説明

ディスク再生装置

【課題】一部の装置に故障が発生したとしても、起動処理が長くなるのを回避できるとともに、その他の装置に悪影響を及ぼすのを回避できるディスク再生装置を提供する。
【解決手段】本発明のディスク再生装置は、所定の起動手順によりディスク再生装置の起動処理を行う起動処理部と、ディスク再生装置に含まれる装置の故障を検知し、故障の検知回数を装置毎にカウントする故障検知部とを備える。さらに、故障検知部により故障が検知された回数が所定の閾値を超える装置である故障装置を判別し、故障装置の検査及び起動を起動手順から省くよう起動処理部を制御する起動制御部を備える。故障検知部は、故障装置を示す故障検知情報を生成して記録部に記録する。また起動制御部は、記録部より故障検知情報を読み出し、故障検知情報に示されている故障装置の検査及び起動を起動手順から省くよう、起動処理部を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭において使用されるディスク再生装置に関するものであり、特に複数の機能を備えたディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル技術の多機能化、多様化により、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダやDVDプレーヤ等の様々なディスク再生装置が普及している。これらのディスク再生装置は、DVDに記録されている画像/音声デジタルデータをデコードすることにより、画像/音声信号をテレビジョン装置やモニタ、又はスピーカ等に出力する。
【0003】
また近年のディスク再生装置は、光学ドライブによる光ディスクの再生だけでなく、HDD(Hard Disk Drive)へのデータ保存や、ネットワークを利用した動画再生など、様々な機能を備えたものが普及している。
【0004】
このような機能の多様化にともない、装置内部の故障検知に関しても、機能単位で行うことが必要となってきている。例えば、光学ドライブが故障した場合、光ディスクの再生機能は損なわれるが、ネットワークサービスの利用等は実施できるため、ネットワークサービスのみを使用したいユーザによっては問題がない場合もある。
【0005】
このため、装置の一部に故障が発生したとしても、起動時等に自己診断を行い、故障していない装置による縮退動作を行う装置が開示・提案されている(例えば特許文献1及び特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−328327号公報
【特許文献2】特開2003−36592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記の技術では、起動毎に故障装置を検査しているため、故障状態からの復帰の見込みがない装置が存在する場合に、起動時に常にリトライ動作が発生し、起動時間が長くなる要因となっていた。
【0008】
また、リトライ動作の繰り返しにより、正常である装置に負荷がかかり、新たな故障の原因となる可能性もあった。例えば、光ピックアップのアクチュエータに故障が発生しており、且つリトライ動作によりアクチュエータに過剰な電圧が印加され続けた結果、発熱や引火につながる可能性があった。
【0009】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、複数の機能を備えたディスク再生装置であって、一部の装置に故障が発生したとしても、起動処理が不必要に長くなるのを回避できるとともに、故障装置がその他の装置に悪影響を及ぼすのを回避することができるディスク再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明のディスク再生装置は、情報が記録されたディスクの再生を行うディスク再生装置において、予め定められた起動手順により前記ディスク再生装置の起動処理を行う起動処理部と、前記ディスク再生装置に含まれる装置の故障を検知し、故障の検知回数を装置毎にカウントする故障検知部と、前記故障検知部により故障が検知された回数が予め定められた閾値を超える装置である故障装置を判別し、前記故障装置の起動を前記起動手順から省くよう前記起動処理部を制御する起動制御部とを備えることを特徴としている。
【0011】
これによると、本発明のディスク再生装置は、情報が記録されたディスクの再生を行うディスク再生装置において、所定の起動手順によりディスク再生装置の起動処理を行う起動処理部と、ディスク再生装置に含まれる装置の故障を検知し、故障の検知回数を装置毎にカウントする故障検知部とを備える。さらに、故障検知部により故障が検知された回数が所定の閾値を超える装置である故障装置を判別し、故障装置の検査及び起動を起動手順から省くよう起動処理部を制御する起動制御部を備える。
