説明

チーズ製造装置

【課題】 原料乳の性状、最終製品の形態に応じて、好適な乳酸醗酵条件及び凝固条件を容易に実現することができるとともに、原料乳の加熱、醗酵及び攪拌並びにカードの裁断を合理的に行うことのできる、新規なチーズ製造装置を開発することを技術課題とした。
【解決手段】 バット本体1と、ミキサ3とを具え、前記バット本体1に投入された原料乳M0を、前記ミキサ3により攪拌しながら乳酸醗酵させて醗酵乳M2とし、更に乳凝固剤を用いて凝固乳M3とし、この凝固乳M3からホエイHを除去することにより、チーズ原製品M4を得る一連の処理を行う装置において、前記バット本体1は有底円筒形状を成すものであり、且つ前記ミキサ3に具えられる攪拌羽根35は、シャフト35aに対して撹拌体35bが具えられるものであり、この攪拌羽根35がバット本体1内に対して入出するための機構が具えられていることを特徴として成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチーズの製造装置に関するものであって、特に数十リットルから百リットル程度の原料乳を用いてチーズを製造するのに好適なチーズ製造装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
チーズの製造は、原料乳を殺菌処理し、続いて原料乳に対してスタータ(乳酸菌、カビ類)を注入し、乳酸醗酵を行うとともに、レンネット(凝乳成分であるキモシンを主成分とする乳凝固剤)を注入して混合した後、所定時間静止させてカード(固体成分)を形成するというものである。次いでこのカードを成型し、適宜の条件で熟成させることにより、様々なチーズとして製品化される。
【0003】
そしてこのようなチーズの製造における殺菌、醗酵を行うための製造装置は、国内ではほとんど開発されていないため、欧州等から輸入された装置が用いられている。
しかしながら欧州等と比べて湿度が高い日本国内においては、空気中に存在する雑菌の種類が多い等の問題により、独自の醗酵時間、温度等の条件設定が必要であり、このためチーズ製造者は試行錯誤を繰り返し、各種条件を見出して何とか装置を使いこなしているというのが実情である。そしてこのような作業には多大な時間を要するものであり、元より輸入される装置は非常に高価なものであり、且つ大型機、大型装置であるため、チーズの製造工場を立ち上げる際の大きな障害となっていた。
そこで本出願人は、原料乳の性状、最終製品の形態に応じて、好適な乳酸醗酵条件及び凝固条件を容易に実現することができ、特に日本国内での使用に好適である新規なチーズの製造方法並びにその装置を開発し、既に特許出願に及んでいる(特許文献1参照)。
【0004】
更にまた本出願人は、小規模の飲食店や家庭において数リットル程度の少量の原料乳から乳加工製品を製造するのに好適な、新規な卓上型乳加工製品製造装置を開発し、既に特許出願に及んでいる(特許文献2参照)。
そしてその後も本出願人は、この種のチーズ製造装置の開発を継続しており、数十リットルから百リットル程度の原料乳を用いる中規模のチーズ製造装置の開発に着手した。そしてその開発過程において、中規模機特有の改良を行うことにより、更なる品質の向上、生産性の向上を実現できることが確認された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2008−331995
【特許文献2】特願2009−105877
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような背景からなされたものであって、原料乳の性状、最終製品の形態に応じて、好適な乳酸醗酵条件及び凝固条件を容易に実現することができるとともに、原料乳の加熱、醗酵及び攪拌並びにカードの裁断を合理的に行うことのできる、新規なチーズ製造装置を開発することを技術課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち請求項1記載のチーズ製造装置は、バット本体と、ミキサとを具え、前記バット本体に投入された原料乳を、前記ミキサにより攪拌しながら乳酸醗酵させて醗酵乳とし、更に乳凝固剤を用いて凝固乳とし、この凝固乳からホエイを除去することにより、チーズ原製品を得る一連の処理を行う装置において、前記バット本体は有底円筒形状を成すものであり、且つ前記ミキサに具えられる攪拌羽根は、シャフトに対して撹拌体が具えられるものであり、この攪拌羽根がバット本体内に対して入出するための機構が具えられていることを特徴として成るものである。
【0008】
また請求2項記載のチーズ製造装置は、前記要件に加え、前記バット本体には、バット本体を囲繞する保温ジャケット及び温度調節機構が具えられ、この保温ジャケット内に供給する熱媒体として温水を用いるとともに、この温水の温度を調節することにより原料乳及び中間製品の温度を所望の値に設定する機能が具えられ、更に前記保温ジャケットは、上下方向に複数のブロックに区画されているものであることを特徴として成るものである。
