説明

ディスクストッパー

【課題】圧縮永久歪が小さく良好な耐久性を有し、回転ズレ、スリップ、回転不良などの不都合を生じることなく、ターンテーブル上の光学記録ディスクを安定的に回転させることができるディスクストッパーを提供することを目的とする。
【解決手段】硬質樹脂フィルムからなる基材フィルム1の一面側に静摩擦性の高いグリップ層2を形成すると共に、他面側に粘着層3を形成してなり、ターンテーブルに貼り付けてターンテーブル上に配置されたディスクのズレを防止するディスクストッパーであって、上記グリップ層2を紫外線硬化樹脂で形成したことを特徴とするディスクストッパーを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD、DVD、BDなどの光学記録ディスクを回転させるターンテーブルに貼り付けて、該ディスクのずれやスリップを防止するディスクストッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
CD、DVD、BDなどの光学記録ディスクを回転させるドライブのターンテーブルには、高静摩擦性のゴムや熱可塑性エラストマーからなるシート状のディスクストッパーが貼り付けて、上記光学記録ディスクのズレやスリップを防止することが行われている。
【0003】
従来、このようなディスクストッパーとして、熱可塑性エラストマーからなるものが知られており(特許文献1:特開2001−256746号公報)、また、その片面にプライマー層、接着層及び粘着層を順次積層したものも提案されている(特許文献2:特開2003−82136号公報)。
【0004】
しかしながら、これら熱可塑性エラストマーで形成された従来のディスクストッパーは、圧縮永久歪が大きく、長期使用によってその性能が劣化しやすい。特に高速で回転すると共に光照射が行われるディスクドライブのターンテーブルは、50℃を超える高温になりやすく、このような高温下に圧縮状態で長時間晒されるような過酷な条件では、圧縮永久歪によって所謂「ヘタリ」が生じやすく、これにより回転ズレやスリップ、更には回転不良などの不都合が発生することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−256746号公報
【特許文献2】特開2003−82136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、圧縮永久歪が小さく良好な耐久性を有し、回転ズレ、スリップ、回転不良などの不都合を生じることなく、ターンテーブル上の光学記録ディスクを安定的に回転させることができるディスクストッパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、硬質樹脂フィルムからなる基材フィルムの一面側に静摩擦性の高いグリップ層を形成すると共に、他面側に粘着層を形成して、ディスクストッパーを製造するに当たり、上記グリップ層を紫外線硬化樹脂で形成することにより、圧縮永久歪が小さく良好な耐久性を発揮して、回転ズレ、スリップ、回転不良などの不都合を生じることなく、安定的な回転走行が行われる高性能なディスクストッパーが得られ、しかも下記の付加的利点を得られることを見出し、本発明を完成したものである。
【0008】
利点1:従来は良好に接着させるためプライマリー層を必要としていたPETなどの基材フィルムに対して良好な接着性が得られ、プライマリー層を省略できる。
利点2:加硫ゴムを用いる場合のような大掛かりな加硫工程を必要とせず、また上記のようにプライマリー層の形成工程も必要ない。
利点3:UV照射により短時間で硬化が完了し、高い生産効率が望める。
利点4:紫外線硬化樹脂をリング状等の使用形状に塗布し、UV照射により硬化させることにより、容易に使用形状の製品を得ることができ、基材フィルムの前面にグリップ層を積層した後に使用形状に打ち抜く場合に比べ、材料の無駄がほとんどでない。
利点5:更に紫外線硬化樹脂をドット状に塗布してUV照射により硬化させ、多数の点としてグリップ層を形成することにより、更に使用材料を減らし、硬化時間も短縮することができる。
【0009】
従って、本発明は、下記請求項1にかかるディスクストッパーを提供するものである。
請求項1:
硬質樹脂フィルムからなる基材フィルムの一面側に静摩擦性の高いグリップ層を形成すると共に、他面側に粘着層を形成してなり、ターンテーブルに貼り付けてターンテーブル上に配置されたディスクのズレを防止するディスクストッパーであって、上記グリップ層を紫外線硬化樹脂で形成したことを特徴とするディスクストッパー。
【0010】
また、本発明者は上記紫外線硬化樹脂につき更に検討を進めた結果、より良好に本発明の目的を達成することができる紫外線硬化樹脂として、下記請求項2〜17の紫外線硬化樹脂を見出した。従って、本発明は好適な実施態様として、下記請求項2〜17のディスクストッパーを提供する。
【0011】
請求項2:
上記紫外線硬化樹脂が、
(A)末端に(メタ)アクリロイル基を有する反応性ポリマー20〜90質量%と、
(B)(メタ)アクリル酸エステルモノマー80〜10質量%との合計量100質量部に対し、
(C)光ラジカル重合開始剤を0.1〜10質量部含有する紫外線硬化樹脂組成物である請求項1記載のディスクストッパー。
請求項3:
上記(A)成分の反応性ポリマーが、水添ポリブタジエン(メタ)アクリレート、水添ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、水添ポリイソプレン(メタ)アクリレート、水添ポリイソプレンジ(メタ)アクリレート、ウレタン変性された水添ポリブタジエン(メタ)アクリレート及び水添ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート並びにウレタン変性された水添ポリイソプレン(メタ)アクリレート及び水添ポリイソプレンエンジ(メタ)アクリレートから選ばれる1種又は2種以上である請求項2記載のディスクストッパー。
請求項4:
上記(B)成分の(メタ)アクリル酸エステルモノマーが、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート又はイソボニルアクリレートである請求項2又は3記載のディスクストッパー。
請求項5:
上記(C)成分の光ラジカル重合開始剤が、α−ヒドロキシアセトフェノン又はα−アミノアセトフェノンである請求項2〜4のいずれか1項に記載のディスクストッパー。
請求項6:
上記紫外線硬化樹脂が、
(D)不飽和基含有エステル系ウレタンオリゴマー100質量部、
(E)分子内に少なくとも1つのカルボジイミド基を含む化合物0.01〜10質量部、及び、
(F)光重合開始剤、架橋剤、及びモノマーのうちの少なくとも一つを含有する紫外線硬化樹脂組成物である請求項1記載のディスクストッパー。
請求項7:
上記(D)成分の不飽和基含有エステル系ウレタンオリゴマーが、下記一般式(I)
【化1】


[ただし、式中、R1は(メタ)アクリロイル基およびビニル基の少なくともいずれかの不飽和基を含有するモノオール化合物の脱水酸基残基、R2は有機ジイソシアナート化合物の脱イソシアナート残基、R3は、数平均分子量1×103〜1×104で環状基または分岐鎖状基を含有するポリエステルジオール化合物の脱水酸基残基であり、Aはジアミン化合物の脱水素残基またはジオール化合物の脱水素残基、pおよびrの各々は0〜7、qは0〜3、ただし、q=0のとき、1≦p+r≦10である。]
で表され、かつ数平均分子量が5×103〜5×104である不飽和基含有ウレタンオリゴマーである請求項6に記載のディスクストッパー。
請求項8:
上記(D)成分の不飽和基含有ウレタンオリゴマー(ただし、一般式(I)においてq=0の場合)が、前記ポリエステルジオール化合物と、前記有機ジイソシアナート化合物とを重付加反応させてイソシアナート基を両末端に有する付加物を形成した後、該イソシアナート基に、前記モノオール化合物を付加して得られるものである請求項7記載のディスクストッパー。
請求項9:
上記(D)成分の不飽和基含有ウレタンオリゴマー(ただし、一般式(I)においてq≠0の場合)が、前記ポリエステルジオール化合物と前記有機ジイソシアナート化合物とを重付加反応させてイソシアナート基を両末端に有する付加物を形成した後、前記ジアミン化合物または前記ジオール化合物の末端の各々を、該付加物の片端のイソシアナート基に付加させ、該付加物の他の片端のイソシアナート基に、前記モノオール化合物を付加して得られるものである請求項7のいずれかに記載のディスクストッパー。
請求項10:
上記(E)カルボジイミド基を含む化合物が、粘度0.1〜100Pa・sの液状ポリカルボジイミド化合物である請求項6〜9のいずれか1項に記載のディスクストッパー。
請求項11:
上記(F)成分のモノマーとしてフェノキシエチルアクリレート、光重合開始剤として4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトンを含有する請求項6〜10のいずれか1項に記載のディスクストッパー。
請求項12:
上記紫外線硬化樹脂が、
(G)光硬化性官能基を含有する水添共役ジエン−芳香族ビニル共重合体、
(H)(メタ)アクリレートモノマー、及び、
(I)アミノアセトフェノン系光重合開始剤を含有する紫外線硬化樹脂組成物である請求項1記載のディスクストッパー。
請求項13:
上記(G)水添共役ジエン−芳香族ビニル共重合体を構成する共役ジエン単量体が1,3−ブタジエン及び/又はイソプレンである請求項12に記載のディスクストッパー。
請求項14:
上記(G)水添共役ジエン−芳香族ビニル共重合体を構成する芳香族ビニル単量体がスチレン、α−メチルスチレン及び/又はパラメチルスチレンである請求項12又は13記載のディスクストッパー。
請求項15:
上記(G)水添共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の含有する光硬化性官能基が、メタ)アクリロイル基である請求項12〜14のいずれか1項に記載のディスクストッパー。
請求項16:
上記(H)(メタ)アクリレートモノマーが、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレートから選ばれる1種又は2種以上である請求項12〜15のいずれか1項に記載のディスクストッパー。
請求項17:
上記(I)アミノアセトフェノン系光重合開始剤が、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン及び2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノンから選ばれる1種又は2種以上の光重合開始剤である請求項12〜16のいずれか1項に記載のディスクストッパー。
【0012】
更に、上記紫外線硬化樹脂以外の構成についてもより好適な態様を検討した結果、下記請求項18〜21のディスクストッパーを見出した。
請求項18:
上記基材フィルムを形成する硬質樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム又はポリエチレン(PE)フィルムである請求項1〜17のいずれか1項に記載のディスクストッパー。
請求項19:
上記粘着層がアクリル系両面粘着テープである請求項1〜18のいずれか1項に記載のディスクストッパー。
請求項20:
上記グリップ層が、基材フィルム上に上記紫外線硬化樹脂を所定形状に塗布し、紫外線を照射することにより形成されたものである請求項1〜19のいずれか1項に記載のディスクストッパー。
請求項21:
上記グリップ層が、基材フィルム上に上記紫外線硬化樹脂をドット状に塗布し、紫外線を照射して硬化させた多数の点状のグリップ層である請求項1〜20のいずれか1項に記載のディスクストッパー。
【発明の効果】
【0013】
即ち、本発明のディスクストッパーによれば、グリップ層の圧縮永久歪が小さく、高温化で長期使用されてもグリップ性能を低下させることなく、光学記録ディスクを安定的に回転走行させることができ、耐久性に優れるものである。
【0014】
また、グリップ層と基材フィルムとを接着するためのプライマリー層を省略することができると共に、紫外線照射により簡単に硬化させることができ、グリップ層の形成工程を簡略化することができると共に、グリップ層の形状を最終製品形状に形成したりドット状に形成することも比較的容易に行うことができ、材料コスト的にも優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかるディスクストッパーの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明にかかるディスクストッパーの他の例を示す概略断面図である。
【図3】同ディスクストッパーを示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のディスクストッパーは、例えば図1に示したように、硬質樹脂フィルムからなる基材フィルム1の一面側に静摩擦性の高いグリップ層2を形成すると共に、他面側に粘着層3を形成したものであり、このようなディスクストッパーにおいて、本発明では上記グリップ層2を紫外線硬化樹脂で形成したものである。
【0017】
上記基材フィルム1を形成する硬質樹脂フィルムとしては、上記粘着層3を構成する両面粘着テープなどとの接着性に優れ、かつ上記グリップ層2を形成する紫外線硬化樹脂と良好に接着するものであればよい。具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フイルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが例示され、特にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PPフィルム)、ポリエチレン(PE)フィルムが好ましく用いられる。
