説明

ディスク再生装置

【課題】ディスクへの損傷を低減し、かつ、ディスクの振れを抑制する技術を提供する。
【解決手段】ディスクに対してデータの読み出しとデータの書き込みとのうち少なくともいずれか一方を実行するディスク再生装置であって、前記ディスクを記録面側から支持し、かつ該ディスクを回転させる回転支持部と、前記回転支持部によって支持される前記ディスクの非記録面を被覆し、かつ該ディスクと共に回転する被覆部と、前記ディスクの中心部と該ディスクの中心部より外側の所定の領域とを、前記被覆部と接触して該ディスクを押圧し、該ディスクの振れを抑制する押圧部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
楽曲等のコンテンツが格納されたディスクを再生するディスク再生装置が知られている。ここで図1は、従来のディスク装置の断面図を示す。なお、図1は、ターンテーブルにディスクが装着されている状態を示す。同図に示すように、従来のディスク再生装置100nは、ディスクの記録面(鏡面側)を支持すると共にディスクを回転させるターンテーブル1nと、ターンテーブル1nを回転させる駆動源としてのスピンドルモータ2nと、ディスク3nの非記録面(非鏡面側)の中心部を支持するクランパ4nと、クランパ4nが接続されるクランプアーム5nと、ディスクの記録面へのレーザ光の送出と受光を行うピックアップレンズ61nを有するピックアップ部6nと、によって構成されている。
【0003】
上記のような従来のディスク装置100nでは、クランパ4nがディスク3nの非記録面の中心部(クランプ領域)のみを支持する構成であることから、例えばディスクに反りや面振れや外部振動等があると、ディスク3nとピックアップレンズ6nとの距離が変化する虞がある。そして、ディスク3nとピックアップレンズ6nとの距離が変化すると、ピックアップレンズ6nから送出されたレーザ光の受光が正確に行えなくなることが懸念される。また、ディスク3nとピックアップレンズ6nとの距離が短くなりすぎた場合には、ディスク3nとピックアップレンズ6nが接触してしまい、ディスク3n又はピックアップレンズ61nが損傷するといったことが懸念されていた。
【0004】
このような問題を解決するものとして、ディスク3nの記録面側(鏡面側)外周付近にローラ等の回転体を配置する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)この技術によれば、ディスク3nの中心部のみでクランパ4nによって支持する従来技術よりも、ディスク3nの面振れを抑制することができる。
【特許文献1】特開昭57−138175号公報
【特許文献2】特開昭58−114351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
楽曲等のコンテンツが格納されたディスクを再生するディスク再生装置が知られている。従来のディスク再生装置は、クランプがディスクの非記録面の中心部のみを支持する構成であることから、例えばディスクに反りや面振れや外部振動等があると、ディスクとピックアップレンズとの距離が変化してしまうといった問題があった。このような問題を解決すべく、ディスクの記録面側(鏡面側)外周付近にローラ等の回転体を配置する技術が知られている。しかしながら、上記ローラを設ける技術では、ローラがディスクの記録面と直接接触することから、ディスクの記録面に傷をつけてしまうことが懸念される。また、ローラは、記録面への損傷を少なくするため、ゴム等の弾性部材によって構成されるが、ローラは温度や湿度といった環境の変化や、時間の経過等により劣化する虞がある。そして劣化したローラでは、記録面へ損傷を与える可能性が更に増加することが懸念される。
【0006】
本発明では、上記した背景に鑑み、ディスクへの損傷を低減し、かつ、ディスクの振れを抑制する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上述した課題を解決するため、ディスクの非記録面を被覆する被覆部と、更に被覆部の表面と接触してディスクを押圧し、ディスクの振れを抑制する押圧部を設けることとした。これにより、本発明によれば、ディスクへの損傷を防止し、かつ、ディスクの振れを抑制することができる。
【0008】
より詳細には、本発明は、ディスクに対してデータの読み出しとデータの書き込みとのうち少なくともいずれか一方を実行するディスク再生装置であって、前記ディスクを記録面側から支持し、かつ該ディスクを回転させる回転支持部と、前記回転支持部によって支持される前記ディスクの非記録面を被覆し、かつ該ディスクと共に回転する被覆部と、前記ディスクの中心部と該ディスクの中心部より外側の所定の領域とを、前記被覆部と接触して該ディスクを押圧し、該ディスクの振れを抑制する押圧部と、を備える。
