピンリンクプレート10のうちの、バケット30とは反対側にあったピンリンクプレート10が、図2に示すように、ピンリンクプレート40に置き換えられている。
【0026】
このピンリンクプレート40は、図3及び図4に示すように、後述する六角ボルト48とネジ締結するための雌ネジ42を有している点において、前記従来のチェン4におけるピンリンク6のピンリンクプレート10と異なっている。
【0027】
そして、チェン34は、図1及び図2に示すように、それぞれのピンリンク38のピンリンクプレート40に装着される複数の保護ブロック部材44を備えている。このチェン34の保護ブロック部材44は、図3及び図4に示すように、嵌合孔46を有している。保護ブロック部材44は、この嵌合孔46が、ピンリンク6の2本のピン12のうちの、チェン34の進行方向の前側のピン12Aにおける、その長さ方向(図3中、紙面に垂直の方向)の先端部12aに嵌合している。
【0028】
また、保護ブロック部材44は、ピンリンク38の2本のピン12と12A間の中間位置において、六角ボルト48により、ピンリンクプレート40にネジ止めされている。すなわち、六角ボルト48が、図3及び図4に示すように、ピンリンクプレート40の雌ネジ42にネジ締結している。
【0029】
また、保護ブロック部材44は、図3に示すように、この保護ブロック部材44が装着されたピンリンクプレート40の進行方向の前側の端部40aよりも、前方に張り出すように形成されている。また、保護ブロック部材44は、少なくとも、この保護ブロック部材44が装着されたピンリンクプレート40における、その進行方向の前側の端部40aと前側のピン12Aとの間の長さ範囲において、ピンリンクプレート40の図中下側の縁よりも下側(バケット30側)に張り出すように形成されている。
【0030】
また、保護ブロック部材44は、図3及び図4に示すように、ピンリンクプレート40の前側の端部40aよりも前方に張り出して形成されている部分(張り出し部に相当)、及びピンリンクプレート40の図3中下側の縁よりも下側に張り出して形成されている部分(張り出し部に相当)が、ピンリンクプレート40の厚さ方向であってローラリンクプレート20側の方向に厚く形成され、ピンリンクプレート40及びオイルシール28を覆うようになっている。
【0031】
また、保護ブロック部材44は、図4に示すように、その前端部側の一定長さの範囲内において、前側から後側に向かって、ローラリンクプレート20とは反対側の方向に、その厚さが厚くなっていくように形成されている。
【0032】
また、保護ブロック部材44は、この保護ブロック部材44が装着されたピンリンクプレート40におけるローラリンクプレート20とは反対の外側(図4中、上側)の面40bを基準とした場合の、この面40bから離れる方向の最大厚さ寸法(図4中、寸法t1)が、ピンリンク38のピン12Aの先端部12aの突出長さよりも、長くなるように形成されている。
【0033】
このような本実施の形態に係るチェン34によれば、複数のピンリンクプレート40のそれぞれに保護ブロック部材44を備えているので、チェン34が循環駆動することにより、保護ブロック部材44が装着されたピンリンク38のピンリンクプレート40、及びその後続の他のピンリンク38のピンリンクプレート40等に接触するおそれがある鉱石等の搬送対象物が、保護ブロック部材44により水平方向かつバケット30(図2参照)とは反対側の方向、又は下方向に押し退けられていくようになる。
【0034】
これにより、チェン34は、そのピンリンク38のピンリンクプレート40等の進行方向前方側に、搬送対象物が直接接触するのを防止することができるので、ピンリンクプレート40が摩耗したりオイルシール28が破損したりするのを防止して、その寿命が短くなってしまうことを容易かつ安価に防止することができる。
【0035】
次に、図5及び図6は、本発明の第2の実施の形態に係るチェン50について説明するために参照する図である。前記第1の実施の形態に係るチェン34と同様の部分には同じ符号を用いて説明し、同様の構成についての重複する説明は省略するものとする。
【0036】
本実施の形態に係るチェン50は、図5及び図6に示すように、前記第1の実施の形態に係るチェン34のピンリンク38の代わりにピンリンク52を備えている。このピンリンク52は、前記第1の実施の形態に係るチェン34のピンリンク38のピンリンクプレート40の代わりに、ピンリンクプレート54を備えている。
【0037】
このピンリンクプレート54は、その進行方向における前方側のピン12Aよりも前方の前端部54aに、後述する2本の六角穴付きボルト60とネジ締結するための2つの雌ネジ56を有している。また、ピンリンクプレート54は、このような雌ネジ56を形成することができるようにするために、バケット30側(図6中下側)のピンリンクプレート10と比べて、その長さ方向の前端部54aが前方に伸びて形成されている。ピンリンクプレート54は、このような点において、前記第1の実施の形態に係るチェン34のピンリンク38のピンリンクプレート40と異なっている。
