説明

チェーンコンベア装置

【課題】 比較的重量のある被搬送物を搬送する場合でも搬送の安定性が良好であるとともに低背化が可能で、かつ高い安全性を維持することができるチェーンコンベア装置を提供する。
【解決手段】 駆動軸11と従動軸12とを有し、両軸11,12の互いに対向する位置にはそれぞれスプロケット17,18が設けられるとともに、互いに対向するスプロケット17,18の間にチェーン19が掛け渡されている。また、チェーン19の走行方向に沿って複数の載置プレート22が互いに隣接した状態で左右のチェーン19間に渡って取り付けられ、チェーン19よりも内側の箇所には、各載置プレート22を下側から支受する一対の支受部材26がチェーン19の走行方向に沿って敷設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的重量の大きい被搬送物を搬送するのに好適なチェーンコンベア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、荷物その他の被搬送物を搬送する搬送装置としてローラコンベアが広く使用されている。例えば、車両を洗浄する洗車装置においては、門型の洗車機本体が設置されるとともに、上記洗車機本体内の洗車空間に被搬送物としての車両を搬入、搬出するためのローラコンベアが地面に設置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、工場の生産ライン等における材料や物品の搬送用としては、被搬送物載置用のトッププレートが取り付けられたトップチェーンと、トッププレートの移動をガイドするガイドレールとを備えたトップチェーンコンベア装置が広く採用されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平7−32985号公報
【特許文献2】特開2003−267539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているようなローラコンベアは、ローラ同士の間に隙間があるため、例えば、洗車装置として使用する場合、ローラ同士の隙間に子供の足が挟まったり、女性のヒールが入り込んだりして怪我の原因となり易く、安全面で問題があった。しかも、洗浄液の噴射が不可欠なので、ローラが洗浄液で濡れて滑りやすくなり、作業の安全面にも問題がある。しかも、ローラが洗浄液で濡れてスリップすると、安定した車両の搬送が行い難いという問題もある。
【0005】
また、特許文献2に記載されているようなトップチェーンコンベア装置は、上記のローラコンベアのような不具合は生じないものの、チェーン自体が大きく、かつ、チェーンを構成するピンリンクプレートおよびローラリンクプレートのそれぞれにトッププレートが取り付けられているので、トッププレートの幅がチェーンのピンリンクプレートおよびローラリンクプレートの長さよりも短い。このため、必然的にトッププレートの幅が小さくなり、その結果、被搬送物の重量が比較的大きい場合、例えば重い車両がトッププレートの上に載った場合には、トッププレートが容易に撓んで、被搬送物の移動がスムーズに行えず、安定した車両の搬送が行い難く、搬送の安定性が低下する問題がある。
【0006】
さらに、ベルトコンベアで搬送することも考えられるが、この場合もトップチェーンコンベアの場合と同様、比較的重量が大きい場合、コンベアベルトの移動がスムーズに行えず、搬送の安定性が低下する。特に、洗車装置として使用する場合、洗浄液で駆動ロールが濡れると、駆動ロールとコンベアベルトとの間がスリップして安定した搬送ができないという問題がある。