ティシュペーパー製品の製造方法
【課題】コンパクトなポップアップ式のティシュペーパー製品の製造方法を提供する。
【解決手段】
ティシュペーパー束の長手側面間の中央部を一方面側に向かって凸となるように撓ませた後、この状態で撓み前の幅よりも幅狭の収納箱内に、各長手側面が収納箱長手面の内面に挟持された状態となるように収納することにより解決される。
【解決手段】
ティシュペーパー束の長手側面間の中央部を一方面側に向かって凸となるように撓ませた後、この状態で撓み前の幅よりも幅狭の収納箱内に、各長手側面が収納箱長手面の内面に挟持された状態となるように収納することにより解決される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚のティシュペーパーの束を収納箱に収めたティシュペーパー製品の製造方法に関し、特に、ポップアップ式のティシュペーパー製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、家庭やオフィス等で広く使われているティシュペーパーは、カートンとも称される概ね直方体の収納箱に多数が収納されて市販されている。
【0003】
ティシュペーパー製品においては、収納箱に内包されるティシュペーパーをローションティシューと称される原紙に柔軟剤等の薬液を付与したものとした高級なローションタイプのものが市販に供され急速に普及している。
【0004】
上記ローションタイプの製品は、汎用タイプの製品と比較して高価であるため、使用者においてはローションタイプの製品を汎用タイプの製品に代えるのではなく、ローションタイプの製品は主に鼻をかむ際等の肌に直接触れる用途のみに使用し、ゴミ、塵、食べこぼし等の拭取りの用途には汎用タイプの製品を使用するという、両者を用途によって使い分ける傾向にある。
【0005】
ティシュペーパー製品は、生活の各種の場面で用いられ、その使用頻度は高く、一般にはダイニングテーブル、リビングテーブル、オフィスデスク等のすぐに使用できる場所に恒常的に置いておくものである。よって上記のとおりティシュペーパー製品の用途による使い分けの傾向が高まるにつれ、二種のティシュペーパー製品をダイニングテーブル等の限られたスペース上に置くことにつき邪魔になる等の問題が生じてきており、特に汎用タイプの製品をより一層コンパクト化することの意義が高まってきた。
【0006】
他方、コンパクト化、小スペース化したティシュペーパー製品にかかる技術は、例えば、下記特許文献1〜4等に見られる。しかし、例えば、特許文献1に示される立方体に近いキューブ形状のものに二つ折りしたティシュペーパー束を納めたものは、現在主流の直方体形状のティシュペーパー製品との見た目の形状差がありなじみがなく、普及が進んでいない。また、キューブ型のような収納箱では取出口に十分な大きさの取出口を形成することができないため、ティシュペーパー引出し時の引出し抵抗が高く、スムーズな引出しができない、あるいは引出し時に収納箱ごと持ち上がってしまうおそれがある。さらに、特許文献1の態様でティシュペーパー束を二つ折りにして収納箱に収めると、収納箱内で束が回転したり、残数が少なくなったときに箱内で束が折り曲がって落ち込んでしまい取出し性が悪化したりするおそれがある。
【0007】
また、特許文献1の技術は、特異な形状等によって、特に、ティシュペーパー束の収納箱への収納工程につき従来設備による製造が困難であり、高速、かつ、安価に製造することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4094963号
【特許文献2】特開2010-6444
【特許文献3】特開平7−187216
【特許文献4】特開2004−217296
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
よって、本発明の主たる課題は、従来の収納箱に近い形状であり、また、収納されるティシュペーパーの大きさも従来品に近く、しかも収納箱の大きさをコンパクト化でき設置面積を省スペース化でき、そのうえポップアップ性が向上され、さらに最後まで内包されたティシュペーパーを取り出しやすい、ティシュペーパー製品を、従来設備を利用して安価かつ高速に生産できる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決した本発明及び作用効果は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
インターフォルダにて、方形のティシュペーパーを二つ折りしてその折り返し片の縁が上下に隣接する他のティシュペーパーの折り返し内面に位置するように互い違いに重ねつつ積層した、折り返し縁が並ぶ面を長手側面とする直方体のティシュペーパー束を製造し、
その製造されたティシュペーパー束を;
ティシュペーパー束の底面側下方の長手側面間中央に、長手側面に沿う方向に延在する空間を設けた状態で、撓み形成ロッドをティシュペーパー束上面の長手側面間中央に押し当てて前記ティシュペーパー束の底面側の長手側面間中央部を前記空間内に膨出させて、ティシュペーパー束の各長手側面間を近づけるとともにティシュペーパー束の長手側面間の中央部が底面側に向かって凸となるように撓ませ、
その撓ませられたティシュペーパー束を;
長方形の上面及び底面及びこれらを繋ぐ長手面及び短手面を有する直六面体形状をなし長手面間の間隔が撓み前のティシュペーパー束の長手側面間の間隔よりも短くかつ前記上面の中央部に長手方向に沿って延在する取出口が形成された収納箱内に、ティシュぺーパー束の長手側面が収納箱長手面の内面に対面し、前記膨出された凸部分が収納箱上面に対面するようにして収納する、ことを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【0011】
<請求項2記載の発明>
ティシュペーパー束を搬送する搬送路に凹溝を設け、ティシュペーパー束が前記凹溝を跨ぐように載置することで、ティシュペーパー束の底面側下方の長手側面間中央に、長手側面に沿う方向に延在する空間を設ける、請求項1記載のティシュペーパーの製造方法。
【0012】
<請求項3記載の発明>
ティシュペーパー束を搬送する搬送路上に搬送方向に間隔をもって凸条部を設け、それら凸条部間にティシュペーパー束を架橋するようにして載置することで、ティシュペーパー束の底面側下方の長手側面間中央に、長手側面に沿う方向に延在する空間を設ける、請求項1記載のティシュペーパーの製造方法。
【0013】
<請求項4記載の発明>
ティシュペーパー束の折り返されていない縁が並ぶ面を端面として、撓ませられた状態のティシュペーパー束の一方の端面と、上下面逆さとしてかつ一方短手面を開放した状態の収納箱の前記開放短手側面とを突き合わせた状態とし、その後に前記ティシュペーパー束の収納箱と対面していない他方の端面からティシュペーパー束を押して、ティシュペーパー束を収納箱に押し込んで収納する請求項1〜3記載のティシュペーパーの製造方法。
【0014】
<請求項5記載の発明>
撓み形成ロッドをティシュペーパー束に押し当てた状態で、ティシュペーパー束を収納箱内へ押し込む請求項4記載のティシュペーパーの製造方法。
【0015】
<請求項6記載の発明>
撓ませた状態のティシュペーパー束と、上下面逆さとしてかつ一方短手面を開放した状態の収納箱とを並走させつつ、ティシュペーパー束を収納箱内へ押し込む請求項3又は4記載のティシュペーパーの製造方法。
【0016】
(作用効果)
本発明の製造方法では、直六面体形状をなし上面取出口を形成した収納箱にティシュペーパー束を収納するので、従来製品と同様の外観のティシュペーパー製品となり、見た目の違和感がないものとなる。
【0017】
他方、本発明の製造方法では、ティシュペーパー束の各長手側面間を近づけるとともにティシュペーパー束の長手側面間の中央部が底面側に向かって凸となるように撓ませるが、かかる撓み形成を、ティシュペーパー束の底面側下方の長手側面間中央に、長手側面に沿う方向に延在する空間を設けた状態で、撓み形成ロッドで上方から押すという簡易な操作により達成しており、ティシュペーパー束を高速に搬送させつつ撓み形成を行なうことができ、簡易かつコスト安に、さらに高速に生産を行なうことができる。
【0018】
また、本発明の製造方法では、撓ませたティシュペーパー束を、長手面間の間隔が撓み前のティシュペーパー束の長手側面間の間隔よりも短い収納箱内に、ティシュぺーパー束の長手側面が収納箱長手面の内面に対面し、前記膨出された凸部分が収納箱上面に対面するようにして収納する。したがって、本発明の製造では、撓ませないティシュペーパー束をそのまま収納するよりも、底面面積が小さく設置面積の小さい製品を製造することができる。すなわち、ティシュペーパー製品のコンパクト化を図ることができる。
【0019】