【0038】
そして、本実施の形態に係るチェン50は、前記第1の実施の形態に係るチェン34の保護ブロック部材44の代わりに、保護ブロック部材58を備えている。この保護ブロック部材58は、ピンリンクプレート54の前端部54aに、図5に示すように、2本の六角穴付きボルト60によりネジ止めされている。すなわち、六角穴付きボルト60のそれぞれが、ピンリンクプレート54の雌ネジ56にネジ締結している。
【0039】
また、保護ブロック部材58は、図5に示すように、この保護ブロック部材58が装着されたピンリンクプレート54の進行方向の前側の前端部54aよりも、前方に張り出すように形成されている。また、保護ブロック部材58は、少なくとも、この保護ブロック部材58が装着されたピンリンクプレート54における、その進行方向の前側の端部54aと前側のピン12Aとの間の長さ範囲において、ピンリンクプレート54の図中下側の縁よりも下側(バケット30側)に張り出すように形成されている。
【0040】
また、保護ブロック部材58は、図5及び図6に示すように、ピンリンクプレート54の前側の端部54aよりも前方に張り出して形成されている部分(張り出し部に相当)、及びピンリンクプレート54の図5中下側の縁よりも下側に張り出して形成されている部分(張り出し部に相当)が、ピンリンクプレート54の厚さ方向であってローラリンクプレート20側の方向に厚く形成され、ピンリンクプレート54及びオイルシール28を覆うようになっている。
【0041】
また、保護ブロック部材58は、図6に示すように、その前端部側の一定長さの範囲内において、前側から後側に向かって、ローラリンクプレート20とは反対側の方向に、その厚さが厚くなっていくように形成されている。
【0042】
また、保護ブロック部材58は、この保護ブロック部材58が装着されたピンリンクプレート54におけるローラリンクプレート20とは反対の外側(図6中、上側)の面54bを基準とした場合の、この面54bから離れる方向の最大厚さ寸法(図6中、寸法t2)が、ピンリンク52のピン12Aの先端部12aの突出長さよりも、長くなるように形成されている。
【0043】
このような本実施の形態に係るチェン50によれば、前記第1の実施の形態と同様に、複数のピンリンクプレート54のそれぞれに保護ブロック部材58を備えているので、チェン50が循環駆動することにより、保護ブロック部材58が装着されたピンリンク52のピンリンクプレート54、及びその後続の他のピンリンク52のピンリンクプレート54等に接触するおそれがある鉱石等の搬送対象物が、保護ブロック部材58により水平方向かつバケット30(図2参照)とは反対側の方向、又は下方向に押し退けられていくようになる。
【0044】
これにより、チェン50は、そのピンリンク52のピンリンクプレート54等の進行方向前方側に、搬送対象物が直接接触するのを防止することができるので、ピンリンクプレート54が摩耗したりオイルシール28が破損したりするのを防止して、その寿命が短くなってしまうことを、容易かつ安価に防止することができる。
【0045】
また、本実施の形態に係るチェン50によれば、保護ブロック部材58を2本の六角穴付きボルト60によりネジ止めするための雌ネジ56が、ピンリンクプレート54におけるピン12Aよりも前方の前端部54aに形成されているので、チェン50の破断強度が低減してしまうのを防止することができる。
【0046】
つまり、チェン50の長さ方向に伝達される駆動荷重は、個々のピンリンクプレート54においては、図5に示す2本のピン12、12A間の区間で伝達されるが、本実施の形態では前記第1の実施の形態のように雌ネジ42が2本のピン12、12A間にはなく、雌ネジ56は、このような区間の外側に形成されているため、チェン50の破断強度に影響を及ぼさないようになっている。
【0047】
次に、図7及び図8は、本発明の第3の実施の形態に係るチェン70について説明するために参照する図である。前記第1の実施の形態に係るチェン34と同様の部分には同じ符号を用いて説明し、同様の構成についての重複する説明は省略するものとする。
【0048】
本実施の形態に係るチェン70は、図7及び図8に示すように、前記第1の実施の形態に係るチェン34のピンリンク38の代わりにピンリンク72を備えている。このピンリンク72は、前記第1の実施の形態に係るチェン34のピンリンク38のピンリンクプレート40の代わりに、ピンリンクプレート74を備えている。
【0049】
このピンリンクプレート74は、図7に示すように、その下側の縁が前端部から後端部まで一直線状に形成されている。また、このピンリンクプレート74には、その長さ方向の中間位置であって、かつ下側の縁の近傍の位置に、図8に示すように、後述する2本の六角穴付きボルト80とネジ締結するための2つの雌ネジ76が形成されている。
【0050】
