説明

テラヘルツ波検出装置、イメージング装置および計測装置

【課題】従来よりも小型化が可能なテラヘルツ波検出装置、イメージング装置および計測装置を提供すること。
【解決手段】テラヘルツ波検出装置1は、選択的に所定の波長のテラヘルツ波を熱に変換する波長フィルター2と、波長フィルター2を通過した前記所定の波長のテラヘルツ波を熱に変換して検出する検出部3と、を備え、波長フィルター2は、テラヘルツ波が入射する入射面と所定の波長のテラヘルツ波が射出する射出面とを連通する複数の孔部51を有する金属膜5と、検出部3との間にテラヘルツ波を吸収する材料を含むテラヘルツ波吸収層4と、を有し、複数の孔部51は、入射面52の法線に垂直な方向に沿って所定のピッチで設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テラヘルツ波検出装置、イメージング装置および計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、100GHz以上、30THz以下の周波数を有する電磁波であるテラヘルツ波が注目されている。テラヘルツ波は、例えば、イメージング、分光計測等の各計測、非破壊検査等に用いることができる。このテラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出器としては、焦電センサーやボロメーター等がある。その大きな特徴としては、テラヘルツ波に対する高感度性と、THz−TDS(Time Domain Spectrometry)分光分析装置のような大型で煩雑な光学遅延機構が不要な点とが挙げられる。
【0003】
焦電センサーやボロメーターをTHz−TDS分光分析装置に用いるに際し、焦電センサーやボロメーターは共にその素子内における熱量の変化によってテラヘルツ波の有無を検出している。そのため、テラヘルツ波の周波数スペクトルの検出は不可能であり、スペクトルの検出を行うためには、検出したい所定の波長のテラヘルツ波を選択的に透過させる波長フィルターが必要になる。
【0004】
現在、所定の波長のテラヘルツ波を通過させる波長フィルターが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この波長フィルターは、基板と、基板上に設けられ、複数の孔部を有する金属膜とで構成されている。この波長フィルターと、焦電センサーやボロメーターとを組み合わせることにより、所定の波長のテラヘルツ波のみを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第08/75624号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の波長フィルターではテラヘルツ波の波長帯域に対して設計すると、複数の孔部のピッチが100μm以上になることにより、波長フィルターの面積が数cm以上になる。焦電センサーやボロメーターとの一体化が困難である欠点があり、マルチ波長を検出可能なテラヘルツ波検出器の実現は難しかった。そこで、小型化が可能なテラヘルツ波検出装置、イメージング装置および計測装置が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
本適用例に係るテラヘルツ波検出装置は、所定の波長のテラヘルツ波を熱に変換する波長フィルターと、前記波長フィルターで変換された熱を検出する検出部と、を備え、前記波長フィルターは、テラヘルツ波が入射する入射面と前記入射面に対向する面とを連通する複数の孔部を有する金属層と、前記金属層の前記入射面に対向する面に接して設けられ、かつ前記検出部においてテラヘルツ波の入射方向の面に接して設けられ、かつ前記テラヘルツ波を吸収する材料を含むテラヘルツ波吸収層と、を有し、前記複数の孔部は、前記入射面の法線に垂直な方向に沿って所定のピッチで設けられていることを特徴とする。
【0009】
本適用例によれば、波長フィルターが所定の波長のテラヘルツ波を熱に変換する。そして、検出部が、波長フィルターで変換された熱を検出する。波長フィルターは複数の孔部を有する金属層とテラヘルツ波吸収層とを有している。金属層における複数の孔部は、所定のピッチで設けられており、所定の波長のテラヘルツ波を通過させる。テラヘルツ波吸収層はテラヘルツ波を吸収する材料を含み、この材料がテラヘルツ波を圧縮して吸収する。そして、テラヘルツ波吸収層に入射したテラヘルツ波は圧縮される。これにより、テラヘルツ吸収がない場合よりも、その波長を短くすることができる。
【0010】
波長フィルターの孔部を透過させる所定の波長のテラヘルツ波よりも短い波長に対して波長フィルターを設計することができる。従って、波長フィルターの面積を小さくすることができる為、波長フィルターと検出部とが一体化したテラヘルツ波検出装置を小型にすることができる。
【0011】
[適用例2]
上記適用例に記載のテラヘルツ波検出装置は、前記テラヘルツ波吸収層の材料の比誘電率が10以上500以下であることが好ましい。
【0012】
本適用例によれば、テラヘルツ波吸収層の材料の比誘電率が10以上500以下である。これによりテラヘルツ波吸収層は、波長フィルターを伝播するテラヘルツ波の波長をより小さくすることができる。
【0013】
[適用例3]
上記適用例に記載のテラヘルツ波検出装置では、前記テラヘルツ波吸収層の材料のシート抵抗が、300Ω/□以下50Ω/□以上であり、かつ、前記テラヘルツ波吸収層の膜厚が1nm以上500nm以下であることが好ましい。
【0014】
