説明

チケット処理装置

【課題】チケットの不正な引き出しを防止する。
【解決手段】固定軸170に回転自在に取り付けたニップローラ136と、ニップローラ136の固定軸170に対し所定距離離れ、かつ平行に配置された回動軸152に回動可能に取り付けられたベースプレート106に取付られ、ベースプレート106に取り付けられた電気モータ138により伝達機構を介して所定の速度で回転されるドライブローラとの周面間に易破断部を所定間隔で横断方向に配置したテープ状のチケットテープをニップさせることによりドライブローラの回転によりチケットテープを所定の速度で送り出すと共に、回動軸152とニップローラ136の周面間距離よりも回動軸152とドライブローラの周面間距離を大きく設定したことによるドライブローラのニップローラ136に対する圧接によってチケットテープの不正引き出しを阻止しつつ送り出しするようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チケットの処理装置に関する。
特に、ゲーム機等から発行されたチケットを、無理やり不正に引き出すことができないチケット処理装置に関する。
なお、本明細書で使用する「チケット」は、ゲーム機から払い出されたポイントチケット、乗車券、入園券、証券、クーポン等を包含する。
また、チケットは、本発明のチケット処理装置に装着した状態においては、易破断部を所定間隔で横断方向に配置したテープ状のチケット列であり、前記破断部に切断力を作用させることにより一枚ずつ分離可能としたものである。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術として、米国特許第4272001号が知られている。
この従来技術は、ドライブローラとアイドラローラとよりなるローラの組を一対配置し、それらローラの周面間に直線的に延在する連続するチケットを挟み込み、ドライブローラの駆動により所定の長さのチケットを送り出し、その送り出されたチケットを引きちぎることにより所定のチケットを払い出すようにしたものである。
この従来技術は、チケットが不正に引き出されないよう、チケットが無理に引かれた場合、ドライブローラが支持されているベースがその引き出しにより支軸を支点に回動され、ラチェットがドライブローラに一体的に形成されたラチェットホイールに係合してドライブローラの回転を停止させ、もってチケットが不正に引き出されることを防止している。
【0003】
第二の従来装置として、米国特許5370264号が知られている。
この従来技術は、ドライブローラとドリブンローラとの周面間に直線的に延在するチケットを挟み込み、当該ドライブローラをウォームギヤを介して駆動することによりチケットを引き込み、チケットが不正に引き出されることによるドライブローラの回転を前記ウォームギヤとウォームホイル間の摩擦力により阻止することにより、チケットが不正に引き出されることを防止している。
【0004】
第1の従来装置は、チケットが強制的に引かれることによるドライブローラの移動を利用してラチェットとラチェットホイールとを係合させてドライブローラをロックさせてチケットの不正引き出しを防止するものである。
この構造においては、ドライブローラが移動されなければドライブローラがロックされない。
第1の従来技術においては、チケットが直線的に延在するのでドライブローラの移動力は、チケットとドライブローラとの間の摩擦係数、接触面積及び接触圧力により決定される。
このため、ドライブローラ周面の摩耗や汚れにより摩擦係数が低下した場合、ドライブローラが移動しない程度にチケットを引っ張りつつ、ドライブローラに対しチケットを滑らせて引き出す不正を防止することができない。
第二の従来技術においても第1の従来技術と同様に、チケットが不正に引き出される恐れがある。
【0005】
【特許文献1】米国特許第4272001号(図1―5、第4―5頁)
【特許文献2】米国特許5370264号(図1―5、第5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1の目的は、チケットの不正な引き出しを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、本発明にかかるチケット処理装置は以下のように構成されている。