【0009】
本発明のディスク再生装置は、ディスクに対してデータの読み出しとデータの書き込みとのうち少なくともいずれか一方を実行できればよい。従って、本発明のディスク再生装置は、例えば音楽情報といったコンテンツデータが予め記録されているディスクを再生するデータ処理装置とすることができる。また、本発明のディスク再生装置は、パーソナルコンピュータ等に搭載される、ディスクに予め記録されているデータを処理すると共に、ディスクにデータの書き込みを行う記録装置としてもよい。ディスクには、CD、CD−ROM、DVD、DVD−ROM、BD(ブルーレイディスク)といった光ディスクが例示される。
【0010】
回転支持部は、ディスクを記録面側から支持すると共にディスクを回転させる。回転支持部がディスクを支持する位置は、例えばディスクの記録面側の中心部(クランプ領域)とすることができる。回転支持部がディスクを回転させる際の回転力は、モータといった駆動源から得ることができる。
【0011】
被覆部は、回転支持部によって支持されるディスクの非記録面を被覆する。被覆部による被覆は、少なくとも押圧部が接触する部分が被覆されていればよい。従って、被覆部により被覆される領域は、ディスクの全面でもよく、また、一部でもよい。被覆部の材質は、温度変化や湿度変化等によっても変形し難い剛体部材とすることが好ましい。但し、ディスクの非記録面と接触する部分には、弾性部材を用いることが好ましく、その結果、被覆部とディスクとの接触による、ディスクの非記録面への損傷を低減することができる。
【0012】
押圧部は、被覆部と接触してディスクを押圧し、ディスクの振れを抑制する。その結果、ディスクの振れによるディスクの記録面とレンズとの接触を抑制し、ディスクの記録面への損傷、又はピックアップレンズの損傷を防止することができる。また、ディスクの振れを抑制することでディスクの安定的な処理(例えば、ディスクに記録されているコンテンツデータの再生処理)を実現することができる。更に、ディスクやピックアップレンズの損傷による再生不良の発生も抑制することが可能となる。
【0013】
ここで、本発明において、前記押圧部は、該ディスクの非記録面側から記録面側に向けて押圧するようにしてもよい。これにより、ディスクの記録面と直交する方向への振れを効果的に抑制することができる。
【0014】
また、本発明において、前記押圧部は、前記ディスクの中心部を被覆する被覆部と接触する中心接触部と、前記ディスクの中心部より外側の所定の領域を被覆する被覆部と接触する外側接触部とを有し、前記外側接触部は、前記ディスクが回転する際、前記ディスクの中心部より外側の所定の領域を被覆する被覆部と回転しながら接触する回転体としてもよい。
【0015】
本発明によれば、接触部をディスクの周方向に回転しながら被覆部を押圧する回転体とすることで、ディスクの回転を妨げずにディスクの振れを抑制することができる。回転体は、例えばローラやベアリングとすることができる。ローラとする場合には、回転体の回転軸をディスクの接線方向と略直交するように配置すればよい。
【0016】
なお、前記押圧部の回転体は、弾性部材としてもよい。回転体を弾性部材とすることで、弾性部材のたわみを用いて被覆部に対して一定の負荷をかけることができる。その結果、ディスクの振れを抑制することが可能となる。また、前記押圧部の回転体は、非弾性部材としてもよい。回転体を樹脂などの非弾性部材とすることで、回転体の耐久性を向上することができる。また、弾性部材に比べて成形が容易であり、耐久性も優れていることから、コストの削減を図ることができる。
【0017】
ここで、接触部の構成は、上記に限定されるものではない。接触部は、回転体とせず単なる非記録面側に突出した突出部としてもよい。突出部は、例えば半球状とすることで、被覆部との接触面積を低減することができる。その結果、ディスクの回転に対する抵抗を抑制すると共に、ディスクへの損傷を低減することができる。また、接触部に、潤滑材を塗付してもよく、更に被覆部の表面を摺動性の高いコーティング層を形成してもよい。これにより、押圧部と被覆部との摩擦をより低減することができる。
【0018】
また、本発明において、前記押圧部は、前記被覆部と接触する接触部と、前記接触部の高さ位置を調整する調整部と、を有する構成としてもよい。接触部は、その形状等に製造段階において誤差が生じることも想定される。接触部の形状等に誤差が生ずると、被覆部を押圧する位置にもずれが生じることが懸念され、ディスクを撓ませてしまうといった弊害を生じる虞がある。そこで、本発明では、接触部の高さ位置を調整する調整部を設けることとした。これにより、本発明によれば、接触部の高さ位置を調整することで、仮に押圧部の形状等に誤差が生じた場合であっても、効果的にディスクの振れを抑制することができる。
【0019】
