説明

テストターミナルの取付構造

【課題】回路変更等があっても、正面パネルを加工せずにテストターミナルの極数変更に対応する。
【解決手段】長尺及び短尺テストターミナルの正面に夫々形成されたプラグ挿入口133と連通する長方形状の開口部11を貫通形成した正面パネルPと、開口部の外周縁に沿って複数個貫通形成された取付孔13a〜13gと、取付孔を利用して短尺テストターミナル130を取り付けたときに形成される余剰開口領域11aを閉止するために取付孔を利用して固定される目隠し板15と、を備え、各取付孔は、長尺テストターミナル用の取付孔13a〜13dと、短尺テストターミナル専用の取付孔13e、13fと、目隠し板専用の取付孔13gと、からなり、取付孔13gと取付孔13cとを用いて目隠し板を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変電所や開閉所に設置される電力系統の制御装置や保護装置等の電気機器を収容する電気盤に関し、特に保守・点検のために電気機器を一時的に電力系統から切り離すためのテストターミナルの電気盤への取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所、変電所或いは開閉所には、電力系統の運用状態を監視・制御する制御装置、電力系統の一部に故障が発生したときの事故の波及を防止する保護継電器(リレー)、或いは電力系統に発生した異常を検出するオシロ装置等の電気機器が設置されている。これらの電気機器は、夫々制御盤、リレー盤、オシロ盤等(以下、これらをまとめて「電気盤」という。)に収容されている。
この電気盤には、各電気機器の保守、点検の際に、電気機器を一時的に回路から切り離して試験器を接続するためのテストターミナルが配置されている。
図7は、従来の電気盤を示す正面図である。電気盤200の正面パネル201には、複数のテストターミナル202が取り付けられている。電気盤200に取り込まれる電流や電圧の様相により、使用する試験端子(テストプラグ)の極数が異なるため、一つの電気盤200には極数の異なるテストターミナル202が混在した状態で取り付けられている。例えば、テストターミナル202aは4極であり、テストターミナル202bは2極である。テストターミナル202aとテストターミナル202bは、幅方向(図中上下方向)の大きさが略同じであるが、長さ方向(図中左右方向)の大きさが異なっている。
このように、大きさの異なる器具が混在して取り付けられている電気盤の例として、特許文献1が挙げられる。特許文献1においては、電気盤の正面に取り付けられた電気機器類の大きさが不統一で体裁が悪いという問題点を解決するため、形状の統一されたカバーを取り付けて一体感のある外観としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭53−64226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の発明においては、電気盤の外観が統一されているが、小さな電気機器用の取付孔を利用して大きな電気機器を取り付けることができないという問題がある。
例えば、図7に示す電気盤200の場合、正面パネル201に貫通形成された2極のテストターミナル取付用の開口部の長さが、4極のテストターミナル取付用の開口部の長さよりも短いため、2極のテストターミナル202b取付用の開口部を利用して、4極のテストターミナル202aを正面パネル201に取り付けることはできない。
従って、回路の設計変更や運用の変更に伴い、当初2極のテストターミナル202bを取り付けていた箇所に4極のテストターミナル202aを取り付けたい場合には、4極のテストターミナル202aを取り付けることが可能なように開口部を拡大する加工が必要である。
特に、すでに運用を開始している電気盤の場合には、加工の際の振動により電気機器が誤動作をする虞があるため、電気盤の動作を停止させてから行う必要がある。また、加工前に電気盤の背面に密集する配線を切断しないような措置を講ずると共に、細心の注意を払って作業しなければならないという問題がある。