ディスクトレイおよびディスクケース
【課題】ディスク収容部の外周縁に取り出し機構を設けたディスクトレイであって、ディスクを保護・保持する機能の高いディスクケースを提供するとともに、防犯機能の高いディスクケースを提供する。
【解決手段】 コンパクトディスク（ＣＤ）やディーブイディー（ＤＶＤ）を収納保持する収納凹部と中央に設けられたディスク保持機構と保持を解除するディスク解放機構とを装備したディスクトレイにおいて、トレイに設けられる収納凹部が円形凹部からなり、該凹部の周縁に収納したディスクの一端を下方から上方に押し上げて保持機構に係合されていた保持係合を外して収納されていたディスクを外部へ摘出する解放機構を装備した構成である。
【解決手段】 コンパクトディスク（ＣＤ）やディーブイディー（ＤＶＤ）を収納保持する収納凹部と中央に設けられたディスク保持機構と保持を解除するディスク解放機構とを装備したディスクトレイにおいて、トレイに設けられる収納凹部が円形凹部からなり、該凹部の周縁に収納したディスクの一端を下方から上方に押し上げて保持機構に係合されていた保持係合を外して収納されていたディスクを外部へ摘出する解放機構を装備した構成である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ディスクの周縁を押し上げ摘出するディスク解放機構とそれに伴うディスク保持機構、および、前記ディスク解放機構と保持機構を利用した防犯構造を有するディスクトレイおよびディスクケースに関する。
【背景技術】
【０００２】
コンパクトディスク（以下ＣＤ）やディーブイディー（以下ＤＶＤ）等のディスク型情報記録媒体は登場以来爆発的に普及しており、それに伴いそれぞれのディスクを保管するケースも様々な形状のものが開発され製造されている。
従来から多く存在するディスクケースは、ディスクの中央の孔に係合する突起が中央部に形成され、そこにディスクの孔を嵌め込んで収納保管し、該突起を押圧して取り出す形式のものが多かった。情報記録が書き込まれていないディスクの中央部を利用するケース構造は多く開発されているが、ディスクケースの需要は多く、従来とは異なる新しい構造で機能的なディスクケースの開発が望まれていた。
さらに、ＣＤやＤＶＤに格納されているデータの重要性や使用頻度から、従来に引き続き、経年変化によっても保持体が破損することなく収納保持が確実なディスクケースが望まれている。
【０００３】
また、コンパクトディスクの販売店やレンタル店等では、ディスクの万引き等を防止するために防犯タグが取り付けられている。構造的にはディスクケースに防犯タグが取り付ける構造が一般的となってきている。しかし近年では、防犯システムを回避するためにディスクケース内から収納されたディスクだけを取り出し、防犯システムに反応しない内容物だけを不正に持ち出すケースが増えてきている。すなわち、包装状態のディスクケースのディスク保持機構を外部から押圧してディスクだけを落下させることが出来るような構造上の盲点が問題となっている。ケースに防犯タグを取り付けることはできても、内容物にまでタグ等を取り付けることは困難かつ高価であり防犯・盗難防止対策が遅れているのが実情であった。
これを回避するために、ケースの開閉口全体に防犯タグ等を取り付けると、ケースが大型になってしまいコストもかかるという不都合があった。特別な防犯システムを設けることなく、不正行為を防止できるようなディスクケースの開発が待たれていた。
【０００４】
【特許文献１】特開平７−１３７７７９
【特許文献２】特開２００５−６７７１８
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明は、上記問題を解決するために、ディスク収容部の外周縁に取り出し機構を設けたディスクトレイであって、ディスクを保護・保持する機能の高いディスクトレイおよびディスクケースを提供することを目的とする。また、防犯機能の高いディスクケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記目的を達成するために本発明に係るディスクトレイおよびディスクケースは、コンパクトディスク（ＣＤ）やディーブイディー（ＤＶＤ）を収納保持する収納凹部と中央に設けられたディスク保持機構と保持を解除するディスク解放機構とを装備したディスクトレイにおいて、トレイに設けられる収納凹部が円形凹部からなり、該凹部の周縁に収納したディスクの一端を下方から上方に押し上げて保持機構に係合されていた保持係合を外して収納されていたディスクを外部へ摘出する解放機構を装備した構造である。
【０００７】
また、本発明に係るディスク解放機構は、ディスクトレイ底面から上方へ傾斜する板状の斜面からなる第一バネと、該第一バネの上辺から延出してディスクトレイ底面から突出した平板状の押圧部と、ディスクトレイ底面に設けられ連結部材により押圧部と連結した半円弧状の第二バネと、第二バネと連動部により揺動可能に連結されたディスクの周縁の一端を保持・解放する断面がコの字型の挟持部と、からなる構造である。
