説明

ディスク再生装置

【課題】 ディスクの記録面とは反対側のラベル面に印刷されたラベル層又はラベル材が、ディスクの中央部のクランプエリアに掛かった全面印刷のディスクであっても、ディスクがクランパーに貼り付いて取り出せなくなることを防止することができるディスク再生装置を提供する。
【解決手段】 ディスク再生装置は、クランパーが、ディスクの回転軸を含む軸部と、ディスクの他方面に対向して軸部と略直交する方向に平坦面を形成する平面部と、を有する基体を備え、クランパーの基体が、平面部から突出する外形の半径が平面部の公差よりも大きい半球形の突起を有し、複数の突起のそれぞれが、クランパーの軸部を中心とする円弧の上に少なくとも3つ以上配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクをターンテーブルとクランパーとで狭持して回転させてデータを再生するディスク再生装置であって、ディスクの記録面とは反対側のラベル面に印刷されたラベル層又はラベル材が、ディスクの中央部のクランプエリアに掛かった全面印刷のディスクであっても、ディスクがクランパーに貼り付いて取り出せなくなることを防止するディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクを回転させてデータを再生するディスク再生装置においては、ディスクに記録されている音声映像信号、あるいは、データを読み出すために、ディスクをターンテーブルとクランパーとで狭持して、安定させて高速で回転させる必要がある。代表的には、CDまたはCD−ROMが再生可能なCD−ROMドライブの場合には、コンパクトディスク(登録商標)の中央部のクランプエリアに対応する位置に、ディスクの記録面側から回転し得るターンテーブルを設け、さらに、ディスクの記録面とは反対側のラベル面側からターンテーブルと連結するクランパーを設け、これらが連結してディスクを狭持するクランプ構造が多く用いられている。クランパーには、ディスクのクランプエリアに対応する位置に、幅の広い帯状のリブを設けて、ディスクを狭持するものがある。
【0003】
従来には、例えば、中央部に軸受部を備え、周縁部にディスク支持部を備え、該ディスク支持部のディスク支持面にディスクを押し付けて固定するディスクチャッキングテーブルにおいて、前記ディスク支持面は、前記ディスク支持部に部分的に突設された突起の先端面に形成されたディスク支持基準面と、前記ディスク支持部に取り付けられたフリクションシートと、で構成されていることを特徴とするディスクチャッキングテーブル。がある(特許文献1)。
【0004】
また、紙、あるいは、その他の平面の媒体への印刷と同様に、ディスクのラベル面にインクによる印刷されたラベル層を形成して、任意のラベルを形成するインクジェットプリンターが普及している。また、片面シートの一面に印刷がされて反対面に粘着材を塗布されたラベル材(あるいは、シール)を、ディスクのラベル面に貼り付ける場合がある。記録面と反対側のラベル面にラベル材を貼付したディスクが装填される場合において、ラベル材の内周縁に浮きが発生していると、ディスクの排出時にラベル材の浮き部分がクランパーの外周縁に引っ掛かってディスクを排出できないことがある、という問題がある。
【0005】
従来には、ディスク挿入口から挿入されたディスクを該ディスク挿入口とプレイ位置との間で自動搬送するディスク搬送機構と、モータを駆動源として回転するターンテーブルと、このターンテーブルの上方に対向配置された回転自在なクランパーと、このクランパーを支持して前記ターンテーブルに近接離反可能なクランパー支持体とを備え、前記プレイ位置に挿入されたディスクの中心孔近傍の内周部を前記ターンテーブルと前記クランパーとでチャッキングし、このチャッキング状態で該ディスクが前記ターンテーブルによって回転駆動されるディスクプレーヤにおいて、前記クランパー支持体の下面にディスク排出方向の上流側から前記クランパーの外周縁に向かって斜めに下降するスロープを設け、このスロープの下面をチャッキング状態のディスク上面に微小ギャップを介して対向させたことを特徴とするディスクプレーヤがある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−248993号公報
【特許文献2】特開2009−54199号公報
【0007】