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、電気盤の回路変更等があっても、正面パネルを加工する必要がなく、テストターミナルの極数変更に柔軟に対応することができるテストターミナルの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、正面形状が略長方形である直方体状の長尺テストターミナルと、正面形状が前記長尺テストターミナルと同等の幅寸法を有すると共に長さ寸法が短尺な直方体状の短尺テストターミナルと、該長尺テストターミナル及び該短尺テストターミナルの正面に夫々形成されたプラグ挿入口と連通する長方形状の開口部を貫通形成した電気盤と、前記開口部の外周縁に沿った該電気盤面に複数個貫通形成された取付孔と、前記取付孔と一対一で連通する前記長尺テストターミナル、及び前記短尺テストターミナルの適所に夫々設けた各螺旋止め穴と、前記取付孔を利用して前記短尺テストターミナルを前記電気盤に取り付けたときに形成される前記開口部の余剰開口領域を閉止するために前記取付孔を利用して固定される目隠し板と、を備えたテストターミナルの取付構造であって、前記取付孔は、前記開口部の長手方向四隅近傍に形成された長尺テストターミナル用の4つの取付孔と、前記開口部の長手方向二辺の中間部に夫々形成された短尺テストターミナル専用の2つの取付孔と、前記余剰開口領域の外周縁に形成した目隠し板専用の取付孔と、を備え、前記長尺テストターミナル用の4つの取付孔のうちの幅方向に対向する一方の2つの取付孔は前記長尺テストターミナルと前記短尺テストターミナルに共用される取付孔であり、幅方向に対向する他方の2つの取付孔は長尺テストターミナル用の取付孔であり、前記目隠し板専用の取付孔と、長尺テストターミナル用の取付孔とを用いて前記目隠し板を前記開口部の外周縁に固定するように構成したことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、正面形状が略長方形である直方体状の長尺テストターミナルと、正面形状が前記長尺テストターミナルと同等の幅寸法を有すると共に長さ寸法が短尺な直方体状の短尺テストターミナルと、該長尺テストターミナル及び該短尺テストターミナルの正面に夫々形成されたプラグ挿入口と連通する長方形状の開口部を貫通形成した電気盤と、前記開口部の外周縁に沿った該電気盤面に複数個貫通形成された取付孔と、前記取付孔と一対一で連通する前記長尺テストターミナル、及び前記短尺テストターミナルの適所に夫々設けた各螺旋止め穴と、前記取付孔を利用して前記短尺テストターミナルを前記電気盤に取り付けたときに形成される前記開口部の余剰開口領域を閉止するために前記取付孔を利用して固定される目隠し板と、を備えたテストターミナルの取付構造であって、前記目隠し板は、前記余剰開口部を閉止するに適した面積を有した目隠し本体と、該目隠し本体の一方の端縁の幅方向両端部から前記開口部の長手方向へ平行に突出した2本の腕部と、を備え、前記取付孔は、前記開口部の長手方向四隅近傍に形成された長尺テストターミナル用の4つの取付孔と、前記開口部の長手方向二辺の中間部に夫々形成された短尺テストターミナル用の2つの取付孔と、を備え、前記長尺テストターミナル用の4つの取付孔のうちの幅方向に対向する一方の2つの取付孔は前記長尺テストターミナルと前記短尺テストターミナルに共用される取付孔であり、短尺テストターミナルを螺旋止め固定する際に前記目隠し板の腕部を共締めすることにより、前記目隠し板を前記開口部の外周縁に固定するようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、正面形状が略長方形である直方体状の長尺テストターミナルと、正面形状が前記長尺テストターミナルと同等の幅寸法を有すると共に長さ寸法が短尺な直方体状の短尺テストターミナルと、該長尺テストターミナル及び該短尺テストターミナルの正面に夫々形成されたプラグ挿入口と連通する長方形状の開口部を貫通形成した電気盤と、前記開口部の外周縁に沿った該電気盤面に複数個貫通形成された取付孔と、前記取付孔と一対一で連通する前記長尺テストターミナル、及び前記短尺テストターミナルの適所に夫々設けた各螺旋止め穴と、前記取付孔を利用して前記短尺テストターミナルを前記電気盤に取り付けたときに形成される前記開口部の余剰開口領域を閉止するために前記取付孔を利用して固定される目隠し板と、を備えたテストターミナルの取付構造であって、前記目隠し板は、前記余剰開口部を閉止するに適した面積を有した目隠し本体と、該目隠し本体の一方の端縁の幅方向一端部から前記開口部の長手方向へ突出した腕部と、を備え、前記取付孔は、前記開口部の長手方向四隅近傍に形成された長尺テストターミナル用の4つの取付孔と、前記開口部の長手方向二辺の中間部に夫々形成された短尺テストターミナル用の2つの取付孔と、を備え、前記長尺テストターミナル用の4つの取付孔のうちの幅方向に対向する一方の2つの取付孔は前記長尺テストターミナルと前記短尺テストターミナルに共用される取付孔であり、少なくとも前記短尺テストターミナル用の2つの取付孔のうちのひとつと、前記長尺テストターミナル用の4つの取付孔のうち幅方向に対向する他方の2つの取付孔のうちの一つを用いて、前記目隠し板を前記開口部の外周縁に固定するように構成したことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、前記目隠し本体と前記腕部との間に段差が形成されている請求項2又は3記載のテストターミナルの取付構造を特徴とする。
