説明

テレビジョンカメラ装置

【課題】
ビューファインダの角度調節は、容易であるが、位置の変更についてはあまり自由度がない。また、薄型のディスプレイは、視野角が狭いために傾斜したビューファインダとして使用した場合、画像が見にくくなり、撮影画像の確認ができず、撮影者は、撮影に支障をきたす恐れが生じる。
【解決手段】
テレビジョンカメラ装置は、カメラヘッドと、上記カメラヘッドに装着されるビューファインダと、上記ビューファインダを上記カメラヘッドに装着する接続機構部および上記カメラヘッドに上記ビューファインダを装着するハンドルを有し、上記接続機構部は、可動自在の接続アームからなり、上記ビューファインダの支持部が上記接続アームの一端に結合され、上記接続アームの他端が上記ハンドルに結合されるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョンカメラ装置に関し、特に、カメラヘッドの撮影方向に対して適宜表示面の角度を調節できるビューファインダを具えたテレビジョンカメラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のテレビジョンカメラ装置(例えば、特許文献1参照)を図6を用いて説明する。例えば、スタジオ内でテレビ撮影を行なう場合、テレビジョンカメラヘッド601を三脚602に取り付けて撮影をする。この時に使用されるビューファインダ603は、通常、5形サイズのディスプレイが用いられる場合が多い。このビューファインダ603は、テレビジョンカメラヘッド601の上後部に半固定アダプタ604で取り付けられるため、一旦撮影者605が被写体606とテレビジョンカメラヘッド601との位置、角度および撮影者605の視線に基づいて、そのビューファインダの画面が操作者の正面になるよう調節し、テレビジョンカメラヘッド601の撮影画像をモニタするのが一般的である。
【0003】
而して、テレビジョンカメラヘッド601は、被写体606を撮像する場合、被写体606が動いている場合あるいはテレビジョンカメラヘッド601の視野を移動しなければ撮影できない位置に位置する場合等があり、被写体606とテレビジョンカメラヘッド601との間の位置、角度を変更する場合が発生する。例えば、図7に示すように被写体701を撮像するのにテレビジョンカメラヘッド601を例えば、テレビジョンカメラヘッド601の光軸を30度下方に傾斜させる必要がある。即ち、図6に示す状態から図7に示す状態に変化した場合、テレビジョンカメラヘッド601の撮像アングルが変化する。この場合、テレビジョンカメラヘッド601の角度および上下位置が変化して、ビューファインダ603の位置もテレビジョンカメラヘッド601、三脚602と同じ方向に移動する。そのため撮影者605から見たビューファインダ603の画面は、正面に向かなくなる。従って、撮影者605は、ビューファインダ603の画面全体を確認することが困難になり撮影しずらくなるという問題がある。同様に、被写体701が上方に移動した場合には、やはりテレビジョンカメラヘッド601の光軸を上方に傾斜(図示せず。)させる必要があり、同様な問題が発生する。
【0004】
上述したビューファインダ603は、5形サイズのディスプレイとして説明したが、小型、軽量で、平面型のディスプレイとして例えば、液晶ディスプレイが最近良く利用されるようになってきている。図8は、平面ディスプレイを用いたビューファインダの一例を示している。なお、図8は、テレビジョンカメラヘッド601の一部のみが示されている。図8において、801は、テレビジョンカメラヘッド601に取付けられたハンドル、802は、平面型ディスプレイ(ビューファインダ603に対応する。)を示す。803は、平面型ディスプレイ802をハンドル801に取付けるためのビューファインダアダプタである。なお、804は、ビューファインダアダプタ803をハンドル801に取付けるためのアダプタ取付け部材で、溝部805を有している。そして、ビューファインダアダプタ803がアダプタ取付け部材804の溝部805に挿入され、ロック機構806で固定されるように構成されている。807は、回転レバーで、このレバー807を回転させ、緩めることで回転軸808を中心に平面型ディスプレイ802をチルトし撮影アングルに対応するようになっている。
【0005】
しかしながら、ビューファインダアダプタは、ビューファインダの角度調節は、容易であるが、位置の変更についてはあまり自由度がない。また、平面型ディスプレイ、例えば液晶ディスプレイは、小型、軽量と言う特徴があるが、視野角が狭いためにビューファインダとして使用した場合、例えば、図7のような使用状況では、画像が見にくくなり、撮影画像の確認ができず、撮影者は、撮影に支障をきたす恐れが発生する。
