説明

チップ整列装置におけるチップ供給装置

【課題】チップを自動的にチップラックにセットするチップ整列装置において、チップ槽に投入されたチップを、傷つけることなく、かつ、たけのこ状に嵌り合った状態を生ぜしめずに、確実にかつスピーディーにチップ搬送レールに供給し得る供給手段を構成する。
【解決手段】チップ槽2の床板20を一方向に傾斜させ、その床の傾斜方向の端部に、チップ供給バー3を、頂部の端面30が、チップ槽2の床面に略揃う高さ位置から床面より高く上昇した上昇位置の間を昇降するよう昇降作動機構4に連繋させて装架し、かつ、チップ供給バー3の、頂部の端面30を、前記一方向に下降傾斜する傾斜面に形成し、その端面30の下降傾斜側の前面に、傾斜面によって移動してくるチップbを堰止めるガイド壁5を、上端縁が、上昇位置におけるチップ供給バー3の頂部の端面30と略揃う高さ位置となるように装架した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床検査及び医療検査分野において、血液や血清等の検体の分析処理を行う検査装置に、多数のチップを整列保持せしめてチップ収納庫として装備せしめておくチップラックに対し、チップを予めセットしておくための、チップ整列装置についての改良に関する。
【背景技術】
【0002】
血液や血清等の検体を分析処理する検査装置に、検体を吸引分注するときのノズルとして作用させるように装着して用いるチップ(チップノズル)は、通常、コンタミネーションの防止のため、1回の吸引・分注動作が行われたら、取り外して新しいチップと交換し、取り外したチップは捨てるディスポーザブル(使い捨て)で使用される。
【0003】
このことから、検査装置には、毎回の吸引・分注動作ごとに使用する新しいチップを多数本用意しておくため、チップを多数本整列状態にセットして保持せしめたチップラックを、装脱自在に装備せしめておき、このチップラックを介して検査装置にチップを供給するようにしている。
【0004】
チップラックに縦・横に整列させて開設してあるチップ保持用の穴にチップを挿し込んでセットするセット作業は、通常はマニュアルで一本ずつ手詰め作業により行われている。
【0005】
しかし、このチップラックに対するチップのセットを自動で行う装置も、チップ槽内に投入したチップを、チップ供給装置で一本ずつ取り出してチップ搬送レールに供給し、そのチップ搬送レールの終端部に設けたチップ落下部から、チップラックに落下させてセットするチップ整列装置として従来から知られている。
【0006】
この従来の装置は、図1に示しているように、前後に長く左右に短い長方形の台盤状の機台aを形成し、その機台aの上面側で、前後の中間で左右の一側に偏る部位に、チップbを収容する箱状のチップ槽cを、それの床面を前方から後方に向け下降傾斜する傾斜壁に形成して装架し、このチップ槽c内の後端側の部位に、図2に示しているように、軸線方向を左右方向とした上下のローラ10・10に平ベルト11をエンドレスに巻きかけ、その平ベルト11の外周面に、一本のチップbの支承を可能とするようチップbの横巾に対応する巾の棚板状としたフィンdを、平ベルト11の長手方向に所定の間隔をおいて並列させて取り付けてなるチップ供給ベルトユニットeを、それの下端側が該チップ槽cの床板の傾斜下降端に接続するように位置し、上端側が該チップ槽cの上面側の開放口から上方に高く突出する状態に配位して装架し、これを、図2において、矢印に示している如く、平ベルト11の前面側が上昇回動するようにしておいて、これにより、チップ槽c内に投入された多数本のチップb…を、上昇作動するフィンdにより一本ずつ掬い上げて揚送し、上端部の平ベルト11の回行部で後方に放出するようにしておく。
【0007】
そして、このチップ供給ベルトユニットeの後方部位に、そのユニットeの上端部から放出されるチップbを受けとめて、機台aの左右の他側に向け流下させるよう傾斜下降させた案内シュートfを配設して機台aに装架し、この案内シュートfの傾斜下降端に、流下してくるチップbを受け止めて、そのチップbを機台aの前面側に向け搬送するチップ搬送レールgを配設して機台aに装架しておく。
