説明

テーブル

【課題】天板の下方に、電子機器等を収容しうるとともに、天板を安定よく支持することができ、また、天板の下方の支柱周りの錯雑さを解消し、椅子の移動の妨げとなるおそれを少なくしたテーブルを提供する。
【解決手段】支持脚の中心に立設した支柱2の上部に、横長の天板4の長手方向の一端部を支持させたテーブルにおいて、支持脚が、支柱2の下端から放射状に延設された3本以上の脚杆5、6、6を備え、各脚杆のうちの少なくとも1つの脚杆5を、天板4の長手方向に沿う長脚とするとともに、他の脚杆6、6を、長脚と反対方向において開脚させた短脚とし、かつ支柱2の短脚側の側面に、電子機器等を支持する機器収容部10、11を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ作業用として好適なテーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
椅子の背もたれを後方に大きく傾けて、リラクセーシヨン姿勢で着座した状態で、コンピュータの入力作業を行うのに好適なテーブルとして、例えば、本出願人の出願に係る下記特許文献1に記載されているものがある。
このテーブルは、天板を、垂直の主軸と副軸とをもって、水平方向に関節アームのように回動可能に支持し、作業者の着座姿勢等に合わせて、天板を都合よく移動しうるようにしたものである。
【特許文献1】特開2001−238734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1に記載されているテーブルは、コンピュータ本体などの機器や、それとディスプレイ、キーボード、マウス等との配線接続や、ネットワークケーブルなどに対する接続などについては、特段に配慮されておらず、それらケーブル類の余長部分が、テーブル廻りに錯雑と配置されていたり、コンピュータ本体を収容するためのキャビネットや、ラックなどの什器を別途用意しなければならない。
【0004】
また、天板を1本の支柱によって片持ち支持しているため、不安定になりやすい。この課題を解決するために、支柱の下端に配設される脚杆を、平面視H字形に形成して、天板を安定よく支持しているものもあるが、天板の下方において、床面にH形をなして設置されるため、椅子の移動が、脚杆によって妨げられるなどの問題もある。
【0005】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、天板の下方に、電子機器等を収容しうるとともに、天板を安定よく支持することができ、また、天板の下方の支柱周りの錯雑さを解消し、椅子の移動の妨げとなるおそれを小さくしたテーブルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)支持脚の中心に垂直に立設した支柱の上部に、横長の天板の長手方向の一端部を支持させたテーブルにおいて、前記支持脚が、前記支柱の下端から放射状に延設された3本以上の脚杆を備え、各脚杆のうちの少なくとも1つを、前記天板の長手方向に沿う長脚とするとともに、他の脚杆を、前記長脚と反対方向において開脚させた短脚とし、かつ前記支柱の短脚側の側面に、電子機器等を支持する機器支持部を設ける。
【0007】
(2)上記(1)項において、機器支持部における支柱側の側面に、配線収容部を設ける。
【0008】
(3)上記(2)項において、配線収容部の開口部を、着脱可能なカバーにより覆う。
【0009】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、天板を、支柱に、水平方向に回動可能として装着する。
【0010】
(5)上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、支柱の上部に、天板の上方に配設したディスプレイを支持する多関節アーム型のディスプレイ支持部材を設ける。
【0011】
(6)上記(5)項において、ディスプレイ支持部材の取付基部を、天板と一体に回動可能として、支柱に取り付ける。
【0012】
(7)上記(1)〜(6)項のいずれかにおいて、天板の前縁に、前下がり傾斜部を設ける。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、次のような効果を奏することができる。
請求項1記載の発明によると、機器支持部に電子機器等を収容することにより、別途それらの収納用の什器を設ける必要がなくなるとともに、収容した電子機器等の重量が、支柱に片持ち支持された天板の重心とバランスし、すなわちカウンターウエイトとして機能し、天板の片持ち支持による重力配分の不均衡を可級的に解消できる。
また、長脚が天板の長手方向に沿って配設されており、従来のように、支持脚を平面視H字状等とする必要がないので、長脚のみを椅子の脚の下方に潜入させて、テーブルを椅子に近接させて使用することができ、その際に、椅子の移動の妨げとなるおそれを少なくすることができる。
【0014】