しかしながら、ディスクの記録面とは反対側のラベル面に印刷されたラベル層を形成する、又は、ラベル材を貼り付ける場合には、印刷領域を広くしてより全面印刷に近づけようとするがために、ラベル層またはラベル材が、ディスクの中央部のクランプエリアに掛かってしまう場合がある。このようなディスクをディスク再生装置で再生する場合に、中央部のクランプエリアにラベル層を形成しているインクジェット印刷のインクが乾ききっていないと、ディスクがクランパーに貼り付いて取り出せなくなる、という問題が発生する場合がある。中央部のクランプエリアに貼り付けられたラベル材の印刷面において、印刷のインクが乾ききっていない場合も、同様に、ディスクがクランパーに貼り付いて取り出せなくなる、という問題が発生する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ディスクをターンテーブルとクランパーとで狭持して回転させてデータを再生するディスク再生装置であって、ディスクの記録面とは反対側のラベル面に印刷されたラベル層又はラベル材が、ディスクの中央部のクランプエリアに掛かった全面印刷のディスクであっても、ディスクがクランパーに貼り付いて取り出せなくなることを防止することができるディスク再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のディスク再生装置は、ディスクの一方面が当接して回転するターンテーブルと、ターンテーブルと連結してターンテーブルとの間にディスクを狭持して回転するクランパーと、を備えるディスク再生装置であって、クランパーが、ディスクの回転軸を含む軸部と、ディスクの他方面に対向して軸部と略直交する方向に平坦面を形成する平面部と、を有する基体を備え、クランパーの基体が、平面部から突出する外形の半径が平面部の公差よりも大きい半球形の突起を有し、複数の突起のそれぞれが、クランパーの軸部を中心とする円弧の上に少なくとも3つ以上配置されている。
【0010】
また、本発明のディスク再生装置は、クランパーの突起のそれぞれが、外形の半径が0.1mm以上0.2mm以下の半球形であり、軸部を中心とする円弧が、内径直径がφ26mmで外径直径がφ33mmのクランプエリア内に設けられている。
【0011】
また、本発明のディスク再生装置は、クランパーが、基体に収容されて磁気回路を形成するマグネットおよびヨークをさらに備え、磁性体を含むターンテーブルと磁力により連結する。
【0012】
以下、本発明の作用について説明する。
【0013】
本発明のディスク再生装置は、ディスクの中央部分の支持部の一方面(例えば、記録面面)が当接して回転するターンテーブルと、ターンテーブルと連結してターンテーブルとの間にディスクを狭持して回転するクランパーと、を備える。クランパーは、ディスクの回転の中心軸である回転軸を含む軸部と、ディスクの他方面(ラベル面の側の面)に対向して軸部と略直交する方向に平坦面を形成する平面部と、を有する基体を備える。クランパーは、基体に収容されて磁気回路を形成するマグネットおよびヨークをさらに備えていてもよく、その場合は、磁性体を含むターンテーブルと磁力により連結して、ディスクを狭持する。
【0014】
クランパーの基体は、好ましくは樹脂から形成されて、平面部から突出する複数の半球形の突起を有する。半球形の突起は、平面部から突出する外形の半径が、平面部の公差よりも大きい半球形状である。好ましくは、クランパーの突起のそれぞれは、外形の半径が0.1mm以上0.2mm以下の半球形である。また、クランパーの複数の突起のそれぞれは、クランパーの軸部を中心とする円弧の上に少なくとも3つ以上配置されており、その軸部を中心とする円弧は、内径直径がφ26mmで外径直径がφ33mmのクランプエリア内に設けられている。したがって、ディスク再生装置では、クランパーの平面部に設けられた少なくとも3つの小さな半球形の突起がディスクのラベル面側のクランプエリアに接して、ターンテーブルとともにディスクを狭持して、ディスクを回転させることができる。
【0015】
従来の帯状のリブを有するクランパーでは、ディスクのクランプエリアに広い面積で密着するのに対し、本発明のディスク装置のクランパーでは、複数の小さな突起が平面部から突出するように設けられているので、ディスクのクランプエリアに対して密着する面積が著しく狭くなる。半球形の突起のそれぞれは、平面部から突出する外形の半径が、平面部の公差(約±0.05mm以下)よりも大きい0.1mm以上0.2mm以下の半球形であるので、少なくとも、クランパーの平面部が、ディスクのクランプエリアに対して密着する面積が、これらの突起を設けない場合よりも減少する。
【0016】
したがって、ラベル面に印刷されたラベル層又はラベル材が、ディスクの中央部のクランプエリアに掛かった全面印刷のディスクであっても、このような突起を有するクランパーを用いれば、ディスクがクランパーに貼り付くことが少なくなる。中央部のクランプエリアにラベル層を形成しているインクジェット印刷のインクが乾ききっていない場合でも、ディスクとクランパーとの接触面積が著しく狭くなるので、ラベル層の粘着力よりもディスクの重量による荷重の方が大きくなるからである。その結果、ディスクがクランパーに貼り付いて取り出せなくなることを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のディスク再生装置は、ディスクの記録面とは反対側のラベル面に印刷されたラベル層又はラベル材が、ディスクの中央部のクランプエリアに掛かった全面印刷のディスクであっても、ディスクがクランパーに貼り付いて取り出せなくなることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のディスク再生装置1を説明するブロックダイアグラムである。(実施例1)