【0018】
この基材フィルム1の厚さは、特に制限されるものではなく、使用環境等に応じて適宜設定されるが、通常は10〜1,000μm、特に50〜500μmとすることが一般的である。
【0019】
また、上記グリップ層2を形成する上記紫外線硬化樹脂としては、静摩擦係数が高く、かつ適度な弾性を有し、更に上記基材フィルム1に良好に接着するものであればよく、特に制限されるものではないが、本発明では特に、下記1〜3の紫外線硬化樹脂組成物が好適に用いられる。
【0020】
・紫外線硬化樹脂組成物(1)
(A)末端に(メタ)アクリロイル基を有する反応性ポリマー20〜90質量%と、
(B)(メタ)アクリル酸エステルモノマー80〜10質量%との合計量100質量部に対し、
(C)光ラジカル重合開始剤を0.1〜10質量部含有する紫外線硬化樹脂組成物。
・紫外線硬化樹脂組成物(2)
(D)不飽和基含有エステル系ウレタンオリゴマー100質量部、
(E)分子内に少なくとも1つのカルボジイミド基を含む化合物0.01〜10質量部、及び、
(F)光重合開始剤、架橋剤、及びモノマーのうちの少なくとも一つを含有する紫外線硬化樹脂組成物。
・紫外線硬化樹脂組成物(3)
(G)光硬化性官能基を含有する水添共役ジエン−芳香族ビニル共重合体、
(H)(メタ)アクリレートモノマー、及び、
(I)アミノアセトフェノン系光重合開始剤を含有する紫外線硬化樹脂組成物。
以下、上記紫外線硬化樹脂組成物(1)〜(3)につき、順次説明する。
【0021】
[紫外線硬化樹脂組成物(1)]
まず、上記紫外線硬化樹脂組成物(1)について説明する。
紫外線硬化樹脂組成物(1)は、上記の通り、
(A)末端に(メタ)アクリロイル基を有する反応性ポリマー20〜90質量%と、
(B)(メタ)アクリル酸エステルモノマー80〜10質量%との合計量100質量部に対し、
(C)光ラジカル重合開始剤を0.1〜10質量部含有する紫外線硬化樹脂組成物である。
【0022】
上記(A)成分の末端に(メタ)アクリロイル基を有する反応性ポリマーとしては、下記一般式(2)で示される化合物が挙げられる。
【化2】


(式中、Aはジエン系オリゴマー鎖を示し、R1は水素原子又はメチル基を示す。nは1又は2である。)
【0023】
この一般式(2)で表される化合物として具体的には、ポリブタジエン、特には水添ポリブタジエンを主骨格とし、末端に(メタ)アクリロイル基を有する反応性ポリマーが本発明において好ましく用いられ、より具体的には、水添ポリブタジエン(メタ)アクリレート、水添ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、ウレタン変性された水添ポリブタジエン(メタ)アクリレート及び水添ポリブタジエンジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、本発明において「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
【0024】
ここで、上記ウレタン変性された水添ポリブタジエン(メタ)アクリレートとは、例えば、両末端水酸基の水添ブタジエンポリマーとイソシアネートをウレタン反応させて高分子量化したポリマーの両末端を水酸基とした場合、この両末端をアクリル酸低級エステル(アクリル酸メチル等)と反応させてアクリレート化したポリマー、あるいは高分子量化したポリマーの両末端をイソシアネート基とした場合、この両末端を水酸基を有するアクリル酸エステルモノマー(2−ヒドロキシエチルアクリレート等)と反応させてアクリレート化したポリマー等をいう。なお、ポリマー末端をアクリレート化するアクリレート化率は、必ずしも100%でなくてもよい。
【0025】
また、上記一般式(2)で表される化合物として、ポリイソプレン、特には水添ポリイソプレンを主骨格とし、末端に(メタ)アクリロイル基を有する反応性ポリマーも好ましく用いられ、より具体的には、水添ポリイソプレン(メタ)アクリレート、水添ポリイソプレンジ(メタ)アクリレート、ウレタン変性された水添ポリイソプレン(メタ)アクリレート及び水添ポリイソプレンエンジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。なお、この紫外線硬化樹脂組成物(1)では、上記(A)成分の重量平均分子量が1,000〜100,000のものが好ましく、2,000〜50,000のものがより好ましい。重量平均分子量が1,000〜100,000であると、硬化物が低硬度であるという利点がある。
【0026】
この上記式(2)の化合物は、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルと、下記一般式(3)で表されるオリゴマー鎖末端アルコールとを、エステル交換触媒の存在下でエステル交換反応させた後、得られた反応混合物を親水性溶媒と親油性溶媒との混合溶媒の存在下、固体吸着剤で処理することにより製造することができる。
A−[OH]n ・・・(3)
(式中、A及びnは上記と同じである。)
【0027】
上記(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルにおいて、低級アルキルエステル部分の炭素数は、1〜4であることが好ましい。(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルなどが挙げられる。これらの中では、安価であるとともに、汎用性に優れていることから、(メタ)アクリル酸メチルが好ましい。
【0028】
上記一般式(2)及び(3)において、Aで示されるジエン系オリゴマー鎖としては、共役ジエン及び必要により他の共重合性モノマーを重合させることによって得られるオリゴマー鎖又はこのオリゴマー鎖を水素化させることによって得られるオリゴマー鎖が挙げられる。好適なジエン系オリゴマー鎖を構成する重合体の例としては、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー、ポリクロロプレン、ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリオレフィングリコール、ポリ−ε−カプロラクトン、及びこれらを水素化させたものなどが挙げられる。これらの中では、水素化されていてもよいポリブタジエン及び水素化されていてもよいポリイソプレンが好ましい。上記一般式(2)及び(3)において、nは、上記Aを構成しているジエンオリゴマー鎖に結合している水酸基の数を示す。
【0029】
また、上記一般式(3)で表されるオリゴマー鎖末端アルコールの製造方法は、特に限定されず、例えば、上記ジエン系オリゴマー鎖を構成する重合体に、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドによって水酸基を導入するなどの公知の方法により製造することができる。
【0030】
(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルと、上記一般式(3)で表されるオリゴマー鎖末端アルコールとのエステル交換反応は、エステル交換触媒の存在下で行われる。エステル交換触媒の好適な例としては、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラn−ブチルチタネート、テトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、四塩化チタン、四臭化チタンなどのチタン化合物;リチウムメチラート、リチウムエチラート、ナトリウムメチラート、ナトラウムエチラートなどのアルカリ金属アルコラート;カルシウムメチラート、カルシウムエチラート、マグネシウムメチラート、マグネシウムエチラートなどのアルカリ土類金属アルコラート;アルミニウムメチラート、アルミニウムエチラートなどのアルミニウムアルコラート;水酸化リチウム;三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素などのハロゲン化ホウ素などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、エステル交換反応を効率良く進行させる観点から、チタン化合物及び水酸化リチウムが好ましい。
【0031】
上記エステル交換触媒の量は、エステル交換反応を効率良く進行させる観点から、オリゴマー鎖末端アルコール1モルあたり、通常0.00001モル以上、好ましくは0.0001モル以上であることが望ましく、また、製造コストの低減、収率の向上、廃棄物の低減及び(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルの重合の抑制の観点から、オリゴマー鎖末端アルコール1モルあたり、通常0.1モル以下、好ましくは0.03モル以下であることが望ましい。これらの観点から、エステル交換触媒の量は、オリゴマー鎖末端アルコール1モルあたり、0.00001〜0.1モル、好ましくは0.0001〜0.03モルであることが望ましい。
【0032】
上記(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルと上記一般式(3)オリゴマー鎖末端アルコールとのエステル交換反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。この溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素化合物;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族炭化水素化合物;テトラヒドロフラン、ジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル化合物などの有機溶媒が挙げられる。これらの中では、n−ヘキサンが好ましい。溶媒の使用量は、特に限定されないが、通常、オリゴマー鎖末端アルコール100質量部に対して、好ましくは0〜500質量部、より好ましくは0〜100質量部である。
【0033】
上記(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルと、上記一般式(3)で表されるオリゴマー鎖末端アルコールとをエステル交換反応させる際に、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルの重合を抑制する観点から、反応系内を空気気流下で攪拌したり、重合防止剤を用いることが好ましい。
【0034】
重合防止剤としては、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルなどのN−オキシラジカル系化合物;ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−N,N−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルカテコール、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのフェノール系化合物;フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミンなどのアミン化合物;1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのヒドロキシルアミン系化合物;ベンゾキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノンなどのキノン系化合物;塩化第一鉄、ジメチルジチオカルバミン酸銅などの銅化合物などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0035】
上記重合防止剤の中では、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルのみならず、目的化合物である上記一般式(2)で表される化合物(以下、化合物(2)と称する。)の重合を効果的に抑制することができることから、N−オキシラジカル系化合物、フェノール系化合物、アミノ化合物及びヒドロキシルアミン系化合物が好ましい。これらの中では、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステル及び化合物(2)の重合を効果的に抑制する観点から、N−オキシラジカル系化合物、N−オキシラジカル系化合物とフェノール系化合物の併用がより好ましい。なお、上記重合防止剤は、他の重合防止剤と併用することができる。このように、上記重合防止剤と他の重合防止剤とを併用した場合、両者の併用による相乗効果により、より優れた重合抑制効果を得ることもできる。
【0036】
重合防止剤の使用量は、重合抑制効果を十分に発現させ、化合物(2)を高収率で得る観点から、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルの5〜5,000質量ppm、好ましくは50〜3,000質量ppmであることが望ましい。エステル交換反応の際の反応温度は、通常60〜150℃程度、好ましくは還流温度であることが望ましい。また、エステル交換反応の際の反応雰囲気は、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルの重合を抑制する観点から、空気、酸素ガス、酸素ガスを含有するガスが好ましく、空気又は酸素ガスがより好ましい。なお、エステル交換反応の際には、そのエステル交換反応の進行とともに、低級アルコールが副生する。副生した低級アルコールは、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステル又は反応溶媒との共沸混合物として反応系外に除去することが好ましい。
【0037】
