説明

テープ印刷装置

【課題】簡単な構造で、印刷ヘッドのプラテンに対する離接と、電源のON/OFFと、を同時に行うことができるテープ印刷装置を提供することである。
【解決手段】本発明は、第1の位置と第2の位置との間で操作される電源操作レバー21と、プラテン61を押圧する印刷位置とプラテン61から離間する非印刷位置との間で移動自在に構成された印刷ヘッド84と、電源操作レバー21の第1の位置から第2の位置への操作に連動して印刷ヘッド84を印刷位置に移動させ、第2の位置から第1の位置への操作に連動して印刷ヘッド84を非印刷位置に移動させる操作連動機構63と、電源操作レバー21の第1の位置から第2の位置への操作により電源をONし、第2の位置から第1の位置への操作により電源をOFFする電源スイッチ54と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用時に印刷ヘッドをプラテンに接触させ、不使用時に印刷ヘッドをプラテンから離間させるテープ印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のサーマルプリンター(テープ印刷装置)として、電源のON/OFF動作に同期して、制御ソレノイドを励磁/消磁させて、プラテンローラ(プラテン)に対し印字ヘッド(印刷ヘッド)を離接動作させるものが知られている(特許文献1参照)。
このサーマルプリンターは、プラテンローラと、プラテンローラに対して離接可能に構成された印字ヘッドと、印字ヘッドを接触方向に付勢する加圧スプリングと、プラテンローラから印字ヘッドを離間させる解除レバーと、解除レバーに直結した制御ソレノイドと、制御ソレノイドと逆側において解除レバーに直結した解除用スプリングと、を備えている。
この場合、電源をONすると、制御ソレノイドが励磁されることにより、解除用スプリングに抗して解除レバーが回動し、印字ヘッドが接触方向に回動してプラテンローラに対する離間が解かれる。これにより、加圧スプリングのばね力で印字ヘッドがプラテンローラに押圧して印刷状態となる。一方、電源をOFFすると、制御ソレノイドが消磁することにより、解除用スプリングにより解除レバーが逆方向に回動して印字ヘッドを離間方向に回動させる。これにより、印字ヘッドがプラテンローラから離間し、待機状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−98473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなサーマルプリンターでは、電源のON/OFF動作に同期する制御ソレノイドにより、印字ヘッドおよびプラテンローラの離接動作をさせるようにしているため、装置構成が複雑になると共に、電力を無駄に消費してしまう問題があった。
【0005】
本発明は、簡単な構造で、印刷ヘッドのプラテンに対する離接と、電源のON/OFFと、を同時に行うことができるテープ印刷装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のテープ印刷装置は、第1の位置と第2の位置との間で操作される操作子と、プラテンを押圧する印刷位置とプラテンから離間する非印刷位置との間で移動自在に構成された印刷ヘッドと、操作子の第1の位置から第2の位置への操作に連動して印刷ヘッドを印刷位置に移動させ、第2の位置から第1の位置への操作に連動して印刷ヘッドを非印刷位置に移動させる操作連動機構と、操作子の第1の位置から第2の位置への操作により電源をONし、第2の位置から第1の位置への操作により電源をOFFする電源スイッチと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、操作子を第1の位置から第2の位置へ操作すると、印刷ヘッドが非印刷位置から印刷位置に移動すると共に、電源がONする。また逆に、操作子を第2の位置から第1の位置へ操作すると、印刷ヘッドが印刷位置から非印刷位置に移動すると共に、電源がOFFする。このように、操作子を第1の位置と第2の位置との間で操作することにより、印刷ヘッドのプラテンに対する離接と電源のON/OFFとを同時に行うことができる。すなわち、簡単な構造で、印刷ヘッドの離接動作と電源のON/OFF動作を同時に実施することができると共に、印刷ヘッドの離接動作において電力の無駄な消費を抑制することができる。
【0008】