また、本発明の製造方法では、ティシュペーパー束が収納箱に収納された後には、ティシュペーパー束が撓ませられた状態で各長手側面が収納箱長手面の内面に当接されることになる。この状態では、ティシュペーパー束の長手側面と収納箱長手面の内面との間に余裕がなく、ティシュペーパー束が収納箱内において長手方向を跨ぐ方向に自由に移動できず拘束される。したがって、本発明により製造されるティシュペーパー製品では、ティシュペーパー束が収納箱内で移動して束が崩れるということがない。また、ティシュペーパー束自体の弾性と自重による凸部が撓む前の状態に戻ろうとする復元作用によって、ティシュペーパー束の長手側面が収納箱長手面の内面を押圧し、結果的に前記長手側面が前記収納箱長手面の内面間に挟持された状態となるので、ティシュペーパー束の上面側凸形状が収納箱内で維持される。そのうえ、本発明の製造方法では、製品状態では、ティシュペーパー束の膨出凸部と収納箱上面に形成された取出口が近いものとなり、本発明により製造されるティシュペーパー製品は、上記の構成をとることとなり、もって、コンパクトながら、ティシュペーパーが引き出しやすい製品となる。
【0020】
他方、本発明の製造方法では、ティシュペーパー束を搬送する搬送路に凹溝を設け、ティシュペーパー束が前記凹溝を跨ぐように載置することで、ティシュペーパー束の底面側下方の長手側面間中央に、長手側面に沿う方向に延在する空間を設けるようにすることができる。ティシュペーパー束の撓み形成を、ティシュパーパー束を搬送させつつ行なうことができるようになり、生産性が向上する。また、ティシュペーパー製品の製造に必須のティシュペーパー束の搬送路という既存設備を活用することができる。
【0021】
この点については、ティシュペーパー束を搬送する搬送路上に搬送方向に間隔をもって凸条部を設け、それら凸条部間にティシュペーパー束を架橋するようにして載置することで、ティシュペーパー束の底面側下方の長手側面間中央に、長手側面に沿う方向に延在する空間を設けても同様の作用効果が得られる。特に、搬送路上に凸条部を形成する場合には、既存搬送路上に凸条部材を設置するだけでよく、凹溝を形成するよりも簡易な設備改良ですむ利点がある。
【0022】
他方、撓み形成ロッドをティシュペーパー束に押し当てた状態で、ティシュペーパー束を収納箱内へ押し込むようにすると、ティシュペーパー束を収納箱内に押し込む際に、束が崩れることが防止され、より確実な製品の製造が可能となるので望ましい。
【0023】
また、撓ませた状態のティシュペーパー束と、上下面逆さとしてかつ一方短手面を開放した状態の収納箱とを並走させつつ、ティシュペーパー束を収納箱内へ押し込むようにすれば、ティシュペーパー束を収納箱に収める際に搬送が停止されないので生産性が向上する。
【0024】
なお、本発明のティシュペーパー束を製造するインターフォルダは、高速生産が可能なマルチスタンド式インターフォルダが適する。
【発明の効果】
【0025】
以上のとおり、本発明によれば、従来の収納箱に近い形状であり、また、収納されるティシュペーパーの大きさも従来品に近く、しかも収納箱の大きさをコンパクト化でき設置面積を省スペース化でき、そのうえポップアップ性が向上され、さらに最後まで内包されたティシュペーパーを取り出しやすい、ティシュペーパー製品を、従来設備を利用して安価かつ高速に生産できる製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の製造方法にかかるティシュペーパー製品の外観を表す斜視図である。
【図2】本発明の製造方法にかかるティシュペーパー製品の構造例を説明する斜視図である。
【図3】マルチスタンド式インターフォルダによる本発明にかかるティシュペーパー束の製造過程を示す図である。
【図4】マルチスタンド式インターフォルダによる本発明にかかるティシュペーパー束の製造過程を示す他の図である。
【図5】本発明にかかるティシュペーパー束を説明するため図である。
【図6】本発明のかかるティシュペーパー束の搬送過程を示す図である。
【図7】本発明にかかるティシュペーパー束の撓みを説明するための図である。
【図8】本発明のかかるティシュペーパー束の撓み形成過程を示す図である。
【図9】本発明のかかるティシュペーパー束の他の撓み形成過程を示す図である。
【図10】本発明のかかるティシュペーパー束の収納箱への収納を説明するための図である。
【図11】本発明のかかるティシュペーパー束の収納箱への収納装置例を説明するための図である。
【図12】本発明にかかるティシュペーパー束の収納状態を説明するための図である。
【図13】本発明にかかるティシュペーパー束の収納状態を説明するための他の図である。
【図14】本発明にかかるティシュペーパー束の他の収納状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次いで、本発明の実施の形態を図面を参照しながら以下に詳述する。
本発明の製造方法にかかるティシュペーパー製品X1は、図1及び図2に示すように、複数枚のティシュペーパー1が折り畳まれ重層されてなるティシュペーパー束10が、上面2Uに取出口形成部21が形成された収納箱2に収納され、使用時に取出口25を形成して、当該取出口からティシュペーパー1の一枚を取り出すと、隣接して積層されている下層の一枚の一部が取出口から露出されるように構成されたものである。所謂ポップアップ式のティシュペーパー製品である。なお本発明における一枚とは、ティシュペーパーの単位をいい、1プライ又は2プライ以上で一組としたものを意味する。
【0028】
本発明にかかるティシュペーパー製品X1の製造は、まず、抄紙設備においてクレープを有する薄葉紙(クレープ紙とも称される)を抄造し、これを巻き取って一次原反ロール(一般にジャンボロールともいわれている)を製造する。
【0029】
次いで、この一次原反ロールをプライマシンに必要数セットし、セットされた各一次原反ロールから一次連続シートを繰り出すとともに、適宜重ね合わせて積層一体化し、巻き取って複数のプライ(積層された)のシートからなる二次原反ロールを製造する。
【0030】
ここで、抄紙設備及びプライマシンは既知のものが使用でき、それらにかかる抄紙工程及び二次原反ロール製造工程も既知のものとすることができる。
【0031】
次いで、二次原反ロールをインターフォルダと呼ばれる折畳み設備に移行し、二次原反ロールから順次二次連続シートを繰り出し、この二次連続シートを折畳むとともに順次積層し、裁断してティシュペーパー束10を製造する。ティシュペーパー製品に用いるティシュペーパー束10を製造するにあたっては、マルチスタンド式(多連式)インターフォルダとロータリー式インターフォルダの2種のインターフォルダが知られるが本発明ではいずれをも使用することができる。但し、前者のマルチスタンド式インターフォルダは、生産性が高いことから多くの生産量が必要とされる汎用タイプの製品の製造に適しており、本発明にかかるティシュペーパー製品X1も汎用タイプであることが望ましいから、マルチスタンド式インターフォルダによって束10を製造するのが望ましい。
【0032】
マルチスタンド式インターフォルダM1は、図3及び図4に示されるように、折り板72を有する折畳み機構部70がライン流れ方向に多数(通常80〜120機)並設されており、折り畳み機構部70,70…に対応する二次原反ロール支持部に二次原反ロール71を取り付け、その二次原反ロール71から二次連続シートS4a,S4bを巻きだして折り畳み機構部70に二次連続シートS4a,S4bを供給するように構成されたものである。各折畳み機構部70に対して、ティシュペーパー1の幅と同幅にスリットした二次原反ロール71を複数セット(図示例では2セット)並べ、同時に二次原反ロール71,71から二次連続シートS4a,S4bを連続的に供給すると、各折畳み機構部70において各二次連続シートS4a,S4bの折り畳み積層が行なわれる。そしてライン上流側の折畳み機構部70で折り畳まれた二次連続シートS4a,S4bの上にそれよりもライン下流側の折畳み機構部70で折り畳まれた二次連続シートS4a,S4bが順次積層され、最下流において必要枚数が積層された連続積層ティシュペーパー束11が形成される。この連続積層ティシュペーパー束11をカッターにより適宜の間隔で裁断してティシュペーパー束10が形成される。
【0033】
上記のとおりインターフォルダにて製造されたティシュペーパー束10は、図5からも理解されるように、方形のティシュペーパー1が実質的に二つ折りされ、その折り返し片の縁1eが上下に隣接する他のティシュペーパー1の折り返し内面に位置するようにして、互い違いに重ねつつ積層されてなり、折り返し縁Eが並ぶ面を長手側面10Lとする全体として直方体形状をなすものとなる。なお、ここでいう実質的にとは、製造上の形成される縁部の若干の折り返しを許容する意味である。
【0034】
本積層構造のティシュペーパー束10は、最上位に位置する一枚の折り返し片を上方に引き上げると、その直下で隣接する他の一枚の折り返し片が、摩擦により上方に引きずられて持ち上げられる。なお、本発明のおいてはティシュペーパー束における積層数は限定されないが、この種の製品の一般的な積層枚数を例示すれば、120〜240組であり、本発明もこの範囲とすることができる。
【0035】
上記のとおりマルチスタンド式インターフォルダ等のインターフォルダにてティシュペーパー束10を製造した後には、そのティシュペーパー束10を収納箱2に収める収納工程に移行すべくコンベア等によって搬送する。ここで、インターフォルダから排出されるティシュペーパー束10は、図3からも理解されるように、端面10Sが進行方向となっている。本実施形態のティシュペーパー製品X1の製造方法では、まず、ティシュペーパー束10の搬送進行方向を長手側面10L方向となるように90度転換させる。ティシュペーパー束10の搬送方向の変更は、図6に示す既知のカートナーローダーM2によって行なうことができる。
【0036】