固定軸に回転自在に取り付けたニップローラと、前記ニップローラの固定軸に対し所定距離離れ、かつ平行に配置された回動軸に回動可能に取り付けられたベースプレートに取付られ、前記ベースプレートに取り付けられた電気モータにより伝達機構を介して所定の速度で回転されるドライブローラとの周面間に易破断部を所定間隔で横断方向に配置したテープ状のチケットテープをニップさせることによりドライブローラの回転により前記チケットテープを所定の速度で送り出すと共に、前記回動軸と前記ニップローラの周面間距離よりも前記回動軸と前記ドライブローラの周面間距離を大きく設定したことによる前記ドライブローラの前記ニップローラに対する圧接によって前記チケットテープの不正引き出しを阻止しつつ送り出しするようにしたチケット処理装置において、前記ドライブローラに前記チケットテープを四分の一周以上巻きつけ、前記ドライブローラに連動する回転体に前記ドライブローラの送り出し方向の回転を阻止する係止体、及び 前記係止体に対する係止可能位置と非係止位置とに電磁アクチュエータによって移動可能なロック装置を設け、前記ロック装置は前記電気モータの作動前に非係止位置に移動されることを特徴とするチケット処理装置である。
【発明の効果】
【0008】
この構成において、チケットが送り出される場合、電磁アクチュエータが励磁され、ロック装置は係止体の係止を解除する。
そして、電気モータによって伝動機構を介してドライブローラが回転され、ニップローラとの間に挟まれたチケットテープが送り出される。
所定のチケットテープが送り出された場合、電磁アクチュエータが消磁され、ロック装置が係止体と係止可能になる。
ドライブローラの回転によりロック装置が係止体を係止した場合、ドライブローラは回転できない。
この状態でチケットテープを引き出そうとした場合、チケットテープは前記ドライブローラに対し四分の一周以上巻きつけられているので、チケットテープが引かれた場合、ドライブローラは送り出し方向に移動される。
これにより、ドライブローラとニップローラの圧接力が増加し、チケットテープは不正な引き出しを防止される。
特に、チケットテープをドライブローラに四分の一周以上巻き付けることで摩擦力のみならず機械的にもドライブローラがニップローラに圧接されるので、確実に不正な引き出しを防止できる効果がある。
また、チケットテープのガイド手段を設けることでドライブローラに四分の一周以上巻き付けるので、安価に構成することができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の最良の形態は、固定軸に回転自在に取り付けたニップローラと、前記ニップローラの固定軸に対し所定距離離れ、かつ平行に配置された回動軸に回動可能に取り付けられたベースプレートに取付られ、前記ベースプレートに取り付けられた電気モータにより伝達機構を介して所定の速度で回転されるドライブローラとの周面間に易破断部を所定間隔で横断方向に配置したテープ状のチケットテープをニップさせることによりドライブローラの回転により前記チケットテープを所定の速度で送り出すと共に、前記回動軸と前記ニップローラの周面間距離よりも前記回動軸と前記ドライブローラの周面間距離を大きく設定したことによる前記ドライブローラの前記ニップローラに対する圧接によって前記チケットテープの不正引き出しを阻止しつつ送り出すようにしたチケット処理装置において、前記ニップローラは周面に平目ローレット加工された溝を有し、前記ドライブローラはゴム製Oリングにより周面が形成され、前記ドライブローラに前記チケットテープを四分の一周以上巻きつけ、前記ドライブローラ側面に固定した回転体に前記ドライブローラの送り出し方向の回転を阻止する係止体、及び 前記係止体に対する係止可能位置と非係止位置とに電磁アクチュエータによって移動可能なロック装置を設け、前記ロック装置は電気モータの作動前に非係止位置に移動されることを特徴とするチケット処理装置である。
【実施例】
【0010】
チケット処理装置100の概要が図1を参照して説明される。
本実施例のチケット処理装置100は、プライズゲーム機等に装着され、ゲームにおいて特典を獲得した場合、賞品として所定のチケットを獲得賞品のランクに応じた数、払い出す機能を有する。
チケット処理装置100は、大まかには、ゲーム機等に取り付けるためのフロントプレート102、第1ベースプレート104、第2ベースプレート106、ニップ搬送装置108、チケットテープガイド装置110、ロック装置112、カバー114及びチケット位置検知装置116を含んでいる。
【0011】
まず本発明に使用するチケット118が図15を参照して説明される。
チケット118は、縦長にテープ状に連続し、通常折り畳まれ、又はロール状に巻かれている。
このテープ状チケット列をチケットテープ120と称する。