【0008】
本発明では、プラグ挿入口と連通する開口部を、長尺テストターミナルを装着して使用するに適した大きさに形成し、短尺テストターミナルと共用する。開口部の外周縁には、長尺、短尺テストターミナルを取り付けるための取付孔を夫々貫通形成する。そして取付孔の一部を長尺と短尺のテストターミナルとで共用する。短尺テストターミナルは長尺テストターミナルよりも小さいことから、短尺テストターミナルを取り付けたときに開口部に余剰の開口領域が発生する。この余剰開口領域を、目隠し板を用いて閉止する。
さらに請求項1の発明では、短尺テストターミナルを取り付ける際に使用されない長尺テストターミナル取付用の取付孔と、目隠し板専用の取付孔を利用して、目隠し板を固定する。
請求項2の発明では、短尺テストターミナル取付孔を利用して目隠し板を取り付ける。目隠し板は、短尺テストターミナルと共締め固定される。
請求項3の発明では、短尺テストターミナル取付孔の一部と、短尺テストターミナルを取り付ける際に使用されない長尺テストターミナル取付用の取付孔とを利用して目隠し板を取り付ける。目隠し板の一部は、短尺テストターミナルと共締め固定される。
請求項4の発明では、目隠し板の腕部に段差をつけることにより、短尺テストターミナルと共締め固定する際の段差を防止する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プラグ挿入口と連通する開口部を長尺と短尺のテストターミナルとで共用するので、電気盤の回路変更等があっても、正面パネルを加工する必要がなく、テストターミナルの極数変更に柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】電気盤、テストターミナル及びテストプラグの関係を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係るテストターミナル取付構造の開口部及び取付孔を示す正面図である。
【図3】4極のテストターミナルを取り付けた様子を示す正面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態に係る目隠し板の取付状態を示す図であり、(a)は正面図、(b)はA矢視図である。
【図5】本発明の第二の実施形態に係る目隠し板の取付状態を示す図であり、(a)は正面図、(b)はA矢視図である。
【図6】本発明の第三の実施形態に係る目隠し板の取付状態を示す図であり、(a)は正面図、(b)はA矢視図である。
【図7】従来の電気盤を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、本発明が適用される電気盤とテストターミナル、テストプラグの関係について図1に基づいて簡単に説明する。図1は、電気盤、テストターミナル及びテストプラグの関係を示す斜視図である。
発電所、変電所或いは開閉所には、電力系統の運用状態を監視・制御する制御装置、電力系統の一部に故障が発生したときの事故の波及を防止する保護継電器(リレー)、或いは電力系統に発生した異常を検出するオシロ装置等の電気機器が設置されている。これらの電気機器は、夫々制御盤、リレー盤、オシロ盤等(以下、これらをまとめて「電気盤」という。)に収容されている。
【0012】
電気盤100の正面パネルPには、複数のテストターミナルが配置される。4極テストターミナル110は、正面形状が略長方形状であり、電気回路の一部を断接自在にする接点(導体、不図示)を内部に備えた概略直方体状の4極テストターミナル本体111と、電気盤100の正面パネルP側に露出する略長方形状の前板112と、を備えている。また、正面にはテストプラグ120を挿入するプラグ挿入口113と、4極テストターミナル本体111を正面パネルPに固定するための螺旋止め穴114a〜114dが形成されている。電気盤100内に収容された電気機器(不図示)は、4極テストターミナル110を介して実際の電気回路(例:制御回路、保護回路等)に接続されている。4極テストターミナル110は、正面パネルPを4極テストターミナル本体111と前板112との間で挟むとともに、4極テストターミナル本体111の正面側の4角に形成された螺旋止め穴114a〜114dとボルトBにて正面パネルPに螺旋止め固定されている。
