説明

テーパードブロック共重合体を含有した改質アスファルト組成物

【課題】従来と同等以上の軟化点を示すと同時に、低温で優れた延性を発現し、塗料舗装用、防水シート用およびシーラント用として適用可能な改質アスファルト組成物を提供する。
【解決手段】
アスファルト100重量部と、下記化学式1に表されるブロック共重合体が0.5〜40重量部含有することを特徴とする改質アスファルト組成物。
[化学式1]
1−B1−X−B2−A2
前記化学式1において、A1およびA2は各々芳香族ビニル単量体を含有した高分子ブロックであり、B1およびB2は各々ブタジエン系単量体を含有する高分子ブロックであり、Xはカップリング剤であり、Aのブロック率は70〜95%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアスファルトおよび芳香族ビニル単量体ブロックの両末端に短いブタジエン系単量体ブロックが存在するテーパードブロック共重合体を含有し、従来と同等以上の軟化点を示すと同時に、低温で優れた延性を発現し、塗料舗装用、防水シート用およびシーラント用として適用可能なブロック共重合体を含有した改質アスファルト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、改質されていないアスファルトは道路舗装、防水シートを製造する際、温度に非常に敏感に挙動し、高温では温度または荷重により押されて塑性変形が発生しやすく、低温では反復荷重による下部からの疲労亀裂と急激な温度変化による反復的な伸縮により上部からの亀裂破壊が起きる。また、道路舗設後、道路の特性上、時間の経過、通行車両の増加によってアスファルトの塑性変形、温度感応性、疲労亀裂、低温亀裂などに対する抵抗性が急激に落ちるという問題を持っている。
【0003】
このような問題点を改善するために、最近では高分子を添加して改質させたアスファルトを使用しており、例えば、低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴムなどの高分子を混合使用し、高温での軟化現象による塑性変形への抵抗性を向上させ、外部応力および反復収縮による低温での衝撃亀裂を抑制するのに優れた効果を見せる改質アスファルトに対する様々な研究が行われており、実際の産業現場で道路に適用する場合が漸進的に増加している。
【0004】
特許文献1および特許文献2には、アスファルトに線形ポリエチレン、エチレン酢酸ビニルまたはスチレン−ブタジエンゴムのような熱可塑性弾性体を添加し、物性をより向上させたアスファルト/重合体組成物の製造方法を提示している。
【0005】
特許文献3には、ポリ塩化フェニレン樹脂を含むアスファルト塑性物に陰イオン重合にて製造された線形スチレン−ブタジエン−スチレン三元ブロック共重合体またはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体のような熱可塑性弾性体を10〜30重量部投入することで、加硫工程と加硫剤が必要のない単純な工程で製造される組成物を提示している。このような組成物が経済的な長所を有し、アスファルトと高分子間の相溶性が向上される特徴を示すことを提示している。
【0006】
非特許文献1には、放射形スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体をアスファルト組成物の製造に使用することで、加工性、軟化点、加工安定性が向上され、適正粘度の維持に有利であることが提示されており、このようなアスファルト組成物がルーフィング、コーティング、ホットメルトアスファルトコンクリート、シーラント組成物として使用されることを提示している。
【0007】
特許文献4には、アスファルト、硫黄、高分子からなるアスファルト組成物について提示している。添加される高分子の含量は1重量部であり、天然ゴム、合成ゴムいずれでも良いが、放射形スチレン−ブタジエンランダム共重合体を添加した場合は、延性の向上がない反面、線形スチレン−ブタジエンランダム共重合体の場合は延性の向上があることを提示している。
【0008】
特許文献5には、極性基を有する高分子改質剤を利用してアスファルトとの接着性を向上させて延性が増加されたアスファルト組成物が提示されているが、シラン化合物またはマレイン酸無水物を利用して共役ジエン基をグラフトしたブタジエンゴムまたはスチレン−ブタジエン−スチレン三元ブロック共重合体が使用できることを提示している。
【0009】
水素添加された飽和構造の高分子であるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体をアスファルト改質剤として使用した特許文献6には、アスファルト、有機溶媒、非結晶質シリカ、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体とからなる組成物は望ましくは軟化点が華氏140℃付近に調節され、低温屈曲特性が向上される結果を示すことを提示している。
【0010】
特許文献7には、アスファルト、硫黄、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体とからなる組成物において高分子改質剤であるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の添加量を増加させることで、低温での延性および引張強度が増加されることを提示している。
【0011】
特許文献8には、線形スチレン−ブタジエン−スチレン三元ブロック共重合体と放射形スチレン−ブタジエン−スチレン三元ブロック共重合体の混合組成物をアスファルト改質剤として使用した例を提示しており、線形スチレン−ブタジエン−スチレン三元ブロック共重合体と放射形スチレン−ブタジエン−スチレン三元ブロック共重合体間の重量比を各々40〜100、60〜0で変化させ、アスファルトに投入した結果、溶解性が優れ、高温貯蔵安定性、延性、靭性が優れ、粘着力と軟化点が均衡をなす改質アスファルト組成物が製造されることを提示している。