請求項2記載の発明によると、機器支持部の背面を利用して、配線収容部を設けてあるので、この配線収容部に、機器支持部に支持させた電子機器等と、天板上に載置した電子機器等との接続用の配線や、ネットワークケーブル等の余長部分を収容しておくことができ、天板の下方の支柱周りの錯雑さを解消することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によると、配線収容部の開口部を、着脱可能なカバーにより覆ってあるので、収容された配線等が、外部に露呈したり、はみ出したりすることがなく、体裁がよい。
【0016】
請求項4記載の発明によると、天板を、支柱に、水平方向に回動可能として装着してあるので、着座者が席を立つ際には、天板を回動させればよく、椅子を移動させることなく席を離れることができる。
【0017】
請求項5記載の発明によると、ディスプレイの荷重が天板に直接加わることがなく、これによっても天板の片持ち支持による重力配分の不均衡を可級的に解消できる。
【0018】
請求項6記載の発明によると、天板を回動させると、ディスプレイもそれにしたがって同一角度だけ回動するので、ディスプレイを個別に回動させる必要がなく、使い勝手がよい。
【0019】
請求項7記載の発明によると、キーボード操作を行うオペレータの掌を、前下がり傾斜部に当てて作業を行うことができ、長時間のキーボード操作による疲労を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1〜図6は、本発明の第1の実施形態を示す。
このテーブル1は、上下方向を向く支柱2と、この支柱2の上端に、支柱2の中心軸線の延長線回りに回動可能として連結された回動軸3の上端に、長手方向の一端部下面が固着された、平面視ほぼ長方形の天板4と、支柱2の下端に放射状に配設された3本の脚杆5、6、6を有し、中心部に支柱2が立設された支持脚とを備えている。
【0021】
天板4の長手方向前縁には、前下がり傾斜部4aが形成されている。また、天板4の床面FLからの高さは、テーブル1と組み合わせて使用されるキャスタ付リクライニングシート8、および足置き台9に、着座者(図6参照)がリクライニング姿勢で着座した状態で、コンピュータの入力作業を行うのに最適な高さに設定されている。
【0022】
各脚杆5、6、6のうち、脚杆5は、天板4の長手方向に沿った方向を向く長脚であり、脚杆6、6は、長脚と反対方向であって、所定の開脚角度で配設された短脚としてあり、図3に示すように、脚杆5同士の開脚角度(α1)は、約134°とやや広い角度であり、脚杆5と各脚杆6との開脚角度(α2)は、約113°と、やや狭くしてあり、いずれの脚杆5、6も、その先端には床面FLに接するねじ調整式のアジャスタ7が設けられている。
【0023】
支柱2の脚杆6、6側の側面には、機器収容部を構成する正面視L字状の機器支持板10が、溶接等をもって固着されており、この機器支持板10の水平部の下面には、同じくL字状の押え板11の水平部が、図1および図2に示すように、締め付け用の蝶ナット12を緩めたり締め付けたりすることにより、左右方向に取付位置調節可能として取付けられている。
したがって、ここに支持させようとするコンピュータ本体13の厚さ等に応じて、機器支持板10と押え板11との距離を、最適に調整することができるようになっている。
【0024】
機器支持板10における支柱2側の側面は、配線収容部14となっており、図3に示すように、その側面には、配線やケーブル類を、上下に巻取って収容するための複数のフック等が設けられている。
配線等は、天板4上に載置されるキーボード15やマウス16等から導出され、コンピュータ本体13に接続されるケーブル、天板4の上方に配置されるディスプレイ17とコンピュータ本体13とを接続するケーブル、他のコンピュータ、プリンタや電話回線等と接続する外部接続用のネットワークケーブル、電源コードなどの余長部分である。
【0025】
この配線収容部14の開口部である機器支持板10の側面は、支柱2にねじ止めすることにより固定される着脱可能のカバー18をもって覆われているので、巻取部分に巻回された配線等が外部に露呈したり、はみ出したりすることがなく、体裁がよい。
【0026】
図2、図3、および図6に示すように、天板4の下方における回転軸3には、ディスプレイ17を支持するディスプレイ支持部材19の取付基部を固定するための水平の取付台20が固着されている。ディスプレイ支持部材19は、ディスプレイ17を、上下移動、水平回動、および前後に傾動可能として支持しうる多関節アーム型のものとするのが好ましいが、その他の型式のものとしてもよい。
【0027】
テーブル1は、その長脚である脚杆5を、図1に示すように、リクライニングシート8の下方に潜入させることにより、天板4がリクライニングシート8の座部の直上に位置するように、リクライニングシート8に近接させて配置され、図4に示すように、機器収容部である機器支持板10と押え板11との間に、コンピュータ本体13を収容し、天板4上にキーボードとマウスを載置し、ディスプレイ支持部材19にディスプレイ17を装着し、それらの電子機器の接続用配線、電源コード、ネットワークケーブル等の余長分を、配線収容部14に収容して使用される。
【0028】