【0013】
4極テストターミナル110には、電気機器の保守、点検の際にプラグ挿入口113からテストプラグ120が挿入される。テストプラグ120は、試験器(不図示)が接続される正面端子121と、4極テストターミナル110内に挿入される後方端子122と、を備えている。後方端子122が正面パネルPの開口部11(図2参照)及びプラグ挿入口113を通過して4極テストターミナル110の4極テストターミナル本体111内に挿入されると、4極テストターミナル本体111内部の接点が後方端子122によって切り離され、試験器との間で試験回路が構成される。試験器から電流・電圧の測定や印加等を行うことにより、電気機器を試験することができる。
図示するテストプラグ120は4極のテストプラグであり、後方端子122は1対の負荷側導体123と電源側導体124を4組有している。2極のテストプラグは、4極のテストプラグ120と同様の構成であるが、後方端子が有する負荷側導体と電源側導体の対が2組である点で4極のテストプラグ120と異なる。そして、負荷側導体と電源側導体との対が2組と少ないために、4極のテストプラグ120に比べて長さ寸法が短尺である。
【0014】
正面パネルPには、挿入されるテストプラグの極数に応じたテストターミナルが固定される。図示する4極テストターミナル110は、その内部に1対の負荷側導体と電源側導体(不図示)を4組有し、4極テストターミナル110の各負荷側導体はテストプラグ120の各負荷側導体123と導通し、4極テストターミナル110の各電源側導体はテストプラグ120の各電源側導体124と導通するようになっている。
また、例えば、挿入されるテストプラグが2極の場合には、正面パネルに2極テストターミナル130が固定される(図4参照)。また、2極テストターミナル130は、4極テストターミナル110と同様に正面形状が略長方形状であり、概略直方体状の2極テストターミナル本体131と略長方形状の前板132を有し、正面にはテストプラグを挿入するプラグ挿入口133が形成されている。4極のテストターミナルとは、正面形状の幅寸法が同等であるが、負荷側導体と電源側導体との対が2組である点で異なり、4極のテストターミナルよりも長さ寸法が短尺である(図3、4参照)。
【0015】
〔第一の実施形態〕
以下、本発明の第一の実施形態を図2乃至図4に基づいて説明する。図2は、本発明の第一の実施形態に係るテストターミナル取付構造の開口部及び取付孔を示す正面図である。図中、鎖線にて示す矩形領域は、4極のテストターミナルにより隠蔽される部位である。図3は、4極のテストターミナルを取り付けた様子を示す正面図である。図4は、本発明の第一の実施形態に係る目隠し板の取付状態を示す図であり、(a)は正面図、(b)はA矢視図である。本実施形態に係るテストターミナルの取付構造は、4極のテストターミナルを取り付けるに適した開口部及び取付孔を備え、取付孔の一部を利用して2極のテストターミナルを取り付けたときに形成される開口部の余剰領域を、他の取付孔を利用して目隠し板にて閉止する点に特徴がある。
なお、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0016】
テストターミナルの取付構造1は、4極テストターミナル110(長尺テストターミナル)と、2極テストターミナル130(短尺テストターミナル)と、4極テストターミナル110、2極テストターミナル130のプラグ挿入口113、133と連通する長方形状の開口部11を貫通形成した電気盤100の正面パネルPと、開口部11の外周縁に沿った正面パネルP(電気盤面)に複数個貫通形成された取付孔13(13a〜13g)と、取付孔13と一対一で連通する4極テストターミナル110の適所に設けた各螺旋止め穴114(114a〜114d)と、取付孔13と一対一で連通する2極テストターミナル130の適所に設けた各螺旋止め穴134(134a〜134d)と、取付孔13を利用して2極テストターミナル130を正面パネルPに取り付けたときに形成される開口部11の余剰開口領域11aを閉止するために取付孔13を利用して固定される目隠し板15と、を備えている。
【0017】