【0008】
このチップ搬送レールgは、図3、図4にあるように、上下巾をチップbの上下長さに対応する巾に形成した横長の側板状のレール12を、チップbの上端側の拡径部b’の外周の直径より僅かに狭い間隔寸法をおいて左右に一対に対向させて機枠13に支架し、この機枠13を、図4にあるよう機台a上面に据え付け固定して設けた、マグネットMgより振動を発生させる振動発生器14の器体の上面側に、搬送方向(図4において左方)に傾斜させた2枚の板バネ15を介して支架することで構成している通常のパーツフィーダと同様のものであるが、一対に対向する側板状のレール12・12の間隔を、チップbの基端側の拡径部の直径より僅かに狭くしていることで、この搬送レールgの上に載ったチップbは、間隔より小径の先端側はレール12とレール12との間隔内に落ち込み、間隔より大径の基端側は間隔内に落ち込まずに引き掛かるようになることで、基端側の拡径部b’の頸部が一対のレール12・12の上面に引き掛かり小径の先端側が間隔内に垂れ下がった姿勢に変換し、その変換した姿勢でレール12・12に支持され、レール12・12の間隔内に図3にあるように並列して搬送されるようにしているものである。
【0009】
このチップ搬送レールgの搬送方向の終端部には、図5に示しているように、送られてくるチップbを、周縁の弧状の切欠部16に受け入れてチップ落下部hに送り出す回転板17を設け、チップ落下部hには、図6、図7に示しているよう、一対の挟持アーム18・18が、支点軸19中心に開閉回動することで、このチップ落下部hに落ちてくるチップbを保持するチップ保持チャックiを組み付け、かつ、挟持アーム18・18が閉じてチップbを保持する作動を行ったときに、保持したチップbの有無を検知するチップ検知センサjを設けておいて、チップ落下部hにチップbが落ちてくると、閉じた状態にあるチップ保持チャックiに保持され、そのチップbがチップ検知センサjにより検知されるとチップ保持チャックiが開いて、チップbを落とし、下方に配置しておくラックRにセットされ、これによりチップ検知センサjがチップbが無いと判断すると、チップ保持チャックiは閉まり回転板17が一コマ分動き、上述の動作を繰り返すようにしてある。
【0010】
そして、これらにより、チップ槽cに投入された多数のチップbが、チップ供給ベルトユニットeのフィンdで、一本ずつ掬い上げられて、チップ搬送レールgに供給され、そのチップ搬送レールgにより搬送方向のエンドまで搬送され、そのエンドに設けたチップ落下部hに達して落下することで、チップ落下部hの下方における機台a上に、縦・横の2方向に動くよう制御された支台の上に載架しておくチップラックRの各チップ保持穴に順次セットされるチップ整列装置に構成してあるものである。
【0011】
この従前のチップ整列装置は、チップ槽c内のチップbを、チップ供給ユニットeで掬い上げて、チップ搬送レールgに供給するとき、回動する平ベルト11の底部側が、図2にて太線の矢印で示しているように、チップ槽c内の多数のチップbを常にかき混ぜるようになることと、それによりチップ槽c内のチップbの姿勢を複雑に変化させることで、チップbを図8にあるように、たけのこ状に二本また三本と嵌合して連結した状態のものが生じ、これが平ベルト11と共に上昇回動するフィンdには掬い上げられないことと、装置の稼動時間と比例して数が増えてくることから、定期的に装置の稼動を停めて、人手により嵌り合ったチップbをバラす作業が必要になり、作業効率を悪くしている。
【0012】