【0012】
また上記目的を達成するために本発明のディスク再生装置は、記録部を備え、前記故障検知部は、前記故障装置を示す故障検知情報を生成して前記記録部に記録し、前記起動制御部は、前記記録部より前記故障検知情報を読み出し、前記故障検知情報に示されている前記故障装置の起動を前記起動手順から省くよう前記起動処理部を制御することを特徴とする。
【0013】
これによると、ディスク再生装置は記録部を備える。また故障検知部は、故障装置を示す故障検知情報を生成して記録部に記録する。また起動制御部は、記録部より故障検知情報を読み出し、故障検知情報に示されている故障装置の検査及び起動を起動手順から省くよう、起動処理部を制御する。
【0014】
また上記目的を達成するために本発明のディスク再生装置が備える前記故障検知部は、前記起動処理において故障が検知された回数が予め定められた閾値を上回る装置を、前記故障装置とすることを特徴とする。
【0015】
これによると、故障検知部は、起動処理において故障が検知された回数が所定の閾値を上回る装置を、故障装置とする。
【0016】
また上記目的を達成するために本発明のディスク再生装置が備える前記故障検知部は、前記ディスク再生装置に含まれる装置を予め定められた機能単位で複数の装置群に分別し、故障の検知回数を前記装置群毎にカウントし、前記起動制御部は、故障検知部により故障が検知された回数が予め定められた閾値を超える前記装置群の起動を前記起動手順から省くよう前記起動処理部を制御することを特徴とする。
【0017】
これによると、故障検知部は、ディスク再生装置に含まれる装置を予め定められた機能単位で複数の装置群に分別する。そして故障の検知回数を、装置群毎にカウントする。起動制御部は、故障検知部により故障が検知された回数が所定の閾値を超える装置群に関して、検査及び起動を起動手順から省くよう、起動処理部を制御する。
【0018】
また上記目的を達成するために本発明のディスク再生装置が備える前記起動処理部は、起動処理の対象とする前記装置群が処理ステップ毎に示されている前記起動手順を用いて起動処理を行い、前記起動制御部は、故障が検知されている前記装置群を対象とする処理ステップをスキップするよう前記起動処理部を制御することを特徴とする。
【0019】
これによると、起動処理部は、起動処理の対象とする装置群が処理ステップ毎に示されている起動手順を用いて、起動処理を行う。起動制御部は、故障が検知されている装置群を対象とする処理ステップをスキップするよう、起動処理部を制御する。
【0020】
また上記目的を達成するために本発明のディスク再生装置が備える前記起動処理部は、前記故障装置の起動を前記起動手順から省いて起動処理を行った場合に、起動処理が変更されたことを示す通知を行うことを特徴とする。
【0021】
これによると、起動処理部は、故障装置の検査及び起動を起動手順から省いて起動処理を行った場合に、起動処理が変更されたことを示す通知を行う。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、所定回数を超えて故障が検知された装置を、起動手順における検査/起動の対象外としている。これにより、一部の装置に故障が発生したとしても、不要なリトライ動作により起動時間が長くなるのを回避することができる。また、不要なリトライ動作により、別の装置の故障を引き起こすといった事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のディスク再生装置が備える機能部の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のディスク再生装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の故障検知処理を示すフロー図である。
【図4】本発明のディスク再生装置が出力する設定画面を示す画面図である。
【図5】本発明のディスク再生装置が出力する通知画面を示す画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1.内部構成について〉
【0025】
図2は、本発明の一実施形態に係るHDDレコーダ1(=ディスク再生装置)の内部構成を示すブロック図である。なお、図2における矢印線は画像/音声データの流れを示している。また、矢印のない直線は、制御部11が各装置に対する制御信号等を送受信するための通信バスを示している。
【0026】
HDDレコーダ1は少なくとも、制御部11、メモリ12、操作部13、フラッシュメモリ14(=記録部)、HDD15、光ディスクドライブ16、放送受信部17、信号処理部18、OSD(On-Screen Display)処理部19、通信I/F(Interface)20、及び外部接続端子21を含むように構成されている。なお外部接続端子21により接続される表示装置として、ディスプレイ2が存在する。