この場合、操作連動機構は、印刷ヘッドを印刷位置に向かって付勢するヘッド押圧ばねと、印刷ヘッドおよび操作子の間に介設され、印刷ヘッドを印刷位置から非印刷位置に移動させる回動カム面および回動カム面に連なり印刷ヘッドを非印刷位置に維持する維持カム面が形成されたカム機構と、を有していることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、カム機構の回動カム面により印刷ヘッドを印刷位置から非印刷位置へ移動させ、維持カム面により印刷ヘッドを非印刷位置に維持することができる。また、カム機構の逆動作とヘッド押圧ばねとにより、印刷ヘッドを非印刷位置から印刷位置へ移動させることができる。このように、簡単な構造で、印刷ヘッドを印刷位置および非印刷位置間で確実に移動させることができる。
【0010】
この場合、プラテンを回転自在に支持する支持フレーム、を更に備え、印刷ヘッドは、印刷位置と非印刷位置との間で、支持フレームに回動自在に軸支されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、印刷ヘッドの印刷位置および非印刷位置間の移動を、単純な構造で精度良く行うことができる。
【0012】
この場合、操作子は、支持フレームに回動自在に軸支され、第1の位置と第2の位置との間で往復回動操作される電源操作レバーで構成されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、電源をON操作したときに、印刷ヘッドを自動的に印刷位置に移動させることができ、また電源をOFF操作したときに、印刷ヘッドを自動的に非印刷位置に移動させることができる。したがって、ユーザーが意識することなく、印刷ヘッドのプラテンに対する離接動作を適切に実施することができる。
【0014】
この場合、プラテンの回転に同期して、印刷ヘッドを駆動するヘッド駆動制御手段を、更に備え、印刷位置に移動した印刷ヘッドとプラテンとの間に挟みこまれたテープが引き出されることにより、印刷が実施されることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、印刷におけるテープ送りに電力を消費することがなく、省電力タイプのテープ印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本願発明の一実施形態に係るテープ印刷装置を正面から見た斜視図である。
【図2】本願発明の一実施形態に係るテープ印刷装置を裏面から見た斜視図である。
【図3】本願発明の一実施形態に係るテープ印刷装置の分解斜視図である。
【図4】本願発明の一実施形態に係る操作子の操作に伴う印刷ヘッドおよびプラテンの離接動作と、電源のON/OFF動作と、を説明する図である。
【図5】本願発明の一実施形態に係る印刷ヘッドの移動に伴うプラテンからリボン巻取り軸への回転動力の伝達制御についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係るテープ印刷装置を適用した印刷機能付きテープディスペンサーについて説明する。この印刷機能付きテープディスペンサー(以下、「テープディスペンサー」と言う。)は、同種・異種を問わず複数個のテープ(主に、装飾テープ)を、供給可能にストックすると共に、印刷部にセットした任意の1のテープを、手動で引き出すことによりテープに所望の印刷を実施するものである。
【0018】
図1ないし図3に示すように、テープディスペンサー1は、ロール状のテープTを着脱自在に収容すると共に、装置外部に引き出されてゆくテープTに印刷を行う印刷部2と、複数個のテープTをストックすると共に、ストックしたテープTを適宜引き出してカットするためのカッター125を有するストック部3と、印刷部2およびストック部3の下側に配設された装置ベース4と、テープTに印刷する印刷データを入力するためのキーボード5と、入力した印刷データを表示するディスプレイ6と、頻繁に使用する印刷データをキー入力なしで呼び出すための操作パネル7と、を備えている。
【0019】
装置ベース4には、電源となるバッテリー(複数の乾電池)12を収容するバッテリー収容部11が内部に作り込まれている。バッテリー12は、下側から着脱するようになっており、図示では、バッテリー収容部11を開閉する裏蓋が省略されている。
【0020】
キーボード5は、その奥側を、図外のヒンジを介して装置ベース4の前部(表側)に起倒自在に取り付けられている。すなわち、キーボード5は、倒した状態の操作位置と、起立させた状態の収納位置と、の間で回動自在に構成されている。そして、収納位置に回動したキーボード5は、一方の半部が印刷部2の背面に接し、他方の半部がストック部3の前部(表側)を覆うようになっている。
【0021】
