説明

チトクロムP450アイソフォーム3A4及び3A5のアッセイ

チトクロムP−450(CYP)3A4/5の活性及びCYP3A4/5活性を阻害する又はCYP3A4/5発現を誘導する検体の可能性を評価するための、迅速かつ高感度の放射測定を記載する。インキュベーション、生成物分離及び放射活性カウントを含むアッセイの段階は全て、好ましくはマルチウェル方式で行われ、これは自動化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1)発明の分野
本発明は、CYP3A4/5の活性及び、例えばCYP3A4/5活性の阻害剤又はCYP3A4/5発現の誘導剤などの、検体がCYP3A4/5の活性を調節する可能性を評価するためのアッセイに関する。このアッセイは、基質としての6β位においてトリチウムにより標識されたテストステロン及び、CYP3A4/5による6β位における標識テストステロンのヒドロキシル化の際に生じるトリチウム化水から標識テストステロンを分離するための、テストステロンなどの非極性化合物に選択的に結合する吸着剤を用いる、CYP3A4/5、CYP3A4/5を含むミクロソーム又は肝細胞を含む反応において、テストステロンの6β−ヒドロキシル化を測定することにより、CYP3A4/5の活性又は発現を調べる。このアッセイは、CYP3A4/5酵素活性及び候補薬物のCYP3A4/5阻害又は誘導の可能性を評価して、さらなる開発から可能性のあるCYP阻害剤又は誘導剤を除外するために有用である。
【背景技術】
【0002】
(2)関連技術の説明
医薬品の薬物動態及び毒物動態特性は、大部分、薬物代謝酵素によるそれらの生体内変化に依存する。哺乳動物における主要な薬物代謝系はチトクロムP450(CYP)であり、これは、肝臓に主に存在するミクロソーム酵素のファミリーである。複数のCYPアイソフォームが、薬物、ステロイド、プロスタノイド、エイコサノイド、脂肪酸及び環境毒素を含む、内在性及び外来性の化学物質の酸化を触媒する(Ioannides、Cytochromes P450.Metabolic and Toxicological Aspects.CRC Press,Boca Raton.(1996))。特定のCYPアイソザイムにより代謝される薬物がその同じ酵素の阻害剤と同時投与されると、その薬物動態が変化し得、悪影響が生じ得る(Bertz及びGranneman、Clin.Pharmacokinet.32:210−258(1997);Lin及びLu,Clin.Pharmacokinet.35:361−390(1998);Thummel及びWilkinson,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.38:389−430(1998);von Moltkeら、Biochem.Pharmacol.55:113−122(1998))。したがって、代謝阻害のためにクリアランスの変化が起きることを予想し回避できることは重要である。薬物探索プロセス中に、さらなる開発から可能性のある阻害剤を除外するために、候補薬物のCYP阻害の可能性を評価することは、製薬工業における通常業務である(Lin及びLu,前出(1998);Crespi及びStresser,J.Pharmacol.Toxicol.Methods 44:325−331(2000);Bachmann及びGhosh,Curr.Drug.Metab.2:299−314(2001);Riley,Curr.Opin.Drug Disc.Dev.4:45−54(2001))。
【0003】
多くのCYPがまた、50倍から100倍以下で、生体異物により強く誘導可能である。薬物療法において、CYP阻害に関して2つの大きな懸案事項がある。第一に、薬物代謝が向上する結果として全身的な曝露が減少することにより、誘導によって治療効果が低下し得る。第二に反応性代謝物の形成が増加する結果として、誘導によって毒性と解毒との間に望ましくない不均衡が生じ得る(Lin及びLu、Clin.Pharmacokinet.35:361−390(1998))。
【0004】
CYP3A4はヒト肝臓において最も豊富なCYPであり、ヒト治療において使用される薬物の約50%の代謝に関与する(Guenegerich、Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.39:1−17(1999))。CYP3A4活性の阻害により、臨床的に重要かつ生命を脅かす可能性のある薬物相互作用が生じ得る(Thummel及びWilkinson、Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.38:389−430(1998))。したがって、CYP3A4阻害の可能性について候補薬物を評価することは重要なこととなってきた。CYP3A4誘導は、おそらく、確認された誘導に基づく薬物−CYP相互作用の最も重要な原因である(Whitlockら、CytochromeP450:Structure,Mechanism and Biochemistry(第二版)。Ortiz de Montelloano(編)、Plenum Press,New York(1995).pp.367−390)。候補薬物は、望ましくないCYP3A4誘導に基づく相互作用を誘導する可能性を有し得るので、新しい候補薬物をそれらのCYP3A4誘導の可能性に関して評価することは重要なこととなっている。
【0005】
候補薬物がCYP3A4活性を阻害する可能性を調べるために、いくつかのアッセイ法が現在使用されている。これらの方法のそれぞれが相異なる長所及び短所を示す。最も広く使用されている方法は、テストステロン6β−ヒドロキシル化アッセイであり、これはヒト肝臓ミクロソーム(HLM)において行われ、CYP3Aファミリー(CYP3A4/5)の酵素に対して特異的である(Waxmanら、Arch.Biochem.Bioiphys.263:424−436(1988);Maenpaaら、J.Steroid Biochem.Mol.Biol.44:61−67(1993);Wangら、Drug Metab.Dispos.25:502−507(1997);Yamazaki及びShimada、Arch.Biochem.Bioiphys.346:161−169(1997))。Center for Drug Evaluation and Research of the United States Food and Drug Administrationのレビュワーにより行われた最近の調査によると、テストステロン6β−ヒドロキシル化アッセイは、新しい薬物適用のサポートにおいて最も一般的に使用されているアッセイである(Yuanら、Clin.Pharmacol.Ther.66:9−15(1999);Yuanら、Drug Metab.Dispos.30:1311−1319(2002))。このアッセイによりもたらされる実用面での困難な課題は、反応産物の基質からのHPLC分離と、それに続いてUV又は質量分析検出が必要なことである。これにより、このアッセイが比較的労力及び時間を要するものとなっており、これは、産業レベルでの薬物探索設定において通常必要とされる多数の化合物のスクリーニングを行うには理想的ではない。
【0006】
高スループットスクリーニングに使用できるいくつかの代替的アッセイが過去数年にわたり導入されてきた。これらのアッセイは、蛍光性又は放射性標識基質の使用に基づくものであり、これによりHPLC分離を使用する必要がなくなる。おそらく、これらの中で最もうまくいったものは、基質として7−ベンジルオキシ−4−トリフルオロメチルクマリンを使用する蛍光分析によるアッセイである(Crespi及びStresser、J.Pharmacol.Toxicol.Methods 44:325−331(2000))。基質がCYP3A4に特異的ではないので、この蛍光分析によるアッセイはHLMを用いて行うことはできず、組み換え酵素の使用が必要である。CYP3A4特異的基質を使用し、したがってHLMを用いて行うことができる代替的な蛍光分析によるアッセイが記載されている(Chauretら、Anal.Biochem.276:215−226(1999);Stresserら、Drug Metab.Dispos.30:845−852(2002))。これらの蛍光分析によるアッセイは迅速であり、実施が容易であり、高スループットスクリーニング及び自動化を行うことができるが、これらには多くの制限がある。第一に、試験化合物は複数のアイソザイムによる代謝に供され得、それにより基質減少又は阻害代謝産物の形成の速度が異なることになるため、CYPアイソザイム全てを含有するHLMの代わりに組み換えCYPを使用することにより、阻害可能性の相違が生じ得る。CYP3A4特異的基質の使用によりこの懸案事項がなくなったとしても、第二の問題は、CYP3A阻害が基質依存性であるということである。(Kenworthyら、Br.J.Clin.Pharmacol.48:716−727(1999);Stresserら、Drug Metab.Dispos.28:1440−1448(2000);Wangら、Drug Metab.Dispos.28:360−366(2000))。CYP3A4は、複数の形式及び結合部位で基質及び阻害剤に結合すると考えられている、大型の複合酵素である(Kenworthyら、Drug Metab.Dispos.29:1644−1651(2001);Shouら、Eur.J.Pharmacol.394:199−209(2000);Ekinsら、Trends Pharmacol.Sci.24:161−166(2003))。結果として、古典的ではないCYP3A4プローブを用いて観察される阻害的相互作用は、他の基質を用いて観察されるものを代表例するものではないであろう(Cohenら、Drug Metab.Dispos.31:1005−1015(2003))。最後に、ある一定のクラスの化合物によって、蛍光干渉が頻繁に観察される。
【0007】
基質のヒドロキシル化に伴うトリチウム放出を使用して、チトクロムP−450酵素の活性が測定されてきた(Thompson及びSiiteri、J.Biol.Chem.249:5364−5372(1974);Reed及びOhno、J.Biol.Chem.251:1625−1631(1976);Miwaら、J.Biol.Chem.255:6049−6054(1980);Miyairi及びFishman、J.Biol.Chem.260:320−325(1985);Osawa及びCoon、Anal.Biochem.164:355−361(1987))。Draper及び共同研究者らは、この原理を利用したCYP3Aアッセイ手段を述べており、このアッセイでは、CYPA介在性の[1,2,6,7−H]−テストステロンの代謝から生じるトリチウム化水がチャコール抽出により未反応基質から分離される(Draperら、Drug Metab.Dispos.26:305−312(1998))。
【0008】
インビボ動物モデルは、誘導データのインビトロ/インビボ外挿に影響する因子におけるいくつかの有用な情報を提供し得るが、誘導性反応において顕著な種の相違があるため、新しい候補薬物に対するヒトCYP3A4誘導の評価に対して動物モデルを使用することはできない。新しい候補薬物に対するCYP3A4誘導の可能性を評価するために、肝臓スライス、不死化細胞株及び初代肝細胞を含むいくつかのインビトロモデルが確立されている(Silvaら、Drug Metab.Disp.26:490−496(1998);Kostrubskyら、Drug Metab.Disp.27:887−894(1999);Maurel、Adv.Drug Dev.Rev.22:105−132(1996);LeCluyse、Eur.J.Pharma.Sci.13:343−368(2001))。これらのモデルの中で、CYP3A4誘導を評価するために、大学及び企業の研究所により、ヒト肝細胞の初代培養が広く使用されてきた。一般に、初代肝細胞培養は、CYP3A4誘導を評価するための最も期待できるインビトロモデルであると考えられている。ヒト肝細胞においてCYP3A4誘導を評価するために使用されている一般的な方法は、24時間から78時間、リファムピシンなどの典型的な誘導剤の存在下又は非存在下で、又は試験化合物の存在下で、細胞をインキュベートすることである。次に、インタクトな細胞又は細胞から調製したミクロソームの何れかを用いて、テストステロン6β−ヒドロキシル化アッセイによりCYP3A4活性を調べる。試験化合物の誘導活性は通常、リファムピシンの誘導活性と比較して表される。CYP3A4により生じる代謝産物6βヒドロキシテストステロンの定量には、UV又は質量分析検出と組み合わせたHPLC分析が必要であり、したがって、高スループットスクリーニングには理想的に適切ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の観点から、高スループットスクリーニング形式に適合し得、テストステロンなどの古典的なCYP3A4基質の使用に基づく、CYP3A4活性の調節因子を同定するためのHPLCを使用しないアッセイが特に望まれよう。したがって、基質としてテストステロンを使用することに基づき、少なくとも従来のアッセイと同じ程度に高感度で特異的であり、高スループットスクリーニング形式に容易に適合させることができる、CYP調節因子を同定するためのアッセイが依然として要求されている。肝細胞においてCYP3A4活性を評価するためのアッセイもまた必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の要約
本発明は、チトクロムP−450(CYP)3A4/5の活性及び、検体がCYP3A4/5活性を阻害する又はCYP3A4/5発現を誘導する可能性を評価するための、迅速かつ高感度の放射分析アッセイを提供する。このアッセイは、検体存在下での、6β位においてトリチウム標識されたテストステロンのCYP3A4/5介在性6β−ヒドロキシル化において生じる[H]HOとしてのトリチウム放出の検出に基づくものであり、ここで、肝細胞における時間経過によるトリチウム放出の増加又はCYP3A4/5を含有する反応での時間経過によるトリチウム放出の減少は、検体がCYP3A4/5の活性又は発現の調節因子であることを示す。この方法により、さらに、肝細胞標本におけるCYP3A4/5の活性を調べることができる。従来のテストステロン6β−ヒドロキシル化アッセイとは異なり、本発明のアッセイは、HPLC分離及び質量分析を必要としない。代わりに、テストステロンなどの非極性化合物に選択的に結合する吸着剤を用いた固相抽出プロセスにおいて、トリチウム化テストステロンから、トリチウム化水生成物を分離する。トリチウム化テストステロンが6β位でのみ標識されている場合、分画変換速度及びアッセイ感度の両方が向上する。インキュベーション、生成物の分離及び放射活性測定を含む本アッセイの全段階が好ましくはマルチウェル形式で行われ、これは自動化できる。
【0011】
したがって、ある実施形態において、本発明は、CYP3A4/5、6β位においてトリチウム標識されたトリチウム標識テストステロン、NADPH、場合によってはNADPH再生系及び検体を含有する水性混合液を提供することと;CYP3A4/5活性が6β位におけるトリチウム標識テストステロンをヒドロキシル化するのに十分な時間、水性混合液をインキュベートすることと(トリチウム標識水が生成する。);場合によっては水性混合液からCYP3A4/5を除去することと;テストステロンなどの非極性化合物に選択的に結合する吸着剤に水性混合液を適用して、水性混合液からトリチウム標識テストステロンを除去することと;及びトリチウム標識テストステロンが除去された、水性混合液中のトリチウム標識水の量を測定することと(検体非存在下でのトリチウム標識水の量に対する検体存在下でのトリチウム標識水の量の減少は、検体がCYP3A4/5の活性を阻害することを示す。)、を含む、チトクロムP450 3A4又は3A5(CYP3A4/5)の活性を阻害する検体を同定するための方法を提供する。
【0012】
上記の実施形態のさらなる態様において、吸着剤は、ポリマーが加湿性となり及び有機溶質保持において有効となるように十分な割合で、少なくとも1個の親水性モノマー及び少なくとも1個の脂溶性モノマーをコポリマー化することにより形成される加湿性ポリマーを含む。上記の実施形態のさらなる態様において、脂溶性モノマーは、フェニル、フェニレン、エーテル又はC−C18アルキル基を含む。さらなる態様において、脂溶性モノマーはジビニルベンゼンである。上記の実施形態のさらなる態様において、親水性モノマーは、飽和、不飽和又は芳香族複素環基を含む。さらなる態様において、親水性モノマーは、N−ビニルピロリドンである。上記の実施形態のさらなる態様において、加湿性ポリマーは、ポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドン、好ましくは、ポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドンが12モル%を超えるN−ビニルピロリドンを含むポリマー、より好ましくは、ポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドンが約15モル%から約30モル%のN−ビニルピロリドンを含むポリマーである。
【0013】
上記の実施形態の別の態様において、吸着剤は、シリカ基材に結合された非極性基を含有する。さらなる態様において、吸着剤は、フェニルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、エチルシラン、ブチルシラン、ヘキシルシラン、オクチルシラン及びオクタデシルシランからなる群から選択される1以上のシランを含む。さらなる態様において、シリカ基材は、シリカ粒子及びシリカゲルからなる群から選択される。
【0014】
上記の実施形態のさらなる態様において、トリチウム標識テストステロンは1、2、6β及び7位において標識される。上記の実施形態及び態様の特に好ましい態様において、トリチウム標識テストステロンは6β位においてのみ標識されている。
【0015】
