説明

チップ形電子部品特性検査分類装置

【課題】チップ形電子部品の電気特性を検査し、前記検査の結果に基づきチップ形電子部品を分類する分類部分を有するチップ形電子部品特性検査分類装置を提供する。
【解決手段】前記分類部分は、チップ形電子部品7を搬送するための多数の収容孔を複数の同心円上に等分割に配置した円盤1と、前記多数の収容孔に対応し、チップ形電子部品7を分類するための吐出エアー孔601が配置された基準台6と、吐出エアー孔601からの吐出エアーによって吐出されるチップ形電子部品7を分類するための分類孔501および分類孔501に接続されたシュート用チューブ503を複数組装着した分類用ブラケット5を具備している。各分類孔501の先端部外周に柔軟性を持ったチューブ502を同心に設け、円盤1の分類用ブラケット5の側の移動表面とチューブ502の先端との距離をチップ形電子部品7の外形寸法の最小値よりも小さい所定の長さに保ったことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ形電子部品の電気特性を検査し、検査の結果に基づき分類するチップ形電子部品特性検査分類装置における誤分類を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビ、携帯電話、ゲーム機等に組み込まれているチップコンデンサ等のチップ形電子部品は、近年、生産量が増大している。前記の機器の信頼性を確保するためにチップ形電子部品は全数検査が行われており、検査のためのチップ形電子部品特性検査分類装置の処理能力は多列処理による高速化が求められている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2000−501174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、チップ形電子部品は全数検査が行われており、検査のためのチップ形電子部品特性検査分類装置の処理能力は多列処理による高速化が求められている。
高速化するためには、チップ形電子部品搬送用の円盤をより高速に回転させ、かつ円盤のチップ形電子部品の収容孔をより高密度化すること等により達成することができる。しかし、この高速化によって、チップ型電子部品を収容孔から分類孔に吐出エアーにより吐出(射出)させる際に、より短時間でより強力に射出させなければいけなくなるため吐出エアーの圧力は上昇する。このため、収容孔および分類孔のピッチが狭くなることと相まって、チップ型電子部品があらかじめ定められた選別区分でない、他のランクの分類孔に入ってしまうことがあった。誤分類によって他のランクの物が混入していると、これを組み込んだ機器の信頼性を低下させてしまう結果につながる。
従来のチップ形電子部品特性検査分類装置において、または従来装置を高速化した装置では、前述の誤分類の発生が皆無ではなく、解決されなければならない重要な課題となっていた。
本発明の目的は、多列処理による高速化を実現した装置でありながら誤分類を防止することが可能なチップ形電子部品特性検査分類装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために本発明によるチップ形電子部品特性検査分類装置は、
チップ形電子部品の電気特性を検査し、前記検査の結果に基づきチップ形電子部品を分類する分類部分を有するチップ形電子部品特性検査分類装置であって、
前記分類部分は、
前記チップ形電子部品を搬送するための多数の収容孔を複数の同心円上に等分割に配置した円盤と、
前記多数の収容孔に対応し、前記チップ形電子部品を分類するための吐出エアー孔が配置された基準台と、
前記吐出エアー孔からの吐出エアーによって吐出される前記チップ形電子部品を分類するための分類孔および前記分類孔に接続されたシュート用チューブを複数組装着した分類用ブラケットと、を具備し、
前記各分類孔の先端部外周に柔軟性を持った環状体を同心に設け、前記円盤の分類用ブラケットの側の移動表面と前記環状体の先端との距離を前記チップ形電子部品の外形寸法の最小値よりも小さい所定の長さに保ったことを特徴とするものである。
【0006】
本願明細書において、チップ形電子部品の外形寸法の最小値という概念を用いているが、これを例を挙げて説明する。