【0012】
前述した通り、アスファルト道路舗装に使用される高分子に改質されたアスファルトは、純粋なアスファルト結合剤に比べて高温特性、低温特性、耐老化性および塑性変形抵抗性などの物性増進に非常に効果的であることで知られている。これは純粋なアスファルトに比べて優れた高分子材料が添加され、高分子ドメインを形成してアスファルトマトリクスを強化させるため、高温での高粘度による流動抵抗性の増進、低温での衝撃および亀裂抵抗性の増加、光および空気の接触による耐老化性が増加されるなどの特性が得られる。
【0013】
しかし、低温での耐亀裂性を評価するには延性がその物性を決定的に左右し、延性が高い場合、特に低温下で改質アスファルトの柔軟性が増加し、荷重による疲労現象や熱収縮膨張による亀裂による破壊現象が著しく減少する。従って、延性は特に低温地域で荷重による亀裂抵抗性を評価することができる重要な因子と言える。
【0014】
また、防水シートの材料などでは、低温領域で取り扱う際に収縮膨張による亀裂で発生し得る破損を防止するために、しばしば高分子などを添加して使用するが、この時、低温領域での破損防止効率を評価するが、低温特性の評価が重要な物性評価因子として適用される[KSF 4917,6.7屈曲性能]。
【0015】
一般的に、高分子改質アスファルトは低温領域で柔軟性向上と温度感応性を減少させ、高温領域での耐流動性の向上および変形を抑制させる機能をする。また、引張強度および硬度、靭性、骨材との接着力を向上させ、骨材流動による舗装体の破損を抑制させる。
【0016】
一方、低温領域での安定性の向上は、添加される高分子の種類によってその効果が異なって表れる。また、類似種類の高分子物質であるとしてもその高分子物質の構造によって温度感応性に対する抵抗性の効果が改善され得る。
【0017】
従来はアスファルトに高分子添加剤としてポリオレフィンやスチレン−ブタジエンランダム共重合体ゴムまたはスチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムなどが主として使用されてきた。特に、スチレン−ブタジエンランダム共重合体ゴムまたはスチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムなどは延性を増加させ、低温での反復的な伸縮による亀裂発生によるアスファルトの破壊を遅延させるのに寄与することで知られている。その他に、極低温で粉砕された廃タイヤ粉末を改質剤として利用したアスファルト組成物が使用されており、これは経済的な側面での長所を有しているが、全般的にスチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムの場合に比べて高温および低温での特性が落ちることで知られている。
【0018】
また、エチレン−プロピレンジエン系ゴムなども使用されているが、高い溶融温度により使用される分野が限定的であり、価格的な側面での問題をも有している。その他に、アスファルトと高分子改質剤間の高温での相分離を抑制するために、汎用的にアミン系化合物や硫黄化合物などが使用されており、極性基に置換された高分子を使用することもある。
【0019】
以上のように、高分子の添加により得られるアスファルト組成物の特性改善は添加される高分子の物性に大きく影響を受け、延性など更に優れたアスファルト特性を具現するための改質剤としての高分子の改善は継続的に要求されている。
【特許文献1】米国特許第3,985,694号
【特許文献2】米国特許第4,130,516号
【特許文献3】米国特許第3,345,316号
【特許文献4】米国特許第4,130,516号
【特許文献5】米国特許第5,130,354号
【特許文献6】米国特許第4,443,570号
【特許文献7】米国特許第4,412,019号
【特許文献8】大韓民国公開特許第2002−0013709号
【非特許文献1】米国法定発明登録H1580号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は従来の改質アスファルト組成物と同等以上の高温特性を維持すると同時に、低温での延性が非常に優れた改質アスファルト組成物を提供するものである。具体的に、重合体の両スチレンブロックの末端に短いブタジエンブロックが存在するテーパードスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を改質剤として使用し、高温での高い軟化点と低温領域での改質アスファルトの評価基準となる改質アスファルトの延性を向上させ、より優れた低温安定性の発現が可能な改質アスファルト組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明はアスファルト100重量部と、下記化学式1に表されるブロック共重合体が0.5〜40重量部を含有する改質アスファルト組成物にその特徴がある。
【0022】
[化学式1]
1−B1−X−B2−A2
【0023】
前記化学式1において、A1およびA2は各々芳香族ビニル単量体を含有した高分子ブロックであり、B1およびB2は各々ブタジエン系単量体を含有する高分子ブロックであり、Xはカップリング剤であり、Aのブロック率は70〜95%である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によって芳香族ビニル単量体ブロックの両末端に短いブタジエン系単量体ブロックが存在するテーパードブロック共重合体を改質剤として使用した改質アスファルト組成物は既存の線形あるいは放射形三元ブロック構造のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体が添加された改質アスファルト組成物と比較して、同等以上の物性を維持すると同時に、低温での非常に優れた延性を表し、塗料舗装用、防水シート用およびシーラント用として適用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の好ましい実施形態について、以下に詳細に言及する。