また、本発明は、前記押圧部を前記ディスクの非記録面側から記録面側に向けて所定の力で付勢する付勢部を更に備える構成としてもよい。これにより、被覆部に対して一定の負荷をかけることができ、ディスクの振れを抑制することが可能となる。付勢部は、例えば板ばねやバイアスばねとすることができる。
【0020】
また、本発明において、前記被覆部は、前記ディスクの非記録面の、該ディスクの中心部と、該ディスクの記録領域よりも外側の領域とを被覆し、前記押圧部は、前記被覆部で被覆されている前記ディスクの中心部と、該ディスクの記録領域よりも外側の領域と接触して該ディスクを押圧し、該ディスクの振れを抑制するようにしてもよい。
【0021】
被覆部による被覆部をディスクの非記録面の全面でなく、中心部と記録領域よりも外側とすることで、万が一ディスクと被覆部との間に回転のずれが生じた場合であっても、ディスクへの損傷を最小限にすることができる。また、押圧部によって押圧する位置は、より外側である方が好ましく、これにより、より安定的にディスクの振れを抑制することができる。従って、本発明のように、被覆部による被覆位置をディスクの記録領域よりも外側を押圧することで、より安定的にディスクの振れを抑えることが可能となる。なお、ディスクには、直径が約12cmのディスクの他、直径が8cmのディスクも存在する。そこで、異なる直径に合わせて被覆部によって被覆する位置を調整することで、外形が異なるディスクにも対応させることが可能となる。
【0022】
また、本発明において、前記被覆部は、前記ディスクの非記録面の全面を被覆し、前記押圧部は、前記被覆部によって被覆されている領域のうち、前記ディスクの中心部と、該
ディスクの記録領域よりも外側の領域と接触して該ディスクを押圧し、該ディスクの振れを抑制するようにしてもよい。本発明では、被覆部の形状をディスクの形状に合わせて設計するだけでよく、製造における手間を低減することができる。
【0023】
また、本発明において、前記被覆部は、前記ディスクの外郭よりも外側に突出する突出部を有し、前記押圧部は、前記ディスクの非記録面側のうち、前記被覆部によって被覆されている該ディスクの中心部を、該ディスクの非記録面側から記録面側に向けて押圧し、かつ、前記突出部を、該ディスクの側面側から中心に向けて押圧するようにしてもよい。また、前記押圧部は、前記ディスクの中心部を被覆する被覆部と接触する中心接触部と、前記突出部と接触する外側接触部とを有し、前記外側接触部は、前記ディスクが回転する際、前記突出部と回転しながら接触する回転体であって、前記ディスクの外側に設けられ、該ディスクの回転軸と略平行な回転軸周りに回転する略円柱状の回転体としてもよい。本発明によれば、突出部を、ディスクの側面側から中心に向けて押圧することで、ディスクの振れを抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ディスクへの損傷を低減し、かつ、ディスクの振れを抑制する技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明のディスク再生装置の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0026】
<第一実施形態>
(構成)
図2は、第一実施形態のディスク再生装置100の外観の斜視図を示す。本実施形態のディスク再生装置100は、正面からのディスク3が挿入可能である。ディスク3には、CD−ROMやDVD−ROMといった読み出し専用のメディアの他、CD−RW、DVD−RW、BD(ブルーレイディスク)のように書き換え可能なメディアも含まれる。また、ディスク3は、CD−RやDVD−Rといった一度だけ書き込み可能なメディアであってもよい。本実施形態のディスク再生装置100は、このようないわゆる光ディスクを再生する装置として用いることができる。本実施形態のディスク再生装置は、光ディスクを再生する装置として好適に用いることができ、車両に搭載されるナビゲーションシステムのディスク再生装置、家庭用の各種デッキ、パーソナルコンピュータに内蔵されるディスクドライブ等として好適に用いることができる。
【0027】
ここで、図3は、第一実施形態のディスク再生装置100の概略構成を示す分解斜視図を示す。また、図4は、ディスク再生装置100の断面図を示す。本実施形態のディスク再生装置100は、下から順に、筐体下10b、ターンテーブル1とピックアップレンズ61を有するピックアップ部6とスピンドルモータ2とを有するユニット9、被覆部4、押圧部5、筐体上10a、によって構成されている。筐体下10b、筐体上10aは、ユニット9、被覆部4、押圧部5といったディスク再生装置100を構成する各種装置を収容する。筐体下10b及び筐体上10aの内部には、上記のほか、図示しないCPU(中央演算処理装置)やHDD(ハードディスクドライブ)といった電子機器に必要とされる各種装置を収容することができる。
