説明

ディスク固定装置

【課題】一定圧でディスクを保持することができ、しかも、精度良く、安定した固定を実現したディスク固定装置を提供する。
【解決手段】ディスク固定装置1は、ターンテーブル10とディスク固定具50とを有する。ディスク固定具50は、ディスク押え金具51と、ディスク押え金具51の中心部を貫通して移動自在に設けられた固定用ねじ軸52と、ディスク押え金具51をターンテーブル10側へと付勢する固定具付勢部材69と、を有し、ディスク固定具50は、調芯機構30に装着されたディスク100を固定具付勢部材69の付勢力により調芯機構30に押圧して調芯し、ターンテーブル10と協働して調芯機構30に装着されたディスク100を所定の圧力にて挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、ディスク状の光記録媒体(以下、「ディスク」という。)の固定装置に関するものであり、特に、光ピックアップの調整及び検査を行うための光ピックアップ調整検査装置にて好適に使用される、光ピックアップテスト用のディスク(以下、「テストディスク」という。)の固定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、光ピックアップの調整及び検査を行うための光ピックアップ調整検査装置においては、テストディスクは固定装置にて光ピックアップ調整検査装置の駆動機構部に取り付けられている。
【0003】
一般に、ディスク固定装置としては、ねじ式のものやマグネット式のものが知られており、ディスクの中心平面部を利用して固定装置により挟持し、固定装置を回転機構部に取り付ける構成とされている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
更に説明すると、本願添付の図6には、実際に実施されている従来の光ピックアップ検査装置におけるねじ式の固定装置の一例を示している。本例では、モータのテーブル(回転機構部)70に配置された固定装置の第1のディスク押え金具71と第2のディスク押え金具72にて、テストディスク100の中心平面部を挟持し、ねじ73にて両ディスク押え金具71、72をねじ止めすることにより、回転機構部70に取り付けられる。テストディスク100を固定装置に固定するに際して、第1ディスク押え金具71のセンターホールと、モータテーブルのセンターリング機構(調芯機構)74によりモータ中心とディスク中心とを自動的に合わせる自動調芯動作が行われる。ディスクの固定力は、ねじ締めトルクにより決定する。
【0005】
この固定装置は、テストディスク100を固定する手段として、ねじ止めが採用されているので、固定が確実で脱落の恐れがなく、取付面の密着の安定性が高い。即ち、取付面の状態の影響が少なく、下面・垂直取り付けをしても安定した姿勢が保たれるといったメリットがある。更に、構造が単純であるため、精度確保が簡単であり、しかも、安価な構成とされる。
【0006】
本願添付の図7には、現在実施されている従来の光ピックアップ検査装置におけるマグネット式固定装置の例を示している。本例では、テストディスク100を予め第1及び第2固定用金具81、82で挟み込み、固定用金具の中心に設けられたモータシャフトが挿入される穴81aを基準にモータの中心が合致するように微調整を行い、金具81、82とディスク100を接着剤などにて固定する。
【0007】
このように、予めモータの回転中心と合致するように調整された固定金具付きディスク100をモータのテーブル83に磁力にて固定する。
【0008】
この固定装置によれば、テストディスク100を固定する際にディスク100に大きな力が加わらないため、固定によるディスク100のひずみが少ない。また、テストディスク100の調芯をモータに固定する前に行うことができるためディスク交換の時間を短縮できる。更に、ディスクの交換がワンタッチでできる、といったメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−332448号公報
【特許文献2】実開平4−105849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図6に示す従来例では、ねじ締め力によっては大きな力がテストディスク100に加わるため、固定によるディスク歪発生の恐れがある。また、テストディスク100の調芯をモータに固定してから行うため、ディスク交換の調整時間がかかり、また、ディスク交換に熟練を要する。