開口部11は、4極テストターミナル110、2極テストターミナル130を正面パネルPに取り付けたときにプラグ挿入口113、133と連通する部位である。4極テストターミナル110に、4極のテストプラグ120(図1参照)を挿入するときには、後方端子122が開口部11とプラグ挿入口113を通過して、4極テストターミナル110内部に挿入される。2極テストターミナル130についても同様である。従って開口部11は、挿入されるテストプラグのうち、少なくとも最大の極数を有するテストプラグの後方端子が通過可能な大きさを有している必要がある。
取付孔13は、開口部11の長手方向四隅近傍に形成された4極テストターミナル110用の4つの取付孔13a〜13dと、開口部11の長手方向二辺の中間部に夫々形成された2極テストターミナル130専用の2つの取付孔13e、13fと、余剰開口領域11aの外周縁に形成した目隠し板専用の取付孔13gと、を備えている。
【0018】
4極のテストターミナルと、2極のテストターミナルと目隠し板の取り付け状態について説明する。
図3に示すように、4極テストターミナル110は、取付孔13a〜13dを用いて正面パネルPに固定される。このとき、取付孔13a〜13dは4極テストターミナル110の各螺旋止め穴114a〜114dと連通し、正面側からボルトBにて螺旋止め固定される。開口部11は、プラグ挿入口113と連通する。また、開口部11が4極テストターミナル110の正面形状よりも小さいので、4極テストターミナル110を取り付けたときに、余剰開口領域はできない。
【0019】
図4に示すように、2極テストターミナル130は、開口部11の長さ方向一端部側に位置する一短辺寄りに配置され、取付孔13a、13b、13e、13fを用いて正面パネルPに固定される。このとき、取付孔13a、13b、13e、13fは2極テストターミナル130の各螺旋止め穴134a〜134dと連通し、正面側からボルトBにて螺旋止め固定される。開口部11はプラグ挿入口133と連通する。開口部11は2極テストターミナル130の正面形状よりも長さ方向に大きいので、2極テストターミナル130を取り付けたときに開口部11の長さ方向他端部側に、余剰開口領域11aができてしまう。
そこで、余剰開口領域11aを閉止するために目隠し板15を取り付ける。目隠し板15は、4極テストターミナル110、2極テストターミナル130と同等の幅を有した略長方形状であり、余剰開口領域11aを閉止するに適した面積を有している。目隠し板15の対角線上には、取付孔17a、17bが貫通形成されている。
【0020】
目隠し板15は、取付孔13c、13gを用いて正面パネルPに取り付けられる。このとき、取付孔13c、13gは、取付孔17a、17bと連通し、正面側からピン19にて固定される。取付孔13dは、余剰開口領域11aとともに目隠し板15により閉止される。目隠し板15は、少なくとも正面パネルPから脱落しない程度に取り付けられていればよいので、必ずしもボルトやナットを用いて螺旋止め固定をする必要はない。図示のピン19のように後方に抜け止め19aを有した簡易の固定手段であってもかまわない。
図4(b)に示すように、目隠し板15は、前板132と重なる部分を有しておらず、余剰開口領域11a寄りに位置する前板132の一辺と隣接した状態にて固定される。目隠し板15は、対角線上に位置する2点の取付孔17a、17bにて固定されるので、目隠し板15のがたつきを防止できる。また、目隠し板15は、対角線上の2点で取り付けるので、取付孔13a〜13gのうち、4極テストターミナル110と2極テストターミナル130の固定に使用されない取付孔の数を最小限にすることができる。もちろん、目隠し板15の固定に、取付孔13c、13dの双方を利用してもよい。
つまり、4極テストターミナル110用の4つの取付孔13a〜13dのうちの幅方向に対向する一方の2つの取付孔13a、13bは、4極テストターミナル110と2極テストターミナル130の取り付けに共用される。また、幅方向に対向する他方の2つの取付孔13c、13dは4極テストターミナル110の取り付けに使用され、2極テストターミナル130の取り付けには使用されない。また、目隠し板15は、目隠し板15専用の取付孔13gと、4極テストターミナル110用の取付孔13dとを用いて、開口部11の外周縁に固定される。
【0021】
以上のように、本実施形態によれば、テストターミナルのプラグ挿入口と連通する開口部を、4極のテストターミナルと2極のテストターミナルとで共用して使用するようにしたので、2極のテストターミナルを取り付けていた部位に、4極テストターミナルを取り付けるよう変更する際にも、電気盤の正面パネルを加工する必要がない。従って、正面パネルの加工工事に伴う電気盤の機能停止、接続された線の切断、破損、振動による電気機器類の誤動作や故障を防止できる。
