説明

ティシュペーパー及びティシュペーパーの製造方法

【課題】従来の保湿ティシュペーパーと同等以上の柔らかさと滑らかさを有し、かつ、使用時のベタつき感と破れやすさとを軽減したティシュペーパーを提供する。
【解決手段】2プライの薬液付与ティシュペーパーについて、前記薬液を、薬剤含有量が2プライで1.5〜5.0g/m2、2プライを構成するシートのうち一方のシートが含有する薬剤量が他方のシートの含有する薬剤量の0.67〜1.5倍となるように噴霧により付与して、2プライを構成するシートの1層あたりの坪量が10〜25g/m2、2プライの紙厚が80〜175μm、2プライのCD方向の乾燥引張強度が100〜170cN/25mm、2プライのCD方向の湿潤引張強度が30〜70cN/25mmであり、ソフトネスが0.9〜1.5cN/100mmとなるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
国内市場のティシュペーパーは大きく分けて、非保湿ティシューと保湿ティシューに大別される。ここで、保湿ティシューは抄紙されたティシュー原紙にグリセリン等の保湿剤を付与して生産されたティシューであり、非保湿ティシューとはティシュー原紙に保湿剤を付与しない一般的なティシューである。
ティシュペーパーの用途は、主にフェイシャル用を中心とした対人用途であり、保湿ティシューは鼻かみ用に特化された製品仕様とされている。
従来、ティシュペーパーは鼻かみ用途を中心としたフェイシャル用途で使用されてきたことから、肌触りの良さを追求するため、これまで数多くの試みがなされ、品質改良を重ねてきた。例えば、各種の柔軟剤を原料に添加し製品の柔軟性を向上させる、繊維租度の低いしなやかな繊維を多く使用する、湿紙のドライヤー乾燥時の貼りつきとドクター当りの調整により細かなクレーピングを形成する、カレンダーにより表面性を向上させる、原料噴射速度と網部の速度の比率調整により横強度を維持しつつ原料の叩解度を低く調整する、等の技術により、紙の柔らかさや滑らかさの改善が図られてきた。
【0002】
しかし更なる品質向上のためには、非保湿ティシューでは技術的な限界があることや、花粉症やアレルギー性鼻炎の罹患者の増加等が要因となり、保湿ティシューが開発され現在ティシュー市場の一部を占めている。
アレルギー性鼻炎や花粉症などのヘビーユーザーは日に数十回以上も鼻をかむことにより、鼻およびその周辺がティシューとの摩擦により、軽い炎症を起こし赤くなりヒリヒリとした傷みを感じやすい。そのため、このようなユーザーには、ティシュー表面の摩擦の小さなもの、つまり滑らかさを有する物が好ましく使用される。保湿ティシューはグリセリン等の吸湿性のある保湿剤を、衛生薄葉紙の基紙に対し付与し、一般のティシューに比して明らかに滑らかな肌触りを有する差別化した商品として認知されている。例えば、油性物質と保湿剤を外添付与する技術が紹介されている(特許文献1)。
【0003】
保湿ティシューのヘビーユーザーの中には、鼻をかんだ後に肌に保湿剤が残り、ベタつき感を感じ、これを嫌うユーザーが一部に存在する。このベタつき感については特許文献2のように、薬剤組成を変更することで、ベタつき感を改善する方法も知られている。
一方、化粧用途として、化粧水、乳液、下地クリーム等のふき取り、ファンデーションおさえ、口紅おさえ等に使用されるティシューは、肌に直接触れるものであり、柔らかく滑らかなものが求められる。そのため、保湿ティシューが、その肌触りの良さから、化粧用途として、頻繁に使用される。しかし、化粧用途においては、乳液のふき取り等、水分吸収の早さが求められるところ、保湿ティシューは非保湿ティシューと比して水分吸収が遅かった。さらに、湿潤状態での強度が低いため、拭き取り時に破けやすい、という問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−9121号公報
【特許文献2】特開2007−143764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、従来の保湿ティシュペーパーと同等以上の柔らかさと滑らかさを有し、かつ、使用時のベタつき感が少なく、吸水性のよいティシュペーパーを提供することである。さらに、吸水後でも破れにくいティシュペーパーを提供することである。
【0006】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
表面に薬液が付与された2プライのティシュペーパーであって、
薬剤含有量が2プライで1.5〜5.0g/m2であり、2プライを構成するシートのうち一方のシートが含有する薬剤量が他方のシートの含有する薬剤量の0.67〜1.5倍であり、
2プライを構成するシートの1層あたりの坪量が10〜25g/m2であり、
2プライの紙厚が80〜175μmであり、
2プライのCD方向の乾燥引張強度が100〜170cN/25mmであり、2プライのCD方向の湿潤引張強度が30〜70cN/25mmであり、
ソフトネスが0.9〜1.5cN/100mmである、
ことを特徴とするティシュペーパー。
【0007】
<請求項2記載の発明>
180組の折り加工後の紙密度が、0.150〜0.270g/cm3である、請求項1記載のティシュペーパー。
【0008】