【0028】
ターンテーブル1は、ディスク3の記録面側(鏡面側)を支持すると共にディスク3を回転させる。スピンドルモータ2は、ターンテーブル1が支持するディスク3に回転力を与える。すなわち、スピンドルモータ2は、ディスク3を回転させる駆動源として機能する。
【0029】
ピックアップ部6は、ディスク3に対してレーザ光を送出する。より具体的には、ピックアップ部6のピックアップレンズ61は、ディスク3の記録面(紙面下側)にレーザ光を送出し、受光するものであり、レーザ光源及び受光部として機能する。また、ピックアップ部6のピックアップレンズ61は、レーザ光の送出又は受光時にディスク3の外側から中心に向けてスライド可能である。なお、ピックアップ部6のスライドは、ピックアップ部6の近傍に設けられたモータ7からの駆動力によって行われる。
【0030】
被覆部4は、ディスク3を被覆し、かつディスク3と共に回転する。このようにディスク3の非鏡面側を被覆部4によって被覆することで、ディスク3と被覆部4との接触によって起こりうるディスク3への損傷の発生を防止することができる。なお、第一実施形態の被覆部4は、円盤状であり、その外径及び厚さは、ディスク3とほぼ同じに設計されている。また、本実施形態の被覆部4は、板金によって構成されている。その結果、本実施形態の被覆部4は、温度変化や湿度変化といった環境変化による変形を防止することができる。
【0031】
押圧部5は、ディスク3の中心部(クランプ領域)とディスク3の記録領域よりも外側の領域とを、被覆部4と接触してディスク3の非記録面側から記録面側に向けて押圧する。これにより、ディスク3の振れを抑制することができる。第一実施形態の押圧部5は、中心部から外側に向けて3つのアーム52が放射状に伸びている。中心部には、ディスク3の中心部をターンテーブル1と挟み込んで保持するクランパ51(本発明の中心接触部に相当する。)が設けられている。ディスク3は、このクランパ51と上述したターンテーブル1によって挟み込まれるようにその中心が保持される。
【0032】
また、本実施形態のディスク再生装置100は、押圧部のアーム52の夫々の先端付近に、外側接触部53が設けられている。本実施形態においては、この外側接触部53がローラ532、シャフト531、シャフト531を支持する支持部533によって構成されている。ここで、図5は、第一実施形態のローラ532、シャフト531の分解斜視図を示す。同図に示すように、本実施形態のローラ532は、円盤状のローラ本体532bからなり、このローラ本体532bには貫通孔532aが設けられ、シャフト531が貫通している。また、シャフト531には、ローラ本体532aをシャフト531に固定するための固定部532bが設けられている。この固定部532bは、シャフト531の外側に環状に突出するように形成され、シャフト531の長手方向のほぼ中心付近にローラ本体532aを挟み込むように二つ設けられている。このようなローラ532は、アーム52の上面に設けられた支持部533によって回転可能に支持されている。なお、本実施形態では、ローラ本体532aとシャフト531とを別部材によって構成したが、ローラ本体532aとシャフト531とを合成樹脂によって一体的に形成してもよい。
【0033】
ローラ本体532aは、ゴム、ウレタンといった弾性部材によって構成することができる。これにより、弾性部材のたわみを用いて被覆部4に対して一定の負荷をかけることができる。また、ローラ本体532aは、例えば剛性樹脂のような非弾性部材によって構成してもよい。この場合、ローラ本体532aの耐久性を向上することができる。また、弾性部材に比べて成形が容易であり、耐久性も優れていることから、コストの削減を図ることができる。また、シャフト531は、ステンレス、真鍮、剛性樹脂等によって構成することができる。
【0034】
図6は、ローラ532の上面図を示す。同図に示すように、ローラ532は、シャフト531がディスク3の接線方向とほぼ直交するように配置されている。その結果、ローラ532は、ディスク3と共に回転する被覆部4の回転を阻害することなく、被覆部4と接触することができる。
【0035】
(効果)
以上説明した第一実施形態のディスク再生装置100によれば、ディスク3への損傷を低減し、かつ、ディスク3の振れを抑制することができる。より詳細には、押圧部5によってディスク3の中心部と記憶領域の外側が押圧されるので、ディスク3の振れを抑制することができる。なお、本実施形態のディスク再生装置100は、CD−ROMやDVD−ROMといった各種光ディスクの処理装置として用いることができる。また、BD(ブルーレイディスク)は、CD等と比較してピックアップレンズとディスクの記録面との距離が近いことから、ディスクの振れによるディスクとピックアップレンズとの接触や読み取り不良等が懸念される。しかし、本実施形態のディスク再生装置100によれば、ディスクの振れを従来よりも大幅に低減できることから、このようなBDの処理装置としても好適に用いることができる。