【0009】
また請求項3記載のチーズ製造装置は、前記要件に加え、前記攪拌羽根がバット本体内に進入した状態で、バット本体の上部開口部を覆う蓋体が具えられていることを特徴として成るものである。
【0010】
更にまた請求項4記載のチーズ製造装置は、前記要件に加え、前記攪拌羽根は、攪拌体がシャフトに対して螺旋状に具えられたものであることを特徴として成るものである。
【0011】
更にまた請求項5記載のチーズ製造装置は、前記要件に加え、前記ミキサは、前記ミキサは、攪拌羽根を遊星旋回回転させるための機構が具えられたものであることを特徴として成るものである。
【0012】
更にまた請求項6記載のチーズ製造装置は、前記要件に加え、前記バット本体は有底円筒状を成し、このバット本体内に挿入されてカードを裁断するためのカードナイフが具えられるものであり、前記カードナイフは、前記バット本体の底面と同じ平面形状を成す水平フレームと、この水平フレーム上に直立する垂直フレームとが具えられ、前記水平フレーム内にはワイヤが格子状に張設され、一方、前記垂直フレーム内には、複数のワイヤが水平方向に平行に張設されているものであることを特徴として成るものである。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【発明の効果】
【0013】
まず請求項1記載の発明によれば、バット本体は平面視円形であるため、原料乳の攪拌を効率的に行うことができ、加熱及び醗酵を好適に行うことが可能となる。また中間製品を静置する際には攪拌羽根をバット本体から退出させて醗酵等を好適に行うことができる。
【0014】
また請求項2記載の発明によれば、バット本体全域を均等に加熱することができ、その内部に収容される原料乳や中間製品を均等に加熱して醗酵を促し、均質なチーズ原製品を得ることができる。
【0015】
更にまた請求項3記載の発明によれば、バット本体の保温性が向上するとともに、原料乳や中間製品と外気とを遮断するため、バット本体内に位置する原料乳の温度を均等に保つとともに酸化を抑制することができ、均質なチーズ原製品を得ることができる。
更に原料乳や中間製品に異物が混入してしまうのを防止することができる。
【0016】
更にまた請求項4記載の発明によれば、バット本体内に位置する原料乳や中間製品を均等に攪拌することができ、均質なチーズ原製品を得ることができる。
【0017】
更にまた請求項5記載の発明によれば、バット本体内に位置する原料乳や中間製品を、より一層均等に攪拌することができ、均質なチーズ原製品を得ることができる。
【0018】
更にまた請求項6記載の発明によれば、バット本体内に位置するカードを、容易に、迅速に且つ均等に裁断することができ、均質なチーズ原製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】チーズ製造装置の構成要素を示す斜視図である。
【図2】チーズ製造装置を示す側面図である。
【図3】バット本体周辺の分解斜視図である。
【図4】攪拌羽根を示す斜視図である。
【図5】カードナイフを示す斜視図である。
【図6】カードナイフによる凝固乳の分断の様子並びにホエイの排出の様子を示す斜視図である。
【図7】チーズの製造過程における二種の温度センサの検出値及びpH計の検出値を示すグラフである。
【図8】チーズの製造過程を示す工程表である。
【図9】制御盤に記憶されるデータシートを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のチーズ製造装置の最良の形態の一つは以下の実施例に説明するとおりであるが、以下の実施例に対して、本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更を加えることも可能である。
【実施例】
【0021】
図中、符号Dで示すものが本発明のチーズ製造装置であって、このものは鋼材を適宜組み合わせて構成された機枠Fに対して、バット本体1、温度調節機構2、ミキサ3及び制御盤5を具えて成るものである。
【0022】
以下、これらチーズ製造装置Dの構成要素について詳しく説明する。
まず前記バット本体1は、ステンレス等(一例としてSUS304、厚さ1.5mm)により構成された容量50〜100リットル程の、有底円筒形状(いわゆる寸胴)の容器であり、上部開口部の周縁にフランジ11が形成されたものである。
そしてバット本体1の底板12には液抜口12aが形成されるものであり、この実施例では図2、3に示すように、底板12の外周付近を平面視で矩形状に切り抜くことにより液抜口12aを形成した。なおこの液抜口12aには液抜管12bが接続されるものであり、管状部材の端部付近の上半分を一定範囲にわたってを切除し、残された部分が前記液抜口12aを下方から覆うようにして管状部材をバット本体1の外側から溶接し、先端部を封止するようにした。因みに液抜口12aをこのような形態とすることにより、後述するカードCの詰まりが防止されて良好に排出を行うことができることが確認されている。