本適用例によれば、テラヘルツ波吸収層の材料のシート抵抗が、300Ω/□以下50Ω/□以上である。このとき、シート抵抗が、300Ω/□以上のときや50Ω/□以下のときに比べてテラヘルツ波に対する吸収率を高くすることができる。また、テラヘルツ波吸収層の膜厚が1nm以上500nm以下となっている。このとき、効率よく検出部に熱のエネルギーを伝えることができる。その結果、テラヘルツ波吸収層はテラヘルツ波を確実に吸収し熱に変換し、変換したエネルギーを検出部に伝えることができる。
【0015】
[適用例4]
上記適用例に記載のテラヘルツ波検出装置において、前記テラヘルツ波吸収層の材料は、金属合金材料であることが好ましい。
【0016】
本適用例によれば、テラヘルツ波吸収層の材料は、金属合金材料である。従って、テラヘルツ波吸収層が、テラヘルツ波を確実に吸収し熱に変換し、そのエネルギーを確実に検出部に伝えることができる。
【0017】
[適用例5]
上記適用例に記載のテラヘルツ波検出装置では、前記テラヘルツ波吸収層の材料は、シリコン化合物であることが好ましい。
【0018】
本適用例によれば、テラヘルツ波吸収層の材料は、シリコン化合物である。従って、テラヘルツ波吸収層が、テラヘルツ波を確実に吸収し熱に変換し、そのエネルギーを確実に検出部に伝えることができる。
【0019】
[適用例6]
上記適用例に記載のテラヘルツ波検出装置では、前記テラヘルツ波吸収層の材料は、窒素化合物であることが好ましい。
【0020】
本適用例によれば、テラヘルツ波吸収層の材料は、窒素化合物である。従って、テラヘルツ波吸収層が、テラヘルツ波を確実に吸収し熱に変換し、そのエネルギーを確実に検出部に伝えることができる。
【0021】
[適用例7]
上記適用例に記載のテラヘルツ波検出装置では、前記孔部の前記入射面の法線方向からの平面視での形状は、円形であり、前記孔部は、前記円形の直径をd、前記入射面の法線方向からの平面視における隣り合う2つの前記孔部の前記円形の中心間距離をsとしたとき、下記式1を満足するよう設けられていることが好ましい。
0.25≦d/s<1 ・・・(1)
【0022】
本適用例によれば、孔部の条件が式1を満足している。すなわち、d/sが0.25よりも小さいと、他の条件によっては、テラヘルツ波が前記金属層を通過することができない。また、d/sが1以上であると、隣り合う2つの前記孔部が接触または連通してしまう。従って、孔部が式1の条件を満足している為、所定の波長のテラヘルツ波を精度良く検出することができる。
【0023】
[適用例8]
上記適用例に記載のテラヘルツ波検出装置では、前記金属層の前記入射面の法線方向に沿った厚さは、前記所定の波長以下であることが好ましい。
【0024】
本適用例によれば、金属層の法線方向に沿った厚さを、テラヘルツ波の波長以下にしている。従って、所定の波長以上の波長のテラヘルツ波の波長フィルターの通過を防ぐことができる。これにより、所定の波長のテラヘルツ波を精度良く検出することができる。
【0025】
[適用例9]
上記適用例に記載のテラヘルツ波検出装置では、前記隣り合う2つの前記孔部の前記所定のピッチは、前記所定の波長と同一の長さであることが好ましい。
【0026】
本適用例によれば、孔部の前記所定のピッチと、同じ長さの波長のテラヘルツ波の定在波が金属層表面に起こり、所定のテラヘルツ波が波長フィルターを通過する。その結果、所定の波長のテラヘルツ波を精度良く検出することができる。
【0027】
[適用例10]
上記適用例に記載のテラヘルツ波検出装置では、前記波長フィルターは、前記複数の孔部が前記入射面の法線に垂直な方向に沿って第1のピッチで設けられる第1の領域と、前記複数の孔部が前記入射面の法線に垂直な方向に沿って第2のピッチで設けられる第2の領域と、を有することが好ましい。
【0028】
本適用例によれば、第1の領域と第2の領域で孔部のピッチが異なっている。従って、熱に変換される所定のテラヘルツ波の波長が、第1の領域と第2の領域で異なる。その結果、複数の所定の波長のテラヘルツ波を精度よく検出することができる。
【0029】
[適用例11]
上記適用例に記載のテラヘルツ波検出装置では、前記波長フィルターは、複数の単位領域を有しており、前記複数の単位領域は、それぞれ、前記複数の孔部が前記入射面の法線に垂直な方向に沿って第1のピッチで設けられる第1の領域と、前記複数の孔部が前記入射面の法線に垂直な方向に沿って第2のピッチで設けられる第2の領域と、を有することが好ましい。
【0030】
本適用例によれば、波長フィルターは、複数の単位領域を有している。そして、各単位領域において第1の領域と第2の領域で前記孔部のピッチが異なっている。従って、熱に変換される所定のテラヘルツ波の波長が、第1の領域と第2の領域で異なる。その結果、単位領域毎に複数の所定の波長のテラヘルツ波を精度よく検出することができる。
【0031】
[適用例12]
上記適用例に記載のテラヘルツ波検出装置では、前記検出部は、前記波長フィルターの前記第1の領域および前記第2の領域に対応してそれぞれ設けられ、当該領域を通過したテラヘルツ波を熱に変換して検出する複数の単位検出部を有することが好ましい。
【0032】
本適用例によれば、波長フィルターの第1の領域および第2の領域に対応して検出部がそれぞれ設けられている。第1の領域と第2の領域で孔部のピッチが異なるために、熱に変換される所定のテラヘルツ波の波長が、第1の領域と第2の領域で異なる。従って、単位検出部にエネルギーとして伝わる所定のテラヘルツ波の波長も第1の領域と第2の領域で異なる。その結果、複数の所定の波長のテラヘルツ波を検出することができる。
【0033】
[適用例13]