さらなる実施形態において、本発明は、CYP3A4/5、6β位においてのみトリチウム標識されたトリチウム標識テストステロン、NADPH、場合によってはNADPH再生系及び検体を含有する水性混合液を提供することと;CYP3A4/5活性が6β位におけるトリチウム標識テストステロンをヒドロキシル化するのに十分な時間、水性混合液をインキュベートすることと(トリチウム標識水が生成する。);場合によっては水性混合液からCYP3A4/5を除去することと;ポリマーが加湿性となり及び有機溶質保持において有効となるように十分な割合で、少なくとも1個の親水性モノマー及び少なくとも1個の脂溶性モノマーをコポリマー化することにより形成される加湿性ポリマーに水性混合物を添加して、水性混合液からトリチウム標識テストステロンを除去することと;及びトリチウム標識テストステロンが除去された、水性混合液中のトリチウムの量を測定することと(検体非存在下でのトリチウム標識水の量に対する検体存在下でのトリチウム標識水の量の減少は、検体がCYP3A4/5の活性を阻害することを示す。)、を含む、チトクロム3A4又は3A5(CYP3A4/5)の活性を阻害する検体を同定するための方法を提供する。
【0016】
上記の実施形態のさらなる態様において、脂溶性モノマーは、フェニル、フェニレン、エーテル又はC−C18アルキル基を含む。さらなる態様において、脂溶性モノマーはジビニルベンゼンである。
【0017】
上記の実施形態のさらなる態様において、親水性モノマーは、飽和、不飽和又は芳香族複素環基を含む。さらなる態様において、親水性モノマーは、N−ビニルピロリドンである。
【0018】
上記の実施形態のさらなる態様において、加湿性ポリマーは、ポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドン、好ましくは、ポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドンが12モル%を超えるN−ビニルピロリドンを含むポリマー、より好ましくは、ポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドンが約15モル%から約30モル%のN−ビニルピロリドンを含むポリマーである。
【0019】
上記の実施形態のさらなる態様において、反応混合液中にテストステロン−3−エチレンアセタール及び過酢酸をインキュベートすること;反応混合液中に生じた5α,6α−エポキシド(5α,6α−エポキシ−17β−ヒドロキシアンドロスタンヒドロキシアンドロスタン−3−オン,3−エチレンアセタール)から5β,6β−エポキシド(5β,6β−エポキシ−17β−ヒドロキシアンドロスタン−3−オン,3−エチレンアセタール)を分離すること;[H]−アルミニウムリチウムを含有するテトラヒドロフラン中で5α,6α−エポキシドをインキュベートして、[6β−H]−3,3−エチレンジオキシアンドロスタン−5α,17β−ジオールを生成させること;及び酢酸の水性混合液中に[6β−H]−3,3−エチレンジオキシアンドロスタン−5α,17β−ジオールをインキュベートして、[6β−H]−テストステロンを生成させること、によりテストステロンが6β位においてのみ標識される。
【0020】
さらなる実施形態において、本発明は、CYP3A4/5、6β位においてトリチウム標識されたトリチウム標識テストステロン、NADPH、場合によってはNADPH再生系及び検体を含有する水性混合液を提供することと;CYP3A4/5活性が6β位におけるトリチウム標識テストステロンをヒドロキシル化するのに十分な時間、水性混合液をインキュベートすることと(トリチウム標識水が生成する。);場合によっては水性混合液からCYP3A4/5を除去することと;形成されるポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドンが加湿性とあり及び有機溶質保持において有効となるようなN−ビニルピロリドンに対するジビニルベンゼンの割合で、ジビニルベンゼン及びN−ビニルピロリドンをコポリマー化することにより形成される加湿性ポリマーに水性混合物を添加して、水性混合液からトリチウム標識テストステロンを除去することと;及びトリチウム標識テストステロンが除去された水性混合液中のトリチウムの量を測定することと(検体非存在下でのトリチウム標識水の量対する検体存在下でのトリチウム標識水の量の減少は、検体がCYP3A4/5の活性を阻害することを示す。)、を含む、チトクロム3A4又は3A5(CYP3A4/5)の活性を阻害する検体を同定するための方法を提供する。
【0021】
上記の実施形態のさらなる態様において、ポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドンは12モル%を超えるN−ビニルピロリドンを含み、より好ましくは、ポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドンが約15モル%から約30モル%のN−ビニルピロリドンを含むポリマーである。
【0022】
上記の実施形態のさらなる態様において、トリチウム標識テストステロンは1、2、6β及び7位において標識されている。上記の実施形態及び態様の特に好ましい態様において、トリチウム標識テストステロンは6β位においてのみ標識される。
【0023】
上記のさらなる実施形態において、吸着剤又は加湿性ポリマーは固相抽出カートリッジ又はカラムの内側に充てんされる。上記の何れか1つの特に好ましい実施形態において、本方法は、インキュベーションを行う第一のマルチウェルプレート、インキュベーション後にトリチウム化水から標識テストステロンを分離するための、マルチウェルプレートと同じ配列であるマルチカラムプレート及びトリチウムを測定するためにマルチカラムからカラムの空隙容量及び洗浄液を回収するための第二のマルチウェルプレートを含むマルチウェルプレート形式で行われる。
【0024】
本発明はさらに、マルチウェルプレート及び、固相抽出カートリッジの一連を有しているラムプレート又はカラム(テストステロンなどの非極性化合物に選択的に結合する吸着剤をその中に有する。)を提供することと;マルチウェルプレートのウェルのそれぞれに、CYP3A4/5、6β位においてトリチウムにより標識されたトリチウム標識テストステロン及び検体を含有する水性混合液を添加することと;上記のウェルのそれぞれの中の水性混合液にNADPH及び場合によってはNADPH再生系を接触させ、CYP3A4/5が6β位でトリチウム標識テストステロンをヒドロキシル化するのに十分な時間、インキュベートすることと(トリチウム標識水が生成する。);場合によっては、マルチウェルプレートのウェルのそれぞれの中の水性混合液からCYP3A4/5を分離することと;カラムプレートの個々のミニカラムに各水性混合液を添加して、水性混合液からトリチウム標識テストステロンを除去することと;及びトリチウム標識テストステロンが除去された水性混合液中のトリチウム量を測定することと(検体非存在下でのトリチウム標識水の量に対する検体存在下でのトリチウム標識水の量の減少は、検体がCYP3A4/5の活性を阻害することを示す。)、を含む、チトクロム3A4又は3A5(CYP3A4/5)の活性を阻害する検体を同定するための方法を提供する。
【0025】
上記の実施形態のさらなる態様において、吸着剤は、ポリマーが加湿性となり及び有機溶質保持において有効となるように十分な割合で、少なくとも1個の親水性モノマー及び少なくとも1個の脂溶性モノマーをコポリマー化することにより形成される加湿性ポリマーを含む。上記の実施形態のさらなる態様において、脂溶性モノマーは、フェニル、フェニレン、エーテル又はC−C18アルキル基を含む。さらなる態様において、脂溶性モノマーはジビニルベンゼンである。上記の実施形態のさらなる態様において、親水性モノマーは、飽和、不飽和又は芳香族複素環基を含む。さらなる態様において、親水性モノマーは、N−ビニルピロリドンである。上記の実施形態のさらなる態様において、加湿性ポリマーは、ポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドン、好ましくは、ポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドンが12モル%を超えるN−ビニルピロリドンを含むポリマー、より好ましくは、ポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドンが約15モル%から約30モル%のN−ビニルピロリドンを含むポリマーである。
【0026】
上記の実施形態の別の態様において、吸着剤は、シリカ基材に結合された非極性基を含む。さらなる態様において、吸着剤は、フェニルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、エチルシラン、ブチルシラン、ヘキシルシラン、オクチルシラン及びオクタデシルシランからなる群から選択される1以上のシランを含む。さらなる態様において、シリカ基材は、シリカ粒子及びシリカゲルからなる群から選択される。
【0027】
上記の実施形態のさらなる態様において、トリチウム標識テストステロンは1、2、6β及び7位において標識される。上記の実施形態及び態様の特に好ましい態様において、トリチウム標識テストステロンは6β位においてのみ標識されている。
【0028】
さらなる実施形態において、本発明は、マルチウェルプレート及び、固相抽出カートリッジの一連を有しているカラムプレート又はカラム(形成されるポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドンが加湿性であり及び有機溶質保持において有効となるようなN−ビニルピロリドンに対するジビニルベンゼンの割合で、ジビニルベンゼン及びN−ビニルピロリドンをコポリマー化することにより形成される加湿性ポリマーをその中に有する。)を提供することと;マルチウェルプレートのウェルのそれぞれに、CYP3A4/5、6β位でトリチウムにより標識されたトリチウム標識テストステロン及び検体を含有する水性混合液を添加することと;ウェルのそれぞれの中の水性混合液にNADPH及び場合によってはNADPH再生系を接触させ、CYP3A4/5が6β位でトリチウム標識テストステロンをヒドロキシル化するのに十分な時間、インキュベートし(トリチウム標識水が生成する。)、場合によっては、マルチウェルプレートのウェルのそれぞれの中の水性混合液からCYP3A4/5を分離することと;カラムプレートの個々のミニカラムに各水性混合液を添加して、水性混合液からトリチウム標識テストステロンを除去することと;及びトリチウム標識テストステロンが除去された水性混合液中のトリチウム量を測定することと(検体非存在下でのトリチウム標識水の量対する検体存在下でのトリチウム標識水の量の減少は、検体がCYP3A4/5の活性を阻害することを示す。)、を含む、チトクロム3A4又は3A5(CYP3A4/5)の活性を阻害する検体を同定するための方法を提供する。
【0029】
上記の実施形態のさらなる態様において、ポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドンは、12モル%を超えるN−ビニルピロリドンを含み、より好ましくは、ポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドンが約15モル%から約30モル%のN−ビニルピロリドンを含むポリマーである。
【0030】
上記の実施形態のさらなる態様において、トリチウム標識テストステロンは1、2、6β及び7位において標識される。上記の実施形態及び態様の特に好ましい態様において、トリチウム標識テストステロンは6β位においてのみ標識される。
【0031】
本発明は、さらに、マルチウェルプレート及び、固相抽出カートリッジの一連を有しているカラムプレート又はカラム(ポリマーが加湿性となり及び有機溶質保持において有効となるように十分な割合で、少なくとも1個の親水性モノマー及び少なくとも1個の脂溶性モノマーをコポリマー化することにより形成される加湿性ポリマーをその中に有する。)を提供することと;マルチウェルプレートのウェルのそれぞれに、CYP3A4/5、6β位においてのみトリチウムにより標識されたトリチウム標識テストステロン及び検体を含有する水性混合液を添加することと;上記のウェルのそれぞれの中の水性混合液にNADPH及び場合によってはNADPH再生系を接触させ、CYP3A4/5が6β位でトリチウム標識テストステロンをヒドロキシル化するのに十分な時間、インキュベートすることと(トリチウム標識水が生成する。);場合によっては、マルチウェルプレートのウェルのそれぞれの中の水性混合液からCYP3A4/5を分離することと;カラムプレートの個々のミニカラムに各水性混合液を添加して、水性混合液からトリチウム標識テストステロンを除去することと;及びトリチウム標識テストステロンが除去された水性混合液中のトリチウム量を測定することと(検体非存在下でのトリチウム量に対する検体存在下でのトリチウム量の減少は、検体がCYP3A4/5の活性を阻害することを示す。)、を含む、チトクロム3A4又は3A5(CYP3A4/5)の活性を阻害する検体を同定するための方法を提供する。
【0032】
上記の実施形態のさらなる態様において、脂溶性モノマーは、フェニル、フェニレン、エーテル又はC−C18アルキル基を含む。さらなる態様において、脂溶性モノマーはジビニルベンゼンである。
【0033】
上記の実施形態のさらなる態様において、親水性モノマーは、飽和、不飽和又は芳香族複素環基を含む。さらなる態様において、親水性モノマーはN−ビニルピロリドンである。
【0034】
上記の実施形態のさらなる態様において、加湿性ポリマーは、ポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドン、好ましくは、ポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドンが12モル%を超えるN−ビニルピロリドンを含むポリマー、より好ましくは、ポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドンが約15モル%から約30モル%のN−ビニルピロリドンを含むポリマーである。
【0035】
上記の実施形態及び態様の何れか1つのさらなる態様において、カラムプレートのミニカラムのそれぞれは、そこにポリマーを保持するための多孔性の手段をさらに含む。好ましい実施形態において、マルチウェルプレート及びカラムプレートのウェルはそれぞれ、96ウェル組織培養プレートの形式を有する。
【0036】
本発明は、さらに、CYP3A4/5、NADPH再生系及び検体を含有する混合物を提供することと;様々な時間、混合物をインキュベートすることと;混合物を希釈し、次いで希釈混合物に6β位においてトリチウムにより標識されたトリチウム標識テストステロン及びNADPHを添加することと;CYP3A4/5が6β位におけるトリチウム標識テストステロンをヒドロキシル化するのに十分な時間、希釈混合物をインキュベートすることと;混合物からCYP3A4/5を除去することと;非極性化合物に選択的に結合する吸着剤に混合物を添加して、混合物からトリチウム標識テストステロンを除去することと;及びトリチウム標識テストステロンが除去された、段階(d)の混合物中のトリチウム量を測定することと(トリチウム量の減少は、検体が不可逆的にCYP3A4/5の活性を阻害することを示す。)、を含む、CYP3A4/5の活性を不可逆的に阻害する検体を同定するための方法を提供する。
【0037】
上記の実施形態のさらなる態様において、吸着剤は、ポリマーが加湿性となり及び有機溶質保持において有効となるように十分な割合で、少なくとも1個の親水性モノマー及び少なくとも1個の脂溶性モノマーをコポリマー化することにより形成される加湿性ポリマーを含む。上記の実施形態のさらなる態様において、脂溶性モノマーは、フェニル、フェニレン、エーテル又はC−C18アルキル基を含む。さらなる態様において、脂溶性モノマーはジビニルベンゼンである。上記の実施形態のさらなる態様において、親水性モノマーは、飽和、不飽和又は芳香族複素環基を含む。さらなる態様において、親水性モノマーはN−ビニルピロリドンである。上記の実施形態のさらなる態様において、加湿性ポリマーはポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドン、好ましくは、ポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドンが12モル%を超えるN−ビニルピロリドンを含むポリマー、より好ましくは、ポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドンが約15モル%から約30モル%のN−ビニルピロリドンを含むポリマーである。
【0038】
上記の実施形態の別の態様において、吸着剤は、シリカ基材に結合された非極性基を含む。さらなる態様において、吸着剤は、フェニルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、エチルシラン、ブチルシラン、ヘキシルシラン、オクチルシラン及びオクタデシルシランからなる群から選択される1以上のシランを含む。さらなる態様において、シリカ基材は、シリカ粒子及びシリカゲルからなる群から選択される。
【0039】
上記の実施形態のさらなる態様において、トリチウム標識テストステロンは1、2、6β及び7位において標識される。上記の実施形態及び態様の特に好ましい態様において、トリチウム標識テストステロンは6β位においてのみ標識される。
【0040】
上記の実施形態及び態様の何れか1つの特定の実施形態において、CYP3A4/5はミクロソームにおいて提供される。ミクロソームは、哺乳動物及び昆虫細胞からなる群から選択される細胞から生成され得、この細胞は、CYP3A4/5を発現するベクター(例えば、ウイルス又はプラスミドベクター)を含むか、又はミクロソームは、腎臓、肝臓、脳、筋肉などの細胞由来であり得る。好ましくは、ミクロソームは、ヒト肝臓ミクロソーム(HLM)である。CYP3A4/5源としてHLMを使用する上記の実施形態及び態様の何れか1つの特定の実施形態において、酸性化及び/又は遠心により水性混合液からHLMを除去する。
【0041】