<請求項3記載の発明>
前記薬液の水分含有量が1〜15重量%である、請求項1記載のティシュペーパー。
【0009】
<請求項4記載の発明>
水分率が7.0〜9.0%である、請求項1記載のティシュペーパー。
【0010】
<請求項5記載の発明>
薬剤中の油性成分の含有率が7.0質量%未満、シリコーン類の含有率が0.1質量%未満である、請求項1記載のティシュペーパー。
【0011】
<請求項6記載の発明>
吸水度が3.7〜6.0秒である、請求項4記載のティシュペーパー。
【0012】
<請求項7記載の発明>
表面に薬液が付与された2プライのティシュペーパーの製造方法であって、
前記薬液を、薬剤含有量が両面で1.5〜5.0g/m2、2プライを構成するシートのうち一方のシートが含有する薬剤量が他方のシートの含有する薬剤量の0.67〜1.5倍となるように噴霧状態で付与し、
前記ティシュペーパーの2プライを構成するシートの1層あたりの坪量が10〜25g/m2
2プライの紙厚が1.5〜5.0g/m2
2プライのCD方向の乾燥引張強度が100〜170cN/25mm、2プライのCD方向の湿潤引張強度が30〜70cN/25mm、
ソフトネスが0.9〜1.5cN/100mmとなるように構成した、
ことを特徴とするティシュペーパーの製造方法。
【発明の効果】
【0013】
薬液付与ティシュペーパーについて、薬液付与量を規定することにより、ティシュペーパーに充分な柔らかさを持たせ、ベタつきを抑え、かつ、湿潤紙力、特にCD方向の湿潤引張強度を高く保つことを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るティシュペーパーのプライ工程の装置概要を示す図である。
【図2】マルチスタンド式インターフォルダの一例を示す概略図であり、正面から見た状態を示している。
【図3】マルチスタンド式インターフォルダの一例を示す概略図であり、側面から見た状態を示している。
【図4】マルチスタンド式インターフォルダの一例を示す概略図であり、正面から見た状態を示している。
【図5】折り畳まれたティシュペーパーの縦断面図である。
【図6】折り板に関する部位の要部拡大斜視図である。
【図7】二次連続シート(ティシュペーパー)の折り畳み方を示す要部拡大斜視図である。
【図8】二次連続シート(ティシュペーパー)の折り畳み方を示す要部拡大斜視図である。
【図9】二次連続シート(ティシュペーパー)の折り畳み方を示す要部拡大斜視図である。
【図10】(b)収納箱に収納されたティシュペーパーの取出す様子を示す一部破断図である。
【図11】ティシュペーパーのMMD値の測定方法を示す図である。
【図12】図1で示す薬液噴霧手段周辺の要部拡大図である。
【図13】薬液噴霧手段の他の例を示す概略構成図である。
【図14】さらに別の薬液噴霧手段の例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳説する。なお、本発明における「薬剤含有量」とは、JIS P 8111の標準状態におけるティシュペーパーの単位面積に対し含まれる乾燥状態(絶乾)の薬剤成分の含有量を示し、具体的には、付与した薬液中の水分以外の成分の含有量を示すものとする。
〔構造例〕
本発明に係るティシュペーパーの基材紙は、2枚の薄葉紙(以下、シートともいう)が積層されたプライ構造とする。
【0016】
〔薄葉紙〕
他方、本発明に係るティシュペーパーを構成する薄葉紙(シート)の原料パルプとしては、例えば、グランドウッドパルプ(GP)、プレッシャーライズドグランドパルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ:セミケミカルパルプ(CP)、針葉樹高歩留り未晒クラフトパルプ(HNKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(HNKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等の化学パルプ:デインキングパルプ(DIP)、ウェイストパルプ(WP)等の古紙パルプが挙げられる。原料パルプは、一種または二種以上を選択して用いることができる。好適には填料や異物を含まない化学パルプが好ましい。また、原料パルプ中には、藁パルプ、竹パルプ、ケナフパルプなどの木本類、草本類が含まれていてもよい。
【0017】
特には、原料パルプは、NBKPとLBKPとを配合したものが好ましい。適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、風合いなどの点で、NBKPとLBKPのみから構成されているのがよく、その場合配合割合としては、NBKP:LBKP=20:80〜80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70〜60:40が望ましい。
【0018】