【0006】
【特許文献1】特開2000−59657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の従来技術では、ビューファインダの角度調節は、容易であるが、位置の変更についてはあまり自由度がない。また、薄型のディスプレイは、視野角が狭いために傾斜したビューファインダとして使用した場合、画像が見にくくなり、撮影画像の確認ができず、撮影者は、撮影に支障をきたす恐れが発生する。
【0008】
本発明の目的は、カメラヘッドの撮影方向に対して適宜表示面の角度を調節できるビューファインダを具えたテレビジョンカメラ装置を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、カメラヘッドの撮影方向の移動に対して常に撮影者が見易い表示画面となるような調節機能付ビューファインダを具えたテレビジョンカメラ装置を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、カメラヘッドの光軸に近くビューファンダーを配置できるテレビジョンカメラ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のテレビジョンカメラ装置は、カメラヘッドと、上記カメラヘッドに装着されるビューファインダと、上記ビューファインダを上記カメラヘッドに装着する接続機構部および上記カメラヘッドに上記ビューファインダを装着するハンドルを有し、上記接続機構部は、可動自在の接続アームからなり、上記ビューファインダの支持部が上記接続アームの一端に結合され、上記接続アームの他端が上記ハンドルに結合されるように構成される。
【0012】
また、本発明のテレビジョンカメラ装置において、上記ハンドルは、所定の長さの溝部を有し、上記接続アームの他端が上記溝部を適宜移動するように構成される。
【0013】
また、本発明のテレビジョンカメラ装置において、上記接続アームと結合する上記ビューファインダの支持部との間および上記接続アームと結合する上記ハンドルの溝部との間にブレーキ材を挿入するように構成される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、カメラヘッドの撮影方向に対して適宜ビューファインダの表示面の角度を調節でき、また、カメラヘッドの撮影方向の移動に対して常に撮影者が見易い表示画面となるようなビューファインダの取付け構造を実現した。更に、視野角が狭い液晶のようなビューファインダに好適な取付け構造を実現できる特徴がある。更に、カメラヘッドの光軸に近くビューファンダーを配置できるので、撮影画像が見やすいという特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例を説明するための概略構成図である。図1において、101は、カメラヘッド、102は、光学系を装着するための勘合部、103は、光学系の光軸を示す。なお、光学系は、省略してある。104は、被写体を示し、この被写体が光学系を介してカメラヘッド101で撮像されるようになっている。105は、カメラヘッド101を搭載する三脚であり、カメラヘッド101は、三脚105の固定台107に載置されている。そして、角度調節レバー106は、被写体104の動きや位置に応じてカメラヘッド101を適宜傾斜させるためのものである。
【0016】
108は、カメラヘッド101を操作するためのボタン、スイッチ類が設けられている操作パネル、109は、カメラヘッド101に取付けられたハンドル、110は、ハンドル109に設けられた溝部を示す。111は、例えば、液晶ディスプレイのような平面型ディスプレイ装置(表示装置)であり、この平面型ディスプレイ装置は、接続機構部112でハンドル109の溝部110の上端部に固定される。
【0017】
この接続機構部112は、撮影者113が平面型ディスプレイ装置111を見ながらカメラヘッド101を操作するのに便利なように平面型ディスプレイ装置111の位置、角度を調節できる機構を有している。即ち、撮影者113が平面型ディスプレイ装置111を見易いようにほぼ垂直(撮影者113の目線114にほぼ垂直)に配置できるように調節する機構を有し、また、接続機構部112は、ハンドル109の溝部110を適宜移動できるように構成されている。更に、平面型ディスプレイ装置111は、操作パネル108の面とほぼ同じ面内に位置するように位置合せが可能であり、撮影者113から平面型ディスプレイ装置111の表示面までの距離と、撮影者113から操作パネル108の面までの距離をほぼ等距離にできるので、ディスプレイ装置の表示面も、操作パネルの面も両方とも見やすくなる利点がある。