【0036】
<第二実施形態>
次に第二実施形態のディスク再生装置100aについて説明する。図7は、第二実施形態のディスク再生装置100aの外側接触部53aを示す。第二実施形態のディスク再生装置100aは、基本的には第一実施形態のディスク再生装置100と同様の構成を有している。但し、第二実施形態のディスク再生装置100aは、外側接触部53aの構成が異なる。すなわち、第二実施形態のディスク再生装置100aでは、外側接触部53aが、ローラ532、シャフト531、支持部533に加えて、更にバネ部材534が設けられている点で構成が異なっている。
【0037】
バネ部材534は、直線状の基部534aと、この直線状の基部534aの両端が略直角に折り曲げられた直線状の側部534bと、側部534bの先端側に設けられたシャフト531を所定の力で押圧するバネ側押圧部534cとによって構成されている。バネ側押圧部534cは、シャフト531に対して下向きの一定の負荷を与えられるように、側部534bの先端側が側部534bに対して上向きに折り曲げられることで形成されている。また、基部534aの中央付近には基部534aを湾曲させることで形成したリング部534a1が設けられている。このリング部534a1に例えばリベット等を貫通させてアーム52に固定することができる。
【0038】
第二実施形態のディスク再生装置100aによれば、バネ部材534を備えることで、ディスク3に一定の負荷をかけながらディスク3の振れを抑えることができる。なお、本実施形態によれば、ローラ532をゴム等の弾性部材によって形成しない場合であっても、ディスク3に対して一定の負荷をかけることができる。また、バネ部材534は、弾性部材に比べて温度変化等による劣化が少ないので、部品交換といった手間を低減させることができる。
【0039】
<第三実施形態>
次に第三実施形態のディスク再生装置100cについて説明する。図8は、高さ調整機能付き外側接触部53cを示す。図9は、第三実施形態の外側接触部53cを示す。第三実施形態の外側接触部53cは、高さ調整機構を有する点で、第一実施形態の外側接触部53と異なっている。すなわち、第三実施形態では、ローラ532がローラホルダ535によって保持されている。ローラホルダ535は、ローラ532を側面から挟み込むように配置される2枚の板部材535aと2枚の板部材535a同士を接続する連結部535bによって構成されている。また、2枚の板部材535aの側面には、支持部533cに形成されている縦長状の縦長貫通孔533c1へ挿入するガイドピン521aが縦方向に二つ設けられている。更に、板部材535aの側面であって、ガイドピン521a同士の間には、固定部材として螺子536が接続されるタップ521bが設けられている。
【0040】
ローラ532は、その形状等に製造段階において誤差が生じることも想定される。ロー
ラ532の形状等に誤差が生ずると、被覆部4を押圧する位置にもずれが生じることが懸念され、ディスク3を撓ませてしまうといった弊害を生じる虞がある。本実施形態の外側接触部53cは、その高さ位置が調整可能である。その結果、本実施形態のデータ処理装置100cによれば、外側接触部53cの高さ位置を調整することで、仮にローラ532の形状等に誤差が生じた場合であっても、効果的にディスク3の振れを抑制することができる。
【0041】
なお、高さ位置の調整は、例えば以下のように行えばよい。すなわち、アーム52に形成された孔部521にローラ532をローラホルダ535と共に配置する。この際、ローラ532の進行方向の位置決めは、アーム52の孔部510に設けられている位置決め溝部510aにガイドピン521aを落とし込むことで誘導することができる。その後、ローラホルダ535の自重によって被覆部4とローラ532とを接触させ、その状態にて固定部材としての螺子536によってローラホルダ535を支持部533に固定する。以上によってローラ532を製造誤差等に関係なく最適な高さに配置することが可能となる。
【0042】
<第四実施形態>
次に第四実施形態のディスク再生装置100dについて説明する。図10は、第四実施形態のディスク再生装置100dの外側接触部53dを示す。同図に示すように、第四実施形態のディスク再生装置100dは、外側接触部53dが、ボールベアリング570と、ボールベアリング570を保持すると共に下向きに付勢された保持部55と、保持部55をアーム52dに固定する固定部材としての螺子56とによって構成されている。
【0043】