上記エステル交換反応の終点は、上記共沸混合物の留出がなくなったことにより、容易に確認することができる。また、エステル交換反応の終点をより詳細に確認する場合には、例えば、高速液体クロマトグラフィーなどによって、反応混合物の残留水酸基に紫外線吸収性を有する保護基を導入することによって容易に確認することができる。エステル交換反応の反応時間は、反応条件などによって異なるので、一概には決定することができないが、通常5〜30時間程度である。
【0038】
このようにして化合物(2)が得られる。この化合物の純度を高めるために、反応混合物を濃縮してもよい。
【0039】
次に、得られた反応混合物を親水性溶媒と親油性溶媒との混合溶媒の存在下で、固体吸着剤で処理する。この処理の際に、反応混合物に含まれている触媒が固体吸着剤により除去されるので、化合物(2)の純度を高めることができる。固体吸着剤としては、例えば、活性白土、活性炭、シリカゲル、酸性イオン交換樹脂、ハイドロタルサイトなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、シリカゲルとハイドロタルサイトとの併用、及び酸性イオン交換樹脂とハイドロタルサイトとの併用が、触媒の除去効果に優れているので、好ましい。
【0040】
上記エステル交換反応の際に使用したエステル交換触媒がテトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラn−ブチルチタネートなどのアルキルチタネートや、テトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネートなどのアルコキシチタネートである場合には、反応混合物に水を添加することにより、固体吸着剤による触媒の除去効果を高めることができる。この場合、水の量は、触媒の除去効率を高める観点及び生成した化合物(2)が加水分解するのを抑制する観点から、反応混合物100質量部に対して、通常0.05〜20質量部程度、好ましくは0.1〜10質量部であることが望ましい。
【0041】
固体吸着剤の使用量は、触媒の吸着性及びその後の吸着剤の濾過性を考慮すると、反応混合物に含まれている化合物(2)100質量部あたり、通常0.01〜10質量部程度、好ましくは0.05〜5質量部であることが望ましい。
【0042】
また、上記親水性溶媒と親油性溶媒との混合溶媒は、化合物(2)に含まれている触媒と水との接触効率を高めるという効果を発現する。ここで、親水性溶媒とは、25℃の水100質量部に対する溶解度が8質量部以上である有機溶媒を意味する。また、親油性溶媒とは、オリゴマー鎖末端アルコール及びオリゴマー鎖末端(メタ)アクリレートを溶解し得る有機溶媒を意味する。
【0043】
上記親水性溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリンなどの炭素数1〜4の水溶性アルコールなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、アセトン及びテトラヒドロフランが好ましい。
【0044】
上記親油性溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素化合物;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族炭化水素化合物;ジ−n−ブチルエーテルなどのエーテル類;炭素数5〜12の油溶性アルコールなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、n−ヘキサン及びトルエンが好ましい。
【0045】
上記親水性溶媒と親油性溶媒との質量比(親水性溶媒/親油性溶媒)は、オリゴマー鎖末端(メタ)アクリレートの溶解性、及びこの溶媒に対する水の溶解性を高める観点から、通常1/99〜30/70程度、好ましくは3/97〜10/90であることが望ましい。親水性溶媒と親油性溶媒との混合溶媒の使用量は、生成したオリゴマー鎖末端(メタ)アクリレートを低粘度化させる観点、及び残留している触媒と水との接触効率を高める観点から、上記一般式(3)で表されるオリゴマー鎖末端アルコール100質量部に対して、通常50〜2,000質量部程度、好ましくは100〜1,000質量部であることが望ましい。
【0046】
上記固体吸着剤による、反応混合物に含まれている触媒の吸着除去は、例えば、反応混合物に固体吸着剤及び混合溶媒を添加した後、攪拌することによって行うことができる。触媒の除去の際の処理温度は、その操作性及び化合物(2)の熱安定性の観点から、通常20〜150℃程度、好ましくは50〜100℃であることが望ましい。また、その処理時間は、通常1〜30時間程度、好ましくは3〜10時間である。
【0047】
このように吸着処理を行った後には、上記反応混合物に含まれている固体吸着剤や不純物を濾過により除去する。濾過には、例えば、加圧濾過、減圧濾過、遠心濾過などを用いることができる。その際、濾過による付加を防止するために、濾過助剤としてケイ藻土を用いてもよい。濾過後、得られた濾液を濃縮することにより、エステル交換触媒の分解物などの不純物を留去し、化合物(2)の純度をより高めることができる。
【0048】
次に、上記(B)成分の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、分子量が1,000未満のものが好ましく、150〜600のものがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステルモノマーとして具体的には、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びメトキシトリエチレングリコールアクリレートなどが挙げられる。これらなかでみも特に、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート及びイソボニルアクリレートが好ましく用いられる。
【0049】
この(B)成分と上記(A)成分との配合割合は、(A)成分20〜90質量%(B)成分80〜10質量%とされ、好ましくは(A)成分40〜80質量%(B)成分60〜20質量%、より好ましくは(A)成分50〜80質量%(B)成分50〜20質量%である。この場合、(B)成分の配合割合を上記のように10質量%以上とすることにより、組成物の接着強度が良好なものとなり、また80質量%以下とすることにより、組成物の粘度が低くなり過ぎることを防止して良好な成形性を得ることができるものである。
【0050】
次いで、上記(C)成分の光ラジカル重合開始剤としては、分子内開裂型として、ベンゾイン誘導体類、ベンジルケタール類[例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア651]、α−ヒドロキシアセトフェノン類[例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:ダロキュア1173、イルガキュア184、イルガキュア127]、α−アミノアセトフェノン類[例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907、イルガキュア369]、α−アミノアセトフェノン類とチオキサントン類(例えば、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン)との併用、アシルホスフィンオキサイド類[例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア819]などが挙げられ、水素引き抜き型として、ベンゾフェノン類とアミンの併用、チオキサントンとアミンの併用などが挙げられる。また、分子内開裂型と水素引き抜き型を併用してもよい。中でもオリゴマー化したα−ヒドロキシアセトフェノン及びアクリレート化したベンゾフェノン類が好ましい。より具体的には、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン][例えば、Lamberti S.p.A製、商品名:ESACURE KIP150など]、アクリル化ベンゾフェノン[例えは、ダイセル・ユー・シー・ビー(株)製、商品名:Ebecryl P136など]、イミドアクリレートなどが挙げられる。
【0051】
この(C)成分の光ラジカル重合開始剤としては、これらの他に、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとベンゾフェノンの混合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[(4−メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンゾイルメチルエーテル、ベンゾイルエチルエーテル、ベンゾイルブチルエーテル、ベンゾイルイソプロピルエーテル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマーと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノンの混合物、イソプロピルチオキサントン、o−ベンゾイル安息香酸メチル及び[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタンなども用いることもできる。
【0052】
この(C)成分の配合量は、上記(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、0.1〜10質量部とされ、好ましくは0.5〜6質量部とされる。
【0053】
この紫外線硬化樹脂組成物(1)には、上記(A)、(B)及び(C)成分に加え、必要に応じて無機充填剤及び/又は有機増粘剤を配合することができる。無機充填剤及び/又は有機増粘剤の配合により、組成物に揺変性(チクソトロピー)を持たせ、組成物の成形性をより向上させることができる。
【0054】
無機充填剤としては、シリカ(SiO2)、アルミナ、チタニア及び粘度鉱物などが挙げられ、中でもシリカ粉末、疎水処理したシリカ粉末又はこれらの混合物が好ましい。より具体的には、乾式法により微粉化したシリカ微粉末[例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジル300など]、このシリカ微粉末をトリメチルジシラザンで変性した微粉末[例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジルRX300など]及び上記シリカ微粉末をポリジメチルシロキサンで変性した微粉末[例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジルRY300など]などが挙げられる。無機充填剤の平均粒径は、増粘性、チクソトロピーの付与の観点から、5〜50μmが好ましく、5〜12μmがより好ましい。
【0055】
有機増粘剤としては、水添ひまし油、アマイドワックス又はこれらの混合物が好ましく用いられる。より具体的には、ひまし油(主成分がリシノール酸の不乾性油)の水添品である水添ひまし油[例えば、ズードケミー触媒(株)製、商品名:ADVITROL100、楠本化成(株)製、商品名:ディスパロン305など]及びアンモニアの水素をアシル基で置換した化合物である高級アマイドワックス[例えば、楠本化成(株)製、商品名:ディスパロン6500など]などが挙げられる。
【0056】
これら無機充填剤及び/又は有機増粘剤を用いる場合、その配合量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し、0.3〜15質量部とすることが好ましく、より好ましくは1〜10質量部である。配合量が0.3質量部以上であると、組成物を塗布した場合に適度の高さが得られ、成形性が良好となる。また、15質量部以下であると、硬化物の圧縮永久歪の増大、硬度の上昇及び接着強度の低下が抑制される。
【0057】
更に、この紫外線硬化樹脂組成物(1)には、末端(メタ)アクリレートオリゴマーを適量配合することができる。この末端(メタ)アクリレートオリゴマーを配合することにより、組成物の粘度を調節することができ、また、物理的には、硬度の低下、Eb(伸び)及びTb(破断強度)の向上などを図ることができる。なお、末端(メタ)アクリレートオリゴマーとは、片末端又は両末端にアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するオリゴマーをいう。末端(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、透湿性、耐候性及び耐熱性の点から、炭化水素系のオリゴマー、すなわち、水添オリゴマー、末端(メタ)アクリレート水添オリゴマーが好ましい。末端(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は1,000〜100,000が好ましく、より好ましくは10,000〜50,000である。重量平均分子量がこの範囲であると、液体原料として取り扱い易く、かつ硬化物が低硬度であるという利点がある。
【0058】
上記末端(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えばポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリオール(メタ)アクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。または、イソシアネートと変性させ、末端の水酸基をアクリル酸でエステル化することもできる。ポリオール(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアナートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