他方、抄紙原料中には、上記以外の繊維原料として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びこれらのコポリマー等のポリエステル系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系繊維、ポリアクリロニトリル、モダクリル等のアクリル繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ウレタン繊維等の合成繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維等の半合成繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、ポリノジックレーヨン、リヨセル等の再生セルロール系繊維、コラーゲン、アルギン酸、キチン質などを溶液にしたものを紡糸した再生繊維などの化学繊維を含ませることができる。化学繊維を構成するポリマーはホモポリマー、変性ポリマー、ブレンド、共重合体などの形であってもよい。
【0019】
パルプ繊維等の原料は、例えば、公知の抄紙工程、具体的には、ワイヤパート、プレスパート、ドライヤパート、サイズプレス、カレンダパート等を経るなどして、基紙とする。この抄紙に際しては、例えば、分散剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、柔軟剤、剥離剤、コーティング剤、苛性ソーダ等のpH調整剤、消泡剤、染料などの適宜の薬品を添加することができる。
【0020】
〔米坪〕
本発明に係るティシュペーパーのシート1層あたりの米坪は、米坪は10〜25g/m2、より好ましくは13〜16g/m2とすることが好ましい。米坪が10g/m2未満では、柔らかさの向上の観点からは好ましいものの、使用に耐えうる十分な強度を適正に確保することが困難となる。逆に米坪が25g/m2を超えると紙全体が硬くなるとともに、ゴワ付き感が生じてしまい肌触りが悪くなる。なお、米坪は、JIS P 8124(1998)の米坪測定方法による。
【0021】
〔クレープ率〕
本発明のティシュペーパーを構成する一次原反シートのクレープ率は10〜30%、より好ましくは13〜20%とすることが望ましい。ここで、クレープ率とは、下式で表わされるものとする。
クレープ率:((製紙時のドライヤーの周速)−(リール周速))/(製紙時のドライヤーの周速)×100。
【0022】
〔薬液〕
本発明のティシュペーパーは、薬剤を両面合わせて1.4〜4.5g/m2、より好ましくは2.3〜3.6g/m2含有する。薬剤含有量が1.4g/m2未満であれば薬剤の効果が発揮されず、また、4.5g/m2を超えるとティッシュペーパーにベタつき感が生じ、また、湿潤紙力が低下する。2プライの両シートが含有する薬剤量はほぼ同等とし、シートの1層が含有する薬剤量が、他の1層の0.67〜1.5倍、より好ましくは0.77〜1.3倍となるようにする。
【0023】
付与する薬液について、粘度は高速加工を行う観点から40℃で1〜700mPa・sとする。より好ましくは50〜400mPa・s(40℃)とする。1mPa・sより小さいとアニロックスロール、刷版ロール、グラビアロール等のロール上で薬液が飛散しやすくなり、逆に700mPa・sより大きいと各ロールや連続シートへの付与量をコントロールしにくくなる。成分はポリオールを70〜90%、水分を1〜15%、機能性薬剤を0.01〜22%含むものとすることが望ましい。
【0024】
ポリオールはグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその誘導体等の多価アルコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類を含む。
【0025】
機能性薬剤としては、柔軟剤、界面活性剤、無機および有機の微粒子粉体、油性成分などがある。柔軟剤、界面活性剤はティシューに柔軟性を与えたり表面を滑らかにする効果があり、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤を適用する。無機および有機の微粒子粉体は表面を滑らかな肌触りとする。油性成分は滑性を高める働きがあり、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールを用いることができる。
【0026】
また機能性薬剤としてポリオールの保湿性を助けたり、維持させる薬剤として親水性高分子ゲル化剤、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せ等の保湿剤を加えることができる。
【0027】
また機能性薬剤として香料、各種天然エキス等のエモリエント剤、ビタミン類、配合成分を安定させる乳化剤、薬液の発泡を抑え付与を安定させるための消泡剤、防黴剤、有機酸などの消臭剤を適宜配合することができる。さらには、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化剤を含有させてもよい。
上記成分のうち、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールを主成分とすることが、薬液の粘度、付与量を安定させる上で好ましい。
薬液の粘度は1〜700mPa・s(40℃)とすることが好ましい。薬液付与時の温度は30℃〜60℃、好ましくは35℃〜55℃とすることが好ましい。
【0028】