【０００８】
さらに、解放機構に対向する円形収納凹部の周縁に、円弧状の周壁と、ディスク摘出時にディスクの側面を押圧する板バネ状の当接片とからなる嵌挿部を設けた構造である。
【０００９】
また、本発明に係るディスク保持機構は、ディスク収納凹部の中央に設けられており、略円筒形状の筒体からなり、ディスクが中央の押圧により外れることを防止するために、上部を押圧することにより円筒側面が横方向に膨らむ形状となる構造である。
さらに、前記保持機構は、上方からの押圧によって変形し易くするために、略円筒形状であって、円筒側面の上方は側壁が薄く形成されており、ディスクを保持する筒体側面の下方は側壁が厚く形成されている構造である。
【００１０】
また、本発明に係るディスクケースは、コンパクトディスク（ＣＤ）やディーブイディー（ＤＶＤ）を収納保持する収納凹部と、収納保管するディスク保持機構およびディスク解放機構を備えたディスクトレイと、収納蓋体とからなるディスクケースにおいて、収納蓋体を閉じた状態で押圧することによりディスク保持が解除されることを防止する構造とするために、ディスク解放機構の押圧部を挟持部の近傍に設けた、ディスク解放機構およびディスク保持機構を装備したディスクケースである。
【発明の効果】
【００１１】
本発明に係るディスクトレイおよびディスクケースは、上記詳述した通りの構成であるので、以下のような効果を奏する、
１．従来にないディスクの周縁を押し上げる構造であり、顧客の興味を引き易い。ディスク周縁の情報記録部以外の部分を利用するので、ディスクの記録面に傷をつけることなく安全に取り出すことができる。また、従来の手で上から押圧して係合を外す構造と異なり、特定部分をポイントで押圧することにより、連動してディスクを下から押し上げる構造であり、ディスクを斜めに変形するような過剰な力が加わることがないため、ディスクや記録情報を破損する恐れもなく安全である。
２．二つのバネを使用しているため、バネの経たりが少なく耐久性があり丈夫である。押圧部が板形状で押し易く、取り出しも簡単である。また、プッシュ式で自動的に力が調節されるため、誰が使用しても無理な力をかけることなく取り出すことができる。また、コの字型の挟持部によりディスクを保持しているため保持力が安定している。
３．当接片によってもディスクが押し出されるためディスク解放力が強くなる。
４．保持機構を押圧するとロックされるので万引き等されるおそれがなく安全な構造である。また、円筒形のシンプルな形状で見た目にも美しい。
５．上方の側壁が薄く横に広がり易いためロックが確実である。下方の側壁は厚くディスクの保持を強固にしている。円筒形状の上方と下方の側壁の厚さを変えることで上面に力を加えても下方は広がることなくディスクにも負担が掛からない。
６．ディスクケースの収納蓋体を閉じた状態では、ディスク解放機構の押圧部を押圧しても、上方に持ち上がろうとしたディスクがケースの収納蓋体にぶつかり収容部から外ることがない。また、同様に中央の保持機構部分を押圧してディスクを取り外そうとしても、保持機構のロック機能が働くため、外部からの押圧によりディスクが掛け外れることがない。収納蓋体を閉じた状態ではディスクを収容部から取り外すことができず、二重のロック構造となるので不正な持ち出し窃盗行為による被害を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
以下に本発明に係るディスク解放機構およびディスク保持機構とそれを利用したディスクトレイを図面に示す実施例にしたがって詳細に説明する。
図１は、本発明におけるディスクケースのディスクトレイの収容凹部と保持機構と解放機構の平面図である。図２は、本発明における解放機構の平面図である。図３（ａ）は本発明における解放機構のディスク収納時の断面図であり、（ｂ）はディスク解放時の断面図である。図４は、本発明におけるディスクトレイの収容凹部と解放機構と保持機構の断面図である。
【００１３】
図１に示すように、解放機構１０は、ディスクを収納する円形の収納凹部１４の周縁の一部に設けられている。
また、本発明のディスク解放機構１０は、図２に示すように、第一バネ２０と、押圧部２２と、第二バネ２４と、挟持部２６とからなる構成に、連結部材３０と、連動部３２と軸材３４を加えた構成である。
解放機構１０は、実施例では樹脂製のディスクトレイ１２と一体的に形成されているが、解放機構１０のみをトレイと別に製造し、取り付けることも可能である。
【００１４】
第一バネ２０は板体からなり、ディスクトレイ１２の底面から上方へ向かって傾斜する傾斜面である。板状の第一バネ２０はトレイ１２から延設されており、後端２０ｂはトレイ１２の底面に接合している。板体である第一バネ２０は、上方に設けられている押圧部２２に向かって傾斜し、先端２０ａは押圧部２２と接合している。実施例では第一バネ２０は押圧部を延設して台形に形成されているが、形状はこの形状に特定される必要はなく、板状のバネであればよい。