【0059】
この紫外線硬化樹脂組成物(1)には、更に必要に応じて安定化剤を添加することができる。安定化剤としては、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート][例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:IRGANOX245、旭電化工業(株)製、商品名:アデカスタブAO−70など]、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン[例えば、旭電化工業(株)製、商品名:アデカスタブAO−80など]等のフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。
【0060】
この安定化剤の配合量は、特に制限されるものではないが、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し、0.05〜5質量部とすることが好ましく、より好ましくは1〜3質量部である。
【0061】
更にまた、この紫外線硬化樹脂組成物(1)には、本発明の目的及び作用効果を損なわない範囲で、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、クマロン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系炭化水素、ロジン誘導体等の各種粘着付与剤、チタンブラック等の着色剤などの公知の添加剤を添加することができる。
【0062】
[紫外線硬化樹脂組成物(2)]
次に、上記紫外線硬化樹脂組成物(2)について説明する。
紫外線硬化樹脂組成物(2)は、上記の通り、
(D)不飽和基含有エステル系ウレタンオリゴマー100質量部、
(E)分子内に少なくとも1つのカルボジイミド基を含む化合物0.01〜10質量部、及び、
(F)光重合開始剤、架橋剤、及びモノマーのうちの少なくとも一つを含有する紫外線硬化樹脂組成物である。
【0063】
上記(D)の不飽和基含有エステル系ウレタンオリゴマーとしては、上記のように、下記一般式(1)で表されるものを例示することができる。
【化3】

【0064】
上記一般式(1)中のR1は、(メタ)アクリロイル基およびビニル基の少なくともいずれかの不飽和基を含有するモノオール化合物の脱水酸基残基である。モノオール化合物としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートやヒドロキシアルキルビニルが好ましく挙げられ、例えば、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレートやポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。このR1としては、特にヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシアルキルビニルエーテルのいずれかのモノオール化合物の脱水酸基残基であることが好ましく、例えばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルビニールエーテルなどの脱水酸基残基であることが好ましい。
【0065】
上記一般式(1)中のR2は、有機ジイソシアナート化合物の脱イソシアナート残基である。例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基、シクロヘキシレン基などのシクロアルキレン基、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基などのアリーレン基、キシリレン基などが含まれる。ここで、アルキル基は直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよい。有機ジイソシアナート化合物としては、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、ノルボルナンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、キシレンジイソシアナート、トリメチルへキサメチレンジソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、水添キシリレンジイソシアナート、水添ジフェニルメタンジイソシアナートおよびジフェニルメタンジイソシアナートなどが好ましく挙げられる。
【0066】
上記一般式(1)中のR3は、数平均分子量1×103〜1×104で環状基または分岐鎖状基を含有するポリエステルジオール化合物の脱水酸基残基である。R3としてより具体的には、環状基含有ジカルボン酸とジオールとが縮合した前記ポリエステルジオール化合物の脱水酸基残基、又は環状基含有ジカルボン酸無水物がジオールに反応して変性したポリエステルジオール化合物の脱水酸基残基が好ましい。
【0067】
このR3を構成する上記環状基含有ジカルボン酸又はその酸無水物としては、例えばフタル酸、無水フタル酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、イソフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。また、これらは複数種混合して用いてもよい。上記R3を構成する上記ジオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ビスフェノールA、テトラエトキシキシレート、2,2−チオジエタノール、アセチレン型ジオール、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ノルボニレングリコール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンエタノール、2,4−ジメチル−2−エチレンヘキサン−1,3−ジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、および3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどが挙げられる。
【0068】
また、一般式(1)中、Aは、ジアミン化合物の脱水素残基、またはジオール化合物の脱水素残基である。このAとしてより具体的には、例えばジアミノプロパン、ジアミノブタン、ノナンジアミン、イソホロンジアミン、へキサメチレンジアミン、水添ジフェニルメタンジアミン、ビスアミノプロピルエーテル、ビスアミノプロピルエタン、ビスアミノプロピルジエチレングリコールエーテル、ビスアミノプロピルポリエチレングリコールエーテル、ビスアミノプロポキシネオペンチルグリコール、ジフェニルメタンジアミン、キシリレンジアミン、トルエンジアミン、および両末端アミノ基変性シリコーンから選ばれるジアミン化合物の脱水素残基、およびエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、両末端水酸基変性シリコーン、およびカルボキシル基含有ジオールから選ばれるジオール化合物の脱水素残基であるものが好ましい。
【0069】
この(D)不飽和基含有エステル系ウレタンオリゴマーは、好ましくは以下の方法により製造することができる。即ち、上記一般式(1)においてq=0の場合の不飽和基含有ウレタンオリゴマーは、前記ポリエステルジオール化合物と、前記有機ジイソシアナート化合物とを重付加反応させてイソシアナート基を両末端に有する付加物を形成した後、該イソシアナート基に、前記モノオール化合物を付加して得ることができる。
【0070】
また、一般式(1)においてq≠0の場合の不飽和基含有ウレタンオリゴマーは、前記ポリエステルジオール化合物と、前記有機ジイソシアナート化合物とを重付加反応させてイソシアナート基を両末端に有する付加物を形成した後、前記ジアミン化合物または前記ジオール化合物の末端の各々を、該付加物の片端のイソシアナート基に付加させ、該付加物の他の片端のイソシアナート基に、前記モノオール化合物を付加して得ることができる。
【0071】
なお、上記方法により得られる不飽和基含有ウレタンオリゴマーの数平均分子量は5×103〜5×104であることが好ましいが、本発明の目的及び作用効果を逸脱しない範囲であれば5×104を超えてもよい。
【0072】
次に、(E)成分であるカルボジイミド基を含む化合物(以下、単に「カルボジイミド化合物」ということがある。)は、分子中に、[−N=C=N−]で表されるカルボジイミド基を少なくとも1つ有することが必要であり、カルボジイミド活性水素(カルボン酸、アミン、アルコール、チオール等)と反応する。このカルボジイミド化合物の機能は、添加後初期の段階では、加水分解を促進させると考えられる(D)成分の不飽和基含有エステル系ウレタンオリゴマー内に残存する水酸基・カルボキシル基と反応して加水分解を制御し、その後は、加水分解反応によって切断されたエステル結合に付加して、再結合し修復するものとして働くものである。ただし、モノカルボジイミド等の低分子量物は、加工時に熱分解し易く、刺激臭成分の発生による環境汚染や気化することによる添加効果の減少などがあり、ポリカルボジイミドを用いることが好ましい。
【0073】
この(E)分子中に1個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物(ポリカルボジイミド化合物を含む)としては、一般的に良く知られた方法で合成されたものを使用することができ、例えば、触媒として有機リン系化合物又は有機金属化合物を用い、各種ポリイソシアネートを約70℃以上の温度で、無溶媒又は不活性溶媒中で、脱炭酸縮合反応に付することより合成することができるものを挙げることができる。
【0074】
ポリカルボジイミド化合物の製造における合成原料である有機ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートやこれらの混合物を挙げることができ、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート等を例示することができる。
【0075】
また、上記ポリカルボジイミド化合物の場合は、重合反応を冷却等により、途中で停止させ、適当な重合度に制御することができる。この場合、末端はイソシアネートとなる。更に、適当な重合度に制御するには、モノイソシアネート等の、ポリカルボジイミド化合物の末端イソシアネートと反応する化合物を用いて、残存する末端イソシアネートの全て、または、一部を封止する方法もある。重合度を制御することにより、ポリマーへの相溶性向上や保存安定性を高めたりすることなどができ、品質向上の点で好ましい。
【0076】
このようなポリカルボジイミド化合物の末端を封止してその重合度を制御するためのモノイソシアネートとしては、例えば、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等を例示することができる。また、ポリカルボジイミド化合物の末端を封止してその重合度を制御する末端封止剤としては、上記モノイソシアネートに限定されることはなく、イソシアネートと反応し得る活性水素化合物、例えば、(i)脂肪族、芳香族又は脂環族化合物であって、−OH基を有するメタノール、エタノール、フェノール、シクロヘキサノール、N−メチルエタノールアミン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル;(ii)=NH基を有するジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン;(iii)−NH2基を有するブチルアミン、シクロヘキシルアミン;(iv)−COOH基を有するコハク酸、安息香酸、シクロヘキサン酸;(v)−SH基を有するエチルメルカプタン、アリルメルカプタン、チオフェノール;(vi)エポキシ基を有する化合物;(vii)無水酢酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等を例示することができる。
【0077】
上記有機ジイソシアネートの脱炭酸縮合反応は、適当なカルボジイミド化触媒の存在下で行うものであり、使用し得るカルボジイミド化触媒としては、有機リン系化合物、有機金属化合物(一般式M−(OR)4[Mは、チタン(Ti)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、鉛(Pb)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、カルシウム(Ca)やバリウム(Ba)等を、Rは、炭素数1〜20までのアルキル基又はアリール基を示す]で表されるもの)が好適であり、特に活性の面から、有機リン系化合物ではフォスフォレンオキシド類が、また、有機金属化合物ではチタン、ハフニウム、ジルコニウムのアルコキシド類が好ましい。
【0078】
以上のようにして得られる好ましい(E)成分のカルボジイミド化合物としては、4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド、テトラメチルキシリレンカルボジイミド、N,N−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド等が挙げられる。分子中に2個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物であれば、特に限定されないが、色相、安全性・安定性の点から、脂肪族ポリカルボジイミド化合物が好ましい。
【0079】