ボールベアリング570は、ディスク3が回転する際、被覆部4と接触しながら回転するので、ディスク3の回転を阻害することなく、ディスク3の振れを抑制することができる。また、保持部55は、下向きに付勢された板ばねとして機能することから、ディスク3へ一定の負荷を与えながらディスク3の振れを抑制することができる。また、ボールベアリング570によれば、ローラ532と異なり回転方向が制限されないことから、ボールベアリング570の配置の設計の自由度をより向上させることができる。
【0044】
<第五実施形態>
図11は、第五実施形態のディスク再生装置100eの外側接触部53eを示す。同図に示すように、第五実施形態のディスク再生装置100eは、外側接触部53eが、板ばね580と、板ばね580をアーム52eに固定する固定部材としての螺子56eとによって構成されている。板ばね580は、アーム52eと固定される基部581と、基部581から斜め下方に折り曲げられた折曲部582と、折曲部582が平行になるように折り曲げられた先端部583とによって構成されている。先端部583は、アーム52eの孔部521eから被覆部4側に突出している。また、その先端部583の中央付近には、被覆部4側に突出し、被覆部4と接触する半球状の凸部584が設けられている。
【0045】
第五実施形態のディスク再生装置100eによれば、ローラ532やボールベアリング570といった回転体によらずに、ディスク3に対して一定の負荷をかけながらディスク3の振れを抑制することができる。また、第五実施形態の外側接触部53eは、その構成が単純であり、ディスク再生装置100eに閉める体積の割合が少なくて済むことから、部品配置の設計の自由度を向上させることができる。なお、被覆部4の表面に摺動性の高いコーティングを施したり、又は、潤滑剤等を被覆部4の表面や凸部584に塗付することで、凸部584と被覆部4との間に発生する摩擦抵抗をより低減させることができる。
【0046】
<第六実施形態>
図12は、第六実施形態のディスク再生装置100fの外側接触部53fを示す。同図に示すように、第六実施形態のディスク再生装置100fは、外側接触部53fが、先端
に被覆部4と接触する球状部534fが設けられた接触部側押圧部533fと、接触部側押圧部553fの基端に接続された軸部532fと、軸部532fが回動可能に支持する支持部531fと、接触部側押圧部533fを下向き付勢するバイアスバネ535fとによって構成されている。
【0047】
第六実施形態のディスク再生装置100fによれば、第五実施形態のディスク再生装置100eと同じく、ローラ532やボールベアリング570といった回転体によらずに、ディスク3に対して一定の負荷をかけながらディスク3の振れを抑制することができる。なお、摩擦抵抗を低減させるため、被覆部4の表面に摺動性の高いコーティングを施したり、又は、潤滑剤等を被覆部4の表面や球状部534fに塗付してもよい。
【0048】
<第七実施形態>
図13は、第七実施形態のディスク再生装置100gの断面図を示す。また、図14は、第七実施形態のディスク再生装置100gの外側接触部53gの拡大図を示す。本実施形態のディスク再生装置100gは、上述した各実施形態と異なり、外側接触部53gがディスク3の側面から中心に向けて押圧する点で異なっている。そのため、第七実施形態のディスク再生装置100gでは、被覆部4gがディスク3の外形よりも大きく形成されている。また、アーム52gは、被覆部4gの更に外側に突出しており、突出した部分には、被覆部4gの側面と接触するローラ590が設けられている。具体的には、突出した部分にシャフト591が垂直に接続され、このシャフト591を回転軸として回転可能にローラ590が接続されている。なお、ディスク3の中心部は、第一実施形態のディスク再生装置100と同じく、クランパ51によって下向きに押圧されている。
【0049】
第七実施形態のディスク再生装置100gによれば、ディスク3の側面側から中心に向けて押圧することで、ディスク3の振れを抑制することができる。なお、ローラ590の材質は、例えばゴムといった弾性部材によって構成することができるが、これに限定されるものではない。
【0050】
なお、ローラ590の形状に変化をもたせることで、第七実施形態のディスク再生装置100gにおいても、ディスク3の上下方向の振れを抑制することができる。ここで図15は、第七実施形態のローラ590の変形例を示す。図15(a)に記載のローラ590は、円柱状のローラ本体590aの上下方向中央部に断面視が略矩形の環状溝590a1が設けられている。この矩形の環状溝590a1に被覆部4gの突出した部分が収容されることで、ディスク3の上下方向の振れが抑制される。図15(b)、図15(c)に記載のローラ590b、ローラ590cは、基本的には、図15(a)に示すローラ590と同様であるが、環状溝590b1、環状溝590c1が断面視において略台形となっている。すなわち、環状溝590b1、環状溝590c1の側面が斜めに形成されている。その結果、万が一ディスク3に振れが発生した場合に、被覆部4gの突出した部分が斜面に沿って移動して、最終的に環状溝590b1、環状溝590c1の中心に収束するので、ディスク3の振れを滑らかに抑制することが可能となる。