また、本実施の形態に係るチェン70は、前記第1の実施の形態に係るチェン34の保護ブロック部材44の代わりに、保護ブロック部材78を備えている。この保護ブロック部材78は、ピンリンクプレート74におけるその長さ方向の中間位置であって、図7に示すように、下側の縁の近傍の位置に、2本の六角穴付きボルト80によりネジ止めされている。すなわち、六角穴付きボルト80のそれぞれが、ピンリンクプレート74の雌ネジ76にネジ締結している。
【0051】
また、保護ブロック部材78は、図7に示すように、ピンリンクプレート74の下側の縁よりも下方に張り出すように形成されている。そして、保護ブロック部材78は、このように張り出して形成されている部分(張り出し部分に相当)が、図8に示すように、ピンリンクプレート74の厚さ方向であってローラリンクプレート20側の方向に厚く形成されていることにより、ピンリンクプレート74の下側の面を十分に覆うようになっている。
【0052】
また、保護ブロック部材78は、図8に示すように、その前端部側の一定長さの範囲内において、前側から後側に向かって、ローラリンクプレート20とは反対側の方向に、その厚さが厚くなっていくように形成されている。逆に、その後端部側の一定長さの範囲内においては、後側から前側に向かって、ローラリンクプレート20とは反対側の方向に、その厚さが厚くなっていくように形成されている。
【0053】
また、保護ブロック部材78は、図7に示すように、その前端部側の一定長さの範囲内において、前側から後側に向かって、その高さ方向(図7中、上下方向)の長さが下側に張り出していくように、下面が傾斜して形成されている。逆に、その後端部側の一定長さの範囲内においては、後側から前側に向かって、その高さ方向の長さが下側に張り出していくように、下面が傾斜して形成されている。
【0054】
また、保護ブロック部材78は、図8に示すように、この保護ブロック部材78が装着されたピンリンクプレート74におけるローラリンクプレート20とは反対の外側(図8中、上側)の面74bを基準とした場合の、この面74bから離れる方向の最大厚さ寸法(図8中、寸法t3)が、ピンリンク72のピン12Aの先端部12aの突出長さよりも、長くなるように形成されている。
【0055】
このような本実施の形態に係るチェン70によれば、前記第1の実施の形態と同様に、複数のピンリンクプレート74のそれぞれに保護ブロック部材78を備えているので、チェン70が循環駆動することにより、保護ブロック部材78が装着されたピンリンク72のピンリンクプレート74、及びその後続の他のピンリンク72のピンリンクプレート74等に接触するおそれがある鉱石等の搬送対象物が、保護ブロック部材78により水平方向かつバケット30(図2参照)とは反対側の方向、又は下方向に押し退けられていくようになる。
【0056】
これにより、チェン70は、そのピンリンク72のピンリンクプレート74等の進行方向前方側に、搬送対象物が直接接触するのを防止することができるので、ピンリンクプレート74が摩耗するのを防止して、その寿命が短くなってしまうことを、容易かつ安価に防止することができる。
【0057】
また、本実施の形態に係るチェン70によれば、その保護ブロック部材78が左右対称の形状で形成されているため、チェン70の全体の循環経路が時計回りであっても、又は反時計回りであっても、この保護ブロック部材78を用いることができるので、製造費を低減することができる。
【0058】
なお、前記第1から第3の実施の形態に係るチェン34,50,70においては、その保護ブロック部材44,58,78が、ピンリンク38,52,72に対して装着されるようになっていたが、オフセットリンクの進行方向前方に装着されるようになっていてもよい。ここで、オフセットリンクは、その進行方向前方のピンリンクプレートと後方のローラリンクプレートが一体となって、前後両端部が互いに連結されていくもので、その一対のオフセットリンクプレート同士の対向方向の幅が広い方が進行方向の前方側に配置されるようにする。
【0059】
また、前記第1及び第2の実施の形態に係るチェン34,50においては、その保護ブロック部材44,58が、この保護ブロック部材が装着されるピンリンクプレート40,54の前端部よりも前方に張り出すように形成され、かつ、ピンリンクプレートの外側の面よりも外側に張り出すように形成されていたが、上記前方及び/又は下方に張り出さないように形成されていてもよい。また、前記第3の実施の形態に係るチェン70においても、その保護ブロック部材78が、ピンリンクプレート74の外側の面よりも下方に張り出さないように形成されていてもよい。
【0060】
また、前記第1から第3の実施の形態に係るチェン34,50,70においては、その保護ブロック部材44,58,78における、ピンリンクプレートよりも前方及び/又は下方に張り出して形成されている部分(張り出し部分に相当)が、ピンリンクプレートの厚さ方向であってローラリンクプレート20側の方向に厚く形成されていたが、このような張り出し部分が、この張り出し部分以外の他の部分の厚さと同じ厚さとなるように形成されていてもよい。