駆動ロールとコンベアベルト間のスリップを防止するためには、駆動ロールの直径を大きくする必要があり、深いピットが必要で工費が嵩む問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、比較的重量の大きな被搬送物を安定して搬送することができるとともに、低背化が可能で、かつ安全性を十分に確保したチェーンコンベア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のチェーンコンベア装置は、第1軸と第2軸とが並列して配置され、上記第1軸には所定間隔を隔てて少なくとも2つのスプロケットが設けられ、上記第2軸には上記第1軸のスプロケットに対向する位置にスプロケットが設けられ、互いに対向する第1軸のスプロケットと第2軸のスプロケットとの間にそれぞれチェーンが掛け渡され、上記第1軸および第2軸と実質的に平行に配置された複数の載置プレートが上記チェーンの走行方向に沿って互いに隣接した状態で上記の各チェーン間に渡って取り付けられ、上記チェーンよりも内側の箇所には、各載置プレートを下側から支受する少なくとも一対の支受部材がチェーンの走行方向に沿って敷設されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
チェーン19とスプロケット17,18の噛合いによって動力伝達されてチェーン19に取り付けられた載置プレート22が移動し、しかも、載置プレート22はチェーン19の走行方向に沿って敷設された少なくとも一対の支受部材26によって下側から支受されているため、載置プレート22上に車両等の比較的重量の大きい被搬送物が載置された場合でも、その荷重を十分支えることができる。しかも、チェーン19とスプロケット17,18の噛合いによって動力伝達されることから、チェーンコンベア装置2が洗浄液で濡れてもスリップすることなくチェーン19によって載置プレート22が確実に走行される。したがって、被搬送物を安定して搬送することができる。また、従来のようなローラやベルトなどの部品は不要なので、チェーンコンベア装置2の低背化が可能であり、このチェーンコンベア装置2を、例えば洗車装置に適用する場合、ピットも不要となり、設置工事を大幅に簡略化することができる。
【0010】
本発明のチェーンコンベア装置は、チェーンとスプロケットの噛合いによって動力伝達されてチェーンに取り付けられた載置プレートが移動し、しかも、載置プレートはチェーンの走行方向に沿って敷設された少なくとも一対の支受部材によって下側から支受されているため、載置プレート上に比較的重量の大きい被搬送物が載置された場合でも、被搬送物を安定して搬送することができる。また、ローラやベルトなどの部品は不要なので、低背化が可能であり、したがって、このチェーンコンベア装置を、例えば洗車装置に適用する場合、ピットも不要となり、設置工事が大幅に簡略化する。
【0011】
しかも、各載置プレートはチェーンの走行方向に沿って互いに隣接して取り付けられているので、載置プレート同士の隙間に足やヒールが挟まることがなく、コンベアの安全性を十分に確保することが可能となる。
【0012】
本発明のチェーンコンベア装置において、載置プレートには、上記支受部材と摺接する表面に摺接用プレートが貼設されている場合には、載置プレート上に比較的重量の大きい被搬送物が載置された場合でも、摺動面の摩擦抵抗を小さくすることができ、載置プレートは支受部材に支受された状態でスムーズに移動する。このため、被搬送物を安定して搬送することができる。
【0013】
本発明のチェーンコンベア装置において、載置プレートは、一つのリンクプレートを中心としてその前後のリンクプレートに渡る幅寸法を有している場合には、チェーンとスプロケットとの噛み合いに何ら支障を生じることなく載置プレートの幅寸法を大きく確保することができる。このため、十分な強度を維持することができ、被搬送物が重量物であっても安定して搬送することが可能となる。
【0014】
本発明のチェーンコンベア装置において、支受部材の載置プレートとの摺接表面が無給油軸受材で構成されている場合には、メンテナンスが容易になるだけでなく、両者間の摺動面の摩擦抵抗を小さくすることができるため、被搬送物をスムーズに搬送することができる。
【0015】
本発明のチェーンコンベア装置において、支受部材は、断面L字状のアングル部材であって、その横片が互いに対向するように配置されている場合には、支受部材に荷重が加わった場合に、横片がやや下方に傾斜するように僅かにたわみ、その結果、載置プレートのたわみに沿うようになるため、荷重を確実に支受するとともに、載置プレートの移動に支障を生じることがない。また、支受部材の支受面や載置プレートの偏磨耗を防止する。