チケット118は幅方向に横断する断続切り込み122によって一枚ずつ分離可能であるとともに、連続するチケット118に跨って前記断続切り込み122に連なる孔124が穿孔されている。
また、孔124の両サイドには、V状の切り欠き126が形成され、連なるチケット118をその長手方向に引っ張ることにより、切り欠き126を起点に断続切り込み122の接続部を容易に破断して分離することができる。
さらに、チケット118の表面及び/又は裏面には偽造防止のためのバーコード127が印刷されている。
チケット118を賞品と交換する場合、このバーコード127をバーコードスキャナ(図示せず)にかざすことにより、チケット118の真偽を判別できる。
【0012】
次にフロントプレート102が図1を参照して説明される。
フロントプレート102は、金属製の矩形板状体であって、四隅の貫通孔128を利用してゲーム機の筐体に垂立状態に固定される。
フロントプレート128の上部には、横長の払い出し口用開口132が形成されている。
【0013】
次に第1ベースプレート104及び第2ベースプレート106が図1〜3を参照して説明される。
第1ベースプレート104は、ほぼ矩形の板状体であり、フロントプレート102の背面側にフロントプレート102に対し直角に固定される。
第2ベースプレート106は、ほぼ台形状の板状体であり、第1ベースプレート104と平行に所定の間隔でフロントプレート102に固定されている。
これら第1ベースプレート104及び第2プレート106の間にニップ搬送装置108及びロック装置112が配置される。
【0014】
次にニップ搬送装置108が図2〜図8を参照して説明される。
ニップ搬送装置108は、チケットテープ120を後述の払出口212へ送り出す機能を有する。
ニップ搬送装置108は、ドライブローラ134及びニップローラ136により構成される。
【0015】
まず、ドライブローラ134を説明する。
ドライブローラ134は、後述の電気モータ138によって回転され、チケットテープ120を送り出す機能を有する。
ドライブローラ134は、円筒体140が回転軸142に固定され、当該円筒体140の外周面に所定の間隔で平行に断面半円形に形成された凹溝144A、144Bにリング状のゴム製Oリングにより形成された弾性摩擦接触体146A、146Bを嵌合することにより構成される。
凹溝144A、144Bの間には、所定間隔で円柱状の突起148が突出形成されている。
突起148は、本実施例では3であり、120度間隔で配置されている。
突起148は、チケットテープ120の孔124に進行可能である。ドライブローラ134とチケットテープ120とのズレ防止である。
しかし、ドライブローラ134とチケットテープ120との間にスリップを生じない場合、突起148は必須ではない。
回転軸142は、第1ベースプレート104及び第2プレート106の下部を貫通する固定軸152に回動自在に取り付けられた第1サポートプレート154及び第2サポートプレート156の上端部に回転自在に取り付けられている。
したがって、ドライブローラ134は固定軸152を支点に回動可能である。
第1ベースプレート104及び第2ベースプレート106から内向き横方向に突出する係止ピン158、162に弾性体であるスプリング164、166の一端をそれぞれ係止してある。
スプリング164、166の他端は、第1ベースプレート104及び第2ベースプレート106にそれぞれ端部を固定した第2固定軸168に係止してある。
これにより、第1サポートプレート154及び第2サポートプレート156はスプリング164、166によって図8において反時計方向に回転力を受けている。
【0016】
ニップローラ136を説明する。
ニップローラ136は、ドライブローラ134の周面にチケットテープ120を圧接する機能を有する。
ニップローラ136は、第1ベースプレート104及び第2ベースプレート106に固定された第3固定軸170に回転自在に設けられている。
固定軸170は、第1ベースプレート104及び第2ベースプレート106に対して固定という意味であって、回転してもよい。
ニップローラ136は、弾性摩擦接触体146A、146Bに相対する位置が同一の大経に形成され、それらの周面には平行ローレット171が形成され、セレーション状を呈している。
【0017】
図9に図示するように、第2固定軸152とドライブローラ134の周面距離L1と第2固定軸152とニップローラ136の第1周面距離L2とは、L2よりもL1の方が大きく構成してある。