本適用例に係るイメージング装置は、テラヘルツ波を発生するテラヘルツ波発生装置と、前記テラヘルツ波発生装置から射出して対象物を透過または反射した前記テラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出装置と、前記テラヘルツ波検出装置の検出結果に基づいて、前記対象物の画像を生成する画像生成部と、を備え、前記テラヘルツ波検出装置は、所定の波長のテラヘルツ波を通過させる波長フィルターと、前記波長フィルターを通過した前記所定の波長のテラヘルツ波を熱に変換して検出する検出部と、を備え、前記波長フィルターは、前記テラヘルツ波発生装置から射出した前記テラヘルツ波が入射する入射面と前記所定の波長のテラヘルツ波が射出する射出面とを連通する、複数の孔部を有する金属層と、前記テラヘルツ波を吸収する材料を含むテラヘルツ波吸収層と、を備え、前記複数の孔部は、前記入射面の法線に垂直な方向に沿って所定のピッチで設けられていることを特徴とする。
【0034】
本適用例によれば、テラヘルツ波発生装置がテラヘルツ波を発生し、対象物に射出する。そして、テラヘルツ波検出装置が対象物を透過または反射したテラヘルツ波を検出して検出結果を出力する。次に、画像生成部が、テラヘルツ波検出装置の検出結果を用いて対象物の画像を生成する。
【0035】
テラヘルツ波検出装置は波長フィルターと検出部とを備えている。波長フィルターは金属層とテラヘルツ波吸収層と、を備えている。金属層には所定のピッチで孔部が設けられており、金属層は所定の波長のテラヘルツ波を通過させる。これにより、検出部は所定の波長のテラヘルツ波を熱に変換して検出する。そして、画像生成部はテラヘルツ波検出装置の検出結果に基づいて、対象物の画像を生成する。
【0036】
波長フィルターにおいて、金属層より前記テラヘルツ波吸収層に入射したテラヘルツ波は圧縮され、テラヘルツ吸収がない場合よりも、その波長が短くなる。従って、テラヘルツ波の波長フィルターを従来よりも小型にすることが可能になる。その結果、イメージング装置を小型にすることができる。
【0037】
[適用例14]
本適用例に係る計測装置は、テラヘルツ波を発生するテラヘルツ波発生装置と、前記テラヘルツ波発生装置から射出して対象物を透過または反射したテラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出装置と、前記テラヘルツ波検出装置の検出結果に基づいて、前記対象物を計測する計測部と、を備え、前記テラヘルツ波検出装置は、所定の波長のテラヘルツ波を通過させる波長フィルターと、前記波長フィルターを通過した前記所定の波長のテラヘルツ波を熱に変換して検出する検出部と、を備え、前記波長フィルターは、前記テラヘルツ波発生装置から射出した前記テラヘルツ波が入射する入射面と前記所定の波長のテラヘルツ波が射出する射出面とを連通する、複数の孔部を有する金属層と、前記テラヘルツ波を吸収する材料を含むテラヘルツ波吸収層と、を備え、前記複数の孔部は、前記入射面の法線に垂直な方向に沿って所定のピッチで設けられていることを特徴とする。
【0038】
本適用例によれば、テラヘルツ波発生装置がテラヘルツ波を発生し、対象物に射出する。そして、テラヘルツ波検出装置が対象物を透過または反射した前記テラヘルツ波を検出して検出結果を出力する。次に、計測部が、テラヘルツ波検出装置の検出結果を用いて対象物を計測する。
【0039】
テラヘルツ波検出装置は波長フィルターと検出部とを備えている。波長フィルターは金属層とテラヘルツ波吸収層と、を備えている。金属層には所定のピッチで孔部が設けられており、金属層は所定の波長のテラヘルツ波を通過させる。これにより、検出部は所定の波長のテラヘルツ波を熱に変換して検出する。そして、計測部はテラヘルツ波検出装置の検出結果に基づいて、対象物を計測する。
【0040】
波長フィルターにおいて、金属層より前記テラヘルツ波吸収層に入射したテラヘルツ波は圧縮され、テラヘルツ吸収がない場合よりも、その波長が短くなる。従って、テラヘルツ波の波長フィルターを従来よりも小型にすることが可能になる。その結果、計測装置を小型にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1実施形態にかかわるテラヘルツ波検出装置の構造を示す概略斜視図。
【図2】第2実施形態にかかわるテラヘルツ波検出装置の構成を示す概略斜視図。
【図3】第3実施形態にかかわり、(a)は、テラヘルツ波検出装置の構成を示す模式平面図、(b)は、要部概略斜視図。
【図4】第4実施形態にかかわるイメージング装置の構成を示すブロック図。
【図5】対象物のテラヘルツ帯でのスペクトルを示すグラフ。
【図6】画像生成部が算出した画像データを説明するための模式図。
【図7】第5実施形態にかかわる計測装置の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
【0043】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のテラヘルツ波検出装置の構造を示す概略斜視図である。図1に示すテラヘルツ波検出装置1は、テラヘルツ波の所定の周波数成分、すなわち、所定の波長のテラヘルツ波を検出する装置である。尚、所定の波長とは、強度を検出しようとする波長を示している。このテラヘルツ波検出装置1は、選択的に所定の波長のテラヘルツ波を熱に変換する波長フィルター2と、波長フィルターで変換された熱を検出する検出部3とを有している。また、テラヘルツ波検出装置1において、波長フィルター2と検出部3との位置関係は固定されている。従って、例えば、波長フィルター2と検出部3とが一体化されていても良い。
【0044】
尚、テラヘルツ波とは、周波数が、100GHz以上、30THz以下の電磁波、特に、300GHz以上、3THz以下の電磁波を言う。
【0045】
テラヘルツ波検出装置1の波長フィルター2は、テラヘルツ波を吸収するテラヘルツ波吸収層4を有し、複数の孔部51(貫通孔)を有する金属膜5(金属層)と、を備えている。金属膜5は、テラヘルツ波が入射する入射面52と、金属膜5を透過したテラヘルツ波が射出する射出面53とを有しており、複数の孔部51は入射面52と射出面53とを連通して接続するように設けられている。テラヘルツ波吸収層4は、金属膜5のテラヘルツ波の射出側に設けられている。