さらなる実施形態において、本発明は、肝細胞の培養物を提供することと;CYP3A4/5が6β位におけるトリチウム標識テストステロンをヒドロキシル化するのに十分な時間、6β位においてトリチウムにより標識されたテストステロンを含有する培地中で肝細胞をインキュベートすることと(トリチウム標識水が生成する。);肝細胞の培養物から培地を除去することと;非極性化合物に選択的に結合する吸着剤に培地を添加して、培地からトリチウム標識テストステロンを除去することと;及びトリチウム標識テストステロンが除去された培地中のトリチウム量を測定することと(これは、肝細胞におけるCYP3A4/5の相対活性を決定する。)、を含む、肝細胞においてCYP3A4/5の活性を決定するための方法を提供する。
【0042】
さらなる実施形態において、本発明は、肝細胞の培養物を提供することと;検体を含有する培地中で肝細胞をインキュベートすることと;6β位においてトリチウムにより標識されたテストステロンを含有する第二の培地で検体を含有する培地を置き換え、CYP3A4/5が6β位におけるトリチウム標識テストステロンをヒドロキシル化するのに十分な時間、肝細胞をインキュベートすることと(これによりトリチウム標識水が生成する。);肝細胞の培養物から第二の培地を除去することと;非極性化合物に選択的に結合する吸着剤に第二の培地を添加して、第二の培地からトリチウム標識テストステロンを除去することと;及びトリチウム標識テストステロンが除去された第二の培地中のトリチウム量を測定することと(トリチウム標識テストステロン存在下、検体非存在下でインキュベートした肝細胞の対照培養物に対するトリチウム量の増加は、検体がCYP3A4/5発現を誘導することを示す。)、を含む、CYP3A4/5発現を誘導する検体を同定するための方法を提供する。好ましくは、肝細胞は、検体を含有する培地中で約24時間から78時間インキュベートされる。
【0043】
さらなる実施形態において、本発明は、肝細胞の培養物を提供することと;CYP3A4/5が6β位におけるトリチウム標識テストステロンをヒドロキシル化するのに十分な時間、6β位においてトリチウム標識されたテストステロン及び検体を含有する培地中で肝細胞をインキュベートすることと(これによりトリチウム標識水が生成する。);肝細胞の培養物から培地を除去することと;非極性化合物に選択的に結合する吸着剤に培地を添加して、培地からトリチウム標識テストステロンを除去することと;及びトリチウム標識テストステロンが除去された、段階の培地中のトリチウム量を測定することと(トリチウム標識テストステロン存在下、検体非存在下でインキュベートした肝細胞の対照培養物に対するトリチウム量の減少は、検体がCYP3A4/5の活性を阻害することを示す。)、を含む、CYP3A4/5活性を阻害する検体を同定するための方法を提供する。
【0044】
上記の実施形態のさらなる態様において、肝細胞の培養物はマルチウェルプレートの1以上のウェル中に提供され、吸着剤は、カラムプレートを構成する、1以上の固相抽出カートリッジ又はカラムに充てんされて提供される。
【0045】
上記の実施形態のさらなる態様において、吸着剤は、ポリマーが加湿性となり及び有機溶質保持において有効となるように十分な割合で、少なくとも1個の親水性モノマー及び少なくとも1個の脂溶性モノマーをコポリマー化することにより形成される加湿性ポリマーを含む。上記の実施形態のさらなる態様において、脂溶性モノマーは、フェニル、フェニレン、エーテル又はC−C18アルキル基を含む。さらなる態様において、脂溶性モノマーはジビニルベンゼンである。上記の実施形態のさらなる態様において、親水性モノマーは、飽和、不飽和又は芳香族複素環基を含む。さらなる態様において、親水性モノマーはN−ビニルピロリドンである。上記の実施形態のさらなる態様において、加湿性ポリマーはポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドン、好ましくは、ポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドンが12モル%を超えるN−ビニルピロリドンを含むポリマー、より好ましくは、ポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドンが約15モル%から約30モル%のN−ビニルピロリドンを含むポリマーである。
【0046】
上記の実施形態の別の態様において、吸着剤は、シリカ基材に結合された非極性基を含む。さらなる態様において、吸着剤は、フェニルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、エチルシラン、ブチルシラン、ヘキシルシラン、オクチルシラン及びオクタデシルシランからなる群から選択される1以上のシランを含む。さらなる態様において、シリカ基材は、シリカ粒子及びシリカゲルからなる群から選択される。
【0047】
上記の実施形態のさらなる態様において、トリチウム標識テストステロンは1、2、6β及び7位において標識される。上記の実施形態及び態様の特に好ましい態様において、トリチウム標識テストステロンは6β位においてのみ標識される。さらなる態様において、反応混合液中でテストステロン−3−エチレンアセタール及び過酢酸をインキュベートすること;反応混合液中で生じた5α,6α−エポキシド(5α,6α−エポキシ−17β−ヒドロキシアンドロスタンヒドロキシアンドロスタン−3−オン,3−エチレンアセタール)から5β,6β−エポキシド(5β,6β−エポキシ−17β−ヒドロキシアンドロスタン−3−オン,3−エチレンアセタール)を分離すること;[H]−リチウムアルミニウムを含有するテトラヒドロフラン中で5α,6α−エポキシドをインキュベートして、[6β−H]−3,3−エチレンジオキシアンドロスタン−5α,17β−ジオールを生成させること;及び酢酸の水性混合液中で[6β−H]−3,3−エチレンジオキシアンドロスタン−5α,17β−ジオールをインキュベートして、[6β−H]−テストステロンを生成させることにより、テストステロンが6β位においてのみ標識される。
【0048】
上記のさらなる実施形態において、加湿性ポリマーは、固相抽出カートリッジ又はカラムの内側に充てんされる。上記の何れか1つの特に好ましい実施形態において、本方法は、インキュベーションを行うための第一のマルチウェルプレート、インキュベーション後にトリチウム化水から標識ジクロフェナックを分離するための、マルチウェルプレートと同じ配列であるマルチカラムプレート及び、その中のトリチウムを測定するためにマルチカラムからカラムの空隙容量及び洗浄液を回収するための第二のマルチウェルプレートを含むマルチウェルプレート形式で行われる。
【0049】
本明細書中で使用する場合、「6β位においてトリチウムにより標識されたトリチウム標識テストステロン」とは、6β位においてのみ標識されたテストステロン及び1、2、6β及び7位において標識されたテストステロンを指す。
【0050】
本明細書中で使用する場合、「検体」という用語は、分子、化合物、化学物質、組成物、薬物などを指す。
【0051】
本発明の詳細な説明
本発明は、チトクロムP−450アイソフォーム3A4又は3A5(CYP3A4/5)活性を評価するための、及びCYP3A4活性又は発現の調節因子を同定するための、迅速かつ高感度のテストステロン6β−ヒドロキシル化アッセイを提供する。とりわけ、本発明は、CYP3A4/5を含有する混合物中のCYP3A4/5の活性を評価するためのアッセイを提供する。本アッセイは、可逆的阻害アッセイ及び機能ベース又は時間依存的阻害アッセイの両方を含む。混合物の例として、ヒト肝臓ミクロソーム(HLM)などの様々な組織からのミクロソーム;組み換えCYP3A4/5を発現する発現ベクターを含有する哺乳動物又は昆虫細胞からのミクロソーム;又は肝細胞、何らかの上記混合物中で検体がCYP3A4/5の活性を阻害する可能性及び肝細胞において検体がCYP3A4/5発現を誘導する可能性が含まれる。好ましくは、CYP3A4/5は、ヒトCYP3A4/5である。本アッセイは、検体の存在下での、CYP3A4/5が介在する、6β位においてトリチウム標識されたテストステロンの6β−ヒドロキシル化において生じる[H]−HOとしてのトリチウムの放出を検出することに基づき、本アッセイにおいて、時間経過による放出の増減は、検体がCYP3A4/5活性の調節因子であることを示す。例えば、検体存在下でのHLM中のトリチウム放出の減少は、検体がCYP3A4/5活性の阻害剤であることを示し、一方、検体での肝細胞処理後の肝細胞におけるトリチウム放出の増加は、検体がCYP3A4/5活性の誘導剤であることを示す。吸着剤を用いて固相抽出プロセスにおいてトリチウム化テストステロンからトリチウム化水生成物を分離する。この吸着剤は、テストステロンなどの非極性化合物に選択的に結合する基材を含む。インキュベーション、生成物分離及び放射活性カウントを含むアッセイの全段階をマルチウェル形式で行い、これは自動化することができる。
【0052】
ある態様において肝細胞を用いてCYP3A4/5の活性を誘導又は阻害する検体を同定するための実施形態により、CYP3A4/5をコードする遺伝子の発現を阻害又は誘導する検体、即ち、CYP3A4/5をコードする遺伝子の転写に影響を与える検体が同定される。別の態様における実施形態によって、CYP3A4/5をコードするmRNAの転写後プロセシングに影響を与えることによりCYP3A4/5活性において阻害又は誘導効果を示す検体が同定される。さらなる態様における実施形態によって、CYP3A4/5をコードするmRNAの翻訳に影響を与えることによりCYP3A4/5活性において阻害又は誘導効果を示す検体が同定される。さらなる態様における実施形態によって、CYP3A4/5と直接又は間接的に相互作用することによりCYP3A4/5活性において阻害又は誘導効果を示す検体が同定される。
【0053】
CYP3A4/5の活性を評価するための実施形態は、例えば新しい化学物質を用いて代謝安定性試験を行うためのこれらの肝細胞を使用する前など、市販のバッチの肝細胞の活性又は研究室内で単離された肝細胞の質を調整するために有用である。CYP3A4調節因子を同定するための実施形態は、さらなる開発から強力な阻害剤又は誘導剤である候補薬物を排除するために、候補薬物の潜在的なCYP3A4/5阻害又は誘導を評価するのに有用である。何れかの実施形態において、本発明は、検体のCYP3A4/5阻害又は誘導の可能性を評価するためにHPLC分離及び質量分析に依存する先行技術のアッセイよりも重要である。
【0054】
本アッセイは本明細書中でHLM又は肝細胞を用いて説明されるが、本アッセイは、精製組み換えCYP3A4/5又は、例えば腎臓、腸、肺などの他の組織から分離されたミクロソーム又はミクロソームを含有するその他の細胞内分画を使用し得る。CYP3A4/5、好ましくはヒトCYP3A4/5を発現する、プラスミド又はウイルスベクターを含有する哺乳動物細胞からミクロソームを調製することができる。ミクロソームは、CYP3A4/5及びP450レダクターゼを発現する組み換えバキュロウイルスに感染した昆虫細胞由来であり得る。組み換えCYP3A4/5を発現する細胞の長所は、CYP3A4/5が、これらのミクロソームにおいて存在する唯一のチトクロムP450であり、通常は比活性がより高いことである。組み換えCYP3A4を用いたアッセイに対する濃度範囲は約1から100pmol/mLであり、好ましい濃度は、約5から50pmol/mLの間である。時間依存的アッセイの場合、酵素は5から10倍高いものであるべきである(第二のインキュベーションにおける最終希釈のため。)。
【0055】
CYP3A4/5の活性の阻害について検体を試験するために、CYP3A4/5活性における阻害効果について試験すべき検体、基質プローブとしての6β位においてトリチウム標識されたテストステロン、適切な基質濃度を与えるための非標識テストステロン、プールしたHLM及び生理的pHの緩衝液を含む水性混合液を含有する第一の容器を提供する。通常、トリチウム標識テストステロンの約100,000から2,000,000dpmの間を使用し、好ましくは、標識テストステロンは約1,000,000dpmである。好ましい実施形態において、トリチウム化テストステロンは6ベータ位においてのみ標識され、これは、約100,000から200,000dpmの間で使用することができる。非標識テストステロンの量は、約1から100μMの間、通常は約60μMである。プールされたHLMは、一般に約0.05から2mg/mL、通常約0.25mg/mLである。適切な緩衝液の例は、0.1Mリン酸カリウム、pH7.6である。最終体積は、好ましくは約100μLから200μLの間である。好ましくは、検体に対して使用されるビヒクルの当量を含有する対照を提供する。
【0056】
通常、1、2、6及び7位でトリチウム標識された市販のテストステロンを基質プローブとして用いてアッセイを行うことができる一方、好ましい基質プローブは、6β位においてのみトリチウム標識されたテストステロンである。6β位においてのみ標識されたトリチウム化テストステロンを本アッセイで使用する場合、分画変換速度及びアッセイの感度の両方が向上する。さらに、1、2、6及び7位において標識された市販のテストステロンを用いた反応は好ましくは約200μLの体積で行われるが、一方、6β位においてのみ標識されたテストステロンを用いた反応は、約100μLの体積で行うことができる。[6β−H]−テストステロンの合成は、Campbellら(J.Amer.Chem.Soc.80:4717−4721(1958))、Toftら(J.Labeled Compounds and Radiopharmaceuticals,9:413(1973))及びListon及びToft(J.Org.Chem.34:2288(1969))により、及び実施例1で述べられている。
【0057】
37℃にて数分間緩衝液中でミクロソームの好ましいインキュベーション段階を行った後、約5mMグルコース−6−ホスフェート、約3mM MgCl及び約1ユニット/mLグルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼを含有するNADPH再生系あり又は無しで、約1mM NADPHを水性混合液に添加して反応混合物を形成し、次いでこれをテストステロンの6βヒドロキシル化が可能となるのに十分な時間、37℃でインキュベートする。通常、約10分間という時間は、CYP3A4/5の活性を検出するのに一般に十分である。場合によっては、様々な時間の長さで複数のアッセイを行う。次に、約0.1Nの濃度のHClなどの酸を添加することにより、反応混合物を反応停止させる。好ましくは、トリチウム化テストステロンからトリチウム化水を分離するための抽出カートリッジ又はカラムに反応混合物を移す前に、水性混合液からHLMを除去する。ろ過、遠心分離などにより、水層からHLMを除去することができる。好ましい実施形態において、遠心分離によりHLMを除去する。反応の酸性化によりHLMにおけるタンパク質が沈殿するので、低速遠心分離を用いてHLMのタンパク質を除去することができる。
【0058】
テストステロンなどの非極性化合物に選択的に結合する吸着剤を含有する抽出カートリッジ又はカラムに、HLMが除去された水性混合液又はHLMを含有する反応混合物を移す。カラムからの、空隙容積又はフロースルーを第二の容器で回収する。カラム中の吸着剤を水で洗浄し、洗浄液を第二の容器に移す。シンチレーション液を第二の容器に添加し、CYP3A4/5によりトリチウム化テストステロンから放出されたトリチウムを測定する。あるいは、空隙容積又はフロースルー及び洗浄液をシンチレーションバイアルに移し、シンチレーションカウンターにおいてトリチウムを測定するためにシンチレーション液と混合する。トリチウム化水がないか、又は陽性対照においてトリチウム化水の量と比較してトリチウム化水が減少していることは、検体がCYP3A4/5活性の阻害剤であることを示す。
【0059】
肝組織からの肝細胞の調製物のCYP3A4/5活性を次のように調べる。新しく肝臓組織から単離された肝細胞を含み得る、又は既に単離され、冷凍保存され、アッセイのために凍結融解された肝細胞の初代培養を提供する。培地中、又は肝細胞を培養するのに適切な水性混合液中で、5%CO及び95%空気又は酸素の加湿環境中で37℃において肝細胞を維持する(例えば、Dich及びGrunnet(Methods in Molecular Biology,Vol.5:Animal Cell Culture(Polland及びWalker編)pp.161−176、Humana press、Clifton,New Jersey(1989))を参照のこと。)。懸濁液中又は細胞培養プレートに接着した培養細胞においての何れかの細胞を用いてアッセイを行うことができる。懸濁液アッセイの場合、通常、約1x10個の細胞/mLから約1x10個の細胞/mLの濃度、好ましくは約1x10個の細胞/mLの濃度で肝細胞をインキュベートする。したがって、各培養ウェルは、約1x10個の細胞、肝細胞培地(HCM)1mL(Dich及びGrunnet、前出)、非標識テストステロン及びトリチウム標識テストステロンを含有する。通常、約100,000から2,000,000dpmの間のトリチウム標識テストステロンを使用する。好ましい実施形態において、トリチウム化テストステロンは6β位においてのみ標識され、これは、約100,000から500,000dpmの間であり得る。非標識テストステロンの量は、約1から200μMの間、通常は約60から200μMの間である。プレーティングされた細胞においてアッセイを行う場合、組織培養プレートに肝細胞をプレーティングし(好ましくは、培養プレートはコラーゲン被覆した24又は96ウェル組織培養プレートである。)、新鮮な肝細胞の培養に適切な培地(例えばHCM)中で5%COの加湿環境において37℃にて維持する。好ましくは、培地にITSを添加する。通常、約150,000から200,000個の細胞/cmの密度で肝細胞をプレーティングする。
【0060】
インキュベーション後、例えば遠心分離によりインキュベーション液を細胞から除去し、テストステロンなどの非極性化合物に選択的に結合する吸着剤を含有する抽出カートリッジ又はカラムに移す。カラムからの空隙容積又はフロースルーを第二の容器で回収する。カラム中の吸着剤を水で数回洗浄し、洗浄液を第二の容器に移す。シンチレーション液を第二の容器に添加し、CYP3A4/5によりトリチウム化テストステロンから放出されたトリチウムを測定する。あるいは、空隙容積又はフロースルー及び洗浄液をシンチレーションバイアルに移し、シンチレーションカウンターにおいてトリチウムを測定するためにシンチレーション液と混合する。生成したトリチウム化水の量により、肝細胞の相対的CYP3A4/5活性が決定される。