この構成により、ドライブローラ134が払出口132に近づいた際、ドライブローラ134とニップローラ136の周面の圧接力を増加するためである。
この構成により、ドライブローラ134はスプリング164、166の弾発力によってニップローラ136の周面に所定の力で圧接される。
チケットテープ120はこの所定の力によってドライブローラ134とニップローラ136との間に挟持される。
【0018】
次にロック装置112が説明される。
ロック装置112は、ドライブローラ134を回転可能又は回転不能にする機能を有する。
よって、同じ機能を有する、実施例と異なる装置に変更することができる。
本実施例のロック装置112は、回転体171、係止体174及び電磁アクチュエータ176を含んでいる。
回転体171は本実施例では切欠板172である。
切欠板172は、その嵌合孔が後述のリング体222に嵌め合いされることにより位置出しされる。
切欠板172は、ドライブローラ134と同心にその左右の側面にそれぞれ固定され、周に同一間隔で係止切欠178が形成されている。
本実施例では係止切欠178は120度間隔で3個配置されている。
左右の係止切欠178は同一位相に形成される。
切欠板172は、左右どちらか一方でも可能であるが、偏加重を防止するためドライブローラ134の左右に配置するこが好ましい。
この係止切欠178はチケット118の長さ及びドライブローラ134の直径により決定されるが、装置の小型化のため本実施例のように120度毎に形成した3個にすることが好ましい。
【0019】
係止体174は、断面チャンネル形に形成した直状の棒体であって、その一端は第1ベースプレート104及び第2ベースプレート106に固定された第4固定軸182に回転自在に取り付けられている。
係止体174の先端は、係止切欠178に係合可能である。
係止体174の先端が係止切欠178の何れかに係合した場合、ドライブローラ134はチケットテープ120の送り出し方向の回転が不能とされる。
この位置が係止体174の係止位置RPである。
係止体174が係止位置RPに位置する場合、係止切欠178、係止体174及び第4固定軸182が一直線上に直列に位置することとなり、係止体174は突っ張り棒として機能するので、薄板板金性であっても十分な強度が確保される。
【0020】
次に電磁アクチュエータ176が説明される。
電磁アクチュエータ176は、係止体174を係止可能位置CP及び非係止位置NCPに移動させる機能を有する。
したがって、同様の機能を有する他の装置に変更することができる。
第1ベースプレート104及び第2ベースプレート106に固定された電磁ソレノイド184のアーマチャ186の外周にスプリング188が配置されている。
これにより、電磁ソレノイド184が励磁された場合、アーマチャ186がスプリング188の弾発力に反して引かれ、係止体174は切欠板172の外周から引き離された非係止位置NC(図9参照)に移動される。
電磁ソレノイド184が消磁された場合、スプリング188の弾発力によって係止体174は切欠板172の外周に接触させられ、係止切欠178と相対する場合、それらと係合する。
係止体174の先端と係止切欠178とがずれている場合、ドライブローラ134の回転によって係止切欠178がずれて相対することにより係止される。
係止切欠178の何れかが係止体174によって係止された場合、チケットテープ120の断続切り込み122が後述の払出口212に位置するよう設定される。
【0021】
次にドライブローラ134の駆動装置192が説明される。
駆動装置192は、ドライブローラ134をチケットテープ120の送り出し方向に所定の速度で回転させる機能を有する。
したがって、駆動装置192は同様の機能を有する実施例と異なる装置を採用することができる。
駆動装置192は電気モータ138及び伝達機構193を含んでいる。
伝達機構193は本実施例では伝動ギヤ列194である。
電気モータ138は、第1サポートプレート154と第2サポートプレート156との間に配置され、第1サポートプレート154に固定されている。
第1サポートプレート154の外方に突出した出力軸196にドライブギヤ198が固定されている。
ドライブローラ134の回転軸142の第1サポートプレート154の外方に突出した先端にドリブンギヤ200が固定されている。
これらドライブギヤ198とドリブンギヤ200とを第1サポートプレート154の外側に固定した伝動ギヤ列194によって駆動連結されている。
電気モータ138が正回転された場合、ドライブギヤ198から伝動ギヤ列194を介してドリブンギヤ200が回転され、回転軸142を介してドライブローラ134がチケットテープ120の送り出し方向に回転される。