【0051】
図15(d)に記載のローラ590dは、円柱状のローラ本体の上下方向の中央付近が最も深くなるように環状の浅溝であって、底面が湾曲状の浅溝が形成されている。ディスク3に振れが発生した場合、被覆部4の突出した部分が湾曲面に沿って移動するので、ディスクの振れを滑らかに抑制することができる。また、図15(e)、図15(f)に記載のローラ590e、ローラ590fは、ディスク3の上方への振れを抑える頭部590e1、590f1と、被覆部4gの側面と接触する軸部590e2、590f2とによって構成されている。図15(e)、図15(f)に記載のローラ590e、ローラ590fによれば、ディスク3の上方への振れを抑制することができる。また、図15(e)の頭部590e1には、下側にテーパ部が形成されている。その結果、より滑らかにディス
ク3の振れを低減することができる。更に、図15(g)に記載のローラ590gは、上方から下方に向けて徐々に円の外形が小さくなるように形成された柱状体によって形成されている。その結果、ディスク3の上方への振れを抑制することができる。
【0052】
<その他の変形例>
図16は、変形例1の被覆部4aを示す。変形例1の被覆部4aは、記録領域以外の部分、すなわちディスク3の中央部(クランプエリア)と外周部のみに接触するように形成されている。すなわち、変形例1の被覆部4aには、クランプエリアと接触する内側突出部4a1と、外周部と接触する外側突出部4a2が設けられ、内側突出部4a1と外側突出部4a2との間には、ディスク3と接触しない非接触部4a3が設けられている。これにより、ディスク3の記録領域への回転差による損傷の発生を防止することができる。具体的には、被覆部4aは、ディスク3と一体的に回転するが、万が一ディスク3と被覆部4との間に回転のずれが生じることも想定される。この場合、ディスク3と被覆部4aとが接触する部分を記録領域以外とすれば、万が一ディスク3と被覆部4aとの間に回転差が生じた場合であっても、ディスク3の記録領域への回転差による損傷の発生を防止することができる。
【0053】
図17は、変形例2の被覆部4bを示す。変形例2の被覆部4bは、変形例1の被覆部4aの構成に加えて、内側突出部4a1と外側突出部4a2との間に中間突出部4b1が設けられている。この中間突出部4b1は、直径が8cmのディスクの外周部に相当する部分に設けられている。換言すると、中間突出部4b1は、ディスクの中心から凡そ4cm付近に設けられている。そして、変形例2の被覆部4bでは、内側突出部4a1と中間突出部4b1との間にディスクと接触しない内側非接触部4b2が設けられ、中間突出部4b1と外側突出部4a2との間にはディスクと接触しない外側非接触部4b3が設けられている。このような変形例2の被覆部4bによれば、12cmディスクだけでなく、8cmディスクの振れも抑制することが可能となる。
【0054】
図18は、変形例3の被覆部4cを示す。変形例3の被覆部4cは、基本的には変形例1の被覆部4aと同じであるが、外側突出部4c1の形状が異なっている。すなわち、変形例3の被覆部4cの外側突出部4c1は、半球状に形成されている。これにより、外側突出部4c1とディスク3との接触が点接触とすることができ、仮にディスク3に損傷が発生した場合であっても損傷の度合いを最小限にすることができる。
【0055】
図19は、変形例4の被覆部4dを示す。変形例4の被覆部4dは、内側突出部4a1及び外側突出部4a2と、本体部40dとが別々の部材によって構成されている。すなわち、円盤状の本体部40dは、板金によって形成され、内側突出部4a1及び外側突出部4a2は、ゴム等の弾性部材によって形成されている。なお、内側突出部4a1及び外側突出部4a2と本体部40dとの接続は、接着剤によって行うことができる。本体部40dを板金とすることで、温度変化等の環境変化の影響を受け難くすることができ、また、ディスク3との接触部分を弾性部材とすることで、ディスク3への損傷を防止し、また、ディスク3との摩擦抵抗を増加させて回転差の発生を抑制することができる。
【0056】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明のディスク再生装置はこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】従来のディスク装置の断面図を示す。
【図2】第一実施形態のディスク再生装置の外観の斜視図を示す。