【0061】
検体がCYP3A4/5活性を阻害する能力を調べるためのアッセイは次の通りである。新しく肝臓組織から単離された肝細胞を含み得る、又は既に単離され、冷凍保存され、アッセイのために凍結融解された肝細胞の初代培養を提供する。懸濁液中又は細胞培養プレートに接着した培養細胞においての何れかの細胞を用いてアッセイを行うことができる。懸濁液アッセイの場合、上記のように肝細胞を培養するのに適切な培地中で5%COの加湿環境中で37℃にて肝細胞を維持する。通常、肝細胞は、1x10個の細胞/mLの濃度でインキュベートする。非懸濁液アッセイの場合、コラーゲン被覆したプレートに肝細胞をプレーティングし、肝細胞を培養するのに適切な培地(例えばHCM)中で5%COの加湿環境中で37℃にて維持する。したがって、各培養ウェルは、約1x10個の細胞、HCM 1mL、CYP3A4/5の活性における阻害効果について試験すべき検体、非標識テストステロン及びトリチウム標識テストステロンを含有する。通常、トリチウム標識テストステロン約100,000から2,000,000dpmを使用する。好ましい実施形態において、トリチウム化テストステロンは6β位においてのみ標識され、これは、約100,000から500,000dpmであり得る。非標識テストステロンの量は、約1から200μM、通常は約60から200μMの間である。好ましくは、検体に対するビヒクル又はケトコナゾールなどのCYP3A4阻害剤を含む対照を提供する。
【0062】
インキュベーション後、細胞からインキュベーション液を除去し、テストステロンなどの非極性化合物に選択的に結合する吸着剤を含有する抽出カートリッジ又はカラムに移す。カラムからの空隙容積又はフロースルーを第二の容器で回収する。カラム中の吸着剤を水で数回洗浄し、洗浄液を第二の容器に移す。シンチレーション液を第二の容器に添加し、CYP3A4/5によりトリチウム化テストステロンから放出されたトリチウムを測定する。あるいは、空隙容積又はフロースルー及び洗浄液をシンチレーションバイアルに移し、シンチレーションカウンターにおいてトリチウムを測定するためにシンチレーション液と混合する。トリチウム化水がない、又はビヒクルのみを含有する対照におけるトリチウム化水の量と比較してトリチウム化水が減少していることは、検体がCYP3A4/5活性の阻害剤であることを示す。
【0063】
検体がCYP3A4/5活性を誘導する能力を調べるためのアッセイは次の通りである。新しく肝臓組織から単離された肝細胞を含み得る、又は既に単離され、冷凍保存され、アッセイのために凍結融解された肝細胞の初代培養を提供する。組織培養プレートに肝細胞をプレーティングし(好ましくは、培養プレートはコラーゲン被覆した24又は96ウェル組織培養プレートである。)、新鮮な肝細胞の培養に適切な培地(例えばHCM)中で5%COの加湿環境において37℃にて維持する。好ましくは、培地にITSを添加する。通常、肝細胞を約150,000から200,000個の細胞/cmの密度でプレーティングする。24時間から78時間後、培地を除去し、新鮮な培地及び、誘導の可能性についての試験を行う検体を肝細胞に添加する。好ましくは、検体に対するビヒクル又はリファムピシンなどの公知の誘導剤の何れかを含有する対照を提供する。上記のようにCYP3A4/5の誘導に十分な時間(通常は約24時間から78時間)、肝細胞をインキュベートした後、CYP3A4/5酵素活性を調べる。
【0064】
生理的pH(例えばpH7.4)の緩衝液を含有する平衡塩類溶液を含有するインキュベーション液中で肝細胞をインキュベートする。平衡塩類溶液の例は、Hank’平衡塩類溶液であり、適切な緩衝液の例は、10mM HEPESである。次に、非標識テストステロン及びトリチウム標識テストステロンを含有する混合液を添加し、CYP3A4/5の活性を評価するのに適切な時間(約1時間)上述のように肝細胞をインキュベートするが、一般に約1時間は十分な時間である。通常、トリチウム標識テストステロン約100,000から2,000,000dpm/mLを使用し、好ましくは、標識テストステロンは約1,000,000dpm/mLである。好ましい実施形態において、トリチウム化テストステロンは6β位においてのみ標識され、これは、約100,000から500,000dpm/mLの間で使用することができる。非標識テストステロンの量は約1から300μMの間であり、通常約60μMである。場合によっては、平行したインキュベーションを行うが、これは、検出された酵素活性が特異的にCYP3A4/5により媒介されることを確認するために、CYP3A4阻害剤ケトコナゾールを含有する。
【0065】
インキュベーション後、インキュベーション液を細胞から除去し、テストステロンなどの非極性化合物に選択的に結合する吸着剤を含有する、抽出カートリッジ又はカラムに移す。カラムからの空隙容積又はフロースルーを第二の容器で回収する。カラム中の吸着剤を水で洗浄し、洗浄液を第二の容器に移す。シンチレーション液を第二の容器に添加し、CYP3A4/5によりトリチウム化テストステロンから放出されたトリチウムを測定する。あるいは、空隙容積又はフロースルー及び洗浄液をシンチレーションバイアルに移し、シンチレーションカウンターにおいてトリチウムを測定するためにシンチレーション液と混合する。トリチウム化水が存在すること、又はビヒクルのみを含有する対照におけるトリチウム化水の量と比較してトリチウム化水が増加していることは、検体がCYP3A4/5活性の誘導剤であることを示す。
【0066】
下記で考察し、本発明の好ましい態様において実施例1で示すように、マルチウェル形式、好ましくは96ウェル形式で本アッセイを行う。マルチウェル形式により複数の検体を同時に試験できるようになる。マルチウェル形式において、マルチウェルプレートのウェル(第一の容器)中で各反応を行う。反応終了時及びHLMを除去する任意の段階後のトリチウム化テストステロンからのトリチウム化水の分離は、複数の小型カラム(それぞれが本明細書中で開示する吸着剤を含有する。)を含む精密ろ過/抽出カラムプレートの個々のカラムに各反応液を添加することにより行う。好ましくは、精密ろ過/抽出カラムプレートのカラムはマルチウェルプレートに対するものと同じように配置する。精密ろ過/抽出カラムプレートと同じ形式である第二のマルチウェルプレートで空隙容積及び洗浄液を回収し、シンチレーション液と混合し、マルチウェル形式中の試料をカウントするために適合させたシンチレーションカウンターにおいてカウントする。
【0067】
吸着剤はテストステロンなどの非極性化合物に選択的に結合する、すなわち、吸着剤は標識テストステロンに吸着又は結合することができるが、ヒドロキシル化により生成した標識水には吸着又は結合しない。テストステロンなどの非極性化合物に選択的に結合する吸着剤としては、以下に限定されないが、ポリスチレン−ジビニルベンゼン又はポリ(ジビニル−ベンゼン−ビニルピロリドン)などの疎水性又は脂溶性ポリマーを含有する吸着剤、吸着剤が標識テストステロンに結合するがトリチウム化水に結合しないことを可能にするような比で脂溶性及び親水性モノマーを含有する加湿性ポリマー及びC−C18シランなどのシリコンベースの吸着剤が挙げられる。
【0068】
加湿性ポリマーを含有する吸着剤は、ポリマーが加湿性となり及び有機溶質保持において有効となるように十分な割合で、少なくとも1個の親水性モノマー及び少なくとも1個の脂溶性モノマーをコポリマー化することにより形成される。脂溶性モノマーは、フェニル、フェニレン及びC−C18−アルキル基などの脂溶性部分を含み得る。特に有用な脂溶性モノマーとしては、ジビニルベンゼン及びスチレンが挙げられる。親水性モノマーは、飽和、不飽和又は芳香族複素環基(例えば、ピロリドニル基又はピリジル基)などの親水性部分を含み得る。あるいは、親水性基はエーテル基であり得る。特に有用なモノマーとしては、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン及びエチレンオキシドが挙げられる。加湿性ポリマーのある実施形態において、ポリマーは、12モル%を超えるN−ビニルピロリドンを含む、好ましくは、約15モル%から約30モル%のN−ビニルピロリドンを含む、ポリ(ジビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドン)コポリマーである。好ましい加湿性ポリマーの例は、WO9738774及び米国特許第6,726,842号(両方ともBouvierらに対するものである。)で開示されている。好ましい吸着剤はOASIS HLB吸着剤であり、これは、N−ビニルピロリドンとジビニルベンゼンモノマーとの調和の取れた割合を含み、Waters Corporation(Newcastle,DE)から市販されている。
【0069】
シリコンベースの基材又はマトリクスを含有する吸着剤は、シリカ基材に結合された非極性基を含む。吸着剤は、非極性化合物を抽出することが当技術分野で周知の1以上のシランを含み得る。このような吸着剤としては、以下に限定されないが、フェニルシラン、ブチルジメチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、エチルシラン、ブチルシラン、ヘキシルシラン、オクチルシラン又はオクタデシルシランが挙げられる。シランは、単官能性又は三官能性であり得る。シリカ基材又はマトリクスとしては、以下に限定されないが、固体もしくは多孔性シリカ又はセラミック粒子又は微粒子又はシリカゲルが挙げられる。
【0070】
本方法の好ましい実施形態において、吸着剤は、固相抽出カートリッジ又はカラムを形成するように開口容器中に充てんされた、粒子、ビーズなどとして提供される。本発明の特定の実施形態において、吸着剤は、多孔性膜に捕捉された、固相抽出カートリッジ又はカラムに充てんされる。他の実施形態において、固相抽出カートリッジ又はカラムはさらに、吸着剤に隣接した固相抽出カートリッジ又はカラムの片端もしくは両端で、又はその付近で、フィルター成分などの多孔性の保持手段又はガラス原料を含む。多孔性保持手段は、固相抽出カートリッジ又はカラム内に吸着剤を保持するためである。さらなる実施形態において、一対の多孔性保持手段の間に吸着剤を配置するが、第一の多孔性保持手段は固相抽出カートリッジ又はカラム内で吸着剤を保持し、第二の保持手段はまた、カラム中の吸着剤の保持を補助し、HLMなどの固体材料が吸着剤と混合されるのを防ぐ。フィルター又は硝子材料は、例えば、フリット硝子又は多孔性ポリマー、例えば高密度ポリエチレン、TEFLON(E.I.du Pont de Nemours and Company,DE)又はポリカーボネートなどである。
【0071】
図1は、本発明の方法の実施に適切な固相抽出カートリッジ又はカラム10の例の横断面図を示す。カラム10は、壁14を有する伸長体12(これは、軸方向の空洞部16を規定する。)、水性混合液を受容するための、カラム10の遠位端20のインレット18及び、水性混合液を排出するための、カラム10の近位端24のアウトレット22から構成される。図1でさらに示されるように、近位端24に多孔性保持手段26が隣接し、これは面28を有する。多孔性保持手段26は、面28がカラム10の壁14に垂直であるように、カラム10において近位端24に隣接して位置する。多孔性保持手段26の面28には吸着剤30が配置される。場合によっては、示されるように、第二の多孔性保持手段32が、遠位端20に隣接して、もしくはその付近に位置し得、吸着剤30はそれらの間に配置され得る。カラム10は、水性混合液がインレット18を介して容器に入り、カラム10内で吸着剤30に接触し、アウトレット22を介してカラム10から排出されることを可能にする。好ましくは、吸着剤30は、好ましくは直径が約30から60μmであるビーズなどの小粒子としてカラム10中に充てんされる。
【0072】
好ましい実施形態において、ハイスループットスクリーニングに特に適切な形式を与えるために、複数のカラム10を配置する。例えば、固相抽出カートリッジ又はカラム(好ましくは、小型固相抽出カートリッジ又はカラム、つまり、ミニカラム)を与えるために、複数のウェルを含む、マルチカラム精密ろ過/抽出カラムプレートを適合させた。好ましいマルチカラム精密ろ過/抽出カラムプレート形式では、マルチウェル組織培養プレートに対して使用される形式に対応する形式でミニカラムが配置される。例えば、精密ろ過/抽出カラムプレートのミニカラムは、6ウェル、12ウェル、24ウェル、48ウェル、96ウェル又は384ウェル形式で配置することができる。好ましい実施形態において、マルチカラム精密ろ過/抽出カラムプレートでは、96ウェル形式でミニカラムが配置される。例として、図2は、水性混合液を受容するための開口部14と水性混合液を排出するためのアウトレット106とを有する複数のミニカラム102を含むマルチカラム精密ろ過/抽出プレート100を示し、ここで、ミニカラム102のそれぞれは、96−ミニカラム形式で並べられた図2のカラム10に対して示されるものと同様の内部配置を含む。遠心分離又は減圧により、このカラムを介して、96ウェル形式で配置されたウェルを含有する回収プレートへの水性混合液の移動が達成され得る。マルチカラム精密ろ過/抽出カラムプレート及び、このプレートを使用するための方法ならびに装置は、多くの米国特許、例えば、米国特許第6,506,343号(Bodnerらに対する。)、同第6,491,873号(Roberts及びWoelkに対する。)及び同第6,338,802号(Bodnerらに対する。)及び米国公開特許出願第20030143124号(Roberts及びGrenzに対する。)で開示されている。
【0073】
CYPの可逆的阻害に加えて、ある種の検体又はそれらのCYPにより生成された代謝産物による不可逆的又は見かけ上不可逆的な不活性化が起こり得る。このタイプの阻害、作用機序に基づく又は時間依存的阻害(MBI)と呼ばれるもの、は、阻害剤存在下で酵素活性が進行性に時間依存的低下を示すことを特徴とする。CYPの3種類の作用機序に基づく(時間依存的)不活性化が報告されている:(i)阻害剤が酵素アポタンパク質に共有結合する;(ii)阻害剤が合成ヘムに共有結合する;(iii)阻害剤がきつく(見かけ上不可逆的に)ヘム又はアポタンパク質に結合する。CYP3A4/5、CYP2C9、CYP1A2、CYP2D6、CYP2C19、CYP2A6、CYP2B6及びCYP2E1を含む殆どのヒト肝臓薬物代謝CYPは、作用機序に基づく阻害(MBI)にさらされる(Zhang及びWong、Curr.Drug Metab.6:241−257(2005);Venkatakrishnanら、Curr.Drug Metab.4:423−459(2003);Zhouら、Curr.Drug Metab.5:415−442(2004);Zhouら、Clin.Pharmacokinet.44:279−304(2005))。
【0074】
インビボでの影響が必ずしも明らかではない可逆的CYP阻害に対して、MBIは殆ど常に、臨床的に関心のある薬物−薬物相互作用を導く。実際に、MBIは、臨床的な薬物−薬物相互作用に対する主要な原因の1つと現在では考えられていおり、過去において潜在的に見過ごされてきた。
【0075】
MBIが活性酵素の時間依存的喪失を導くので、同じCYPにより代謝される薬物の薬物動態における時間依存的CYP阻害剤の臨床的影響は次の通りである。
・MBIは、連続投与において非定常のPKを引き起こす。
・薬物−薬物相互作用の程度は発現及び消失において時間依存的である。
・腸管腔で阻害剤が高濃度であると、基質において顕著な影響が生じ、腸代謝によりその経口でのバイオアベイラビリティーが制限される。
【0076】
CYP3A4は、主要な肝臓及び腸CYPの1つであり、臨床で使用される薬物の50%超の代謝に関与する。CYP3A4の時間依存的阻害剤としては、カルシウムチャネルブロッカーベラパミル、ニカルジピン、ジルチアゼム及びミベフラジル;抗プロゲスチン剤ミフェプリストン;マクロライド系抗生物質トロレアンドマイシン、エリスロマイシン及びクラリスロマイシン;及びHIVプロテアーゼ阻害剤リトナビル及びネルフィナビルが挙げられる。
【0077】
したがって、本発明はまた、上述の、可逆的又は見かけ上可逆的なアッセイに加えて、作用機序に基づくアッセイ又は時間依存的アッセイも提供する。化合物が時間依存的CYP阻害剤として作用する可能性を評価するために、一連の様々な長さの時間(通常、0分から60分間)、NADPH再生系存在下で、検体をCYP3A4/5とともにプレインキュベートする。一般に、可逆的阻害アッセイにおいて使用される量よりも約5から10倍多い量でCYP3A4/5を提供する。温度不安定性による酵素活性の喪失を監視するために、阻害剤非存在下で対照インキュベーションを行う。プレインキュベーション終了時に、時間0のプレインキュベーション時間対照に対する、酵素的に活性なCYPの量の変化を調べる。プレインキュベーションが約10倍希釈され、基質が添加される第二のインキュベーションを行うことにより、これを遂行する。特定の時間間隔の間に形成される生成物の量を測定することにより、酵素活性を求める。時間依存的CYP阻害アッセイに使用される通常の基質は、上記可逆的阻害アッセイに対して使用されるものと同じである。例えば、テストステロンとのCYP3A4/5に対するKは約50μMであり、テストステロンの好ましい濃度は、約200から500μMの間である。実施例4は、HLMを用いた時間依存的アッセイの例を提供する。
【0078】
第二のインキュベーションにおける試験検体により生じる何らかの可逆的CYP阻害効果を最小限に抑えるために、プレインキュベーション混合液を数倍希釈(通常、5−20倍)し、半最大活性に必要とされる濃度より数倍(通常、5−10倍)高い濃度でCYP基質を添加し(試験化合物による競合的阻害を最小限に抑えるために。)、インキュベーション時間を短くする(通常10分間)。検体が時間依存的阻害剤として作用する場合、CYPとのプレインキュベーションは、擬一次反応速度式による酵素活性の喪失を引き起こす。各阻害剤濃度に対して、残存酵素活性の%(阻害剤なしの対照に対して。)は、次の式に従い時間とともに変化する。
【0079】
【数1】