【0061】
また、前記第1から第3の実施の形態に係るチェン34,50,70においては、その保護ブロック部材44,58,78の図4,6,8中に示す寸法t1,t2,t3が、ピンリンク38のピン12Aの端部12aの突出長さよりも長くなるように形成されていたが、ピン12Aの端部12aの突出長さと同じ長さ、又は短い長さとなるように形成されていてもよい。
【0062】
また、前記第1から第3の実施の形態に係るチェン34,50,70においては、そのピンリンクプレート40,54,74とローラリンクプレート20との間にオイルシール28を備えていたが、オイルシール28を備えないようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るチェン34の一部、及びバケット30を示す側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るチェン34の一部、及びバケット30を示す平面図である。
【図3】図1に示すチェン34のピンリンク38、保護ブロック部材44、及びローラリンク8を示す拡大側面図である。
【図4】図3に示すチェン34のピンリンク38、保護ブロック部材44、及びローラリンク8の下面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るチェン50のピンリンク52、保護ブロック部材58、及びローラリンク8を示す拡大側面図である。
【図6】図5に示すチェン50のピンリンク52、保護ブロック部材58、及びローラリンク8の下面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るチェン70のピンリンク72、保護ブロック部材78、及びローラリンク8を示す拡大側面図である。
【図8】図7に示すチェン70のピンリンク72、保護ブロック部材78、及びローラリンク8の下面図である。
【図9】従来の搬送装置2のチェン4の一部、及びバケット30を示す側面図である。
【図10】従来の搬送装置2のチェン4の一部、及びバケット30を示す平面図である。
【図11】図9に示すチェン4のピンリンク6及びローラリンク8を示す拡大側面図である。
【図12】図11中のチェン4のA−A線断面図であって、そのピンリンク6及びローラリンク8を示す図である。
【図13】図9に示すチェン4のピンリンク6及びローラリンク8を示す拡大側面図であって、ピンリンク6等が摩耗により変形した状態を示す図である。
【図14】図13中のチェン4のB−B線断面図であって、ピンリンク6及びローラリンク8を示すと共にピンリンク6等が摩耗により変形した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
2 搬送装置
4 チェン
6 ピンリンク
8 ローラリンク
10 ピンリンクプレート
12,12A ピン
12a,12b 端部
14 ピン用孔
16 抜止めピン
20 ローラリンクプレート
22 ブシュ
24 ローラ
26 ブシュ用孔
28 オイルシール
30 バケット
32 アタッチメント
34 チェン
38 ピンリンク
40 ピンリンクプレート
40a 端部
40b 面
42 雌ネジ
44 保護ブロック部材
46 嵌合孔
48 六角ボルト
50 チェン
52 ピンリンク
54 ピンリンクプレート
54a 前端部
54b 面
56 雌ネジ
58 保護ブロック部材
60 六角穴付きボルト
70 チェン
72 ピンリンク
74 ピンリンクプレート
74b 面
76 雌ネジ
78 保護ブロック部材
80 六角穴付きボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交互に連結されるピンリンクとローラリンクを有するチェンであって、
前記ピンリンクにおけるピンリンクプレートの外側表面の一部に保護ブロック部材を装着したことを特徴とするチェン。
【請求項2】
前記保護ブロック部材を、前記ピンリンクプレートの進行方向の前側のみに装着したことを特徴とする請求項1に記載のチェン。
【請求項3】
前記保護ブロック部材が、前記ピンリンクプレートの進行方向の前端部よりも前方に、及び/又は前記ピンリンクプレートの進行方向と直角方向に張り出して形成される張り出し部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のチェン。
【請求項4】
前記ピンリンクとローラリンクが長さ方向に一体化されて、ピンリンク側の端部とローラリンク側の端部が連結されるオフセットリンクに適用されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のチェン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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