【0046】
金属膜5の外形形状は、テラヘルツ波吸収層4の外形形状に対応している。また、金属膜5に形成された各孔部51は、2次元的に配置され、規則的に並んでいる。各孔部51の形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、四角形等の多角形、直線状、曲線状、折れ線状等が挙げられる。尚、図示の構成では、孔部51の形状は、円形であり、以下、孔部51の条件について、代表的に、孔部51の形状が円形の場合について説明する。
【0047】
各孔部51は、入射面52の法線方向からの平面視における隣り合う2つの孔部51の中心間距離が、波長フィルター2を通過させるテラヘルツ波の波長(以下、「通過波長」とも言う)に応じて設定されている。すなわち、各孔部51は、入射面52の法線に垂直な方向に沿って所定のピッチで周期的に配列されて設けられている。隣り合う2つの孔部51の中心間距離は、通過波長と同一に設定されている。これにより、所定の波長のテラヘルツ波を精度良く通過させることができ、検出部3により、所定の波長のテラヘルツ波を精度良く検出することができる。
【0048】
また、図示の構成では、各孔部51は、隣り合う2つの孔部51の中心同士を結ぶ3つの直線511で正三角形が形成され、各正三角形が規則的に配列されるように配置されている。すなわち、各孔部51は、正三角形の格子状に配置されている。
【0049】
また、各孔部51は、孔部51の直径をd、隣り合う2つの孔部51の中心間距離(孔部51のピッチ)をsとしたとき、下記式1を満足するよう設けられていることが好ましい。
0.25≦d/s<1 ・・・(1)
【0050】
d/sが0.25よりも小さいと、他の条件によっては、テラヘルツ波が金属膜5を通過することができない。また、d/sが1以上であると、隣り合う2つの孔部51同士が接触または連通してしまう。従って、d/sは、0.25以上、1未満であることがより好ましい。d/sは、0.25以上、0.5以下であることがさらに好ましい。
【0051】
また、孔部51の直径dは、小さいほど精度が良いので、前記式1を満たす範囲内で、より小さく設定されることが好ましい。
【0052】
尚、具体的には、孔部51の直径dは、0.1μm以上、3mm未満であることが好ましく、1μm以上、300μm未満であることがより好ましく、10μm以上、30μm未満であることがさらに好ましい。また、隣り合う2つの孔部51の中心間距離sは、0.1μm以上、3mm以下であることが好ましく、1μm以上、300μm以下であることがより好ましく、10μm以上、30μm以下であることがさらに好ましい。
【0053】
また、金属膜5の厚さ(入射面52の法線方向の長さ)は、波長フィルター2を通過させるテラヘルツ波の波長以下であることが好ましい。これにより、所定の波長のテラヘルツ波を精度良く検出することができる。
【0054】
具体的には、金属膜5の厚さは、3mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましく、10nm以上、100μm以下であることが特に好ましい。
【0055】
また、金属膜5の構成材料としては、金属であれば特に限定されず、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、金、金合金、銀、銀合金、ステンレス鋼等が挙げられる。
【0056】
尚、孔部51の形状が円形以外の場合は、その孔部51の最も長い部位の長さが、前記式1の直径dに相当する。例えば、孔部51の形状が楕円形の場合は、長径が直径dに相当し、また、孔部51の形状が多角形の場合は、最も長い対角線が直径dに相当する。
【0057】
テラヘルツ波吸収層4の比誘電率は10以上500以下であることが好ましい。これによりテラヘルツ波吸収層4は、波長フィルター2を伝播するテラヘルツ波の波長をより小さくすることができるため、テラヘルツ波検出装置の小型化が可能となる。
【0058】
テラヘルツ波吸収層4のシート抵抗が、300Ω/□以下50Ω/□以上であり、かつ、テラヘルツ波吸収層4の膜厚が1nm以上500nm以下であることが好ましい。これによりテラヘルツ波吸収層4は、テラヘルツ波を確実に吸収し熱に変換し、そのエネルギーを検出部3に伝えることができる。
【0059】
テラヘルツ波吸収層4の材料としては、金属合金、シリコン化合物、窒素化合物を用いることができる。金属合金としては、アルミ銅、チタンアルミナイトライド、鉄クロム、ニッケルクロム、アルミマグネシウム合金等を用いることができる。シリコン化合物としては、アルイミシリコン、モリブデンシリコン、タングステンシリコン、チタンシリコン等を用いることができる。これらの材料をテラヘルツ波吸収層4に用いることにより、テラヘルツ波を確実に吸収し熱に変換し、そのエネルギーを確実に検出部3に伝えることができる。
【0060】
次に、テラヘルツ波検出装置1の作用を説明する。
テラヘルツ波検出装置1の波長フィルター2の金属膜5にテラヘルツ波が入射すると、所定の波長のテラヘルツ波がその金属膜5を通過する。この場合、所定の波長以外のテラヘルツ波の大部分を遮断することができる。また、波長フィルター2においてテラヘルツ波吸収層4によりテラヘルツ波が圧縮され、その波長が短くなり吸収される。これによりテラヘルツ波検出装置の小型化が可能となる。
【0061】
次に、金属膜5を通過した所定の波長のテラヘルツ波は、テラヘルツ波吸収層4において、熱に変換される。そして、検出部3において、熱に変換されたテラヘルツ波のエネルギーが検出される。この検出結果を示す信号は、例えば、検出部3に接続された図示しないパーソナルコンピューター等の外部装置に送出される。