(式中、kは、実測の擬一次不活性化速度定数であり、これは、次の関係に従いプレインキュベーション中の阻害剤濃度に関連する。
【0080】
【数2】

(式中、Iは阻害剤濃度であり、kinactは最大不活性化速度定数であり、K0.5は、50%kinactでの阻害剤濃度であり、nはHill係数である。))kinact及びK0.5を求めるために、非線形回帰分析を用い、Iに対するkの曲線を数式2にフィットさせる。
【0081】
次の実施例は、本発明のさらなる理解を促すものである。
【実施例1】
【0082】
この実施例は、本発明のアッセイの開発及びCYP3A4/5活性の阻害剤を同定するためのその使用を説明する。
【0083】
[6β−H]−テストステロンの合成。[6β−H]−テストステロンの合成は次の通りである。
【0084】
【化1】

【0085】
クロロホルム14mL中のテストステロン−3−エチレンアセタール(1、Steraloids Inc.,Newport,RIより入手。)0.85gの撹拌溶液に、氷−塩浴で冷却しながら、酢酸ナトリウム0.1g及び過酢酸(36%)1mLを添加した。2時間後、最初に1N水酸化ナトリウム溶液(5mL)、次いで水(2x5mL)で溶液を洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮乾固した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(60g、シリカゲル、溶出液としてヘキサン:アセトン)を用いることにより、形成された5β,6β−エポキシド(5β,6β−エポキシ−17β−ヒドロキシアンドロスタン−3−オン,3−エチレンアセタール;2)及び5α,6α−エポキシド(5α,6α−エポキシ−17β−ヒドロキシアンドロスタン−3−オン,3−エチレンアセタール;3)(本反応で精製させた。)を互いに分離した。5α,6α−エポキシド(3)を含有する分画を回収し、蒸発乾固し、生成物330mgを得た。LC/MS:(MH)349(100%)。H NMR(CDCl)Liston及びToft,前出を参照のこと。)。
【0086】
【化2】

【0087】
H]−水素化アルミニウムリチウム(American Radiolabelled Chemicals Inc.,Saint Louis,MOから入手した、LAT、100mCi)とともに1時間、窒素雰囲気下で撹拌しながら、無水テトラヒドロフラン(2mL)中の5α,6α−エポキシ(3、3.48mg)を還流下で加熱し、[6β−H]−3,3−エチレンジオキシアンドロスタン−5α,17β−ジオール(4)を生成させた。1%水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応混合物の反応を停止させ、エーテル(10mL)で希釈し、水(2x5mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を蒸発乾固し、さらなる精製を行わずに残渣を次の反応に対して使用した(全放射能20mCi)。
【0088】
【化3】

【0089】
[6β−H]−3,3−エチレンジオキシアンドロスタン−5α,17β−ジオール(4、20mCi)を酢酸(0.150mL)及び水(0.05mL)の混合液とともに100℃で15分間加熱した。溶液を室温に冷却し、エーテル(2x10mL)で抽出した。有機層を重炭酸ナトリウム飽和溶液(5mL)、水(2x5mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。粗製生成物(5、10mCi)をメタノール(5mL)、水(2mL)中で溶解させ、0.1N水酸化ナトリウム(0.1mL)で処理した。溶液を室温にて16時間撹拌し、次いで酢酸(0.1mL)で処理した。ロータリーエバポレーターで溶液を半分の体積まで蒸発させた。逆相HPLC(Luna フェニルヘキシルカラム、0.1%TFA含有の水:アセトニトリル、55:45、UVは254nm、流速4mL/分)、保持時間は10.5分であった。)により粗製生成物を精製した。合わせた分画をSep−Pak C18に通し、エタノール(10mL)でさらに洗浄し、[6β−H]−テストステロン(6)2.2mCiを得た。比放射能は、LC/MSにより計算したところ1.6Ci/mmolであった。
【0090】
トリチウムNMRにより、トリチウム標識の位置がテストステロンの6β位にあることが確認された。LC/MS289(MH)+、290(MH+1)、291(MH+2)。プロトンNMR:(CDCl,δ)0.79(3H、s 18−H3)、1.2(3H,s,18−H3)、5.73(1H,s,4−H)。トリチウムNMR:(CDCl,δ)2.1(1 T,s,6β−トリチウム)。
【0091】
[1,2,6,7−H]−テストステロンの精製。Amersham Biosciences(Piscataway,NJ)から[1,2,6,7−H]−テストステロンを購入した。極性不純物を除去するために、市販の[1,2,6,7−H]−テストステロンの一定分量(約0.1mCi)を真空下で乾燥させ、水で再構成し、30mgWaters OASIS抽出カートリッジ(製造者の説明書に従い前もって調整した。)に載せた。OASIS抽出カートリッジは、Waters Corp(Newcastle,DE)から購入した。水5mLで洗浄した後、[1,2,6,7−H]−テストステロンをメタノール2mLで溶出し、再び乾燥させ、エタノール中で再構成した(元の一定分量と同体積)。
【0092】
[1,2,6,7−H]−テストステロンを用いた放射分析CYP3A4アッセイ。200μLの最終体積中に精製[1,2,6,7−H]−テストステロントレーサー(0.2から0.5μCi)、非標識テストステロン(60μM、別段の指示がある場合を除く。)、プールしたヒト肝臓ミクロソーム(HLM)(0.25mg/mL、別段の指示がある場合を除く。)及び0.1Mリン酸カリウム緩衝液、pH7.6を含有する96ウェルコニカルマイクロタイタープレート(Corning,Acton,MAより入手可能)中で反応を行った。プールしたHLMは、Gentest Corp.(Woburn,MA)から入手した。DMSO中の保存溶液から、阻害剤を反応混合物に添加し、最終溶媒濃度を0.6%(v/v)とした。阻害剤なしの対照はビヒクル当量を含有した。37℃にて10分間のプレインキュベーション後、1mM NADPH及び、5mMグルコース−6−ホスフェート、3mM MgCl及び1U/mLグルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼを含有するNADPH再生系を添加することにより、反応を開始させた。37℃にて10分間アッセイを行い、0.1Nの最終濃度になるようにHClを添加することにより反応停止させた。次に、マイクロプレートローターにおいてプレートを10分間遠心分離し、前もって調整した30mgOASIS96ウェルHLBプレートのウェルに上清を載せた。OASIS吸着剤10又は30mgを含有するOASIS HLB96ウェル抽出プレート及び真空マニホールドはWaters Corp.から購入した。真空にして、空隙容積を回収プレートで回収した。次に、水200μLを添加し、再び真空にして、同じプレートで洗浄液を回収した。この段階を繰り返した。プールした空隙容積及び水洗浄液をシンチレーションバイアルに移し、β−シンチレーションカウンタ中でカウントした。あるいは、TOPCOUNTシンチレーションカウンタ(Packard,Perkin Elmer,Boston,MA)を用いて24ウェルシンチレーションプレート中で一定分量に対してカウントした。酵素活性の計算のために、NADPH再生系なしで行った対照インキュベーションで得られたカウントを差し引くことにより、生成物カウントを補正した。
【0093】
[6β−H]−テストステロンを用いた放射分析CYP3A4アッセイ。アッセイ手段は、[1,2,6,7−H]−テストステロンヒドロキシル化アッセイと同様であるが次の改変がある。
【0094】
全放射能は100,000から200,000dpmであり、反応体積は100μLであり、溶媒濃度(阻害剤保存溶液由来)は0.3から0.7%DMSO及び0.5%アセトニトリル(v/v)であった。10mgOASIS96ウェルHLBプレートを用いて生成物分離を行った。空隙容積を回収し、75μL水洗浄液と合わせた。Beckman βシンチレーションカウンタを用いて放射活性を調べるか、又は、TOPCOUNTシンチレーションカウンタを用いて96ウェルシンチレーションプレート中で120μLの一定分量に対してカウントを行うことにより、放射活性を調べた。
【0095】
6β−ヒドロキシテストステロン及び2β−ヒドロキシテストステロンの定量。CTCAnalytics PAL自動サンプラー(HTS PAL;CTC Analytics AG、Switzerland)を備えたAgilent HP1100液体クロマトグラフ(Agilent Technologies)を用いて、HPLCにより、アッセイ反応混合物の一定分量及び代謝産物の一定分量の標準曲線を分析した。XTERRA MS C18カラム(4.6mMx5cm;5μm;Waters Corp.)において、1mL/分の流速で、水中0.1%ギ酸(A)及びアセトニトリル中0.1%ギ酸(B)(5から100%Bの4分間の直線的勾配;100%Bで2分間。)からなる移動相を用いてクロマトグラフィーを行った。最初の1分間、溶離液を捨て、次いで、陽イオンモードで操作されるTurbo Ionsprayイオン化ソースを備えたSciex API−2000トリプレット四極子質量分析装置に送った。スプレー電圧は5500Vであり、ソース温度は45℃であり、カーテンガス設定は10であり、クラスタ分離電位は60Vであり、フォーカシング電位は250Vであり、衝突エネルギーは25Vであった。代謝産物を検出し、遷移m/z305.0から269.1により同定した。Analyst Quantitation Wizardソフトウェアバージョン1.4を用いて、標準曲線のそれに対するピーク領域比の加重線形最小二乗回帰分析により、代謝産物濃度を調べた。
【0096】
トリチウム動的同位体効果の決定。次の式(Northrop,Meth.Enzymol.87:607−625(1982))に従い、V/K比に対する、TV/K、動的同位体効果を調べた:
【0097】
【数3】

(式中、fは生成物に対する基質の分画変換であり、SAは標識基質の最初の比放射能であり、SAは生成物の比放射能である。)。本実験において観察されるもののようなf(<5%)の低値において、この式は、次の式に変形される(Northrop,Meth.Enzymol.87:607−625(1982)):
【0098】
【数4】

【0099】
トレーサー競合実験からの非標識生成物の見かけの形成速度の計算。[6β−H]−テストステロンの固定量及び非標識テストステロンの様々な濃度を用いてアッセイを行う場合、非標識生成物の形成速度vは、次式により与えられる:
【0100】
【数5】

(式中、vはトリチウム化水の形成速度である。)。式4から差し引くことにより、
【0101】
【数6】

を得て、動的同位体効果で割った非標識生成物の形成速度としてv’を定義し、つまり、
【0102】
【数7】

であり、次式:
【0103】
【数8】

を得る。既知のTV/K比(これは、SA由来であったため、同語を繰り返すことになる。)を用いずに、v’、非標識生成物の見かけの形成速度を計算できる。基質濃度、Sに対してプロットし、Hillの式へフィットさせた場合(式9)、V’max、S50、50%での基質濃度及びn、Hill係数を導き出すことができる。
【0104】
【数9】

(式中、
【0105】
【数10】

つまり、生成物形成の見かけの最大速度である。
【0106】
曲線のフィッティング。XLFIT4.0(ID Business Solutions,Inc.,Guildford,UK;Emeryville,CA)を用いて、非線形回帰により、Hillの式又は4パラメーターロジスティック阻害モデル(Rodbard及びFrazier,Meth.Enzymol.37:3−22(1975))への曲線のフィッティングを行った。
【0107】
結果
96ウェル固相抽出プレートを用いた放射性標識テストステロン及び[H]−HOの分離。10mg又は30mgOASIS吸着剤を含有する96ウェル抽出プレートに、精製[1,2,6,7−H]−テストステロン(10から10dpm)を含有するアッセイ緩衝液の溶液及び停止溶液を載せた場合、99.9%を超える放射活性がプレートに保持された。放射活性の0.045±0.006%(平均±SEM、n=7)のみが合わせた空隙容積及び水性洗浄液において溶出された。[6β−H]−テストステロンの場合、放射活性の0.13±0.1%(平均±SEM、n=3)が水性分画において溶出された。メタノールで溶出することにより、標識テストステロンを回収できた。標識テストステロンとは異なり、[H]−HO(10から10dpm)は同じ条件下で保持されなかった。10mg及び30mgプレートの両方で、100μL又は400μLの水による洗浄後の合わせた空隙容積中で溶出された[H]−HOの回収は定量的であった(94±6%、平均±SD、n=6)。放射性標識テストステロン及び水の回収は、600μM以下の濃度の非標識テストステロンの存在によって影響を受けなかった。時間的理由のために、それぞれ、30mg及び10mgOASISプレートを用いて、[1,2,6,7−H]−テストステロン及び[6β−H]−テストステロンを用いた実験を行った。
【0108】
HLMにおける[1,2,6,7−H]−テストステロン及び[6β−H]−テストステロンからの[H]−HOの形成。NADPH再生系存在下で[1,2,6,7−H]−テストステロンをHLMとともにインキュベートした場合、時間依存的な形式で[H]−HOが形成された(図3A)。トリチウム化水の形成は、NADPHに依存した。0.5mg/mLのタンパク質濃度まで、ミクロソーム濃度とともに、生成物形成は直線的に増加した。基質として[6β−H]−テストステロンを用いて、同様の結果が得られた(図3B)。2種類の基質間の主な違いは、ノイズ比に対するシグナル及び分画変換速度であった。ノイズ比に対するシグナルは、NADPH非存在に対するNADPH存在において得られる生成物カウント間の比として定義される。分画変換速度は、単位時間あたり及びミクロソームタンパク質1mgあたりのトリチウム化水に変換された総放射性標識基質の%として表される。表1でまとめるように、ノイズ比に対するシグナルは、[1,2,6,7−H]−テストステロンを用いた場合約7であり、[6β−H]−テストステロンを用いた場合約20であった。分画変換速度は、[1,2,6,7−H]−テストステロンを用いた場合約0.6%/分/mgであり、[6β−H]−テストステロンを用いた場合10から14倍高かった。
【0109】
【表1】