【図2】本発明のディスク再生装置1のクランパー5を説明する斜視図である。(実施例1)
【図3】ディスク2のラベル面側から見たクランプエリア2cおよびラベル層2bを説明する斜視図である。(実施例1)
【図4】本発明のディスク再生装置1のクランパー5の突起部5c付近の拡大断面図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態によるディスク再生装置について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるディスク再生装置1を説明するブロックダイアグラムである。具体的には、図1のディスク再生装置1は、CDまたはCD−ROMが再生可能なCD−ROMドライブであり、ディスク2をCAVの標準速度に対して、10倍速(×10CAV。)、あるいは、32倍速(×32CAV。)で回転させて、ディスクに記録されているデータを再生するディスク再生装置である。なお、図1のディスク再生装置1において、例えば、電源回路等の本実施例の説明に不要な部分は、記載を省略している。
【0021】
本実施例のディスク再生装置1は、音声信号が記録されているCDであるディスク2を、標準速度よりも速い10倍速又は32倍速で回転させて、高速に音声信号データを読み出す(リッピングする)ことが可能なディスク再生装置である。ディスク再生装置1において、ディスク2は、ヨーク3およびマグネット4を含むクランパー5と、このクランパー5と磁力によって連結するターンテーブル6との間に狭持される。回転するターンテーブル6は、磁力が作用する磁性体を含み、スピンドルモーター8のスピンドル7に連結しており、メカシャーシー9に固定されるスピンドルモーター8は、カム10により上下動する。
【0022】
したがって、ディスク2をディスク再生装置1にローディングすると、カム駆動回路11により動くカム10がターンテーブル6を上方に移動させるので、ディスク2の中心部分をクランパー5とターンテーブル6とが狭持する結果、ディスク2は回転可能になる。また、ディスク2をディスク再生装置1から排出する場合には、カム駆動回路11により動くカム10がターンテーブル6を下方に移動させるので、クランパー5とターンテーブル6とからディスク2の中心部分が開放される結果、ディスク2は取り出し可能になる。カム駆動回路11は、ディスク再生装置1の各回路を制御する制御回路16により制御される。具体的には、制御回路16はマイコンであり、図1では図示を省略しているものの、例えば、使用者が操作してディスクの再生指示、停止指示、ディスク2のローディング、取り出し、等を入力する(図示しない)スイッチ入力回路、あるいは、後述する復調回路14、光ピックアップサーボ回路15、等の他の回路に接続している。
【0023】
スピンドルモーター8は、スピンドルサーボ回路12により、その回転速度が制御される。スピンドルサーボ回路12は、RF増幅回路と同期検出回路とPLLとを含む復調回路14に接続する。また、ディスク2に対峙して記録信号を読み取る光ピックアップ回路13は、光ピックアップとレーザーダイオードと、を含み、フォーカスサーボ回路とトラッキングサーボ回路とピックアップモーター制御回路とを含む光ピックアップサーボ回路15により、その動きが制御される。光ピックアップ回路13および光ピックアップサーボ回路15は、復調回路14に接続する。光ピックアップ回路13を介してディスク2から読み出されるRF信号は、復調回路14に入力される。復調回路14の出力は、信号処理回路17に入力されて音声信号データに変換され、出力端子18に出力される。
【0024】
したがって、ディスク2が、音声信号が記録されているCDである場合には、制御回路16が、ディスク2を10倍速で回転させるのか、又は、32倍速で回転させるのか、を制御してディスク2をリッピングすることができる。制御回路16は、少なくとも復調回路14を介してスピンドルサーボ回路12と、光ピックアップ回路13と、光ピックアップサーボ回路15と、信号処理回路17とに接続しており、10倍速又は32倍速のいずれの回転速度であっても、高速に音声信号データを読み出すことができる。
【0025】
図2は、ディスク再生装置1のクランパー5を説明する斜視図である。クランパー5は、平坦面を形成する平面部5aを有する基体が、樹脂により形成されている。クランパー5は、ディスク2が回転する回転軸を含む位置にある軸部5bが、平面部5aと略直交する方向に設けられている。また、クランパー5の基体には、マグネット4およびヨーク5が収容されており、磁性体を含むターンテーブル6と磁力で連結するように磁気回路を形成する。なお、クランパー5の平面部5aの外径直径は、ディスクのクランプエリアに対応してφ約33mmである。また、クランパー5およびターンテーブル6は、規格で1〜2Nと規定される圧力のクランプ力をディスク2に加える。