【0022】
次にチケットテープガイド装置110が図8を参照して説明される。
チケットテープガイド装置110は、チケットテープ120をドライブローラ134に四分の一周以上巻き付ける、換言すれば四分の一周以上接触させる機能を有する。
したがって、チケットテープガイド装置110は同一機能を有すれば、実施例以外の装置を採用することができる。
じかし、実施例のチケットテープガイド装置110を採用した場合、構造簡単にして安価に構成できる利点がある。
【0023】
本実施例のチケットテープガイド装置110は、第1ガイドプレート202及び第2ガイドプレート204を含んでいる。
第1ガイドプレート202は、第1ベースプレート104から第2ベースプレート106に向かって所定量横方向に突出する板状体であって、ドライブローラ134と同心円状にドライブローラ134の軸線を通る水平線HL(図8)からニップローラ136の周面までドライブローラ134に対し狭い間隔で配置されている。
第2ガイドプレート204は、第2ベースプレート106から第1ベースプレート104に向かって所定量横方向に突出する板状体であって、ドライブローラ134と同心円状にドライブローラ134の軸線を通る水平線HLからニップローラ136の周面までドライブローラ134に対し狭い間隔で配置されている。
第1ガイドプレート202と第2ガイドプレート204の先端間には突起148が通過可能である。
チケットテープ120の入口側は、チケットテープ120の進行抵抗軽減のため円弧状部206が形成されている。
本実施例においては第1ガイドプレート202及び第2ガイドプレート204は、それぞれ第1ベースプレート104及び第2ベースプレート106に対し固定であるが、チケットテープ120を装着し易いよう、可動とすることができる。
【0024】
払出口体208が図7、8を参照して説明される。
払出口体208は、ニップ搬送装置108から送り出されたチケットテープ120を払出口212に案内する機能を有する。
払出口体208は、ニップローラ136とフロントプレート102との間に配置されたブロック体であって第1ベースプレート104及び第2ベースプレート106と一体に横梁状に形成され、チケット118の厚みの約3倍程度の厚みを有し、チケット118の幅よりも僅かに大きい幅に形成されたチケット通路214を有している。
チケット通路214のフロントプレート102側端部が払出口212である。
【0025】
ニップローラ136は図8に示すように、ドライブローラ134の頂部よりも払出口212側、換言すればフロントプレート102側に配置されているので、チケットテープ120はドライブローラ134の外周に四分の一以上巻き付けられている。
換言すれば、チケットテープ120はドライブローラ134の周面と四分の一周以上接触している。
さらに、チケットテープ120の延長戦CLは、固定軸152と回転軸142の軸心を結んだ直線の延長線ELに対し約60度の角度をなしているので、払出口212から突出しているチケット118が引き出し方向に引かれた場合、チケットテープ120全体でドライブローラ134を同方向に移動させるよう作用する。
これにより、ドライブローラ134はニップローラ136との圧接力が増加し、チケットテープ120は引き出すことができないため、破断強度が他よりも小さい断続切り込み122が破断し、払出口212から突出している一枚のチケット118のみが引きちぎられる。
なお、弧状部206に対し所定の間隔で弧状のガイドプレート216、218を第1ベースプレート104及び第2ベースプレート106からそれぞれ突出形成し、チケットテープ120を案内することが好ましい。
【0026】
次にカバー114が説明される。
カバー114は、伝動ギヤ列194、ドライブギヤ198、ドリブンギヤ200等をカバーする機能を有し、大凡三角形の鍋形に成形され、第2ベースプレート106に固定されている。
【0027】
次に、チケット位置検知装置116が図6を参照して説明される。
チケット位置検知装置116は、チケット118の一枚分が払出口212から払い出されたことを検知する機能を有する。
したがって、同様の機能を有する実施例と異なる他の装置に変更することができる。
本実施例のチケット位置検知装置116は、被検知体216と検知体218を含んでいる。
被検知体216は、円筒体138の側面から横向きに所定量突出したリング体222である。
リング体222には係止切欠178に対応して等間隔でスリット224が形成されている。