上記成分のうち、高級アルコール、流動パラフィン等の油性成分は、シート表面の滑り性を高めるために添加されるものであるが、これらの薬液への添加量は7質量%未満、より好ましくは2〜4質量%とする。薬液の消泡剤として添加されるポリシロキサン等のシリコーン類は、その薬液への添加量は0.1質量%未満、より好ましくは0.02〜0.06質量%とする。油性成分、シリコーン類は、いずれも撥水性を有するため、添加量を規定より多くするとティシュペーパーの吸水性が低下してしまう。一方で、全く添加を行わなければ、シートの滑らかさや、薬液付与の操業性が落ちてしまう。
【0029】
〔付与量〕
付与量は、操業中にプライ後の薬液を付与しない場合の各々のシート米坪と、対応する付与した直後の各々のシート米坪との差異により算出した。
(付与量g/m2)=(付与直後の米坪g/m2)−(付与しない場合の米坪g/m2
両表層の付与量、もしくは両面の付与量の合計とは、プライされたティシュペーパーのシートの単位面積当たりの付与量の合計であり、各シートの付与量を加算したものとする。
【0030】
〔薬剤含有量〕
薬剤含有量とは、JIS P 8111の標準状態におけるティシュペーパーの単位面積に対し含まれる乾燥状態(絶乾)の薬剤成分の含有量を示し、具体的には、付与した薬液中の水分以外の成分の含有量を示すものとする。このティシュペーパーの単位面積とは、プライされたシートを平面に垂直線上にある視点から見た面積であり、プライされた各シート、およびその表裏面の合計面積を意味しない。
【0031】
〔薬剤含有率〕
薬剤含有率とは、JIS P 8111 条件下において調湿させた所定質量のティシュペーパー製品を分母(A)(g)とし、所定質量のティシュペーパー製品中に含まれる薬液中の水分を除いた質量(B)(g)を分子として、(B)を(A)で除した比率を(%)で表す。
(薬剤含有率%)=(B)÷(A)×100(%)
【0032】
〔紙厚〕
本発明に係るティシュペーパーの紙厚は、2プライの状態で80〜175μm、より好ましくは90〜160μmとする。紙厚が80μm未満では、柔らかさの向上の観点からは好ましいものの、ティシュペーパーとしての強度を適正に確保することが困難となる。また、175μm超では、ティシュペーパーの肌触りが悪化するとともに、使用時にゴワツキ感が生じるようになる。
【0033】
紙厚の測定方法としては、JIS P 8111(1998)の条件下で、ダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて2プライの状態で測定するものとする(JIS P 8118(1998)に準じる)。具体的には、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリ等がないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、前記ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせ、次いで、プランジャーを上げて試料を試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと下ろしそのときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーをのせるだけとする。なお、紙厚は測定を10回行って得られる平均値とする。
【0034】
〔引張強度〕
本発明に係るティシュペーパーの引張強度は、2プライの状態で測定する。
乾燥引張強度は、JIS P 8113(1998)の引張試験方法に準じて行う。その中でJIS P 8111(1998)に規定された標準条件下で、縦方向及び横方向に幅25mmに裁断するものとする。
【0035】
本発明に係るティシュペーパーの乾燥引張強度は、MD方向で180〜400cN/25mm、より好ましくは250〜350cN/25mm、CD方向で100〜170cN/25mm、より好ましくは115〜160cN/25mmとし、MD方向/CD方向の比が1.5〜3.0となるようにするのが好ましい。
【0036】
湿潤引張強度は、JIS P 8135(1998)に準じて行う。当該ティシュペーパーの湿潤引張強度は、MD方向で140〜190cN/25mm、より好ましくは150〜175cN/25mmとし、CD方向で30〜70cN/25mm、より好ましくは40〜70cN/25mm、より好ましくは50〜65cN/25mmとする。
【0037】
〔ソフトネス〕
本発明のティシュペーパーのソフトネスの値は、0.9〜1.5cN/100mm、より好ましくは0.9〜1.4cN/100mmとする。ここでのソフトネスは、JIS L1096 E法に準じたハンドルオメータ法に基づいて測定したものである。
但し、試験片は100mm×100mmの大きさとし、クリアランスは5mmで実施した。1プライで縦方向、横方向の各々5回ずつ測定し、その全10回の平均値を小数点2桁とし、cN/100mmを単位として表した。
【0038】
〔水分率〕
製品の水分率(JIS P 8111(1998))は7.0〜9.0%、より好ましくは7.5〜9.0%とすることが望ましい。
〔吸水度〕
吸水度とは、JIS S 3104(1992)で記載された「吸水度」のことで、一定量の水分をティシュー表面で吸水する秒数を測定したものである。ティシューの両表側の面を各々5回測定し、計10回の測定値を平均したものを秒数で表す。吸水度は3.7〜6.0秒、より好適には4.0〜5.0秒であることが好ましい。
