説明

ツールバランサ

【課題】 ツールの使用に係る発塵を低減することができるツールバランサを提供する。
【解決手段】 下端にツールを懸垂するシャフトと、シャフトの上端に接続されシャフトを懸垂するワイヤと、ワイヤを巻回自在に支持するドラムと、シャフトを挿通させるベアリングを有し、ベアリングによりシャフトを上下方向に挿通自在に支持する支持部と、支持部からドラムにかけての部分を外部から遮断するカバーと、ベアリングの下端の開口部周辺のエアを吸引して排気する第1吸引部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツールを懸垂するツールバランサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電子機器の組み立て製造ラインなどにおいて、ドライバなどのツールを懸垂する装置としてツールバランサが知られている。また、電子機器の組み立てがクリーンルームで行われる必要がある場合、防塵対策のため、ツールバランサは、クリーンルームに適した布により覆われる。図3及び4は、防塵対策が施された従来のツールバランサを示す。なお、図3はツール未使用時のツールバランサを示し、図4はツール使用時のツールバランサを示す。
【0003】
図3及び4に示すように、防塵対策が施された従来のツールバランサ9は、ワイヤ91、ドラム92、布カバー93、を有する。ワイヤ91はその先端に取り付けられたツール2を懸垂する。ドラム92はワイヤ91を巻き取る。布カバー93はワイヤ91及びドラム92を密閉するように覆う。また、布カバー93は、パイルアンドフック94によりワイヤ91の取り付け方向側の末端に付着される。
【0004】
この従来のツールバランサ9において、ツール2の未使用時、ワイヤ91がドラム92に巻き取られ、図3に示すように布カバー93の生地が縮んだ状態となる。一方、ツール2の使用時、ツール2を作業対象3に届かせるために、使用者によってツール2が引っ張られる。布カバー93は、ツール2の端部に付着されているため、この際、布カバー93における付着部分もツールとともに引っ張られ、結果として生地は伸びた状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−106499号公報
【特許文献2】特許3369532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のツールバランサ9の布カバー93が伸び縮みする際、布カバー93の生地が擦れることによって、塵埃を発生するという問題がある。つまり、ツール2を使用する度にツールバランサ9の外側から発塵してしまう。
【0007】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、ツールの使用に係る発塵を低減することができるツールバランサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、ツールバランサは、下端にツールを懸垂するシャフトと、前記シャフトの上端に接続され前記シャフトを懸垂するワイヤと、前記ワイヤを巻回自在に支持するドラムと、前記シャフトを挿通させるベアリングを有し、該ベアリングにより前記シャフトを上下方向に挿通自在に支持する支持部と、前記支持部からドラムにかけての部分を外部から遮断するカバーと、前記ベアリングの下端の開口部周辺のエアを吸引して排気する第1吸引部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
ツールの使用に係る発塵を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態に係るツール未使用時のツールバランサを示す。
【図2】本実施の形態に係るツール使用時のツールバランサを示す。
【図3】ツール未使用時の従来のツールバランサを示す。
【図4】ツール使用時の従来のツールバランサを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図を用いて説明する。
【0012】
本実施の形態に係るツールバランサについて説明する。図1は、本実施の形態に係るツール未使用時のツールバランサを示す。また、図2は、本実施の形態に係るツール使用時のツールバランサを示す。
【0013】
図1及び2に示すように、本実施の形態に係るツールバランサ1は、シャフト11、ワイヤ12、連結器13、ドラム14、アルミカバー15、支持部16、吸引器17(第1吸引部)、吸引器18(第2吸引部)を有する。シャフト11は、真直性を持ち、その下端に取り付けられたツール2を懸垂する。ワイヤ12は、シャフト11の上端に接続され、シャフト11を懸垂し、ドラム14に収納される。連結器13は、シャフト11とワイヤ12を接続する。ドラム14は、シャフト11の上方においてワイヤ12を巻回自在に支持し、ツール未使用時においてワイヤ12を巻き取る。支持部16は、アルミカバー15と協働して支持部の上方を外部と遮蔽するボールベアリング161を有し、これによりシャフト11を上下方向に挿通自在に支持し、シャフト11移動時の摩擦及び磨耗を低減する。ボールベアリング161は、シャフト11の軸方向の荷重を受ける。アルミカバー15は、ボールベアリング161と協働し、少なくともワイヤ12、連結部13、ドラム14を外部から遮蔽する。吸引器17は、ボールベアリング161下端を吸引するように設けられ、ボールベアリング161下端の開口部周辺のエアを吸引し、ツールバランサ1が設置されたクリーンルーム外部へ排気する。また、吸引器18は、ドラム14近傍に設けられ、ドラム14近傍のエアを吸引し、クリーンルーム外部へ排気する。
【0014】
なお、ボールベアリング161は、他の種類のベアリングであっても良い。また、ボールベアリング161下端の吸引器17、ドラム14近傍の吸引器18は、それぞれ単数であっても複数であっても良い。また、シャフト11は、真直度が高いものが望ましい。
【0015】
図1に示すように、ツール2の未使用時、ワイヤ12がドラム14に巻き取られることによって内部に収納される。これにより、シャフト11はアルミカバー15を縮ませることなくドラム14側に引っ張られる。また、図2に示すように、ツール2の使用時、ツール2を作業対象3に届かせるために、使用者によってツール2が引っ張られる。この際、アルミカバー15の伸縮状態は変わらず、シャフト11がツール2方向に移動する。
【0016】
このように、ボールベアリング161に支持させたシャフト11にツール2を取り付けて懸垂させることによって、アルミカバー15を伸縮させることなく、ツール2を移動することができる。これにより、ツール2の使用において、ツールバランサ1外部からの発塵を低減することができる。また、吸引器17によるボールベアリング161下端のエアの吸引により、シャフト11とボールベアリング161との摩擦による磨耗によって生じる塵埃がクリーンルームの空気清浄度を低下させることを防ぐことができる。また、ワイヤ12、連結器13、ドラム14、ボールベアリング161を覆うカバーをアルミカバー15とすることにより、布カバーに比べて、塵埃の発生を低減することができる。また、ドラム14近傍に吸引器18を設けることによって、ドラム14より発生する塵埃がシャフト11に付着することを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0017】
1 ツールバランサ、2 ツール、3 作業対象、11 シャフト、12 ワイヤ、13 連結器、14 ドラム、15 アルミカバー、16 支持部、161 ボールベアリング、17 吸引器、18 吸引器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端にツールを懸垂するシャフトと、
前記シャフトの上端に接続され前記シャフトを懸垂するワイヤと、
前記ワイヤを巻回自在に支持するドラムと、
前記シャフトを挿通させるベアリングを有し、該ベアリングにより前記シャフトを上下方向に挿通自在に支持する支持部と、
前記支持部からドラムにかけての部分を外部から遮断するカバーと、
前記ベアリングの下端の開口部周辺のエアを吸引して排気する第1吸引部と
を有するツールバランサ。
【請求項2】
前記ドラム近傍のエアを吸引して排気する第2吸引部を更に有することを特徴とする請求項1に記載のツールバランサ。
【請求項3】
前記カバーの素材はアルミであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のツールバランサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−11294(P2011−11294A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157431(P2009−157431)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)