【0023】
更に前記バット本体1が有底円筒形状を成すことに因み、底板12に対して変形防止板13が設けられる。具体的には図3に示すように、底板12の中央部外側部分に、変形防止板13としての円形板を溶接するとともに、この変形防止板13の中心に設けられた固定杆13aを、機枠Fを構成する鋼材に対してビス13b等を用いて固定する。
なお本発明のチーズ製造装置Dの開発段階において、上述のような変形防止板13を設けない場合には、原料乳M0が殺菌等のために加熱された際に、前記底板12が変形してしまうことが確認されており、板厚を増すことなくこのような変形を防止するうえで、前記変形防止板13を設けることは必要不可欠なものとなっている。
【0024】
また後述する温度センサ52及びpHセンサ53を保持するためのセンサホルダ14がバット本体1の上部に設けられている。
なおバット本体1の上部開口部は、カバー15によって塞がれるものであり、このカバー15には、バット本体1に被せられた状態で、後述する攪拌羽根35がバット本体1内に進入することができるように、中央に挿入口15aが形成されている。なおカバー15は、中心部等で二つ割れ状態となるように構成することにより、着脱の際の取り扱いが飛躍的に向上する。
【0025】
次に前記温度調節機構2について説明すると、この機構は前記バット本体1の側周面及び底面を囲繞するように設けられる保温ジャケット20に対して、温水W1または冷水W2を循環させることにより、バット本体1内に収容された原料乳M0や中間製品の温度を所望の値に保つための機構である。更に前記保温ジャケット20は、筐体16内に収容されるものであり、この筐体16と保温ジャケット20との間には断熱材17が配される。
【0026】
ここで前記温度調節機構2における熱媒体の流れについて説明すると、図3に示すように、前記保温ジャケット20の側周面に入水口21が形成され、一例としてここから平面視で反時計回り方向270°の個所における上部の位置に出水口22が形成され、それぞれに給水管23、集水管24が接続される。なお入水口21から保温ジャケット20内に流入した熱媒体を出水口22に導くために、入水口21の内側には流方向板21aが設けられ、熱媒体が入水口21から出水口22にショートパスしないように配慮されている。
更に前記給水管23は循環水タンク25における出水口25aに接続され、集水管24が入水口25bに接続される。このため熱媒体(温水W1、冷水W2)は、循環水タンク25と保温ジャケット20との間で循環することとなる。
なお前記給水管23と出水口25aとの間の管路には循環ポンプ26が具えられている。
また前記集水管24と入水口25bとの間の管路には三方弁V1が具えられており、熱媒体を循環水タンク25に戻すか、あるいは外部に排出するかの選択が可能となっている。
【0027】
ここで前記循環水タンク25に対して熱媒体として供される水を供給するための構成について説明すると、注水管27は適宜水道の蛇口等に接続され、この注水管27に三方弁V2が接続されることにより、水の供給先を注水管27Aまたは注水管27Bのいずれかに選択できるように構成されている。
まず前記注水管27Aは、循環水タンク25の上部に形成された注水口25cに対して接続されている。そしてこの注水口25cには、フロート弁25fが具えられており、循環水タンク25に所定量以上の水が供給されてしまうのを防ぐように構成されている。
一方、前記注水管27Bは、前記出水口25aにその排出部が臨むように設置されており、ここから排出された水は、いったん循環水タンク25内に位置するものの、即座に出水口25aから排出されるように構成されている。
なお循環水タンク25の上部にはオーバーフロー口25dが形成され、循環水タンク25からの水の溢出を防止できるように構成されている。更に循環水タンク25の底部には排出口25eが形成されている。また前記循環水タンク25の外周部分には適宜断熱材が貼設される。
【0028】
なお前記循環水タンク25に注入された水は、冷水W2として供されるときにはそのまま循環させられ、温水W1として供されるときには循環水タンク25内において昇温されるものであり、ここでそのための機構について説明する。
具体的には、前記循環水タンク25の底部にはノズル28が配されるものであり、このノズル28に対して蒸気供給管28aを通じて、蒸気発生装置2Sから蒸気が供給される。
そして前記ノズル28から循環水タンク25内の水中に噴出された蒸気は、直接、 水に作用してその温度を上昇させ、温水W1が得られるものであり、流量調整弁V4によって蒸気の供給量が調整され、温水W1の温度が所望の値とされるものである。
なお前記蒸気発生装置2Sは、ボイラによって蒸気を発生させるとともに、この蒸気を更に加熱することにより、飽和蒸気よりも高温の過熱蒸気を得ることができる装置である。また蒸気発生装置2Sとしては、ボイラによって発生した蒸気をそのまま用いるものとしてもよい。