【００１５】
押圧部２２は、一端が第１バネ２０に接合されたディスクトレイ底面と略平行面を成す平板である。押圧部２２の他端は連結部材３０によって第二バネ２４に連結している。連結部材３０は、板状の傾斜面で押圧部２２から第二バネ２４に向かって下方へ傾斜している。押圧部２２はディスクトレイの底面から突出しており、下方へ移動可能である。押圧部２２を指で押した力が第一バネと第二バネによって調節され挟持部２６に挟まれたディスク６０に伝わる構造である。
【００１６】
第二バネ２４は、図２に示すようにディスクケースの底面部分に設けられているＵ字の細材である。第二バネ２４は略半円弧形状の細棒体からなり、一端２４ａが連結部材３０および連動部３２に着設され、他端２４ｂがディスクトレイの底面に着設された構造である。
【００１７】
連動部３２は板状の急傾斜面であり、第二バネ２４から挟持部２６に向かって上方へ傾斜している。連動部３２の先端３２ａの近傍には軸材３４が設けられている。軸材３４を軸として連動部３２は回動可能であり、図３に示すように第二バネ２４によって連動部３２の後端３２ｂが収納凹部側へ押し出されると、前端３２ａは後上方へ円弧を描くように移動する。
【００１８】
挟持部２６は、連動部３２の先端３２ａに設けられ、ディスク収容部側が開いた浅いコの字型の断面をしている。コの字型の空間にディスクの周縁が入り、ディスク保持時に挟持する構造である。連動部３２によって第二バネ２４と連結されており、連動部３２の先端３２ａが後上方へ移動すると、コの字型の開口側が上方を向くように移動する。
【００１９】
図１に示すように、嵌挿部４０は収納部の解放機構の設けられている位置の反対側となる円形収納凹部１４の対向する縁端に設けられている。嵌挿部４０は、図４に示すように、円弧状の周壁４２と周壁の上方からディスクの収納部へ向かって下方に突設された板バネ状の当接片４４とからなる。ディスク収納時には、ディスクの外側面が当接片４４に当接する。当接片は柔軟性のあるバネ部材であり、材質はプラスチック等の樹脂素材が使用される。ディスクトレイと一体的に形成されることが好ましい。当接片４４の上端には、係止突起４６が設けられていて、収納されているディスクが収納時に外部に出ないようにしている。
【００２０】
次に、図３に示すディスク解放時の解放機構の構造を詳説する。ディスク収納時には、図３（ａ）に示されるように、ディスク６０の周縁が挟持部２６に挟持されている。収納凹部に収納されたディスクを外部へ取り出す場合、ディスク解放機構の押圧部２２を上方から押圧する。押圧により、後端２０ｂをディスク底面に固定されている第一バネ２０の先端２０ａは、下方に下がるとともに先端を収容部方向へ押し出すように稼動する（図３（ｂ））。また、連結部材３０により伝えられた力は、第二バネ２４によって連動部３２に伝えられる。図２に示すように連動部３２は第二バネ２４の一端２４ａと連結しており、第二バネ２４は連動部３２の後端３２ａを収納凹部側へ押動する。連動部３２の後端３２ｂが収納凹部側へ移動すると、軸材３４を軸として、連動部３２の先端３２ａは円弧を描くように収納凹部外側に移動する。連動部３２が回動するとともに、先端３２ａに設けられた挟持部２６もコの字型の開いている側が上を向くように応動する。そのため、コの字型の空間に挟持されていたディスクの周縁は下方から上方へ押し上げる力を受ける。
【００２１】
また、対向する収納凹部の周縁には嵌挿部が設けられている。嵌挿部の当接片４４はディスクの外側面を押圧し、バネ力によってディスクが収容部から外部へ摘出されることを補助する。解放機構と嵌挿部のバネによりディスクは収納凹部から外部へ取り出し摘出される。
ディスク摘出後、解放機構１０は、第一バネおよび第二バネの復元力により駆動前の状態へ戻される。
【００２２】
ディスク解放機構１０は全てを樹脂素材で一体的に形成することができる。第一バネおよび第二バネはバネ力を発揮させるため、弾力のある樹脂製で形成されることが好ましいが、その他の部分は素材に限定はなく、木製、金属製としてもよい。
【００２３】
次に、図１および図４に示す本発明のディスク保持機構５０について詳説する。
本発明のディスク保持機構５０は、筒体５２と、上面５４とから構成される。
【００２４】
筒体５２は円筒形状であり、図４に示すように、円筒の側壁はの上方５２ａが薄く、下方５２ｂは円筒の外径が上方に比べて大きく、側壁も厚く形成されている。
【００２５】
上面５４は、筒体を覆う円形状の蓋である。実施例では、上面が円の中心を通る直方体の突部を有する形状をしているが、凸凹の形状は特に特定される必要はなく平面であってもよい。上面を覆う必要はなく、保持機構５０が上方から押圧できる構造であればよい。
【００２６】