検知体218は投光部226と受光部228とがリング体222を間に挟んで対向配置された透過形光電センサである。
この構成により、投光部226からの投射光がリング体222によって遮断される場合、受光部228は受光せず非検知信号NSを出力し、スリット224を介して受光する場合検知信号DSを出力する。
検知体218が検知信号DSを出力する場合、断続切り込み122部が払出口212に位置する。
これにより、検知信号DSに基づいて電気モータ136を停止することにより、断続切り込み122部が払出口212に位置した状態で停止することができる。
【0028】
次にエンプティセンサ226を説明する。
エンプティセンサ226は、全てのチケット118が払い出されたことを検知する機能を有する。
したがって、実施例と異なる同一の機能を有する他の装置を採用することができる。
本実施例のエンプティセンサ226は、透過形光電センサ228であり、ドライブローラ134の頂部の側方に配置され、チケットテープ120の端部通路を投射光が横断するように構成されている。
換言すれば、払出口212の直前のチケット118一枚分が存在する場合、エンプティセンサ226は存在信号FSを出力し、存在しない場合エンプティ信号ESを出力する。
この構成により、光電センサ228の投射光はチケットテープ120が存在する場合、存在信号ESを出力し、存在しない場合非存在信号NSを出力する。
【0029】
次にロック状態検知装置232を図8を参照して説明する。
ロック状態検知装置232は、係止体174が係止位置RPに位置することを検知する機能を有する。
したがって、同一の機能を有する実施例と異なる装置を採用することができる。
ロック状態検知装置232は、係止体174の先端から下方に延在する被検知片234及び被検知片234が非係止位置NCP及び係止可能位置CPに位置する場合、非係止位置信号NRSを出力するロックセンサ236を含んでいる。
ロックセンサ236は、本実施例では透過型光電センサであって、第1ベースプレート104と第2ベースプレート106との間に掛け渡されたステー238に固定されている。
被検知片234は、係止体174が非係止位置NCP及び係止可能位置CPに位置する場合、ロックセンサ236の投射光を遮断するように設定される。
この構成により、被検知片234が非係止位置NCP及び係止可能位置CPに位置する場合、ロックセンサ236は非係止位置信号NRSを出力し、係止位置RPに位置する場合、投射光が遮断されないので係止位置信号RSを出力する。
【0030】
次に制御装置242を図12を参照して説明する。
制御装置242は、チケット処理装置100が内蔵される機器、例えばゲーム機の制御装置(図示せず)からチケット118の払出コマンドDCを受けて電気モータ138を起動させ、チケット位置検知装置116から払出数に相当する検知信号DSを受け取った場合、電気モータ138を停止させる機能を有する。
換言すれば、所定数の指定された枚数のチケット118を払出口212から送り出して停止させる機能を有する。
また、イニシャルセットスイッチ244が押された場合、検知体218から最初の検知信号DSが出力されるまで電気モータ138を回転させる。
換言すれば、チケットテープ120の先端が払出口212に位置したところで電気モータ138は停止され、チケットテープ120の初期位置出しが行われる。
制御装置242は、例えばマイクロコンピュータ246によって構成され、内蔵される機器の払出コマンドDC、チケット位置検知装置116、エンプティセンサ226及びロックセンサ236からの信号を受取り、図13、14に示すフローチャートに基づいて電気モータ138の回転・停止を制御する。
【0031】
次に本実施例の作用を説明する。
まず、チケットテープ120のイニシャルセット手順を図13のフローチャートを参照しつつ説明する。
まず、可動に先立ってロール状又はつづら折り状になっているチケットテープ120の先端をドライブローラ134と第1ガイドプレート202及び第2ガイドプレート204との間に挿入し、最初の突起148に貫通孔126の一部である凹部の底部が当接するまで挿入する。
【0032】
次いで、イニシャルセットスイッチ244を押す。
これにより、イニシャルセットスイッチ244のONによりステップS1からS2に進む。
【0033】
ステップS2において、電磁ソレノイド184が励磁された後ステップS3に進む。
これにより係止体174は非係止位置NCPに移動され、係止体174と係止切欠178との係合が外され、ドライブローラ134が回転可能になる。