また、2極のテストターミナルを取り付ける際に形成される余剰開口領域を目隠し板にて閉止するようにしたので、電気盤の外観が向上するとともに、電気盤の内部配線への接触を防止できる。
【0022】
〔第二の実施形態〕
本発明の第二の実施形態について、図5に基づいて説明する。図5は、本発明の第二の実施形態に係る目隠し板の取り付け状態を示す図であり、(a)は正面図、(b)はA矢視図である。なお、説明の便宜上(a)にはテストターミナルを記載していないが、鎖線にて示す矩形領域が2極のテストターミナルにより隠蔽される部位である。本実施形態に係るテストターミナルの取付構造では、目隠し板を2極のテストターミナルと共締めするようにして、目隠し板取り付け専用の取付孔を省略した点に特徴がある。なお、第一の実施形態と同一の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0023】
テストターミナルの取り付け構造2において、正面パネルPには、第一の実施形態と同様に取付孔13a〜13fが貫通形成されているが、第一の実施形態と異なり、目隠し板取り付け専用の取付孔13gは形成されていない。即ち、開口部11の長手方向四隅近傍には、4極のテストターミナル用の4つの取付孔13a〜13dが形成され、開口部11の長手方向二辺の中間部には、夫々2極テストターミナル130用の2つの取付孔13e、13fが形成されている。取付孔13a、13bは、4極のテストターミナルと2極テストターミナル130の取り付けに共用される。取付孔13c、13dは、2極テストターミナル130の取り付けには使用されない。
目隠し板20は、余剰開口領域11aを閉止するに適した面積を有した略長方形状の目隠し本体21と、2極テストターミナル130に隣接する目隠し本体21の端縁(一方の端縁)の幅方向両端部から開口部の長手方向へ平行に突出した2本の腕部23と、を備えている。図示するように、目隠し板20は概略コの字状である。
腕部23の先端部には、取付孔25a、25bが貫通形成されている。腕部23の基端部(目隠し本体21寄りの端部)には、取付孔25e、25fが貫通形成されている。目隠し本体21の一方の端縁と対向する他方の端縁の幅方向両端部(図中、幅方向に伸びる端縁のうち、右側の端縁の両端部)には、取付孔25c、25dが貫通形成されている。取付孔25a〜25fは、夫々取付孔13a〜13fと連通する。
つまり、目隠し板20には、正面パネルPに開口された4極及び2極のテストターミナル取付用の取付孔13a〜13fのすべてと連通する6つの取付孔25a〜25fが開口されている。
【0024】
目隠し板20の取り付け状態について説明する。(b)に示すように、腕部23の取付孔25a、25b、25e、25fは、2極テストターミナル130の取り付けに使用される取付孔13a、13b、13e、13fと連通し、2極テストターミナル130をボルトBにより螺旋止め固定する際に、共締めされる。このとき、腕部23は、正面パネルPと前板132とに挟まれた状態にて固定される。また、目隠し本体21の取付孔25c、25dは、4極のテストターミナルを取り付けるための取付孔13c、13dと連通し、ピン19により固定される。
なお、目隠し板20を取付孔25a、25b、25e、25fのみを用いて螺旋止め固定し、目隠し本体21側に取付孔を有さない構成としてもよい。
【0025】
以上のように本実施形態によれば、正面パネルに目隠し板専用の取付孔を形成する必要がないので、テストターミナル用の取付孔を無駄なく使用できる。また、目隠し板が2極のテストターミナルと共締めされるので、確実に固定される。また、腕部が2極のテストターミナルの取り付けに供される全ての取付孔を使用して固定されるので、前板と正面パネルとの間にがたつきを生じるような隙間が発生しない。
【0026】
〔第三の実施形態〕
本発明の第三の実施形態について、図6に基づいて説明する。図6は、本発明の第三の実施形態に係る目隠し板の取付状態を示す図であり、(a)は正面図、(b)はA矢視図である。本実施形態に係るテストターミナルの取付構造では、2極のテストターミナル用の取付孔の一部を利用して目隠し板をテストターミナルと共締めするようにした点に特徴がある。なお、第一の実施形態と同一の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0027】
テストターミナルの取付構造3において、正面パネルPには、第一及び第二の実施形態と同様に取付孔13a〜13fが形成されている。