ディスク保持機構５０にはディスクの中央の孔が係合する。孔は、筒体５２の上方５２ａを通り、径が少し大きく形成されている下方５２ｂで係合する。下方５２ｂは側壁が厚いため、上方５２ａと異なり係合により変形することがなく、ディスクの係合を確実なものとする。
ディスク保持機構５０の上面５４が上方から押圧されると、筒体５２の上方の側面５２ａが横に広がる。側面が横に広がることにより、円筒の径の幅がディスクの孔より大きくなり、係合されているディスクが外れることはないので、上部からの押圧によりディスクが取り出されることを防ぐ構造である。
【００２７】
次に、本発明のディスク解放機構とディスク保持機構が設けられたディスクケースの防犯構造について詳説する。
ディスクケースは店頭において、トレイにディスクが収納され、蓋体が閉じられた状態で陳列されている。中身のディスクは、悪意でトレイのディスク保持をケースを外部から押圧して解除し、ケースのわずかな隙間から外れたディスクだけを抜き出して不正に持ち出しされることがある。
【００２８】
ディスクケースの収納凹部からディスクを取り出してケースの隙間からディスクのみを取り出そうとして、収容部の中央に設けられた保持機構の部分をケース外部から押圧した場合、保持機構５０の筒体上方５２ａの径がディスクの孔より広がり、収納部からの取り出しにロックがかかる。
【００２９】
収納凹部の周縁に設けられたディスク解放機構の押圧部を押してディスクを取り外そうとする場合、押圧部２２が挟持部２６の近傍に設けられているため、ディスクが収納部の上方へ押し出されて外れようとしても、ディスクは同時に押圧された蓋体に当たり、下方へ押し戻される。従って、蓋体の外部から押圧部を押圧してもディスクが収容部から掛け外れることがない。
ディスク保持機構はもちろん、ディスク解放機構をケースの外部から押圧して無理にディスクを取り外そうとしても、ディスクが収納部から外れることがなく、保持も確実で安全なケース構造である。
【図面の簡単な説明】
【００３０】
【図１】本発明のディスク収容凹部、ディスク保持機構およびディスク解放機構の平面図
【図２】本発明のディスク解放機構の平面図
【図３】（ａ）ディスク収納時のディスク解放機構の断面図、（ｂ）ディスク解放時のディスク解放機構の断面図
【図４】本発明のディスク収容凹部、ディスク保持機構およびディスク解放機構の断面図
【符号の説明】
【００３１】
１０ ディスク解放機構
１２ ディスクトレイ
１４ 収納凹部
２０ 第一バネ
２２ 押圧部
２４ 第二バネ
２６ 挟持部
３０ 連結部材
３２ 連動部
３４ 軸材
４０ 嵌挿部
４２ 周壁
４４ 当接片
５０ ディスク保持機構
５２ 筒体
５４ 上面
６０ ディスク
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ディスクの周縁を押し上げ摘出するディスク解放機構とそれに伴うディスク保持機構、および、前記ディスク解放機構と保持機構を利用した防犯構造を有するディスクトレイおよびディスクケースに関する。
【背景技術】
【０００２】
コンパクトディスク（以下ＣＤ）やディーブイディー（以下ＤＶＤ）等のディスク型情報記録媒体は登場以来爆発的に普及しており、それに伴いそれぞれのディスクを保管するケースも様々な形状のものが開発され製造されている。
従来から多く存在するディスクケースは、ディスクの中央の孔に係合する突起が中央部に形成され、そこにディスクの孔を嵌め込んで収納保管し、該突起を押圧して取り出す形式のものが多かった。情報記録が書き込まれていないディスクの中央部を利用するケース構造は多く開発されているが、ディスクケースの需要は多く、従来とは異なる新しい構造で機能的なディスクケースの開発が望まれていた。
さらに、ＣＤやＤＶＤに格納されているデータの重要性や使用頻度から、従来に引き続き、経年変化によっても保持体が破損することなく収納保持が確実なディスクケースが望まれている。
【０００３】
また、コンパクトディスクの販売店やレンタル店等では、ディスクの万引き等を防止するために防犯タグが取り付けられている。構造的にはディスクケースに防犯タグが取り付ける構造が一般的となってきている。しかし近年では、防犯システムを回避するためにディスクケース内から収納されたディスクだけを取り出し、防犯システムに反応しない内容物だけを不正に持ち出すケースが増えてきている。すなわち、包装状態のディスクケースのディスク保持機構を外部から押圧してディスクだけを落下させることが出来るような構造上の盲点が問題となっている。ケースに防犯タグを取り付けることはできても、内容物にまでタグ等を取り付けることは困難かつ高価であり防犯・盗難防止対策が遅れているのが実情であった。
これを回避するために、ケースの開閉口全体に防犯タグ等を取り付けると、ケースが大型になってしまいコストもかかるという不都合があった。特別な防犯システムを設けることなく、不正行為を防止できるようなディスクケースの開発が待たれていた。
【０００４】
【特許文献１】特開平７−１３７７７９