搬送方向を転換し長手側面10Lを進行方向として搬送させた後には、図7に示すように、その搬送途中で、ティシュペーパー束10を、各長手側面間が近づけられ長手側面間の中央部が当該載置状態における底面10b側に向かって凸となる状態に撓ませる。このとき、撓ませた状態におけるティシュペーパー束10の長手側面間距離(撓み状態のティシュペーパー束10の幅)L5を納めるべき収納箱2の長手面間距離(短手縁の長さでもあり、図1中符号L2で表している)よりも若干短くなるようにしておく。
【0037】
ティシュペーパー束10の撓み形成は、図8に示すように、進行方向に直行する方向に延在する凹溝51をコンベア等の搬送手段を構成する搬送路50上に形成し、ティシュペーパー束10が凹溝51を跨ぐようにして載置し、搬送路載置状態におけるティシュペーパー束の底面側下方の長手側面間中央にティシュペーパー束10の長手方向に沿って延在する空間を設けた状態とし、かかる状態において、ティシュペーパー束10の上方から撓み形成ロッド52をティシュペーパー束10の載置状態における上面10uの長手側面間中央に、長手側面方向の全長に亘って押し当てることで行なう。このようにして撓ませられたティシュペーパー束10は、ティシュペーパー束10の折り返されていない縁が並ぶ面である端面10Sから見て逆Ω字状或いは逆凸字状となる。ここで、撓み量の調整は、撓み形成ロッド52により押し当て量のよって調整することができ、また、撓みの曲率の調整は撓み形成ロッド52の幅を調整することで行なうことができる。
【0038】
なお、ティシュペーパー束10の底面側下方の長手側面間中央に空間を形成するには、図11に示す例のほか、図9に示されるように搬送路50上に搬送方向に間隔をもって凸条部53,53を設け、上記凸条部間にティシュペーパー束10を架橋するようにしてもよい。なお、ティシュペーパー束10の底面10b側に空間を形成する構成は図示例には限定されない。
【0039】
上記撓み形成工程で、搬送路上において、ティシュペーパー束10を載置状態における長手側面間の中央部が底面10b側に向かって凸となる状態に撓ませた後には、ティシュペーパー束10を収納箱内へ収納する。
【0040】
ここで、本発明の製造方法において用いる収納箱2は、図1、図2からも理解されるように、長方形の上面2U及び底面2B及びこれらを繋ぐ長手面20L及び短手面20Sを有する直六面体形状をなし上面2Uに取出口形成部である環状のミシン目線21を有するものである。
【0041】
ミシン目線が、図示例の如く、紙箱上面の長手方向に沿う方向を長辺とする略楕円形状又は矩形であると、取出し性、利便性が高い。なお、本発明にかかる収納箱は、前記ミシン目線により囲まれる範囲が、内側から収納箱2の長手方向に沿ってスリット24が形成された樹脂製フィルム22により覆われており、前記環状ミシン目線21に沿ってそのミシン目線により囲まれる範囲を切り剥がすことにより、紙箱上面2Uに取出口25が形成されるとともに、前記樹脂製フィルム22及びそれに形成されたスリット24が取出口を介して露出されるものが特に好適である。収納箱2に束10として収納されているティシュペーパー1がスリット24を介して取出口25から一枚ずつ取り出し可能となり、当該スリット24によって、取出口25から露出されるティシュペーパー1の一部が支持されて収納箱2内部に落ち込むことが防止される。
【0042】
他方、本発明の製造方法では、従来の一般的な製品の大きさに比して特に設置面積の点でコンパクトなティシュペーパー製品X1を製造できる点で利点があるから、収納箱2は、近年のコンパクト化が進められた従来汎用タイプのもの(概ね短手縁115mm前後、長手縁230mm前後、高さ50mm程度の大きさ)よりも、さらに一層コンパクトとしたものを用いるのが望ましい。具体的には、長手縁L1が160〜250mm、短手縁L2が60〜100mm、高さL3が45〜100mmとしたものが望ましい。少なくとも本発明はこの大きさの収納箱2の大きさが採用できる。
【0043】
収納箱2の構造は、上面2U、底面2B及びこれらに連接する長手面20Lと、各面の長手方向両側縁に連接された底面側片23B、長手面側片23L、上面側片23Uとを有し、前記長手面側片23L,23Lを箱内面側に折り返した後、これに重ねて上面側片23Uと底面側片23Bとを折り曲げ、各片の当接部分をホットメルト接着剤等により接着して短手面20Sが形成される構造が例示でき、本発明においてもこの構造のものが好適に用いられる。
【0044】
上記例示の収納箱へのティシュペーパー束10の収納は、特に図10に示すように、取出口形成部21が形成された上面2Uが下側となるように上下逆さとしかつ一方の短手面を開放させた状態の収納箱2の開放短手面20Kと、撓ませられた状態のティシュペーパー束10の端面10Sとを付き合わせにしたうえで、ティシュペーパー束10の開放短手面20Kと向かい合っていない端面10sをプッシュロッド60により押し、収納箱内へティシュペーパー束10を押し込むことで行なう。なお、収納箱2の短手面開放状態は、上記例示の収納箱2において底面側片23B、長手面側片23L、上面側片23Uを開いた状態にすればよい。
【0045】
なお、上記のとおり撓み状態のティシュペーパー束10の長手側面間距離L5を収納箱2の長手面間L2よりも短くしておくことで、押し込みによる収納がスムーズに行なわれる。
【0046】
他方、本発明にかかる製造方法においては、前記収納箱2について、長手面間間隔(長手縁の長さ)L2が、インターフォルダにより製造したティシュパーパー束10の撓み前の長手側面間間隔L4よりも短いものを採用する。かかる収納箱を採用することで、後述するようにティシュペーパー束10を収納箱内に納めた際に、ティシュペーパー束10の撓み状態が収納箱内で好適に維持される。
【0047】
なお、撓ませた状態のティシュペーパー束10を収納箱内へ押し込むには、撓み形成ロッド52をティシュペーパー束10の上面10uに押し当てたまま押し込むのが望ましい。ティシュペーパー束10の撓み形状を崩すことなく確実に当該形状のまま収納箱内へ押し込むことができる。このように、撓み形成ロッド52をティシュペーパー束10に押し当てたまま、ティシュペーパー束10を収納箱内へ押し込むには、図11に示されるように、プッシュロッド60を構成する押し板61の上部に撓み形成ロッド52の挿通を可能とする切り欠き部62を設けたものを用いることにより行なうことができる。
【0048】
なお、ティシュペーパー束10の収納箱内への収納は、好ましくは、図20に示すように、撓ませた状態のティシュペーパー束10と、一方短手面開放の収納箱2とをコンベア等で並走させた状態で行なうと生産性が高く望ましい。もちろん、本発明では、ティシュペーパー束10、収納箱2の搬送を停止させた状態でおこなってもよい。
【0049】
収納箱内に押し込まれたティシュペーパー束10は、ティシュペーパー束自体の弾性と自重による復元作用によって撓みまえの状態に戻ろうとするが、本発明では収納箱の長手面間隔が撓み前のティシュパーパー束の長手側面間隔よりも小さいために、ティシュペーパー束10の長手側面10L,10Lが収納箱長手面20L,20Lの内面に当接し、結果的に前記長手側面が前記収納箱長手面の内面間に挟持されるようになり、収納箱内でティシュペーパー束の撓み状態が維持される。
【0050】
そして、収納箱内にティシュペーパー束を押し込んだ後に、収納箱の開放短手面20Kを封止する。開放短手面20Kの封止は、上記例示の収納箱において、長手面側片23L,23Lを箱内面側に折り返した後、これに重ねて上面側片23Uと底面側片23Bとを折り曲げ、各片の当接部分をホットメルト接着剤等により接着して短手面20Sを形成すればよい。
【0051】
かくしてティシュペーパー束10が収納箱内に収納された状態とされた後には、収納箱の上下面を反転させることで本発明にかかるティシュペーパー製品X1が完成する。
【0052】
なお、本発明の製造方法では、上記のとおりマルチスタンド式インターフォルダを採用するとともに、ティシュペーパー束と収納箱を並走させつつ収納を行なうと、加工速度を250〜500ショット/分とすることができる。これは、既存の汎用タイプのティシュペーパー製品を製造するのと遜色ない生産速度である。
【0053】
次いで、本発明の製造方法により製造されるティシュペーパー製品X1についても説明する。本発明の製造方法により製造されるティシュペーパー製品X1は、特に図1、2、12〜14から理解されるように、上記ティシュペーパー束10が、折り返し縁Eが並ぶ面を長手側面10Lとして、各長手側面間が近づけられ長手側面間の中央部が上方側に向かって凸となるように撓ませられた状態で収納箱2内に収納されたものとなる。そして、ティシュペーパー束10はその撓ませられた状態で各長手側面10L,10Lが収納箱長手面20L,20Lの内面に当接され、ティシュペーパー束10の長手側面10L,10Lと収納箱長手面20L,20Lの内面との間に余裕なく、前記長手側面10L,10Lが前記収納箱長手面20L,20Lの内面間に挟持され、前記ティシュペーパー束10の上面側凸形状が収納箱内で維持されているとともに、ティシュペーパー束10が収納箱内において長手方向を跨ぐ方向に自由に移動できず拘束された状態となる。
【0054】