また図示は省略するが、前記循環水タンク25内に管を設け、この管内に蒸気を通過させ、管の側周面を通じて循環水タンク25内の温水W1に熱を供給して、温水W1の温度を所望の値に維持するようにしてもよい。
なお前記循環水タンク25内における入水口25bと出水口25aとの間に熱交換器を設けるとともに、この熱交換器内を通過する熱媒体を、循環水タンク25内に位置する温水W1または冷水W2によって昇温または降温させるようにしてもよい。なお前記熱交換器としては、熱交換効率が高い、多葉状伝熱管を用いた二重管式熱交換器(株式会社西山製作所製)等を用いることが好ましい。
【0029】
また図1〜3中、仮想線で示すように、前記保温ジャケット20の内部に、円環状の仕切板20aを二枚設けることにより、熱媒体の流路を上下方向に三分割し、それぞれの区画に出水口22を設けるようにしてもよい。因みにこのような構成を採ることにより、保温ジャケット20内における熱媒体の流れを整然としたものとすることができるため、バット本体1を均等に加熱または冷却し、原料乳M0または中間製品と熱媒体との間での熱交換効率を高めることができる。
更に入水口21と出水口22の位置を交互にすることにより、仕切板20aによって仕切られた区画毎に、熱媒体の流れ方向が交互に異なるようにしてもよい。この場合には、バット本体1内に位置する原料乳M0または中間製品の温度をより一層均一なものとすることができる。
【0030】
次に前記ミキサ3について説明すると、このものは太陽ギヤボックス31の太陽軸31aの先端に回転蓋32を具えるとともに、更に太陽軸31aにおける回転蓋32の上方に遊星ギヤボックス33を具え、遊星軸33aが回転蓋32を貫いてその下方に延び、遊星軸33aの先端に、攪拌羽根35が着脱自在に取り付けられて構成されるものである。なお図3に示した太陽ギヤボックス31は、歯車等を箱体内に収容し、更にこの箱体内にモータ34を収容したものである。
そして前記太陽ギヤボックス31は、架台36に載置されるものであり、この架台36は、機枠Fに設けられた一対のスプロケット37間に巻回されたチェーン38に取り付けられ、機枠Fの上下方向に沿って配されたレール39上を移動する。
【0031】
ここで前記攪拌羽根35は、図4(a)に示すようにシャフト35aに対して複数の攪拌体35bを螺旋状(螺旋軌道上)に配置して構成されるものである。なお攪拌羽根35としては図4(b)に示すように、シャフト35aに対してバー35cを固定し、このバー35cに対して攪拌体35bを螺旋状(螺旋軌道上)に配置して構成するようにしてもよい。
なお前記攪拌体35bとしては、上述のようなパドル状のものの他、一部曲げ加工を施した金属板に丸穴を複数設けたタイプのものや、対向する一対の金属板間に複数の金属棒を平行に配したタイプのもの等を採用することもできる。この場合、攪拌体35bは必ずしもシャフト35aに対して螺旋状に配置する必要はない。
【0032】
次に前記制御盤5は、前記温度調節機構2における三方弁V1、V2、流量調整弁V3、V4並びにミキサ3におけるモータ34等を制御することにより、チーズ製造装置Dの運転を制御するための機器である。
そしてこのような制御を行うために、前記循環水タンク25内に温度センサ51が設置され、また前記バット本体1の上部には温度センサ52及びpHセンサ53が設置され、更に前記レール39の所定の個所にリミットスイッチ54が設けられている。
なお前記温度センサ52及びpHセンサ53は、バット本体1の上部に設けられたセンサホルダ14により保持される。
【0033】
ここで前記pHセンサ53は、バット本体1に収容される原料乳M0や中間製品に対して直接触れるものであるため、一般的なガラス管タイプのものではなく、ISFET型のものが採用される。このものは、FETが適用され、溶液と感応膜との界面電位の分だけゲート閾値電圧が変化することを利用したセンサであり、プロトン感応膜として絶縁体であるSiO2 、Si34 、Al23 、Ta25 等が用いられることにより、pHセンサとして作動するものである。
この実施例では一例としてエンドレスハウザージャパン社製「半導体pH電極CPS471D」を採用した。因みにこのCPS471Dは、欧米食品規格EHDEGのテスト証明を取得済みのものであり、日本国内においては法制上、食品工場においてその使用が認められているものである。
【0034】
また前記制御盤5には、前記温度センサ51、温度センサ52及びpHセンサ53の検出値を一定時間毎に記録することができる機能が具えられるものであり、一例として図7のグラフに示すようなデータ形式で記録が行われるものとする。
因みにこのような記録は、例えば殺菌の際の温度、時間が適切に行われたことを証明する資料として供される他、原料乳M0の性状、中間製品及び最終製品の形態、更には気温・湿度等の周辺環境を併せて記録しておくことにより、加工対象となる原料乳M0の成分や製造するチーズの種類に適したものを選択して呼び出し、同様の条件下での加工を容易に行うことが可能となるものである。