【特許文献２】特開２００５−６７７１８
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明は、上記問題を解決するために、ディスク収容部の外周縁に取り出し機構を設けたディスクトレイであって、ディスクを保護・保持する機能の高いディスクトレイおよびディスクケースを提供することを目的とする。また、防犯機能の高いディスクケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記目的を達成するために本発明に係るディスクトレイおよびディスクケースは、コンパクトディスク（ＣＤ）やディーブイディー（ＤＶＤ）を収納保持する収納凹部と中央に設けられたディスク保持機構と保持を解除するディスク解放機構とを装備したディスクトレイにおいて、トレイに設けられる収納凹部が円形凹部からなり、該凹部の周縁に収納したディスクの一端を下方から上方に押し上げて保持機構に係合されていた保持係合を外して収納されていたディスクを外部へ摘出する解放機構を装備した構造である。
【０００７】
また、本発明に係るディスク解放機構は、ディスクトレイ底面から上方へ傾斜する板状の斜面からなる第一バネと、該第一バネの上辺から延出してディスクトレイ底面から突出した平板状の押圧部と、ディスクトレイ底面に設けられ連結部材により押圧部と連結した半円弧状の第二バネと、第二バネと連動部により揺動可能に連結されたディスクの周縁の一端を保持・解放する断面がコの字型の挟持部と、からなる構造である。
【０００８】
さらに、解放機構に対向する円形収納凹部の周縁に、円弧状の周壁と、ディスク摘出時にディスクの側面を押圧する板バネ状の当接片とからなる嵌挿部を設けた構造である。
【０００９】
また、本発明に係るディスク保持機構は、ディスク収納凹部の中央に設けられており、略円筒形状の筒体からなり、ディスクが中央の押圧により外れることを防止するために、上部を押圧することにより円筒側面が横方向に膨らむ形状となる構造である。
さらに、前記保持機構は、上方からの押圧によって変形し易くするために、略円筒形状であって、円筒側面の上方は側壁が薄く形成されており、ディスクを保持する筒体側面の下方は側壁が厚く形成されている構造である。
【００１０】
また、本発明に係るディスクケースは、コンパクトディスク（ＣＤ）やディーブイディー（ＤＶＤ）を収納保持する収納凹部と、収納保管するディスク保持機構およびディスク解放機構を備えたディスクトレイと、収納蓋体とからなるディスクケースにおいて、収納蓋体を閉じた状態で押圧することによりディスク保持が解除されることを防止する構造とするために、ディスク解放機構の押圧部を挟持部の近傍に設けた、ディスク解放機構およびディスク保持機構を装備したディスクケースである。
【発明の効果】
【００１１】
本発明に係るディスクトレイおよびディスクケースは、上記詳述した通りの構成であるので、以下のような効果を奏する、
１．従来にないディスクの周縁を押し上げる構造であり、顧客の興味を引き易い。ディスク周縁の情報記録部以外の部分を利用するので、ディスクの記録面に傷をつけることなく安全に取り出すことができる。また、従来の手で上から押圧して係合を外す構造と異なり、特定部分をポイントで押圧することにより、連動してディスクを下から押し上げる構造であり、ディスクを斜めに変形するような過剰な力が加わることがないため、ディスクや記録情報を破損する恐れもなく安全である。
２．二つのバネを使用しているため、バネの経たりが少なく耐久性があり丈夫である。押圧部が板形状で押し易く、取り出しも簡単である。また、プッシュ式で自動的に力が調節されるため、誰が使用しても無理な力をかけることなく取り出すことができる。また、コの字型の挟持部によりディスクを保持しているため保持力が安定している。
３．当接片によってもディスクが押し出されるためディスク解放力が強くなる。
４．保持機構を押圧するとロックされるので万引き等されるおそれがなく安全な構造である。また、円筒形のシンプルな形状で見た目にも美しい。
５．上方の側壁が薄く横に広がり易いためロックが確実である。下方の側壁は厚くディスクの保持を強固にしている。円筒形状の上方と下方の側壁の厚さを変えることで上面に力を加えても下方は広がることなくディスクにも負担が掛からない。
６．ディスクケースの収納蓋体を閉じた状態では、ディスク解放機構の押圧部を押圧しても、上方に持ち上がろうとしたディスクがケースの収納蓋体にぶつかり収容部から外ることがない。また、同様に中央の保持機構部分を押圧してディスクを取り外そうとしても、保持機構のロック機能が働くため、外部からの押圧によりディスクが掛け外れることがない。収納蓋体を閉じた状態ではディスクを収容部から取り外すことができず、二重のロック構造となるので不正な持ち出し窃盗行為による被害を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