【0016】
本発明のチェーンコンベア装置は、各支受部材の縦片が第1軸および第2軸に実質的に平行なシャフト部材に固定され、シャフト部材はベースに対して回動可能に取り付けられている場合には、チェーンの走行方向における載置プレートの傾斜に追従して支受部材が傾斜する。このため、荷重を確実に支受するとともに、載置プレートの移動に支障を生じることがない。また、支受部材の支受面や載置プレートの偏磨耗を防止する。
【0017】
本発明のチェーンコンベア装置において、支受部材の非設置箇所には、載置プレートの支受部材との摺接表面を払拭する払拭部材が配置されている場合には、この払拭部材によって載置プレートと支受部材の摺接表面間に異物が噛み込むのが事前に防止される。したがって、載置プレートは支受部材に支受された状態で常にスムーズに移動して、被搬送物を安定して搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明のチェーンコンベア装置を洗車装置に適用した場合の実施の形態について説明する。
【0019】
[第1の実施の形態]
図1は洗車装置の全体を示す斜視図、図2は洗車装置に適用された本発明のチェーンコンベア装置の平面図、図3は同チェーンコンベア装置の側面図、図4は同チェーンコンベア装置の一部を拡大して示す平面図、図5は同チェーンコンベア装置の一部を拡大して示す正面断面図、図6は載置プレート付きのチェーンが駆動軸側のスプロケットに噛合う状態を示す側面図、図7は載置プレート付きのチェーンが従動軸側のスプロケットに噛合う状態を示す側面図である。また、図8はチェーンに載置プレートを取り付けた状態を示す平面図、図9はその側面図、図10は支受部材の取り付け状態を示す正面断面図、図11は図5の符号Xで示す部分を拡大して示す断面図、図12は載置プレートを幅方向に沿って切断した断面図である。さらに、図13は従動軸と同心状に配置された払拭部材の縦断面図、図14はチェーン押さえ用のスプロケットと支軸の部分を拡大して示す正面断面図、図15は載置プレートを上方に押し上げた状態を保つための支えローラの部分を拡大して示す正面断面図である。
【0020】
図1ないし図3に示すように、この洗車装置は、正面視で全体に門型を呈した洗車機本体1と、この洗車機本体1の内部の洗車空間内に車両を搬送するためのチェーンコンベア装置2とを備えて構成されている。
【0021】
上記洗車機本体1は、その内部に洗浄水を噴射する洗浄水噴射器3、洗剤を噴射する洗剤噴射器4、車両の天井部を洗浄するためのトップブラシ5、および車両の側面を洗浄するためのサイドブラシ6等を備え、チェーンコンベア装置2により搬送される車両を洗浄するようになっている。
【0022】
上記チェーンコンベア装置2は、左右一対のチェーンコンベア2a,2bを備えるとともに、車両を各チェーンコンベア2a,2b上に載せる際に車輪を案内する傾斜板7が設けられている。
【0023】
チェーンコンベア2a,2bは共に同じ構造であって、前後端部が図示しない連結板で連結されており、これによって、各チェーンコンベア2a,2b相互間の距離を維持するとともに、後述の駆動軸11に対して余分な負荷をかけずに組み付け精度を維持するようになっている。そして、洗車機本体1で車両を洗浄する際に、各チェーンコンベア2a,2bに4輪車の左右の車輪がそれぞれ載置されることにより、車両が前方または後方に搬送される。
【0024】
各チェーンコンベア2a,2bは、第1軸としての駆動軸11と第2軸としての従動軸12とが、車両の搬送方向に沿って延設された断面C字形の左右一対のベース13の両端に回動可能に支持されて互いに並列している。そして、各ベース13はアンカーボルト14でコンクリート等の基礎に固定されている。また、各チェーンコンベア2a,2bの駆動軸11同士はカップリング15を介して互いに連結されるとともに、一方のチェーンコンベア2aの駆動軸11には、その外側に配置された駆動モータ16に連結されている。したがって、この単一の駆動モータ16によって、両チェーンコンベア2a,2bの駆動軸11が共に同期して回転駆動される。このように、この第1の実施の形態のチェーンコンベア装置2は、駆動モータが1つですむのでコスト面のメリットがあるほか、両チェーンコンベア2a,2bの駆動を完全に同期させることができるので、搬送の安定性も向上する。
