説明

テーブルリフト

【課題】高さの異なる複数の位置にテーブルを安定して保つことのできるテーブルリフトを提供する。
【解決手段】カムプレート12が矢印Aの方向に移動すると、第2ローラ20は、回転しながら第1カム面から中間部34に至り、さらに中間部34を中間カム面33に向かって回転しながら上昇する。また、第1ローラ19は、下端部12bに沿って第2端部12d側に向かって移動する。第2ローラ20が中間部34を上昇する時には、テーブル2が基台1に対して平行な関係を維持したまま上昇する。第2ローラ20が中間部34を上昇しきって中間カム面33に到達すると、テーブル2の上昇は終了する。第2ローラ20が中間カム面33に乗った状態では、テーブル2の荷重を中間カム面33が受けるので、油圧シリンダー14によってテーブル2を支持しなくても、テーブル2は上昇も下降もしなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、テーブルリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のテーブルリフトが、特許文献1に記載されている。このテーブルリフトは、パンタグラフ等の案内装置によって、基台に対して平行な関係を維持したままテーブルが上昇または下降する。このテーブルリフトには、2つの異なる高さのカム面を有するカムプレートと、カムプレートに係合するローラ装置とが設けられている。高い位置にあるカム面にローラ装置が乗った状態では、テーブルの荷重を高い位置にあるカム面が受けるので、テーブルは、安定して上昇位置に保たれるようになる。
【0003】
【特許文献1】実開昭63−173192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のテーブルリフトでは、テーブルを最上位置に安定して保つことはできるものの、最下位置と最上位置との間の任意の高さの位置にテーブルを保つ場合には、油圧シリンダー等によってテーブルの位置を保つことになるため、安定してテーブルの位置を保つことができないといった問題点があった。
【0005】
この発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、高さの異なる複数の位置にテーブルを安定して保つことのできるテーブルリフトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
駆動装置によってテーブルを基台に対して平行な関係を維持したまま昇降させるテーブルリフトにおいて、前記駆動装置は、前記テーブルに対して平行な複数のカム面を上端部に有するカムプレートと、前記カムプレートと係合するローラ装置と、前記カムプレートを移動させる移動手段とを備え、前記複数のカム面は、第1カム面と、該第1カム面よりも高い位置にある第2カム面と、前記第1カム面及び前記第2カム面の間に位置する少なくとも1つの中間カム面とを備えることを特徴とする。
前記ローラ装置は、前記基台に設けられた第1ローラと、前記テーブルに設けられた第2ローラとを備え、前記テーブルが昇降する際に、前記第1ローラは、前記カムプレートの下端部に沿って移動し、前記第2ローラは、前記第1カム面と、前記少なくとも1つの中間カム面と、前記第2カム面とに沿って移動する。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、ローラ装置が、第1カム面、第2カム面、中間カム面のいずれかの上に乗った状態では、テーブルの荷重を第1カム面、第2カム面、中間カム面のいずれかが受けるので、第1カム面、第2カム面、中間カム面に対応した高さの異なる複数の位置にテーブルを安定して保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
この発明の実施の形態に係るテーブルリフトの構成を示した平面図を図1に示す。テーブルリフト30は、矩形形状の基台1と、基台1上にほぼ重なるように配置された矩形形状のテーブル2と、基台1及びテーブル2間に設けられ、テーブル2を基台1に対して平行な関係を維持したまま昇降可能に支持する案内装置3と、テーブル2を基台1に対して昇降させる駆動装置4とを備えている。
【0009】
案内装置3は、X字状に組み合わされた2本のリンク5及び6の対からなる2つのパンタグラフを互いに平行に間隔をあけて設けたリンク機構である。リンク5及び6は互いにそれらの中央部分でピン7により回転可能に組み合わされている。リンク5の固定端5aは、ピン8で基台1に回転可能に取り付けられている。リンク5の可動端5bには、ローラ9が設けられ、ローラ9は、テーブル2の下面に沿って移動可能に係合している。また、リンク6の固定端6aは、ピン10でテーブル2に回転可能に取り付けられている。リンク6の可動端6bには、ローラ11が設けられ、ローラ11は、基台1に沿って移動可能に係合している。