以下に本発明に係るディスク解放機構およびディスク保持機構とそれを利用したディスクトレイを図面に示す実施例にしたがって詳細に説明する。
図１は、本発明におけるディスクケースのディスクトレイの収容凹部と保持機構と解放機構の平面図である。図２は、本発明における解放機構の平面図である。図３（ａ）は本発明における解放機構のディスク収納時の断面図であり、（ｂ）はディスク解放時の断面図である。図４は、本発明におけるディスクトレイの収容凹部と解放機構と保持機構の断面図である。
【００１３】
図１に示すように、解放機構１０は、ディスクを収納する円形の収納凹部１４の周縁の一部に設けられている。
また、本発明のディスク解放機構１０は、図２に示すように、第一バネ２０と、押圧部２２と、第二バネ２４と、挟持部２６とからなる構成に、連結部材３０と、連動部３２と軸材３４を加えた構成である。
解放機構１０は、実施例では樹脂製のディスクトレイ１２と一体的に形成されているが、解放機構１０のみをトレイと別に製造し、取り付けることも可能である。
【００１４】
第一バネ２０は板体からなり、ディスクトレイ１２の底面から上方へ向かって傾斜する傾斜面である。板状の第一バネ２０はトレイ１２から延設されており、後端２０ｂはトレイ１２の底面に接合している。板体である第一バネ２０は、上方に設けられている押圧部２２に向かって傾斜し、先端２０ａは押圧部２２と接合している。実施例では第一バネ２０は押圧部を延設して台形に形成されているが、形状はこの形状に特定される必要はなく、板状のバネであればよい。
【００１５】
押圧部２２は、一端が第１バネ２０に接合されたディスクトレイ底面と略平行面を成す平板である。押圧部２２の他端は連結部材３０によって第二バネ２４に連結している。連結部材３０は、板状の傾斜面で押圧部２２から第二バネ２４に向かって下方へ傾斜している。押圧部２２はディスクトレイの底面から突出しており、下方へ移動可能である。押圧部２２を指で押した力が第一バネと第二バネによって調節され挟持部２６に挟まれたディスク６０に伝わる構造である。
【００１６】
第二バネ２４は、図２に示すようにディスクケースの底面部分に設けられているＵ字の細材である。第二バネ２４は略半円弧形状の細棒体からなり、一端２４ａが連結部材３０および連動部３２に着設され、他端２４ｂがディスクトレイの底面に着設された構造である。
【００１７】
連動部３２は板状の急傾斜面であり、第二バネ２４から挟持部２６に向かって上方へ傾斜している。連動部３２の先端３２ａの近傍には軸材３４が設けられている。軸材３４を軸として連動部３２は回動可能であり、図３に示すように第二バネ２４によって連動部３２の後端３２ｂが収納凹部側へ押し出されると、前端３２ａは後上方へ円弧を描くように移動する。
【００１８】
挟持部２６は、連動部３２の先端３２ａに設けられ、ディスク収容部側が開いた浅いコの字型の断面をしている。コの字型の空間にディスクの周縁が入り、ディスク保持時に挟持する構造である。連動部３２によって第二バネ２４と連結されており、連動部３２の先端３２ａが後上方へ移動すると、コの字型の開口側が上方を向くように移動する。
【００１９】
図１に示すように、嵌挿部４０は収納部の解放機構の設けられている位置の反対側となる円形収納凹部１４の対向する縁端に設けられている。嵌挿部４０は、図４に示すように、円弧状の周壁４２と周壁の上方からディスクの収納部へ向かって下方に突設された板バネ状の当接片４４とからなる。ディスク収納時には、ディスクの外側面が当接片４４に当接する。当接片は柔軟性のあるバネ部材であり、材質はプラスチック等の樹脂素材が使用される。ディスクトレイと一体的に形成されることが好ましい。当接片４４の上端には、係止突起４６が設けられていて、収納されているディスクが収納時に外部に出ないようにしている。
【００２０】
次に、図３に示すディスク解放時の解放機構の構造を詳説する。ディスク収納時には、図３（ａ）に示されるように、ディスク６０の周縁が挟持部２６に挟持されている。収納凹部に収納されたディスクを外部へ取り出す場合、ディスク解放機構の押圧部２２を上方から押圧する。押圧により、後端２０ｂをディスク底面に固定されている第一バネ２０の先端２０ａは、下方に下がるとともに先端を収容部方向へ押し出すように稼動する（図３（ｂ））。また、連結部材３０により伝えられた力は、第二バネ２４によって連動部３２に伝えられる。図２に示すように連動部３２は第二バネ２４の一端２４ａと連結しており、第二バネ２４は連動部３２の後端３２ａを収納凹部側へ押動する。連動部３２の後端３２ｂが収納凹部側へ移動すると、軸材３４を軸として、連動部３２の先端３２ａは円弧を描くように収納凹部外側に移動する。連動部３２が回動するとともに、先端３２ａに設けられた挟持部２６もコの字型の開いている側が上を向くように応動する。そのため、コの字型の空間に挟持されていたディスクの周縁は下方から上方へ押し上げる力を受ける。
【００２１】