本発明はアスファルトおよび芳香族ビニル単量体ブロックの両末端に短いブタジエン系単量体ブロックが存在するテーパードブロック共重合体を改質剤として含有するアスファルト改質剤組成物に関する。
【0026】
本発明による改質アスファルト組成物をより具体的に見てみると下記の通りである。
【0027】
本発明は下記化学式1に表されるブロック共重合体をアスファルト改質剤として使用する。
【0028】
[化学式1]
1−B1−X−B2−A2
【0029】
前記化学式1において、A1およびA2は同一であるか異なるものであり、芳香族ビニル単量体を含有した高分子ブロックとして、前記芳香族ビニル単量体は具体的に、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレンおよびp−tert−ブチルスチレンの中から選択された1種類の単量体または2種類以上の単量体の混合物を使用することができ、好ましくはスチレンを使用する。
【0030】
1およびA2のブロック率、即ち、総芳香族ビニル単量体にブロックで存在する芳香族ビニル単量体の比率は70〜95%を維持し、ブロック率が70%未満の場合、トリブロックのスチレンドメイン形成に問題となり、引張強度特性が落ちる。前記ブロック率は95%を超過するブロック率を期待できないだけでなく、ブロック率を95%以上維持したとしても反応時間が長くなるため商業的に意味がなく、前記範囲を維持することが好ましい。
【0031】
1およびA2の数平均分子量は各々4,500〜15,000、好ましくは10,000〜12,500重量を維持し、前記数平均分子量が4,500未満の場合、スチレンドメイン形成が難しいため、機械的特性を発現することが難しく、15,000を超過する場合は延性が落ちると同時にゴム特性を失い得るため、前記範囲を維持することが好ましい。
【0032】
全体ブロック共重合体100重量部に対し、A1およびA2の芳香族ビニル単量体は15〜40重量部、好ましくは20〜30重量部で使用し、前記使用量が15重量部未満の場合、スチレンドメイン形成が難しいため、機械的特性を発現することが難しく、40重量部を超過する場合はゴム特性を失うため、前記範囲を維持することが好ましい。
【0033】
1およびB2は各々ブタジエン系単量体を含有した高分子ブロックとして、前記B1およびB2は各々の数平均分子量は35,000〜45,500、好ましくは35,000〜40,000重量を維持し、前記数平均分子量が35,000未満の場合、スチレンの含量が多くなるため延性が落ちる可能性があり、45,500を超過する場合はスチレンの含量が少なくなり、これは機械的特性を発現することが難しいという問題があるため、前記範囲を維持することが好ましい。
【0034】
全体ブロック共重合体100重量部に対し、B1およびB2は70〜90重量部、好ましくは70〜80重量部で使用され、前記使用量が70重量部未満の場合、ゴム特性を失うため延性が落ち、90重量部を超過する場合は機械的特性を発現できないため、前記範囲を維持することが好ましい。
【0035】
Xはカップリング剤であり、前記カップリング剤は当分野で一般的に使用するものを使用し、特別に限定はしないが、具体的にジクロロジシラン、ジクロロジメチルシラン、1,1−ジクロロシレタン、ジクロロエチルメチルシラン、ジクロロジエチルシラン、ジクロロメチルプロピルシランおよび1,2−ジクロロテトラメチルジシランなどを使用することが良い。好ましくは、ジクロロジシラン、ジクロロジメチルシラン等を用いる。このようなカップリング剤は重合開始剤に対して40〜60重量%で使用することが良く、前記使用量が前記範囲を外れる場合はカップリングされない部分が20%以上となり、機械的特性を発現することが難しいため、前記範囲を維持することが良い。
【0036】
前記ブロック共重合体の数平均分子量は50,000〜300,000、好ましくは70,000〜150,000を維持するが、数平均分子量が50,000未満の場合は、機械的応用物性の発現が容易ではなく、300,000を超過する場合は加工性が低下する傾向がある。
【0037】
このようなブロック共重合体は当分野で一般的に使用される方法で製造され、具体的に、有機リチウム化合物のような陰イオン開始剤下で通常の連続的な重合方法を使用し、ブロック共重合体を製造する。
【0038】
前記重合は通常的な陰イオン重合によるものであり、無水条件、窒素大気下で行われ、溶媒は陰イオンが反応しない溶媒を使用する。反応温度は40℃以上の反応温度で行い、反応溶媒として具体的に、テトラヒドロフランを使用し、500ppm以下の濃度で使用することがブロック率の調節に好ましい。
【0039】
一方、本発明は、アスファルト100重量部と、前記で言及したブロック共重合体0.05〜40重量部、好ましくは1〜25重量部で含有された改質アスファルト組成物にその特徴がある。前記含有量が0.05重量部未満の場合、高分子の濃度が非常に低いため、改質材として高分子性能の発現が難しく、40重量部を超過する場合は過度な高粘度を誘発し、改質アスファルトのブロック共重合体とアスファルトとの分散性、フロー性を低下させ、分散時間の遅延によりアスファルト結合剤の熱的分解および剪断応力による機械的分解現象が起きる。
【0040】
前記改質アスファルトを製造する際、相分離を制御するために硫黄を混合使用することができ、これはブロック共重合体100重量部に対して、0〜20重量部、好ましくは0〜10重量部で使用することができる。この時、硫黄の使用量が20重量部を超過する場合は、ゲル化を引き起こし、相分離現象が起きるため、前記範囲を維持することが好ましい。
【0041】
以上のように製造された改質アスファルト組成物は従来と同等以上の物性、即ち、軟化点および分子量を維持すると同時に、低温で著しく向上された延性を示し、低温領域でより向上された安定性を表す。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例に依拠して更に詳しく説明するが、本発明の範囲がこれに限定されるわけではない。