【0062】
以上説明したように、このテラヘルツ波検出装置1によれば、波長フィルター2において、テラヘルツ波吸収層4によりテラヘルツ波が圧縮され、その波長が短くなり、これにより波長フィルター2の面積を小さくすることができ、テラヘルツ波検出装置の小型化が可能となる。
【0063】
さらに、波長フィルター2の面積が小さくなることにより、複数の波長フィルター2を設けた場合に、波長フィルター2同士の間隔を小さくすることができる。すなわち、波長フィルター2に対応して設けた複数の検出部3同士の間隔を小さくすることができ、テラヘルツ波検出装置の解像度を高めることができる。
【0064】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化したテラヘルツ波検出装置の一実施形態について図2のテラヘルツ波検出装置の構成を示す概略斜視図を用いて説明する。
本実施形態が第1実施形態と異なるところは、波長フィルターに孔部51の中心間距離が異なる領域を複数配置されている点にある。尚、第2実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。また、前述の実施形態と同様の構成については前述の実施形態と同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0065】
図2に示すように波長フィルター2には破線によって境界が示される第1の領域21、第2の領域22、第3の領域23、第4の領域24の4つの領域に区切られている。各領域では、隣り合う2つの孔部51の中心間距離が互いに異なり、互いに異なる波長のテラヘルツ波を通過させる。
【0066】
第1の領域21、第2の領域22、第3の領域23および第4の領域24は、総て同一形状、すなわち四角形をなしており、また、同一の寸法を有している。第1の領域21は、図2中の右上、第2の領域22は、図2中の右下、第3の領域23は、図2中の左上、第4の領域24は、図2中の左下に、それぞれ配置されている。入射面52の法線方向からの平面視における隣り合う2つの孔部51の中心間距離(孔部51のピッチ)は、第1の領域21では第1のピッチとしてのs1、第2の領域22では第2のピッチとしてのs2、第3の領域23では第3のピッチとしてのs3、第4の領域24では第4のピッチとしてのs4に設定されている。そして、s1<s2<s3<s4の関係となっている。これにより、通過波長は、第4の領域24、第3の領域23、第2の領域22、第1の領域21の順に長くなっている。
【0067】
また、波長フィルター2の有するテラヘルツ波吸収層4は、第1の領域21のテラヘルツ波吸収層42と、第2の領域22のテラヘルツ波吸収層43と、第3の領域23のテラヘルツ波吸収層41と、第4の領域24のテラヘルツ波吸収層44と、は同一の材料、同一の膜厚であることが好ましい。
【0068】
尚、第1の領域21の孔部51の直径と、第2の領域22の孔部51の直径と、第3の領域23の孔部51の直径と、第4の領域24の孔部51の直径とは、同一であってもよく、また、異なっていてもよい。本実施形態では、例えば、同一に設定されている。
【0069】
また、検出部3は、波長フィルター2の第1の領域21、第2の領域22、第3の領域23および第4の領域24に対応してそれぞれ設けられた第1の単位検出部31、第2の単位検出部32、第3の単位検出部33および第4の単位検出部34を有している。この第1の単位検出部31、第2の単位検出部32、第3の単位検出部33および第4の単位検出部34は、それぞれ、第1の領域21、第2の領域22、第3の領域23および第4の領域24を通過したテラヘルツ波を熱に変換して検出する。これにより、4つの所望の波長のテラヘルツ波をそれぞれ検出することができる。
【0070】
尚、互いに異なる波長のテラヘルツ波を通過させる領域の数や、単位検出部の数は、検出を行いたいテラヘルツ波の波長の数に応じて設ければ良い。単位検出部の数は、例えば、それぞれ、4つに限らず、2つでもよく、また、3つでもよく、また、5つ以上でもよい。単位検出部の数が多い方が検出する波長の数を多くすることができる。
【0071】
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化したテラヘルツ波検出装置の一実施形態について図3(a)のテラヘルツ波検出装置の構成を示す模式平面図と図3(b)の要部概略斜視図を用いて説明する。
本実施形態が第2実施形態と異なるところは、第2実施形態における波長フィルター2が格子状に配置されている点にある。尚、第3実施形態について、前述した第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。また、前述の実施形態と同様の構成については前述の実施形態と同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0072】
尚、図3(a)では、波長フィルター2の第1の領域21と、第2の領域22と、第3の領域23と、第4の領域24との境界を破線により示している。また、実線により、隣り合う2つの単位領域としての画素25の境界を示す。また、図3(b)には図3(a)の破線で丸く囲った部位を拡大して示す。また、図3(a)では、孔部51は省略して図示している。
【0073】
図3(a)に示すように、第3実施形態のテラヘルツ波検出装置1では、波長フィルター2は、2次元的に配置された複数の単位領域としての画素25を有している。すなわち、各画素25は、行列状に配置されている。
【0074】