また、対向する収納凹部の周縁には嵌挿部が設けられている。嵌挿部の当接片４４はディスクの外側面を押圧し、バネ力によってディスクが収容部から外部へ摘出されることを補助する。解放機構と嵌挿部のバネによりディスクは収納凹部から外部へ取り出し摘出される。
ディスク摘出後、解放機構１０は、第一バネおよび第二バネの復元力により駆動前の状態へ戻される。
【００２２】
ディスク解放機構１０は全てを樹脂素材で一体的に形成することができる。第一バネおよび第二バネはバネ力を発揮させるため、弾力のある樹脂製で形成されることが好ましいが、その他の部分は素材に限定はなく、木製、金属製としてもよい。
【００２３】
次に、図１および図４に示す本発明のディスク保持機構５０について詳説する。
本発明のディスク保持機構５０は、筒体５２と、上面５４とから構成される。
【００２４】
筒体５２は円筒形状であり、図４に示すように、円筒の側壁はの上方５２ａが薄く、下方５２ｂは円筒の外径が上方に比べて大きく、側壁も厚く形成されている。
【００２５】
上面５４は、筒体を覆う円形状の蓋である。実施例では、上面が円の中心を通る直方体の突部を有する形状をしているが、凸凹の形状は特に特定される必要はなく平面であってもよい。上面を覆う必要はなく、保持機構５０が上方から押圧できる構造であればよい。
【００２６】
ディスク保持機構５０にはディスクの中央の孔が係合する。孔は、筒体５２の上方５２ａを通り、径が少し大きく形成されている下方５２ｂで係合する。下方５２ｂは側壁が厚いため、上方５２ａと異なり係合により変形することがなく、ディスクの係合を確実なものとする。
ディスク保持機構５０の上面５４が上方から押圧されると、筒体５２の上方の側面５２ａが横に広がる。側面が横に広がることにより、円筒の径の幅がディスクの孔より大きくなり、係合されているディスクが外れることはないので、上部からの押圧によりディスクが取り出されることを防ぐ構造である。
【００２７】
次に、本発明のディスク解放機構とディスク保持機構が設けられたディスクケースの防犯構造について詳説する。
ディスクケースは店頭において、トレイにディスクが収納され、蓋体が閉じられた状態で陳列されている。中身のディスクは、悪意でトレイのディスク保持をケースを外部から押圧して解除し、ケースのわずかな隙間から外れたディスクだけを抜き出して不正に持ち出しされることがある。
【００２８】
ディスクケースの収納凹部からディスクを取り出してケースの隙間からディスクのみを取り出そうとして、収容部の中央に設けられた保持機構の部分をケース外部から押圧した場合、保持機構５０の筒体上方５２ａの径がディスクの孔より広がり、収納部からの取り出しにロックがかかる。
【００２９】
収納凹部の周縁に設けられたディスク解放機構の押圧部を押してディスクを取り外そうとする場合、押圧部２２が挟持部２６の近傍に設けられているため、ディスクが収納部の上方へ押し出されて外れようとしても、ディスクは同時に押圧された蓋体に当たり、下方へ押し戻される。従って、蓋体の外部から押圧部を押圧してもディスクが収容部から掛け外れることがない。
ディスク保持機構はもちろん、ディスク解放機構をケースの外部から押圧して無理にディスクを取り外そうとしても、ディスクが収納部から外れることがなく、保持も確実で安全なケース構造である。
【図面の簡単な説明】
【００３０】
【図１】本発明のディスク収容凹部、ディスク保持機構およびディスク解放機構の平面図
【図２】本発明のディスク解放機構の平面図
【図３】（ａ）ディスク収納時のディスク解放機構の断面図、（ｂ）ディスク解放時のディスク解放機構の断面図
【図４】本発明のディスク収容凹部、ディスク保持機構およびディスク解放機構の断面図
【符号の説明】
【００３１】
１０ ディスク解放機構
１２ ディスクトレイ
１４ 収納凹部
２０ 第一バネ
２２ 押圧部
２４ 第二バネ
２６ 挟持部
３０ 連結部材
３２ 連動部
３４ 軸材
４０ 嵌挿部
４２ 周壁
４４ 当接片
５０ ディスク保持機構
５２ 筒体
５４ 上面
６０ ディスク
【特許請求の範囲】
【請求項１】
コンパクトディスク（ＣＤ）やディーブイディー（ＤＶＤ）を収納保持する収納凹部と中央に設けられたディスク保持機構と保持を解除するディスク解放機構とを装備したディスクトレイにおいて、トレイに設けられる収納凹部が円形凹部からなり、該凹部の周縁に収納したディスクの一端を下方から上方に押し上げて保持機構に係合されていた保持係合を外して収納されていたディスクを外部へ摘出する解放機構を装備したことを特徴とするディスクトレイ
【請求項２】
前記ディスク解放機構は、ディスクトレイ底面から上方へ傾斜する板状の斜面からなる第一バネと、該第一バネの上辺から延出してディスクトレイ底面から突出した平板状の押圧部と、ディスクトレイ底面に設けられ連結部材により押圧部と連結した半円弧状の第二バネと、第二バネと連動部により揺動可能に連結されたディスクの周縁の一端を保持・解放する断面がコの字型の挟持部と、からなることを特徴とする請求項１記載のディスクトレイ