【0011】
また、図7に示す従来例では、テストディスク固定手段として磁力を使用する方法であるため、モータテーブル83とディスクディスク押え金具81の座面の状態が安定していないと、固定が不確実で脱落の恐れがある。即ち、取付面の面精度が悪いと密着が保たれないため、小さな力で外れてしまう。下面・垂直取付けをした場合、安定した姿勢、固定力が保たれなくなる。更に、構造が複雑であるため、精度確保が困難であり、コスト高となる。また、ディスク押え金具81、82とテストディスク100を固定する際に、接着剤などを用いる必要があり、メンテナンス性もあまり良くない。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、一定圧でディスクを保持することができ、しかも、精度良く、安定した固定を実現したディスク固定装置を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、ディスクの交換が容易であり、ディスク交換時間を短縮でき、光ピックアップ調整検査装置などにも好適に使用することのできるディスク固定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は本発明に係るディスク固定装置にて達成される。要約すれば、本発明は、駆動機構部により回転駆動されるターンテーブルと、前記ターンテーブルと協働してディスクを着脱自在に挟持するディスク固定具とを有するディスク固定装置であって、
前記ターンテーブルは、一端部に前記駆動機構部からの駆動力が伝達され、他端部に前記ディスク固定具が取り付けられるねじ部が形成された中心軸部と、前記中心軸部と同中心にて一体に形成されたフランジ部と、前記フランジ部に設置され、ディスクが装着される調芯機構と、を備え、
前記ディスク固定具は、
円筒形状のディスク押え金具と、
前記ディスク押え金具の中心部を貫通して移動自在に設けられ、前記ターンテーブルの前記中心軸部の前記駆動力が伝達される端部とは反対側の端部に着脱自在に取り付けられる、先端部にねじ部が形成された固定用ねじ軸と、
前記固定用ねじ軸と前記ディスク押え金具との間に設置され、前記ディスク押え金具を前記ターンテーブル側へと付勢する固定具付勢部材と、
を有し、前記ディスク固定具は、前記固定用ねじ軸の前記ねじ部を前記ターンテーブルの前記中心軸のねじ部に取り付けることにより、前記調芯機構に装着された前記ディスクを前記固定具付勢部材の付勢力により前記調芯機構に押圧して調芯し、前記ターンテーブルと協働して前記調芯機構に装着されたディスクを所定の圧力にて挟持することを特徴とするディスク固定装置である。
【0015】
本発明の一実施態様によれば、前記ディスク押え金具は、円筒形状の第1ディスク押え金具と、前記第1ディスク押え金具と一体に固定された円筒形状の第2ディスク押え金具と、を備えており、
前記固定用ねじ軸は、第1及び第2ディスク押え金具の中心軸を貫通して移動自在に設置され、
前記固定具付勢部材は、前記第1ディスク押え金具と第2ディスク押え金具との間に形成された空間部にて、前記固定用ねじ軸の外周囲に配置されたコイルばねである。
【0016】
本発明の他の実施態様によれば、前記調芯機構は、前記中心軸の軸線方向に移動自在に設置されたテーパコマ部材と、前記テーパコマ部材を前記フランジ部に移動自在に取り付けるためのガイド部材と、前記テーパコマ部材を前記フランジ部とは反対方向に付勢するテーパコマ部材付勢部材と、を有する。
【0017】
本発明の他の実施態様によれば、前記テーパコマ部材は、前記ディスクが挿入される側が小径とされ、反対側が大径とされる円錐台とされ、
前記ガイド部材は、前記円錐台を前記小径部から大径部へと貫通して前記フランジ部に立設されたガイドピン・ストッパであり、
前記テーパコマ部材付勢部材は、前記ガイドピン・ストッパの外周囲に配置され、前記円錐台と前記フランジ部との間に配置されたコイルばねである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、一定圧でディスクを保持することができ、しかも、精度良く、安定した固定を実現したディスク固定装置を提供することができる。また、本発明のディスク固定装置は、ディスクの交換が容易であり、ディスク交換時間を短縮でき、光ピックアップ調整検査装置などにも好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るディスク固定装置の一実施例の全体構成断面図である。