【0025】
そして、各チェーンコンベア2a,2bの駆動軸11の左右両端にはそれぞれスプロケット17が設けられ、また、従動軸12には駆動軸11のスプロケット17に対向する位置にスプロケット18が設けられている。そして、駆動軸11と従動軸12の互いに対向する各スプロケット17,18の間にそれぞれチェーン19が掛け渡されている。
【0026】
さらに、上記駆動軸11および従動軸12と実質的に平行に配置された複数の載置プレート22がチェーン19の走行方向に沿って互いに隣接した状態で左右のチェーン19間に渡って取り付けられている。これにより、駆動モータ16の回転により各チェーンコンベア2a,2bの駆動軸11が回転し、これに伴って各スプロケット17,18に噛み合ったチェーン19が駆動されてこれに取り付けられた載置プレート22が移動する。
【0027】
この場合、図8および図9に示すように、チェーン19は、ローラリンクプレート19aとピンリンクプレート19bとが順次交互に連結されたもので、各リンクプレート19a,19bの横方向外方に屈曲して張り出したフランジ部に載置プレート22がねじ23で取り付けられている。この場合、各載置プレート22は、一つのリンクプレートを中心としてその前後のリンクプレートに渡る幅寸法wを有している。このため、一つのリンクプレートに載置プレート22が取り付けられたときには、これから3つ離れたリンクプレートに次の載置プレート22が取り付けられる。例えば、ある一つのローラリンクプレート19aに載置プレート22が固定されているときには、これから3つ離れたピンリンクプレート19bに次の載置プレート22が固定され、さらに、これから3つ離れたローラリンクプレート19aに次の載置プレート22が固定される。
【0028】
そして、図11に示すように、各載置プレート22の底面の後述する支受部材26と摺接する箇所にはステンレス鋼板等でできた摺接用プレート24がリベット25で貼設されている。さらに、各載置プレート22の底部の支受部材26よりも内方の箇所には、幅方向の左右に補強用のフランジ部22aが形成されている。
【0029】
このように、載置プレート22は、一つのリンクプレート例えばローラリンクプレート19aを中心としてその前後のピンリンクプレート19bに渡る幅寸法wを有しているので、チェーン19とスプロケット17,18との噛み合いに何ら支障を生じることなく載置プレート22の幅寸法wが大きく確保され、しかも、載置プレート22の底部中央側にはフランジ部22aが形成されているので、これによって重量物に耐え得るように載置プレート22自体の強度が高められている。
【0030】
また、各チェーンコンベア2a,2bには、左右のチェーン19よりも内側の部分に、各載置プレート22を下側から支受する左右一対の支受部材26がチェーン19の走行方向に沿って敷設されている。
【0031】
すなわち、図10および図11に示すように、各支受部材26は、断面L字状のアングル部材であって、その横片26aが互いに対向するように配置されるとともに、各横片26aの載置プレート22との摺接表面に無給油軸受材27が皿ねじ28で取り付けられている。したがって、この無給油軸受材27と載置プレート22に取り付けられた摺接用プレート24とがチェーン19の走行によって互いに摺接する際に、両者24,27間の摺動面の摩擦抵抗が小さくなるため、載置プレート22は支受部材26に支受された状態でスムーズに移動して車両を安定して搬送することができる。
【0032】
また、支受部材26の縦片26bは、駆動軸11および従動軸12に実質的に平行なシャフト部材29に溶接などによって一体固定されており、各シャフト部材29は前述のベース13に回動可能にナット30で取り付けられている。
【0033】