【0043】
製造例1:
重合体の両スチレンブロックの末端に短いブタジエンブロックが存在するテーパードスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の製造
2Lのオートクレーブの内部雰囲気をアルゴンガスで十分に置換させた。ここに精製されたシクロヘキサン900gとスチレン30g、ブタジエン3.8gを注入し、温度を60℃に維持させた。重合開始剤であるn−ブチルリチウム(BuLi)3.0mmolのシクロヘキサン溶液(1.3M濃度)をオートクレーブに投入して重合反応を開始した。重合温度が最高温度に到達してから2分後に、ブタジエン120gを投入して重合を行い、ブタジエン重合温度が最高温度に到達してから3分後に、1.5mmolのジクロロジシランをカップリング剤として使用して89%のカップリング効率でスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体混合物を得た。重合温度が最高温度に到達してから2分後に重合を終了し、重合の終了は少量のメタノールを重合溶液に添加してリビング重合体の活性を完全に除去した後、酸化防止剤であるイルガノックス1076(チバ・ジャパン株式会社)1gとトリスノニルフェノール(TNPP)1.5gを添加して行った。
【0044】
このように合成された高分子溶液はスチームを利用して溶媒を除去することで、粉末形態の両スチレン末端がテーパードされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を得た。残存する溶媒および水分はロールミルを利用して除去した。
【0045】
前記スチレンの数平均分子量が25,000であり、ブタジエンの数平均分子量が100,000であり、全体ブロック共重合体の数平均分子量は125,000であった。反応時の重合温度の進行状況とNMRとGPCを利用して、短いブタジエン基があることが分かった。
【0046】
製造例2:重合体の両スチレンブロックの末端に短いブタジエンブロックが存在するテーパードスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の製造
2Lのオートクレーブの内部雰囲気をアルゴンガスで十分に置換させた。ここに精製されたシクロヘキサン900gとスチレン37.5g、ブタジエン3.8gを注入し、温度を60℃に維持させた。重合開始剤であるn−ブチルリチウム(BuLi)3.8mmolのシクロヘキサン溶液(1.3M濃度)をオートクレーブに投入して重合反応を開始した。重合温度が最高温度に到達してから2分後に、ブタジエン109gを投入して重合を行い、ブタジエン重合温度が最高温度に到達してから3分後に、1.9mmolのジクロロジシランをカップリング剤として使用して74%のカップリング効率でスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体混合物を得た。重合温度が最高温度に到達してから2分後に重合を終了し、重合の終了は少量のメタノールを重合溶液に添加してリビング重合体の活性を完全に除去した後、酸化防止剤であるイルガノックス 1076(チバ・ジャパン株式会社)1gとトリスノニルフェノール(TNPP)1.5gを添加して行った。
【0047】
このように合成された高分子溶液はスチームを利用して溶媒を除去することで、粉末形態の両スチレン末端がテーパードされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を得た。残存する溶媒および水分はロールミルを利用して除去した。
【0048】
前記スチレンの数平均分子量が21,000であり、ブタジエンの数平均分子量が63,000であり、全体ブロック共重合体の数平均分子量は84,000であった。反応時の重合温度の進行状況とNMRとGPCを利用して、短いブタジエン基があることが分かった。
【0049】
製造例3:重合体の両スチレンブロックの末端に短いブタジエンブロックが存在するテーパードスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の製造
2Lのオートクレーブの内部雰囲気をアルゴンガスで十分に置換させた。ここに精製されたシクロヘキサン900gとスチレン37.5g、ブタジエン3.8gを注入し、温度を60℃に維持した。重合開始剤であるn−ブチルリチウム(BuLi)3.8mmolのシクロヘキサン溶液(1.3M濃度)をオートクレーブに投入して重合反応を開始した。重合温度が最高温度に到達してから2分後に、ブタジエン109gを投入して重合を行い、ブタジエン重合温度が最高温度に到達してから3分後に、1.9mmolのジクロロジシランをカップリング剤として使用して81%のカップリング効率でスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体混合物を得た。重合温度が最高温度に到達してから2分後に重合を終了し、重合の終了は少量のメタノールを重合溶液に添加してリビング重合体の活性を完全に除去した後、酸化防止剤であるイルガノックス 1076(チバ・ジャパン株式会社)1gとトリスノニルフェノール(TNPP)1.5gを添加して行った。
【0050】
このように合成された高分子溶液からスチームを利用して溶媒を除去することで、粉末形態の両スチレン末端がテーパードされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を得た。残存する溶媒および水分はロールミルを利用して除去した。
【0051】
前記スチレンの数平均分子量が21,000であり、ブタジエンの数平均分子量が63,000であり、全体ブロック共重合体の数平均分子量は84,000であった。反応時の重合温度の進行状況とNMRとGPCを利用して、短いブタジエン基があることが分かった。
