説明

チューブ継手

【課題】複数の径が異なるチューブに対応可能なチューブ差込口を提供する。
【解決手段】チューブ差込口11の外周面に、その端部11A側から第1及び第2の竹の子部17、18を設ける。第1の竹の子部17は、円錐台形の第1及び第2の節部21、22が連続して成る。第2の竹の子部18は、円錐台形の第3及び第4の節部23、24が連続して成る。第1の竹の子部17における複数の凸部25、26は、互いに外径R1が同一である。第2の竹の子部18における複数の凸部27、28は、互いに外径R2が同一で、かつ凸部25、26より外径が大きい。第1の竹の子部17は、凸部25、26より外径が小さい円筒形の小径部33を介して第2の竹の子部18に不連続に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気計装機器等の各種装置に設けられ、チューブに差し込まれて使用されるチューブ継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チューブに差し込まれて使用されるチューブ継手には、差込口の外周面に環状の節部が多段に設けられ、差込口がいわゆる竹の子状に形成されたものが知られている。竹の子状の差込口では、各節部がチューブ内周面に係止し、それにより、チューブが差込口から抜け落ちるのが防止される(例えば、特許文献1、2参照)。また、チューブに挿入されやすくするために、外径が先端に向かうに従って小さくなるテーパ状の差込口も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−360743号公報
【特許文献2】特開平9−296893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、チューブ継手が設けられる装置によっては、チューブ差込口に異なる径を有するチューブが接続される場合がある。例えば、空気計装機器では、用途によって異なる種類のマノメータが使用されるが、そのマノメータのチューブ径は種類によって異なることがある。
【0005】
しかし、竹の子形状の差込口は、抜け落ちなく接続されるには、実質的に単一径のチューブにしか対応できず、接続されるチューブの径が変わるたびに取り替えられる必要があり、作業効率が悪くなるおそれがある。一方、差込口がテーパ状であるときには、径の異なるチューブに接続可能であるが、接続されたチューブが差込口から抜けやすいという欠点がある。
【0006】
そこで、本発明は、複数のチューブ径に対応可能で、かつ、差込口に取り付けられたチューブが抜け難いチューブ継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るチューブ継手は、チューブ差込口の外周面に、それぞれ凸部を少なくとも1つ有し、外嵌されたチューブを係止するための第1及び第2の係止部がチューブ差込口の端部側から設けられ、第2の係止部における凸部の外径は、第1の係止部における凸部の外径よりも大きく、第1及び第2の係止部は、第1の係止部の凸部の外径よりさらに外径が小さい円筒の小径部を介して互いに離間して配置されることを特徴とする。
【0008】
また、第1及び第2の係止部それぞれは、凸部が軸方向に複数並べられて構成されることが好ましい。さらに、第1の係止部における複数の凸部の外径は互いに同一であるとともに、第2の係止部における複数の凸部の外径は、互いに同一であることがより好ましい。
【0009】
第1及び第2の係止部それぞれは、例えば端部側が相対的に小径に、反対側が相対的に大径となる節部が連続して構成される。上記節部は、軸方向に沿って、上記端部側から反対側に向けて拡径するものであって、例えば筒状の円錐台である。なお、第1の係止部は相対的に内径が小さいチューブが取り付けられるためのものであるとともに、第2の係止部は相対的に内径が大きいチューブが取り付けられるためのものである。
【0010】
また、本発明に係るチューブ継手は、チューブ差込口の外周面に、それぞれ凸部が軸方向に複数並べられて構成され、外嵌されたチューブを係止するための第1及び第2の係止部が、チューブ差込口の端部側から設けられ、第1の係止部における複数の凸部の外径は互いに同一であるとともに、第2の係止部における複数の凸部の外径は、互いに同一であって、かつ第1の係止部における凸部の外径よりも大きいことを特徴とするものであっても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、外径の異なる複数種類のチューブに対応可能で、かつ、取り付けられたチューブが抜け難いチューブ継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るチューブ継手を示す斜視図である。
【図2】相対的に小径のチューブが接続されたチューブ継手を示す断面図である。
【図3】相対的に大径のチューブが接続されたチューブ継手を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について図面を参照しつつさらに詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るチューブ継手を示す斜視図である。図2、3は、チューブが接続されたときのチューブ継手を示す断面図である。