また、各画素25は、それぞれ第2実施形態における波長フィルター2に相当している。すなわち、各画素25は、隣り合う2つの孔部51の中心間距離が互いに異なり、互いに異なる波長のテラヘルツ波を通過させる複数の領域、すなわち、第1の領域21、第2の領域22、第3の領域23および第4の領域24を有している。尚、第1の領域21、第2の領域22、第3の領域23および第4の領域24の各領域については、第2実施形態と同様であるのでその説明は省略する。
【0075】
また、検出部3は、波長フィルター2の各画素25の第1の領域21、第2の領域22、第3の領域23および第4の領域24に対応してそれぞれ設けられた第1の単位検出部31、第2の単位検出部32、第3の単位検出部33および第4の単位検出部34を有している。各第1の単位検出部31、各第2の単位検出部32、各第3の単位検出部33および各第4の単位検出部34は、それぞれ、各画素25の第1の領域21、第2の領域22、第3の領域23および第4の領域24を通過したテラヘルツ波を熱に変換して検出する。これにより、各画素25のそれぞれにおいて、4つの所定の波長のテラヘルツ波をそれぞれ検出することができる。
【0076】
本実施形態のテラヘルツ波検出装置1の波長フィルター2は、第1の領域21、第2の領域22、第3の領域23、第4の領域24を含む同一の単位領域を複数配列したものを示したが、これに限られない。例えば、各単位領域の中に、第1の領域21、第2の領域22、第3の領域23、第4の領域24が含まれていれば、単位領域内での各領域の配列は同一でなくても良い。また、単位領域に含まれる各領域の数や、単位検出部の数は、検出を行いたいテラヘルツ波の波長の数に応じて設ければ良く、4つに限られない。例えば、それぞれ、2つでもよく、また、3つでもよく、また、5つ以上でもよい。
【0077】
尚、本発明では、波長フィルター2の画素25は、平面上に2次元に配置されたが、1次元的、例えば、直線状に配置されていてもよい。
【0078】
本実施形態によれば、波長フィルター2は、複数の画素25を有している。そして、各画素25において第1の領域21と第2の領域22で孔部51のピッチであるs1とs2が異なっている。従って、熱に変換される所定のテラヘルツ波の波長が、第1の領域21と第2の領域22で異なる。その結果、画素25毎に複数の所定の波長のテラヘルツ波を精度よく検出することができる。
【0079】
(第4実施形態)
次に、本発明を具体化したテラヘルツ波検出装置を用いたイメージング装置の一実施形態について図4〜図6を用いて説明する。図4は、イメージング装置の構成を示すブロック図である。
【0080】
図4に示すように、イメージング装置100は、テラヘルツ波を発生するテラヘルツ波発生装置11を備えている。テラヘルツ波発生装置11がテラヘルツ波を射出し、対象物150を透過または反射したテラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出装置1をさらに備えている。テラヘルツ波検出装置1は画像生成部12と接続され、画像生成部12は、テラヘルツ波検出装置1の検出結果に基づいて、対象物150の画像、すなわち、画像データを生成する。
【0081】
テラヘルツ波検出装置1としては、本実施形態では、前記第3実施形態のものを用いる。尚、前述の実施形態と同様の構成については前述の実施形態と同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0082】
また、テラヘルツ波発生装置11としては、例えば、量子カスケードレーザー、光伝導アンテナと短パルスレーザーを用いた方式、非線形光学結晶を用いた差周波発生方式のもの等が挙げられる。
【0083】
次に、イメージング装置100の使用例について説明する。
まず、分光イメージングの対象となる対象物150は、3つの物質A、物質Bおよび物質Cで構成されている。イメージング装置100は、この対象物150の分光イメージングを行う。また、ここでは、一例として、テラヘルツ波検出装置1は、対象物150を反射したテラヘルツ波を検出することとする。
【0084】
テラヘルツ波検出装置1の波長フィルター2の各画素25においては、第1の領域21および第2の領域22を使用する。第1の領域21の通過波長をλ1、第2の領域22の通過波長をλ2とし、対象物150で反射したテラヘルツ波の波長λ1の成分の強度をα1、波長λ2の成分の強度をα2としたとき、その強度α2と強度α1の差分(α2−α1)が、物質Aと物質Bと物質Cとで、互いに顕著に区別できるように、前記第1の領域21の通過波長λ1および第2の領域22の通過波長λ2が設定されている。
【0085】
図5は、対象物のテラヘルツ帯でのスペクトルを示すグラフである。対象物150で反射したテラヘルツ波の波長λ2の成分の強度をα2と波長λ1の成分の強度をα1とする。図5に示すように、物質Aにおいては強度α2より強度α1が小さいので差分(α2−α1)は正値となる。物質Bにおいては強度α2と強度α1とが略同じなので差分(α2−α1)は零となる。物質Cにおいては強度α2より強度α1が大きいので差分(α2−α1)は負値となる。
【0086】
イメージング装置100により、対象物150の分光イメージングを行う際は、まず、テラヘルツ波発生装置11により、テラヘルツ波を発生し、そのテラヘルツ波を対象物150に照射する。そして、対象物150で反射したテラヘルツ波をテラヘルツ波検出装置1が強度α1および強度α2として検出する。この検出結果は、画像生成部12に送出される。尚、対象物150へのテラヘルツ波の照射および対象物150で反射したテラヘルツ波の検出は対象物150の全体に対して行なわれる。
【0087】
画像生成部12は、テラヘルツ波検出装置1の検出結果に基づいて差分(α2−α1)を求める。つまり、波長フィルター2の第2の領域22を通過したテラヘルツ波の波長λ2の成分の強度α2を入力する。さらに、第1の領域21を通過したテラヘルツ波の波長λ1の成分の強度α1を入力する。次に、画像生成部12は差分(α2−α1)を求める。そして、対象物150のうち、前記差分が正値となる部位を物質A、差分(α2−α1)が零となる部位を物質B、前記差分が負値となる部位を物質Cと判断し、特定する。