チップ形電子部品のタイプは長さ×幅×厚みの数値によって規定されている。すなわち典型的な小形チップ形電子部品の外形寸法は次の通りである。
1005タイプ: 1.0×0.5×0.5(単位mm)
0603タイプ: 0.6×0.3×0.3(単位mm)
0402タイプ: 0.4×0.2×0.2(単位mm)
各タイプの外形寸法の最小値は順に0.5mm、0.3mm、0.2mmであり、この外形寸法の最小値よりも狭い間隙は通過出来ない。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、チップ形電子部品の電気特性を検査し、前記検査の結果に基づきチップ形電子部品を分類する装置において、基準台の吐出エアー孔からの吐出エアーによって吐出されるチップ形電子部品を分類するための分類孔および分類孔に接続されたシュート用チューブを複数組装着した分類用ブラケットを有し、各分類孔の先端部に柔軟性を持った環状体を同心に設け、前記円盤の分類用ブラケットの側の移動表面と前記環状体の先端との距離を前記チップ形電子部品の外形寸法の最小値よりも小さい所定の長さに保つことによってチップ形電子部品の誤分類を防止する効果が得られる、信頼性の高いチップ形電子部品特性検査分類装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明によるチップ形電子部品特性検査分類装置の概要を示す模式図である。
【図2】本発明によるチップ形電子部品特性検査分類装置で使用する円盤の具体例を示す平面図である。
【図3】図1の分類用ブラケットの部分を拡大した平面図である。
【図4】図3の分類用ブラケットを図示されたA矢印方向から見た断面図である。
【図5】図4に示された分類孔部分の拡大図である。
【図6】従来の分類孔部分の拡大図であって、誤分類が発生する説明用の図である。
【図7】本発明によるチップ形電子部品特性検査分類装置の分類孔部分の変形例を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面等を参照して本発明によるチップ形電子部品特性検査分類装置の実施の形態を説明する。図1は本発明によるチップ形電子部品特性検査分類装置の概要を示す模式図であり、図2は本発明によるチップ形電子部品特性検査分類装置で使用する円盤の具体例を示す平面図である。
【0010】
図1に示すように、本発明によるチップ形電子部品特性検査分類装置は、チップ形電子部品搬送用の円盤1、円盤1を間欠回転駆動させるための円盤駆動機構2,円盤1にチップ形電子部品を供給するための供給部3、チップ形電子部品の電気特性を検査するための電極を組み込んだ電極用ブラケット4と検査結果に基づきチップ形電子部品を分類するための機能を組み込んだ分類用ブラケット5によって構成されている。さらに、これらの構成は垂直あるいは垂直より20°から30°程度傾斜して設置されている。
【0011】
図2に示すように、樹脂製の円盤1にはチップ形電子部品を搬送するための多数の収容孔101が複数の同心円上に等分割に配置されている。そして、円盤1は円盤駆動機構2によって時計回転方向へ収容孔101の1分割毎に間欠回転駆動させられる。
【実施例1】
【0012】
チップ形電子部品特性検査分類装置の対象とするチップ形電子部品〔0603タイプ〕の寸法は0.6mm長×0.3mm幅×0.3mm厚であり、外形寸法の最小値は0.3mmである。
本発明の実施例1に対応したチップ形電子部品特性検査分類装置を図3、4、5および6を参照して説明する。
図3は図1の分類用ブラケットの部分を拡大した平面図であり、図4は図3の分類用ブラケットを図示されたA矢印方向から見た断面図であり、図5は図4に示された分類孔部分の拡大図であり、図6は従来の分類孔部分の拡大図であって、誤分類が発生する説明用の図である。
【0013】
図3、4および5に示すように、円盤1の裏面と極僅かの空隙を持って基準台6が設置され、この空隙は図示しない真空圧源に接続されて円盤1の収容孔101内のチップ形電子部品7を吸着保持していて、収容孔101内のチップ形電子部品7の先端が円盤1の表面からの出っ張り量として0.05mmから0.1mm未満になるように保持されている。このように突出させるのは、電極用ブラケット4における図示しないプローブとチップ形電子部品7の電極との接触を良好にするためである。