また、チップbが、先端に向け先細りの形状になっていることから、チップ供給ベルトユニットeによる掻き混ぜによりチップbが先細りの先端側を下にした姿勢になって、図9にあるように、チップ供給ベルトユニットeの底部の回行部に流動してきたときに、細い先端側が、回動してくるフィンdとチップ槽cの床面との間に噛み込むようになったり、または、チップ槽cの器壁の板金の繋ぎ個所に刺さり込むなどで、チップ先端に潰れや曲がりやひび割れを生ぜしめるので、チップ搬送レールgに供給してチップラックRにセットしたチップbを欠損のあるものとして、検査結果に誤差を生ぜしめる問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明において解決しようとする課題は、チップを自動的にチップラックにセットするチップ整列装置において、チップ槽に投入されたチップを、傷つけることなく、かつ、たけのこ状に嵌り合った状態を生ぜしめずに、確実にかつスピーディーにチップ搬送レールに供給し得る供給手段を構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、チップ槽に投入されたチップを、それの細い先端側に傷を生ぜしめず、かつ、たけのこ状に重なり合って嵌合する状態が生じないようにして、チップ搬送レールに供給するため、
チップ槽2の床板20を、該チップ槽2内に横倒しの姿勢として投入されたチップbが自重により一方向に流動する傾斜床または一方向に移送されるコンベアに構成し、その床の、チップbの流動または移送による移動方向における端部に、頂部の端面30により横倒しの姿勢としたチップbを支承して押し上げるチップ供給バー3を、頂部の端面30が、チップ槽2の床面に略揃う高さ位置から床面より高く上昇した上昇位置の間を昇降するよう昇降作動機構4に連繋させて装架し、かつ、このチップ供給バー3の、頂部の端面30を、前記一方向に下降傾斜する傾斜面に形成し、その端面30の下降傾斜側の前面に、傾斜面によって移動してくるチップbを堰止めるよう当接させるガイド壁5を、そのガイド壁5の上端縁が、上昇位置におけるチップ供給バー3の頂部の端面30と略揃う高さ位置となるように装架したことを特徴とするチップ整列装置におけるチップ供給装置を提起し、
箱形に形成したチップ槽2を、一方向に傾斜させて機台aに装架して、床面を一方向に傾斜する傾斜面に形成したことを特徴とするチップ整列装置におけるチップ供給装置を提起し、
昇降作動機構4により上下に往復動するチップ供給バー3を、それの上下の作動が、一方向に傾斜させた斜めの作動軌跡をもって行われるよう、昇降作動機構4の機枠に一方向に傾斜させて装架して、頂部の端面30を一方向に傾斜する傾斜面に形成したことを特徴とするチップ整列装置におけるチップ供給装置を提起し、
上下に往復動するチップ供給バー3の、押し上げたチップbの放出口となるガイド壁5の上端縁の前面側に、チップ搬送レールgの始端側を、レール12・12の長手方向がチップ供給バー3の頂部の端面30の傾斜方向と直交する方向として装設したことを特徴とするチップ整列装置におけるチップ供給装置を提起するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるチップ供給手段は、チップ槽に投入されたチップを、それの細い先端側に傷を生ぜしめず、かつ、たけのこ状に重なり合って嵌合する状態を生ぜしめずに、一本ずつチップ搬送レールに供給し得るようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】チップ供給装置を組み込んだチップ整列装置の斜視図である。
【図2】同上チップ整列装置の、チップ槽内からチップを一本ずつ取り出して、チップ搬送レールに対して供給するチップ供給装置の縦断した側面図である。
【図3】同上のチップ供給装置から供給されるチップを受けて、搬送するチップ搬送レールの平面図である。
【図4】同上のチップ搬送レールの側面図である。
【図5】同上のチップ搬送レールの終端部に設けられるチップ落下部の平面図である。
【図6】同上チップ落下部のチップ保持チャック部分の側面図である。
【図7】同上のチップ保持チャック部分のチャックが開放した状態時の説明図である。
【図8】チップがたけのこ状に嵌り合った状態の説明図である。
【図9】チップがチップ供給装置の底部に噛み込んだ状態を説明する説明図である。
【図10】本発明によるチップ供給装置を組み込んだチップ整列装置の、一部破断した斜視図である。
【図11】本発明によるチップ供給装置の縦断した前面図である。
【図12】同上チップ供給装置のチップ供給バーが上昇した状態時の縦断した前面図である。