ティシュペーパー束10の撓ませられた状態における具体的形状は、図12〜図13に示されるように、撓み形成ロッド52による撓み形成に応じて、ティシュペーパー束10の折り返されていない縁が並ぶ面である端面10Sから見てΩ字状或いは凸字状となるように上面10Uの幅方向中央部に長手方向に沿って条部が形成された形状のほか、図14に示されるように、端面視において上面側が凸なる円弧形状となる。但し、好ましいのは、Ω字状或いは凸字状のものである。単なる円弧形状と比較して、引出し時にティシュペーパー束全体が上面側に浮き上がり難く、上記収納状態が維持されやすいからである。
【0055】
他方、本発明の製造方法により製造される製品にかかるティシュペーパー束10の収納態様においては、上記ティシュペーパー束10と収納箱上面2Uとの間の距離は、0〜5mmであるのが望ましい。この範囲であると収納箱上面のミシン目線21を裂開して取出口25を形成した後の最初の一枚を取り出しやすく、また、収納枚数も十分なものとすることができる。なお、この距離の調整は、用いる収納箱、ティシュペーパー束の高さ、撓み量によって調整することができる。
【0056】
また、発明の製造方法により製造される製品にかかるティシュペーパー束10の収納態様における具体的な撓み量は、非撓み状態のティシュペーパー束10の幅(長手側面間距離)L4に対して、撓み状態のティシュペーパー束の幅L5が60〜90%であるのがよい。この範囲であるとティシュペーパー束10が収納箱内で浮き上がるおそれがなく、また、ティシュペーパー束10の弾性、形状復元性によってティシュペーパー束10の長手側面10L,10Lが収納箱長手面20L,20Lの内面を十分に押圧し、ティシュペーパー束10の撓み状態での収納態様が好適に維持される。かかる撓み量の調整は、撓み形成ロッド52による押し量などによって調整できる。
【0057】
他方、本発明の製造方法により製造される製品X1においては、上記収納態様に加えて、さらに、ティシュペーパー束10の端面10Sと、収納箱2の収納箱短手面20Sの内面との間が0以上25mm以下であるのが望ましい。ティシュペーパー束10の収納箱内における短手面間方向の移動についても規制され、ティシュペーパー束10の撓み状態が収納箱内で好適に維持されその形状が崩れるおそれがなくなる。なお、かかる端面と短手面間の調整は、ティシュペーパー束の大きさと収納箱の大きさを調整することで達成できる。
【0058】
また、本発明のティシュペーパー製品X1は、紙の縦方向(MD方向)が引出し方向に沿う方向となるようにしてティシュペーパー束10が収納箱内に収納されているのが望ましい。これは、マルチスタンド式インターフォルダで製造することにより達成できる。
【0059】
ここで、本発明にかかるティシュペーパー束10を構成するティシュペーパー自体は、既知のものが使用できる。好ましくは、パルプ繊維を主材としたものであり、適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、特にバージンパルプのNBKPとLBKPのみから構成されているのがよい。その場合の配合割合(JIS P 8120)としては、NBKP:LBKP=20:80〜80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70〜60:40が望ましい。
【0060】
なお、本発明にかかるティシュペーパー1は、ローション薬液とも称される柔軟剤等の薬液が含有されたものとすることも可能であるが、背景技術の欄でも述べたとおり、ローションタイプと汎用タイプとが併用されて使用状況においてコンパクト化の意義が高い製品は、汎用タイプのものであるため、本発明では薬液が付与されていないティシュペーパーとするのがよい。そして、肌に触れる用途のみならずゴミ・塵等の拭取りにも頻繁に用いられる汎用タイプのものに適するべく、下記の組成・物性のものであるのが望ましい。
【0061】
まず、JIS P 8124による坪量については、10〜25g/m2、好ましくは11〜20g/m2、より好ましくは12〜16g/m2であり、紙厚については、80〜250μm、好ましくは100〜200μm、より好ましくは130〜180μmであるのがよい。なお、紙厚は、収納箱からティシュぺーパーを引き出したものを試料とし、各試料は束の上部から束の下部まで均等に5枚(組)採取して、それらの測定値の平均値とする。なお、測定にあたって試料は恒温恒室内で2時間〜4時間放置する前処理を行なう。測定は、1枚(1組)で測定し、紙厚計はピーコックG型(例えば、尾崎製作所製ピーコック)を用いる。
【0062】
また、JIS P 8113に規定される乾燥引張強度(以下、乾燥紙力ともいう)は、縦方向が、2プライで200〜700cN/25mm、好ましくは250〜600cN/25mm、特に好ましくは300〜600cN/25mmであり、横方向が、2プライで100〜300cN/25mm、好ましくは130〜270cN/25mm、特に好ましくは150〜250cN/25mmであるのがよい。
【0063】
また、本発明にかかるティシュペーパー1の大きさは特に限定されないが、ティシュペーパー自体の大きさについては従来製品と遜色ない大きさとして製品外観の大きさのみコンパクトにするほうが当然好ましく、具体的には従来汎用タイプのティシュペーパー製品におけるティシュペーパーと同等ともいえる縦180〜220mm×横150〜240mmであるのが望ましい。
【符号の説明】
【0064】
X1…ティシュペーパー製品、1…ティシュペーパー、2…収納箱、2U…収納箱(紙箱)上面、2B…収納箱(紙箱)底面、10…ティシュペーパー束、10U…ティシュペーパー束の上面、10L…ティシュペーパー束の長手側面、10S…ティシュペーパー束の端面、10B…ティシュペーパー束の底面、20…紙箱、20L…収納箱(紙箱)の長手面、20S…収納箱(紙箱)の短手面、21…取出口形成部(ミシン目線)22…樹脂製フィルム、23B…底面側片、23L…長手面側片、23U…上面側片、L1…収納箱の長手縁の長さ、L2…収納箱の短手縁の長さ、L3…収納箱の高さ、1e…ティシュペーパーの折り返し辺の縁、L4…非撓み状態のティシュペーパー束の幅(長手側面間距離)L5…撓み状態のティシュペーパー束の幅、M1…マルチスタンド式インターフォルダ、70…折り畳み機構部、71…二次原反ロール、72…折り板、S4a,S4b…二次連続シート、11…連続積層ティシュペーパー束、M2…カートナーローダー、50…搬送路、51…凹溝、52…撓み形成ロッド、53…凸条部、20K…開放短手面、10s…ティシュペーパー束の開放短手面と向かっていない端面、60…プッシュロッド、61…押し板、62…切り欠き部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚のティシュペーパーの束を収納箱に収めたティシュペーパー製品の製造方法に関し、特に、ポップアップ式のティシュペーパー製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、家庭やオフィス等で広く使われているティシュペーパーは、カートンとも称される概ね直方体の収納箱に多数が収納されて市販されている。
【0003】
ティシュペーパー製品においては、収納箱に内包されるティシュペーパーをローションティシューと称される原紙に柔軟剤等の薬液を付与したものとした高級なローションタイプのものが市販に供され急速に普及している。
【0004】
上記ローションタイプの製品は、汎用タイプの製品と比較して高価であるため、使用者においてはローションタイプの製品を汎用タイプの製品に代えるのではなく、ローションタイプの製品は主に鼻をかむ際等の肌に直接触れる用途のみに使用し、ゴミ、塵、食べこぼし等の拭取りの用途には汎用タイプの製品を使用するという、両者を用途によって使い分ける傾向にある。
【0005】
ティシュペーパー製品は、生活の各種の場面で用いられ、その使用頻度は高く、一般にはダイニングテーブル、リビングテーブル、オフィスデスク等のすぐに使用できる場所に恒常的に置いておくものである。よって上記のとおりティシュペーパー製品の用途による使い分けの傾向が高まるにつれ、二種のティシュペーパー製品をダイニングテーブル等の限られたスペース上に置くことにつき邪魔になる等の問題が生じてきており、特に汎用タイプの製品をより一層コンパクト化することの意義が高まってきた。
【0006】
他方、コンパクト化、小スペース化したティシュペーパー製品にかかる技術は、例えば、下記特許文献1〜4等に見られる。しかし、例えば、特許文献1に示される立方体に近いキューブ形状のものに二つ折りしたティシュペーパー束を納めたものは、現在主流の直方体形状のティシュペーパー製品との見た目の形状差がありなじみがなく、普及が進んでいない。また、キューブ型のような収納箱では取出口に十分な大きさの取出口を形成することができないため、ティシュペーパー引出し時の引出し抵抗が高く、スムーズな引出しができない、あるいは引出し時に収納箱ごと持ち上がってしまうおそれがある。さらに、特許文献1の態様でティシュペーパー束を二つ折りにして収納箱に収めると、収納箱内で束が回転したり、残数が少なくなったときに箱内で束が折り曲がって落ち込んでしまい取出し性が悪化したりするおそれがある。
【0007】
また、特許文献1の技術は、特異な形状等によって、特に、ティシュペーパー束の収納箱への収納工程につき従来設備による製造が困難であり、高速、かつ、安価に製造することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4094963号