【0088】
図6は、画像生成部が算出した画像データを説明するための模式図である。図6に示すように、画像生成部12は対象物150の物質A、BおよびCの分布を示す画像の画像データを作成する。この画像データは画像生成部12から図示しないモニターに送出される。そして、モニターには対象物150の物質A、物質Bおよび物質Cの分布を示す画像が表示される。このとき、例えば、対象物150の物質Aの分布する領域は黒色、物質Bの分布する領域は灰色、物質Cの分布する領域は白色に色分けして表示される。このイメージング装置100では、以上のように、対象物150を構成する各物質の同定と、その各部質の分布測定とを同時に行うことができる。
【0089】
尚、イメージング装置100の用途は、前記のものに限らず、例えば、人物に対してテラヘルツ波を照射し、その人物を透過または反射したテラヘルツ波を検出し、画像生成部12において処理を行うことにより、その人物が、拳銃、ナイフ、違法な薬物等を所持しているか否かを判別することもできる。
【0090】
本実施形態によれば、波長フィルター2において、金属膜5よりテラヘルツ波吸収層4に入射したテラヘルツ波は圧縮され、テラヘルツ吸収がない場合よりも、その波長が短くなる。従って、テラヘルツ波の波長フィルター2を従来よりも小型にすることが可能になる。その結果、イメージング装置100を小型にすることができる。
【0091】
(第5実施形態)
次に、本発明を具体化したテラヘルツ波検出装置を用いた計測装置の一実施形態について図7を用いて説明する。図7は、計測装置の構成を示すブロック図である。以下、計測装置の実施形態について、前述したイメージング装置の実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0092】
図7に示すように、計測装置200は、テラヘルツ波を発生するテラヘルツ波発生装置11を備えている。そして、テラヘルツ波発生装置11は対象物160にテラヘルツ波を射出する。さらに、計測装置200は、対象物160を透過または反射したテラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出装置1を備えている。テラヘルツ波検出装置1は計測部13と接続され、計測部13はテラヘルツ波検出装置1の検出結果に基づいて対象物160を計測する。
【0093】
テラヘルツ波検出装置1としては、本実施形態では、前記第3実施形態のものを用いる。尚、前述の実施形態と同様の構成については前述の実施形態と同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0094】
また、テラヘルツ波発生装置11としては、例えば、量子カスケードレーザー、光伝導アンテナと短パルスレーザーを用いた方式、非線形光学結晶を用いた差周波発生方式のもの等が挙げられる。
【0095】
次に、計測装置200の使用例について説明する。
計測装置200は対象物160の分光計測を行うことが可能となっている。まず、テラヘルツ波発生装置11がテラヘルツ波を発生させて、そのテラヘルツ波を対象物160に照射する。そして、対象物160を透過または反射したテラヘルツ波をテラヘルツ波検出装置1が検出する。テラヘルツ波検出装置1は検出結果を計測部13に送出する。尚、この対象物160へのテラヘルツ波の照射は対象物160の全体に対して行う。そして、対象物160を透過または反射したテラヘルツ波の検出についても対象物160の全体に対して行う。
【0096】
計測部13は検出結果を入力し、波長フィルター2の第1の領域21、第2の領域22、第3の領域23および第4の領域24を通過したテラヘルツ波のそれぞれの強度を把握する。次に、計測部13は対象物160の成分およびその分布の分析等を行う。
【0097】
本実施形態によれば、波長フィルター2において、金属膜5よりテラヘルツ波吸収層4に入射したテラヘルツ波は圧縮され、テラヘルツ吸収がない場合よりも、その波長が短くなる。従って、テラヘルツ波の波長フィルター2を従来よりも小型にすることが可能になる。その結果、計測装置200を小型にすることができる。
【0098】
以上、本発明のテラヘルツ波検出装置、イメージング装置および計測装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。
【0099】
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0100】
1…テラヘルツ波検出装置 2…波長フィルター 21…第1の領域 22…第2の領域 23…第3の領域 24…第4の領域 25…画素 3…検出部 31…第1の単位検出部 32…第2の単位検出部 33…第3の単位検出部 34…第4の単位検出部 4…テラヘルツ波吸収層 5…金属膜 51…孔部 511…直線 52…入射面 53…射出面 11…テラヘルツ波発生装置 12…画像生成部 13…計測部 100…イメージング装置 150,160…対象物 200…計測装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の波長のテラヘルツ波を熱に変換する波長フィルターと、
前記波長フィルターで変換された熱を検出する検出部と、を備え、
前記波長フィルターは、テラヘルツ波が入射する入射面と前記入射面に対向する面とを連通する複数の孔部を有する金属層と、
前記金属層の前記入射面に対向する面に接して設けられ、かつ前記検出部においてテラヘルツ波の入射方向の面に接して設けられ、かつ前記テラヘルツ波を吸収する材料を含むテラヘルツ波吸収層と、を有し、