また制御盤5には、原料乳M0の性状、最終製品の形態、更には気温・湿度等の周辺環境に応じた、好適な乳酸醗酵条件及び凝固条件を実現するための設定温度及び工程所要時間がプリセットされる。
【0035】
またカードナイフ6は図5に示すように、前記バット本体1の底板12と同じ平面形状を成す水平フレーム61と、この水平フレーム61上、好ましくは直径上に直立する垂直フレーム62とが具えられ、前記水平フレーム61内にはワイヤ63が格子状に張設され、一方、前記垂直フレーム62内には、複数のワイヤ64が水平方向に平行に張設されているものである。そしてフ垂直レーム62の上部には、取手65が設けられるものである。
またカッター8は図8中に示すように取手80及びブレード81を具えて成るものである。
【0036】
本発明のチーズ製造装置Dは一例として上述したように構成されるものであり、以下この装置を用いたチーズの製造方法について説明する。
なお原料乳M0は、チーズ製造装置Dによる処理の段階に応じて、その性状が変化するものであるため、ここで各段階毎の呼称について定義しておく。
まず、搾乳後、異物を除去するための濾過処理が行われた状態のものを原料乳M0と称す。
次いで原料乳M0に対して、醗酵や熟成を順調に進めるために殺菌処理を施したものを殺菌乳M1と称す。
次いで殺菌乳M1に対して、スタータSあるいはクエン酸を注入して乳酸醗酵させたものを醗酵乳M2と称す。
次いで醗酵乳M2に対して、レンネットRを注入して凝固させたものを凝固乳M3と称す。
次いで凝固乳M3を、カードナイフ6で裁断することにより得られる小片状の固体物をカードCと呼び、このとき滲出する液体成分をホエイHと称す。
そしてカードCから更にホエイHを滲出させて塊状としたものをチーズ原製品M4と称す。
なお前記殺菌乳M1、醗酵乳M2、凝固乳M3並びにカードC及びホエイHが混在したものを中間製品として総称することもある。
【0037】
以下、図1及び図2並びに図8に示す工程表を参照しながら説明を行う。なお以下の工程は、チーズ製造装置Dをいわゆるセミオートにより運転することにより行われ、一部、人手による作業を伴うものであるため、各工程が終了した段階で適宜ブザー音を発する等してオペレータに認知させることが好ましい。
【0038】
〔装置等の殺菌(装置殺菌工程P0)〕
始めに装置の運転に先立ち、原料乳M0や中間製品に対して直接触れる部材を殺菌するものであり、バット本体1内に、カードナイフ6及びカッター8を位置させるとともに、架台36を下降させて回転蓋32によりカバー15の挿入口15aを覆う。このとき、攪拌羽根35もバット本体1内に位置することとなる。もちろん攪拌羽根35を遊星軸33aから取り外した状態でバット本体1内に位置させてもよい。
次いで液抜管12bに対して、蒸気発生装置2Sに繋がれたチューブTを接続し、ここからバット本体1内に蒸気を供給することにより、前記バット本体1、カバー15、攪拌羽根35、カードナイフ6、カッター8及び回転蓋32の殺菌を行う。
【0039】
〔運転条件の選択〕
次いで制御盤5を操作して、原料乳M0の性状(乳牛種、脂肪含有量等)、最終製品の形態(ゴーダ、カマンベール、クリーム、チェダー、ブルー、カテージ等)に応じた、好適な乳酸醗酵条件及び凝固条件を実現するための設定温度及び工程所要時間の呼び出しを行う。
これらは具体的には、一例として図9の表に示すようなデータシート形式で制御盤5内に記憶されているものであり、原料乳M0の乳脂肪率及び無脂肪固形分、最終製品形態が主たる情報として記憶される。
そして例えば「チェダーチーズ」を作る場合に、「乳脂肪率及び無脂肪固形分」を入力すると、蓄積されたデータの中から最も類似したデータが呼び出されて、このデータに従った運転制御が行われるものである。
なおこれらのデータは、過去の実績に基づいて記憶されるものであり、随時更新されてゆくことにより、最終製品の品質向上を図ることができるものである。
また参考データとして、気温及び湿度並びに乳牛種、採取牧場、搾乳日時及び加工日時等を記憶しておくようにしてもよい。
この実施例では一例として図9の表中、データナンバー3を呼び出すようにした。
【0040】
〔温水の生成〕
また上述したバット本体1等の殺菌と並行して温水W1を準備しておくものであり、循環水タンク25の排出口25eに栓をしてスタートボタンを押すと、三方弁V2が注水管27A側に設定され、循環水タンク25内に水が注入される。
そして適宜流量計や水位センサ等によりノズル28が水没したことが認識された時点で、流量調整弁V4の開度が調整され、循環水タンク25内の水に蒸気が噴出されて水の温度が上昇する。
やがて循環水タンク25内の水位が所定の位置まで上昇すると、フロート弁25fが作動して注水口25cからの水の注入が停止される。
その後、温度センサ51の検出値に応じて流量調整弁V4の開度が調整され、循環水タンク25内の水は所望の温度の温水W1となる。
