説明

チェーン、特に、シャーシキャリアまたは物品を搬送するためのコンベヤチェーン

チェーン、特にシャーシキャリアまたは物品の搬送のための搬送チェーンであって、外リンクプレート(1)と内リンクプレート(2)との組と、外リンクプレート(1)と内リンクプレート(2)との組を互いに結合するボルト(3)とを有し、外リンクプレート(1)および/または内リンクプレート(2)は、少なくとも部分的に合成樹脂からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーン、特に、請求項1の上位概念に従った、シャーシキャリアまたは物品を搬送するためのコンベヤチェーンに関する。
【背景技術】
【0002】
前述の技術のチェーンは、たとえば、EP1645528A1から知られる。そこに記載のチェーンは、対象物を搬送するために利用することが可能であるローラチェーンである。かかるチェーンはボルト上に設けられたブッシュを有し、ブッシュ上にまたローラが配設されている。外リンクプレートおよび内リンクプレートは、ボルト、ブッシュおよびローラのように金属から成る。このようなチェーンを用いて、たとえば、自動車工業におけるシャーシキャリア(スキッド)などの重量物を運搬するべきときには、チェーンとシャーシキャリアとが、またはチェーン同士、シャーシキャリア同志が強く摩損し合うことになる。さらにまた、チェーンの外側には、スライド溝におけるチェーンの摩耗を低減させるために、スライドレールが設けられている。さらに、通常、ボルトおよび/またはブッシュは、外および/または内リンクプレートに押し付けられ、したがって、各リンクプレートの組立てまたは分解は、かなりの費用を伴うものとなる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の基礎となる課題は、摩耗が少なく、ならびに/または簡単におよび/もしくは費用において有利に構成される、冒頭に挙げたタイプのチェーンを作製することである。
【0004】
これは、本発明に従えば、請求項1または8の特徴を有する、冒頭で挙げたタイプのチェーンによって達成される。下位の請求項は本発明の好ましい実施形態に関する。
【0005】
請求項1に従えば、外リンクプレートおよび/または内リンクプレートは、少なくとも部分的に合成樹脂から成る。かかる形態によって、チェーンは軽量化され、コスト的にも好ましいものとなる。さらにまた、チェーンを合成樹脂にすることによって、チェーンまたはシャーシキャリアにおける摩耗が少なくなる。利用される合成樹脂のタイプに応じて、これは、側面のスライド要素において特にスリップ機能を放棄することが可能であるようなスリップ特性を示す。また、少なくとも部分的に合成樹脂からなる外リンクプレートおよび/または内リンクプレートが軽量であるので、組立てまたは分解が容易となる。
【0006】
さらにまた、外リンクプレートおよび/または内リンクプレートはボルト上に可動に設けられ、チェーンはボルト上に設けることが可能なロックリングを有し、したがって、外リンクプレートおよび/または内リンクプレートを容易に組立ておよび/または分解可能となる。
【0007】
請求項8に従えば、チェーンは、複数のローラを有し、これら複数のローラは、外リンクプレートおよび/または内リンクプレートよりも少なくとも一方側においては突出しており、チェーンはブッシュを有さず、特に、ジョイントブッシュを有さず、ローラは、各ボルト上またはボルトのいくつかの上に設けられる。技術水準から知られるローラチェーンの場合に用いられるブッシュが不要であることによって、チェーンの重量と製造コストが低下する。
【0008】
かかるチェーンの場合、外リンクプレートおよび/または内リンクプレートは、特に合成樹脂、またはたとえば鋼などの金属から成るものであってもよい。
【0009】
さらにまた、外リンクプレートおよび/または内リンクプレートは直角に曲がって形成されてもよく、特に、外リンクプレートおよび内リンクプレートは同一に形成されてもよい。こうすることによって、チェーンの安定性が高められ、さらに、チェーンの厚みが、互いに結合された状態において横方向に低下される。外リンクプレートと内リンクプレートが互いに部分的に重なるからである。同一に形成された外リンクプレートと内リンクプレートの場合、さらに製造コストを低下させることができる。
【0010】
さらにまた、ローラの内側にはスライドベアリング、特に、金属または非金属、好ましくは合成樹脂から成るスライドベアリングが設けられ、または、少なくとも1つのピンブッシュまたはボールベアリングを設けてもよい。これによって、考慮されていないブッシュの場合であっても、ローラの回転が保証される。
【0011】
好ましくは、チェーンは潤滑剤不要に、および/または保守不要に形成される。また、これは、外リンクプレートおよび/または内リンクプレートの合成樹脂の適切な特性によって達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】発明に従ったチェーンの側面図である。
【図2】図1に従ったチェーンの平面図である。
【図3】図1に従ったチェーンの正面図である。
【図4】図1に従ったチェーンの一部が切断された斜視図である。
【図5】図1に従ったチェーンのボルトについての斜視図である。
【図6】図1に従ったチェーンの外リンクプレートの前面斜視図である。
【図7】図6に従った外リンクプレートの背面斜視図である。
【図8】図1に従ったチェーンの内リンクプレートの前面斜視図である。
【図9】図8に従った内リンクプレートの背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のさらなる特徴と利点は、添付の図を参照した好ましい実施実施の形態についての以下の説明によって明らかになるであろう。
【0014】
