説明

チューブ容器

【課題】耐久性を確保しつつもバリア性に優れたチューブ容器を提供する。
【解決手段】このチューブ容器1は、金属箔をバリア層として含む積層構造の胴部2と、該胴部2の上端に連設され、内容物の注出口3を有するヘッド部4と、金属材料からなるバリア層を含み、前記ヘッド部4の内面を被覆するとともに、前記注出口3を閉鎖するシート状の肩パッド5と、を備える。また、このチューブ容器1は、肩パッド5の裾部下端縁及び胴部2の上端縁11の一方で他方を巻締めた巻締め部12を設けるとともに、ヘッド部4に、巻締め部12を包み覆う被包部14を設けてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属箔をバリア層として含む積層構造の胴部と、該胴部の上端に連設され、内容物の注出口を有するヘッド部と、金属材料からなるバリア層を含み、ヘッド部の内面を被覆するとともに、注出口を閉鎖するシート状の肩パッドと、を備えるチューブ容器に関し、特に、チューブ容器のバリア性の更なる向上を図ろうとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、練り歯磨き、食品、化粧品、医薬品、その他の内容物を紫外線や酸素、水蒸気から保護するため、図4に示すように、チューブ容器1’の胴部2’をアルミニウム等の金属箔をバリア層として含む積層体として構成し、さらなる内容物の保護を目的として、内容物の注出口3’を有するヘッド部4’、特にはヘッド部4’の肩部6’内面をバリア層を含むシート状の肩パッド5’で被覆する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭59−121345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構成のチューブ容器1’では、図4に示すように、肩パッド5’と胴部2’との間には、ヘッド部4’を構成する樹脂材料が介在し、この隙間から空気中の酸素等がチューブ容器1’内に浸入するという問題があった。また、上記隙間の問題を解消すべく肩パッド5’を胴部2’まで延出させるとともに、肩パッド5’の下端縁を胴部2’内面に溶着させることも可能ではあるが(図示せず)、結局のところそれら肩パッド5’と胴部2’との溶着箇所には樹脂が存在することになるから、上述の問題を完全に解消することはできない。さらには、上記溶着箇所は、局所的にアルミニウム箔等の芯材が存在せず他の部分に比べて脆弱であるから、内容物注出時におけるチューブ胴部の押圧動作により亀裂等が生じるおそれがあり、耐久性の面でも問題がある。
【0005】
それゆえこの発明は、耐久性を確保しつつもバリア性に優れたチューブ容器を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明のチューブ容器は、金属箔をバリア層として含む積層構造の胴部と、該胴部の上端に連設され、内容物の注出口を有するヘッド部と、金属材料からなるバリア層を含み、前記ヘッド部の内面を被覆するとともに、前記注出口を閉鎖するシート状の肩パッドと、を備えるチューブ容器において、前記肩パッドの裾部下端縁及び前記胴部の上端縁の一方で他方を巻締めた巻締め部を設けるとともに、前記ヘッド部に、前記巻締め部を包み覆う被包部を設けたことを特徴とするものである。
【0007】
かかる構成になるチューブ容器においては、バリア性を有する胴部と、これもバリア性を有する肩パッドとが巻締め部にて結合されているため、内容物はバリア層にて完全に密封、保護される。また、肩パッドの裾部下端縁と胴部の上端縁との結合は、一方で他方を巻き締める又は相互に巻き締めるという簡単な作業により達成される。さらに、胴部からヘッド部にわたって芯材(バリア層)が連続して存在するため、耐久性に優れる。しかも、巻締め部はヘッド部の被包部にて覆われているため、使用時における胴部の押圧動作により肩パッドと胴部との巻締め結合が緩まるおそれがなく、また外観形状が目立つことがなくデザイン性にも優れている。
【0008】
なお、この発明のチューブ容器にあっては、肩パッドのバリア層は、アルミニウム箔で構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、耐久性を確保しつつもバリア性に優れたチューブ容器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明に係る実施形態のチューブ容器の一部断面図である。
【図2】図1のチューブ容器のヘッド部を拡大して示す一部断面図である。
【図3】図1のチューブ容器の製造方法を説明した図である。
【図4】従来技術に従うチューブ容器を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ここで、図1は、この発明に係る実施形態のチューブ容器の一部断面図である。
【0012】
図1に示すように、この発明のチューブ容器1は、内容物を収容する胴部2と、該胴部2の上端に連設され、内容物を注出する注出口3を開口するヘッド部4とを備え、さらにヘッド部4の内面には、ヘッド部4の注出口3を閉鎖する肩バッド5が配置されている。
【0013】
胴部2は、アルミニウム箔の両面に合成樹脂層を積層したアルミ・ラミネートシートを筒状にして両側部を熱融着してなるものである。アルミ・ラミネートシートは、内側からポリプロポレン樹脂やポリエチレン樹脂等の合成樹脂製の内側層2a、アルミニウム箔製のバリア層2b、そしてポリプロポレン樹脂やポリエチレン樹脂等の合成樹脂製の外側層2cを順に積層して構成される(図2参照)。外側層2cには、装飾のためのデザインや表示を印刷することができる。なお、胴部2は、三層構造に限らず、二層ないし四層以上の構造としても良く、デザインや表示を印刷した印刷層(図示せず)を別途に積層しても良い。
【0014】