【0110】
CYP阻害剤及び抗CYP抗体の影響。どのCYPアイソフォームが生成物形成に介在するかを調べるために、一連のアイソフォーム選択的化学阻害剤(Bourrieら、1996;Eaglingら、1998)もしくはモノクローナル抗体(Meiら、1999;Shouら、2000)の存在下又は非存在下で反応を行った。使用した化学阻害剤は、フラフィリン(CYP 1A2阻害剤)、クマリン(CYP2A6阻害剤)、スルファフェナゾール(CYP2C9阻害剤)、キニジン(CYP 2D6阻害剤)、ジエチルジチオカルバメート(CYP2E1阻害剤)及びケトコナゾール(CYP3A4/5阻害剤)であった。使用したモノクローナル抗体は、CYP2A6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP3A4/5の阻害剤であった。図4A及び4Bで示されるように、これらの薬剤の中で、ケトコナゾール及び抗CYP3A4/5モノクローナル抗体を除き(これらは、90%を超えて反応を阻害した。)、HLM中からのトリチウム化水の形成に顕著な影響を与えたものはなかった。このことから、本アッセイが、CYP3A4/5の活性を検出するのに特異的であったことが示された。
【0111】
動的同位体効果。6β−又は2β−位の何れかでのヒドロキシル化の結果として、CYP3A4/5が介在する、[1,2,6,7−H]−テストステロンからのトリチウムの喪失が起こり得る(Waxmanら、前出;Yamazaki及びShimada、前出(1997))。本実験で使用したHLMのバッチにおけるテストステロン2β−ヒドロキシラーゼの活性は、6β−ヒドロキシラーゼの活性の約11%であった(データは示さない。)。両方の代謝産物の形成にはCYP3A4/5が介在するが、これは、全基質濃度範囲にわたり、10μMケトコナゾールにより完全に形成が阻害されたからである(データは示さない。)。[1,2,6,7−H]−テストステロンの6β及び2β−位における標識の相対的比率は不明であり、したがって、どの位置からトリチウム喪失が起こったかを知ることはできない。
【0112】
[6β−H]−テストステロンのCYP3A4介在性ヒドロキシル化の後、トリチウムが6位からのみ失われ得る。トリチウム置換が動的同位体効果を生み出すか否かを調べるために、同じ反応混合物中での6β−ヒドロキシテストステロン形成速度と[H]−HOの形成速度を比較した。テストステロンのヒドロキシル化において失われるプロトンが6β−ヒドロキシテストステロンとともに化学量論的に形成されることを考慮すると、形成された6β−ヒドロキシテストステロンの量で[H]−HO生成物カウントを割ることにより、トリチウム化水生成物の比放射能を計算することができる(表2)。トリチウム化した分画変換速度及びその既知の最初の比放射能とともに、形成におけるこれを使用して、V/Kにおける動的同位体効果を計算するためにこの情報を使用できる。表2で示されるように、TV/Kは2.3であり、これは、基質/生成物の比放射能比に等しい。
【0113】
【表2】

【0114】
放射性標識テストステロンと非標識テストステロンとの間の競合。HLMにおけるトリチウム化水の形成に対する非標識テストステロンの影響を図5Aで示す。曲線から、「低用量フック」、すなわち、生成物形成速度が非標識基質の濃度上昇とともに上昇し、30から40μMのテストステロン濃度でピークに到達し、次に低下することが示される。[6β−H]−テストステロンが同位体トレーサーとして使用されるため、トリチウム化水の形成速度(v)は、非標識生成物、すなわち、テストステロンの6β−ヒドロキシル化由来の水(これは、6β−ヒドロキシテストステロンとともに化学量論的に形成される。)の形成速度の典型である。基質濃度(S)に対するvの依存性を用いて、非標識生成物の基質濃度への依存に関する情報を得ることができる(後者が直接測定されないとしても。)。発明者らは、v、非標識生成物の見かけの形成速度を、動的同位体効果により割った非標識生成物の形成速度(v)として定義する(上記の実験セクションを参照のこと。)。図5Bで示すように、Sに対するv’の曲線をHillの式にフィットさせることができ、S50=98±18μM、n=1.4±0.2及びV’max=1.3±0.1nmol/分/mg(平均±SEM、n=3)であった。Hillの係数は1より大きかったが、このことから、正の協同作用が示唆される。実際、低基質濃度において、図5Bの差込図において示されるように、v’とSとの間でシグモイド型の関係が見られた。
【0115】
6β−ヒドロキシテストステロン形成のカイネティクスを図5Cで示す。この反応は、S50が65±17μM、Vmaxが3.4±0.04nmol/分/mgタンパク質であり、Hill係数が1.5±0.2である(平均±SEM、n=5)。V’maxとVmaxとの間の比が2.6であり、これは、V’maxの定義から予想されるように、V/Kにおける動的同位体効果に近いことに留意されたい(上記の実験セクションを参照のこと。)。トリチウム化水の形成及び6β−ヒドロキシテストステロンの形成はケトコナゾールにより完全に阻害され、このことから、両生成物がCYP3A4介在代謝により形成されることが確認される。
【0116】
同様に、[1,2,6,7−H]−テストステロンの固定濃度と非標識テストステロンの上昇濃度との間の基質競合から、低用量フックが示され、この基質からのトリチウム化水形成がケトコナゾールにより完全に阻害された(図5D)。トレーサーの比放射能又は2β−及び6β−位からの生成物の割合の何れも分からないため、同位体希釈実験から対応する非標識生成物の形成速度を求めることはできない。
【0117】
CYP3A4/5阻害剤による阻害のカイネティクス。[1,2,6,7−H]−テストステロン及び[6β−H]−テストステロンからの[H]−HOの形成速度に対するCYP3A4/5の公知の阻害剤の影響を図6Aから6Fで示す。IC50値を表3でまとめる。[1,2,6,7−H]−テストステロンを用いて、2種類の異なる濃度の非標識テストステロン(10及び60μM)存在下で阻害実験を行った。この2種類の異なる基質濃度において、IC50値の顕著な差は観察されなかった(3.5倍未満)。この2種類の異なるトレーサーを用いて求めたIC50値は非常に近く、差は2倍未満であった。放射分析アッセイにより得られたIC50値が従来のアッセイのIC50値を反映していることを確認するために、同じ反応混合物において[H−HO]及び6β−ヒドロキシテストステロン形成に対する阻害剤効果を調べた。表3で示されるように、殆ど同じIC50値が得られた。
【0118】
【表3】

【0119】
これらの実験で試験したCYP阻害剤は、有機溶媒中で溶解させねばならなかった。CYP3A4活性に対する溶媒の阻害効果が報告されているので(Chauretら、Anal.Biochem.276:215−226(1999);Hickmanら、Drug Metab.Dispos.26:207−215(1998);Busbyら、Drug Metab.Dispos.27:246−249(1999))、発明者らは、[6β−H]−テストステロンからの[H−HO]放出及び選択した阻害剤のIC50値における、DMSOの2種類の異なる濃度の効果を評価した。DMSOは生成物形成を阻害し、0.3%及び0.7%(v/v)の溶媒濃度で残存するのは、それぞれ、対照活性の約70%及び50%であった。しかし、DMSOは、エチニルエストラジオール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ブロモクリプチン、ニカルジピン、ニフェジピン、キニジン及びベラパミルのIC50値にには影響がなかった(データは示さない。)。したがって、溶媒対照を含めることに留意し、活性データをこれらの対照に対して表す限り、0.3%から0.7%の間のDMSO濃度を用いて、阻害アッセイを行うことができる。
【0120】
多数の化合物に対する従来のテストステロン6βヒドロキシル化アッセイとの比較。[6β−H]−テストステロンを用いて、放射分析アッセイにおいて、39種類の構造的に多様な新規化学物質(NCE)に対するIC50値を調べ、従来のテストステロン6βヒドロキシル化アッセイを用いて得られている従来のデータと比較した。この比較の結果を表4で示す。
【0121】
【表4】