図1〜図4に示される、本発明に従ったチェーンの実施の形態は、外リンクプレート1と、内リンクプレート2と、それぞれ、2つの外リンクプレート1と2つの内リンクプレート2とを貫通して突出するボルト3(図3参照)と、ボルト3上に設けられるローラ4とを有する。この場合、ローラ4は、使用位置においては外リンクプレート1および内リンクプレート2よりも突出している(これについては特に、図1および図3を参照)。チェーンの長手方向においては、または図1および図2においては左から右において、チェーンのそれぞれの側で外リンクプレート1は内リンクプレート2と交互に配列されている。この場合ボルト3はチェーンの両側のそれぞれの側で、外リンクプレート1を内リンクプレート2に結合している。同時に各ボルト3は、たとえば図3におけるチェーン左側を、図3におけるチェーン右側と結合している。
【0015】
外リンクプレート1と内リンクプレート2とは、特に、合成樹脂から成るものとすることができる。高い耐摩耗性と高い摺動性とに関して特に良好な特性を有する合成樹脂としては、ポリオキシメチレン(POM)またはポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。しかしながら、他の合成樹脂を用いることも可能である。さらにまた、少なくとも部分的に金属から成る外リンクプレート1と内リンクプレート2とであってもよい。
【0016】
図6〜図9から詳細に示される外リンクプレート1と内リンクプレート2とは、それぞれ2つの貫通孔5,6,7,8を有し、ボルト3は、かかる貫通孔5,6,7,8を通過して延びることが可能である。外リンクプレート1と内リンクプレート2とは直角に曲がって形成され、したがって、貫通孔5,6,7,8を取り囲む結合領域9,10,11,12は、外リンクプレート1および内リンクプレート2の中央部分13,14より後退している。これによって外リンクプレート1と内リンクプレート2とは、横方向に互いに結合された状態において比較的場所をとらない。互いに部分的に重なるからである。これは図2の平面図から見て取れる。
【0017】
図示された実施の形態の場合、外リンクプレート1は内リンクプレート2とは異なって形成されている。しかしながら、外リンクプレート1内リンクプレート2とは全く同じに形成されてもよく、したがって、一面において一つの射出成形金型の利用で済むために製造コストが低く、他方、収容コストも低下する。
【0018】
外リンクプレート1も内リンクプレート2も複数の穴15を有し、これらが軽量化に寄与している。
【0019】
貫通孔5,6,7,8は、使用状態における垂直方向に関して、外リンクプレート1および内リンクプレート2に偏心して設けられ、したがって、ボルト3上に配設されるローラ4は、上方ではなく、下方に外リンクプレート1と内リンクプレート2とを越えて突出している(図1および図3参照)。
【0020】
図から明らかなボルト3は、たとえば鋼などの金属から成るものであってもよく、また合成樹脂から成るものであってもよい。ボルト3は、中央部16とそれに続く2つの外方部17とを有する。中央部16は、外方部17よりも大きな外径を有する。
【0021】
外方部17はチェーンが組立てられた状態において、外リンクプレート1および内リンクプレート2の貫通孔5,6,7,8を通過して延びる。この場合、貫通孔5,6,7,8の内径は、外方部17の外径よりも大きく、したがって、外リンクプレート1と内リンクプレート2とは、ボルト3の外方部17上に固定されずに配設される。
【0022】
外方部17の外縁領域においては、回転溝18が設けられ(図5参照)、該溝内に、外リンクプレート1と内リンクプレート2とをボルト3上に保持するために、ロックリング19を組込むことが可能である(図1および図4参照)。
【0023】
ローラ4は、たとえば鋼などの金属から成るものであってもよく、合成樹脂から成るものであってもよい。ローラ4の内側には、スライドベアリング20が設けられ(図4参照)、金属または非金属、好ましくは合成樹脂から成るスライドベアリングとして形成することができる。また、ローラ4の内側には、ピンブッシュまたはボールベアリングを設けてもよい。
【0024】
図示されたチェーンの場合、ローラ4はスライドベアリング20を介してボルト3上に置かれる。しかしながら、ローラ4とボルト3との間には図示されていないベアリングブッシュを設けることも可能である。その場合、ボルト3の中央部16の外径は、外方部17の外径と同じにすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーン、特にシャーシキャリアまたは物品の搬送のための搬送チェーンであって、
外リンクプレート(1)と内リンクプレート(2)との組と、
外リンクプレート(1)と内リンクプレート(2)との組を互いに結合するボルト(3)と、
を有し、
外リンクプレート(1)および/または内リンクプレート(2)は、少なくとも部分的に合成樹脂からなることを特徴とするチェーン。
【請求項2】
チェーンは複数のローラ(4)を有し、該ローラ(4)は、各ボルト(3)またはボルト(3)のいくつかの上に設けられ、外リンクプレート(1)および/または内リンクプレート(2)よりも少なくとも一方側において突出していることを特徴とする請求項1に記載のチェーン。
【請求項3】
チェーンはブッシュを有し、該ブッシュは、それぞれボルト(3)上に配設されることを特徴とする請求項1または2に記載のチェーン。
【請求項4】
ローラ(4)は合成樹脂または金属、特に鋼から成ることを特徴とする請求項2または3に記載のチェーン。
【請求項5】
ボルト(3)は合成樹脂または金属、特に鋼から成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のチェーン。
【請求項6】
ブッシュは合成樹脂または金属、特に鋼から成ることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のチェーン。