【0010】
駆動装置4は、テーブル2を昇降させるように移動可能なカムプレート12と、カムプレート12と係合するローラ装置13と、カムプレート12を移動させるための移動手段である油圧シリンダー14とを備えている。カムプレート12は、それぞれの案内装置3の内側に配置されて対をなしている。一対のカムプレート12,12は、所定の間隔を維持するために、第1端部12c,12cがロッド15aで連結されていると共に、第2端部12d,12dがロッド15bで連結されている。油圧シリンダー14は、油圧によって伸縮可能なプランジャー21を有し、プランジャー21の端部がロッド15aに接続されている。尚、移動手段は、油圧シリンダーに限定するものではなく、油圧式以外の流体圧シリンダーや機械式駆動装置等であってもよい。
【0011】
図2に示されるように、各カムプレート12は、複数のカム面が設けられた上端部12aと、基台1及びテーブル2(図1参照)に平行な下端部12bとを有している。上端部12aに設けられた複数のカム面は、最も低い位置にある第1カム面31と、最も高い位置にある第2カム面32と、第1カム面31及び第2カム面32の中間に位置すると共に高さが第1カム面よりも高く第カム面よりも低い中間カム面33とから構成されている。第1カム面31と、第2カム面32と、中間カム面33とはそれぞれ、基台1及びテーブル2(図1参照)に平行である。第1カム面31と中間カム面33とは、傾斜する中間部34で連結され、中間カム面33と第2カム面32とは、傾斜する中間部35で連結されている。上端部12aには、第1端部12cから第2端部12dに向かって、第1カム面31、中間部34、中間カム面33、中間部35、第2カム面32がこの順序で形成され、さらに第2カム面32の次に、第1カム面31、中間部34、中間カム面33、中間部35、第2カム面32がこの順序で第2端部12dまで形成されている。
【0012】
図3に示されるように、ローラ装置13は、基台1に回転可能に設けられた第1ローラ19と、テーブル2に回転可能に設けられた第2ローラ20とから構成されている。第1ローラ19は、カムプレート12の下端部12bに沿って移動可能に係合し、第2ローラ20は、カムプレート12の上端部12aに沿って移動可能に係合している。
【0013】
次に、この実施の形態に係るテーブルリフトの動作について説明する。
図3に示されるように、テーブル2が基台1に対して最も低い位置である最下位置にある場合、第2ローラ20は、カムプレート12の第1カム面31上に係合し、第1ローラ19は、カムプレート12の第1カム面31側の下端部12bに係合している。テーブル2を上昇させるためには、油圧シリンダー14を作動させてプランジャー21(図1参照)を伸ばす。すると、カムプレート12が矢印Aの方向に、第1ローラ19と第2ローラ20との間を移動する。カムプレート12が矢印Aの方向に移動すると、第2ローラ20は、回転しながら第1カム面31から中間部34に至り、さらに中間部34を中間カム面33に向かって回転しながら上昇する。また、第1ローラ19は、下端部12bに沿って第2端部12d側に向かって移動する。第2ローラ20が中間部34を上昇する時には、テーブル2が基台1に対して平行な関係を維持したまま上昇する。
【0014】
図4に示されるように、第2ローラ20が中間部34を上昇しきって中間カム面33に到達すると、テーブル2の上昇は終了し、テーブル2は、最下位置よりも高い中間位置に到達する。第2ローラ20が中間カム面33に乗った状態では、テーブル2の荷重を中間カム面33が受けるので、油圧シリンダー14によってテーブル2を支持しなくても、テーブル2は中間位置から上昇も下降もしなくなる。従って、テーブル2は、中間位置に安定して保たれるようになる。
【0015】
次に、油圧シリンダー14がプランジャー21をさらに伸ばすと、カムプレート12は矢印Aの方向にさらに移動する。すると、第2ローラ20は、回転しながら中間カム面33から中間部35に至り、さらに中間部35を第2カム面32に向かって回転しながら上昇する。また、第1ローラ19は、下端部12bに沿って第2端部12d側に向かってさらに移動する。第2ローラ20が中間部35を上昇する時には、テーブル2が基台1に対して平行な関係を維持したまま上昇する。
【0016】