【図2】本発明に係るディスク固定装置にて、ディスク固定具をターンテーブルから取り外した状態を示す分解斜視図である。
【図3】本発明に係るディスク固定装置にて、ディスク固定具をターンテーブルから取り外した状態を示す断面図である。
【図4】調芯機構のテーパコマ部材を示す断面斜視図である。
【図5】本発明に係るディスク固定装置の作動を説明するための断面図である。
【図6】従来のディスク固定装置の一例を示す図である。
【図7】従来のディスク固定装置の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るディスク固定装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0021】
実施例1
図1〜図4に、本発明に係るディスク固定装置の一実施例を示す。本実施例にて、ディスク固定装置1は、光ピックアップ調整検査装置に好適に使用することのできるディスク固定装置として説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
また、本実施例にて、ディスク固定装置1は、説明を容易とするために、ディスク100が水平に取付けられる下面・水平取付け構造とされるディスク固定装置について説明する。従って、各構成部材等の説明では、ディスク100を水平に配置した状態でディスク100の一側を上方(上側)、他側を下方(下側)などと称して説明する。しかし、本発明のディスク固定装置1は、ディスク100が垂直に取付けられる下面・垂直取付け構造も可能であることを理解されたい。
【0023】
(ディスク固定装置の全体構成)
先ず、図1〜図4を参照して、本実施例のディスク固定装置1の全体構成について説明する。
【0024】
図1及び図2にて、本実施例のディスク固定装置1は、回転駆動されるターンテーブル10と、ターンテーブル10と協働してディスク100を挟持するディスク固定具50とを有する。ターンテーブル10は、光ピックアップ調整検査装置などの駆動機構部を構成する駆動モータ200の駆動軸(モータシャフト)201に取り付けられる。
【0025】
図3及び図4をも参照して、ターンテーブル10及びディスク固定具50について説明する。
【0026】
本実施例にて、ターンテーブル10は、モータシャフト201が一体的に取り付けられる中心軸部11と、中心軸部11と同中心にて一体に形成されたフランジ部12とを有する。中心軸部11には、中心軸部11に、一端側(図3では下端側)から所定長さに延在して、モータシャフト取付穴13が形成されている。モータシャフト取付穴13には、図示するように、モータシャフト201が圧入、或いは、ねじ止めなどにより固定され、駆動モータ200からの駆動力が伝達される。また、モータシャフト取付穴13と同軸にて他端側(図3では上端側)へと延在して雌ねじ14が形成されている。雌ねじ14には、後述するように、ディスク固定具50の固定用ねじ軸52の先端雄ねじ60が螺合される。
【0027】
ターンテーブル10には、フランジ部12の、図3にて上面12a側に位置して、調芯機構30が設置される。
【0028】
調芯機構30は、ターンテーブル10の中心軸部11の軸線方向に移動自在に設置されたテーパコマ部材31と、テーパコマ部材31を移動自在にフランジ部12に取り付けるためのガイド部材15と、テーパコマ部材31をフランジ部12とは反対方向に付勢するテーパコマ部材付勢部材としてのコイルばね16と、を有している。
【0029】
本実施例では、テーパコマ部材31は、図4に示すように、円錐台とされ、円錐台31の中心部に形成した貫通穴32が、ターンテーブル10の中心軸部11に嵌合して中心軸部11の軸線方向に移動自在に設置されている。
【0030】
更に、本実施例によれば、フランジ部12の、図3にて下面12b側に位置して中心軸部11の回りに同軸にてより大径とされたボス部17が形成されている。このボス部17をも利用して、フランジ部12の上面12a側よりフランジ部12及びボス部17にガイド部材15であるガイドピン・ストッパが立設されている。ガイドピン・ストッパ15は、本実施例では、フランジ部12の直径方向に対向配置して2本取り付けられているが、これに限定されるものではなく、周方向に等間隔にて3本、或いは、4本を立設することも可能である。