【0052】
製造例4:重合体の両スチレンブロックの末端に短いブタジエンブロックが存在するテーパードスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の製造
2Lのオートクレーブの内部雰囲気をアルゴンガスで十分に置換させた。ここに精製されたシクロヘキサン900gとスチレン37.5g、ブタジエン3.8gを注入し、温度を60℃に維持させた。重合開始剤であるn−ブチルリチウム(BuLi)3.8mmolのシクロヘキサン溶液(1.3M濃度)をオートクレーブに投入して重合反応を開始した。重合温度が最高温度に到達してから2分後に、ブタジエン109gを投入して重合を行い、ブタジエン重合温度が最高温度に到達してから3分後に、1.9mmolのジクロロジシランをカップリング剤として使用して87%のカップリング効率でスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体混合物を得した。重合温度が最高温度に到達してから2分後に重合を終了し、重合の終了は少量のメタノールを重合溶液に添加してリビング重合体の活性を完全に除去した後、酸化防止剤であるイルガノックス1076(チバ・ジャパン株式会社)1gとトリスノニルフェノール(TNPP)1.5gを添加して行った。
【0053】
このように合成された高分子溶液からスチームを利用して溶媒を除去することで、粉末形態の両スチレン末端がテーパードされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を得た。残存する溶媒および水分はロールミルを利用して除去した。
【0054】
前記スチレンの数平均分子量が21,000であり、ブタジエンの数平均分子量が63,000であり、全体ブロック共重合体の数平均分子量は84,000であった。反応時の重合温度の進行状況とNMRとGPCを利用して、短いブタジエン基があることが分かった。
【0055】
製造例5:重合体の両スチレンブロックの末端に短いブタジエンブロックが存在するテーパードスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の製造
2Lのオートクレーブの内部雰囲気をアルゴンガスで十分に置換させた。ここに精製されたシクロヘキサン900gとスチレン37.5g、ブタジエン3.8gを注入し、温度を60℃に維持させた。重合開始剤であるn−ブチルリチウム(BuLi)3.9mmolのシクロヘキサン溶液(1.3M濃度)をオートクレーブに投入して重合反応を開始した。重合温度が最高温度に到達してから2分後に、ブタジエン109gを投入して重合を行い、ブタジエン重合温度が最高温度に到達してから3分後に、1.9mmolのジクロロジシランをカップリング剤として使用して89%のカップリング効率でスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体混合物を得た。重合温度が最高温度に到達してから2分後に重合を終了し、重合の終了は少量のメタノールを重合溶液に添加してリビング重合体の活性を完全に除去した後、酸化防止剤であるイルガノックス 1076(チバ・ジャパン株式会社)1gとトリスノニルフェノール(TNPP)1.5gを添加して行った。
【0056】
このように合成された高分子溶液からスチームを利用して溶媒を除去することで、粉末形態の両スチレン末端がテーパードされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を得た。残存する溶媒および水分はロールミルを利用して除去した。
【0057】
前記スチレンの数平均分子量が21,250であり、ブタジエンの数平均分子量が63,750であり、全体ブロック共重合体の数平均分子量は85,000であった。反応時の重合温度の進行状況とNMRとGPCを利用して、短いブタジエン基があることが分かった。
【0058】
製造例6:重合体の両スチレンブロックの末端に短いブタジエンブロックが存在するテーパードスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の製造
2Lのオートクレーブの内部雰囲気をアルゴンガスで十分に置換させた。ここに精製されたシクロヘキサン900gとスチレン37.5g、ブタジエン3.8gを注入し、温度を60℃に維持させた。重合開始剤であるn−ブチルリチウム(BuLi)3.8mmolのシクロヘキサン溶液(1.3M濃度)をオートクレーブに投入して重合反応を開始した。重合温度が最高温度に到達してから2分後に、ブタジエン109gを投入して重合を行い、ブタジエン重合温度が最高温度に到達してから3分後に、1.9mmolのジクロロジシランをカップリング剤として添加して95%のカップリング効率でスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体混合物を得た。重合温度が最高温度に到達してから2分後に重合を終了し、重合の終了は少量のメタノールを重合溶液に添加してリビング重合体の活性を完全に除去した後、酸化防止剤であるイルガノックス 1076(チバ・ジャパン株式会社)1gとトリスノニルフェノール(TNPP)1.5gを添加して行った。
【0059】
このように合成された高分子溶液からスチームを利用して溶媒を除去することで、粉末形態の両スチレン末端がテーパードされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を得た。残存する溶媒および水分はロールミルを利用して除去した。
【0060】
前記スチレンの数平均分子量が22,000であり、ブタジエンの数平均分子量が66,000であり、全体ブロック共重合体の数平均分子量88,000であった。反応時の重合温度の進行状況とNMRとGPCを利用して、短いブタジエン基があることが分かった。
【0061】
製造例7:重合体の両スチレンブロックの末端に短いブタジエンブロックが存在するテーパードスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の製造
