説明

テーブルリフト

【課題】荷重に対し剛性があり、テーブル位置をデジタルのデーターで得られるテーブルリフトで、そのデーターとテーブル位置位置の関係を簡単な数式で表し、その数式でテーブル位置をコントロールするテーブルリフトを製作する。
【解決手段】X字型テーブルリフトで、下部テーブルに沿って動くガイドローラーをパルス駆動モーターで水平方向に駆動して、上部テーブルを上下に駆動するテーブルリフトで、パルス駆動モーターに内臓されたエンコーダーのデータ−と、そのデータ−と上部テーブルの位置をを簡単な数式で表現し、上部テーブルの上下位置を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は運搬物を上下に駆動する装置で、特に上部テーブルの位置をデジタルにコントロールし、かつ運搬物を送出し、空になった上部テーブルを急速に下降する場合に効果がある。
【背景技術】
【0002】
従来のテーブルリフトでは、油圧ポンプを駆動し、吐出する作動油をX字型テーブルリフトのアームを開閉する油圧シリンダーに送り込んでアームを開き、上部テーブルを上昇し、油圧ポンプを止めて定位置に保ち、油圧バルブを開いて、油圧シリンダーから作動油を逃がすことで上部テーブルを下降している。
【0003】
以下図1に従来のテーブルリフトについて説明する。 第1図に従来のテーブルリフトの側面図を示している。同図で1,2はX型アームでこれをセンターピン13を交差点として開閉する事で、上部テーブル14を上下に駆動している。X型アーム1,2はセンターピン13により回転自在に結ばれ、X型アーム1には油圧シリンダー4の底部と回転自在に取付けられた軸受部15、X型アーム2には油圧シリンダーのプランジャー17の先端と回転自在に取付けられた軸受部16が有り、軸受部16、センターピン13、軸受部17は、油圧シリンダー4を介して三角形を形成する。
【0004】
モーター8でポンプ7を駆動し、それから出た作動油はシリンダー4には入り、X型アーム1,2を開いて上部テーブル14を上昇し、モーター8を停め、電磁弁19を開くと作動油は絞り弁18を経由してタンクに戻り、X型アーム1,2を閉じて上部テーブル14は下降する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のテーブルリフトの特性の内、望ましくない点を列記すると次の様になる。
1:ポンプ7を駆動するモーター8は誘導電動機で、そのトルクは上部テーブル14が下
限の場合最も必要で、それが定格トルクの2倍になるとモーター8は停止する。
すなわち、上部テーブル14が下限で大きなトルクが必要で、大きな出力の電動機が
必要になる。
2:テーブルリフトが停止から上昇する時、モーター8を起動してスタートするが最初は
モーター8のローターの慣性等の為に時間遅れが生じる。
3:テーブルリフトが上昇から停止に移る時はポンプ7を駆動するモーター8を停止する
が駆動するモーター8は慣性のためすぐ止まらず、ポンプ7も同じ動きをして作動油
を出すので停止指令が出ても上部テーブル14はすぐには止まらない。
4:テーブルリフトの上下位置ははシリンダー4の中にある作動油の量により決まるが、
作動油には圧縮性があり、積載荷重が変動すると、上部テーブル14の位置も変わる

5:テーブルリフトの上下位置は本体の外部に、別にセンサーを設けなければ、検出出来
ない。
【0006】
本発明は、このような従来のテーブルリフトが有している問題を解決して、ボールねじ
とパルス駆動モーターを使用し、簡単で正確な位置決めを行う事を目的にしている。
【発明の開示】

【課題を解決しようとする手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成する為、請求項1では、下部フレームに沿って動くガイドローラーの位置に相当する点にピン(支点)を設け、それをテーブルに平行に動く直動軸受に乗ったブラケットに取付け、そのブラケットをボールねじとパルス駆動モーターで駆動して、X型アームを開閉して上部テーブルを上下に駆動する。また請求項2に示す様にボールねじの移動距離と上部テーブルの移動距離の間の関係式を求め、この関係式と予め入力しておいた上部テーブルの位置データーから自動的に上部テーブルの上下位置を制御駆動する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるテーブルリフトでは駆動部をボールねじを下部フレームに平行に配置し、パルスに比例して動くパルス駆動モーターを使用しており、構造が簡単でボ−ルねじの駆動長さとテーブルリフトの上下移動長さの関係が簡単な数式で表現されるので位置制御のソフトが簡単に作成出来、更にボールねじの圧縮性の無さとパルス単位の制御で、精密な位置制御と維持が可能になる。また、パルス駆動モーターの内部に内臓されるエンコーダーを利用して複雑な位置制御が可能になる。さらに上部フレームに乗った荷重に応じて速度を変える事が可能である。特に荷重が零になった時、急速度で上部フレームをスタート原点に返す事は無駄時間を減らすことに効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
Xパンタ方式のテーブルリフトで下部テーブルに乗り、それの平行に動く移動ピンの移動をパルス駆動モーターに駆動されるねじ(ボ−ルねじ等)で行っている。
【実施例】
【0010】
以下発明の実施の形態を図2に基いて説明する。[請求項1]の発明を説明すると、図2でパルス駆動モーター19は減速機18、軸受ブラッケト22を経てカップリング17を介してボールねじ16を駆動する。ボールねじ16は下部テーブル10に、それと平行に取付けられた直動レール25に沿って動く軸受23に支えられた架台20をボールナット15を介して、左右に駆動する。
【0011】
架台20にはXアーム1の下部ジョイント21が架台20と回転自在に取付けられ、ボールねじ16を回転駆動する事で下部ジョイント21は水平に動く。下部ジョイント21の高さはXアーム2の固定側ジョイント24と同じ高さで、センターピン13、下部ジョイント21、Xアーム2の固定側ジョイント24は二等辺三角形を形成し、ボールねじ16を回転駆動する事でセンターピン13は上下に駆動され、上部テーブル14はその二倍の速度で上下駆動される。この時上部テーブル14はXパンタの効果で水平を維持する。
【0012】
[請求項2]の発明を説明する。まずボールねじ16によるボールナット15の移動駆動量と上部テーブル14の移動量との関係を第3図と第4図で考えてみる。第4図は上部テーブル14が下限の場合を示し、Xパンタの下限での固定ピン24と移動ピン21の間の距離はL0になる。第3図は上部テーブル14が下限から若干上昇した位置にある場合を示している。
図5で
L0 :上部テーブル14が下限での固定ピン、移動ピンの距離(定数)
H0 :上部テーブル14が下限での上部テーブル14の固定ピン11と
下部テーブル110の固定ピン24の距(定数)
L :Xパンタの固定ピン、移動ピンの距離(定数)
H :上部テーブル14が下限から上昇した距離(変数)
X :ボールねじ16による下部移動ピンの移動量(変数)
で、これらの間の関係を数式にすると
(L0−X) + (H0+H) = L
となり、これを変換すると