【0018】
次に、接続機構部112の詳細について図2を用いて説明する。図2は、平面型ディスプレイ装置111を接続機構部112でハンドル109に固定した状態の平面図を示している。この接続機構部112は、接続アーム201と、接続アーム201の端部202をハンドル109の溝部110(図1に示す。)に固定するための締付けネジ206と、接続アーム201の他の端部203を平面型ディスプレイ装置111の支持部材205と接続する締付けネジ207とから構成されている。なお、接続アーム201の端部202とハンドル109との間には、ブレーキ材、例えば、ゴムやプラスチック等の弾性体204が挿入されている。同様に接続アーム201の他の端部203と支持部材205との間にもブレーキ材が挿入されている。従って、このブレーキ材204の作用により平面型ディスプレイ装置111の支持部材205と接続アーム201およびハンドル109との間で、適度な摩擦力を有し、平面型ディスプレイ装置111が適宜必要な位置と角度で固定できるように調整できるようになっている。なお、上記接続機構部112は、接続アーム201を1個用いる構成の接続機構部で説明したが必要に応じて2個あるいは3個用いることで、位置と傾斜角を更に任意に変更ができる特徴がある。また、締付けネジ206および207の締め付け部分にブレーキ材を使用しているので、平面型ディスプレイ装置111は、適当な位置で半固定される。従って、カメラヘッド101を移動したり、傾きを変更したい場合、その都度、締付けネジ206および207を緩めたり、締付けたりする必要はなく、平面型ディスプレイ装置111を、例えば、手動で動かすだけで撮影者の希望する姿勢(位置と角度)で止めることが可能である。
【0019】
而して、カメラヘッド101は、被写体104を撮像する場合、被写体104が動いている場合あるいはカメラヘッド101の視野(または光軸103)を移動しなければ撮影できない位置に位置する場合等があり、被写体104とカメラヘッド101との間の位置、角度を変更する場合が発生する。このような場合、上述した構造の接続機構部112で平面型ディスプレイ装置111をカメラヘッド101に取付けられたハンドル109に固定すると、撮影者の希望する位置と角度に平面型ディスプレイ装置111を固定することができる。これについて以下に説明する。
【0020】
図3は、例えば、カメラヘッド101が被写体104を撮像するのにカメラヘッド101の光軸103を30度下方に傾斜させた場合を示している。なお、図1と同じものには同じ符号が付されている。この場合、通常であれば平面型ディスプレイ装置111は、例えば、図7に示すように表示面は、垂直に対して約30度傾斜する。従って、撮影者の目線114に対して30度傾斜するため、平面型ディスプレイ装置に表示される映像は、極めて見難いものとなる。しかしながら本発明の接続機構部112を用いることで、図3に示すようにカメラヘッド101の光軸が30度傾いた場合でも、平面型ディスプレイ装置111の表示面は、撮影者の目線114に対して垂直になるように調節ができる。そのためには接続アーム201の端部202の固定位置を図3で示すようにハンドル109の溝部110を若干移動させ、また、平面型ディスプレイ装置111の支持部材205と接続アーム201を若干折り曲げることで位置調節が可能である。また、平面型ディスプレイ装置111を操作パネル108の面の近くに配置することも可能であるので、平面型ディスプレイ装置の表示画面を見ながら操作パネルの操作をすることができる。
【0021】
同様に、図4は、カメラヘッド101が被写体104を撮像するのにカメラヘッド101の光軸103を30度上方に傾斜させた場合を示している。なお、図1と同じものには同じ符号が付されている。この場合も通常であれば平面型ディスプレイ装置111は、垂直に対して約30度傾斜する。従って、撮影者の目線114に対して30度傾斜するため、平面型ディスプレイ装置に表示される映像は、極めて見難いものとなる。しかしながら本発明の接続機構部112を用いることで、図4に示すようにカメラヘッド101の光軸が30度上方に傾いた場合でも、接続アーム201の端部202の固定位置を図4で示すようにハンドル109の溝部110の下方に移動させ、また、平面型ディスプレイ装置111の支持部材205と接続アーム201を適宜折り曲げることで位置調節が可能である。その結果、平面型ディスプレイ装置111の表示面は、撮影者の目線114に対してほぼ垂直になるように調節ができる。また、平面型ディスプレイ装置111を操作パネル108の面の近くに配置することも可能であるので、平面型ディスプレイ装置の表示画面を見ながら操作パネルの操作をすることができる。