2Lのオートクレーブの内部雰囲気をアルゴンガスで十分に置換させた。ここに精製されたシクロヘキサン900gとスチレン37.5g、ブタジエン3.8gを注入し、温度を60℃に維持させた。重合開始剤であるn−ブチルリチウム(BuLi)3.6mmolのシクロヘキサン溶液(1.3M濃度)をオートクレーブに投入して重合反応を開始した。重合温度が最高温度に到達してから2分後に、ブタジエン109gを投入して重合を行い、ブタジエン重合温度が最高温度に到達してから3分後に、1.8mmolのジクロロジシランをカップリング剤として添加して87%のカップリング効率でスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体混合物を得た。重合温度が最高温度に到達してから2分後に重合を終了し、重合の終了は少量のメタノールを重合溶液に添加してリビング重合体の活性を完全に除去した後、酸化防止剤であるイルガノックス 1076(チバ・ジャパン株式会社)1gとトリスノニルフェノール(TNPP)1.5gを添加して行った。
【0062】
このように合成された高分子溶液からスチームを利用して溶媒を除去することで、粉末形態の両スチレン末端がテーパードされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を得た。残存する溶媒および水分はロールミルを利用して除去した。
【0063】
前記スチレンの数平均分子量が23,250であり、ブタジエンの数平均分子量が69,750であり、全体ブロック共重合体の数平均分子量は93,000であった。反応時の重合温度の進行状況とNMRとGPCを利用して、短いブタジエン基があることが分かった。
【0064】
製造例8:重合体の両スチレンブロックの末端に短いブタジエンブロックが存在するテーパードスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の製造
2Lのオートクレーブの内部雰囲気をアルゴンガスで十分に置換させた。ここに精製されたシクロヘキサン900gとスチレン37.5g、ブタジエン3.8gを注入し、温度を60℃に維持させた。重合開始剤であるn−ブチルリチウム(BuLi)3.5mmolのシクロヘキサン溶液(1.3M濃度)をオートクレーブに投入して重合反応を開始した。重合温度が最高温度に到達してから2分後に、ブタジエン109gを投入して重合を行い、ブタジエン重合温度が最高温度に到達してから3分後に、1.8mmolのジクロロジシランをカップリング剤として添加して87%のカップリング効率でスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体混合物を得た。重合温度が最高温度に到達してから2分後に重合を終了し、重合の終了は少量のメタノールを重合溶液に添加してリビング重合体の活性を完全に除去した後、酸化防止剤であるイルガノックス1076(チバ・ジャパン株式会社)1gとトリスノニルフェノール(TNPP)1.5gを添加して行った。
【0065】
このように合成された高分子溶液からスチームを利用して溶媒を除去することで、粉末形態の両スチレン末端がテーパードされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を得た。残存する溶媒および水分はロールミルを利用して除去した。
【0066】
前記スチレンの数平均分子量が23,500であり、ブタジエンの数平均分子量が70,500であり、全体ブロック共重合体の数平均分子量は94,000であった。反応時の重合温度の進行状況とNMRとGPCを利用して、短いブタジエン基があることが分かった。
【0067】
製造例9:重合体の両スチレンブロックの末端に短いブタジエンブロックが存在するテーパードスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の製造
2Lのオートクレーブの内部雰囲気をアルゴンガスで十分に置換させた。ここに精製されたシクロヘキサン900gとスチレン37.5g、ブタジエン3.8gを注入し、温度を60℃に維持させた。重合開始剤であるn−ブチルリチウム(BuLi)3.8mmolのシクロヘキサン溶液(1.3M濃度)をオートクレーブに投入して重合反応を開始した。重合温度が最高温度に到達してから2分後に、ブタジエン109gを投入して重合を行い、ブタジエン重合温度が最高温度に到達してから3分後に、1.7mmolのジクロロジシランをカップリング剤として添加して86%のカップリング効率でスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体混合物を得た。重合温度が最高温度に到達してから2分後に重合を終了し、重合の終了は少量のメタノールを重合溶液に添加してリビング重合体の活性を完全に除去した後、酸化防止剤であるイルガノックス1076(チバ・ジャパン株式会社)1gとトリスノニルフェノール(TNPP)1.5gを添加して行った。
【0068】
このように合成された高分子溶液からスチームを利用して溶媒を除去することで、粉末形態の両スチレン末端がテーパードされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を得た。残存する溶媒および水分はロールミルを利用して除去した。
【0069】
前記スチレンの数平均分子量が24,500であり、ブタジエンの数平均分子量が73,500であり、全体ブロック共重合体の数平均分子量は98,000であった。反応時の重合温度の進行状況とNMRとGPCを利用して、短いブタジエン基があることが分かった。
【0070】
製造例10:重合体の両スチレンブロックの末端に短いブタジエンブロックが存在するテーパードスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の製造