【特許文献2】特開2010-6444
【特許文献3】特開平7−187216
【特許文献4】特開2004−217296
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
よって、本発明の主たる課題は、従来の収納箱に近い形状であり、また、収納されるティシュペーパーの大きさも従来品に近く、しかも収納箱の大きさをコンパクト化でき設置面積を省スペース化でき、そのうえポップアップ性が向上され、さらに最後まで内包されたティシュペーパーを取り出しやすい、ティシュペーパー製品を、従来設備を利用して安価かつ高速に生産できる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決した本発明及び作用効果は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
インターフォルダにて、方形のティシュペーパーを二つ折りしてその折り返し片の縁が上下に隣接する他のティシュペーパーの折り返し内面に位置するように互い違いに重ねつつ積層した、折り返し縁が並ぶ面を長手側面とする直方体のティシュペーパー束を製造し、
その製造されたティシュペーパー束を;
ティシュペーパー束の底面側下方の長手側面間中央に、長手側面に沿う方向に延在する空間を設けた状態で、撓み形成ロッドをティシュペーパー束上面の長手側面間中央に押し当てて前記ティシュペーパー束の底面側の長手側面間中央部を前記空間内に膨出させて、ティシュペーパー束の各長手側面間を近づけるとともにティシュペーパー束の長手側面間の中央部が底面側に向かって凸となるように撓ませ、
その撓ませられたティシュペーパー束を;
長方形の上面及び底面及びこれらを繋ぐ長手面及び短手面を有する直六面体形状をなし長手面間の間隔が撓み前のティシュペーパー束の長手側面間の間隔よりも短くかつ前記上面の中央部に長手方向に沿って延在する取出口が形成された収納箱内に、ティシュぺーパー束の長手側面が収納箱長手面の内面に対面し、前記膨出された凸部分が収納箱上面に対面するようにして収納する、ことを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【0011】
<請求項2記載の発明>
ティシュペーパー束を搬送する搬送路に凹溝を設け、ティシュペーパー束が前記凹溝を跨ぐように載置することで、ティシュペーパー束の底面側下方の長手側面間中央に、長手側面に沿う方向に延在する空間を設ける、請求項1記載のティシュペーパーの製造方法。
【0012】
<請求項3記載の発明>
ティシュペーパー束を搬送する搬送路上に搬送方向に間隔をもって凸条部を設け、それら凸条部間にティシュペーパー束を架橋するようにして載置することで、ティシュペーパー束の底面側下方の長手側面間中央に、長手側面に沿う方向に延在する空間を設ける、請求項1記載のティシュペーパーの製造方法。
【0013】
<請求項4記載の発明>
ティシュペーパー束の折り返されていない縁が並ぶ面を端面として、撓ませられた状態のティシュペーパー束の一方の端面と、上下面逆さとしてかつ一方短手面を開放した状態の収納箱の前記開放短手側面とを突き合わせた状態とし、その後に前記ティシュペーパー束の収納箱と対面していない他方の端面からティシュペーパー束を押して、ティシュペーパー束を収納箱に押し込んで収納する請求項1〜3記載のティシュペーパーの製造方法。
【0014】
<請求項5記載の発明>
撓み形成ロッドをティシュペーパー束に押し当てた状態で、ティシュペーパー束を収納箱内へ押し込む請求項4記載のティシュペーパーの製造方法。
【0015】
<請求項6記載の発明>
撓ませた状態のティシュペーパー束と、上下面逆さとしてかつ一方短手面を開放した状態の収納箱とを並走させつつ、ティシュペーパー束を収納箱内へ押し込む請求項3又は4記載のティシュペーパーの製造方法。
【0016】
(作用効果)
本発明の製造方法では、直六面体形状をなし上面取出口を形成した収納箱にティシュペーパー束を収納するので、従来製品と同様の外観のティシュペーパー製品となり、見た目の違和感がないものとなる。
【0017】
他方、本発明の製造方法では、ティシュペーパー束の各長手側面間を近づけるとともにティシュペーパー束の長手側面間の中央部が底面側に向かって凸となるように撓ませるが、かかる撓み形成を、ティシュペーパー束の底面側下方の長手側面間中央に、長手側面に沿う方向に延在する空間を設けた状態で、撓み形成ロッドで上方から押すという簡易な操作により達成しており、ティシュペーパー束を高速に搬送させつつ撓み形成を行なうことができ、簡易かつコスト安に、さらに高速に生産を行なうことができる。
【0018】
また、本発明の製造方法では、撓ませたティシュペーパー束を、長手面間の間隔が撓み前のティシュペーパー束の長手側面間の間隔よりも短い収納箱内に、ティシュぺーパー束の長手側面が収納箱長手面の内面に対面し、前記膨出された凸部分が収納箱上面に対面するようにして収納する。したがって、本発明の製造では、撓ませないティシュペーパー束をそのまま収納するよりも、底面面積が小さく設置面積の小さい製品を製造することができる。すなわち、ティシュペーパー製品のコンパクト化を図ることができる。
【0019】
また、本発明の製造方法では、ティシュペーパー束が収納箱に収納された後には、ティシュペーパー束が撓ませられた状態で各長手側面が収納箱長手面の内面に当接されることになる。この状態では、ティシュペーパー束の長手側面と収納箱長手面の内面との間に余裕がなく、ティシュペーパー束が収納箱内において長手方向を跨ぐ方向に自由に移動できず拘束される。したがって、本発明により製造されるティシュペーパー製品では、ティシュペーパー束が収納箱内で移動して束が崩れるということがない。また、ティシュペーパー束自体の弾性と自重による凸部が撓む前の状態に戻ろうとする復元作用によって、ティシュペーパー束の長手側面が収納箱長手面の内面を押圧し、結果的に前記長手側面が前記収納箱長手面の内面間に挟持された状態となるので、ティシュペーパー束の上面側凸形状が収納箱内で維持される。そのうえ、本発明の製造方法では、製品状態では、ティシュペーパー束の膨出凸部と収納箱上面に形成された取出口が近いものとなり、本発明により製造されるティシュペーパー製品は、上記の構成をとることとなり、もって、コンパクトながら、ティシュペーパーが引き出しやすい製品となる。
【0020】
他方、本発明の製造方法では、ティシュペーパー束を搬送する搬送路に凹溝を設け、ティシュペーパー束が前記凹溝を跨ぐように載置することで、ティシュペーパー束の底面側下方の長手側面間中央に、長手側面に沿う方向に延在する空間を設けるようにすることができる。ティシュペーパー束の撓み形成を、ティシュパーパー束を搬送させつつ行なうことができるようになり、生産性が向上する。また、ティシュペーパー製品の製造に必須のティシュペーパー束の搬送路という既存設備を活用することができる。
【0021】
この点については、ティシュペーパー束を搬送する搬送路上に搬送方向に間隔をもって凸条部を設け、それら凸条部間にティシュペーパー束を架橋するようにして載置することで、ティシュペーパー束の底面側下方の長手側面間中央に、長手側面に沿う方向に延在する空間を設けても同様の作用効果が得られる。特に、搬送路上に凸条部を形成する場合には、既存搬送路上に凸条部材を設置するだけでよく、凹溝を形成するよりも簡易な設備改良ですむ利点がある。
【0022】
他方、撓み形成ロッドをティシュペーパー束に押し当てた状態で、ティシュペーパー束を収納箱内へ押し込むようにすると、ティシュペーパー束を収納箱内に押し込む際に、束が崩れることが防止され、より確実な製品の製造が可能となるので望ましい。
【0023】
また、撓ませた状態のティシュペーパー束と、上下面逆さとしてかつ一方短手面を開放した状態の収納箱とを並走させつつ、ティシュペーパー束を収納箱内へ押し込むようにすれば、ティシュペーパー束を収納箱に収める際に搬送が停止されないので生産性が向上する。
【0024】
なお、本発明のティシュペーパー束を製造するインターフォルダは、高速生産が可能なマルチスタンド式インターフォルダが適する。
【発明の効果】
【0025】
以上のとおり、本発明によれば、従来の収納箱に近い形状であり、また、収納されるティシュペーパーの大きさも従来品に近く、しかも収納箱の大きさをコンパクト化でき設置面積を省スペース化でき、そのうえポップアップ性が向上され、さらに最後まで内包されたティシュペーパーを取り出しやすい、ティシュペーパー製品を、従来設備を利用して安価かつ高速に生産できる製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の製造方法にかかるティシュペーパー製品の外観を表す斜視図である。
【図2】本発明の製造方法にかかるティシュペーパー製品の構造例を説明する斜視図である。
【図3】マルチスタンド式インターフォルダによる本発明にかかるティシュペーパー束の製造過程を示す図である。
【図4】マルチスタンド式インターフォルダによる本発明にかかるティシュペーパー束の製造過程を示す他の図である。
【図5】本発明にかかるティシュペーパー束を説明するため図である。
【図6】本発明のかかるティシュペーパー束の搬送過程を示す図である。