このように、各チェーンコンベア2a,2bは、載置プレート22自体の強度が高められているとともに、各載置プレート22は左右の支受部材26によって支受されているので、車体のような重量物が載置された場合でも十分な強度を維持することができ、重量物を安定して搬送することができる。しかも、支受部材26の横片26aは互いに対向するように配置されているので、載置プレート22を通じて支受部材26に荷重が加わった場合には、横片26aがやや下方に傾斜するようにたわみ、その結果、載置プレート22のたわみに沿うようになるため、荷重を確実に支受するとともに、載置プレート22の移動に支障を生じることがない。さらに、支受部材26の縦片26bはシャフト部材29に固定され、このシャフト部材29がベース13に回動可能に支持されているので、チェーン19の走行方向における載置プレート22の傾斜に追従して僅かに支受部材26が傾斜する。このため、荷重を確実に支受するとともに、載置プレート22の移動に支障を生じることがなく有利である。
【0034】
さらに、各チェーンコンベア2a,2bは、左右の各支受部材26の非設置箇所、すなわち、この第1の実施の形態では、図7および図13に示すように、各支受部材26の延長線上で、かつ、支受部材26が途切れる従動軸12側の位置に、当該従動軸12と同軸状にスポンジやブラシ等でできた筒状の払拭部材33が配置されている。そして、この払拭部材33が回り止め棒34を介して支受部材26の縦片26bの一端に固定されている。
【0035】
このように、払拭部材33を設けることによって、洗車時に載置プレート22に固定された摺接用プレート24の底面に泥や砂などの異物が付着していても、摺接用プレート24が無給油軸受材27と摺接する前に、この払拭部材33によって異物が払拭されるため、摺接用プレート24と無給油軸受材27との摺接面間に異物が噛み込むのが事前に防止される。これにより、載置プレート22は、支受部材26に支受された状態で常にスムーズに移動して、被搬送物としての車両を安定して搬送することができる。
【0036】
また、各チェーンコンベア2a,2bは、図3および図14に示すように、駆動軸11と従動軸12との略中間位置に、各チェーン19を上側から押さえてチェーン19の張力を保つための左右一対のスプロケット35が設けられている。そして、各スプロケット35は支軸36に固定され、この支軸36の両端部が左右のベース13に設けられた上下調節機構37に取り付けられており、上下調節機構37で支軸36を上下移動させることによりチェーン19の張力が調節できるようになっている。つまり、支軸36をスプロケット35と共に下げるとチェーン19の張力が高くなり、支軸36をスプロケット35と共に上げるとチェーン19の張力が低くなる。
【0037】
さらに、図3および図15に示すように、駆動軸11と従動軸12の各近傍位置、および上下調節機構37の近傍位置には、それぞれチェーン19に固定された載置プレート22が地面に接触しない状態を保つための支えローラ38が配置されており、各支えローラ38がベース13に回動可能に支持されている。そして、各支えローラ38の載置プレート22との摺接箇所には、ゴム製のクッション材39が被着されている。
【0038】
上記構成の洗車装置では、まず、車両の左右の車輪が傾斜板7からそれぞれ左右のチェーンコンベア2a,2bに乗るように車両を移動させる。そして、駆動モータ16を回転させることにより、各コンベア2a,2bの駆動軸11を介してスプロケット17を回転させる。すると、チェーン19が駆動されて載置プレート22が移動するとともに、従動軸12側もチェーン19の動きによりスプロケット18が回転して従動軸12が回転する。このように、チェーンコンベア装置2を使用することで、車両を移動させながら洗車機本体1により車両の洗浄を行うことができる。
【0039】
以上のように、この第1の実施の形態のチェーンコンベア装置2は、チェーン19とスプロケット17,18の噛合いによって動力伝達されてチェーン19に取り付けられた載置プレート22が移動し、しかも、載置プレート22はチェーン19の走行方向に沿って敷設された少なくとも一対の支受部材26によって下側から支受されているため、載置プレート22上に車両等の比較的重量の大きい被搬送物が載置された場合でも、その荷重を十分支えることができる。しかも、チェーン19とスプロケット17,18の噛合いによって動力伝達されることから、チェーンコンベア装置2が洗浄液で濡れてもスリップすることなくチェーン19によって載置プレート22が確実に走行される。したがって、被搬送物を安定して搬送することができる。また、従来のようなローラやベルトなどの部品は不要なので、チェーンコンベア装置2の低背化が可能であり、このチェーンコンベア装置2を、例えば洗車装置に適用する場合、ピットも不要となり、設置工事を大幅に簡略化することができる。