2Lのオートクレーブの内部雰囲気をアルゴンガスで十分に置換させた。ここに精製されたシクロヘキサン900gとスチレン37.5g、ブタジエン3.8gを注入し、温度を60℃に維持させた。重合開始剤であるn−ブチルリチウム(BuLi)2.6mmolのシクロヘキサン溶液(1.3M濃度)をオートクレーブに投入して重合反応を開始した。重合温度が最高温度に到達してから2分後に、ブタジエン109gを投入して重合を行い、ブタジエン重合温度が最高温度に到達してから3分後に、1.3mmolのジクロロジシランをカップリング剤として添加して89%のカップリング効率でスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体混合物を得た。重合温度が最高温度に到達してから2分後に重合を終了し、重合の終了は少量のメタノールを重合溶液に添加してリビング重合体の活性を完全に除去した後、酸化防止剤であるイルガノックス 1076(チバ・ジャパン株式会社)1gとトリスノニルフェノール(TNPP)1.5gを添加して行った。
【0071】
このように合成された高分子溶液からスチームを利用して溶媒を除去することで、粉末形態の両スチレン末端がテーパードされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を得た。残存する溶媒および水分はロールミルを利用して除去した。
【0072】
前記スチレンの数平均分子量が30,500であり、ブタジエンの数平均分子量が91,500であり、全体ブロック共重合体の数平均分子量は122,000であった。反応時の重合温度の進行状況とNMRとGPCを利用して、短いブタジエン基があることが分かった。
【0073】
製造例11:重合体の両スチレンブロックの末端に短いブタジエンブロックが存在するテーパードスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の製造
2Lのオートクレーブの内部雰囲気をアルゴンガスで十分に置換させた。ここに精製されたシクロヘキサン900gとスチレン37.5g、ブタジエン3.8gを注入し、温度を60℃に維持させた。重合開始剤であるn−ブチルリチウム(BuLi)3.2mmolのシクロヘキサン溶液(1.3M濃度)をオートクレーブに投入して重合反応を開始した。重合温度が最高温度に到達してから2分後に、ブタジエン109gを投入して重合を行い、ブタジエン重合温度が最高温度に到達してから3分後に、1.6mmolのジクロロジシランをカップリング剤として添加して、88%のカップリング効率でスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体混合物を得た。重合温度が最高温度に到達してから2分後に重合を終了し、重合の終了は少量のメタノールを重合溶液に添加してリビング重合体の活性を完全に除去した後、酸化防止剤であるイルガノックス1076(チバ・ジャパン株式会社)1gとトリスノニルフェノール(TNPP)1.5gを添加して行った。
【0074】
このように合成された高分子溶液からスチームを利用して溶媒を除去することで、粉末形態の両スチレン末端がテーパードされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を得た。残存する溶媒および水分はロールミルを利用して除去した。
【0075】
前記スチレンの数平均分子量が30,900であり、ブタジエンの数平均分子量が72,100であり、全体ブロック共重合体の数平均分子量は103,000であった。反応時の重合温度の進行状況とNMRとGPCを利用して、短いブタジエン基があることが分かった。
【0076】
比較製造例1:線形スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体の製造
2Lのオートクレーブの内部雰囲気をアルゴンガスで十分に置換させた。ここに精製されたシクロヘキサン900gとスチレン62gを注入し、温度を60℃に維持させた。重合開始剤であるn−ブチルリチウム(BuLi)4.0mmolのシクロヘキサン溶液(1.3M濃度)をオートクレーブに投入して重合反応を開始した。重合温度が最高温度に到達してから5分後に、ブタジエン138gを投入して重合を行い、ブタジエン重合温度が最高温度に到達してから3分後に、2.0mmolのジクロロジシランをカップリング剤として添加して、86%のカップリング効率でスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体混合物を得た。重合温度が最高温度に到達した2分後に、重合を終了した。その後、酸化防止剤を添加して、製造例1と同様の過程を行った。
【0077】
このように合成された高分子溶液からスチームを利用して溶媒を除去することで、粉末形態のスチレン−ブタジエンブロック共重合体を得た。残存する溶媒および水分はロールミルを利用して除去した。
【0078】
前記スチレンの数平均分子量が32,550であり、ブタジエンの数平均分子量が72,450であり、全体ブロック共重合体の数平均分子量は105,000であった。
【0079】
比較製造例2:放射形スチレン−ブタジエンブロック共重合体の製造
2Lのオートクレーブの内部雰囲気をアルゴンガスで十分に置換させた。ここに精製されたシクロヘキサン900gとスチレン62gを注入し、温度を60℃に維持させた。重合開始剤であるn−ブチルリチウム(BuLi)4.2mmolのシクロヘキサン溶液(1.3M濃度)をオートクレーブに投入して重合反応を開始した。重合温度が最高温度に到達してから5分後に、ブタジエン138gを投入して重合を行い、ブタジエン重合温度が最高温度に到達してから3分後に、1.0mmolのジクロロジシランをカップリング剤として添加して、90%のカップリング効率でスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体混合物を得た。重合温度が最高温度に到達した2分後に重合を終了した。その後、酸化防止剤を添加して、製造例1と同様の過程を行った。