【図13】同上チップ供給装置の平面図である。
【図14】同上チップ供給装置の、チップ供給バーが、上昇してチップを放出する状態時の説明図である。
【図15】同上のチップ供給バーから放出されて、チップ搬送レールの上に乗り移ったチップが、拡径部を支点として旋回し、吊り下げられた状態を示す説明図である。
【図16】チップ供給バーからチップ搬送レールの上に乗り移ったチップが存在しているところに次位のチップがチップ供給バーで押し上げられて放出されたときに、チップ槽の側に戻される状態を示す説明図である。
【図17】チップ供給装置の別の実施例の縦断した前面図である。
【図18】同上実施例の要部の拡大した縦断前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に本発明の実施の態様を、実施例につき図面に従い詳述する。
【実施例1】
【0018】
図10は、本発明によるチップの供給手段を実施せるチップ整列装置Wの一部破断した斜視図である。同図において、aは前後方向に長い台盤状に形成した機台、2は機台a上に装架したチップ槽、gはチップ槽2から取り出されたチップbを搬送するチップ搬送レール、hはそのチップ搬送レールgの終端部に設けたチップ落下部、Rはそのチップ落下部hの下方に配位して機台aの上面に載置せるチップラックを示す。
【0019】
チップ槽2は、それの床面が、図13にあるように、平面視において、横巾がチップbの長さ寸法に略対応し、縦巾が横巾より長い長方形をなす角箱形に形成してあり、それの平面視における長手方向(図13において上下方向)が、前後方向に長い台盤状に形成した機台aを基準とした前後方向(図10において斜めの左右方向)に対して略直交する状態姿勢として、機台aの後端側における左右の一側に偏る部位の、所定の高さ位置に、支持機枠 を介して装架してある。
【0020】
この平面視において長矩形の箱形に形成したチップ槽2は、それの床板20が、平面視における長手方向に沿う方向の一方向(図10において斜め前方方向で、図11において矢印にて示す左方向)に向けてゆるく下降傾斜する傾斜板に形成してあって、これにより、チップ槽2内に、軸芯線方向が前述の床板20の長手方向と直交する姿勢となるように揃えて投入したチップbが、図11及び図12に示しているように、床板20の傾斜下降側の左方の端部に向け流動して移動していくようにしている。
【0021】
チップ槽2の床板20の傾斜は、チップ槽2内に投入したチップbを、傾斜下降側に流動していくようにするためのものであり、図示するこの例においては、箱形に形成したチップ槽2を、傾斜姿勢に装架することで、床板20が傾斜するようにしているが、チップ槽2は水平に装架して、床板20だけが傾斜するようにしてよい。
【0022】
また、チップ槽2の床面に、図11において、鎖線に示しているように、ベルトがエンドレスに回動するコンベア装置Kを設けて、これにより、チップ槽2に投入したチップbを、一方向に順次移動させるようにしてもよい。
【0023】
床板20の下降傾斜側の端部には、狭い巾で床板20の巾方向の略全域に渡る長さの開口21が形設してある。この開口21は、床板20の傾斜方向における巾が、チップbの外径に略対応する狭い巾で、床板20の巾方向における長さが、チップbの長さに略対応する長さに形成してある。
【0024】
そして、この開口21内に、頂部の端面30を、前記開口21の開口面に対応する形状・面積に形成して、その端面30上に、一本のチップbを横倒しの姿勢として載架したときに、そのチップbをその姿勢で支承し得るようにしたチップ供給バー3が、開口21を貫通して上下に昇降するよう配置される。
【0025】
チップ供給バー3は、この実施例においては、前述の開口21の開口面に略対応する形状の横断面形状をもって、昇降作動する範囲に対応する高さに連続する角盤状に形成してあり、それの下端側には、図11、図12に示しているように、チップ槽2の下方に配位して、前述の支持機枠1に組み付け支架した昇降作動機構4に連繋する作動杆31が連結してある。
【0026】