【図7】本発明にかかるティシュペーパー束の撓みを説明するための図である。
【図8】本発明のかかるティシュペーパー束の撓み形成過程を示す図である。
【図9】本発明のかかるティシュペーパー束の他の撓み形成過程を示す図である。
【図10】本発明のかかるティシュペーパー束の収納箱への収納を説明するための図である。
【図11】本発明のかかるティシュペーパー束の収納箱への収納装置例を説明するための図である。
【図12】本発明にかかるティシュペーパー束の収納状態を説明するための図である。
【図13】本発明にかかるティシュペーパー束の収納状態を説明するための他の図である。
【図14】本発明にかかるティシュペーパー束の他の収納状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次いで、本発明の実施の形態を図面を参照しながら以下に詳述する。
本発明の製造方法にかかるティシュペーパー製品X1は、図1及び図2に示すように、複数枚のティシュペーパー1が折り畳まれ重層されてなるティシュペーパー束10が、上面2Uに取出口形成部21が形成された収納箱2に収納され、使用時に取出口25を形成して、当該取出口からティシュペーパー1の一枚を取り出すと、隣接して積層されている下層の一枚の一部が取出口から露出されるように構成されたものである。所謂ポップアップ式のティシュペーパー製品である。なお本発明における一枚とは、ティシュペーパーの単位をいい、1プライ又は2プライ以上で一組としたものを意味する。
【0028】
本発明にかかるティシュペーパー製品X1の製造は、まず、抄紙設備においてクレープを有する薄葉紙(クレープ紙とも称される)を抄造し、これを巻き取って一次原反ロール(一般にジャンボロールともいわれている)を製造する。
【0029】
次いで、この一次原反ロールをプライマシンに必要数セットし、セットされた各一次原反ロールから一次連続シートを繰り出すとともに、適宜重ね合わせて積層一体化し、巻き取って複数のプライ(積層された)のシートからなる二次原反ロールを製造する。
【0030】
ここで、抄紙設備及びプライマシンは既知のものが使用でき、それらにかかる抄紙工程及び二次原反ロール製造工程も既知のものとすることができる。
【0031】
次いで、二次原反ロールをインターフォルダと呼ばれる折畳み設備に移行し、二次原反ロールから順次二次連続シートを繰り出し、この二次連続シートを折畳むとともに順次積層し、裁断してティシュペーパー束10を製造する。ティシュペーパー製品に用いるティシュペーパー束10を製造するにあたっては、マルチスタンド式(多連式)インターフォルダとロータリー式インターフォルダの2種のインターフォルダが知られるが本発明ではいずれをも使用することができる。但し、前者のマルチスタンド式インターフォルダは、生産性が高いことから多くの生産量が必要とされる汎用タイプの製品の製造に適しており、本発明にかかるティシュペーパー製品X1も汎用タイプであることが望ましいから、マルチスタンド式インターフォルダによって束10を製造するのが望ましい。
【0032】
マルチスタンド式インターフォルダM1は、図3及び図4に示されるように、折り板72を有する折畳み機構部70がライン流れ方向に多数(通常80〜120機)並設されており、折り畳み機構部70,70…に対応する二次原反ロール支持部に二次原反ロール71を取り付け、その二次原反ロール71から二次連続シートS4a,S4bを巻きだして折り畳み機構部70に二次連続シートS4a,S4bを供給するように構成されたものである。各折畳み機構部70に対して、ティシュペーパー1の幅と同幅にスリットした二次原反ロール71を複数セット(図示例では2セット)並べ、同時に二次原反ロール71,71から二次連続シートS4a,S4bを連続的に供給すると、各折畳み機構部70において各二次連続シートS4a,S4bの折り畳み積層が行なわれる。そしてライン上流側の折畳み機構部70で折り畳まれた二次連続シートS4a,S4bの上にそれよりもライン下流側の折畳み機構部70で折り畳まれた二次連続シートS4a,S4bが順次積層され、最下流において必要枚数が積層された連続積層ティシュペーパー束11が形成される。この連続積層ティシュペーパー束11をカッターにより適宜の間隔で裁断してティシュペーパー束10が形成される。
【0033】
上記のとおりインターフォルダにて製造されたティシュペーパー束10は、図5からも理解されるように、方形のティシュペーパー1が実質的に二つ折りされ、その折り返し片の縁1eが上下に隣接する他のティシュペーパー1の折り返し内面に位置するようにして、互い違いに重ねつつ積層されてなり、折り返し縁Eが並ぶ面を長手側面10Lとする全体として直方体形状をなすものとなる。なお、ここでいう実質的にとは、製造上の形成される縁部の若干の折り返しを許容する意味である。
【0034】
本積層構造のティシュペーパー束10は、最上位に位置する一枚の折り返し片を上方に引き上げると、その直下で隣接する他の一枚の折り返し片が、摩擦により上方に引きずられて持ち上げられる。なお、本発明のおいてはティシュペーパー束における積層数は限定されないが、この種の製品の一般的な積層枚数を例示すれば、120〜240組であり、本発明もこの範囲とすることができる。
【0035】
上記のとおりマルチスタンド式インターフォルダ等のインターフォルダにてティシュペーパー束10を製造した後には、そのティシュペーパー束10を収納箱2に収める収納工程に移行すべくコンベア等によって搬送する。ここで、インターフォルダから排出されるティシュペーパー束10は、図3からも理解されるように、端面10Sが進行方向となっている。本実施形態のティシュペーパー製品X1の製造方法では、まず、ティシュペーパー束10の搬送進行方向を長手側面10L方向となるように90度転換させる。ティシュペーパー束10の搬送方向の変更は、図6に示す既知のカートナーローダーM2によって行なうことができる。
【0036】
搬送方向を転換し長手側面10Lを進行方向として搬送させた後には、図7に示すように、その搬送途中で、ティシュペーパー束10を、各長手側面間が近づけられ長手側面間の中央部が当該載置状態における底面10b側に向かって凸となる状態に撓ませる。このとき、撓ませた状態におけるティシュペーパー束10の長手側面間距離(撓み状態のティシュペーパー束10の幅)L5を納めるべき収納箱2の長手面間距離(短手縁の長さでもあり、図1中符号L2で表している)よりも若干短くなるようにしておく。
【0037】
ティシュペーパー束10の撓み形成は、図8に示すように、進行方向に直行する方向に延在する凹溝51をコンベア等の搬送手段を構成する搬送路50上に形成し、ティシュペーパー束10が凹溝51を跨ぐようにして載置し、搬送路載置状態におけるティシュペーパー束の底面側下方の長手側面間中央にティシュペーパー束10の長手方向に沿って延在する空間を設けた状態とし、かかる状態において、ティシュペーパー束10の上方から撓み形成ロッド52をティシュペーパー束10の載置状態における上面10uの長手側面間中央に、長手側面方向の全長に亘って押し当てることで行なう。このようにして撓ませられたティシュペーパー束10は、ティシュペーパー束10の折り返されていない縁が並ぶ面である端面10Sから見て逆Ω字状或いは逆凸字状となる。ここで、撓み量の調整は、撓み形成ロッド52により押し当て量のよって調整することができ、また、撓みの曲率の調整は撓み形成ロッド52の幅を調整することで行なうことができる。
【0038】
なお、ティシュペーパー束10の底面側下方の長手側面間中央に空間を形成するには、図11に示す例のほか、図9に示されるように搬送路50上に搬送方向に間隔をもって凸条部53,53を設け、上記凸条部間にティシュペーパー束10を架橋するようにしてもよい。なお、ティシュペーパー束10の底面10b側に空間を形成する構成は図示例には限定されない。
【0039】
上記撓み形成工程で、搬送路上において、ティシュペーパー束10を載置状態における長手側面間の中央部が底面10b側に向かって凸となる状態に撓ませた後には、ティシュペーパー束10を収納箱内へ収納する。
【0040】
ここで、本発明の製造方法において用いる収納箱2は、図1、図2からも理解されるように、長方形の上面2U及び底面2B及びこれらを繋ぐ長手面20L及び短手面20Sを有する直六面体形状をなし上面2Uに取出口形成部である環状のミシン目線21を有するものである。
【0041】
ミシン目線が、図示例の如く、紙箱上面の長手方向に沿う方向を長辺とする略楕円形状又は矩形であると、取出し性、利便性が高い。なお、本発明にかかる収納箱は、前記ミシン目線により囲まれる範囲が、内側から収納箱2の長手方向に沿ってスリット24が形成された樹脂製フィルム22により覆われており、前記環状ミシン目線21に沿ってそのミシン目線により囲まれる範囲を切り剥がすことにより、紙箱上面2Uに取出口25が形成されるとともに、前記樹脂製フィルム22及びそれに形成されたスリット24が取出口を介して露出されるものが特に好適である。収納箱2に束10として収納されているティシュペーパー1がスリット24を介して取出口25から一枚ずつ取り出し可能となり、当該スリット24によって、取出口25から露出されるティシュペーパー1の一部が支持されて収納箱2内部に落ち込むことが防止される。
【0042】