また、上記(D)成分との混合・分散を容易にするためには液状であることが好ましく、液状であるという点から(E)成分の粘度は0.1〜100Pa・sが好ましく、0.5〜10Pa・sがより好ましい。(E)成分の粘度を上記範囲にすることによって、作業環境上の問題である(E)成分の気化を抑制し、混合・分散を容易にすることができる。このような液状のカルボジイミド化合物は市販品としても入手することができ、例えば、日清紡社製、商品名「Elastostab H01」粘度1〜6Pa・sが挙げられる。なお、(E)成分の上記粘度は、測定温度25℃でJIS Z8803に準拠して測定したものである。
【0080】
この(E)成分のカルボジイミド化合物の配合量は、上記(D)成分100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲であり、0.01〜5質量部の範囲が好ましく、0.1〜3.0質量部の範囲が特に好ましい。配合量を上記範囲にすることによって、エステル基を有する易加水分解性樹脂の耐加水分解性を向上させることができる。
【0081】
また、この紫外線硬化樹脂組成物(2)には、(F)成分として、光重合開始剤、架橋剤、及びモノマーのうちの少なくとも一つが添加される。この場合、上記光重合開始剤としては、分子内開裂型、水素引き抜き型のいずれでもよい。分子内開裂型としては、べンゾイン誘導体類、べンジルケタール類[例えば、チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア651]、α−ヒドロキシアセトフェノン類[例えば、チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ(株)製、商品名:ダロキュア1173、イルガキュア184]、α−アミノアセトフェノン類[例えば、チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907、イルガキュア369]、α−アミノアセトフェノン類とチオキサントン類(例えば、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン)との併用、アシルホスフィンオキサイド類[例えば、チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア819]などが挙げられる。水素引き抜き型としては、ベンゾフェノン類とアミンの併用、チオキサントンとアミンの併用などが挙げられる。また、分子内開裂型と水素引き抜き型を併用してもよい。中でもオリゴマー化したα−ヒドロキシアセトフェノン及びアクリレート化したベンゾフェノン類が好ましく用いられる。より具体的には、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン][例えば、Lamberiti S・P・A製、商品名:ESACURE KIP150]、アクリル化べンゾフェノン[例えは、ダイセル・ユー・シー・ビー(株)製、商品名:Ebecryl P136]、イミドアクリレートなどが挙げられる。
【0082】
(F)成分として用いられる上記架橋剤としては、有機パーオキサイドが好適に用いられる。具体的には、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−へキサン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)−へキサン;t−ブチルパーオキシベンゾエート;ジクミルパーオキサイド;t−ブチルクミルパーオキサイド;ジイソプロピルベンゾハイドロパーオキサイド;1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)−ベンゼン;ベンゾイルパーオキサイド;1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。
【0083】
(F)成分として用いられる上記モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルモノマーが好ましい。モノマーの分子量は1,000未満のものが好ましく、150〜600のものがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びメトキシトリエチレングリコールアクリレートなどが挙げられる
【0084】
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーのなかでも、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上のものが好ましく用いられる。ガラス転移温度が50℃以上であると十分な低透湿性を得ることができ、また硬化物の表面粘着性を低下させることができ、べたつきを抑制することができる。一方、ガラス転移温度の上限値については特に制限はないが、ガラス転移温度が高すぎると、(メタ)アクリル酸エステルモノマーの添加量にもよるが、硬化物の硬度が高くなりすぎてディスクストッパーとして好ましくない場合もあるため、150℃以下であることが好ましい。低透湿性、べたつき及び密着性のバランスから、ガラス転移温度は80〜130℃の範囲がより好ましい。
【0085】
また、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーのアルコール残基は炭素数5〜16の環状構造を有する炭化水素基であることが好ましい。炭素数5以上の環状構造を有する炭化水素基であると、その嵩高さから低透湿性を得ることができると考えられ、一方、炭素数が16以下であると上述の好ましいガラス転移温度とすることができ、適度な硬度とすることができ、かつべたつき及び密着性のバランスが得られる。以上の観点から、(メタ)アクリル酸エステルモノマーのアルコール残基は、さらに炭素数8〜12の環状構造を有する炭化水素基であることが好ましい。特に、アルコール残基が橋かけ環式炭化水素基であるものが好ましく、具体的には、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの二環系脂環族炭化水素基を有するもの、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートなどの三環系脂環族炭化水素基を有するものが好適である。更には、飽和橋かけ環式炭化水素基が好ましく、より具体的には、イソボルニル(メタ)アクリレート及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0086】
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、(メタ)アクリル酸エステルモノマーの配合量は、上記(D)成分100質量部に対して1〜70質量部の範囲が好ましく、より好ましくは10〜50質量部の範囲である。この(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量の含有量を1質量部以上、特に10質量部以上とすることにより、該モノマーを添加する効果、すなわち、低透湿性、べたつきの抑制及び被着体との密着性が十分に得られ、70質量部以下、特に50質量部以下とすることにより硬度が高すぎるといった不都合を生じることがない。
【0087】
この紫外線硬化樹脂組成物(2)には、必要に応じて、チクソ性付与剤を配合することができる。このチクソ性付与剤は、上記(D)成分の特定ウレタンオリゴマーと併用することにより、チクソトロピー性が効果的に向上し、成形加工性の向上を図ることができる。このチクソ性付与剤としては、無機充填剤および有機増粘剤のいずれも用いることができる。
【0088】
上記無機充填剤としては、湿式シリカや乾式シリカの表面処理微粉シリカや、有機化ベントナイトなどの天然鉱物系のものが挙げられる。具体的には、乾式法により微粉化したシリカ微粉末[例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジル300など]、このシリカ微粉末をトリメチルジシラザンで変性した微粉末[例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジルRX300など]及び上記シリカ微粉末をポリジメチルシロキサンで変性した微粉末[例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジルRY300]などが挙げられる。無機充填剤の平均粒径は、増粘性の観点から、5〜50μmが好ましく、5〜12μmがより好ましい。
【0089】
また、上記有機増粘剤としては、アマイドワックス、水添ひまし油系又はこれらの混合物などが挙げられる。具体的には、ひまし油(主成分がリシノール酸の不乾性油)の水添品である水添ひまし油[例えば、ズードケミー触媒(株)製,商品名:ADVITROL 100、楠本化成(株)製,商品名:ディスパロン305など]及びアンモニアの水素をアシル基で置換した化合物である高級アマイドワックス[例えば、楠本化成(株)製,商品名:ディスパロン6500]などが挙げられる。
【0090】
これらチクソ性付与剤の中では、特に有機増粘剤が好ましい。天然鉱物系の無機充填剤は重金属等の不純物が避けられず、また、表面処理微粉シリカは、表面の濡れ性が変わり組成物の粘度が変化することがあり、また表面処理剤の種類によっては、使用中に器具に有害なガスを発生することがある。更に、有機増粘剤の中でも、アマイドワックスは、原料に由来するアミンの存在により架橋密度を高めて硬度が大きくなることがあるので、特に水添ひまし油が好ましい。
【0091】
このチクソ性付与剤を配合する場合、その配合量は、上記(D)成分の不飽和基含有ウレタンオリゴマー100質量部に対して、0.5〜10質量部とすることが好ましく、特に1〜5質量部の範囲がより好ましい。
【0092】
[紫外線硬化樹脂組成物(3)]
次に、上記紫外線硬化樹脂組成物(3)について説明する。
紫外線硬化樹脂組成物(3)は、上記の通り、
(G)光硬化性官能基を含有する水添共役ジエン−芳香族ビニル共重合体
(H)(メタ)アクリレートモノマー、及び、
(I)アミノアセトフェノン系光重合開始剤を含有する紫外線硬化樹脂組成物である。
【0093】
上記(G)成分の光硬化性官能基を含有する水添共役ジエン−芳香族ビニル共重合体を構成する単量体の内、共役ジエン単量体としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらの中では、1,3−ブタジエン及び/又はイソプレンが硬化後のゴム弾性確保の観点から好ましく、1,3−ブタジエンであることが特に好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0094】
また、上記水添共役ジエン−芳香族ビニル共重合体を構成する単量体の内、芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン又はパラメチルスチレンが硬化後のゴム物性の点で好ましく、スチレンであることが特に好ましい。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0095】
更に、上記(G)成分の水添共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が含有する光硬化性官能基は、光硬化性不飽和炭化水素基であることが好ましく、光硬化性不飽和炭化水素基が(メタ)アクリロイル基であることが特に好ましい。
【0096】
この(G)成分の光硬化性官能基を含有する水添共役ジエン−芳香族ビニル共重合体は、特に制限されるものではないが、以下のようにして製造されることが好ましい。
(イ)飽和炭化水素系溶媒中で、ジリチウム開始剤により共役ジエン単量体及び芳香族ビニル単量体を重合して、重量平均分子量5,000〜40,000及び分子量分布3.0以下を有する共役ジエン−芳香族ビニル共重合体を製造する段階と、
(ロ)前記共役ジエン−芳香族ビニル共重合体とアルキレンオキシドとを反応させて、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体ポリオールを製造する段階と、
(ハ)前記共役ジエン−芳香族ビニル共重合体ポリオールに水素添加反応し、水添共役ジエン−芳香族ビニル共重合体ポリオールを製造する段階と、
(ニ)前記水添共役ジエン−芳香族ビニル共重合体ポリオールと光硬化性不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させる段階とを
含むことを特徴とする光硬化性液状樹脂の製造方法である。
【0097】
まず、第一の段階(イ)として、飽和炭化水素系溶媒中で、ジリチウム開始剤により共役ジエン単量体及び芳香族ビニル単量体を重合して、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体(以下、「(G)成分に係る共重合体」ということがある)を製造する。本重合はリビングアニオン重合であるために、分子量及び分子量分布を制御して重合できる。分子量は、ジリチウム開始剤と上記単量体の量により所定の分子量の重合体を重合することが可能であり、特に重量平均分子量が5,000以上では、分子量分布が2以下の狭い重合体を得易い。また、所望により、ランダマイザーの存在下にアニオン重合をさせてもよい。
【0098】
次に、第二の段階(ロ)として、上記の本発明に係る共重合体の、リビングアニオンである共重合体末端とアルキレンオキシドとを当量反応させることにより両末端に水酸基を有する共役ジエン−芳香族ビニル共重合体ポリオール(以下、「(G)成分に係る共重合体ポリオール」ということがある)を得ることができる。
【0099】
更に、第三の段階(ハ)として、主鎖に二重結合を有する本発明に係る共重合体ポリオールに水素添加反応(以下、水添反応という)を行うことにより、主鎖に不飽和二重結合を持たないか又は主鎖の不飽和二重結合が少ない水添共役ジエン−芳香族ビニル共重合体ポリオール(以下、「(G)成分に係る水添共重合体ポリオール」ということがある)を得ることができる。