【0026】
また、クランパー5の基体は、平面部5aから突出する3つの半球形の突起5cを有する。クランパー5の平面部5aの公差は約±0.05mm以下であり、これらの突起5cのそれぞれは、この公差よりも大きい外形の半径が0.2mmの半球形である。また、3つの半球形の突起5cは、クランパー5の軸部5bを中心とする一つの円弧の上に配置されている。
【0027】
図3は、ディスク2のラベル面側から見たラベル層2bおよびクランプエリア2cを説明する斜視図である。このディスク2では、ディスクの中心孔を中心とする円弧である内径直径がφA(=26mm)で外径直径がφB(=33mm)のクランプエリア2c内に、クランパー5とターンテーブル6とがそれぞれ当接して、ディスク2を回転可能に狭持する。また、このディスク2では、記録層を含むディスクの基体2aのラベル面に、このクランプエリア2cを含むように、インクジェット印刷によるラベル層2bがほぼ全体に設けられている。
【0028】
ディスク再生装置1でこのディスク2を再生する場合には、クランパー5とディスク2のラベル層2bとが接触する。クランパー5の3つの半球形の突起5cは、軸部5bを中心として直径約29.5mmの位置に、約120度間隔で3箇所設けられている。したがって、クランパー5の平面部5aに設けられた3つの小さな半球形の突起5cがディスク2のラベル面側のクランプエリア2cに接して、ターンテーブル6とともにディスク2を狭持して、ディスク2を回転させることができる。
【0029】
図4は、ディスク再生装置1のクランパー5の突起部5c付近の拡大断面図である。これらの突起5cは、それぞれが外形の半径r0が、平面部5aの公差よりも大きい0.2mmの半球形にされて、クランパー5の基体と一体成形された突起である。したがって、突起5cの先端は、クランパー5の平面部5aから半球形の半径r0だけ突出することになり、少なくとも、平面部5aの公差よりも高くなる頂点部分が突出する。また、ディスク2の基体2aのラベル面にインクジェット印刷により形成されるラベル層2bは、その厚みt0が、例えば約0.005〜約0.05mmのインク層である。したがって、クランパー5の平面部5aがディスク2のクランプエリア2cに対して密着する面積は、3つの突起5cを設けない場合よりも減少する。つまり、クランパー5の平面部5aに3つの突起5cを設けることで、クランパー5の平面部5aがディスク2のクランプエリア2cにも形成されるラベル層2bに対して密着する面積を、狭くすることができる。
【0030】
一方で、(図示しない)比較例のディスク再生装置において、クランプエリア2cに対応する広い帯状のリブを有するクランパーは、ディスク2のクランプエリア2cに広い面積(最大325mm)で密着する。したがって、比較例のクランパーの平面部が、ディスク2のクランプエリア2cにも形成されるラベル層2bに対して密着する面積は、本実施例のクランパー5の場合よりも著しく広くなる。その結果、このディスク2が、ラベル面に印刷されたラベル層2bがクランプエリア2cにも掛かる全面印刷のディスクであっても、本実施例の突起5cを有するクランパー5を用いる場合には、比較例の突起を有しないクランパー5を用いる場合に比較して、ディスク2がクランパーに貼り付いてディスク再生装置1から取り出せない、ということが少なくなる。
【0031】
実際に市販のインクジェットプリンターを用いて、クランプエリア2cにもラベル層2bが形成されるディスク2のラベル面を印刷し、本実施例のディスク再生装置1と、比較例のディスク再生装置とで、ディスク2がクランパー5に貼り付く状態の有無を確認した。まず、比較例のディスク再生装置では、突起の無いクランパーを用いているので、ディスク2のラベル面を印刷した直後に、室温約20℃でディスク2をディスク再生装置にローディングしてクランプし、約13分後にクランプを解除すると、ディスク2がクランパーに貼り付き、ディスク再生装置から取り出すことが出来ない状態となった。
【0032】
一方、本実施例のディスク再生装置1では、突起5cを有するクランパー5を用いているので、常温の室内(室温約20℃)でディスク2のラベル面を印刷し、その直後にディスク2をディスク再生装置1にローディングしてクランプして、約15分後にクランプを解除しても、ディスク2がクランパー5に貼り付くことは無かった。さらに、本実施例のディスク再生装置1では、ディスク2のラベル面を印刷した直後の約1時間後であっても、ディスク2がクランパー5に貼り付くことは無かった。
【0033】
また、ディスク再生装置でディスクがクランパーに貼り付いて取り出せなくなる問題は、気温が高い夏に報告されることが多くなる。しかしながら、本実施例のディスク再生装置1を室温40℃の恒温室に放置して熱平衡させた状態で、常温でディスク2のラベル面を印刷し、その直後にディスク2をディスク再生装置1にローディングしてクランプして、室温40℃の恒温室で約1時間後にクランプを解除しても、ディスク2がクランパー5に貼り付くことは無かった。