昇降作動機構4は、モーターMと、そのモーターMの出力軸に減速機構40を介して連繋して回動するクランクアーム41と、このアーム41の回動端に下端を連繋した前記作動杆31と、この作動杆31の作動方向を規制するよう作動杆31の外周に嵌挿せしめてフレーム42に支架せるガイド筒43とからなり、モーターMの作動によりクランクアーム41を回動させることで、ガイド筒43により規制した方向に沿い作動杆31を上下に往復動させる通常のものである。
【0027】
チップ供給バー3は、この昇降作動機構4の作動により昇降する作動杆31の作動で、上下に往復動するが、その上下の作動は、下降作動にあっては、頂部の端面30が開口21の開口面に略揃う位置をエンドとし、上昇作動にあっては、頂部の端面30が、チップ槽2内に投入されているチップbの堆積層を突き抜けて上方に露出してくる位置を上昇作動のエンドとするように設定してある。これにより、下降作動がエンドに達して、頂部の端面30が開口21の開口面に揃う位置を占めるようになると、チップ槽2内を床板20の上面に沿い開口21側に向け流動してきて、チップ供給バー3に堰き止められていたチップbが、図11に示しているように、このチップ供給バー3の頂部の端面30の上に載り、その端面30に支承されるようになり、チップ供給バー3が上昇作動に移行して上昇すると、端面30に載ったチップbを、図12に示しているように押し上げていくようにしてある。
【0028】
このチップ供給バー3の頂部の端面30によるチップbの押し上げ作動の際、その端面30上に載架して支承せしめたチップbが、端面30からチップ槽2内にこぼれ落ちるのを防止するため、その端面30は、チップ槽2と反対側に下降傾斜する傾斜面に形成して、載架するチップbが自重による流動または転動により、チップ槽2と反対側に移動勝手となるようにしてあり、また、チップ供給バー3のチップ槽2と反対側に位置するチップ供給バー3の前方位置には、前記傾斜面とした端面30上を、それの傾斜下降側に移動してくるチップbの移動を堰き止めて、チップbを端面30上に位置させておくガイド壁5が、チップ供給バー3の昇降作動の軌跡に沿わせて装設してある。
【0029】
これにより、チップ供給バー3の頂部の端面30に載ったチップbは、端面30の傾斜面とチップ供給バー3の作動軌跡に沿わせて設けたガイド壁5とにより端面30上に保持されて押し上げられていく。このとき、端面30上に直接載ったチップbの上に重なって乗り上がったチップbは、チップbが円筒状に形成されていて周面が円弧の曲面に形成されていることで、端面30に直接載ったチップbの上に不安定な状態で載ることからチップ供給バー3の上昇作動の間に、チップ槽2側にこぼれ落ち、端面30の上に直接載った一本のチップbだけが、チップ供給バー3の上昇作動のエンド位置に押し上げられるようになる。
【0030】
前述のガイド壁5は、それの上端縁の高さ位置が、チップ供給バー3の上昇作動のエンドにおける頂部の端面30の位置と略揃う高さ位置を占めるように設定してあり、これにより、チップ供給バー3で押し上げられてきたチップbは、ガイド壁5との接触がなくなったところで、端面30の傾斜面により、その端面30の傾斜下降側に放出される。
【0031】
このことから、このガイド壁5の上端縁の上方部位を、チップ槽2内からチップ供給バー3で一本ずつ押し上げてきたチップbの放出口として、ここに、放出されたチップbをチップ搬送レールgに導く案内するシュートを配設するか、放出されたチップbを直接受けるように、チップ搬送レールを配設することで、チップ槽2内のチップbを一本ずつ取り出して、チップ搬送レールに供給するチップ供給装置が構成される。
【0032】
この実施例装置は、前述のチップbの放出口となるガイド壁5の上端縁部の外側位置(端面30の傾斜下降側の外側位置)に、チップ搬送レールgを、それの搬送方向となるレール12・12の連続方向が、チップ槽2の床面20の傾斜方向と直交するように配置して装設してあり、これにより、チップ供給バー3の頂部の端面30上から、横倒しの姿勢で放出されるチップbを、図13において鎖線で示しているように、横倒しの姿勢のまま平行する二本のレール12・12で受けるようにしてある。