【0100】
そして、第四の段階(ニ)として、上記のようにして得た(G)成分に係る水添共重合体ポリオールに、光硬化性不飽和炭化水素基含有化合物を反応させて、光硬化性官能基を含有する水添共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が得られる。
【0101】
上記ジリチウム開始剤としては、特に限定されず公知のものを用いることができる。例えば、特公平1−53681号公報には、モノリチウム化合物を第3級アミンの存在下に、二置換ビニル又はアルケニル基含有芳香族炭化水素と反応させてジリチウム開始剤を製造する方法が記載されている。
【0102】
ジリチウム開始剤を製造するときに用いられるモノリチウム化合物としては、エチルリチウム,n−プロピルリチウム,イソプロピルリチウム,n−ブチルリチウム,sec−ブチルリチウム,tert−ブチルリチウム,tert−オクチルリチウム,n−デシルリチウム,フェニルリチウム,2−ナフチルリチウム,2−ブチル−フェニルリチウム,4−フェニル−ブチルリチウム,シクロヘキシルリチウム,シクロペンチルリチウム等が挙げられるが、これらの中で、sec−ブチルリチウムが好ましい。
【0103】
ジリチウム開始剤を製造するときに用いられる第3級アミンとしては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン等の低級脂肪族アミンやN,N−ジフェニルメチルアミン等が挙げられるが、特にトリエチルアミンが好ましい。また、上記二置換ビニル又はアルケニル基含有芳香族炭化水素としては、例えば、1,3−(ジイソプロペニル)ベンゼン、1,4−(ジイソプロペニル)ベンゼン、1,3−ビス(1−エチルエテニル)ベンゼン、1,4−ビス(1−エチルエテニル)ベンゼン等が好ましく挙げられる。
【0104】
上記ジリチウム開始剤の調製、及び共重合体の製造において用いられる溶媒としては、反応に不活性な有機溶剤であればよく、脂肪族,脂環族,芳香族炭化水素化合物等の炭化水素系溶媒が用いられ、例えば、n−ブタン、l−ブタン、n−ペンタン、l−ペンタン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン、l−ブテン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、l−オクタン、メチルシクロペンタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−ペンテン、2−ペンテン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等から1種あるいは2種選んで使用される。これらのうち、n−ヘキサン、シクロヘキサンが通常用いられる。
【0105】
また、上記の本発明に係る共重合体のリビングアニオンである末端と反応して、両末端に水酸基を生成するポリオール化反応に用いるアルキレンオキシドとして、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシド等が挙げられる。このポリオール化反応は、重合反応直後に行うのが好ましい。
【0106】
上記ポリオール化反応により得られた(G)成分に係る共重合体ポリオールの重量平均分子量が5,000以上であれば架橋点間分子量を大きくすることができ、光硬化反応後、弾性率を低くかつ伸び大きくできるためゴム性材料として好ましく、一方、重量平均分子量が40,000以下であれば、ジリチウム触媒で重合を行う際に、重合粘度が高くなりすぎず、重合プロセスとして固形分濃度を下げる必要がないので、低コストとなり好ましい。また、分子量分布が3.0以下であると、低分子量成分や高分子量成分によるさまざまな影響を抑制することができる。特に、粘度は分子量の影響を大きく受けるため、分子量のわずかなブレは粘度バラツキとなる。このように分子量分布の共重合体を合成できことにより、再現性良く同じ分子量の共重合体を得ることができるため、粘度を安定化させる効果が期待できる。このような液状の材料であれば、上記グリップ層2を形成する際に良好にディスペンサー塗布を行うことができるが、この場合、材料粘度のバラツキは塗布後の寸法にバラツキを生じるので、粘度の安定化は重要であり、分子量分布が3.0以下であることが好ましい。
【0107】
(G)成分に係る水添共重合体ポリオールを得るための水添反応は、有機溶媒中、水素加圧下で水添触媒の存在下で上記(G)成分に係る共重合体ポリオールに水素添加して行われる。この水添反応で用いる水添触媒は、パラジウム−カーボン、還元ニッケル、ロジウム系等不均一系触媒:または、ナフテン酸ニッケル、オクタン酸ニッケル等の有機ニッケル化合物あるいはナフテン酸コバルト、オクタン酸コバルト等の有機コバルト化合物とトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物もしくはn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムのような有機リチウム化合物を組合せた均一触媒が使用できる。共触媒として、テトラハイドロフラン、エチレグリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル化合物を用いてもよい。また、他の水添反応方法としては、例えば上記水添前の(G)成分に係る共重合体を、ジシクロペンタジエニルチタンハライド、有機カルボン酸ニッケル、有機カルボン酸ニッケルと周期律表第I〜III族の有機金属化合物からなる水素化触媒、カーボン、シリカ、ケイソウ土等で担持されたニッケル、白金、バラジウム、ルテニウム、レニウム、ロジウム金属触媒やコバルト、ニッケル、ロジウム、ルテニウム錯体等を触媒として、0.1〜10MPa程度に加圧された水素下、あるいはリチウムアルミニウムハイドライド、p−トルエンスルホニルヒドラジドの存在下、もしくはZr−Ti−Fe−V−Cr合金、Zr−Ti−Nb−Fe−V−Cr合金、LaNi5 合金等の水素貯蔵合金の存在下、あるいは0.1〜10MPa程度に加圧された水素下で、水素化する方法、また、ジ−p−トリル−ビス(1−シクロペンタジエニル)チタニウム/シクロヘキサン溶液とn−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液を水素下で混合して得られる水素化触媒を用いて、0.1〜10MPa程度に加圧された水素下で、水素添加する方法等を挙げることができる。
【0108】
上述の各種水添触媒の中で、遷移金属化合物とアルキルアルミニウム化合物の組み合わせからなるチーグラー系水添触媒又はパラジウム−カーボン系水添触媒が好ましい。かかる遷移金属化合物としては、トリス(アセチルアセトナート)コバルト、ビス(アセチルアセトナート)ニッケル 、トリス(アセチルアセトナート)鉄、トリス(アセチルアセトナート)クロム、トリス(アセチルアセトナート)マンガン、ビス(アセチルアセトナート)マンガン、トリス(アセチルアセトナート)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナート)コバルト、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロチタン、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム、ビス(トリフェニルホスフィン)コバルトジクロライド、ビス(2−ヘキサノエート)ニッケル 、ビス(2−ヘキサノエート)コバルト、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラエトキシド等が挙げられる。これらのなかでも、ビス(アセチルアセトナート)ニッケル、トリス(アセチルアセトナート)コバルトが高い水添活性の面から好ましい。
【0109】
また、チーグラー系水添触媒に用いられるアルキルアルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムセスキクロリド等が挙げられる。これらの中でも、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライドが水添活性の面から好ましく、トリイソブチルアルミニウムが最も好ましい。
【0110】
水添反応におけるチーグラー系水添触媒の使用形態に特に制限はないが、予め遷移金属化合物とアルキルアルミニウム化合物とを反応させた触媒溶液を調製し、それを重合溶液に添加する方法を好ましく挙げることが出来る。かかる際に用いるアルキルアルミニウム化合物の量は、遷移金属化合物1molに対して0.2〜5molが好ましい。上記の触媒調製の反応は、−40〜100℃程度、好ましくは0〜80℃の温度範囲で行われ、反応時間は、通常1分から3時間の範囲である。
【0111】
また、水添反応は通常50〜180℃、好ましくは70〜150℃の温度で、また0.5〜10MPa程度、好ましくは1〜5MPaの水素圧で行われる。水添温度が50℃より低いと、また水素圧が0.5MPaよりも低いと触媒活性が低くなるため好ましくなく、水添温度が180℃を越えると触媒の失活、副反応等が起こりやすいため好ましくない。また通常、チーグラー系水添触媒は水添活性の極めて高い触媒であり、水素圧を10MPaよりも高くするのは必要性に乏しく装置上の負担が大きくなるので好ましくない。
【0112】
上記の(G)成分に係る水添共重合体ポリオールの末端に光硬化性官能基を導入するためには、その水添共重合体ポリオールに、光硬化性官能基含有化合物、好ましくは光硬化性不飽和炭化水素基含有化合物、特に好ましくは(メタ)アクリロイル基含有化合物を反応させる。ここで、(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、アクリロイルオキシアルキルイソシアネートやメタクリロイルオキシアルキルイソシアネートが好ましく、これらとの反応により、上記の水添共重合体ポリオールは(メタ)アクリレート化される。アクリロイルオキシアルキルイソシアネートとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートが挙げられ、メタクリロイルオキシアルキルイソシアネートとしては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートが挙げられる。
【0113】
次に、上記(H)成分の(メタ)アクリレートモノマーは、硬化前の組成物(3)の粘度を低減するばかりでなく、硬化後の諸物性も改良する。すなわち、接着強度や低透湿性の向上、硬度や粘着性(タッキネス)の調節、Eb(伸び)及びTb(破断強度)の向上等を図ることができる。(メタ)アクリレートモノマーの分子量は、1,000未満のものが好ましく、150〜600のものがより好ましい。
【0114】
この(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタン(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びメトキシトリエチレングリコールアクリレート等が挙げられる。これらのなかでも、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート及びジシクロペンテニルアクリレートが特に好ましく用いられる。
【0115】
この(H)成分(メタ)アクリレートモノマーの配合量は、上記(G)成分と合わせて100質量部としたとき、質量部の比率((G)成分/(H)成分)が、(20/80)〜(100/0)であることが好ましく、(30/70)〜(90/10)であることがさらに好ましい。(H)成分の(メタ)アクリレートモノマーを10質量部以上とすることにより、紫外線硬化樹脂組成物(3)の粘度を適度に低減化することができ、良好な成形加工性を達成し得て、基材フィルム1上にこの紫外線硬化樹脂組成物(3)でグリップ層2を形成する際の作業性を効果的に向上させることができる。また、配合比率を70質量部以下とすることにより、該組成物の粘度が低くなり過ぎず、形成直後の紫外線硬化樹脂組成物(3)が流下しにくくなる。更に、硬化後の組成物(グリップ層2)の接着強度や弾性も良好なものとなる。
【0116】
次に、上記(I)成分のアミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907]、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア369]、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア379]等が挙げられる。
【0117】
アミノアセトフェノン系光重合開始剤は反応活性が高く、窒素原子の存在により紫外線硬化樹脂組成物(3)の表面の酸素阻害を受けにくくするため、紫外線硬化樹脂組成物(3)の硬化性を高めると共に、硬化後の粘着性(タッキネス)を小さくし、且つ圧縮永久歪を小さくすることができる。これにより、紫外線硬化樹脂組成物(3)は、上記グリップ層2として良好な性能を発揮するものとなる。
【0118】
この(I)成分の光重合開始剤量は、上記(G)成分及び(H)成分の合計100質量部に対し、0.1〜6質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部、さらに好ましくは1〜4質量部である。
【0119】