ヘッド部4は、耐薬品性や加工性、柔軟性等の面からポリオレフィン系等の樹脂を用いることができる。また、ヘッド部4を積層構造としても良い。ポリオレフィン系樹脂はバリア性を有しない。ヘッド部4は、胴部2より内側に向け傾斜して延びる円錐状の肩部6と内容物の注出口3を中央に開口する口部7とが一体成形されたものであり、肩部6の下端は胴部2に溶着されている。口部7の外周面にはキャップ(図示せず)の螺条と螺合する螺条8が周設されている。
【0015】
肩パッド5は、アルミニウム製であり、上端に易開封性の頂板9を有する有底カップ状をなし、裾部下端縁に断面コ字状に屈曲する囲い部10が設けられ、該囲い部10の開口には胴部2の上端縁11が狭持されている。肩パッド5は、ヘッド部4の内面、特に肩部6内面を被覆して、バリア性の低いヘッド部4に代わってヘッド部4にバリア性を付与するものである。肩パッド5の内面には、肩パッド5を保護する目的でコーティング層やポリオレフィン系樹脂層(図示せず)を積層することができる。なお、肩パッド5は、胴部2と同様に、アルミニウム箔をバリア層としてその内面若しくは両面に合成樹脂層を設けたアルミ・ラミネートシートにより構成することができ、これによれば、チューブ容器の易開封性を高めることができる。
【0016】
図2は、図1のヘッド部4を拡大して示す一部断面図であり、胴部2の上端縁11は肩パッド5の囲い部10の開口内に挿嵌されるとともに、肩パッド5の外面に沿って内側に折り曲げられ巻締め部12が形成され、その結果、胴部2と肩パッド5は該巻締め部12にて結合されている。なお、図示例では、肩パッド5の囲い部10にて胴部2の上端縁11を巻締めする例を示したが、ダブルロックシームの如く両者が相互に巻締め合う構造、すなわち胴部2の上端縁11にも同様の囲い部(図示せず)を設けて、これら両囲い部同士を巻締め結合してなる構造としても良い。巻締め部12は、ヘッド部4の被包部14に包み覆われており、それにより肩パッド5及び胴部2の巻締め結合は強固に保持されている。
【0017】
次いで、この発明のチューブ容器の製造方法について説明する。先ず、プレス加工により、平板状の薄肉のアルミニウム板を、外縁部に断面コ字状をなしその開口が下方を向く囲い部10を有するとともに有底カップ状に絞り加工して肩パッド5を成形する。この肩パッド5は、そのテーパー角度をヘッド部4の肩部6内面のテーパー角度と略等しく成形されている。このようにして成形された肩パッド5は、図3(a)に示すように、その囲い部10内に胴部2の上端縁11を挿嵌し、係合又は溶着により胴部2に組み付けられる。そして、図3(b)に示すように、囲い部10内に挿嵌された胴部2の上端縁11を、該囲い部10と共に内側に折り曲げて、肩パッド5の囲い部10にて胴部2の上端縁11を巻締め結合する。その後、図3(c)に示すように、既に成形されているヘッド部4を肩パッド5及び胴部2の上方から組み付け、全体を一定の押圧力の下で肩パッド5をヘッド部4に押し付けながら、溶着や高周波接着等により接着する。
【0018】
このようなチューブ容器1は、ヘッド部4が組み付けられた後にキャップ(図示せず)が嵌合され、その場で内容物を充填し胴部2の下端をヒートシールにより密封した状態、又は胴部2の下端を開放した状態(図1参照)にて流通される。
【0019】
そして、内容物を注出する場合には、肩パッド5の頂面9を、キャップ等に設けられる穿孔治具により突き破り、胴部2を押圧することで口部7の注出口3より内容物を注出することができる。
【0020】
かかる実施形態のチューブ容器1によれば、バリア性を有する胴部2と、これもバリア性を有する肩パッド5とが巻締め部12にて結合されているため、内容物全体を全てアルミニウムで保護することが可能となる。また、肩パッド5の裾部下端縁と胴部2の上端縁11との結合は、一方で他方を巻き締めるという簡単な作業により達成される。さらに、胴部2からヘッド部4にわたってバリア性の高いアルミニウムが存在するため、耐久性に優れる。しかも、巻締め部12はヘッド部4の被包部14にて覆われているため、使用時における胴部2の押圧動作により肩パッド5と胴部2との巻締め結合が緩まるおそれがなく、また外観形状が目立つことがなくデザイン性にも優れている。なお、巻締め部12における囲い部10と該囲い部10に巻締め結合される胴部2の上端縁11とは、肩パッド5をヘッド部4の内面に溶着させる工程にて、相互に溶着させる構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0021】
かくして、この発明により、耐久性を確保しつつもバリア性に優れたチューブ容器を提供することが可能となった。
【符号の説明】
【0022】
1 チューブ容器
2 胴部
3 注出口
4 ヘッド部
5 肩パッド
6 肩部
7 口部
8 螺条
9 頂面
10 囲い部
11 胴部の上端縁
12 巻締め部
14 被包部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属箔をバリア層として含む積層構造の胴部と、該胴部の上端に連設され、内容物の注出口を有するヘッド部と、金属材料からなるバリア層を含み、前記ヘッド部の内面を被覆するとともに、前記注出口を閉鎖するシート状の肩パッドと、を備えるチューブ容器において、
前記肩パッドの裾部下端縁及び前記胴部の上端縁の一方で他方を巻締めた巻締め部を設けるとともに、前記ヘッド部に、前記巻締め部を包み覆う被包部を設けたことを特徴とするチューブ容器。
【請求項2】
前記肩パッドのバリア層は、アルミニウム箔で構成される、請求項1に記載のチューブ容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−46441(P2011−46441A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198873(P2009−198873)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】