【0027】
制御部11は、HDDレコーダ1の各部材の駆動を制御することにより、画像/音声の再生処理、記録処理、出力処理等を統括制御するためのものである。制御部11は例えば、複数のマイクロプロセッサから構成されている。また制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、後述する起動処理部11a〜設定部11e(図1)を備えている。
【0028】
メモリ12は、HDDレコーダ1が保持する各種データを一時的に記録する媒体であり、例えば書き込み可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ12は、例えば制御部11によって各種情報処理が行われる際の処理データや、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0029】
操作部13は、ユーザがHDDレコーダ1に対して、画像/音声の再生指示等を行うためのものである。操作部13は、例えばHDDレコーダ1のハウジングに設けられた複数のボタンや、不図示のリモコン装置等を含む。操作部13はこれらの装置により、ユーザ操作を受け付ける。ユーザ操作が受け付けられると、制御部11は、操作内容に基づいて再生処理や記録処理等を行う。
【0030】
フラッシュメモリ14は、EEPROMの一種で、デバイスの利用者が書き込み/消去可能なROMである。フラッシュメモリ14は回路基板に実装したままで書き込み、消去ができるため、利用時に書き換えが必要な用途、例えば装置の動作設定データや、利用者固有の情報等を保存するのに用いられる。
【0031】
HDD15は、デジタルデータを記録する磁気記録媒体である。本実施形態では主に、放送波に含まれる画像/音声データから生成される録画データや、圧縮処理により生成された圧縮録画データを記録するのに用いられる。
【0032】
光ディスクドライブ16は、CD(Compact Disc)メディア、或いはDVD(Digital Versatile Disc)メディア等の光ディスクに対して光学的に各種データの読み取りを行うための光学装置である。光ディスクドライブ16は、光ピックアップ(不図示)の制御を行うことにより、光ディスクに光ビームを照射して、光ディスクに記録された音声情報、画像情報等の各種情報の読み取りを行う。この際、光ピックアップの駆動制御やフォーカス制御、或いはチルト制御等の各種制御を行う。
【0033】
放送受信部17は、外部のアンテナ(不図示)に接続されてデジタル/アナログ放送の選局、受信、周波数変換、増幅、復調等を行う。放送受信部17は、アナログ方式であればアナログチューナ、画像中間周波増幅回路、復調回路、及び増幅回路等を含むように構成されている。またデジタル方式であれば、デジタルチューナ、及び誤り訂正部等を含むように構成されている。
【0034】
例えばデジタル放送を受信する場合、放送受信部17に含まれるデジタルチューナが、中間周波信号の増幅及び検波を行う。これにより、MPEG2方式のデジタル信号であるTS(=Transport Stream)の取得を行う。なおTSとは、複数の番組の音声PES(Packetized Elementary Stream)、画像PES、及び付加情報を固定長のTSパケットに分割してつなぎ合わせたものである。信号処理部18へ与えられて画像/音声信号に変換される。なお、TSを変換せずHDD15へ記録することも可能である。この場合、信号処理部18はTSのスルーのみを行う。
【0035】
信号処理部18は、放送受信部17が生成したTSや、光ディスクドライブ16が光ディスクより読み出したデジタルデータを入力し、音声情報を含む音声デジタル信号と、画像情報を含む画像デジタル信号とに分離する多重分離部である。具体的には例えば、放送受信部17より生成されたTSを、TSパケットに分割する。そしてTSパケットを再結合することにより、音声/画像のPESを生成する。
【0036】
そしてPESを結合することにより、ES(Elementary Stream=符号化された音声/画像データ)を生成する。さらに信号処理部18はESの復号を行い、各種デジタル信号に変換する。復号により得られたデジタル信号は、記録する場合はHDD15へ与えられる。またディスプレイ2等に出力する場合は、外部接続端子21へ与えられる。
【0037】
OSD処理部19は、画像信号を生成する機能部である。OSD処理部19は、HDDレコーダ1が出力すべき情報をユーザが視認できる画像データに変換し、変換した画像データをディスプレイ2に表示するための画像信号を生成する。生成された画像信号は、外部接続端子21より出力される。
【0038】