【0122】
3種類の化合物のIC50値は、両アッセイとも100μMより大きかった。6種類の化合物のIC50値は、一方のアッセイにおいて100μMより大きく、他方のアッセイにおいて45μMより大きかった。1つの化合物のIC50値は、一方のアッセイにおいて0.4μMより小さく、他方のアッセイにおいて0.2μMであった。残りの29種類の化合物のIC50値のこの2種類のアッセイ間での差は4.2倍未満であった。これらのうち25種類(86%)の差は3倍未満であった。両アッセイにおいて測定可能なIC50値を有する化合物に対して、従来のアッセイにおけるIC50値に対する放射分析アッセイにおけるIC50値のプロットを、1.09の勾配及び0.562の相関係数rの直線により描くことができた(図7A及び7B)。相関直線を殆ど逸脱した点は、弱い阻害剤(化合物28)に相当し、これは、2種類のアッセイ間でIC50値の差が3倍未満であった。この化合物を分析から除外した場合、勾配は0.89となり、相関係数は0.757に上昇した。
【0123】
考察
基質のヒドロキシル化を伴うトリチウムの放出を用いて、チトクロムP−450酵素の活性が測定されてきた(Thompson及びSiiteri、J.Biol.Chem.249:5364−5372(1974);Reed及びOhno、J.Biol.Chem.251:1625−1631(1976);Miwaら、J.Biol.Chem.255:6049−6054(1980);Miyairi及びFishman、J.Biol.Chem.260:320−325(1985);Osawa及びCoon、Anal.Biochem.164:355−361(1987))。Draper及び共同研究者らは、この原理に基づくCYP3Aアッセイ手段について述べ、このアッセイ手段において、[1,2,6,7−H]−テストステロンのCYPA介在性の代謝から生じたトリチウム化水を未反応基質からチャコール抽出により分離した(Draperら、Drug Metab.Dispos.26:305−312(1998))。
【0124】
本発明は、自動化でき、インキュベーション及び抽出段階を通してマルチウェル形式でアッセイを行い、マルチウェルプレート中でシンチレーションカウントのために反応生成物を回収することを可能にする。本発明は、次の点で上記の先行技術のアッセイとは異なる。第一に、本アッセイ体積は、500μLから200μLへと減少しており、ミクロソーム濃度は、0.4mg/mLから0.25mg/mLへと低下している。したがって、使用されるミクロソームの最終量は200μgではなく50μgである。第二に、本明細書中で示すような好ましい実施形態において、複数ウェル形式、例えば96ウェル形式でインキュベートを行う。第三に、OASIS逆相レジンを含む96ウェルプレートなど、親水性及び脂溶性ポリマーのバランスの取れた割合を含む支持体を含有するマルチウェル固相抽出プレートを用いて、トリチウム化テストステロン基質からトリチウム化水を分離する。最後に、好ましい実施形態において、トリチウム化テストステロン基質は6β位においてのみトリチウムを含有する。
【0125】
実施例1で示されるように、10から60μMのテストステロン濃度(約7倍)でのノイズ比のシグナルは、12.5μMの基質濃度においてDraperらにより得られたもの(プールされたHLMにおいて6から7倍)と同様である。しかし、本アッセイの実施形態を用いた反応速度は、使用した放射性標識の3から6倍高い量に対して正規化した場合でも、顕著に高かった(Draperらにおいて80nCiであるのに対して、250から500nCi)。このように、Draperらは、非標識テストステロンの12.5μMの濃度を用いて、トリチウム化水への[1,2,6,7−H]−テストステロンの分画変換速度が、約0.08%/分/mgであることを報告した。一方、本アッセイにおける[1,2,6,7−H]−テストステロンの分画変換速度は、同じ濃度の非標識テストステロンで約0.6%/分/mgであった(上記参照。)。この違いの理由は分からないが、しかし、テストステロン6βヒドロキシル化活性が同等だったので、この違いは市販用に調製された[1,2,6,7−H]−テストステロンのバッチが違うと、含有される6β位におけるトリチウム標識の分画量が異なるためであると思われる。
【0126】
[1,2,6,7−H]−テストステロンを用いた実験から、組み換えCYPの1A2、2A6、2B6、2C9、2C19、2D6及び2E1によるものよりも6倍高い速度で[1,2,6,7−H]−テストステロンからのトリチウム標識水の放出が組み換えCYP3A4により触媒されることが示されている(Draperら、前出)。HLMにおける非標識テストステロンのNADPH−依存性代謝は主に6β−ヒドロキシル化により起こり(75%超)、[1,2,6,7−H]−テストステロンからのトリチウム化の放出速度は、12名の異なるドナー肝臓からのHLMにおけるテストステロン6β−ヒドロキシル化の放出速度に相関した。これらの知見に基づき、Draperらは、HLMにおける[1,2,6,7−H]−テストステロンからのトリチウムのNADPH−依存性放出をCYP3A4活性に対するプローブ反応として使用し得ることを提案した(Draperら、前出)。この主張の信頼性のある検証は、特異的なCYP3A4阻害剤により反応が完全に阻害され得るが、その他のアイソフォームの阻害剤により阻害されないという証明から得られる。Draperらの実験で使用された唯一の阻害剤は競合的基質エリスロマイシンであり、これは、130μMという弱いIC50を示した。他の著者らは、エリスロマイシン及びテストステロンのみが互いの代謝を弱く阻害することを報告している(Wangら、Drug Metab.Dispos.25:502−507(1997))。したがって、エリスロマイシンを用いた結果は、アッセイのCYP3A4特異性を的確に表していない。アッセイがCYP3A4に特異的であることを示すために、CYP3A4/5の活性又は他のアイソフォームを特異的に中和するモノクローナル抗体(Meiら、J.Pharmacol.Exp.Ther.291:749−759(1999);Shouら、Curr.Drug Metab.2:17−36(2000))(CYP、2A6、2C9、2C19及び2D6)、ならびにCYPの3A4/5、1A2、2A6、2C9、2D6及び2E1の特異的化学阻害剤を使用した。本明細書中で示されるように、これらの全ての物質の中で、ケトコナゾール及び抗CYP3A4/5モノクローナル抗体のみがHLMにおいて[1,2,6,7−H]−テストステロンからのトリチウム化水の放出を強く阻害し、それにより、ヒドロキシル化反応には殆ど排他的(95%超)にCYP3A4/5が介在することが示された。
【0127】
一連のCYP3A4/5阻害剤の阻害可能性のより詳細な分析の本明細書中で示される結果から、さらなる証拠が得られた。ケトコナゾール、ニフェジピン、ブロモクリプチン、ミコナゾール、ニカルジピン及び化合物A(MRLで合成されたCYP3A4阻害剤)は、[1,2,6,7−H]−テストステロンからのトリチウム化水の放出を阻害し、そのIC50値は、同じ反応混合物中でLC−MS/MSにより測定したテストステロン6βヒドロキシル化の阻害に対する値と顕著な差がなかった。総合すれば、これらの結果から、本明細書中で開示するアッセイにより、ミクロソームCYP3A4/5活性が介在するテストステロンのヒドロキシル化が正確に測定され、これを使用して治験薬の阻害可能性を分析できることが示される。
【0128】
Draper及び共同研究者らは、以前、トリチウム化したトレーサーの反応が何ら動的同位体効果なく進行し、(非標識)6β−ヒドロキシテストステロンの1当量の形成がトリチウム化水の1当量の形成に相当するという仮定に基づき、[1,2,6,7−H]−テストステロン及び6β−ヒドロキシル化からの水の放出が同様のK及びVmax値を示したことを報告した。しかし、下記で考察するように、トリチウム化トレーサーのヒドロキシル化が動的同位体効果なしで進行するという仮定は妥当ではなく、これにより、市販の[1,2,6,7−H]−テストステロンを用いたモル濃度反応速度を決定することができなかった。トリチウム化基質からの生成物形成の速度を計算するために、6β位に存在する放射性標識の比放射能を知る必要がある。市販の[1,2,6,7−H]−テストステロンの場合、この情報が得られない。製造元により与えられる情報によると、標識の約20%が1α位にあり、19%が2α、20%が6α、25%が7β、10%が1β+7β、6%未満が2β及び6βにあるが、6β位に存在する標識の正確な割合は分からない。
【0129】
市販の[1,2,6,7−H]−テストステロンを用いて動的反応パラメーターを決定することができないこと以外に、CYP3Aプローブとしての市販の[1,2,6,7−H]−テストステロンの使用には、いくつかのさらなる欠点がある。6β位における標識の量が非常に少ないので(6%未満)、正確な生成物カウントを得るために非常に大量の放射活性基質を使用する必要があった(0.5から1x10dpm/アッセイ)。これは、アッセイのコストに重大な影響を与え、これによって生成物カウント手段を小型化すること(例えば96ウェルシンチレーションカウンターを用いること)が困難になる。さらに、6β位以外の位置からのトリチウム喪失が生成物形成に関与することを本当に除外することはできない。6β位において特異的に標識されたテストステロンが利用できることにより、これらの問題に関して大きな長所が得られる。この新規トレーサーを用いる場合、アッセイ体積をさらに100μLに縮小することができ、ミクロソーム量を25μgに縮小でき、基質プローブ100,000dpm/アッセイという少ない量で妥当な生成物カウント(2000から4000dpm)を得ることができた。ノイズ比に対するシグナルは約20倍に顕著に向上した。[6β−H]−テストステロンからのトリチウム化水の形成は、NADPH依存的であり、一連のCYP3A/5阻害剤により阻害され、そのIC50値は、[1,2,6,7−H]−テストステロンを用いて得られた値と顕著な差がなかった。したがって、本発明の改良アッセイにより、古典的なテストステロン6β−ヒドロキシル化アッセイの真のハイスループット放射分析バージョンが得られ、この方法は、以下でさらに考察するように、治験薬の阻害可能性の迅速なスクリーニングに適切である。
【0130】
基質プローブとして比放射能が既知である[6β−H]−テストステロンを用いることにより、動的同位体効果、TV/K(上記参照)を決定することができるようになる。トリチウム化基質及び非標識基質の濃度間に大きな相違があると、それらの個別の反応速度を測定することができない。トリチウム化基質のトレース濃度を使用して、競合的非標識基質存在下で反応速度を測定する場合、V/K比に対する動的同位体効果を測定することができる(Northrop、Meth.Enzymol.87:607−625(1982))。同じ反応混合物中でトリチウム化水及び6β−ヒドロキシテストステロンの形成を測定することにより、トリチウム化水生成物の比放射能を計算し、基質の最初の比放射能と比較することができ、これらの値を用いてTV/Kを導き出すことができる。TV/Kにおける動的同位体効果は2.3倍であった。重水素で置換されたテストステロンの6β−ヒドロキシル化が動的同位体効果なしで進行することが以前報告された(Bjorkhem、Eur.J.Biochem.27:354−363(1972))。これは、おそらく、C−D及びC−T結合エネルギー間の差によるものと思われる。動的同位体効果は、トリチウム化プローブに対する反応速度を低下させるが、トリチウム化水形成の阻害に対するIC50値が6β−ヒドロキシテストステロン形成に対する値と顕著な相違がなく、基質プローブの6倍同位体希釈により変化がなかったという観察から示されるように、競合的CYP3A阻害剤の阻害可能性には影響を与えない。
【0131】
放射性標識基質の固定量及び非標識基質の上昇濃度の存在下で反応速度を測定する場合、生成物カウントは、非標識基質の濃度が、酵素の活性部位に対するトレーサーの結合と競合するのに十分に高くなるときは低下すると予想される。図5Aから5Bで示されるように、低濃度の非標識テストステロンにおいて、トリチウム化水の形成は、実際に、非標識基質が増加するにつれて促進され、非標識基質の高濃度(40μM超)でのみ低下し始める。「低用量フック」と呼ばれるこの影響は、正の方向に協同するリガンド置換相互作用にとって特徴的である(De Lean及びRodbard、Recept:Compr.Treatise 1:143−192(1979))。トリチウム化生成物の形成が増加する理由は、低基質濃度で、正の方向に協同する酵素の反応速度が、基質濃度が上昇するにつれて用量に比例した上昇よりも大きく上昇するからである。非標識生成物の見かけの形成速度をトレーサー競合データから計算し、基質濃度に対してプロットした場合、シグモイド型の関係が見られ、このことから、この反応が正の協同作用を示すことが確認される。1.34のHill係数及び120μMのS50で、データをHillの式にフィットさせることができた。同じ条件下での6β−ヒドロキシテストステロン形成の測定から、1.35の見かけのHill係数及び101μMのS50で、非標識テストステロンの反応速度論が実際に、正の協同作用を示すことが分かる。CYP3A4介在性のテストステロンの6β−ヒドロキシル化に対して、1.3のHill係数が以前に報告されている(Uengら、Biochemistry 36:370−381(1997))。トレーサー競合データから得られる速度パラメーターと非標識生成物の直接測定により決定されるものとがよく一致することから、HLMでの[6β−H]−テストステロンからのトリチウム化水の形成に、6β−ヒドロキシテストステロンの形成と同じ機序が介在するという概念が補強される。低用量フックはまた、基質として[1,2,6,7−H]−テストステロンを用いても観察された。このトレーサーに対して、双曲線(非シグモイド)カイネティクスが報告されていることに留意されたい(Draperら、前出)。この明らかな相違に対する最も有望な説明は、本研究において0.4から20μMの間の基質濃度でのみ「低用量フック」が観察されたが、一方でDraperは14μMより大きい基質濃度で反応カイネティクスを研究したということである。
【0132】
CYP3A4/5阻害に対するスクリーニング法としてのこの新しいアッセイの使用を確認するために、多数の構造的に多様な治験化合物に対してIC50値を決定し、その結果を古典的なテストステロン6β−ヒドロキシル化アッセイ(LC−MS/MSによる生成物定量を行う。)から得られた結果と比較した。この分析の結果から、本発明のアッセイにより得られたIC50値が、従来のアッセイの値と非常に近いことが示される。IC50値の差は4倍未満であり、化合物の86%に対して3倍未満であり、これは、6βヒドロキシル化アッセイに対する古典的なデータがこの比較に対して使用されたことを考慮すると、非常に注目に値するものである。39種類の試験化合物のうち、放射分析アッセイの結果に基づき、強い又は弱い阻害剤の何れかとして間違って分類されたものがないといことは、最も重要なことである。
【0133】
テストステロンに対して蛍光性CYP3A4/5プローブを用いて得られたIC50値の多数の化合物についての詳細な比較から、これらのアッセイ間の相関関係が比較的乏しいことが明らかとなった。この研究の著者らは、蛍光性プローブを用いたスクリーニングの後、従来の基質を用いた試験を行うべきであることを推奨した(Cohenら、Drug Metab.Dispos.31:1005−1015(2003))。したがって、スピード、ハイスループット及び従来の基質の使用の長所を組み合わせた本発明のアッセイは、この問題を回避し、薬物探索設定において化合物がCYP3A4を阻害する可能性を迅速に調べるために価値あるものである。
【実施例2】
【0134】
この実施例は、インタクトな肝細胞において酵素活性及びCYP3A4/5阻害剤の影響を調べ、定量するための本発明の使用を説明する。
【0135】
新鮮な肝臓試料からヒト肝細胞を調製した(地元の病院から入手した手術による廃棄物)。確立されたプロトコールに従い、肝細胞を単離し、液体窒素中で凍結保存した(例えば、Hengstlerら、Drug Metab.Rev.32:81−118(2000);Ferriniら、Methods Mol.Biol.107:341−52(1998)を参照。)。細胞を凍結融解し、12ウェルの培養プレート中で、5%CO、95%酸素の加湿環境下、振盪水浴中で37℃にて1時間インキュベートした。各培養ウェルは、百万個の細胞、肝細胞培養液(HCM)1mL(Dich及びGrunnet、Methods in Molecular Biology,Vol.5:Animal Cell Culture(Pollard及びWalker編)pp.161−176、Humana Press,Clifton,New Jersey.(1989))、200μM非標識テストステロン及び[6β−H]−テストステロン370,000dpmを含有した。CYP3A4/5の活性の阻害に関して検体をアッセイする場合、上記反応系に検体を添加する。この実施例において、阻害剤10μMケトコナゾールを平行したインキュベーションに添加した。10μMケトコナゾールなどの公知の阻害剤又は検体に対するビヒクルを含有する対照インキュベーションも行った。1時間後、前もって調整した30mgOASISプレートの個々のウェルにインキュベーションメディウムの一定分量を入れ、水200μLでこれを2回洗浄した。各ウェルに対して、フロースルーを水洗浄液と合わせ、シンチレーション液添加後にβ−カウンターにおいてカウントした。
【0136】
6β−ヒドロキシテストステロンの形成速度を測定するために、メタノール1mLを用いてOASISプレートから6β−ヒドロキシテストステロンを溶出し、N下で乾燥させ、ギ酸0.1%を含有する50%アセトニトリル/水(50:50)200μL中で再構成した。6β−ヒドロキシテストステロンの定量のために、HPLC-MS/MS系に一定分量を注入した。定量は、ピーク領域と、未知の試料のように正確に処理し抽出した標準曲線のそれとの比較に基づいて行った。実施例1で述べたように、テストステロンの比放射能で生成物カウントを割ることにより、[H]−HOの見かけの形成速度を計算した。結果を表5で示す。
【0137】
【表5】

【0138】
本発明の放射分析アッセイを用いて決定された活性は、LC−MS/MSアッセイにより求められた活性よりもわずかに(30%)低かったが、これは、おそらく、実施例1で述べたような穏やかな動的トリチウム同位体効果によるものである。ケトコナゾール存在下で[6β−H]−テストステロンからの[H]−HOの形成形式が完全に阻害され、このことから、本アッセイがまた、インタクトなヒト肝細胞においてCYP3A4/5阻害剤の影響を調べるために使用できることが分かった。
【実施例3】
【0139】
この実施例は、肝細胞においてCYP3A4/5誘導剤の影響を調べ、定量するための本発明の使用を説明する。
【0140】
2名の異なるドナーからの凍結保存ヒト肝細胞をTissue Transformaiton Technologies(Edison,NJ)から入手した。細胞(およそ320,000)を24ウェルのコラーゲン被覆培養プレートにプレーティングし、ITS+(Collaborative Research,Waltham,MA)を添加した肝細胞培養液(HCM)(Dich及びGrunnet、前出)中で5%CO、95%空気の加湿環境下で37℃にて維持した。24時間後、細胞の各ウェルに対する培養液を除去し、ITSとともに新鮮なHCMを添加し、ビヒクル(対照)、リファムピシン(陽性の対照)又は、CYP3A4/5の活性の誘導能について試験する検体の何れかで細胞を48時間処理した。次に、CYP3A4/5酵素活性を次のように求めた。
【0141】
各ウェルに対して、培養液を除去し、10mM Hepes、pH7.4、60μM非標識テストステロン及び[6β−H]−テストステロンおよそ200,000dpmを含有するHank’s平衡塩類溶液(HBSS)0.5mL中で、37℃にて1時間、細胞をインキュベートした。それぞれに対して、酵素活性に特異的にCYP3A4/5が介在することを確認するために、10μMケトコナゾール存在下で平行インキュベーションも行った。次に、前もって調整した30mgOASISプレートの個別のウェルにインキュベーション液を入れ、水200μLでこれを2回洗浄した。各ウェルに対して、フロースルーを水洗浄液と合わせ、シンチレーション液添加後にβ−カウンターにおいてカウントした。メタノール1mLを用いてOASISプレートから6β−ヒドロキシテストステロンを溶出し、N下で乾燥させ、ギ酸0.1%を含有する50%アセトニトリル/水(50:50)200μL中で再構成した。6β−ヒドロキシテストステロンの定量のために、HPLC-MS/MS系に一定分量を注入した。定量は、ピーク領域と、未知の試料のように正確に処理し抽出した標準曲線のそれとの比較に基づいて行った。
【0142】
図8A及び8Bで示されるように(それぞれドナー1及び2に対する結果)、培養したヒト肝細胞をリファムピシンで48時間処理することにより、CYP3A4/5酵素活性の用量依存的な増加が起こった。[6β−H]−テストステロンからの[H]−HO形成を測定し、平行して、同じ細胞のインキュベーションにおける6β−ヒドロキシテストステロンの形成を測定することにより、CYP3A4/5の活性を求めた。対照(リファムピシンで処理しなかった細胞)に対する代謝産物形成の%として結果を表す。本発明の放射分析法により測定したリファムピシンの影響は、従来の(LC−MS/MS)アッセイにより測定したものと顕著な差はなかった。10μMケトコナゾールの存在下でインキュベーションを行った場合、両代謝産物の形成はほぼ完全に阻害され(データは示さない。)、このことから、反応のCYP3A4/5特異性が確認された。これらの結果は、インタクトな細胞、特に培養したヒト肝細胞において、CYP3A4誘導剤の影響を調べるために、本発明のアッセイを使用できることを示す。
【実施例4】
【0143】
この実施例は、時間依存的CYP3A4/5アッセイを示す。インキュベーションは全て、96ウェルボックス+ポリプロピレンチューブ(Greiner−International PBI)中で行った。
【0144】
次のようにプレインキュベーション段階を行った。プレインキュベーション混合液は30μL HLM(タンパク質3.3mg/mL、好ましい最終濃度2mg/mL;0.1から5mg/mLの範囲)、試験検体1μL(35%DMSO、65%メタノール中に溶解)、アッセイ緩衝液9μL(0.1Mリン酸カリウム、pH7.6)を含有した。NADPH再生系10μL(アッセイ緩衝液中、5mM NADPH、25mMグルコース−6−ホスフェート、17mM MgCl、5U/mLグルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ)を添加することによりプレインキュベーションを開始した。逆順で様々な時間でプレインキュベーションを開始した(最長のプレインキュベーションを最初に開始し、最短のプレインキュベーションを最後に開始した。)。振盪水浴中で37℃にて0から30分間、混合液をプレインキュベートした。
【0145】
残存活性の決定は次の通りであった。[6β−H]テストステロン(約800,000dpm)、200μM非標識テストステロン及び1mM NADPHを含有するアッセイ緩衝液450μLでのプレインキュベーション混合液の10倍希釈により第二のインキュベーションを開始した。振盪水浴中で37℃にて10分間インキュベーションを行った。1N HCl 50μLを添加することにより、反応を停止させた。室温にて2800rpmで15分間、プレートを遠心分離した。前もって調整した30mgOASISプレートに上清300μLを入れた。フロースルーを回収し、120μLの一定分量を96ウェルシンチレーションカウンティングプレート(Packard)に移した。MICROSCINT40シンチレーション液180μLを添加し、プレートを密封し、振盪して、Packard TOPCOUNTシンチレーションカウンターでカウントした。
【0146】
図9A及び9Bは、CYP3A4/5介在性のテストステロン6β−ヒドロキシル化を定量するための、トリチウム化水の放射分析検出を用いた典型的な実験の結果を示す。使用した時間依存的阻害剤はミフェプリストンであった。図10A及び10Bは、LC−MS/MS分析によりテストステロン6β−ヒドロキシラーゼ活性を求めた場合に、同様の結果が得られたことを示す。表6は、様々な時間依存的CYP3A4/5阻害剤に対して得られた速度パラメーターをまとめている。試験した全ての化合物に対して、放射分析アッセイにより得られた結果は、LC−MS/MSアッセイにより得られた結果と同様であり、このことから、化合物が時間依存的CYP3A4/5阻害剤として作用する可能性を評価するために放射分析アッセイを使用できることが示される。
【0147】
【表6】