【請求項３】
前記解放機構に対向する円形収納凹部の周縁に、円弧状の周壁と、ディスク摘出時にディスクの側面を押圧する板バネ状の当接片とからなる嵌挿部を設けたことを特徴とする請求項１または２記載のディスクトレイ
【請求項４】
前記ディスク保持機構は、ディスク収納凹部の中央に設けられており、略円筒形状の筒体からなり、ディスクが中央の押圧により外れることを防止するために、上部を押圧することにより円筒側面が横方向に膨らむ形状からなることを特徴とする請求項１、２または３記載のディスクトレイ
【請求項５】
前記ディスク保持機構は、上方からの押圧によって変形し易くするために、略円筒形状であって、円筒側面の上方は側壁が薄く形成されており、ディスクを保持する筒体側面の下方は側壁が厚く形成されていることを特徴とする請求項４記載のディスクトレイ
【請求項６】
コンパクトディスク（ＣＤ）やディーブイディー（ＤＶＤ）を収納保持する収納凹部と、収納保持するディスク保持機構およびディスク解放機構を備えたディスクトレイと、収納蓋体とからなるディスクケースにおいて、収納蓋体を閉じた状態で押圧することによりディスク保持が解除されることを防止する構造とするために、ディスク解放機構の押圧部を挟持部の近傍に設けたことを特徴とする請求項１、２または３記載のディスク解放機構と請求項４または５記載のディスク保持機構とを装備したディスクケース
【請求項１】
コンパクトディスク（ＣＤ）やディーブイディー（ＤＶＤ）を収納保持する収納凹部と中央に設けられたディスク保持機構と保持を解除するディスク解放機構とを装備したディスクトレイにおいて、トレイに設けられる収納凹部が円形凹部からなり、該凹部の周縁に収納したディスクの一端を下方から上方に押し上げて保持機構に係合されていた保持係合を外して収納されていたディスクを外部へ摘出する解放機構を装備したことを特徴とするディスクトレイ
【請求項２】
前記ディスク解放機構は、ディスクトレイ底面から上方へ傾斜する板状の斜面からなる第一バネと、該第一バネの上辺から延出してディスクトレイ底面から突出した平板状の押圧部と、ディスクトレイ底面に設けられ連結部材により押圧部と連結した半円弧状の第二バネと、第二バネと連動部により揺動可能に連結されたディスクの周縁の一端を保持・解放する断面がコの字型の挟持部と、からなることを特徴とする請求項１記載のディスクトレイ
【請求項３】
前記解放機構に対向する円形収納凹部の周縁に、円弧状の周壁と、ディスク摘出時にディスクの側面を押圧する板バネ状の当接片とからなる嵌挿部を設けたことを特徴とする請求項１または２記載のディスクトレイ
【請求項４】
前記ディスク保持機構は、ディスク収納凹部の中央に設けられており、略円筒形状の筒体からなり、ディスクが中央の押圧により外れることを防止するために、上部を押圧することにより円筒側面が横方向に膨らむ形状からなることを特徴とする請求項１、２または３記載のディスクトレイ
【請求項５】
前記ディスク保持機構は、上方からの押圧によって変形し易くするために、略円筒形状であって、円筒側面の上方は側壁が薄く形成されており、ディスクを保持する筒体側面の下方は側壁が厚く形成されていることを特徴とする請求項４記載のディスクトレイ
【請求項６】
コンパクトディスク（ＣＤ）やディーブイディー（ＤＶＤ）を収納保持する収納凹部と、収納保持するディスク保持機構およびディスク解放機構を備えたディスクトレイと、収納蓋体とからなるディスクケースにおいて、収納蓋体を閉じた状態で押圧することによりディスク保持が解除されることを防止する構造とするために、ディスク解放機構の押圧部を挟持部の近傍に設けたことを特徴とする請求項１、２または３記載のディスク解放機構と請求項４または５記載のディスク保持機構とを装備したディスクケース
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２００８−２４３５３（Ｐ２００８−２４３５３Ａ）
【公開日】平成２０年２月７日（２００８．２．７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−２００７１２（Ｐ２００６−２００７１２）
【出願日】平成１８年７月２４日（２００６．７．２４）
【出願人】（３０２０５９７０２）不二プラスチック株式会社 (13)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年２月７日（２００８．２．７）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年７月２４日（２００６．７．２４）
【出願人】（３０２０５９７０２）不二プラスチック株式会社 (13)
【Ｆターム（参考）】
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