通信I/F20は、HDDレコーダ1を通信ネットワークと接続するための物理的なインタフェースである。通信I/F20は例えば、IEEE802.3規格に準拠した有線LANに接続するためのLANケーブルコネクタや、IEEE802.11規格に準拠した無線LANに接続するための無線アンテナ等を含むように構成されている。なお、電話通信網に接続するためのアナログ接続端子やISDN通信網に接続するためのISDN接続端子を備える形態であってもよい。
【0039】
外部接続端子21は、例えばHDMI(High Definition Multimedia Interface)端子やUSB(Universal Serial Bus)端子等を含む、複数の入出力端子からなるインタフェースである。外部接続端子21はこれらの入出力端子を用いて、HDDレコーダ1と外部の装置、例えばディスプレイ2を接続し、デジタル信号またアナログ信号の入出力を行う。
【0040】
ディスプレイ2は、図示しない表示部、操作部、制御部、及び接続部を備える表示装置である。ディスプレイ2は例えば、接続部に含まれるHDMI端子に接続されたHDMIケーブルを介して、画像/音声を含むデジタル信号を受け付ける。そしてデジタル信号の複合化を行い、画像/音声の出力を行う。
【0041】
ブロードバンドルータ3は、複数のIPネットワークを相互接続するためのネットワーク中継装置である。具体的には、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルでいうネットワーク層(第3層)やトランスポート層(第4層)等のプロトコルを解析して転送を行う。これにより例えば、有線LANとインターネットとの二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。
〈2.機能部の構成について〉
【0042】
ここで、本発明の一実施形態に係るHDDレコーダ1が本発明の故障検知処理を実施するための各機能部の関係を、図1のブロック図を用いながら説明する。なお、図1における破線矢印線は、制御信号の流れを示している。
【0043】
図1に示すように本発明の故障検知処理は、制御部11が備える起動処理部11a、故障検知部11b、起動制御部11c、通信制御部11d、及び設定部11eにより実施される。
【0044】
起動処理部11aは、HDDレコーダ1の主電源が起動された場合に、予め定められた起動シーケンス(=起動手順)で起動処理を行うよう、HDDレコーダ1の各部を制御する。
【0045】
起動処理部11aは例えば、HDDレコーダ1に含まれる各装置を機能単位でまとめたモジュール(=装置群)毎に、検査/起動を行う。従って起動シーケンスの各処理ステップには予め、検査/起動の対象とするモジュールを示す識別情報が含まれている。
【0046】
モジュールの単位としては、例えば再生機能やネットワーク機能等の各機能に対応する装置群を、一モジュールとする。図2の例では、光ディスクドライブ16や通信I/F20が、一モジュールとなる。ただしモジュールの決定方法はこれに限定されるものではなく、所定のサービスを利用できる機能単位であれば、これよりも小さい、或いは大きい単位でモジュール化する形態でもよい。
【0047】
故障検知部11bは、HDDレコーダ1の各部に故障が発生しているか否かの監視を行う。具体的には故障検知部11bは、HDDレコーダ1の起動時において、各モジュールの検査を行う。そして故障を検知した場合に、モジュール毎の故障検知回数を数えるカウンタをカウントアップする。カウントアップされた回数が所定回数を超えたモジュールが発生した場合に、該当モジュールを示す故障検知報を、フラッシュメモリ14等に記録する。
【0048】
起動制御部11cは、起動処理部11aにより起動処理が開始された場合に、上記の故障検知報を読み出して参照し、故障が発生しているモジュールを判別する。そして該当モジュールを対象としている処理ステップを起動シーケンスから除外して起動処理を行うよう、起動処理部11aを制御する。
【0049】
通信制御部11dは、通信I/F20により接続された外部装置、例えばメールサーバや情報配信サーバ等と相互通信を行うための通信制御を行う。これにより、電子メールの送受信を行ったり、各種情報コンテンツを取得したりすることが可能である。また通信I/F20が無線アンテナを備える場合、無線通信網を介する無線通信の制御を行う役割も持つ。
【0050】
設定部11eは、各機能部が実施する処理に関する各種設定を、ユーザより受け付ける。例えば、起動制御部11cによる故障モジュールを対象外とした起動処理の実行有無や、通信制御部11dが通信を行う通信先の設定等を受け付ける。なお設定内容を示す設定情報は、フラッシュメモリ14またはHDD15に記録される。
【0051】