紫外線硬化樹脂組成物(3)においては、上記(I)成分のアミノアセトフェノン系光重合開始剤と、更に所望により他の光重合開始剤を併用しても良い。他の光重合開始剤としては、分子内開裂型として、ベンゾイン誘導体類、ベンジルケタール類[例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア651]、α−ヒドロキシアセトフェノン類[例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:ダロキュア1173、イルガキュア184、イルガキュア127、イルガキュア2959]、アシルホスフィンオキサイド類[例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア819、イルガキュアTPO]等が挙げられ、水素引き抜き型として、ベンゾフェノン類とアミンとの組み合わせ、チオキサントンとアミンとの組み合わせ等が挙げられる。
【0120】
また、オリゴマー化したα−ヒドロキシアセトフェノンとして、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン][例えば、Lamberti S.p.A製、商品名:ESACURE KIP150等]、アクリレート化したベンゾフェノン類としてアクリル化ベンゾフェノン[例えば、ダイセル・ユー・シー・ビー(株)製、商品名:Ebecryl P136等]、イミドアクリレート等が挙げられる。
【0121】
更に、ベンゾイルメチルエーテル、ベンゾイルエチルエーテル、ベンゾイルブチルエーテル、ベンゾイルイソプロピルエーテル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマーと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノンの混合物、イソプロピルチオキサントン、o−ベンゾイル安息香酸メチル及び[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン等も併用することができる。
【0122】
紫外線硬化樹脂組成物(3)には、上記紫外線硬化樹脂組成物(1)の場合と同様に、所望により、揺変剤として無機充填剤及び/又は有機増粘剤を配合してもよく、これにより組成物の粘着性(タッキネス)を更に小さくすることができる。これら、無機充填剤及び有機増粘剤としては、上記紫外線硬化樹脂組成物(1)の説明で示したものと同様のものが例示され、無機充填剤の粒径も同様の範囲とすることが好ましい。
【0123】
これら揺変剤の配合量は、上記(G)成分及び(H)成分の合計100質量部に対し、0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜8質量部、さらに好ましくは1〜5質量部である。
【0124】
この紫外線硬化樹脂組成物(3)においても、上記紫外線硬化樹脂組成物(1)の場合と同様に、末端(メタ)アクリレートオリゴマーや安定化剤を配合することができ、これら末端(メタ)アクリレートオリゴマーや安定化剤としては、上記紫外線硬化樹脂組成物(1)の説明で例示したものと同様のものを挙げることができる。
【0125】
末端(メタ)アクリレートオリゴマーの配合量は、上記(G)成分及び(H)成分の合計100質量部に対し、100質量部以下であることが好ましい。また、安定化剤の配合量は、(G)成分及び(H)成分の合計100質量部に対し、0.1〜5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3質量部、さらに好ましくは0.5〜2質量部である。
【0126】
更に、この紫外線硬化樹脂組成物(3)においても、上記紫外線硬化樹脂組成物(1)の場合と同様に、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、クマロン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系炭化水素、ロジン誘導体等の各種粘着付与剤、チタンブラック等の着色剤等の添加剤を適量添加することができる。
【0127】
本発明では、上記基材フィルム1の一面側に、上記紫外線硬化樹脂組成物(1)〜(3)等の紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線照射により硬化させてグリップ層2を形成する。この場合、図1のように、基材フィルム1の一面側に全面的にグリップ層2を形成してもよいが、図2に示したように、ドット状に紫外線硬化樹脂を塗布し、多数の点状にグリップ層2を形成することもでき、これにより紫外線硬化樹脂の使用量を削減して材料コストを低減化することもできる。また、図3に示したように、紫外線硬化樹脂を最終製品の形状(例えば、図3のようなリング状)に塗布し硬化させて最終形状のグリップ層2を基材フィルム1上に形成することにより、更に材料を削減することができる。
【0128】
紫外線硬化樹脂を基材フィルム1上に塗布する方法は、任意の方法で行うことができ、例えばグラビアコート、ロールコート、スピンコート、リバースコート、バーコート、スクリーンコート、ブレードコート、エアーナイフコート、ディッピング、ディスペンシング、インクジェット等の方法を用いることができる。
【0129】
また、紫外線照射による硬化作業は、キセノンランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、マイクロ波方式エキシマランプ等の紫外線源を用いて公知の方法で行うことができる。この場合、紫外線を照射する雰囲気としては、用いる紫外線硬化樹脂に応じて適宜設定され、例えば、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気あるいは酸素濃度を低下させた雰囲気とすることができ、また通常の空気雰囲気としてもよい。照射雰囲気温度も紫外線硬化樹脂に応じて適宜設定され、通常10〜200℃とすることができる。また、紫外線硬化樹脂は硬化後に再度活性エネルギー線を照射したり、熱を加えることにより性状を安定化させることもできる。
【0130】
なお、このグリップ層2の厚さは、ディクスストッパーが用いられるターンテーブルやディスクドライブの形状や大きさ、機構等に応じて適宜設定されるが、通常は10〜1,000μm、特に50〜500μm程度とするのが一般的である。
【0131】
次に、上記粘着層3は、適宜な粘着剤を上記基材フィルム1の他面側に、シリコーン系粘着剤などの適宜な粘着剤を塗布して形成することもできるが、公知の両面粘着テープを貼着して粘着層3とすることが好ましい。この両面粘着テープとしては、市販のテープを使用することができ、具体的には、(株)寺岡製作所「No.773」、「No.777」、「No.7783」;住友スリーエム(株)「Y4914」、「Y4920」;日東電工(株)「TW−Y01」、「No.5000N(C)」、「No.5000NS」、「No.5015」;ソニーケミカル&インフォメーションデバイス(株)「G4000」、「G9000」、「G9900」;(株)スリオンテック「5686」;積水化学工業(株)「575」、「5754」、「5760LS(E)」、「5782LSV」;テサテープ(株)「5197」;DIC(株)「8810TD」、「8408TD」などを例示することができる。
【0132】
本発明のディスクストッパーは、通常CD、DVD、BDなどの光学記録ディスクを回転させるターンテーブルに貼り付けて用いられる。ターンテーブルの形状やドライブ機構などに応じた適宜な形状に切断して用いることができ、例えばターンテーブルに合わせた適宜な大きさのリング状に打ち抜いて用いることができる。
【実施例】
【0133】
以下、実施例,比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0134】
[実施例1]
下記配合成分を、下記の割合でプラネタリーミキサーで混練して、上記紫外線硬化性樹脂組成物(1)を得た。これを70〜80℃に加温して厚さ100μmのPETフィルム(基材フィルム)上にナイフコーターを用いて塗布し、紫外線を照射して硬化させ、厚さ400μmのグリップ層を形成した。紫外線照射には、メタルハライドランプを使用し、空気雰囲気下で照度約160mW/cm2(波長320〜390nm)、積算光量約9,000mJ/cm2の条件で照射を行った。
【0135】
(配合成分)
水添ポリブタジエンポリマー1 15質量部
水添ポリブタジエンポリマー2 35質量部
水添ポリブタジエンウレタン変性ポリマー 5質量部
アクリル酸エステルモノマー 45質量部
光ラジカル重合開始剤 1質量部
無機充填剤 3.5質量部
有機増粘剤2 3質量部
注)
・水添ポリブタジエンポリマー1:大阪有機化学工業(株)製、SPBDA−S(重量平均分子量:6,000、f=2(fは官能基(アクリロイル基)を意味する。))
・水添ポリブタジエンポリマー2:大阪有機化学工業(株)製、SPBA−S(重量平均分子量:7,000、f=2)
・水添ポリブタジエンウレタン変性ポリマー:大阪有機化学工業(株)製(重量平均分子量:17,000、f=2、HDI変性)
・アクリル酸エステルモノマー:大阪有機化学工業(株)製、IBXA(イソボニルアクリレート)
・光ラジカル重合開始剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア369(α−アミノアセトフェノン)
・無機充填剤:日本アエロジル(株)製、AEROSIL200(シリカ粉末)
・有機増粘剤2:ズードケミー触媒(株)製、ADVITROL100(水添ひまし油とアマイドワックスの混合物)
【0136】
また、同じ紫外線硬化性樹脂組成物(1)を成膜して同様に紫外線硬化させて試験片(厚さ2mm)を作成し、JIS K6262に準拠し、100℃、24時間、圧縮率25%の条件で、圧縮永久歪を測定した。その結果は5%で、圧縮永久歪みの非常に小さいものであった。
【0137】
次に、上記基材フィルムの他面側にソニーケミカル&インフォメーションデバイス(株)製の両面粘着テープ「G9900」を貼り付けて粘着層を形成し、ディスクストッパーとした。これを所定の形状に打ち抜いて、光学ディスクドライブのターンテーブルに貼り付け、所定圧力でCDを密着させ、下記条件で回転走行させて回転走行テストを行ったところ、ズレやスリップ、回転不良等を発生することなく、CDを安定的に回転走行させることができた。
(回転走行テスト条件)
環境温度23℃、ディスク回転数10,000rpmで、回転1分間−停止10秒間を100回繰り返した。
【0138】
[実施例2]
下記配合成分を、下記の割合でプラネタリーミキサーで混練して、上記紫外線硬化性樹脂組成物(1)を得た。これを90〜100℃に加温して厚さ100μmのPETフィルム(基材フィルム)上にナイフコーターを用いて塗布し、紫外線を照射して硬化させ、厚さ400μmのグリップ層を形成した。紫外線照射には、メタルハライドランプを使用し、空気雰囲気下で照度約160mW/cm2(波長320〜390nm)、積算光量約9,000mJ/cm2の条件で照射を行った。
【0139】
(配合成分)
水添ポリブタジエンポリマー1 15質量部
水添ポリブタジエンポリマー2 35質量部
水添ポリブタジエンウレタン変性ポリマー 5質量部
アクリル酸エステルモノマー 45質量部
光ラジカル重合開始剤 1質量部
無機充填剤 3.5質量部
有機増粘剤1 3質量部
注)
・有機増粘剤1:伊藤製油(株)製、A−S−A T1800(アマイドワックス)
・その他の成分は、実施例1と同じ。
【0140】
また、同じ紫外線硬化性樹脂組成物(1)を成膜して同様に紫外線硬化させて試験片(厚さ2mm)を作成し、実施例1と同様に圧縮永久歪を測定した。その結果は8%で、圧縮永久歪みの非常に小さいものであった。
【0141】
次に、上記基材フィルムの他面側に実施例1と同様に両面粘着テープを貼り付け粘着層を形成してディスクストッパーとし、実施例1と同様に回転走行テストを行ったところ、ズレやスリップ、回転不良等を発生することなく、CDを安定的に回転走行させることができた。
【0142】
[実施例3]
2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールと無水フタル酸とから得られるポリエステルジオール化合物(数平均分子量2,000)400gとノルボナンジイソシアナート82.4gと、酸化防止剤のジ−t−ブチル−ヒドロキシフェノール0.10gとを、攪拌機、冷却管、温度計を備えた1リットル四つ口フラスコに入れ、80℃で2時間反応させた。次いで2−ヒドロキシエチルアクリレート46.2g、重合禁止剤のp−メトキシフェノール0.10g、付加反応触媒としてのチタンテトラ(2−エチル−1−ヘキサノラート)0.06gとを加え、85℃で6時間反応させた。反応液の一部を取り出し赤外線吸収スペクトルで2,280cm-1のイソシアナート基の吸収ピークが消失したことにより、反応の終点を確認し、(A)成分として使用するウレタンオリゴマーを得た。得られたウレタンオリゴマーについて数平均分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用い、ポリスチレン換算値で求めたところ18,000であった。
【0143】
得られたウレタンオリゴマーと下記各成分とを、プラネタリーミキサーを用いて、70℃にて混練し、上記紫外線硬化性樹脂組成物(2)を得た。これを厚さ100μmのPETフィルム(基材フィルム)上にナイフコーターを用いて塗布し、紫外線を照射して硬化させ、厚さ400μmのグリップ層を形成し、更に空気雰囲気下120℃で4時間ベーキング処理した。紫外線照射には、メタルハライドランプを使用し、空気雰囲気下で照度約130mW/cm2、積算光量約8,000mJ/cm2の条件で照射を行った。
【0144】
(配合成分)
ウレタンオリゴマー 100質量部
カルボジイミド化合物 2質量部
フェノキシエチルアクリレート 25質量部
注)
・カルボジイミド化合物:液状カルボジイミド化合物 日清紡績(株)製 商品名[Elastost ab H01]
・フェノキシエチルアクリレート:共栄化学(株)製「ライトアクリレートPO−A」
【0145】
また、同じ紫外線硬化性樹脂組成物(2)を成膜して同様に紫外線硬化させ、ベーキング処理して試験片(厚さ0.6mm)を作成し、実施例1と同様に圧縮永久歪を測定した。その結果は6%で、圧縮永久歪みの非常に小さいものであった。