印刷部2は、回路基板52や各種の機構から成る印刷装置部51を収容した前側ケース部13と、テープTおよびインクリボンRを格納したリボンカセット31が装着される後側ケース部14と、後側ケース部14の後開口部を開閉する蓋ケース15と、を有している。前側ケース部13および後側ケース部14は、隔板22で仕切られており、装置ベース4上に立設するように搭載されている。蓋ケース15は、その下端部を図外のヒンジを介して、装置ベース4に回動自在に取り付けられ、引き倒すことにより、後側ケース部14の後開口部を開放する。
【0022】
前側ケース部13の外側上部には、斜め前方を向くように横長のディスプレイ6が、前面左側には、縦長の操作パネル7がそれぞれ設けられ、左上端部には、後述する電源操作レバー(操作子)21が配設されている。操作パネル7には、上下方向に複数のショートカットボタン16が列設されており、頻繁に使用する印刷データを回路基板52のメモリから直接呼び出せるようになっている。
【0023】
図2および図3に示すように、後側ケース部14の内部には、上記の隔板22により、上側のリボン装着部18および下側のテープ装着部19から成る装着部20が、窪入形成されている。また、後側ケース部14の左側部に相当する部分には、後述の切断機構23が配設されており、切断機構23の上側には、テープTを引き出すための引出し口24が配設されている。
【0024】
テープ装着部19には、その中心位置に軸状突起25が突設されており、この軸状突起25に、テープコアを嵌め込むようにしてテープTが着脱自在に装着される。一方、リボン装着部18には、隔板22を貫通するようにして、後述するリボン巻取り軸27、ヘッドカバー26で覆われた印刷ヘッド84およびプラテンカバー28に覆われたプラテン61が、突設されている。リボン装着部18は、リボンカセット31と相補的形状に形成されており、リボンカセット31はリボン装着部18の内周面をガイドにして、リボン装着部18に着脱自在に装着される。テープTを引き出しておいて、軸状突起25に装着した後、テープTの繰出し端部をプラテン61(印刷ヘッド84)および引出し口24に臨ませて、テープTの装着を行い、続いてリボンカセット31を装着する。この状態で、テープTの繰出し端部とインクリボンRが、印刷ヘッド84とプラテン61との間で重なった状態となる。
【0025】
蓋ケース15は、下端部を中心に開閉し、開いた状態において、テープTおよびリボンカセット31の着脱を行い、閉じた状態において、テープTおよびリボンカセット31の脱落を阻止する。また、蓋ケース15の切断機構23側の辺には、切欠き部48が形成されており、この切欠き部48は、後述するカッター部41に指を引っかけるための指掛空間43を構成している。
【0026】
リボンカセット31は、インクリボンRと、インクリボンRを繰り出すリボン繰出しリール32と、インクリボンRを巻取るリボン巻取りリール33と、インクリボンRを印刷ヘッド84に臨ませるリボンガイド34と、これらを収容するカセットケース35と、から構成されている。リボンカセット31をリボン装着部18に装着すると、リボン巻取りリール33がリボン巻取り軸27に係合し、リボンガイド34がヘッドカバー26を覆って、これに周回させたインクリボンRを印刷ヘッド84とプラテン61との間に臨ませる。詳細は後述するが、プラテン61とリボン巻取り軸27とは、テープTを引き出すことにより同期して回転し、印刷ヘッド84とプラテン61との間に挟み込まれたテープTとインクリボンRとが併走する。
【0027】
テープTは、テープコアに巻回してロール状にしたものであり、裏面に粘着剤層を有する粘着テープと、裏面に粘着剤層と剥離紙を有する剥離紙付き粘着テープとが用意されており、いずれも表面に印刷が可能な、いわゆる装飾テープで構成されている。
【0028】
ストック部3は、複数のテープTを軸方向から装填可能な複数(本実施形態では2つ)のストック軸部124と、ストック軸部124の前方にストック軸部124と平行に配設された複数(本実施形態では上下2つ)のカッター125と、を有している。2つのストック軸部124は、上記の後側ケース部14の側面に片持ちで取り付けられており、相互に平行に且つ水平に延在している。複数のテープTは、各ストック軸部124に軸方向から装填され、且つストック軸部124に回転可能に保持される。すなわち、各ストック軸部124は、各テープTを装置外部に引き出し可能にストックする。なお、本実施形態のものでは、ストック部3は、上下に2段で構成され、4個ずつ計8個のテープTをストックできるものを示している。
【0029】