【図3】第一実施形態のディスク再生装置の概略構成を示す分解斜視図を示す。
【図4】ディスク再生装置の断面図を示す。
【図5】第一実施形態のローラの分解斜視図を示す。
【図6】第一実施形態のローラの上面図を示す。
【図7】第二実施形態の外側接触部を示す。
【図8】第三実施形態の外側接触部を示す。
【図9】第三実施形態のローラを示す。
【図10】第四実施形態のディスク再生装置の外側接触部を示す。
【図11】第五実施形態のディスク再生装置の外側接触部を示す。
【図12】第六実施形態のディスク再生装置の外側接触部を示す。
【図13】第七実施形態のディスク再生装置の断面図を示す。
【図14】第七実施形態のディスク再生装置の外側接触部の拡大図を示す。
【図15】第七実施形態のローラの変形例を示す。
【図16】変形例1の被覆部の断面図を示す。
【図17】変形例2の被覆部の断面図を示す。
【図18】変形例3の被覆部の断面図を示す。
【図19】変形例4の被覆部の断面図を示す。
【符号の説明】
【0058】
1・・・ターンテーブル
2・・・スピンドルモータ
3・・・ディスク
4・・・被覆部
5・・・押圧部
6・・・ピックアップ部
10a・・・筐体上
10b・・・筐体下

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクに対してデータの読み出しとデータの書き込みとのうち少なくともいずれか一方を実行するディスク再生装置であって、
前記ディスクを記録面側から支持し、かつ該ディスクを回転させる回転支持部と、
前記回転支持部によって支持される前記ディスクの非記録面を被覆し、かつ該ディスクと共に回転する被覆部と、
前記ディスクの中心部と該ディスクの中心部より外側の所定の領域とを、前記被覆部と接触して該ディスクを押圧し、該ディスクの振れを抑制する押圧部と、
を備えるディスク再生装置。
【請求項2】
前記押圧部は、前記ディスクの非記録面側から記録面側に向けて押圧する、請求項1に記載のディスク再生装置。
【請求項3】
前記押圧部は、前記ディスクの中心部を被覆する被覆部と接触する中心接触部と、前記ディスクの中心部より外側の所定の領域を被覆する被覆部と接触する外側接触部とを有し、
前記外側接触部は、前記ディスクが回転する際、前記ディスクの中心部より外側の所定の領域を被覆する被覆部と回転しながら接触する回転体である、請求項1又は請求項2に記載のディスク再生装置。
【請求項4】
前記回転体は、弾性部材からなる請求項3に記載のディスク再生装置。
【請求項5】
前記押圧部は、前記外側接触部の高さ位置を調整する調整部を更に有する請求項3に記載のディスク再生装置。
【請求項6】
前記押圧部を前記ディスクの非記録面側から記録面側に向けて所定の力で付勢する付勢部を更に備える、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のディスク再生装置。
【請求項7】
前記被覆部は、前記ディスクの非記録面の、該ディスクの中心部と、該ディスクの記録領域よりも外側の領域とを被覆し、
前記押圧部は、前記被覆部で被覆されている前記ディスクの中心部と、該ディスクの記録領域よりも外側の領域と接触して該ディスクを押圧し、該ディスクの振れを抑制する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のディスク再生装置。
【請求項8】
前記被覆部は、前記ディスクの非記録面の全面を被覆し、
前記押圧部は、前記被覆部によって被覆されている領域のうち、前記ディスクの中心部と、該ディスクの記録領域よりも外側の領域と接触して該ディスクを押圧し、該ディスクの振れを抑制する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のディスク再生装置。
【請求項9】
前記被覆部は、前記ディスクの外郭よりも外側に突出する突出部を有し、
前記押圧部は、前記ディスクの非記録面側のうち、前記被覆部によって被覆されている該ディスクの中心部を、該ディスクの非記録面側から記録面側に向けて押圧し、かつ、前記突出部を、該ディスクの側面側から中心に向けて押圧する、請求項1に記載のディスク再生装置。
【請求項10】
前記押圧部は、前記ディスクの中心部を被覆する被覆部と接触する中心接触部と、前記突出部と接触する外側接触部とを有し、
前記外側接触部は、前記ディスクが回転する際、前記突出部と回転しながら接触する回転体であって、前記ディスクの外側に設けられ、該ディスクの回転軸と略平行な回転軸周
りに回転する円柱状の回転体である請求項9に記載のディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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