【0080】
このように合成された高分子溶液からスチームを利用して溶媒を除去することで、粉末形態のスチレン−ブタジエンブロック共重合体を得た。残存する溶媒および水分はロールミルを利用して除去した。
【0081】
前記スチレンの数平均分子量が59,700であり、ブタジエンの数平均分子量が139,300であり、全体ブロック共重合体の数平均分子量は199,000であった。
【0082】
前記比較例1〜11および比較製造例1〜2でブロック共重合体の物性を以下の通り測定し、その結果を下記表1に表した。
【0083】
[物性測定方法]
1.分子量分析
分子量分析は高性能液体クロマトグラフィである分離モジュールウオーターズ(separation‘s module Waters )2690、検出器としては示差屈折計ウオーターズ(Waters) 410を使用し、分析条件は下記の通りとした。カラム温度は41℃、溶媒はTHF、流速は1.0mL/minである。カラムはジビニルベンゼンスタイラジェル HR 5E、HR 4、HR 2を直列連結して使用し、ポリスチレン標準試料を基準とし、示差屈折計により屈折率の差を検出した。
【0084】
2.微細構造および含量
スチレン、ブタジエンの含量および微細構造の分析は核磁気共鳴分析器であるVarian NMR−200とNMR−400を使用して行い、試料分析のためクロロホルム−dを溶媒として製造した。
【0085】
【表1】

【0086】
実施例
前記アスファルト100重量部に対して前記製造例1〜11および比較製造例1と2で合成されたブロック共重合体が各々4.5重量部となるように180℃の溶融状態のアスファルト600gに添加した後、高速剪断ミキサーで30分間混合し、スチレン−ブタジエン−スチレン系の改質アスファルト組成物を製造した。
【0087】
前記で製造された改質アスファルト組成物の物性を測定し、その結果を下記表2に表した。一般的に道路舗装用に使用される改質アスファルト組成物は、低温での延性が非常に重要であり、前記ブロック共重合体で改質されたアスファルト組成物を低温延性測定用試片製造用金型に注ぎ、冷却した後、延性測定用試片を製造した[KS M 2254]。延性を測定するために製造された試片は水槽内で測定温度を4℃に維持し、両側で1分当り3cmの速度で引っ張り、試片が切断される時の引張長さをKS M 2254により測定した。この時、測定された軟化点および延性を下記表2に表した。
【0088】
【表2】

【0089】
前記表2に表した通り、本発明により製造されたブロック共重合体を改質剤として使用した実施例1〜11の改質アスファルト組成物が、比較例1〜2に比べ、特に延性が少なくとも50%以上大きく向上されたことが分かる。
【0090】
本発明による実施例9と比較例1はスチレン含量と分子量がほぼ同一であるが、実施例9の延性が著しく向上されたことを確認することができた。これはブロック共重合体に短いブタジエンブロックを形成したためである。また、比較例1が線形のブロック共重合体である反面、比較例2はラジアル構造を表すものであり、線形に比べてラジアルである比較例2が軟化点は優れているが、延性が落ちることが分かる。
【0091】
結論的に、本発明によってブロック重合体の両スチレンブロックの末端に短いブタジエンブロックが存在するテーパードスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体をアスファルト改質剤として使用した場合、低温での延性が増加して改質アスファルトの柔軟性が増加し、荷重による疲労現象や熱の収縮および膨張による亀裂による破壊現象が減り、道路舗装用として適合することを確認することができる。また、放射形と比較してみると、軟化点においては放射形が優れているが、延性においては非常に劣悪であることが分かる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト100重量部と、
下記化学式1に表されるブロック共重合体が0.5〜40重量部含有することを特徴とする改質アスファルト組成物。
[化学式1]
1−B1−X−B2−A2
前記化学式1において、A1およびA2は各々芳香族ビニル単量体を含有した高分子ブロックであり、B1およびB2は各々ブタジエン系単量体を含有する高分子ブロックであり、Xはカップリング剤であり、Aのブロック率は70〜95%である。
【請求項2】
前記ブロック共重合体は、アスファルト100重量部に対して1〜20重量部含有することを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記A1およびA2は、各々の数平均分子量が4,500〜15,000であり、B1およびB2は、各々の数平均分子量が35,000〜45,500であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記化学式1に表されるブロック共重合体は、数平均分子量が50,000〜300,000であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記芳香族ビニル単量体は、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレンおよびp−tert−ブチルスチレンの中から選択される1種類の単量体または2種類以上の単量体の混合物であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記芳香族ビニル単量体はスチレンであることを特徴とする、請求項1または5記載の組成物。
【請求項7】
前記A1およびA2は、ブロック共重合体100重量部に対して15〜40重量部含有することを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記改質アスファルト組成物は道路舗装用、防水シート用およびシーラント用として適用することを特徴とする、請求項1記載の組成物。