図5に示されるように、第2ローラ20が中間部35を上昇しきって第2カム面32に到達すると、テーブル2の上昇は終了し、テーブル2は、中間位置よりも高い最上位置に到達する。第2ローラ20が第2カム面32に乗った状態では、テーブル2の荷重を第2カム面32が受けるので、油圧シリンダー14によってテーブル2を支持しなくても、テーブル2は最上位置から下降しなくなる。従って、テーブル2は、最上位置に安定して保たれるようになる。
【0017】
テーブル2を下降させる場合には、油圧シリンダー14を作動させてプランジャー21を縮ませると、第2ローラ20が、第2カム面32から中間部35、中間カム面33、中間部34、第1カム面31に順次移動し、これにより、テーブル2は、基台1に対して平行な関係を維持したまま下降する。
【0018】
このように、第2のローラ20が、第1カム面31、第2カム面32、中間カム面33のいずれかの上に乗った状態では、テーブル2の荷重を第1カム面31、第2カム面32、中間カム面33のいずれかが受けるので、第1カム面31、第2カム面32、中間カム面33に対応した高さの異なる最下位置、最上位置、中間位置にテーブル2を安定して保つことができる。
【0019】
この実施の形態では、中間カム面33が1つであったが、複数であってもよい。この場合には、最下位置と最上位置との間に複数の中間位置が設定されることになり、テーブル2を高さの異なる4つ以上の位置にそれぞれ安定して保つことができるようになる。
【0020】
また、この実施の形態において、左右一対のカムプレート12が設けられていたが、テーブル2の大きさによって、左右二対以上のカムプレート12を設けてもよい。また、この発明におけるカムプレートは、図2に示されるカムプレート12の形状に限定するものではない。第1カム面31と、第2カム面32と、少なくとも1つの中間カム面33とが形成されていればどのような形状でもよく、例えば、図6に示されるように、図2のカムプレート12を半分に分割した形状のカムプレート22でもよい。さらにカムプレート22は、テーブル2の大きさによって、2つ以上設けてもよく、各カムプレート22が間隔をおいて互いに連結しながら配置され、隣り合うカムプレート22間に、案内装置3が位置するように配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施の形態に係るテーブルリフトの構成を示した平面図である。
【図2】この実施の形態に係るテーブルリフトのカムプレートの正面図である。
【図3】この実施の形態に係るテーブルリフトにおいて、テーブルが最下位置にある場合の側面図である。
【図4】この実施の形態に係るテーブルリフトにおいて、テーブルが中間位置にある場合の側面図である。
【図5】この実施の形態に係るテーブルリフトにおいて、テーブルが最上位置にある場合の側面図である。
【図6】この実施の形態に係るテーブルリフトの変形例の概略側面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 基台、2 テーブル、4 駆動装置、12,22 カムプレート、12a (カムプレートの)上端部、12b (カムプレートの)下端部、13 ローラ装置、14 油圧シリンダー(移動手段)、19 第1ローラ、20 第2ローラ、30 テーブルリフト、31 第1カム面、32 第2カム面、33 中間カム面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置によってテーブルを基台に対して平行な関係を維持したまま昇降させるテーブルリフトにおいて、
前記駆動装置は、
前記テーブルに対して平行な複数のカム面を上端部に有するカムプレートと、
前記カムプレートと係合するローラ装置と、
前記カムプレートを移動させる移動手段と
を備え、
前記複数のカム面は、
第1カム面と、
該第1カム面よりも高い位置にある第2カム面と、
前記第1カム面及び前記第2カム面の間に位置する少なくとも1つの中間カム面と
を備えることを特徴とするテーブルリフト。
【請求項2】
前記ローラ装置は、
前記基台に設けられた第1ローラと、
前記テーブルに設けられた第2ローラと
を備え、
前記テーブルが昇降する際に、前記第1ローラは、前記カムプレートの下端部に沿って移動し、前記第2ローラは、前記第1カム面と、前記少なくとも1つの中間カム面と、前記第2カム面とに沿って移動する、請求項1に記載のテーブルリフト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−155659(P2010−155659A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333314(P2008−333314)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(593045488)日本機器鋼業株式会社 (12)