各カッター125は、各ストック軸部124に平行に配設されており、前側ケース部13の側面から水平に延在している。各カッター125の刃先49は、上向きに且つ水平方向に延在し、鋸刃状に構成されている(図示省略)。また、刃先49の近傍には、上下することで刃先49を出し入れする安全カバー(図示省略)が取り付けられている。各テープTの繰出し部分は、所定量引き出され、刃先49に押し付けるようにして切断される。なお、刃先49は、直線状に構成されていてもよい(図示省略)。
【0030】
切断機構23は、刃先46を引出し口24に臨ませたカッター部41と、カッター部41をカット位置に向かって付勢する付勢手段42と、カッター部41に指を引っかけるための指掛空間43と、カッター部41をカット位置に位置規制するストッパー44と、を備えている。カッター部は、カッター部本体45と、カッター部本体45の先端部に設けられた刃先46と、カッター部本体45の基端部に設けられた軸貫通部47と、で一体に形成されている。カッター部本体45は、軸貫通部47で支軸に回動自在に支持されており、支軸には、ねじりコイルばねで構成された付勢手段42が巻回するように設けられている。ストッパー44は、プラテンカバー28の一部で構成され、カッター部41の刃先46とプラテン61との間に微小な間隙が生ずるカット位置に位置規制する。
【0031】
印刷装置部51は、前側ケース部13の手前側に配設された回路基板52と、前側ケース部13の奥側に配設された印刷機構部53と、を備えている。回路基板52には、上記のバッテリー12を電源として、印刷ヘッド84を駆動する駆動回路の他、各種の制御回路および電源スイッチ54が組み込まれている。
【0032】
図4および図5に示すように、印刷機構部53は、プラテン61と、電源スイッチ54をONさせるON位置(第1の位置)とOFFさせるOFF位置(第2の位置)との間で上下方向に操作される上記の電源操作レバー21と、プラテン61を押圧する印刷位置とプラテン61から離間する非印刷位置との間で移動自在に構成された印刷ヘッド84を有するヘッドユニット62と、電源操作レバー21の操作に連動して、印刷ヘッド84を印刷位置および非印刷位置間に移動させる操作連動機構63と、上記のリボン巻取り軸27と、プラテン61の回転をリボン巻取り軸27に伝達する伝達ギヤ列64と、ヘッドユニット62の移動に連動して、伝達ギヤ列64を動力伝達状態あるいは動力遮断状態とするクラッチ機構65と、これらを支持する支持フレーム66と、を備えている。
【0033】
支持フレーム66は、フレーム本体71と、フレーム本体71の上端部から側方に延在した延在フレーム部72と、で一体に形成されている。フレーム本体71には、プラテン61および後述のプラテンギヤ101を回転自在に軸支するプラテン軸73と、電源操作レバー21を回動自在に軸支する操作子軸74と、印刷ヘッド84を回動自在に軸支するヘッド軸75と、リボン巻取りリール33および後述のリボンギヤ103を回転自在に軸支するリボン巻取り軸27と、がそれぞれ立設されている。
【0034】
電源操作レバー21は、上記の操作子軸74を介して、支持フレーム66に回動自在に支持された回動レバー81と、回動レバー81の一端に設けられ、ユーザーが操作する摘み部82と、回動レバー81の他端部に突設され、後述のカム機構94に係合するカム係合ピン83と、回動レバー81を挟んでカム係合ピン83の裏側に配設され、電源スイッチ54に係合するスイッチ係合部(図示省略)と、を有している。電源操作レバー21の摘み部82は、前側ケース部13の開口から外部に露出しており、ON位置とOFF位置との間で、往復操作される。なお、電源操作レバー21のON位置およびOFF位置は、前側ケース部13の開口によって位置規制されている。
【0035】
ヘッドユニット62は、プラテン61を押圧する印刷位置およびプラテン61から離間する非印刷位置との間で、ヘッド軸75に回動自在に支持された印刷ヘッド84と、印刷ヘッド84を印刷位置に押圧するヘッド押圧フレーム85と、を有している。印刷ヘッド84は、いわゆるサーマルヘッドで構成されたヘッド本体86と、ヘッド本体86を保持するヘッド保持部材87と、で構成されている。
【0036】
ヘッド押圧フレーム85は、押圧フレーム本体91と、押圧フレーム本体91の一端部に設けられ、ヘッド保持部材87を押圧する押圧プレート92と、で一体に形成されており、ヘッド軸75に回動自在に支持されている。押圧フレーム本体91は、略クランク形状をしており、一方の端部には後述のカム機構94が配設され、他方の端部には印刷ヘッド84を印刷位置へ向かって付勢するヘッド押圧ばね93が係合している。
【0037】