【0034】
このように、ラベル面に印刷されたラベル層2bが、ディスク2の中央部のクランプエリア2cに掛かった全面印刷のディスク2であっても、3つの突起5cを有するクランパー5を用いれば、ディスク2がクランパー5に貼り付くことを少なくすることができる。クランプエリア2cにラベル層2bを形成しているインクジェット印刷のインクが乾ききっていなくても、ディスク2とクランパー5との接触面積が著しく狭くなるので、ラベル層2bの粘着力よりもディスク2の重量による荷重の方が大きくなり、その結果、ディスク2がクランパー5に貼り付いて取り出せなくなることを防止することができる。
【0035】
もちろん、ディスクの記録面とは反対側のラベル面に印刷された(図示しない)ラベル材を貼り付ける場合にも、この実施例のディスク2のように、印刷領域を広くしてより全面印刷に近づけようとするがために、ラベル材がディスクの中央部のクランプエリアに掛かってしまう場合がある。中央部のクランプエリアに貼り付けられたラベル材の印刷面において、印刷のインクが乾ききっていない場合は、同様に、ディスクがクランパーに貼り付いて取り出せなくなる、という問題が発生する場合があり得る。ただし、ディスク再生装置1は、3つの突起5cを平面部5aに有するクランパー5を有しているので、ラベル材をクランプエリアに貼り付けるような場合であっても、ディスクがクランパー5に貼り付いて取り出せなくなることを防止することができる。
【0036】
なお、本実施例のクランパー5は、平面部5aに突出する3つの突起5cを有しているが、複数の突起5cの数は、3つ以上の複数であって、密集して実質的に広い密着面を形成しない数であれば、いくつ設けても良い。クランパー5の突起5cのそれぞれが、外形の半径が平面部5aの公差よりも大きく、例えば、半径0.1mm以上0.2mm以下の半球形であり、軸部を中心とする円弧が、内径直径がφ26mmで外径直径がφ33mmのクランプエリア内に設けられているものであれば、その数と配置は制限されない。また、CD規格に従わない場合には、上記のクランプエリア外において、3つ以上の複数の突起5cを設けても良く、それらの数と配置は制限されない。
【0037】
また、上記のディスク再生装置1はCD-ROMドライブであるが、記録が可能なパーソナルコンピューター等に内蔵される記録再生装置に含まれていても良い。また、ディスク再生装置1のディスク2は、CDに限らず、DVD、DVD−ROM、BDなどを再生するディスクであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のディスク再生装置およびディスク再生方法は、上記のような光ディスクのみならず、光磁気ディスクの再生装置にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 ディスク再生装置
2 ディスク
2a 基体
2b ラベル層
2c クランプエリア
3 ヨーク
4 マグネット
5 クランパー
5a 平面部
5b 軸部
5c 突起
6 ターンテーブル
7 スピンドル
8 スピンドルモーター
9 メカシャーシー
10 カム
11 カム駆動回路
12 スピンドルサーボ回路
13 光ピックアップ回路
14 復調回路
15 光ピックアップサーボ回路
16 制御回路
17 信号処理回路
18 出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクの一方面が当接して回転するターンテーブルと、該ターンテーブルと連結して該ターンテーブルとの間に該ディスクを狭持して回転するクランパーと、を備えるディスク再生装置であって、
該クランパーが、該ディスクの回転軸を含む軸部と、該ディスクの他方面に対向して該軸部と略直交する方向に平坦面を形成する平面部と、を有する基体を備え、
該クランパーの該基体が、該平面部から突出する外形の半径が該平面部の公差よりも大きい半球形の複数の突起を有し、複数の該突起のそれぞれが、該クランパーの該軸部を中心とする円弧の上に少なくとも3つ以上配置されている、
ディスク再生装置。
【請求項2】
前記クランパーの前記突起のそれぞれが、外形の半径が0.1mm以上0.2mm以下の半球形であり、前記軸部を中心とする前記円弧が、内径直径がφ26mmで外径直径がφ33mmのクランプエリア内に設けられている、
請求項1に記載のディスク再生装置。
【請求項3】
前記クランパーが、前記基体に収容されて磁気回路を形成するマグネットおよびヨークをさらに備え、磁性体を含む前記ターンテーブルと磁力により連結する、
請求項1または2に記載のディスク再生装置。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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