前記複数の孔部は、前記入射面の法線に垂直な方向に沿って所定のピッチで設けられていることを特徴とするテラヘルツ波検出装置。
【請求項2】
前記テラヘルツ波吸収層の材料の比誘電率が10以上500以下であることを特徴とする請求項1に記載のテラヘルツ波検出装置。
【請求項3】
前記テラヘルツ波吸収層の材料のシート抵抗が、300Ω/□以下50Ω/□以上であり、かつ、前記テラヘルツ波吸収層の膜厚が1nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のテラヘルツ波検出装置。
【請求項4】
前記テラヘルツ波吸収層の材料は、金属合金材料であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のテラヘルツ波検出装置。
【請求項5】
前記テラヘルツ波吸収層の材料は、シリコン化合物であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のテラヘルツ波検出装置。
【請求項6】
前記テラヘルツ波吸収層の材料は、窒素化合物であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のテラヘルツ波検出装置。
【請求項7】
前記孔部の前記入射面の法線方向からの平面視での形状は、円形であり、
前記孔部は、前記円形の直径をd、前記入射面の法線方向からの平面視における隣り合う2つの前記孔部の前記円形の中心間距離をsとしたとき、下記式1を満足するよう設けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のテラヘルツ波検出装置。
0.25≦d/s<1 ・・・(1)
【請求項8】
前記金属層の前記入射面の法線方向に沿った厚さは、前記所定の波長以下であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載のテラヘルツ波検出装置。
【請求項9】
前記隣り合う2つの前記孔部の前記所定のピッチは、前記所定の波長と同一の長さであることを特徴とする請求項7に記載のテラヘルツ波検出装置。
【請求項10】
前記波長フィルターは、
前記複数の孔部が前記入射面の法線に垂直な方向に沿って第1のピッチで設けられる第1の領域と、
前記複数の孔部が前記入射面の法線に垂直な方向に沿って第2のピッチで設けられる第2の領域と、を有することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載のテラヘルツ波検出装置。
【請求項11】
前記波長フィルターは、複数の単位領域を有しており、
前記複数の単位領域は、それぞれ、前記複数の孔部が前記入射面の法線に垂直な方向に沿って第1のピッチで設けられる第1の領域と、
前記複数の孔部が前記入射面の法線に垂直な方向に沿って第2のピッチで設けられる第2の領域と、を有することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載のテラヘルツ波検出装置。
【請求項12】
前記検出部は、前記波長フィルターの前記第1の領域および前記第2の領域に対応してそれぞれ設けられ、当該領域を通過したテラヘルツ波を熱に変換して検出する複数の単位検出部を有することを特徴とする請求項10または11に記載のテラヘルツ波検出装置。
【請求項13】
テラヘルツ波を発生するテラヘルツ波発生装置と、
前記テラヘルツ波発生装置から射出して対象物を透過または反射した前記テラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出装置と、
前記テラヘルツ波検出装置の検出結果に基づいて、前記対象物の画像を生成する画像生成部と、を備え、
前記テラヘルツ波検出装置は、
所定の波長のテラヘルツ波を通過させる波長フィルターと、
前記波長フィルターを通過した前記所定の波長のテラヘルツ波を熱に変換して検出する検出部と、を備え、
前記波長フィルターは、
前記テラヘルツ波発生装置から射出した前記テラヘルツ波が入射する入射面と前記所定の波長のテラヘルツ波が射出する射出面とを連通する、複数の孔部を有する金属層と、
前記テラヘルツ波を吸収する材料を含むテラヘルツ波吸収層と、を備え、
前記複数の孔部は、前記入射面の法線に垂直な方向に沿って所定のピッチで設けられていることを特徴とするイメージング装置。
【請求項14】
テラヘルツ波を発生するテラヘルツ波発生装置と、
前記テラヘルツ波発生装置から射出して対象物を透過または反射したテラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出装置と、
前記テラヘルツ波検出装置の検出結果に基づいて、前記対象物を計測する計測部と、を備え、
前記テラヘルツ波検出装置は、
所定の波長のテラヘルツ波を通過させる波長フィルターと、
前記波長フィルターを通過した前記所定の波長のテラヘルツ波を熱に変換して検出する検出部と、を備え、
前記波長フィルターは、
前記テラヘルツ波発生装置から射出した前記テラヘルツ波が入射する入射面と前記所定の波長のテラヘルツ波が射出する射出面とを連通する、複数の孔部を有する金属層と、
前記テラヘルツ波を吸収する材料を含むテラヘルツ波吸収層と、を備え、
前記複数の孔部は、前記入射面の法線に垂直な方向に沿って所定のピッチで設けられていることを特徴とする計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−92374(P2013−92374A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232556(P2011−232556)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)