【0041】
〔原料乳投入〕
その後、架台36を上昇させて回転蓋32上方に移動させ、カバー15の挿入口15aを解放状態とする。次いで液抜管12bを閉めて原料乳M0を投入するものであり、温度センサ52及びpHセンサ53の検出部が原料乳M0と接した状態とする。また原料乳M0の投入が完了したら架台36を下降させて、回転蓋32によりカバー15の挿入口15aを覆うとともに、攪拌羽根35を原料乳M0に没した状態とする。
また同時に、制御盤5による温度センサ52及びpHセンサ53の検出値の記録が開始される。
【0042】
〔原料乳の殺菌(殺菌工程P1)〕
次いで原料乳M0は65℃の温度で約30分間加熱されることにより、低温殺菌が行われるものであり、循環水タンク25内の温水W1が循環ポンプ26によって保温ジャケット20に送り込まれることにより、バット本体1内の原料乳M0の温度が65℃まで上昇する。なお原料乳M0の殺菌は、120〜135℃で1 〜3 秒間の加熱を行うようにしてもよく、この場合には保温ジャケット20に過熱蒸気等が供給される。
またこの際、原料乳M0はミキサ3によって撹拌されるものであり、攪拌羽根35が自転しながら公転(遊星旋回回転)することにより、バット本体1内の原料乳M0全域にわたって攪拌体35bが作用する。特に本発明においては、バット本体1は有底円筒形状を成すものであり平面視円形であるため、攪拌羽根35はバット本体1の内周に沿って公転し、原料乳M0の全域に作用することとなり、バット本体1内に位置する原料乳M0を、より一層均等に攪拌することができる。
また攪拌羽根35は、シャフト35aに対して攪拌体35bが螺旋状に配置されているため、原料乳M0に対流を起こして均等に攪拌することができる。
更に前記攪拌羽根35がバット本体1内に進入した状態では、バット本体1の上部開口部は回転蓋32によって覆われるため、バット本体1の保温性が向上するとともに、原料乳M0と外気とを遮断し、原料乳M0の温度を均等に保つとともに酸化を抑制することができる。更に原料乳M0に異物が混入してしまうのを防止することができる。
【0043】
〔殺菌乳の冷却(冷却工程P2)〕
次いで殺菌乳M1は乳酸醗酵に適した温度である33.5℃まで冷却されるものであり、三方弁V1が排水側に設定されるとともに、三方弁V2が注水管27B側に設定される。すると注水管27Bから出水口25aの近傍に供給される冷水W2は循環ポンプ26の作用によって即座に給水管23に送られ、入水口21を経由して保温ジャケット20内に至り、やがて出水口22、集水管24及び三方弁V1を経由して外部に排出される。この際、給水管23、保温ジャケット20及び集水管24内に位置していた温水W1は速やかに外部に排出されて冷水W2と入れ替わるため、バット本体1内の殺菌乳M1の冷却が急速に行われることとなる。なお図示は省略するが、チラーを用いて温水W1を一気に冷却し、これを保温ジャケット20に戻すようにしてもよい。
そして冷水W2によって殺菌乳M1の冷却を行いながら、ミキサ3によって殺菌乳M1を撹拌するものであり、温度センサ52による検出値が所望の値となるまで継続される。なおこのときの殺菌乳M1の温度低下率は、平均して0.020〜0.014℃/秒程(30℃低下するのに25〜35分)となり、殺菌乳M1を急速に乳酸醗酵に適した温度とすることができるため、製造に要する時間が短縮されるとともに、殺菌乳M1の劣化が抑えられる。
【0044】
なお注水管27Bから出水口25aの近傍に供給された冷水W2が循環ポンプ26の作用によって給水管23に送られる際には、循環水タンク25内に位置していた温水W1は出水口25aからほとんど流出しないため、温水W1を温度低下しない状態で循環水タンク25内に保持したままとすることができる。また前記三方弁V1から外部に排出される温水W1及び冷水W2については、特に不純物が混入してしまうことがないため、これら外部に排出された温水W1及び冷水W2や循環水タンク25内の温水W1を、熱蒸気発生装置2Sで再利用したり、あるいは別途保管しておいて装置の洗浄に用いるようにすることが好ましい。特に温水W1については、チーズ製造装置Dの後工程で用いられるカードミキサD2やモルダD3の加熱に再利用することが好ましい。
【0045】
〔スタータ注入(醗酵工程P3)〕
次いで架台36を上昇させて攪拌羽根35をバット本体1から抜き出した状態とし、33.5℃に冷却された殺菌乳M1に対して、2〜4種類の乳酸菌が混合されて成るスタータSを混入する。そして架台36を下降させて、回転蓋32によりカバー15の挿入口15aを覆うとともに、攪拌羽根35を殺菌乳M1に没した状態とする。
この際、スタータSを殺菌乳M1中に十分に分散させることが重要でるため、ミキサ3により、約10分間、殺菌乳M1の撹拌が行われる。
また殺菌乳M1を33.5℃に保つため、保温ジャケット20に対して適温の温水W1を循環させるものであり、温度センサ51及び温度センサ52の検出値に応じて流量調整弁V4、V5の開度が適宜調整される。