【0146】
次に、上記基材フィルムの他面側に実施例1と同様に両面粘着テープを貼り付け粘着層を形成してディスクストッパーとし、実施例1と同様に回転走行テストを行ったところ、ズレやスリップ、回転不良等を発生することなく、CDを安定的に回転走行させることができた。
【0147】
[実施例4]
十分に脱水精製したシクロヘキサン溶媒中に、1,3−(ジイソプロペニル)ベンゼン1モルを添加した後、トリエチルアミン2モル、sec−ブチルリチウム2モルを順次添加し、50℃で2時間撹拌して、ジリチウム重合開始剤を調製した。アルゴン置換した7リットルの重合リアクターに、脱水精製したシクロヘキサン1.90kg、22.9質量%の1,3−ブタジエンモノマーのヘキサン溶液を2.00kg、20.0質量%のスチレンモノマーのシクロヘキサン溶液を0.765kg、1.6モル/リットルの2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパンのヘキサン溶液を130.4ml添加した後、0.5モル/リットルのジリチウム重合開始剤を108.0ml添加して重合を開始させた。重合リアクターを50℃に昇温しながら、1.5時間重合を行った後、1モル/リットルのエチレンオキシドのシクロヘキサン溶液を108.0ml添加し、さらに2時間撹拌した後、50mlのイソプロピルアルコールを添加した。共重合体のヘキサン溶液をイソプロピルアルコール中に沈殿させ、十分に乾燥させて共重合体ポリオールを得た。この共重合体ポリオールは両末端OH基スチレン−ブタジエン共重合体であり、スチレン分は25質量%であり、重量平均分子量は14,500、分子量分布は1.20であった。
【0148】
次に、共重合体ポリオール120gを、それぞれ、十分に脱水精製したヘキサン1リットルに溶解した後、予め別容器で調整したナフテン酸ニッケル、トリエチルアルミニウム、ブタジエンが1:3:3(モル比)の触媒液を共重合体溶液中のブタジエン部1,000モルに対してニッケル1モルになるように仕込んだ。密閉反応容器に水素を27,580hPa(400psi)に加圧添加して、110℃にて4時間水添反応を行った。その後、3モル/L濃度の塩酸で触媒残渣を抽出分離し、さらに遠心分離をして触媒残渣を沈降分離した。その後、水添共重合体ポリオールをイソプロピルアルコール中に沈殿させ、さらに十分に乾燥を行った。
【0149】
十分に乾燥した水添共重合体ポリオール100gを、それぞれ、シクロヘキサンに溶解させ、40℃に保ち十分に撹拌しながら2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工(株)製:カレンズAOI)をゆっくり滴下した後、さらに4時間撹拌を行い、イソプロピルアルコールに沈殿させ乾燥させた。2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートの添加量は、2.49gであった。以上のようにして、水添重合体ポリオールから光硬化性液状樹脂であるアクリロイル基含有水添スチレン−ブタジエン共重合体を得た。
【0150】
得られたアクリロイル基含有水添スチレン−ブタジエン共重合体と下記各成分とを、プラネタリーミキサーを用いて、70℃にて混練し、上記紫外線硬化性樹脂組成物(3)を得た。これを厚さ100μmのPETフィルム(基材フィルム)上にナイフコーターを用いて塗布し、紫外線を照射して硬化させ、厚さ400μmのグリップ層を形成した。紫外線照射には、メタルハライドランプを使用し、空気雰囲気下で照度約160mW/cm2、(波長320〜390nm)、積算光量約9,000mJ/cm2の条件で照射を行った。
【0151】
アクリロイル基含有水添スチレン−ブタジエン共重合体 70質量部
アクリレートモノマーA 30質量部
揺変剤 3質量部
光重合開始剤A 1質量部
注)
・アクリレートモノマーA: イソボルニルアクリレート、大阪有機化学工業(株)製、商品名:IBXA
・揺変剤: 水添ひまし油、ロックウッド アディティブス(株)製、商品名:ADVITROL100
・光重合開始剤A: 2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア369
【0152】
また、同じ紫外線硬化性樹脂組成物(3)を成膜して同様に紫外線硬化させて試験片(厚さ2mm)を作成し、実施例1と同様に圧縮永久歪を測定した。その結果は12%で、圧縮永久歪みの小さいものであった。
【0153】
次に、上記基材フィルムの他面側に実施例1と同様に両面粘着テープを貼り付け粘着層を形成してディスクストッパーとし、実施例1と同様に回転走行テストを行ったところ、ズレやスリップ、回転不良等を発生することなく、CDを安定的に回転走行させることができた。
【0154】
[実施例5]
【0155】
実施例4で用いたものと同じアクリロイル基含有水添スチレン−ブタジエン共重合体と下記各成分とを、プラネタリーミキサーを用いて、70℃にて混練し、上記紫外線硬化性樹脂組成物(2)を得た。これを厚さ100μmのPETフィルム(基材フィルム)上にナイフコーターを用いて塗布し、紫外線を照射して硬化させ、厚さ400μmのグリップ層を形成した。紫外線照射には、メタルハライドランプを使用し、空気雰囲気下で照度約160mW/cm2、(波長320〜390nm)、積算光量約9,000mJ/cm2の条件で照射を行った。
【0156】
アクリロイル基含有水添スチレン−ブタジエン共重合体 70質量部
アクリレートモノマーA 30質量部
揺変剤 3質量部
光重合開始剤B 1質量部
注)
・光重合開始剤B: 2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907
・その他は、実施例4と同じ
【0157】
また、同じ紫外線硬化性樹脂組成物(3)を成膜して同様に紫外線硬化させて試験片(厚さ2mm)を作成し、実施例1と同様に圧縮永久歪を測定した。その結果は15%で、圧縮永久歪みの小さいものであった。
【0158】
次に、上記基材フィルムの他面側に実施例1と同様に両面粘着テープを貼り付け粘着層を形成してディスクストッパーとし、実施例1と同様に回転走行テストを行ったところ、ズレやスリップ、回転不良等を発生することなく、CDを安定的に回転走行させることができた。
【符号の説明】
【0159】
1 基材フィルム
2 グリップ層
3 粘着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質樹脂フィルムからなる基材フィルムの一面側に静摩擦性の高いグリップ層を形成すると共に、他面側に粘着層を形成してなり、ターンテーブルに貼り付けてターンテーブル上に配置されたディスクのズレを防止するディスクストッパーであって、上記グリップ層を紫外線硬化樹脂で形成したことを特徴とするディスクストッパー。
【請求項2】
上記紫外線硬化樹脂が、
(A)末端に(メタ)アクリロイル基を有する反応性ポリマー20〜90質量%と、
(B)(メタ)アクリル酸エステルモノマー80〜10質量%との合計量100質量部に対し、
(C)光ラジカル重合開始剤を0.1〜10質量部含有する紫外線硬化樹脂組成物である請求項1記載のディスクストッパー。
【請求項3】
上記(A)成分の反応性ポリマーが、水添ポリブタジエン(メタ)アクリレート、水添ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、水添ポリイソプレン(メタ)アクリレート、水添ポリイソプレンジ(メタ)アクリレート、ウレタン変性された水添ポリブタジエン(メタ)アクリレート及び水添ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート並びにウレタン変性された水添ポリイソプレン(メタ)アクリレート及び水添ポリイソプレンエンジ(メタ)アクリレートから選ばれる1種又は2種以上である請求項2記載のディスクストッパー。
【請求項4】
上記(B)成分の(メタ)アクリル酸エステルモノマーが、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート又はイソボニルアクリレートである請求項2又は3記載のディスクストッパー。
【請求項5】
上記(C)成分の光ラジカル重合開始剤が、α−ヒドロキシアセトフェノン又はα−アミノアセトフェノンである請求項2〜4のいずれか1項に記載のディスクストッパー。
【請求項6】
上記紫外線硬化樹脂が、
(D)不飽和基含有エステル系ウレタンオリゴマー100質量部、
(E)分子内に少なくとも1つのカルボジイミド基を含む化合物0.01〜10質量部、及び、
(F)光重合開始剤、架橋剤、及びモノマーのうちの少なくとも一つを含有する紫外線硬化樹脂組成物である請求項1記載のディスクストッパー。
【請求項7】
上記(D)成分の不飽和基含有エステル系ウレタンオリゴマーが、下記一般式(1)
【化1】


[ただし、式中、R1は(メタ)アクリロイル基およびビニル基の少なくともいずれかの不飽和基を含有するモノオール化合物の脱水酸基残基、R2は有機ジイソシアナート化合物の脱イソシアナート残基、R3は、数平均分子量1×103〜1×104で環状基または分岐鎖状基を含有するポリエステルジオール化合物の脱水酸基残基であり、Aはジアミン化合物の脱水素残基またはジオール化合物の脱水素残基、pおよびrの各々は0〜7、qは0〜3、ただし、q=0のとき、1≦p+r≦10である。]
で表され、かつ数平均分子量が5×103〜5×104である不飽和基含有ウレタンオリゴマーである請求項6に記載のディスクストッパー。
【請求項8】
上記(D)成分の不飽和基含有ウレタンオリゴマー(ただし、一般式(I)においてq=0の場合)が、前記ポリエステルジオール化合物と、前記有機ジイソシアナート化合物とを重付加反応させてイソシアナート基を両末端に有する付加物を形成した後、該イソシアナート基に、前記モノオール化合物を付加して得られるものである請求項7記載のディスクストッパー。
【請求項9】
上記(D)成分の不飽和基含有ウレタンオリゴマー(ただし、一般式(I)においてq≠0の場合)が、前記ポリエステルジオール化合物と前記有機ジイソシアナート化合物とを重付加反応させてイソシアナート基を両末端に有する付加物を形成した後、前記ジアミン化合物または前記ジオール化合物の末端の各々を、該付加物の片端のイソシアナート基に付加させ、該付加物の他の片端のイソシアナート基に、前記モノオール化合物を付加して得られるものである請求項7のいずれかに記載のディスクストッパー。
【請求項10】
上記(E)カルボジイミド基を含む化合物が、粘度0.1〜100Pa・sの液状ポリカルボジイミド化合物である請求項6〜9のいずれか1項に記載のディスクストッパー。
【請求項11】
上記(F)成分のモノマーとしてフェノキシエチルアクリレート、光重合開始剤として4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトンを含有する請求項6〜10のいずれか1項に記載のディスクストッパー。
【請求項12】
上記紫外線硬化樹脂が、
(G)光硬化性官能基を含有する水添共役ジエン−芳香族ビニル共重合体、
(H)(メタ)アクリレートモノマー、及び、
(I)アミノアセトフェノン系光重合開始剤を含有する紫外線硬化樹脂組成物である請求項1記載のディスクストッパー。
【請求項13】
上記(G)水添共役ジエン−芳香族ビニル共重合体を構成する共役ジエン単量体が1,3−ブタジエン及び/又はイソプレンである請求項12に記載のディスクストッパー。
【請求項14】
上記(G)水添共役ジエン−芳香族ビニル共重合体を構成する芳香族ビニル単量体がスチレン、α−メチルスチレン及び/又はパラメチルスチレンである請求項12又は13記載のディスクストッパー。
【請求項15】
上記(G)水添共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の含有する光硬化性官能基が、メタ)アクリロイル基である請求項12〜14のいずれか1項に記載のディスクストッパー。
【請求項16】
上記(H)(メタ)アクリレートモノマーが、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレートから選ばれる1種又は2種以上である請求項12〜15のいずれか1項に記載のディスクストッパー。
【請求項17】
上記(I)アミノアセトフェノン系光重合開始剤が、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン及び2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノンから選ばれる1種又は2種以上の光重合開始剤である請求項12〜16のいずれか1項に記載のディスクストッパー。
【請求項18】
上記基材フィルムを形成する硬質樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム又はポリエチレン(PE)フィルムである請求項1〜17のいずれか1項に記載のディスクストッパー。
【請求項19】
上記粘着層がアクリル系両面粘着テープである請求項1〜18のいずれか1項に記載のディスクストッパー。
【請求項20】
上記グリップ層が、基材フィルム上に上記紫外線硬化樹脂を所定形状に塗布し、紫外線を照射することにより形成されたものである請求項1〜19のいずれか1項に記載のディスクストッパー。
【請求項21】
上記グリップ層が、基材フィルム上に上記紫外線硬化樹脂をドット状に塗布し、紫外線を照射して硬化させた多数の点状のグリップ層である請求項1〜20のいずれか1項に記載のディスクストッパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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