【0148】
例としての実施形態を参照して本明細書中で本発明を説明してきたが、本発明がこれに限定されないことを理解されたい。当業者及び本明細書中での教示を入手した者は、この範囲内のさらなる修飾及び実施形態を認識するであろう。したがって、本発明は、本明細書に添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】図1は、抽出カートリッジ又はカラム10の横断面を示す。
【図2】図2は、マルチカラム精密ろ過/抽出プレート100の透視図を示す。
【図3A】図3Aは、インキュベーション時間及びヒト肝臓ミクロソーム濃度に対する、[1,2,6,7−H]−テストステロンからの[H]−HO形成の依存性を示す。10μM非標識テストステロン及び指定濃度のHLMの存在下で実験を行った。生成物形成は、総放射活性の%で表した。各点は、デュプリケート測定の平均±SEMである。
【図3B】図3Bは、インキュベーション時間及びヒト肝臓ミクロソーム濃度に対する、[6β−H]−テストステロンからの[H]−HO形成の依存性を示す。60μM非標識テストステロン及び指定濃度のHLMの存在下で実験を行った。生成物形成は、総放射活性の%で表した。各点は、デュプリケート測定の平均±SEMである。
【図4A】図4Aは、ヒト肝臓ミクロソームにおける、[1,2,6,7−H]−テストステロンからの[H]−HO形成におけるCYP阻害の効果を示す。60μM非標識テストステロン存在下及び次の化合物の存在下又は非存在下で反応を行った:30μMフラフィリン、50μMクマリン、10μMスルファフェナゾール、10μMキニジン、100μMジエチルジチオカルバメート、1μMケトコナゾール。酵素活性は、未処理対照の%として表し、デュプリケート測定の平均±標準誤差を表す。
【図4B】図4Bは、ヒト肝臓ミクロソームにおける、[1,2,6,7−H]−テストステロンからの[H]−HO形成における抗CYPモノクローナル抗体の影響を示す。60μM非標識テストステロン存在下及び抗体0.4mg/mLの存在下又は非存在下で反応を行った。酵素活性は、未処理対照の%として表し、デュプリケート測定の平均±標準誤差を表す。
【図5A】図5Aは、ヒト肝臓ミクロソームにおける、[6β−H]−テストステロンからの[H]−HO形成における非標識テストステロンの影響を示す。メタノール中の保存溶液から、テストステロンを添加した(最終メタノール濃度はアッセイにおいて0.6%)。10μMケトコナゾールの非存在下(黒印)又は存在下(白印)において生成物形成を評価した。結果は3回の別個の実験の平均±SEMである。
【図5B】図5Bは、総基質濃度におけるv’の依存性を示す。実施例1で述べられるように定義されるv’という用語は、図5Aで示される生成物カウントから計算した。非線形回帰分析により、データをHillの式にフィットさせた。
【図5C】図5Cは、総基質濃度における6β−ヒドロキシテストステロンの形成速度の依存性を示す。データは3回の別個の実験からの平均±SEMである。
【図5D】図5Dは、ヒト肝臓ミクロソームでの[1,2,6,7−H]−テストステロンからの[H]−HO形成における非標識テストステロンの影響を示す。10μMケトコナゾールの非存在下(黒印)又は存在下(白印)において生成物形成を評価した。結果は平均±SEM、n=2である。
【図6A】図6Aは、ヒト肝臓ミクロソームでの[1,2,6,7−H]−テストステロンからの[H]−HO形成におけるケトコナゾールの影響を示す。非線形回帰分析により、4個のパラメータロジスティック方程式にデータをフィットさせた。IC50値を表3にまとめる。データはデュプリケート実験からの平均±SEMである。
【図6B】図6Bは、ヒト肝臓ミクロソームでの[1,2,6,7−H]−テストステロンからの[H]−HO形成におけるニフェジピンの影響を示す。非線形回帰分析により、4個のパラメータロジスティック方程式にデータをフィットさせた。IC50値を表3にまとめる。データはデュプリケート実験からの平均±SEMである。
【図6C】図6Cは、ヒト肝臓ミクロソームでの[1,2,6,7−H]−テストステロンからの[H]−HO形成における化合物Aの影響を示す。非線形回帰分析により、4個のパラメータロジスティック方程式にデータをフィットさせた。IC50値を表3にまとめる。データはデュプリケート実験からの平均±SEMである。
【図6D】図6Dは、ヒト肝臓ミクロソームでの[1,2,6,7−H]−テストステロンからの[H]−HO形成におけるミコナゾールの影響を示す。非線形回帰分析により、4個のパラメータロジスティック方程式にデータをフィットさせた。IC50値を表3にまとめる。データはデュプリケート実験からの平均±SEMである。
【図6E】図6Eは、ヒト肝臓ミクロソームでの[1,2,6,7−H]−テストステロンからの[H]−HO形成におけるブロモクリプチンの影響を示す。非線形回帰分析により、4個のパラメータロジスティック方程式にデータをフィットさせた。IC50値を表3にまとめる。データはデュプリケート実験からの平均±SEMである。
【図6F】図6Fは、ヒト肝臓ミクロソームでの[1,2,6,7−H]−テストステロンからの[H]−HO形成におけるニカルジピンの影響を示す。非線形回帰分析により、4個のパラメータロジスティック方程式にデータをフィットさせた。IC50値を表3にまとめる。データはデュプリケート実験からの平均±SEMである。
【図7A】図7Aは、放射分析とLC−MS/MSアッセイとの間の比較を示す。放射分析[6β−H]−テストステロンヒドロキシル化アッセイにおける29Merck NCEに対するIC50値は、従来のテストステロン6β−ヒドロキシル化アッセイで得た値と相関があった。従来のアッセイからのデータは、Merck Researhc Laboratoriesにおいて記録されていた。
【図7B】図7Bは、放射分析とLC−MS/MSアッセイとの間の比較を示す。図7Aにおいて矢印で強調した化合物を除き、28種類の化合物からのデータを用いて相関分析を行った。
【図8A】図8Aは、ドナー1からの培養ヒト肝細胞での、テストステロン6β−ヒドロキシラーゼ活性におけるCYP3A4誘導剤リファムピシンの影響を調べるための、放射分析とLC−MS/MSアッセイとの間の比較を示す。
【図8B】図8Bは、ドナー2からの培養ヒト肝細胞での、テストステロン6β−ヒドロキシラーゼ活性におけるCYP3A4誘導剤リファムピシンの影響を調べるための、放射分析とLC−MS/MSアッセイとの間の比較を示す。
【図9A】図9Aは、ミフェプリストンによるCYP3A4/5活性の時間依存的阻害を示す。放射分析テストステロン6β−ヒドロキシラーゼアッセイによりCYP3A4/5の活性を調べ、ミフェプリストンの指定濃度での様々なプレインキュベーション後に残存した%CYP3A4/5活性を示す。
【図9B】図9Bは、放射分析テストステロン6β−ヒドロキシラーゼアッセイにより決定した場合の、ミフェプリストンによるCYP3A4/5活性の時間依存的阻害に対する阻害の速度パラメーターを導き出すための、阻害剤濃度曲線に対する不活性率のフィッティングを示す。放射分析テストステロン6β−ヒドロキシラーゼアッセイによりCYP3A4/5活性を調べた。
【図10A】図10Aは、ミフェプリストンによるCYP3A4/5活性の時間依存的阻害を示す。LC−MS/MS検出を用いて、テストステロン6β−ヒドロキシラーゼアッセイによりCYP3A4/5の活性を調べ、ミフェプリストンの指定濃度での、様々なプレインキュベーション後に残存する%CYP3A4/5の活性を示す。
【図10B】図10Bは、ミフェプリストンによるCYP3A4/5活性の時間依存的阻害に対する阻害の速度パラメーターを導き出すための、阻害剤濃度曲線に対する不活性率のフィッティングを示す。LC−MS/MS検出を用いて、テストステロン6β−ヒドロキシラーゼアッセイによりCYP3A4/5活性を調べた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)CYP3A4/5、6β位においてトリチウム標識されたトリチウム標識テストステロン、NADPH及び検体を含有する混合物を提供することと;
(b)CYP3A4/5が6β位においてトリチウム標識テストステロンをヒドロキシル化するのに十分な時間、混合物をインキュベートすることと;
(c)混合物からCYP3A4/5を除去することと;
(d)非極性化合物に選択的に結合する吸着剤に混合物を添加して、混合物からトリチウム標識テストステロンを除去することと;及び
(e)トリチウム標識テストステロンが除去された、段階(d)の混合物中のトリチウム量を測定することと(トリチウム量の減少は、検体がCYP3A4/5の活性を阻害することを示す。)
を含む、チトクロム3A4又は3A5(CYP3A4/5)の活性を阻害する検体を同定するための方法。
【請求項2】
吸着剤が、ポリマーが加湿性となり及び有機溶質保持において有効となるように十分な割合で、少なくとも1個の親水性モノマー及び少なくとも1個の脂溶性モノマーをコポリマー化することにより形成される加湿性ポリマー並びにシリカ基材に結合された非極性基を含有するシリカ基材からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項3】
吸着剤がポリ(ビニルベンゼン−コ−N−ビニルピロリドンである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
トリチウム標識テストステロンが、1、2、6β及び7位において標識されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
トリチウム標識テストステロンが6β位においてのみ標識されている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
水性混合液がNADPH再生系をさらに含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
段階(e)の混合物中のトリチウムが、CYP3A4/5、6β位においてトリチウム標識されたテストステロン及びNADPHを含有し検体を含有していない対照混合物からの混合物中のトリチウムの量と比較される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
CYP3A4/5がミクロソーム中において提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ミクロソームがヒト肝臓ミクロソームである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ミクロソームが、哺乳動物及び昆虫細胞からなる群から選択される細胞(これらの細胞は、CYP3A4/5を発現するベクターを含む。)から産生される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
(a)マルチウェルプレート及び、固相抽出カートリッジの一連を有するカラムプレート又はカラム(非極性化合物に選択的に結合する吸着剤をその中に有する。)が並んだカラムプレートを提供することと;
(b)マルチウェルプレートのウェルのそれぞれに、CYP3A4/5、6β位においてトリチウムにより標識されたトリチウム標識テストステロン及び検体を含有する混合物を添加することと;
(c)段階(b)のウェルのそれぞれの中の混合物にNADPHを接触させ、CYP3A4/5が6β位におけるトリチウム標識テストステロンをヒドロキシル化するのに十分な時間、インキュベートすることと;
(d)マルチウェルプレートのウェルのそれぞれの中の段階(c)での混合物からCYP3A4/5を分離することと;
(e)カラムプレートの個々のミニカラムに段階(d)での各混合物を添加して、混合物からトリチウム標識テストステロンを除去することと;及び
(f)トリチウム標識テストステロンが除去された段階(e)の混合物中のトリチウム量を測定することと(トリチウム量の減少は、検体がCYP3A4/5の活性を阻害することを示す。)
を含む、チトクロム3A4又は3A5(CYP3A4/5)の活性を阻害する検体を同定するための方法。
【請求項12】
吸着剤が、ポリマーが加湿性となり及び有機溶質保持において有効となるように十分な割合で、少なくとも1個の親水性モノマー及び少なくとも1個の脂溶性モノマーをコポリマー化することにより形成される加湿性ポリマー並びにシリカ基材に結合された非極性基を含有するシリカ基材からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(a)肝細胞の培養物を提供することと;
(b)CYP3A4/5が6β位におけるトリチウム標識テストステロンをヒドロキシル化するのに十分な時間、6β位におけるトリチウム標識されたテストステロンを含有する培地中で肝細胞をインキュベートすることと;
(c)肝細胞の培養物から培地を除去することと;
(d)非極性化合物に選択的に結合する吸着剤に培地を添加して、培地からトリチウム標識テストステロンを除去することと;及び
(e)トリチウム標識テストステロンが除去された、段階(d)の培地中のトリチウム量を測定することと(これは、肝細胞におけるCYP3A4/5の活性を決定する。)
を含む、肝細胞においてチトクロム3A4又は3A5(CYP3A4/5)の活性を決定するための方法。
【請求項14】
吸着剤が、ポリマーが加湿性となり及び有機溶質保持において有効となるように十分な割合で、少なくとも1個の親水性モノマー及び少なくとも1個の脂溶性モノマーをコポリマー化することにより形成される加湿性ポリマー並びにシリカ基材に結合された非極性基を含有するシリカ基材からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(a)肝細胞の培養物を提供することと;
(b)CYP3A4/5が6β位のおけるトリチウム標識テストステロンをヒドロキシル化するのに十分な時間、6β位におけるトリチウム標識されたテストステロン及び検体を含有する培地中で肝細胞をインキュベートすることと;
(c)肝細胞の培養物から培地を除去することと;
(d)非極性化合物に選択的に結合する吸着剤に培地を添加して、培地からトリチウム標識テストステロンを除去することと;及び
(e)トリチウム標識テストステロンが除去された、段階(d)の培地中のトリチウム量を測定することと(培地中のトリチウム量の減少は、検体がCYP3A4/5の活性を阻害することを示す。)
を含む、チトクロム3A4又は3A5(CYP3A4/5)の活性を阻害する検体を同定するための方法。
【請求項16】
吸着剤が、ポリマーが加湿性となり及び有機溶質保持において有効となるように十分な割合で、少なくとも1個の親水性モノマー及び少なくとも1個の脂溶性モノマーをコポリマー化することにより形成される加湿性ポリマー並びにシリカ基材に結合された非極性基を含有するシリカ基材からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
(a)肝細胞の培養物を提供することと;
(b)検体を含有する培地中で肝細胞をインキュベートすることと;
(c)6β位においてトリチウム標識されたテストステロンを含有する第二の培地で検体を含有する培地を置き換え、CYP3A4/5が6β位におけるトリチウム標識テストステロンをヒドロキシル化するのに十分な時間、肝細胞をインキュベートすることと;
(d)肝細胞の培養物から第二の培地を除去することと;
(e)非極性化合物に選択的に結合する吸着剤に第二の培地を添加して、第二の培地からトリチウム標識テストステロンを除去することと;及び
(f)トリチウム標識テストステロンが除去された、段階(e)の第二の培地中のトリチウム量を測定することと(トリチウム量の増加は、検体がCYP3A4/5発現を誘導することを示す。)
を含む、チトクロム3A4又は3A5(CYP3A4/5)発現を誘導する検体を同定するための方法。
【請求項18】
吸着剤が、ポリマーが加湿性となり及び有機溶質保持において有効となるように十分な割合で、少なくとも1個の親水性モノマー及び少なくとも1個の脂溶性モノマーをコポリマー化することにより形成される加湿性ポリマー並びにシリカ基材に結合された非極性基を含有するシリカ基材からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
(a)CYP3A4/5、NADPH再生系及び検体を含有する混合物を提供することと;
(b)様々な時間、前記混合物をインキュベートすることと;
(c)前記混合物を希釈し、次いで希釈混合物に6β位においてトリチウムにより標識されたトリチウム標識テストステロン及びNADPHを添加することと;
(d)CYP3A4/5が6β位におけるトリチウム標識テストステロンをヒドロキシル化するのに十分な時間、前記希釈混合物をインキュベートすることと;
(e)前記混合物からCYP3A4/5を除去することと;
(f)非極性化合物に選択的に結合する吸着剤に前記混合物を適用して、前記混合物からトリチウム標識テストステロンを除去することと;及び
(g)トリチウム標識テストステロンが除去された、段階(d)の混合物中のトリチウム量を測定することと(トリチウム量の減少は、検体が不可逆的にCYP3A4/5の活性を阻害することを示す。)
を含む、チトクロム3A4又は3A5(CYP3A4/5)の活性を不可逆的に阻害する検体を同定するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6F】
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【図6G】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【公表番号】特表2008−515410(P2008−515410A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535078(P2007−535078)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010694
【国際公開番号】WO2006/037617
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(501209427)イステイチユート・デイ・リチエルケ・デイ・ビオロジア・モレコラーレ・ピ・アンジエレツテイ・エツセ・ピー・アー (90)
【Fターム(参考)】