【0046】
〔乳酸醗酵〕
次いで回転蓋32により遮光を図りながら、60分間にわたって静止状態を維持する。この際、温度センサ52及びpHセンサ53による検出が継続的に行われており、殺菌乳M1を33.5℃に保つように保温ジャケット20に対して適温・適量の温水W1が循環させられる。そしてpH値が6.5となった時点で所望の醗酵状態に至ったことが認識され、次工程に移行する。
【0047】
〔レンネット注入(凝固工程P4)〕
次いで架台36を上昇させて攪拌羽根35をバット本体1から抜き出した状態とし、醗酵乳M2を豆腐状に凝固させ、水分を除去しやすい状態にする目的で、牛の第4胃から抽出された凝乳成分であるレンネットR添加する。そしてレンネットRを醗酵乳M2中に十分に分散させるため、架台36を下降させて攪拌羽根35を醗酵乳M2に没した状態とし、醗酵乳M2を約5分間、撹拌する。
また醗酵乳M2を33.5℃に保つため、保温ジャケット20に対して適温・適量の温水W1が循環させられる。
【0048】
〔凝固(静止)〕
次いで回転蓋32により遮光を図りながら、30分間にわたって静止状態を維持する。この際、温度センサ52及びpHセンサ53による検出が継続的に行われており、醗酵乳M2を33.5℃に保つように保温ジャケット20に対して適温・適量の温水W1が循環させられる。そしてpH値が6. 3となった時点で所望の凝固状態に至ったことが認識され、次工程に移行する。
【0049】
〔カッティング(分離工程P5)〕
次いで架台36を上昇させて攪拌羽根35をバット本体1から抜き出した状態とし、更カバー15を取り外し、カードナイフ6を用いて凝固乳M3の分断を行うものであり、10mm角程度の小片となったカードCからは、濁りの少ない透明な黄緑色の液体成分であるホエイHが滲出してくる。
このとき、前記カードナイフ6は、前記バット本体1の底板12と同じ平面形状を成す水平フレーム61と、この水平フレーム61上、好ましくは直径上に直立する垂直フレーム62とが具えられ、前記水平フレーム61内にはワイヤ63が格子状に張設され、一方、前記垂直フレーム62内には、複数のワイヤ64が水平方向に平行に張設されているものである。このため作業者が、バット本体1内にカードナイフ6を挿入し、底板12に水平フレーム61を当接させた時点で、凝固乳M3は水平フレーム61内のワイヤ63によって縦長の直方体状に分断されることとなる。次いで作業者が取手65を把持してカードナイフ6を180°回転させることにより、凝固乳M3は垂直フレーム62内のワイヤ64によって立方体状に分断されることとなる。
このように作業者は、格別気を使うことなく、迅速(数秒程度)且つ確実に凝固乳M3を均等に分断することができる。
因みにこの実施例では、前記カードナイフ6によって凝固乳M3を分散して得られるカードCは、10mm角の立方体であり、このようなカードCを従来より用いられているカードナイフ6′によって切り出すことはほぼ不可能であり、できたとしても非常に長時間を要してしまうものであった。
【0050】
〔ミキシング〕
次いで架台36を下降させて、回転蓋32によりカバー15の挿入口15aを覆うとともに、攪拌羽根35を凝固乳M3に没した状態とし、カードCとホエイHとが混在した状態のものを33.5℃に保ちながら30分間、撹拌する。
更にその後、ホエイH中にカードCが浮遊した状態となったものを38℃まで昇温し、この温度に保ちながらミキサ3によって30分間、撹拌する。
このようなミキシングを行うことにより、はじめは、ややくっついているカードC同士がほぐれるとともに、カードCとホエイHとの分離が促進される。
【0051】
〔ホエイ抜き及び静置〕
次いで架台36を上昇させて攪拌羽根35をバット本体1から抜き出した状態とし、攪拌羽根35を遊星軸33aから外すとともに、液抜口12aを開放してホエイHを排出するものである。このとき図6(c)に示すように、液抜口12aを流出防止ネット7で覆うことにより、カードCが液抜口12aから流出してしまうのを防ぐようにすることが好ましい。
そしてバット本体1内(底板12上)にカードCを集めて一つの塊状にし、更にバット本体1にカバー15を装着し、架台36を下降させて回転蓋32によりカバー15の挿入口15aを覆うことにより遮光を図り、約20分間静置し、更なるホエイHの滲出を図る。
なおホエイHはそのまま食材とすることができ、更にたんぱく質が豊富なため各種健康食品の材料や飼料とされるものであるため、適宜回収して有効利用することが好ましい。
【0052】
〔分断及び静置(整形工程P6)〕
次いで架台36を上昇させ、更にカバー15を外し、塊状のカードCを、バット本体1内においてカッター8を用いて20cm角ほどの小ブロックに分断する。
次いでバット本体1にカバー15を装着し、架台36を下降させて回転蓋32によりカバー15の挿入口15aを覆うことにより遮光を図り、約20分間静置し、ホエイHの更なる滲出を図るとともに、カードCの凝固を進行させる。