【0040】
しかも、各載置プレート22はチェーン19の走行方向に沿って互いに隣接して取り付けられているので、載置プレート22同士の隙間に足やヒールが挟まることがなく、安全性を十分に確保することが可能となる。
【0041】
また、載置プレート22には、上記支受部材26と摺接する表面に摺接用プレート24が貼設されているため、載置プレート22上に比較的重量の大きい被搬送物が載置された場合でも、摺動面の摩擦抵抗を小さくすることができ、載置プレート22は支受部材26に支受された状態でスムーズに移動する。このため、被搬送物を安定して搬送することができる。
【0042】
また、載置プレート22は、一つのリンクプレートを中心としてその前後のリンクプレートに渡る幅寸法を有しているため、チェーン19とスプロケット17,18との噛み合いに何ら支障を生じることなく載置プレート22の幅寸法を大きく確保することができる。このため、十分な強度を維持することができ、被搬送物が重量物であっても安定して搬送することが可能となる。
【0043】
また、支受部材26の載置プレート22との摺接表面が無給油軸受材27で構成されているため、メンテナンスが容易になるだけでなく、両者間の摺動面の摩擦抵抗を小さくすることができるため、被搬送物をスムーズに搬送することができる。
【0044】
また、支受部材26は、断面L字状のアングル部材であって、その横片26aが互いに対向するように配置されているため、支受部材26に荷重が加わった場合に、横片26aがやや下方に傾斜するように僅かにたわみ、その結果、載置プレート22のたわみに沿うようになるため、荷重を確実に支受するとともに、載置プレート22の移動に支障を生じることがない。また、支受部材26の支受面や載置プレート22の偏磨耗を防止する。
【0045】
また、各支受部材26の縦片26bが第1軸および第2軸に実質的に平行なシャフト部材29に固定され、シャフト部材29はベース13に対して回動可能に取り付けられているため、チェーン19の走行方向における載置プレート22の傾斜に追従して支受部材26が傾斜する。このため、荷重を確実に支受するとともに、載置プレート22の移動に支障を生じることがない。また、支受部材26の支受面や載置プレート22の偏磨耗を防止する。
【0046】
また、支受部材26の非設置箇所には、載置プレート22の支受部材26との摺接表面を払拭する払拭部材が配置されているため、この払拭部材によって載置プレート22と支受部材26の摺接表面間に異物が噛み込むのが事前に防止される。したがって、載置プレート22は支受部材26に支受された状態で常にスムーズに移動して、被搬送物を安定して搬送することができる。
【0047】
[第2の実施の形態]
図16および図17は、本発明のチェーンコンベア装置2を洗車装置に適用した場合の第2の実施形態を示すもので、図16は洗車装置の全体を示す斜視図、図17はその平面図である。
【0048】
この洗車装置は、車両走行路41の近傍に、車両走行路41と略平行して洗車領域42が確保され、この洗車領域42に洗車機本体43が設置されている。また、車両走行路41から洗車領域42に渡って連続した状態でチェーンコンベア装置2が敷設されている。
【0049】
すなわち、このチェーンコンベア装置2は、車両Mの前輪と後輪がそれぞれ載置される一対のチェーンコンベア2a,2bから構成されている。この場合、各チェーンコンベア2a,2bは、路面に浅いピットを設けて各チェーンコンベア2a,2bの載置プレート22の上面が路面と同じ高さになるようにしている。したがって、各チェーンコンベア2a,2bは、傾斜板7が省略されている以外は、図1ないし図15に示した第1の実施の形態の場合と同じ構成である。
【0050】