その状態で、リクライニングシート8の着座者は、図6に示すように、足を足置き台9に乗せ、掌を天板4の前下がり傾斜部4a上に置き、背もたれを若干後傾させたリラクゼーシヨン姿勢で、コンピュータの入力作業等を行うことができる。このような姿勢で作業を行うと、長時間作業をしても、疲労を感ずることがない。
【0029】
この作業状態から、着座者が作業を中断し、席を離れる場合には、天板4を前方に水平回動させることにより、天板4が妨げとなることなく、楽に離席することができる。
【0030】
図7は、本発明の第2の実施形態を示す。なお以降の説明においては、第1の実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して示し、それらについての詳細な説明は省略する。
図7において、回動軸3は天板4の長手方向の一側部を上下に貫通し、天板4より上方に突出する上端部には、ディスプレイ支持部材21における垂直筒状の取付基部が、回動可能に外嵌され、このディスプレイ支持部材21に、ディスプレイ17が支持されていること以外は、第1の実施形態と同一である。
この実施形態においては、天板4の下方に配設される取付台20が不要となるため、ディスプレイ支持部材21の取付構造が簡略化される。
【0031】
図8は、本発明の第3の実施形態を示す。この実施形態においては、上述したディスプレイ支持部材を省略しただけの簡易構成となっている。したがって、この実施形態は、例えばノート型パソコン22などを天板4上に載置して入力作業をする上で好適である。また、機器収容部である機器支持板10と押え板11との間に、コンピュータ本体13等を収容させる必要がないので、この場合は、ここに、コンピュータ本体13に代えて、アタッシュケースなどの鞄類23その他のものを収容しておくことができる。
【0032】
本発明は、上記の実施形態のみに制限されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、変形した態様での実施が可能である。
例えば、長脚を2本とし、それらが、支持脚の中心から微小な角度をもって拡開するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のテーブルの第1の実施形態と椅子とを組合せた状態を示す正面図である。
【図2】同じく右側面図である。
【図3】テーブルの一部を分解して、左斜め前方より見た斜視図である。
【図4】テーブルの組立状態を左斜め前方より見た斜視図である。
【図5】同じく右斜め前方より見た斜視図である。
【図6】使用状態としたときの図1の左側面図である。
【図7】本発明のテーブルの第2の実施形態を左斜め前方より見た斜視図である。
【図8】本発明のテーブルの第3の実施形態を左斜め前方より見た斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1 テーブル
2 支柱
3 回動軸
4 天板
4a前下がり傾斜部
5 脚杆(長脚)
6 脚杆(短脚)
7 アジャスタ
8 リクライニングシート
9 足置き台
10 機器支持板(機器収容部)
11 押え板(機器収容部)
12 蝶ナット
13 コンピュータ本体
14 配線収容部
15 キーボード
16 マウス
17 液晶ディスプレイ
18 カバー
19 ディスプレイ支持部材
21 ディスプレイ支持部材
20 取付台
22 ノートパソコン
23 鞄類
FL 床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持脚の中心に垂直に立設した支柱の上部に、横長の天板の長手方向の一端部を支持させたテーブルにおいて、
前記支持脚が、前記支柱の下端から放射状に延設された3本以上の脚杆を備え、各脚杆のうちの少なくとも1つを、前記天板の長手方向に沿う長脚とするとともに、他の脚杆を、前記長脚と反対方向において開脚させた短脚とし、かつ前記支柱の短脚側の側面に、電子機器等を支持する機器支持部を設けたことを特徴とするテーブル。
【請求項2】
機器支持部における支柱側の側面に、配線収容部を設けた請求項1記載のテーブル。
【請求項3】
配線収容部の開口部を、着脱可能なカバーにより覆った請求項2記載のテーブル。
【請求項4】
天板を、支柱に、水平方向に回動可能として装着した請求項1〜3のいずれかに記載のテーブル。
【請求項5】
支柱の上部に、天板の上方に配設したディスプレイを支持する多関節アーム型のディスプレイ支持部材を設けた請求項1〜4のいずれかに記載のテーブル。
【請求項6】
ディスプレイ支持部材の取付基部を、天板と一体に回動可能として、支柱に取り付けた請求項5記載のテーブル。
【請求項7】
天板の前縁に、前下がり傾斜部を設けた請求項1〜6いずれか記載のテーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−104533(P2008−104533A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288222(P2006−288222)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】