【請求項7】
外リンクプレート(1)および/または内リンクプレート(2)は、ボルト(3)上に可動に設けられていることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載のチェーン。
【請求項8】
チェーンは複数のローラ(4)を有し、該ローラ(4)は、外リンクプレート(1)および/または内リンクプレート(2)よりも、少なくとも一方側において突出し、チェーンはブッシュを有さず、特に、ジョイントブッシュを有さず、ローラ(4)は、各ボルト(3)上またはボルト(3)のいくつかの上に設けられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の、または請求項1の上位概念に従ったチェーン。
【請求項9】
外リンクプレート(1)および/または内リンクプレート(2)は合成樹脂または金属、特に鋼から成ることを特徴とする請求項8に記載のチェーン。
【請求項10】
ローラ(3)は合成樹脂または金属、特に鋼から成ることを特徴とする請求項8または9に記載のチェーン。
【請求項11】
ボルト(3)は合成樹脂または金属、特に鋼から成ることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のチェーン。
【請求項12】
外リンクプレート(1)または内リンクプレート(2)は、ボルト(3)上に固定されることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載のチェーン。
【請求項13】
外リンクプレート(1)および/または内リンクプレート(2)は、ボルト(3)上に可動に設けられることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載のチェーン。
【請求項14】
内リンクプレート(2)間のボルト(3)は、外リンクプレート(1)および/または内リンクプレート(2)の領域におけるよりも大きな直径を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のチェーン。
【請求項15】
内リンクプレート(2)間のボルト(3)は、外リンクプレート(1)および/または内リンクプレート(2)の領域と同じ直径を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のチェーン。
【請求項16】
ローラ(4)の内側には、スライドベアリング(20)が設けられ、特に、金属または非金属、好ましくは合成樹脂から成るスライドベアリング、または少なくともピンブッシュもしくは少なくともボールベアリングが設けられることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のチェーン。
【請求項17】
外リンクプレート(1)および/または内リンクプレート(2)は直角に曲がって形成され、特に外リンクプレート(1)と内リンクプレート(2)とは同一に形成することができることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載のチェーン。
【請求項18】
チェーンは潤滑剤不要に、および/または保守不要に形成されることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載のチェーン。
【請求項19】
外リンクプレート(1)および/または内リンクプレート(2)は合成樹脂から成り、側部のスライド要素、特に、スライドレールを不要とすることができることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載のチェーン。
【請求項20】
チェーンは、ボルト(3)上に組込まれたロックリング(19)を有し、外リンクプレート(1)および/または内リンクプレート(2)は簡単に組立て、および/または分解が可能であることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載のチェーン。
【請求項21】
外リンクプレート(1)および/または内リンクプレート(2)の合成樹脂は、適切な摺動特性を有することを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に記載のチェーン。
【請求項22】
外リンクプレート(1)および/または内リンクプレート(2)の合成樹脂は、ポリオキシメチレン(POM)またはポリエチレンテレフタレート(PET)であることを特徴とする請求項1〜21のいずれか1項に記載のチェーン。
【請求項23】
チェーンは、ローラチェーンとして形成され、その場合、特にボルト(3)は、外リンクプレート(1)および/または内リンクプレート(2)内に偏心されて設けられることを特徴とする請求項1〜22のいずれか1項に記載のチェーン。
【請求項24】
チェーンは、ガレチェーンまたはブッシュチェーンとして形成されることを特徴とする請求項1〜23のいずれか1項に記載のチェーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−540380(P2010−540380A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528300(P2010−528300)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際出願番号】PCT/EP2008/008379
【国際公開番号】WO2009/046941
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(509032933)ケッテン−ヴルフ ベトリーブス−ゲーエムベーハー (5)
【氏名又は名称原語表記】Ketten−Wulf Betriebs−GmbH
【Fターム(参考)】