洗車機本体43は、チェーンコンベア装置2によって車両Mが車両走行路41に対して入出する部分が開放されており、この開放側と反対側には2本の支柱44が立設され、これらの支柱44の所定の高さ位置に四角形状のフレーム45が片持ち状に取り付けられている。そして、このフレーム45の洗車領域42の長手方向と略平行な左右一対の部分がガイドレール45aとされ、各ガイドレール45aに縦アーム46が摺動可能に設けられ、各縦アーム46が互いにリンク47で一体的に連結されている。そして、各縦アーム46およびリンク47の部分に洗浄液を噴射するノズルユニット48が配設されている。
【0051】
これにより、各縦アーム46がガイドレール45aに沿って移動しつつ、ノズルユニット48から洗浄液が噴射されることにより、洗車領域42内に移行された車両Mの前面部,上面部,後面部および横側面部が洗浄される。
【0052】
この装置によれば、チェーンコンベア装置2の車両走行路41側に位置する箇所に車両Mの前後輪が載置された状態でチェーンコンベア装置2の各チェーンコンベア2a,2bが駆動されると、車両Mは車両走行路41から洗車領域42内に移行される。その後、洗車装置が動作して洗車が実行されて洗車が終了すると、車両Mは再び車両走行路41側に送り戻される。
【0053】
このように、この洗車装置は、車両Mが車両走行路41の所定の箇所に停車した後、チェーンコンベア装置2によって洗車領域42内に導入されるだけであるから、洗車領域42内に入るために特別にスペースを確保する必要がなく、最小限のスペースで洗車設備を設置することが可能となる。また、チェーンコンベア装置2によって車両Mが洗車領域42内に移行されるので、狭い箇所で煩わしい幅寄せ運転等が不要となり、洗車時の運転操作が容易なものとなる。
【0054】
さらに、洗車領域42で停車状態になっている車両Mを洗車するので、洗車機本体43の設置スペースが最小化される。また、洗車装置は洗車領域42内に停車している車両Mに対して洗車機能を果たすものであるから、洗車装置の全体構造を簡素化することができる。その他の作用、効果は上記第1の実施形態と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0055】
[第3の実施の形態]
図18は、本発明のチェーンコンベア装置2をトラックの積み下ろし装置に適用した場合の第3の実施形態を示す斜視図である。
【0056】
この例では、トラック49の荷台の床面に本発明のチェーンコンベア装置2を据え付けたものである。そして、油圧で昇降するリフト50の荷台面にローラコンベア51を配置し、トラック49荷台のチェーンコンベア装置2とコンベアの上面が同じ高さになるように高さを調節し、上記チェーンコンベア装置2を稼動することによりトラック49の荷台への荷物の積み下ろしを行い得るようにしたものである。
【0057】
なお、本発明のチェーンコンベア装置2は、上述した洗車装置やトラックの積み下ろし装置に限定されるものではなく、被搬送物を搬送する必要がある用途に広く適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明のチェーンコンベア装置を洗車装置に適用した場合の第1実施形態の全体を示す斜視図である。
【図2】図1の洗車装置に適用された本発明のチェーンコンベア装置の平面図である。
【図3】同チェーンコンベア装置の側面図である。
【図4】同チェーンコンベア装置の一部を拡大して示す平面図である。
【図5】同チェーンコンベア装置の一部を拡大して示す正面断面図である。
【図6】載置プレート付きのチェーンが駆動軸側のスプロケットに噛合う状態を示す側面図である。
【図7】載置プレート付きのチェーンが従動軸側のスプロケットに噛合う状態を示す側面図である。
【図8】チェーンに載置プレートを取り付けた状態を示す平面図である。
【図9】チェーンに載置プレートを取り付けた状態を示す側面図である。
【図10】支受部材の取り付け状態を示す正面断面図である。
【図11】図5の符号Xで示す部分を拡大して示す断面図である。
【図12】載置プレートを幅方向に沿って切断した断面図である。
【図13】従動軸と同心状に配置された払拭部材の縦断面図である。
【図14】チェーン押さえ用のスプロケットと支軸の部分を拡大して示す正面断面図である。