となる。この式に上部テーブル14の動きH(ストローク)を代入するとボールねじ16に駆動されるによるボールナット15の移動量(X)が分かる。
【0013】
実際にこのテーブルリフトで作業をする場合、必要な上部テーブル14の高さ(ストローク)が複数制御装置に入力されており、それらが順次要求され、必要なボールねじ16の駆動量は算出され、更にそれに必要なパルス制御モーターへのパルス及びその速度がモーターのドライバーに送られて動く様になっている。一般に制御装置としてはシーケンサーが用いられる。
制御モーターへのパルス数はボールナット15の移動量をパルス一個当たりの移動長さで割った数になり、駆動速さはパルスを出す速さを調節して行う。
【0014】
請求項3に述べる様には本発明に係るテーブルリフトは一台では位置の精度、速度の制御などに優れた特性を持っているので、これを複数台配置し、同期して動かせば、舞台装置など広い面積の床等の精密な上下駆動が可能になる。
【0015】
[図7]には複数の本発明に係るテーブルリフトを機械的に同期して動かす方法を述べている。ねじ55はパルス駆動モーター50により駆動されブラケット51によりねじ方向の移動を規制されている。ねじ55の長さは直列に並んだ複数のテーブルリフト駆動するに充分な長さを有し、そのピッチは全長にわたり等しいので、ねじ55を回転駆動すると、それに嵌った複数のナット58は同じ動き(同じ速度)をし、従って直列に並んだ複数のテーブルリフトは同じ動きをする。これらの複数のテーブルリフトの上部テーブルを一枚のフロアー56として連結すると、広いフロアーが壱台のパルス駆動モーター50で上下駆動される。
【0016】
[図8]に示すように複数の本発明に係るテーブルリフトを並列に並べる場合には、ねじが複数本必要で、これらを鎖車60及びチエン62で連結すると、更に広い床が形成され壱台のパルス駆動モーター50で上下駆動される。
【産業上の利用可能性】
【0017】
IT産業等の工場では、テーブルリフトの上部テーブルの位置の精密な制御が必要で、更に緊急な動きの変更にも対応できるので本発明によるテーブルリフトは将来精密作動機として有望である。また荷重が小さくなる場合高速に稼働して無駄時間を減らす事も可能である。従来のテーブルリフトでは稼働速度の変更は難しい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来のテーブルリフトの断面図
【図2】本発明に係るテーブルリフトの断面図
【図3】本発明に係るテーブルリフトの上昇位置での側面図
【図4】本発明に係るテーブルリフトの下限位置での側面図
【図5】本発明に係るテーブルリフト平面図例
【図6】本発明に係るテーブルリフト側面図例
【図7】複数台のテーブルリフトの同期駆動の平面図
【図8】複数台のテーブルリフトの同期駆動の側面図
【符号の説明】
1 パンタアーム1
2 パンタアーム2
4 油圧シリンダー
7 油圧シリンダー
8 モーター
10 下部テーブル
11 上部テーブル固定ピン
13 センターピン
14 上部テーブル
15 ボールナット
16 プランジャー軸受部
17 プランジャー
18 減速機
19 パルス駆動モーター
20 架台
21 パンタアーム1移動ピン
23 直動軸受
25 直動レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X字型テーブルリフトで、下部テーブルに沿って動くガイドピンをパルス駆動モーターで水平方向に駆動して、上部テーブルを上下に駆動するテーブルリフト。
【請求項2】
請求項1のテーブルリフトでパルス駆動モーターに内臓されたエンコーダーのデータ−と、そのデータ−と上部テーブルの位置を示す数式で上部テーブルの上下位置を制御する方法。
【請求項3】
請求項1のテーブルリフトでガイドピンの水平方向の駆動をねじで行う場合、それらを複数台設け、それぞれの駆動ねじを機械的に連結し、それらを1台のパルス駆動モーターで駆動し、複数台を同期駆動する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−73657(P2009−73657A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274420(P2007−274420)
【出願日】平成19年9月22日(2007.9.22)
【出願人】(592131995)株式会社アカシン (3)