【0039】
〔伸び率〕
製品のMD方向の伸び率は11.0〜15.0%であるのが望ましい。ここでの伸び率は、ミネベア株式会社製「万能引張圧縮試験機 TG−200N」を用いて測定したものである。
【0040】
〔静摩擦係数〕
静摩擦係数は、JIS P 8147(1998)に準じた、下記の方法で測定する。
1プライにはがしたティシュペーパーを、ティシュペーパーの外側の面が外側に来るようにアクリル板に張り付ける。2プライのまま100gの分銅にティシュペーパーを巻きつけ、アクリル板上のティシューに乗せる。アクリル板を傾け、おもりが滑り落ちる角度を測定する。角度測定はMD方向に4回、CD方向に4回の計8回実施し、平均角度を算出し、そのタンジェント値を静摩擦係数とする。
【0041】
〔MMD〕
MMDとは、静摩擦係数の平均偏差MMDである。MMDは滑らかさの指標の一つであり、数値が小さいほど滑らかであり、数値が大きいほど滑らかさに劣るとされる。
なお、MMD値の測定方法としては、図11(a)に示すように、摩擦子112の接触面を所定方向(図11(a)における右斜め下方向)に20g/cmの張力が付与された測定試料であるティシュペーパー111の表面に対して25gの接触圧で接触させながら、張力が付与された方向と略同じ方向に速度0.1cm/sで2cm移動させる。このときの、摩擦係数を、摩擦感テスター KES−SE(カトーテック株式会社製)を用いて測定し、その摩擦係数を摩擦距離(移動距離=2cm)で除した値をMMD値とした。
なお、摩擦子112は、直径0.5mmのピアノ線Pを20本隣接させてなり、長さ及び幅がともに10mmとなるように形成された接触面を有している。接触面には、先端が20本のピアノ線P(曲率半径0.25mm)で形成された単位膨出部が形成されている。
なお、図11(a)には、摩擦子2を模式的に表し、図11(b)には、図11(a)における一点鎖線で囲まれた部分の拡大図を示すものとする。
【0042】
〔製品密度〕
本発明に係るティシュペーパーは、インターフォルダ等により折り加工が施され、前記折り加工の前後いずれかの段階で製品サイズに裁断され、例えば180組が箱詰めされて製品となる。180組の折り加工後の紙密度は、0.150〜0270g/cm3、より好ましくは0.170〜0.0.230g/m3とすることが望ましい。0.150g/cm3より低くするとしっとり感や滑らかさが得られず、0.270g/cm3より高くすると、ティシュペーパーの厚みが損なわれベタつき感が出てしまうとともに、吸水性が悪くなってしまう。
製品の密度は、JIS P 8111 条件下において調湿させたティシュペーパー製品米坪を2倍した値(C)を、「PEACOCK G型」によるティシュペーパー(2プライ)での紙厚(D)で除した値で、単位をg/cm3、小数点3桁で表す。
【0043】
〔製造方法例〕
上記説明の本発明のティシュペーパーは、以下のようにして製造することが可能である。図1に、本発明に係るティシュペーパーのプライ工程の装置X1の概要を示した。なお、図1に係る工程は、一体となった装置であるプライマシンで実施されることが好ましい。
【0044】
抄紙機において抄紙された原紙は、連続シートとして、クレープを施し、カレンダー処理を施したうえで、これを巻き取り、一次原反ロールJR(一般的にジャンボロールともいわれている)とされる。
【0045】
連続シートS11,S12は積層ローラー51で積層されて2プライとされ、必要に応じてプライマシンカレンダー52でカレンダー処理され、薬液付与手段53に送られる。薬液付与は各プライの片面側のみより行われ、薬液を付与されていない面同士が重ね合わされて、後にプライ固定を施されるのが好ましい。薬液を直接付与されていない面側には薬液の浸潤が起こらないため紙力強度が低下しにくく、全体的に紙力強度が高く保つことができる。薬液付与の方法は、浸漬、噴霧、フレキソ塗布、グラビア塗布によるなど公知の付与方法をいずれも使用することができるが、付与面全体にムラなく薬液付与を行うことができ、かつ紙の押圧を伴わない噴霧による薬液付与を行うことが好ましい。噴霧による薬液付与を行うことで、他の付与方法実施時と比して薬液が紙層内部や裏面にまで深く浸透することがなく表面にとどまりやすいため、薬液塗布による紙力の低下が起こりにくく、かつ、少ない薬液量で表面の滑らかさ、柔らかい使用感を実現できる。薬液の付与を噴霧によって行なうものであると、グラビア、フレキソ、ロール塗工などの方式でみられる、繊維層が薬液の含有状態でロール間において圧着されることがなく、もって、より嵩高又は厚みの厚いティシュペーパーを得ることができる。図1のプライ工程においては、2つの薬液噴霧手段53A,53Bを備え、2プライの連続シートの各面に薬液を塗布する。
【0046】
薬液噴霧手段53としては特に限定されないが、ノズル式噴霧方式による場合のほか、ローターダンプニング噴霧方式によってもよい。
【0047】
このうち、ノズル式噴霧装置における噴霧用ノズルの型式としては、環状に噴霧する空円錐型ノズル、円形状に噴霧する充円錐型ノズル、正方形状に噴霧する充角錐型、充矩型ノズル、扇型ノズル等が挙げられ、薬液がシートの幅方向に対して均一に噴霧されるように、ノズル径、ノズル数、ノズル配列パターン、ノズル配置数、あるいは噴霧距離、噴霧圧力、噴霧角度、および噴霧液の濃度、粘度などを適宜選択して使用することができる。