目隠し板30は、余剰開口領域11aを閉止するに適した面積を有した略長方形状の目隠し本体31と、2極テストターミナル130に隣接する目隠し本体31の端縁(一方の端縁)の幅方向一端部から開口部の長手方向へ突出した1本の腕部33と、を備えた目隠し板30を備えている。
腕部33には、取付孔35aが貫通形成されている。また、腕部33が突出する目隠し本体31の部位から、目隠し本体31の略対角線上に位置する頂点近傍に、取付孔35bが貫通形成されている。取付孔35aは、2極テストターミナル130の取り付けに使用される取付孔13e、13fのうちの一方の取付孔13eと連通する。取付孔35bは、4極のテストターミナルの取り付けに使用される取付孔13c、13dのうちの一方の取付孔13cと連通する。
すなわち、2極テストターミナル130の取り付けに使用される取付孔13e、13fのうちの他方の取付孔13fは、2極テストターミナル130取り付け専用の孔であり、4極のテストターミナルの取り付けに使用される取付孔13c、13dのうちの他方の取付孔13dは、4極のテストターミナル取り付け専用の孔である。
また、(b)に示すように、目隠し本体31と腕部33との間には、前板132の厚みに対応した段差37が形成されている。
【0028】
目隠し板30の取り付け状態について説明する。(b)に示すように、目隠し板30は、2極テストターミナル130の前板132の上から余剰開口領域11aを閉止する構成である。目隠し本体31の取付孔35bは、4極のテストターミナルを取り付けるための取付孔13cと連通し、ピン19により固定される。このとき、目隠し本体31は、正面パネルPと当接した状態である。また、腕部33の取付孔35aは、2極テストターミナル130の取り付けに使用される取付孔13eと連通し、2極テストターミナル130をボルトBにより螺旋止め固定する際に、前板132の上から共締めされる。目隠し本体31と腕部33との間には、段差37が形成されているので、目隠し本体31が正面パネルと当接した状態であっても、腕部33が前板132に当接して、がたつきを防止する。
【0029】
以上のように、本実施形態によれば、正面パネルに目隠し板専用の取付孔を形成する必要がなく、テストターミナル取付用の取付孔を無駄なく使用できる。また、目隠し板が2極のテストターミナルと共締めされるので、確実に固定される。また、腕部と目隠し本体との間に、テストターミナルの前板の厚さに対応した段差を形成したので、前板又は正面パネルに対して、目隠し板との間にがたつきを生じるような隙間が発生しない。
なお、第二の実施形態に係る目隠し板の目隠し本体と腕部との間に段差を形成して実施することもできる。
【符号の説明】
【0030】
1、2、3…テストターミナルの取付構造、P…正面パネル、B…ボルト、11…開口部、11a…余剰開口領域、13a〜13g…取付孔、15…目隠し板、17a、17b…取付孔、19…ピン、20…目隠し板、21…目隠し本体、23…腕部、25a〜25d…取付孔、30…目隠し板、31…目隠し本体、33…腕部、35a、35b…取付孔、37…段差、100…電気盤、110…4極テストターミナル、111…4極テストターミナル本体、112…前板、113…プラグ挿入口、114a〜114d…螺旋止め穴、120…4極テストプラグ、121…正面端子、122…後方端子、123…負荷側導体、124…電源側導体、130…2極テストターミナル、131…2極テストターミナル本体、132…前板、133…プラグ挿入口、134a〜134d…螺旋止め穴、200…電気盤、201…正面パネル、202、202a、202b…テストターミナル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面形状が略長方形である直方体状の長尺テストターミナルと、正面形状が前記長尺テストターミナルと同等の幅寸法を有すると共に長さ寸法が短尺な直方体状の短尺テストターミナルと、該長尺テストターミナル及び該短尺テストターミナルの正面に夫々形成されたプラグ挿入口と連通する長方形状の開口部を貫通形成した電気盤と、前記開口部の外周縁に沿った該電気盤面に複数個貫通形成された取付孔と、前記取付孔と一対一で連通する前記長尺テストターミナル、及び前記短尺テストターミナルの適所に夫々設けた各螺旋止め穴と、前記取付孔を利用して前記短尺テストターミナルを前記電気盤に取り付けたときに形成される前記開口部の余剰開口領域を閉止するために前記取付孔を利用して固定される目隠し板と、を備えたテストターミナルの取付構造であって、
前記取付孔は、前記開口部の長手方向四隅近傍に形成された長尺テストターミナル用の4つの取付孔と、前記開口部の長手方向二辺の中間部に夫々形成された短尺テストターミナル専用の2つの取付孔と、前記余剰開口領域の外周縁に形成した目隠し板専用の取付孔と、を備え、