具体的には設定部11eは、例えば図4に示す設定画面200を表示するための画像信号を生成するよう、OSD処理部19を制御する。そして生成された画像信号を、外部接続端子21を介してディスプレイ2へ出力する。これにより、設定画面200がディスプレイ2に表示される。
【0052】
図4に示すように設定画面200には、メッセージウィンド201及びカーソル202が含まれている。ユーザは操作部13またはリモコン100を用いてカーソル202を移動させることにより、メッセージウィンド201に含まれる「はい」ボタン、または「いいえ」ボタンを選択できる。
【0053】
「はい」ボタンにカーソル202があわせられている状態で操作部13に含まれる決定ボタン(不図示)が押下されると、設定部11eは、次に説明する故障検知処理を実施するよう、故障検知部11b及び起動制御部11cに指示する。
〈3.故障検知処理について〉
【0054】
ここで、本発明の一実施形態に係るHDDレコーダ1が実施する本発明の故障検知処理を、図3のフロー図を用いながら説明する。図3に示す処理は、HDDレコーダ1の電源が起動された時点で開始される。
【0055】
本処理の開始後、故障検知部11bはステップS110において、HDDレコーダ1に含まれる各装置の検査、起動確認を行う。
【0056】
次に故障検知部11bはステップS120において、上記の結果、故障が発生している装置を検知したか否かにより処理の分岐を行う。故障装置を検知していない場合、起動処理部11aは通常の起動手順により起動処理を行い、本処理を終了する。故障装置を検知した場合、故障検知部11bはステップS130において、故障を検知した装置が含まれるモジュール(以下、「故障検知モジュール」という)の故障検知回数を、カウントアップする。
【0057】
次に起動制御部11cはステップS140において、故障検知モジュールの故障検知回数が、所定の閾値を超えたか否かを確認する。具体的には、過去の故障検知回数を示す故障検知報をフラッシュメモリ14より読み出し、閾値と比較することにより確認を行う。なお故障検知モジュールが複数存在する場合、全ての故障検知モジュールに対して、個別に確認を行う。
【0058】
次に起動制御部11cはステップS150において、故障検知回数が閾値を超える故障検知モジュールが存在するか否かにより処理の分岐を行う。閾値を超える故障検知モジュールが存在しない場合、起動制御部11cはステップS151において、今回故障が検知されたモジュールを、今回の起動に限り起動対象対として起動処理を行うよう、起動処理部11aに指示する。これにより次回電源起動時まで、該当する故障検知モジュールにより実施される機能は、ユーザによる使用が不可能となる。
【0059】
閾値を超える故障検知モジュールが存在する場合、起動制御部11cはステップS160において、該当モジュールを継続的に起動対象外とするよう、起動処理部11aに指示する。これにより起動処理部11aは、以降の起動処理において、該当モジュールの起動を行わない。
【0060】
より具体的には、起動シーケンスの各ステップには予め、各ステップが検査/起動対象とするモジュールを示す識別情報が含まれている。起動処理部11aは、各ステップの実行時に、この識別情報が示すモジュールの故障状態を確認することにより、該当ステップをスキップするか否かを判断して起動シーケンスを実行する。
【0061】
また起動制御部11cは、該当モジュールを継続的に検査対象外とするよう、故障検知部11bに指示する。これにより故障検知部11bは、ステップS110を実施する際に、該当モジュールの検査を行わないようにする。
【0062】
次に起動処理部11aはステップS170において、図5に示す通知画面300を表示するための画像信号を生成するよう、OSD処理部19を制御する。そして生成された画像信号を、外部接続端子21を介してディスプレイ2へ出力する。これにより、通知画面300がディスプレイ2に表示される。
【0063】
図5に示すように通知画面300には、メッセージウィンド301及びカーソル302が含まれている。メッセージウィンド301には、故障が検知されたことと、故障箇所に関する機能を制限して起動したことを示すメッセージが表示されている。さらに、次回起動時に今回と同様の故障が検知された場合に、再び同じ通知画面300を表示するか否かの選択を促すメッセージが表示されている。
【0064】
ユーザは操作部13またはリモコン100を用いてカーソル302を移動させることにより、メッセージウィンド301に含まれる「はい」ボタン、または「いいえ」ボタンを選択できる。
【0065】
「はい」ボタンにカーソル302があわせられている状態で操作部13に含まれる決定ボタン(不図示)が押下されると、故障箇所が故障状態より復帰しない限り、次回起動時も同様の通知画面300が表示される。「いいえ」ボタンにカーソル302があわせられている状態で操作部13に含まれる決定ボタンが押下されると、次回起動時は知画面300が表示されない。ただし、新たな故障箇所が検知された場合は、通知画面300が表示される。