さらに、基準台6には、収容孔101内のチップ形電子部品7を分類するために必要な複数個の吐出用エアー孔601が加工されていて、チップ形電子部品7の電気特性の検査結果に基づいて指定された箇所の吐出用エアー孔601からの吐出エアーによって収容孔101内のチップ形電子部品7は分類用ブラケット5に加工された分類孔501に向かって吹き飛ばされる。分類用ブラケット5には基準台6に加工された複数個の吐出用エアー孔601に対応した複数個の分類孔501が加工されていて、分類孔501には前述の吹き飛ばされたチップ形電子部品7を収納箱(図示省略)に導入させるためのシュート用チューブ503が装着されている。
【0014】
さらに、分類孔501と円盤1との対向する間隙は対象とするチップ形電子部品7の寸法の最大対角線よりも大きい寸法に設置されていて、複数個の分類孔501の先端部には柔軟性を持った樹脂性の熱可塑性の環状体としてチューブ502が分類孔501に同心に被着されている。そして、円盤1の分類用ブラケット5の側の移動表面とチューブ502の先端との距離をチップ形電子部品7の外形寸法の最小値0.3mmよりも小さい所定の長さとして0.2mmに保つように設置されている。
【0015】
図6は従来の分類用ブラケット8を示す図であって、図5のチューブ502に相当するものは存在しない。その他の機能は図5の説明と同じである。
次に、図5と図6を対比させて、本発明の目的である誤分類を如何にして防止するかの説明をする。
円盤1の収容孔101内のチップ形電子部品7が分類箇所に送られてくる前に、何らかの原因によって正常位置よりも飛び出している状態になることがある。このような場合にチップ形電子部品7に割れ、欠け、傷を発生させない、あるいは、樹脂製の円盤1の表面傷や収容孔101の変形等の損傷を発生させないために、図5および6においては、前述のように分類孔501あるいは801と円盤1との対向する間隙は対象とするチップ形電子部品7の寸法の最大対角線よりも大きい寸法に設置されている。
【0016】
円盤1の収容孔101内のチップ形電子部品7が分類箇所に送られてくる前に、何らかの原因によって正常位置よりも飛び出している状態のチップ形電子部品7が円盤1の回転時に収容孔101内からこぼれ出て前述の間隙内を落下する現象が、あるいは、円盤1の収容孔101内のチップ形電子部品7が分類箇所で吐出用エアー孔601の吐出用エアーによって吹き飛ばされた時に分類孔501あるいは801に入らずに近傍の端面にぶつかって弾き返されて前述の間隙内を落下する現象が、非常に低い確率であるが発生することがある。この場合に、図6に示す従来の分類用ブラケット8においては、前述の二つの現象により落下してくる電子部品9が落下途中で分類用の吐出エアーが射出されている箇所にさしかかったとすると、この吐出エアーによって、この箇所の分類孔801に飛ばされて入ってしまうという誤分類が発生してしまう(図6中で太い矢印で表記)。この現象はチップ形電子部品特性検査分類装置の処理能力が1個当たり36msecと高速であるので、前述の落下してくる電子部品9が落下途中で分類用の吐出エアーが射出されている箇所に存在し得るためである。
【0017】
これに対して、本発明である分類用ブラケット5部分を示す図5においては、分類孔501の先端部には柔軟性を持ったチューブ502が装着されていて、円盤1の分類用ブラケット5の側の移動表面とチューブ502の先端との距離をチップ形電子部品7の外形寸法の最小値よりも小さい所定の長さとして0.2mmに保つように設置されているので、チューブ502の内部にチップ形電子部品7が入り込むことはできない。そして前述のように、収容孔101内のチップ形電子部品7の先端が円盤1の表面からの出っ張り量として0.05mmから0.1mm未満になるように保持されているので、チップ形電子部品7の先端がチューブ502の先端と接触することはない。従って、分類孔501はチューブ502によって防御されているために、前述した円盤1の収容孔101内のチップ形電子部品7が分類箇所に送られてくる前に、何らかの原因によって正常位置よりも飛び出している状態のチップ形電子部品7が円盤1の回転時に収容孔101内からこぼれ出て落下してきても、チューブ502ではじかれて分類孔501に入ることはなく、誤分類されることが防止される。