また、ロックセンサ236は、被検知片234が投射光を遮断するので非係止位置信号NRSを出力する。
【0034】
ステップS3において、非係止位置信号NRSを判別した場合、ステップS4へ進む、
【0035】
ステップS4において、電気モータ138がチケットの送り出し方向に回転されステップS5に進む。
電気モータ138の回転によりドライブローラ134が回転され、これに接触するチケットテープ120が共連れされてエンプティセンサ226部を通過して払い出し口212へ向かって進行し、ニップローラ136との間に挟持される。
エンプティセンサ226は存在信号FSを出力する。
【0036】
ステップS5において存在信号FSを検知した場合、ステップS6へ進む。
ドライブローラ134とチケットテープ120との間に滑りを生じる場合、チケットテープ120を押し込み、チケットテープ120の先端が突起148に接触し続けるようサポートする。
ドライブローラ134と共に被検知体216が回転し、検知体218の投光部226からの投射光がスリット224を通過し受光部228に入光した場合、チケット位置検知装置116は検知信号DSを出力する。
【0037】
ステップS6において検知信号DSを出力を判別した場合、ステップS7へ進む。
【0038】
ステップS7において電気モータ138は停止される。
これにより、チケット118の先端は払出口212に位置し、イニシャルセットが完了する。
【0039】
次に稼働状態の作用を図14のフローチャートを参照して説明する。
例えば3枚の払出指令DCが出力されたケースを例に説明する。
ステップS11において払出指令DCの存在を判断し、ステップS12に進む。
【0040】
ステップS12において電磁ソレノイド184が励磁されステップS13に進む。
電磁ソレノイド184の励磁により、係止体174が非係止位置NCPに移動され、ドライブローラ134が回転可能になる。
また、ロックセンサ236は、被検知片234が投射光を遮断するので非係止位置信号NRSを出力する。
【0041】
ステップS13において非係止位置信号NRSを判別した場合、ステップS14へ進む、
【0042】
ステップS14において、電気モータ138がチケットの送り出し方向に回転されステップS15に進む。
電気モータ138の回転によりドライブローラ134が回転され、チケットテープ120が払出口212から所定の速度で送り出される。
また、リング体222の回転によりスリット224の通過毎にチケット位置検知体218はチケット1枚が払い出されたこと意味する検知信号DSを出力する。
【0043】
ステップS15において、チケット位置検知装置116からの検知信号DSが所定数になったか判別し、所定数に満たない場合電気モータ138は継続して回転される。
本例では3枚のチケット118の払出が指令されているので、検知信号DSが2つ出力された直後にステップS16へ進む。
【0044】
ステップS16において、電磁ソレノイド184が消磁されステップS17へ進む。
電磁ソレノイド184の消磁によって、係止体174はスプリング186によって切欠板172の周縁に押し付けられ、係止可能位置CPになる。
係止可能位置CPにおいて、係止体174の先端と係止切欠178との位相が合わないので切欠板172、したがってドライブローラ134は回転を継続する。
係止可能位置CPにおいては、係止位置信号RSは出力されない。
しかし、チケット118が3枚払い出されたところで係止体174の先端が係止切欠178に相対し、係止体174の先端がスプリング188の弾発力によって係止切欠178に進行して係止位置RPに位置し、切欠板172、したがってドライブローラ134の回転を停止する。
係止体174の係止位置RPへの移動により、ロックセンサ236は係止位置信号RSを出力する。
【0045】
ステップS17において係止位置信号RSを判別した場合、ステップS18へ進む。
この係止位置RPにおいて、スリット224に相対するのでチケット位置検知体218は検知信号DSを出力する。
【0046】
ステップS18において検知信号DSが3になったことを判別した場合、ステップS19へ進む。
【0047】
ステップS19において、電気モータ138が停止され、処理を終了する。
これにより、指令された3枚のチケット118が払い出される。
【0048】
顧客は、払出口212から露出しているチケット118を強く引っ張る。
これにより、ドライブローラ134はニップローラ136に強く押し付けられ、チケット118とドライブローラ134との間に滑りを生じることがない。