【0048】
また、ノズル式噴霧装置において霧化する方法については、一流体方式、または二流体方式の2種類の方式を選択して使用することができる。このうち一流体噴霧方式は、噴霧する薬液に対して圧搾空気を用いて直接圧力をかけてノズルから霧滴噴射する、または噴出口付近のノズル側面に開けた微細な穴からノズル内に空気を吸引して霧滴噴射する方式である。また、二流体噴霧方式は、ノズル内部で圧搾空気を噴霧する液体と混合、微粒化する内部混合型、ノズル外部で圧搾空気を噴霧する液体と混合、微粒化する外部混合型、微霧化した霧滴粒子を相互に衝突させて、霧滴粒子をさらに均質化・微粒子化する衝突型等の方式が挙げられる。
【0049】
他方、ローターダンプニング塗布装置については、高速回転する円盤上に噴霧する液を送り出し、円盤の遠心力によって液を微霧滴化する装置であり、円盤の回転数変更によって霧滴粒子径の制御を行い、円盤上への送液量変更によって噴霧液量(付与量)の制御を行なう。ものである。ローターダンプニング塗布装置は、少ない量の噴霧液量を霧滴の飛散を抑えつつ、顔料塗被紙表面に均一に塗布することができ、かつ噴霧速度や霧の粒子径等の調整が容易である利点がある。
【0050】
薬液をシート表面に均一に噴霧付与するためには、霧化された薬液の霧滴粒子径はできる限り微小であることが好ましい。しかしながら、霧滴が細かくなりすぎると噴霧した空気の跳ね返りやシート表面に随伴する空気などによって霧滴が押し流され、特にシートの走行速度が速い場合などにおいては、霧滴がシート表面に付着しにくくなる。このため、噴霧付与方式においては噴霧距離、噴霧圧力、噴霧角度、噴霧速度を、加えて二流体方式の場合には、噴霧用の薬液と圧搾空気の混合比、および薬液の濃度や粘度等を適宜調節し、付与条件に適した粒子径に調節することができ、さらに噴霧時に随伴空気の影響が大きい場合は、随伴空気を除去するための吸引装置や邪魔板(整流板)等の設置、および噴霧ノズル先端に高電圧を加えて霧滴粒子を帯電させて、顔料塗被紙への霧適の付着性を向上させる荷電電極(静電噴霧方式)などを追加してもよい。
【0051】
シート表面に塗布されずにミストとして浮遊している霧滴粒子は、吸引・回収して再度噴霧することができる。
【0052】
図12には、ノズル式噴霧方式、特に二流体方式の薬液噴霧装置53A(53B)例を示した。この装置53Aは、中心に薬液通路53aが、その周囲にエア通路53bが形成され、薬液通路53aの先端から噴出された薬液を、エア通路53bから吐出されたエアにより微霧化するものであり、ほぼ円錐形状に薬液を噴霧するようにしたものである。53cは外部の保護ケーシングであり、紙粉などからノズルを保護すると共に、必要によりパージエア通路53dを通すエアによりノズルの清掃を行なうことができるようにしたものである。この種の薬液噴霧装置53A(53B)はシートの幅方向に一つ又は複数間隔を置いて設けることができる。
【0053】
前述のように噴霧した薬液の跳ね返りやシート表面に随伴する空気などによって霧滴が押し流され、特にシートの走行速度が速い場合などにおいては、霧滴がシート表面に付着しにくくなる。そこで、必要ならば、図13に示すように、一流体方式又は二流体方式の薬液噴霧手段(噴霧ノズル)53の周囲から、ケーシング53eに形成したエア供給路53fから噴出させるエアにより、薬液噴霧手段(噴霧ノズル)からの噴霧薬液を取り囲むと薬液がシートS2に好適に付与することができる。
【0054】
図14には、ローターダンプニング塗布装置53Xの例を示した。これは必要により設けられる覆い収納室53p内に、回転ローター53oを設け、回転ローター53oの噴出口53qから薬液をシートS2に噴霧付与するようにしたものである。
【0055】
薬液を付与された2プライの連続シートは、コンタクトエンボスコロ54B及びコロロール54Aに供され、コンタクトエンボス(ナーリング)処理を施すことにより固定されることが好ましい。コンタクトエンボスは、両側部から紙幅に対して1/10〜1/20の位置に幅1〜10mmで縦方向に一様に施されるのが好ましい。プライを接着剤等で固定するなど、公知の方法のいずれを使用してもよいが、接着剤を使用する場合、肌触りが固くなりやすい、薬液付与時に剥がれやすい、等の問題があるため、コンタクトエンボスの使用がより好ましいといえる。
【0056】
コンタクトエンボスを付与した2プライの連続シートは、直接ロータリー式インターフォルダ等に供されて折り加工を施された後に製品サイズに裁断されるか、または、スリッター55により製品幅にカットされた後、ワインディングドラム56により巻き取り二次原反ロールRとされ、折り加工が施され、紙箱への収納がなされる。
なお、本形態ではコンタクトエンボス前に薬液を付与する構成をとっているが、コンタクトエンボス後に薬液を付与する構成としてもよい。
【0057】
上述の二次原反ロールは、特にティシュペーパー製品においては折り加工工程に供される。折り加工工程としては、ロータリー式インターフォルダ、マルチスタンド式インターフォルダ等公知の方法を使用することができるが、生産性の高いマルチスタンド式インターフォルダの使用がより好ましい。