他方、本発明の製造方法では、従来の一般的な製品の大きさに比して特に設置面積の点でコンパクトなティシュペーパー製品X1を製造できる点で利点があるから、収納箱2は、近年のコンパクト化が進められた従来汎用タイプのもの(概ね短手縁115mm前後、長手縁230mm前後、高さ50mm程度の大きさ)よりも、さらに一層コンパクトとしたものを用いるのが望ましい。具体的には、長手縁L1が160〜250mm、短手縁L2が60〜100mm、高さL3が45〜100mmとしたものが望ましい。少なくとも本発明はこの大きさの収納箱2の大きさが採用できる。
【0043】
収納箱2の構造は、上面2U、底面2B及びこれらに連接する長手面20Lと、各面の長手方向両側縁に連接された底面側片23B、長手面側片23L、上面側片23Uとを有し、前記長手面側片23L,23Lを箱内面側に折り返した後、これに重ねて上面側片23Uと底面側片23Bとを折り曲げ、各片の当接部分をホットメルト接着剤等により接着して短手面20Sが形成される構造が例示でき、本発明においてもこの構造のものが好適に用いられる。
【0044】
上記例示の収納箱へのティシュペーパー束10の収納は、特に図10に示すように、取出口形成部21が形成された上面2Uが下側となるように上下逆さとしかつ一方の短手面を開放させた状態の収納箱2の開放短手面20Kと、撓ませられた状態のティシュペーパー束10の端面10Sとを付き合わせにしたうえで、ティシュペーパー束10の開放短手面20Kと向かい合っていない端面10sをプッシュロッド60により押し、収納箱内へティシュペーパー束10を押し込むことで行なう。なお、収納箱2の短手面開放状態は、上記例示の収納箱2において底面側片23B、長手面側片23L、上面側片23Uを開いた状態にすればよい。
【0045】
なお、上記のとおり撓み状態のティシュペーパー束10の長手側面間距離L5を収納箱2の長手面間L2よりも短くしておくことで、押し込みによる収納がスムーズに行なわれる。
【0046】
他方、本発明にかかる製造方法においては、前記収納箱2について、長手面間間隔(長手縁の長さ)L2が、インターフォルダにより製造したティシュパーパー束10の撓み前の長手側面間間隔L4よりも短いものを採用する。かかる収納箱を採用することで、後述するようにティシュペーパー束10を収納箱内に納めた際に、ティシュペーパー束10の撓み状態が収納箱内で好適に維持される。
【0047】
なお、撓ませた状態のティシュペーパー束10を収納箱内へ押し込むには、撓み形成ロッド52をティシュペーパー束10の上面10uに押し当てたまま押し込むのが望ましい。ティシュペーパー束10の撓み形状を崩すことなく確実に当該形状のまま収納箱内へ押し込むことができる。このように、撓み形成ロッド52をティシュペーパー束10に押し当てたまま、ティシュペーパー束10を収納箱内へ押し込むには、図11に示されるように、プッシュロッド60を構成する押し板61の上部に撓み形成ロッド52の挿通を可能とする切り欠き部62を設けたものを用いることにより行なうことができる。
【0048】
なお、ティシュペーパー束10の収納箱内への収納は、好ましくは、図20に示すように、撓ませた状態のティシュペーパー束10と、一方短手面開放の収納箱2とをコンベア等で並走させた状態で行なうと生産性が高く望ましい。もちろん、本発明では、ティシュペーパー束10、収納箱2の搬送を停止させた状態でおこなってもよい。
【0049】
収納箱内に押し込まれたティシュペーパー束10は、ティシュペーパー束自体の弾性と自重による復元作用によって撓みまえの状態に戻ろうとするが、本発明では収納箱の長手面間隔が撓み前のティシュパーパー束の長手側面間隔よりも小さいために、ティシュペーパー束10の長手側面10L,10Lが収納箱長手面20L,20Lの内面に当接し、結果的に前記長手側面が前記収納箱長手面の内面間に挟持されるようになり、収納箱内でティシュペーパー束の撓み状態が維持される。
【0050】
そして、収納箱内にティシュペーパー束を押し込んだ後に、収納箱の開放短手面20Kを封止する。開放短手面20Kの封止は、上記例示の収納箱において、長手面側片23L,23Lを箱内面側に折り返した後、これに重ねて上面側片23Uと底面側片23Bとを折り曲げ、各片の当接部分をホットメルト接着剤等により接着して短手面20Sを形成すればよい。
【0051】
かくしてティシュペーパー束10が収納箱内に収納された状態とされた後には、収納箱の上下面を反転させることで本発明にかかるティシュペーパー製品X1が完成する。
【0052】
なお、本発明の製造方法では、上記のとおりマルチスタンド式インターフォルダを採用するとともに、ティシュペーパー束と収納箱を並走させつつ収納を行なうと、加工速度を250〜500ショット/分とすることができる。これは、既存の汎用タイプのティシュペーパー製品を製造するのと遜色ない生産速度である。
【0053】
次いで、本発明の製造方法により製造されるティシュペーパー製品X1についても説明する。本発明の製造方法により製造されるティシュペーパー製品X1は、特に図1、2、12〜14から理解されるように、上記ティシュペーパー束10が、折り返し縁Eが並ぶ面を長手側面10Lとして、各長手側面間が近づけられ長手側面間の中央部が上方側に向かって凸となるように撓ませられた状態で収納箱2内に収納されたものとなる。そして、ティシュペーパー束10はその撓ませられた状態で各長手側面10L,10Lが収納箱長手面20L,20Lの内面に当接され、ティシュペーパー束10の長手側面10L,10Lと収納箱長手面20L,20Lの内面との間に余裕なく、前記長手側面10L,10Lが前記収納箱長手面20L,20Lの内面間に挟持され、前記ティシュペーパー束10の上面側凸形状が収納箱内で維持されているとともに、ティシュペーパー束10が収納箱内において長手方向を跨ぐ方向に自由に移動できず拘束された状態となる。
【0054】
ティシュペーパー束10の撓ませられた状態における具体的形状は、図12〜図13に示されるように、撓み形成ロッド52による撓み形成に応じて、ティシュペーパー束10の折り返されていない縁が並ぶ面である端面10Sから見てΩ字状或いは凸字状となるように上面10Uの幅方向中央部に長手方向に沿って条部が形成された形状のほか、図14に示されるように、端面視において上面側が凸なる円弧形状となる。但し、好ましいのは、Ω字状或いは凸字状のものである。単なる円弧形状と比較して、引出し時にティシュペーパー束全体が上面側に浮き上がり難く、上記収納状態が維持されやすいからである。
【0055】
他方、本発明の製造方法により製造される製品にかかるティシュペーパー束10の収納態様においては、上記ティシュペーパー束10と収納箱上面2Uとの間の距離は、0〜5mmであるのが望ましい。この範囲であると収納箱上面のミシン目線21を裂開して取出口25を形成した後の最初の一枚を取り出しやすく、また、収納枚数も十分なものとすることができる。なお、この距離の調整は、用いる収納箱、ティシュペーパー束の高さ、撓み量によって調整することができる。
【0056】
また、発明の製造方法により製造される製品にかかるティシュペーパー束10の収納態様における具体的な撓み量は、非撓み状態のティシュペーパー束10の幅(長手側面間距離)L4に対して、撓み状態のティシュペーパー束の幅L5が60〜90%であるのがよい。この範囲であるとティシュペーパー束10が収納箱内で浮き上がるおそれがなく、また、ティシュペーパー束10の弾性、形状復元性によってティシュペーパー束10の長手側面10L,10Lが収納箱長手面20L,20Lの内面を十分に押圧し、ティシュペーパー束10の撓み状態での収納態様が好適に維持される。かかる撓み量の調整は、撓み形成ロッド52による押し量などによって調整できる。
【0057】
他方、本発明の製造方法により製造される製品X1においては、上記収納態様に加えて、さらに、ティシュペーパー束10の端面10Sと、収納箱2の収納箱短手面20Sの内面との間が0以上25mm以下であるのが望ましい。ティシュペーパー束10の収納箱内における短手面間方向の移動についても規制され、ティシュペーパー束10の撓み状態が収納箱内で好適に維持されその形状が崩れるおそれがなくなる。なお、かかる端面と短手面間の調整は、ティシュペーパー束の大きさと収納箱の大きさを調整することで達成できる。
【0058】
また、本発明のティシュペーパー製品X1は、紙の縦方向(MD方向)が引出し方向に沿う方向となるようにしてティシュペーパー束10が収納箱内に収納されているのが望ましい。これは、マルチスタンド式インターフォルダで製造することにより達成できる。
【0059】
ここで、本発明にかかるティシュペーパー束10を構成するティシュペーパー自体は、既知のものが使用できる。好ましくは、パルプ繊維を主材としたものであり、適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、特にバージンパルプのNBKPとLBKPのみから構成されているのがよい。その場合の配合割合(JIS P 8120)としては、NBKP:LBKP=20:80〜80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70〜60:40が望ましい。
【0060】