これにより、破断強度が最も低い切欠126から断続切り込み122に亀裂が生じて払い出された3枚のチケット118を受領することができる。
また、不正にチケット118を引き出されることがない。
【0049】
また、チケット118が全て払い出された場合、エンプティセンサ226からエンプティ信号ESが出力される。
このエンプティ信号ESに基づいて内蔵機器が補給信号を出力する。
係員は、補給信号に基づいてチケットテープ120を前述のようにセットする。
未払いだしのチケットが有る場合、残りが払い出される。
【0050】
なお、チケット処理装置100のチケット118の払出経路に、バーコードスキャナを配置し、チケット118の払出時にバーコード127を読み込んで当該バーコードデータと共に払出時刻の記憶等をネットワーク管理することにより、不正に書品交換を行うことを防止できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、実施例のチケット処理装置の左側上方からの全体斜視図である。
【図2】図2は、実施例のチケット処理装置の左後側上方からの全体斜視図である。
【図3】図3は、実施例のチケット処理装置の平面図である。
【図4】図4は、伝達機構193の正面図である。
【図5】図5は、実施例のチケット処理装置の分解斜視図である。
【図6】図6は、図4におけるB―B線断面図である。
【図7】図7は、実施例のニップ搬送装置部の斜視図である。
【図8】図8は、図3におけるA―A線断面図である。
【図9】図9は、非係止位置状態にある図8と同一位置における断面図である。
【図10】図10は、係止可能位置状態にある図8と同一位置における断面図である。
【図11】図11は、ドライブローラの斜視図である。
【図12】図12は、制御装置のブロック図である。
【図13】図13は、イニシャルセットのフローチャートである。
【図14】図14は、作動説明用のフローチャートである。
【図15】図15は、実施例のチケット処理装置に用いられるチケットテープの斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
RP 係止位置
NCP 非係止位置
L1 周面間距離
L2 周面間距離
100 チケット処理装置
104、106 ベースプレート
112 ロック装置
120 チケットテープ
134 ドライブローラ
136 ニップローラ
138 電気モータ
152 回動軸
170 固定軸
171 回転体
193 伝達機構
174 係止体
176 電磁アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定軸(170)に回転自在に取り付けたニップローラ(136)と、前記ニップローラの固定軸に対し所定距離離れ、かつ平行に配置された回動軸(152)に回動可能に取り付けられたベースプレート(104、106)に取付られ、前記ベースプレートに取り付けられた電気モータ(138)により伝達機構(193)を介して所定の速度で回転されるドライブローラ(134)との周面間に易破断部を所定間隔で横断方向に配置したテープ状のチケットテープ(120)をニップさせることにより前記ドライブローラの回転により前記チケットテープを所定の速度で送り出すと共に、前記回動軸と前記ニップローラの周面間距離(L2)よりも前記回動軸と前記ドライブローラの周面間距離(L1)を大きく設定したことによる前記ドライブローラの前記ニップローラに対する圧接によって前記チケットテープの不正引き出しを阻止しつつ送り出すようにしたチケット処理装置(100)において、
前記ドライブローラに前記チケットテープを四分の一周以上巻きつけ、
前記ドライブローラに連動する回転体(171)に前記ドライブローラの送り出し方向の回転を阻止する係止体(174)、及び
前記係止体に対する係止位置(RP)と非係止位置(NCP)とに電磁アクチュエータ(176)によって移動可能なロック装置(112)を設け、
前記ロック装置は前記電気モータの作動前に前記非係止位置に移動されることを特徴とするチケット処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−191781(P2010−191781A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36611(P2009−36611)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000116987)旭精工株式会社 (210)