【図15】載置プレートを上方に押し上げた状態を保つための支えローラの部分を拡大して示す正面断面図である。
【図16】本発明のチェーンコンベア装置を洗車装置に適用した場合の第2の実施形態を示す斜視図である。
【図17】上記の実施の形態2の洗車装置の平面図である。
【図18】本発明のチェーンコンベア装置をトラックの積み下ろし装置に適用した場合の第3の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
1 洗車機本体
2 チェーンコンベア装置
2a チェーンコンベア
2b チェーンコンベア
3 洗浄水噴射器
4 洗剤噴射器
5 トップブラシ
6 サイドブラシ
7 傾斜板
11 駆動軸(第1軸)
12 従動軸(第2軸)
13 ベース
14 アンカーボルト
15 カップリング
16 駆動モータ
17 スプロケット
18 スプロケット
19 チェーン
19a ローラリンクプレート
19b ピンリンクプレート
22 載置プレート
22a フランジ部
23 ねじ
24 摺接用プレート
25 リベット
26 支受部材
26a 横片
26b 縦片
27 無給油軸受材
28 皿ねじ
29 シャフト部材
30 ナット
33 払拭部材
34 回り止め棒
35 スプロケット
36 支軸
37 上下調節機構
38 支えローラ
39 クッション材
41 車両走行路
42 洗車領域
43 洗車機本体
44 支柱
45 フレーム
45a ガイドレール
46 縦アーム
47 リンク
48 ノズルユニット
49 トラック
50 リフト
51 ローラコンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸と第2軸とが並列して配置され、上記第1軸には所定間隔を隔てて少なくとも2つのスプロケットが設けられ、上記第2軸には上記第1軸のスプロケットに対向する位置にスプロケットが設けられ、互いに対向する第1軸のスプロケットと第2軸のスプロケットとの間にそれぞれチェーンが掛け渡され、
上記第1軸および第2軸と実質的に平行に配置された複数の載置プレートが上記チェーンの走行方向に沿って互いに隣接した状態で上記の各チェーン間に渡って取り付けられ、 上記チェーンよりも内側の箇所には、各載置プレートを下側から支受する少なくとも一対の支受部材がチェーンの走行方向に沿って敷設されていることを特徴とするチェーンコンベア装置。
【請求項2】
上記載置プレートには、上記支受部材と摺接する表面に摺接用プレートが貼設されている請求項1記載のチェーンコンベア装置。
【請求項3】
上記載置プレートは、一つのリンクプレートを中心としてその前後のリンクプレートに渡る幅寸法を有している請求項1または請求項2に記載のチェーンコンベア装置。
【請求項4】
上記支受部材は、少なくとも載置プレートとの摺接表面が無給油軸受材で構成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のチェーンコンベア装置。
【請求項5】
上記各支受部材は、断面L字状のアングル部材であって、その横片が互いに対向するように配置されており、この横片に上記無給油軸受材が取り付けられ、また、その縦片が固定部とされている請求項4記載のチェーンコンベア装置。
【請求項6】
上記各支受部材は、その縦片が上記第1軸および第2軸に実質的に平行なシャフト部材に固定されており、上記シャフト部材はベースに対して回動可能に取り付けられている請求項5記載のチェーンコンベア装置。
【請求項7】
上記支受部材の非設置箇所には、上記載置プレートの支受部材との摺接表面を払拭する払拭部材が配置されている請求項1〜6のいずれか一項に記載のチェーンコンベア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−7288(P2008−7288A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−180576(P2006−180576)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(504380574)
【Fターム(参考)】