【0033】
チップbは、図15に示しているように基端側に拡径部b’を具備する形状に形成してあるから、この拡径部b’だけがレール12・12の上に載り、小径の先端側が、レール12・12の間隔内に落ち込むことで、拡径部b’の頸部を支点に回動して、図15にあるように、縦の姿勢となって吊り下がった状態となって、レール12・12に支承され、この状態で搬送される。
【0034】
チップ搬送レールgは、図3、図4で、従前のチップ整列装置Wのチップ供給手段として説明しているチップ搬送レールgと同様の構成のものであり、振動により一方向に搬送するバイブレータ式の構成のものである。
【0035】
図13では、この図3、図4で示した構成のチップ搬送レールgの、搬送方向の始端側だけを表し、終端側は省略している図である。従って、この図13にあるように、一対に平行するレール12・12の上に、横倒しの姿勢で放出されてくるチップbは、同図13において、一点鎖線で示しているように、左方に拡径部b’が位置し右方に先細りの先端側が位置する姿勢で、放出されたときは、拡径部b’中心に縦の姿勢に旋回することで、同図13において鎖線イの位置に保持されて、この位置から二重線の矢印に示しているように、終端側に向けて搬送される。また、放出されてくるチップbの姿勢が図13において点線で示しているように、逆に拡径部b’が右方に位置し先細りの先端側が左方に位置している姿勢となっているときは、同図13で点線ロで示している位置に保持され、この位置から終端側に向け移送されていくことになる。
【0036】
このことから、レール12・12に吊り下げ状態に保持されて移送されるチップbが、チップ供給バー3の頂部の端面30の傾斜方向の前面側に位置しているレール12・12の、チップ供給バー3と対向している範囲A内に、まだ位置している状態のところに、昇降作動機構4に設定された所定の周期で上昇作動するチップ供給バー3により、次位のチップbが押し上げられてきて、レール12・12上に放出されるようになる場合が生じる。
【0037】
このときは、図16にあるように、押し上げられてきたチップbが、端面30の傾斜面を、傾斜下降側に転動していくときに、それの周面がレール12・12に保持されているチップbの拡径部b’に当たることにより、放出が阻止されることで、チップ供給バー3の端面30の上に支承された状態に保持され、チップ供給バー3の下降作動で、端面30に支承されたまま下降し、上昇作動で再び放出位置に上昇していくようになり、レール12・12上の前記範囲Aにチップbが存在している間は、この作動を繰り返す。そして、放出位置に上昇したときに、前述の範囲Aにチップbが存在しない状態となったところで、レール12・12に放出されるようになる。
【0038】
従って、チップ搬送レールg上に、チップbが二本重なって供給されることはなく、一本ずつ供給されるようになって、レール12・12上に一列に並んで終端側に移送される。そして、チップ搬送レールgの終端部に、図5・図6・図7により説明したように設けられているチップ落下部hにおいて、一本ずつ取り出されて、そのチップ落下部hの下方に配置してあるラックRのチップホールにセットされていくようになる。
【実施例2】
【0039】
図17・図18は、別の実施例を示している。この例は、昇降作動するチップ供給バー3の頂部の端面30を、チップ槽2と反対側に向けて下降傾斜する傾斜面とするのに、チップ供給バー3は、垂直な方向に沿い昇降作動するように、昇降作動機構4を構成しておいて、頂部の端面30を、この垂直な方向に対し斜めに横切る傾斜面としている例である。
【0040】
このチップ供給バー3は、前述の実施例1では、側面視において、頂部の端面30と底部の端面とが平行する長方形状に形成してあるのに対し、底部の端面を水平な面に沿わせ、頂部の端面30を傾斜面とした梯形状とした形状に形成してある。
【0041】
また、チップ供給バー3の昇降作動する軌跡に沿う隣側位置で、頂部の端面30の傾斜方向の前面側に設けるガイド壁5は、チップ供給バー3の昇降作動が、垂直な方向に沿って行われるようにしてあることから、このチップ供給バー3の垂直な作動軌跡に沿わせて垂直に装設してある。