【0014】
図1に示すように、チューブ継手10は、管状を呈し、一端に後述するチューブに差し込まれるチューブ差込口11が、他端に他のチューブや流路に接続される接続口12が設けられる。チューブ継手10は、その中途部分に雄ネジから成る取付部13が設けられる。取付部13は、六角のネジ頭14がチューブ差込口11側に、ネジ溝が外周面にある軸部15が接続口12側に配置される。チューブ継手10は、取付部13によって他の部材に取り付け可能となる。チューブ継手10は、例えば金属、硬質樹脂等によって構成される。
【0015】
チューブ差込口11の外周面には、差込口11の端部11A側から順に、凹凸形状の第1及び第2の竹の子部17、18が設けられる。第1及び第2の竹の子部17、18は、後述するように、外嵌されたチューブを係止するための係止部である。第1の竹の子部17は、第1及び第2の節部21、22が、チューブ継手10の軸方向に連続して構成される。第1及び第2の節部21、22は、端部11A側が小径に、反対側が大径となる筒状の円錐台である。第1の節部21は、その大径側の底面が、第2の節部22の小径側の底面に連設する。第2の竹の子部18は、第1の竹の子部17と同様に、筒状の円錐台である第3及び第4の節部23、24が連続して構成される。
【0016】
第1の竹の子部17は、円筒から構成される第1の小径部33を介して第2の竹の子部18に不連続に接続される。すなわち、第1及び第2の竹の子部17、18は、小径部33を介して、軸方向において互いに離間して配置される。第2の竹の子部18は、円筒から構成される第2の小径部34を介して、ネジ頭14に接続される。
【0017】
図2に示すように、第1及び第2の節部21、22は、大径側の端部が環状の凸部25、26となり、これにより、第1の竹の子部17には凸部が軸方向に複数並べられる。また、節部21、22の接続部分が環状の凹部となる。第1及び第2の節部21、22は、同一形状を有し、これらの大径側の端部(すなわち、凸部25、26)は、互いに同一の外径R1を有する。
【0018】
同様に、第3及び第4の節部23、24は、その大径側の端部が環状の凸部27、28となり、第2の竹の子部18には凸部が軸方向に複数並べられる。また、節部23、24の接続部分が環状の凹部となる。第3及び第4の節部23、24は互いに同一形状を有しており、凸部27、28は互いに同一の外径R2を有する。外径R2は、凸部25、26の外径R1よりも大きく、これにより、チューブ差込口11には、互いに外径が異なる第1及び第2の竹の子部17、18が設けられることになる。
【0019】
また、第3及び第4の節部23、24の小径側の端部の外径は、少なくとも第1及び第2の節部21、22の小径側の端部の外径よりも大きく、かつ、凸部25、26の外径R1と同程度の大きさである。
【0020】
第1及び第2の竹の子部17、18の間にある第1の小径部33は、第2の節部22の大径側の端部(すなわち、凸部26)や、第3の節部23の小径側の端部よりも外径が小さく、第2及び第3の節部22、23より凹む環状溝35を形成する。環状溝35においては、竹の子部17、18の軸方向における端面(すなわち、第2の節部22の大径側の底面及び第3の節部23の小径側の底面)が、溝側面35A、35Bとなる。これら溝側面35A、35Bは軸方向に対して垂直である。
【0021】
また、第2の小径部34は、外径R2よりも小さい外径を有し、第4の節部24とネジ頭14の間において、環状溝36を形成する。環状溝36においては、第4の節部24の大径側の底面(すなわち、第2の竹の子部18の軸方向における端面)、及びネジ頭14の頂面が、溝側面36A、36Bとなる。これら溝側面36A、36Bは軸方向に対して垂直である。
【0022】
本実施形態におけるチューブ差込口11には、内径の異なるチューブが接続可能になる。具体的には、図2に示すように、内径が相対的に小さいチューブ41が、チューブ差込口11に取り付けられる場合、チューブ41は第1の竹の子部17に外嵌される。このとき、チューブ41は、その先端部41Aが環状溝35の内部に配置される。そして、先端部41Aの近傍部分が凸部25、26によって係止され、これにより、チューブ41の抜け落ちが防止される。なお、チューブ41は、外力が作用されないとき、その内径が凸部25、26の外径R1よりも小さい。
【0023】
一方、内径が相対的に大きいチューブ42が、チューブ差込口11に取り付けられる場合、図3に示すように、チューブ42は、第2の竹の子部18に外嵌される。このとき、チューブ42は、その先端部42Aが環状溝36の内部に配置される。そして、先端部42Aの近傍部分が凸部27、28によって係止され、チューブ42の抜け落ちが防止される。なお、チューブ42は、外力が作用されないとき、その内径が凸部27、28の外径R2より小さいが、凸部25、26の外径R1より大きく、凸部25、26には係止されない。また、チューブ41、42は、例えばゴム、合成樹脂等から形成され可撓性を有する。
【0024】