【0058】
〔マルチスタンド式インターフォルダ〕
二次原反ロールRは、マルチスタンド式インターフォルダに多数セットされ、セットされた二次原反ロールRから二次連続シートを繰り出して折り畳むと共に積層することによってティシュペーパー束が製造される。以下では、そのマルチスタンド式インターフォルダの一例について説明する。
【0059】
図2及び図3に、マルチスタンド式インターフォルダの一例を示した。図中の符号2は、マルチスタンド式インターフォルダ1の図示しない二次原反ロール支持部にセットされた二次原反ロールR,R…を示している。この二次原反ロールR,R…は、必要数が図示平面と直交する方向(図2における水平方向、図3における紙面前後方向)に横並びにセットされている。各二次原反ロールRは、上述のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備、製造方法でティシュペーパー製品幅にスリットが入れられており、ティシュペーパー製品の複数倍幅、図示例では2倍幅で巻き取られ、セットされている。
【0060】
二次原反ロールRから巻き出された連続する帯状の二次連続シート63A及び63Bは、ガイドローラG1、G1等のガイド手段に案内されて折畳機構部60へ送り込まれる。また、折畳機構部60には、図4に示すように、折板P,P…が必要数並設されてなる折板群64が備えられている。各折板Pに対しては、一対の連続する二次連続シート63A又は63Bを案内するガイドローラG2,G2やガイド丸棒部材G3,G3が、それぞれ適所に備えられている。さらに、折板P,P…の下方には、折り畳みながら積み重ねられた積層帯67を受けて搬送するコンベア65が備えられている。
【0061】
この種の折板P,P…を用いた折畳機構は、例えば、米国特許4052048号特許明細書等によって公知の機構である。この種の折畳機構は、図5に示すように、各連続する二次連続シート63A,63B…を、Z字状に折り畳みながら、かつ隣接する連続する二次連続シート63A,63B…の側端部相互を掛け合わせながら積み重ねる。
【0062】
図6〜図9に、折畳機構部60の特に折板Pに関する部位を、詳しく示した。本折畳機構部60においては、各折板Pに対して、一対の連続する二次連続シート63A及び63Bが案内される。この際、連続する二次連続シート63A及び63Bは、ガイド丸棒部材G3,G3によって、側端部相互が重ならないように位置をずらされながら案内される。
【0063】
折板Pに案内された時点で下側に重なっている連続する二次連続シートを第1の連続する二次連続シート63Aとし、上側に重なっている連続する二次連続シートを第2の連続する二次連続シート63Bとすると、これら連続する二次連続シート63A及び63Bは、図5及び図7に示すように、第1の連続する二次連続シート63Aの第2の連続する二次連続シート63Bと重なっていない側端部e1が、折板Pの側板P1によって、第2の連続する二次連続シート63Bの上側に折り返されるとともに、図5及び図8に示すように、第2の連続する二次連続シート63Bの第1の連続する二次連続シート63Aと重なっていない側端部e2が、折板PのスリットP2から折板P下に引き込まれるようにして下側に折り返される。この際、図5及び図9に示すように、上流の折板Pにおいて折り畳みながら積み重ねられた連続する二次連続シート63Aの側端部e3(e1)が、折板PのスリットP2から第2の連続する二次連続シート63Bの折り返し部分間に案内される。このようにして、各連続する二次連続シート63A,63B…は、Z字状に折り畳まれるとともに、隣接する連続する二次連続シート63A及び63Bの側端部相互が掛け合わされ、したがって、製品使用時において、最上位のティシュペーパーを引き出すと、次のティシュペーパーの側端部が引き出されることになる。
【0064】
以上のようにしてマルチスタンド式インターフォルダ6で得られた積層帯70は、図2に示すように、後段の切断手段66において流れ方向FLに所定の間隔をおいて裁断(切断)されてティシュペーパー束67aとされ、図10(a)に示すように、このティシュペーパー束30aは、更に後段設備において収納箱Bに収納される。なお、以上のようなマルチスタンド式インターフォルダ1では、積層帯70の紙の方向は、流れ方向FLに沿って縦方向(MD方向)となっており、流れ方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となっている。このため、積層帯70を所定の長さに切断して得られたティシュペーパー束67aを構成するティシュペーパーの紙の方向は、図10(a)に示すように、ティシュペーパーの折り畳み方向に沿って横方向(CD方向)となり、ティシュペーパーの折り畳み方向と直交する方向に沿って縦方向(MD方向)となる。
【0065】
図10(b)に、収納箱Bにティシュペーパー束67aを収納して成る製品の一例を示した。収納箱Bの上面にはミシン目Mが設けられており、このミシン目Mで収納箱B上面の一部を破断することにより収納箱Bの上面が開口するようになっている。この開口は中央にスリットを有するフィルムFによって覆われており、このフィルムFに設けられたスリットを介してティシュペーパーTを取出すことができるようになっている。