図4および図5に示すように、操作連動機構63は、ヘッド押圧フレーム85と上記の延在フレーム部72との間に掛け渡され、ヘッド押圧フレーム85を介して、印刷ヘッド84を印刷位置に向かって付勢するヘッド押圧ばね93と、ヘッド押圧フレーム85と電源操作レバー21との間に介設され、印刷ヘッド84を印刷位置および非印刷位置の間で回動させるカム機構94と、から構成されている。
【0038】
カム機構94は、ヘッド押圧フレーム85の一端に取り付けられており、印刷ヘッド84を印刷位置から非印刷位置に移動させる回動カム面95、および回動カム面95に連なり印刷ヘッド84を非印刷位置に維持する維持カム面96を有する斜面カム97と、上記のカム係合ピン83(カムフォロアに相当)と、で構成されている。
【0039】
図4(a)に示すように、電源操作レバー21をON位置に操作すると、カム係合ピン83が維持カム面96から頂部を経て回動カム面95に移動し、これに伴って、ヘッド押圧ばね93の付勢力が印刷ヘッド84に作用し、印刷ヘッド84を印刷位置に回動させる。この状態では、電源操作レバー21の斜面カム97への干渉が解かれ、印刷ヘッド84は、ヘッド押圧ばね93の付勢力のみにより、プラテン61に押圧される。一方、図4(b)に示すように、電源操作レバー21をOFF位置に操作すると、ヘッド押圧ばね93に抗してカム係合ピン83が回動カム面95から頂部を経て維持カム面96に移動し、印刷ヘッド84を非印刷位置に回動させる。この状態では、電源操作レバー21と斜面カム97との係合状態が維持され、印刷ヘッド84は非印刷位置を維持する。このように、電源操作レバー21をON位置とOFF位置との間で操作することにより、電源のON/OFFと、印刷ヘッド84のプラテン61への離接と、を同時に行うことができる。
【0040】
図5に示すように、伝達ギヤ列64は、上記したプラテン61の下端に固定したプラテンギヤ101と、プラテンギヤ101に噛み合うクラッチギヤ102と、リボン巻取り軸27の下端に固定したリボンギヤ103と、クラッチギヤ102からリボンギヤ103に回転動力を伝達する中間ギヤ列104と、を有している。中間ギヤ列104は、クラッチギヤ102に噛み合う第1中間ギヤ105と、第1中間ギヤ105に噛み合う第2中間ギヤ106と、第1中間ギヤ105に噛み合う分岐ギヤ107と、第2中間ギヤ106およびリボンギヤ103に噛み合う第3中間ギヤ108と、から構成されている。第1中間ギヤ105、第2中間ギヤ106、第3中間ギヤ108および分岐ギヤ107は、特に図示しないが支持フレーム66に回転自在に支持されている。
【0041】
テープTの引き出しに伴ってプラテン61が回転する(印刷時)と、プラテン61の回転動力は、プラテンギヤ101、クラッチギヤ102、第1中間ギヤ105、第2中間ギヤ106、第3中間ギヤ108、リボンギヤ103の順で伝達され、リボン巻取り軸27を巻取り回転させる。また、プラテン61の回転動力は、第1中間ギヤ105および分岐ギヤ107を経て後述するエンコーダー121に伝達される。
【0042】
クラッチ機構65は、第1中間ギヤ105に対しクラッチギヤ102を噛み合わせる動力伝達位置と、第1中間ギヤ105に対するクラッチギヤ102の噛み合いを解く動力遮断位置との間で、プラテン軸73に回動自在に支持された作動アーム111と、ヘッドユニット62の回動に連動して作動アーム111を動力伝達位置および動力遮断位置間で回動させる連動機構112と、を有している。
【0043】
作動アーム111は、長円形に形成されており、プラテン軸73が挿通するアーム穴113が形成されており、またプラテンギヤ101に噛み合った状態でクラッチギヤ102を回転自在に支持するクラッチギヤ軸114が突設されている。すなわち、作動アーム111は、プラテンギヤ101およびクラッチギヤ102をセットした状態で、アーム穴113の部分でプラテン軸73に回動自在に支持され、且つプラテンギヤ101およびクラッチギヤ102を噛み合った状態に維持する。
【0044】
連動機構112は、ヘッド押圧フレーム85および作動アーム111を連結する連結バーで構成されており、基端部が作動アーム111の上端中央部に取り付けられた作動片115と、作動片115の先端部に設けられ、ヘッド押圧フレーム85の係合穴(図示省略)に係合する係合突起116と、を有している。ヘッド押圧フレーム85の係合穴は、ヘッド軸75の法線方向に延在する長穴で構成されている。このように、連動機構112は、ヘッド押圧フレーム85の回動動作、すなわち印刷ヘッド84の離接動作に連動して、作動アーム111を動力伝達位置および動力遮断位置の間で回動動作させる。