前記長尺テストターミナル用の4つの取付孔のうちの幅方向に対向する一方の2つの取付孔は前記長尺テストターミナルと前記短尺テストターミナルに共用される取付孔であり、幅方向に対向する他方の2つの取付孔は長尺テストターミナル用の取付孔であり、
前記目隠し板専用の取付孔と、長尺テストターミナル用の取付孔とを用いて前記目隠し板を前記開口部の外周縁に固定するように構成したことを特徴とするテストターミナルの取付構造。
【請求項2】
正面形状が略長方形である直方体状の長尺テストターミナルと、正面形状が前記長尺テストターミナルと同等の幅寸法を有すると共に長さ寸法が短尺な直方体状の短尺テストターミナルと、該長尺テストターミナル及び該短尺テストターミナルの正面に夫々形成されたプラグ挿入口と連通する長方形状の開口部を貫通形成した電気盤と、前記開口部の外周縁に沿った該電気盤面に複数個貫通形成された取付孔と、前記取付孔と一対一で連通する前記長尺テストターミナル、及び前記短尺テストターミナルの適所に夫々設けた各螺旋止め穴と、前記取付孔を利用して前記短尺テストターミナルを前記電気盤に取り付けたときに形成される前記開口部の余剰開口領域を閉止するために前記取付孔を利用して固定される目隠し板と、を備えたテストターミナルの取付構造であって、
前記目隠し板は、前記余剰開口部を閉止するに適した面積を有した目隠し本体と、該目隠し本体の一方の端縁の幅方向両端部から前記開口部の長手方向へ平行に突出した2本の腕部と、を備え、
前記取付孔は、前記開口部の長手方向四隅近傍に形成された長尺テストターミナル用の4つの取付孔と、前記開口部の長手方向二辺の中間部に夫々形成された短尺テストターミナル用の2つの取付孔と、を備え、
前記長尺テストターミナル用の4つの取付孔のうちの幅方向に対向する一方の2つの取付孔は前記長尺テストターミナルと前記短尺テストターミナルに共用される取付孔であり、
短尺テストターミナルを螺旋止め固定する際に前記目隠し板の腕部を共締めすることにより、前記目隠し板を前記開口部の外周縁に固定するようにしたことを特徴とするテストターミナルの取付構造。
【請求項3】
正面形状が略長方形である直方体状の長尺テストターミナルと、正面形状が前記長尺テストターミナルと同等の幅寸法を有すると共に長さ寸法が短尺な直方体状の短尺テストターミナルと、該長尺テストターミナル及び該短尺テストターミナルの正面に夫々形成されたプラグ挿入口と連通する長方形状の開口部を貫通形成した電気盤と、前記開口部の外周縁に沿った該電気盤面に複数個貫通形成された取付孔と、前記取付孔と一対一で連通する前記長尺テストターミナル、及び前記短尺テストターミナルの適所に夫々設けた各螺旋止め穴と、前記取付孔を利用して前記短尺テストターミナルを前記電気盤に取り付けたときに形成される前記開口部の余剰開口領域を閉止するために前記取付孔を利用して固定される目隠し板と、を備えたテストターミナルの取付構造であって、
前記目隠し板は、前記余剰開口部を閉止するに適した面積を有した目隠し本体と、該目隠し本体の一方の端縁の幅方向一端部から前記開口部の長手方向へ突出した腕部と、を備え、
前記取付孔は、前記開口部の長手方向四隅近傍に形成された長尺テストターミナル用の4つの取付孔と、前記開口部の長手方向二辺の中間部に夫々形成された短尺テストターミナル用の2つの取付孔と、を備え、
前記長尺テストターミナル用の4つの取付孔のうちの幅方向に対向する一方の2つの取付孔は前記長尺テストターミナルと前記短尺テストターミナルに共用される取付孔であり、
少なくとも前記短尺テストターミナル用の2つの取付孔のうちのひとつと、前記長尺テストターミナル用の4つの取付孔のうち幅方向に対向する他方の2つの取付孔のうちの一つを用いて、前記目隠し板を前記開口部の外周縁に固定するように構成したことを特徴とするテストターミナルの取付構造。
【請求項4】
前記目隠し本体と前記腕部との間に段差が形成されていることを特徴とする請求項2又は3記載のテストターミナルの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−205471(P2012−205471A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70347(P2011−70347)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(000211293)中国電機製造株式会社 (69)
【出願人】(599151776)中国計器工業株式会社 (49)