以上のように、本実施形態では、内径の異なるチューブ41、42はそれぞれ、外径が異なる第1及び第2の竹の子部17、18に外嵌されることにより、適切に凸部25〜28に係止されて抜け落ちが防止される。これにより、本実施形態におけるチューブ差込口11は、内径の異なる複数種類のチューブに対応可能となる。
【0025】
また、各竹の子部17、18は、外径が等しい2つの凸部を有するので、各竹の子部17、18に取り付けられたチューブ41、42は、2つの凸部から略同一の押圧力が作用され安定的に係止される。
【0026】
さらに、チューブ41、42の先端部41A、42Aの近傍部分は、凸部25〜28に押圧され相対的に大きく拡径される一方、環状溝35、36の内部に配置されたチューブ41、42の先端部41A、42Aは、実質的に拡径されないか、又は相対的に小さく拡径される。このように、差込口11に取り付けられたチューブ41、42は、先端部41A、42Aの径が相対的に小さくなっているため、引き抜く方向に力が作用されても、第1及び第2の竹の子部17、18の端面(すなわち、溝側面35A、36A)に係止されやすく、より効果的に抜け落ちが防止される。
【0027】
さらに、チューブ41、42は、先端部41A、42Aが溝側面35B、36Bに突き当てられてチューブ差込口11に取り付け可能であるため、チューブの取り付け位置を安定させやすくなる。
【0028】
なお、チューブ41、42の先端部41A、42Aはそれぞれ、第1又は第2の小径部33、34の外周側に配置されたホースバンド(不図示)によって締め付け固定されても良い。これにより、チューブ41、42は、より確実にチューブ差込口11に取り付けられる。なお、第1及び第2の小径部33、34は、外径が一定の円筒形であるため、ホースバンドが取り付けやすい。
【0029】
さらに、本実施形態における節部21〜24は、チューブ41、42を係止できる凸部を構成するものであれば、円錐台形状でなくても良い。例えば、軸方向における中央部分が最も大径となるとともに、その軸方向における両端部が最も小径となるように、球体を輪切りした形状を有し、外周面が球面状となるものであっても良い。
【0030】
また、本実施形態において、チューブを係止するための係止部は、節部が2つ連続して成る竹の子部であったが、各竹の子部において節部は、3つ以上であっても良い。また、係止部は、チューブを係止可能なように凸部が1つ以上あれば良く、1つの節部のみから成っており竹の子を構成していなくても良い。また、竹の子部(係止部)についても3つ以上設けられても良い。この場合、第3の竹の子部(係止部)は、外径R2より大きい外径の凸部を複数有し、小径部34を介して第2の竹の子部に接続される。
【符号の説明】
【0031】
10 チューブ継手
11 チューブ差込口
17、18 第1及び第2の竹の子部(第1及び第2の係止部)
21〜24 第1〜第4の節部
25〜28 凸部
33、34 第1及び第2の小径部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ差込口の外周面に、それぞれ凸部を少なくとも1つ有し、外嵌されたチューブを係止するための第1及び第2の係止部が前記チューブ差込口の端部側から設けられ、
前記第2の係止部における凸部の外径は、前記第1の係止部における凸部の外径よりも大きく、
前記第1及び第2の係止部は、前記第1の係止部の凸部の外径よりさらに外径が小さい円筒の小径部を介して互いに離間して配置されることを特徴とするチューブ継手。
【請求項2】
前記第1及び第2の係止部それぞれは、凸部が軸方向に複数並べられて構成されることを特徴とする請求項1に記載のチューブ継手。
【請求項3】
前記第1の係止部における前記複数の凸部の外径は互いに同一であるとともに、前記第2の係止部における前記複数の凸部の外径は、互いに同一であることを特徴とする請求項2に記載のチューブ継手。
【請求項4】
前記第1及び第2の係止部それぞれは、前記端部側が相対的に小径に、反対側が相対的に大径となる節部が連続して構成されることを特徴とする請求項1に記載のチューブ継手。
【請求項5】
前記第1の係止部は相対的に内径が小さいチューブが取り付けられるためのものであるとともに、前記第2の係止部は相対的に内径が大きいチューブが取り付けられるためのものであることを特徴とする請求項1に記載のチューブ継手。
【請求項6】
チューブ差込口の外周面に、それぞれ凸部が軸方向に複数並べられて構成され、外嵌されたチューブを係止するための第1及び第2の係止部が、前記チューブ差込口の端部側から設けられ、
前記第1の係止部における前記複数の凸部の外径は互いに同一であるとともに、前記第2の係止部における前記複数の凸部の外径は、互いに同一であって、かつ前記第1の係止部における前記凸部の外径よりも大きいことを特徴とするチューブ継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−11336(P2013−11336A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146002(P2011−146002)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【Fターム(参考)】