なお、本発明にかかるティシュペーパー1は、ローション薬液とも称される柔軟剤等の薬液が含有されたものとすることも可能であるが、背景技術の欄でも述べたとおり、ローションタイプと汎用タイプとが併用されて使用状況においてコンパクト化の意義が高い製品は、汎用タイプのものであるため、本発明では薬液が付与されていないティシュペーパーとするのがよい。そして、肌に触れる用途のみならずゴミ・塵等の拭取りにも頻繁に用いられる汎用タイプのものに適するべく、下記の組成・物性のものであるのが望ましい。
【0061】
まず、JIS P 8124による坪量については、10〜25g/m2、好ましくは11〜20g/m2、より好ましくは12〜16g/m2であり、紙厚については、80〜250μm、好ましくは100〜200μm、より好ましくは130〜180μmであるのがよい。なお、紙厚は、収納箱からティシュぺーパーを引き出したものを試料とし、各試料は束の上部から束の下部まで均等に5枚(組)採取して、それらの測定値の平均値とする。なお、測定にあたって試料は恒温恒室内で2時間〜4時間放置する前処理を行なう。測定は、1枚(1組)で測定し、紙厚計はピーコックG型(例えば、尾崎製作所製ピーコック)を用いる。
【0062】
また、JIS P 8113に規定される乾燥引張強度(以下、乾燥紙力ともいう)は、縦方向が、2プライで200〜700cN/25mm、好ましくは250〜600cN/25mm、特に好ましくは300〜600cN/25mmであり、横方向が、2プライで100〜300cN/25mm、好ましくは130〜270cN/25mm、特に好ましくは150〜250cN/25mmであるのがよい。
【0063】
また、本発明にかかるティシュペーパー1の大きさは特に限定されないが、ティシュペーパー自体の大きさについては従来製品と遜色ない大きさとして製品外観の大きさのみコンパクトにするほうが当然好ましく、具体的には従来汎用タイプのティシュペーパー製品におけるティシュペーパーと同等ともいえる縦180〜220mm×横150〜240mmであるのが望ましい。
【符号の説明】
【0064】
X1…ティシュペーパー製品、1…ティシュペーパー、2…収納箱、2U…収納箱(紙箱)上面、2B…収納箱(紙箱)底面、10…ティシュペーパー束、10U…ティシュペーパー束の上面、10L…ティシュペーパー束の長手側面、10S…ティシュペーパー束の端面、10B…ティシュペーパー束の底面、20…紙箱、20L…収納箱(紙箱)の長手面、20S…収納箱(紙箱)の短手面、21…取出口形成部(ミシン目線)22…樹脂製フィルム、23B…底面側片、23L…長手面側片、23U…上面側片、L1…収納箱の長手縁の長さ、L2…収納箱の短手縁の長さ、L3…収納箱の高さ、1e…ティシュペーパーの折り返し辺の縁、L4…非撓み状態のティシュペーパー束の幅(長手側面間距離)L5…撓み状態のティシュペーパー束の幅、M1…マルチスタンド式インターフォルダ、70…折り畳み機構部、71…二次原反ロール、72…折り板、S4a,S4b…二次連続シート、11…連続積層ティシュペーパー束、M2…カートナーローダー、50…搬送路、51…凹溝、52…撓み形成ロッド、53…凸条部、20K…開放短手面、10s…ティシュペーパー束の開放短手面と向かっていない端面、60…プッシュロッド、61…押し板、62…切り欠き部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターフォルダにて、方形のティシュペーパーを二つ折りしてその折り返し片の縁が上下に隣接する他のティシュペーパーの折り返し内面に位置するように互い違いに重ねつつ積層した、折り返し縁が並ぶ面を長手側面とする直方体のティシュペーパー束を製造し、
その製造されたティシュペーパー束を;
ティシュペーパー束の底面側下方の長手側面間中央に、長手側面に沿う方向に延在する空間を設けた状態で、撓み形成ロッドをティシュペーパー束上面の長手側面間中央に押し当てて前記ティシュペーパー束の底面側の長手側面間中央部を前記空間内に膨出させて、ティシュペーパー束の各長手側面間を近づけるとともにティシュペーパー束の長手側面間の中央部が底面側に向かって凸となるように撓ませ、
その撓ませられたティシュペーパー束を;
長方形の上面及び底面及びこれらを繋ぐ長手面及び短手面を有する直六面体形状をなし長手面間の間隔が撓み前のティシュペーパー束の長手側面間の間隔よりも短くかつ前記上面の中央部に長手方向に沿って延在する取出口が形成された収納箱内に、ティシュぺーパー束の長手側面が収納箱長手面の内面に対面し、前記膨出された凸部分が収納箱上面に対面するようにして収納する、ことを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項2】
ティシュペーパー束を搬送する搬送路に凹溝を設け、ティシュペーパー束が前記凹溝を跨ぐように載置することで、ティシュペーパー束の底面側下方の長手側面間中央に、長手側面に沿う方向に延在する空間を設ける、請求項1記載のティシュペーパーの製造方法。
【請求項3】
ティシュペーパー束を搬送する搬送路上に搬送方向に間隔をもって凸条部を設け、それら凸条部間にティシュペーパー束を架橋するようにして載置することで、ティシュペーパー束の底面側下方の長手側面間中央に、長手側面に沿う方向に延在する空間を設ける、請求項1記載のティシュペーパーの製造方法。
【請求項4】
ティシュペーパー束の折り返されていない縁が並ぶ面を端面として、撓ませられた状態のティシュペーパー束の一方の端面と、上下面逆さとしてかつ一方短手面を開放した状態の収納箱の前記開放短手側面とを突き合わせた状態とし、その後に前記ティシュペーパー束の収納箱と対面していない他方の端面からティシュペーパー束を押して、ティシュペーパー束を収納箱に押し込んで収納する請求項1〜3記載のティシュペーパーの製造方法。
【請求項5】
撓み形成ロッドをティシュペーパー束に押し当てた状態で、ティシュペーパー束を収納箱内へ押し込む請求項4記載のティシュペーパーの製造方法。
【請求項6】
撓ませた状態のティシュペーパー束と、上下面逆さとしてかつ一方短手面を開放した状態の収納箱とを並走させつつ、ティシュペーパー束を収納箱内へ押し込む請求項3又は4記載のティシュペーパーの製造方法。
【請求項1】
インターフォルダにて、方形のティシュペーパーを二つ折りしてその折り返し片の縁が上下に隣接する他のティシュペーパーの折り返し内面に位置するように互い違いに重ねつつ積層した、折り返し縁が並ぶ面を長手側面とする直方体のティシュペーパー束を製造し、
その製造されたティシュペーパー束を;
ティシュペーパー束の底面側下方の長手側面間中央に、長手側面に沿う方向に延在する空間を設けた状態で、撓み形成ロッドをティシュペーパー束上面の長手側面間中央に押し当てて前記ティシュペーパー束の底面側の長手側面間中央部を前記空間内に膨出させて、ティシュペーパー束の各長手側面間を近づけるとともにティシュペーパー束の長手側面間の中央部が底面側に向かって凸となるように撓ませ、
その撓ませられたティシュペーパー束を;
長方形の上面及び底面及びこれらを繋ぐ長手面及び短手面を有する直六面体形状をなし長手面間の間隔が撓み前のティシュペーパー束の長手側面間の間隔よりも短くかつ前記上面の中央部に長手方向に沿って延在する取出口が形成された収納箱内に、ティシュぺーパー束の長手側面が収納箱長手面の内面に対面し、前記膨出された凸部分が収納箱上面に対面するようにして収納する、ことを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項2】
ティシュペーパー束を搬送する搬送路に凹溝を設け、ティシュペーパー束が前記凹溝を跨ぐように載置することで、ティシュペーパー束の底面側下方の長手側面間中央に、長手側面に沿う方向に延在する空間を設ける、請求項1記載のティシュペーパーの製造方法。
【請求項3】
ティシュペーパー束を搬送する搬送路上に搬送方向に間隔をもって凸条部を設け、それら凸条部間にティシュペーパー束を架橋するようにして載置することで、ティシュペーパー束の底面側下方の長手側面間中央に、長手側面に沿う方向に延在する空間を設ける、請求項1記載のティシュペーパーの製造方法。
【請求項4】
ティシュペーパー束の折り返されていない縁が並ぶ面を端面として、撓ませられた状態のティシュペーパー束の一方の端面と、上下面逆さとしてかつ一方短手面を開放した状態の収納箱の前記開放短手側面とを突き合わせた状態とし、その後に前記ティシュペーパー束の収納箱と対面していない他方の端面からティシュペーパー束を押して、ティシュペーパー束を収納箱に押し込んで収納する請求項1〜3記載のティシュペーパーの製造方法。
【請求項5】
撓み形成ロッドをティシュペーパー束に押し当てた状態で、ティシュペーパー束を収納箱内へ押し込む請求項4記載のティシュペーパーの製造方法。
【請求項6】
撓ませた状態のティシュペーパー束と、上下面逆さとしてかつ一方短手面を開放した状態の収納箱とを並走させつつ、ティシュペーパー束を収納箱内へ押し込む請求項3又は4記載のティシュペーパーの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−13455(P2013−13455A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146628(P2011−146628)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
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