さらに、図5に示すように、チューブ502の内径は分類孔501の孔径よりも十分に大きくしてあるので、前述した円盤1の収容孔101内のチップ形電子部品7が分類箇所で吐出用エアー孔601の吐出用エアーによって吹き飛ばされた時に分類孔501に入らずに近傍の端面にぶつかって弾き返されても、チップ形電子部品7はチューブ502内に留まるので、前述したように落下して誤分類されることが防止される。
またさらに、前述のように、円盤1の収容孔101内のチップ形電子部品7が分類箇所に送られてくる前に何らかの原因によって正常位置よりも飛び出している状態になることがあっても、チューブ502は柔軟性をもっているので、チップ形電子部品7に割れ、欠け、傷を発生させることはなく、また、樹脂製の円盤1の表面傷や収容孔101の変形等の損傷を発生させることもない。
【0018】
以上詳しく説明した分類孔拡大部分の変形例について、図7を参照して説明する。
この変形例は、図5に示したチューブ502を環状体602に置き換えたものである。
この環状体602は、樹脂を中心を通る断面が略三角形となるように成形したものであり、先端を基部よりも薄くして柔軟性をもたせ、底面を直接分類用ブラケット5に接着してある。
【実施例2】
【0019】
チップ形電子部品特性検査分類装置の対象をチップ形電子部品〔1005タイプ〕とすると、その外形寸法の最小値は0.5mmであるから、チップ形電子部品の外形寸法の最小値よりも小さい所定の長さを例えば0.4mmとすることができる。
【実施例3】
【0020】
チップ形電子部品特性検査分類装置の対象をチップ形電子部品〔0402タイプ〕とすると、その外形寸法の最小値は0.2mmであるから、チップ形電子部品の外形寸法の最小値よりも小さい所定の長さを例えば0.15mmとすることができる。
【0021】
以上詳しく説明した実施例につき、本発明の範囲内で種々の変形を施すことができる。例えば、チップ形電子部品の外形寸法の最小値よりも小さい所定の長さは、この規定内で状況に対応して選択可能である。また、以上の説明から明らかなように、実施例以外の外形寸法を有するチップ形電子部品に対しても本発明の効果は有効である。この際、全ての対象とするチップ形電子部品について言える事として、前述の実施例1に記述した対象チップ形電子部品の収容孔101内のチップ形電子部品の先端が円盤1の表面から出っ張る量は、対象とするチップ形電子部品の外形寸法の最小値よりも小さい所定の長さよりも小さい値に決める必要がある。
【符号の説明】
【0022】
1 円盤
101 収容孔
2 円盤駆動機構
3 供給部
4 電極用ブラケット
5、8 分類用ブラケット
501、801 分類孔
502 チューブ状環状体
503、802 シュート用チューブ
6 基準台
601 吐出用エアー孔
602 他の環状体
7、9 チップ形電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ形電子部品の電気特性を検査し、前記検査の結果に基づきチップ形電子部品を分類する分類部分を有するチップ形電子部品特性検査分類装置であって、
前記分類部分は、
前記チップ形電子部品を搬送するための多数の収容孔を複数の同心円上に等分割に配置した円盤と、
前記多数の収容孔に対応し、前記チップ形電子部品を分類するための吐出エアー孔が配置された基準台と、
前記吐出エアー孔からの吐出エアーによって吐出される前記チップ形電子部品を分類するための分類孔および前記分類孔に接続されたシュート用チューブを複数組装着した分類用ブラケットと、を具備し、
前記各分類孔の先端部外周に柔軟性を持った環状体を同心に設け、前記円盤の分類用ブラケットの側の移動表面と前記環状体の先端との距離を前記チップ形電子部品の外形寸法の最小値よりも小さい所定の長さに保ったことを特徴とするチップ形電子部品特性検査分類装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−96715(P2011−96715A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246479(P2009−246479)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(592081117)株式会社ヒューモラボラトリー (13)
【Fターム(参考)】