【0066】
ところで、前述したように、ティシュペーパー束67aを構成するティシュペーパーの紙の方向は、ティシュペーパーの折り畳み方向に沿って横方向(CD方向)となるため、図10(b)に示すように、ティシュペーパーTを収納箱Bから引き出す際には、その引き出し方向は、ティシュペーパーTの横方向(CD方向)と沿うようになっている。
【実施例】
【0067】
本発明の効果を確認すべく、図1に示されるティシュペーパー製品用二次原反ロールX1の製造方法で製造された二次原反ロールを用いて上記のマルチスタンド式インターフォルダでティシュペーパー(実施例)を製造し、比較例、参考例とともに製品の紙質について評価した結果を表1に示した。比較例はいずれも市販品であり、比較例1は非保湿系の汎用ティシュペーパー、比較例2〜4は保湿系のローションタイプのティシュペーパーである。併せて、薬液付与にドクターチャンバー式のフレキソ転写を使用した例を参考例1〜3として示す。米坪、紙厚、引張強度、伸び率、ソフトネス、静摩擦係数、水分率の測定方法は、上記発明を実施するための形態の欄で説明したとおりである。薬剤含有率とは、ティシュペーパー坪量に対する薬剤の乾燥重量の割合を示すものである。
【0068】
実施例1〜6、比較例1〜6及び参考例1〜3について、紙質の評価を行った。実施例1〜6、比較例1〜6及び参考例1いついては、12人を対象に、やわらかさ、なめらかさ、厚み感、しっとり感について下記の基準に基づく官能評価を行った。
【0069】
官能評価は、非保湿ティシュペーパーである比較例1の成績をすべて3として、下記の基準に基づいて行った。
5:大変優れている
4:優れている
3:基準と同等
2:劣る
1:顕著に劣る
さらに、薬液付与ティシュペーパーについては、ベタつき感の有無についても評価を行った。
○:ベタつき感が少ない
×:明らかにベタつき感がある
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
本発明に係るティシュペーパーは、市販の保湿ティシューと比してCD方向の乾燥引張強度、湿潤引張強度が高い値を示した。またCD方向の湿潤引張強度については、従来の汎用タイプのティシュペーパーより高い値を示した。
官能評価において、本発明に係るティシュペーパーは、保湿ティシューと同等以上の厚み感、やわらかさ、なめらかさ、しっとり感を有し、かつ保湿ティシューにみられるベタつき感が軽減されていることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明のティシュペーパーは、清拭用途、特に身体の清拭用途、さらにはフェイシャル用途などに利用されるティシュペーパーに利用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に薬液が付与された2プライのティシュペーパーであって、
薬剤含有量が2プライで1.5〜5.0g/m2であり、2プライを構成するシートのうち一方のシートが含有する薬剤量が他方のシートの含有する薬剤量の0.67〜1.5倍であり、
2プライを構成するシートの1層あたりの坪量が10〜25g/m2であり、
2プライの紙厚が80〜175μmであり、
2プライのCD方向の乾燥引張強度が100〜170cN/25mmであり、2プライのCD方向の湿潤引張強度が30〜70cN/25mmであり、
ソフトネスが0.9〜1.5cN/100mmである、
ことを特徴とするティシュペーパー。
【請求項2】
180組の折り加工後の紙密度が、0.150〜0.270g/cm3である、請求項1記載のティシュペーパー。
【請求項3】
前記薬液の水分含有量が1〜15重量%である、請求項1記載のティシュペーパー。
【請求項4】
水分率が7.0〜9.0%である、請求項1記載のティシュペーパー。
【請求項5】
薬剤中の油性成分の含有率が7.0質量%未満、シリコーン類の含有率が0.1質量%未満である、請求項1記載のティシュペーパー。
【請求項6】
吸水度が3.7〜6.0秒である、請求項5記載のティシュペーパー。
【請求項7】
表面に薬液が付与された2プライのティシュペーパーの製造方法であって、
前記薬液を、薬剤含有量が2プライで1.5〜5.0g/m2、2プライを構成するシートのうち一方のシートが含有する薬剤量が他方のシートの含有する薬剤量の0.67〜1.5倍となるように噴霧状態で付与し、
前記ティシュペーパーの2プライを構成するシートの1層あたりの坪量が10〜25g/m2
2プライの紙厚が1.5〜5.0g/m2
2プライのCD方向の乾燥引張強度が100〜170cN/25mm、2プライのCD方向の湿潤引張強度が30〜70cN/25mm、
ソフトネスが0.9〜1.5cN/100mmとなるように構成した、
ことを特徴とするティシュペーパーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−156120(P2011−156120A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19805(P2010−19805)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】