【0042】
これにより、チップ槽2の床板20上を移動してきて、チップ供給バー3の頂部の端面30に乗り移り、端面30の傾斜により傾斜下降側に移動勝手となったチップbは、垂直なガイド壁5の壁面に突き当たって、動きが抑止されることで、端面30上に静止して支承された状態となり、この状態でチップ供給バー3の上昇により、ガイド壁5の壁面に衝合して端面30上に支承された状態に保持されながら押し上げられていき、ガイド壁5の上端縁に達して、ガイド壁5との衝合が外れることで、端面30の傾斜下降側に転動し、放出されるようにしてある。
【符号の説明】
【0043】
A 範囲
K コンベア装置
M モーター
Mg マグネット
R ラック
W チップ整列装置
a 機台
b チップ
b’ 拡径部
c チップ槽
d フィン
e チップ供給ベルトユニット
f 案内シュート
g チップ搬送レール
h チップ落下部
i チップ保持チャック
j チップ検知センサ
1 支持機枠
10 ローラ
11 平ベルト
12 レール
13 機枠
14 振動発生器
15 板バネ
16 切欠部
17 回転板
18 挟持アーム
19 支点軸
2 チップ槽
20 床板
21 開口
3 チップ供給バー
30 端面
31 作動杆
4 昇降作動機構
40 減速機構
41 クランクアーム
42 フレーム
43 ガイド筒
5 ガイド壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ槽(2)の床板(20)を、該チップ槽(2)内に横倒しの姿勢として投入されたチップ(b)が自重により一方向に流動する傾斜床または一方向に移送されるコンベアに構成し、その床の、チップ(b)の流動または移送による移動方向における端部に、頂部の端面(30)により横倒しの姿勢としたチップ(b)を支承して押し上げるチップ供給バー(3)を、頂部の端面(30)が、チップ槽(2)の床面に略揃う高さ位置から床面より高く上昇した上昇位置の間を昇降するよう昇降作動機構(4)に連繋させて装架し、かつ、このチップ供給バー(3)の、頂部の端面(30)を、前記一方向に下降傾斜する傾斜面に形成し、その端面(30)の下降傾斜側の前面に、傾斜面によって移動してくるチップ(b)を堰止めるよう当接させるガイド壁(5)を、そのガイド壁(5)の上端縁が、上昇位置におけるチップ供給バー(3)の頂部の端面(30)と略揃う高さ位置となるように装架したことを特徴とするチップ整列装置におけるチップ供給装置。
【請求項2】
箱形に形成したチップ槽(2)を、一方向に傾斜させて機台(a)に装架して、床面を一方向に傾斜する傾斜面に形成したことを特徴とする請求項1記載のチップ整列装置におけるチップ供給装置。
【請求項3】
昇降作動機構(4)により上下に往復動するチップ供給バー(3)を、それの上下の作動が、一方向に傾斜させた斜めの作動軌跡をもって行われるよう、昇降作動機構(4)の機枠に一方向に傾斜させて装架して、頂部の端面(30)を一方向に傾斜する傾斜面に形成したことを特徴とする請求項1記載のチップ整列装置におけるチップ供給装置。
【請求項4】
上下に往復動するチップ供給バー(3)の、押し上げたチップ(b)の放出口となるガイド壁(5)の上端縁の前面側に、チップ搬送レール(g)の始端側を、レール(12)・(12)の長手方向がチップ供給バー(3)の頂部の端面(30)の傾斜方向と直交する方向として装設したことを特徴とする請求項1記載のチップ整列装置におけるチップ供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−59012(P2011−59012A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210870(P2009−210870)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(591058127)メディカテック株式会社 (17)
【Fターム(参考)】