【0066】
以上に説明した本実施形態によれば、起動時において所定回数を超えて故障が検知されたモジュールを、次回起動時から検査/起動の対象外とする。これにより、故障検知モジュールに含まれる装置へのリトライにより、起動時間が長くといった事態を回避できる。また、リトライにより故障装置に負荷がかかり、新たな故障の原因となるといった事態を回避できる。
[その他の実施の形態]
【0067】
以上、好ましい実施の形態及び実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0068】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0069】
(A)上記実施形態では、本発明のディスク再生装置の一例としてHDDレコーダ1を例に挙げているが、起動処理を必要とするディスク再生装置であれば、これ以外の装置において本発明を実施する形態でもよい。例えば、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダやDVDプレーヤ等を用いる形態であってもよい。
【0070】
(B)上記実施形態では、本発明の故障検知処理に関わる各機能部が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現されているが、各機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0071】
(C)上記実施形態では、故障検知部11bが故障を検知して故障回数をカウントするのを起動処理時に行っているが、起動後の通常動作時、例えば光ディスクの再生時等において故障が検知された場合も、故障検知モジュールの故障回数をカウントアップする形態でもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 HDDレコーダ(ディスク再生装置)
11 制御部
11a 起動処理部
11b 故障検知部
11c 起動制御部
11d 通信制御部
11e 設定部
12 メモリ
13 操作部
14 フラッシュメモリ(記録部)
15 HDD
16 光ディスクドライブ
17 放送受信部
18 信号処理部
19 OSD処理部
20 通信I/F
21 外部接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報が記録されたディスクの再生を行うディスク再生装置において、
予め定められた起動手順により前記ディスク再生装置の起動処理を行う起動処理部と、
前記ディスク再生装置に含まれる装置の故障を検知し、故障の検知回数を装置毎にカウントする故障検知部と、
前記故障検知部により故障が検知された回数が予め定められた閾値を超える装置である故障装置を判別し、前記故障装置の起動を前記起動手順から省くよう前記起動処理部を制御する起動制御部とを備えること
を特徴とするディスク再生装置。
【請求項2】
記録部を備え、
前記故障検知部は、前記故障装置を示す故障検知情報を生成して前記記録部に記録し、
前記起動制御部は、前記記録部より前記故障検知情報を読み出し、前記故障検知情報に示されている前記故障装置の起動を前記起動手順から省くよう前記起動処理部を制御すること
を特徴とする請求項1に記載のディスク再生装置。
【請求項3】
前記故障検知部は、前記起動処理において故障が検知された回数が予め定められた閾値を上回る装置を、前記故障装置とすること
を特徴とする請求項2に記載のディスク再生装置。
【請求項4】
前記故障検知部は、前記ディスク再生装置に含まれる装置を予め定められた機能単位で複数の装置群に分別し、故障の検知回数を前記装置群毎にカウントし、
前記起動制御部は、故障検知部により故障が検知された回数が予め定められた閾値を超える前記装置群の起動を前記起動手順から省くよう前記起動処理部を制御すること
を特徴とする請求項3に記載のディスク再生装置。
【請求項5】
前記起動処理部は、起動処理の対象とする前記装置群が処理ステップ毎に示されている前記起動手順を用いて起動処理を行い、
前記起動制御部は、故障が検知されている前記装置群を対象とする処理ステップをスキップするよう前記起動処理部を制御すること
を特徴とする請求項4に記載のディスク再生装置。
【請求項6】
前記起動処理部は、前記故障装置の起動を前記起動手順から省いて起動処理を行った場合に、起動処理が変更されたことを示す通知を行うこと
を特徴とする請求項5に記載のディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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