【0022】
なお、上述した実施例において、カメラヘッド101の角度を移動した場合、平面型ディスプレイ装置111もそれに応じて角度を、例えば、手動で変更する機構について説明した。しかしながら例えば、固定台107の傾きをセンサー等で検出し、この検出信号で接続機構部112をモータ等の駆動機構部で駆動し、平面型ディスプレイ装置111が目線114にほぼ垂直になるように自動的に調節するように構成することは容易に実施できることは言うまでもない。
【0023】
更に、上述した接続機構部112を使用すると図5に示すように平面型ディスプレイ装置111の表示面をできるだけカメラヘッド101の光軸103に近づけることが可能になる。このように平面型ディスプレイ装置111の表示面を光軸103に近づけることで、撮影者113は、撮影者が自分の目で見ている視野範囲と、平面型ディスプレイ装置111の表示面に表示される映像とがほぼ一致させることができる。従って、撮影者は、自分の目で見ている視野範囲と表示面に表示される映像との間の違和感がなく、撮影に極めて好都合となる。
【0024】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載されたテレビジョンカメラ装置の実施例に限定されるものではなく、上記以外のテレビジョンカメラ装置に広く適応することが出来ることは、言うまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の接続機構部の拡大図を示す。
【図3】本発明の一実施例の使用形態を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施例の他の使用形態を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施例の更に他の使用形態を説明するための図である。
【図6】従来のテレビジョンカメラ装置の概略構成を示す図である。
【図7】従来のテレビジョンカメラ装置の使用形態を説明するための図である。
【図8】従来の平面ディスプレイを用いたビューファインダの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
101、601:カメラヘッド、102:光学系を装着するための勘合部、103:光学系の光軸、104、606、701:被写体、105、602:三脚、106:角度調節レバー、107:固定台、108:操作パネル、109:ハンドル、110:溝部、111:平面型ディスプレイ装置、112:接続機構部、113、605:撮影者、114:撮影者の目線、201:接続アーム、202、203:接続アームの端部、204:ブレーキ材、205:平面型ディスプレイ装置の支持部材、206、207:締付けネジ、603:ビューファインダ、604:半固定アダプタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラヘッドと、上記カメラヘッドに装着されるビューファインダと、上記ビューファインダを上記カメラヘッドに装着する接続機構部および上記カメラヘッドに上記ビューファインダを装着するハンドルを有し、上記接続機構部は、可動自在の接続アームからなり、上記ビューファインダの支持部が上記接続アームの一端に結合され、上記接続アームの他端が上記ハンドルに結合されることを特徴とするテレビジョンカメラ装置。
【請求項2】
請求項1記載のテレビジョンカメラ装置において、上記ハンドルは、所定の長さの溝部を有し、上記接続アームの他端が上記溝部を適宜移動するように構成されていることを特徴とするテレビジョンカメラ装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のテレビジョンカメラ装置において、上記接続アームと結合する上記ビューファインダの支持部との間および上記接続アームと結合する上記ハンドルの溝部との間にブレーキ材を挿入したことを特徴とするテレビジョンカメラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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