【0045】
プラテン61の回転動力をリボン巻取り軸27に伝達する場合は、図5(a)、(b)および(c)に示すように、ヘッド押圧フレーム85が、印刷ヘッド84を印刷位置に回動させた状態にあり、その際、連動機構112は、ヘッド押圧フレーム85の回動に伴い、作動アーム111を動力伝達位置に回動させる。これにより、クラッチギヤ102を第1中間ギヤ105に噛み合わせる。
【0046】
一方、プラテン61の回転動力をリボン巻取り軸27に伝達しない場合は、図5(d)、(e)および(f)に示すように、ヘッド押圧フレーム85が、印刷ヘッド84を非印刷位置に回動させた状態にあり、その際、連動機構112は、ヘッド押圧フレーム85の回動に伴い、作動アーム111を動力遮断位置に回動させる。これにより、クラッチギヤ102の第1中間ギヤ105に対する噛み合いが解かれる。
【0047】
図5に示すように、エンコーダー121は、同軸上において分岐ギヤ107に固定されたスリット円板122と、スリット円板122に臨むフォトインタラプタ123と、を有している。スリット円板122は、分岐ギヤ107より太径に形成されており、分岐ギヤ107から伝達されたプラテン61の回転動力により回転する。フォトインタラプタ123は、スリット円板122の外周部に臨んでおり、スリット円板122を介してプラテン61の回転量を検出する。そして、フォトインタラプタ123により検出されたプラテン61の回転量は、回路基板52に送られ、この回転量、すなわちテープTの引き出し量に同期して、印刷ヘッド84が駆動され、印刷が実行される。
【0048】
以上のように、本実施形態によれば、電源操作レバー21をON位置とOFF位置との間で操作することにより、電源のON/OFF動作と、印刷ヘッド84およびプラテン61の離接動作と、を同時に行うことができる。また、手動により印刷ヘッド84を離接動作させるようにしているため、電力を無駄に消費することがない。
【符号の説明】
【0049】
1…テープ印刷装置 21…電源操作レバー 54…電源スイッチ 61…プラテン 63…操作連動機構 66…支持フレーム 84…印刷ヘッド 93…ヘッド押圧ばね 94…カム機構 95…回動カム面 96…維持カム面 121…エンコーダー T…テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の位置と第2の位置との間で操作される操作子と、
プラテンを押圧する印刷位置と前記プラテンから離間する非印刷位置との間で移動自在に構成された印刷ヘッドと、
前記操作子の前記第1の位置から前記第2の位置への操作に連動して前記印刷ヘッドを印刷位置に移動させ、前記第2の位置から前記第1の位置への操作に連動して前記印刷ヘッドを非印刷位置に移動させる操作連動機構と、
前記操作子の前記第1の位置から前記第2の位置への操作により電源をONし、前記第2の位置から前記第1の位置への操作により電源をOFFする電源スイッチと、を備えたことを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項2】
前記操作連動機構は、前記印刷ヘッドを前記印刷位置に向かって付勢するヘッド押圧ばねと、
前記印刷ヘッドおよび前記操作子の間に介設され、前記印刷ヘッドを前記印刷位置から前記非印刷位置に移動させる回動カム面および前記回動カム面に連なり前記印刷ヘッドを非印刷位置に維持する維持カム面が形成されたカム機構と、を有していることを特徴とする請求項1に記載のテープ印刷装置。
【請求項3】
前記プラテンを回転自在に支持する支持フレーム、を更に備え、
前記印刷ヘッドは、前記印刷位置と前記非印刷位置との間で、前記支持フレームに回動自在に軸支されていることを特徴とする請求項1または2に記載のテープ印刷装置。
【請求項4】
前記操作子は、前記支持フレームに回動自在に軸支され、第1の位置と第2の位置との間で往復回動操作される電源操作レバーで構成されていることを特徴とする請求項3に記載のテープ印刷装置。
【請求項5】
前記プラテンの回転に同期して、前記印刷ヘッドを駆動するヘッド駆動制御手段を、更に備え、
前記印刷位置に移動した前記印刷ヘッドと前記プラテンとの間に挟みこまれたテープが引き出されることにより、印刷が実施されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のテープ印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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