このようにして得られた塊状物はチーズ原製品M4(いわゆるフレッシュチーズ)と成るものであり、その後、カードミキサD2やモルダD3においてミキシング(ミキシング工程P7)、分割成型(成型工程P8)が行われた後、加塩、混練、カビ付け、熟成等を行うことにより、所望の最終製品(ゴーダ、カマンベール、クリーム、チェダー、ブルー、カテージ等)となる。
【符号の説明】
【0053】
1 バット本体
11 フランジ
12 底板
12a 液抜口
12b 液抜管
13 変形防止板
13a 固定杆
13b ビス
14 センサホルダ
15 カバー
15a 挿入口
16 筐体
17 断熱材
2 温度調節機構
2S 蒸気発生装置
20 保温ジャケット
20a 仕切板
21 入水口
21a 流方向板
22 出水口
23 給水管
24 集水管
25 循環水タンク
25a 出水口
25b 入水口
25c 注水口
25d オーバーフロー口
25e 排出口
25f フロート弁
26 循環ポンプ
27 注水管
27A 注水管
27B 注水管
28 ノズル
28a 蒸気供給管
3 ミキサ
31 太陽ギヤボックス
31a 太陽軸
32 回転蓋
33 遊星ギヤボックス
33a 遊星軸
34 モータ
35 攪拌羽根
35a シャフト
35b 攪拌体
35c バー
36 架台
37 スプロケット
38 チェーン
39 レール
5 制御盤
51 温度センサ
52 温度センサ
53 pHセンサ
54 リミットスイッチ
6 カードナイフ
61 水平フレーム
62 垂直フレーム
63 ワイヤ
64 ワイヤ
65 取手
7 流出防止ネット
8 カッター
80 取手
81 ブレード
C カード
D チーズ製造装置
D2 カードミキサ
D3 モルダ
F 機枠
H ホエイ
M0 原料乳
M1 殺菌乳
M2 醗酵乳
M3 凝固乳
M4 チーズ原製品
P0 装置殺菌工程
P1 殺菌工程
P2 冷却工程
P3 醗酵工程
P4 凝固工程
P5 分離工程
P6 整形工程
P7 ミキシング工程
P8 成型工程
R レンネット
S スタータ
T チューブ
V1 三方弁
V2 三方弁
V3 流量調整弁
V4 流量調整弁
W1 温水
W2 冷水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バット本体と、ミキサとを具え、前記バット本体に投入された原料乳を、前記ミキサにより攪拌しながら乳酸醗酵させて醗酵乳とし、更に乳凝固剤を用いて凝固乳とし、この凝固乳からホエイを除去することにより、チーズ原製品を得る一連の処理を行う装置において、前記バット本体は有底円筒形状を成すものであり、且つ前記ミキサに具えられる攪拌羽根は、シャフトに対して撹拌体が具えられるものであり、この攪拌羽根がバット本体内に対して入出するための機構が具えられていることを特徴とするチーズ製造装置。
【請求項2】
前記バット本体には、バット本体を囲繞する保温ジャケット及び温度調節機構が具えられ、この保温ジャケット内に供給する熱媒体として温水を用いるとともに、この温水の温度を調節することにより原料乳及び中間製品の温度を所望の値に設定する機能が具えられ、更に前記保温ジャケットは、上下方向に複数のブロックに区画されているものであることを特徴とする請求項1記載のチーズ製造装置。
【請求項3】
前記攪拌羽根がバット本体内に進入した状態で、バット本体の上部開口部を覆う蓋体が具えられていることを特徴とする請求項1または2記載のチーズ製造装置。
【請求項4】
前記攪拌羽根は、攪拌体がシャフトに対して螺旋状に具えられたものであることを特徴とする請求項1、2または3記載のチーズ製造装置。
【請求項5】
前記ミキサは、攪拌羽根を遊星旋回回転させるための機構が具えられたものであることを特徴とする請求項1、2、3または4記載のチーズ製造装置。
【請求項6】
前記バット本体は有底円筒状を成し、このバット本体内に挿入されてカードを裁断するためのカードナイフが具えられるものであり、前記カードナイフは、前記バット本体の底面と同じ平面形状を成す水平フレームと、この水平フレーム上に直立する垂直フレームとが具えられ、前記水平フレーム内にはワイヤが格子状に張設され、一方、前記垂直フレーム内には、複数のワイヤが水平方向に平行に張設されているものであることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のチーズ製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−87542(P2011−87542A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−245425(P2009−245425)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 博覧会名 2009国際食品工業展 主催者名 社団法人日本食品機械工業会 開催日 平成21年6月9日〜12日
【出願人】(509003195)大生機設株式会社 (6)