【0031】
図4をも参照すると理解されるように、円錐台31は、本実施例では、直径方向に対向して、上面31a側から下面31b側へと貫通した段穴33が形成されており、円錐台31の上面31a側に小径の穴33aが形成され、下面31b側に大径の穴33bが形成されている。
【0032】
段穴33を貫通して、ガイドピン・ストッパ15が貫通しており、段穴33の上方に形成した小径穴33aは、ガイドピン・ストッパ15に摺動嵌合する大きさの穴径とされる。即ち、小径穴33aは、ガイドピン・ストッパ15に対して、円錐台31を上下方向に移動可能に案内するガイド穴である。ガイドピン・ストッパ15の上部は、小径穴33aより大径の頭部15aが形成されており、円錐台31の上方への移動を制限するストッパとなっている。また、図3に示すように、円錐台31の下方への移動を可能とするために、即ち、本実施例では、円錐台31の下面31bとフランジ部上面12aとの間に所定距離の空隙部を設けるために、フランジ部上面12aには凹所18が形成されている。勿論、フランジ部上面12aに凹所18を形成することなく、円錐台下面31bとフランジ部上面12aとの間に所定の距離を設ける構成としても良い。
【0033】
段穴33の下方に形成した大径穴33bには、座金34が設置され、座金34とフランジ部凹所水平面18aとの間にて、ガイドピン・ストッパ15の周りに上記コイルばね16が設置されている。
【0034】
上記構成により、ターンテーブル10において調芯機構30の円錐台31は、コイルばね16により上方へと付勢され、円錐台31の上面31aがガイドピン・ストッパ15のストッパ15aに衝接するまで、ガイドピン・ストッパ16に案内されて上方へと移動し、この位置に保持されている(図3の状態)。円錐台31は、上方よりディスク100などにより下方へと押圧されることにより、ガイドピン・ストッパ15に案内されて下方への移動が可能とされる。
【0035】
次に、ディスク固定具50について説明する。
【0036】
図1、図3を参照すると、ディスク固定具50は、ターンテーブル10に装着されて、ディスク100をターンテーブル10へと押圧するディスク押え金具51と、ディスク押え金具51をターンテーブル10に着脱自在に取付ける固定用ねじ軸52とを備えている。ディスク押え金具51は、内部に凹状の空間V1が形成された円筒形状の第1ディスク押え金具53と、第1ディスク押え金具53に固定ねじ57にて一体に固定され、内部に凹状の空間V2が形成された円筒形状の第2ディスク押え金具54とを備えている。
【0037】
第1ディスク押え金具53は、図3にて、下方部が開口されており、上方の壁部材55の中央部に貫通穴56が形成されている(図1参照)。貫通穴56は、ターンテーブル10の中心軸部11が移動自在に嵌合し得る大きさとされる。
【0038】
第2ディスク押え金具54は、図3にて、第1ディスク押え金具53の壁部材55の上面に位置して、上述のように、固定ねじ57により第1ディスク押え金具53に取り付けられている。第2ディスク押え金具54は、図3にて、下方部が開口されており、上方の壁部材58の中央部に貫通穴59が形成されている。
【0039】
本実施例では、第2ディスク押え金具54の外径は、第1ディスク押え金具53の外径より小径とされているが、これに限定されるものではない。ただ、第2ディスク押え金具54の凹部空間V2の開口部の径は、第1ディスク押え金具53の貫通穴56より大径とされ、第1ディスク押え金具53の貫通穴56と、第2ディスク押え金具54の貫通穴59及び凹部空間V1、V2とは、同一軸線にて形成されている。
【0040】
第1ディスク押え金具53の貫通穴56と、第2ディスク押え金具54の貫通穴59及び凹部空間V1、V2とを貫通して、固定用ねじ軸52が配置される。固定用ねじ軸52は、図3にて下方先端部が雄ねじ60とされ、雄ねじ60の上方には、段付き形状とされる軸部62が一体に形成されている。軸部62は、第1ディスク押え金具53の貫通穴56を上下方向に移動し得る径とされる第1軸63と、第1ディスク押え金具53の貫通穴56及び第2ディスク押え金具54の貫通穴59より大径とされ且つ第2ディスク押え金具54の凹部空間V2を上下方向に移動し得る径とされるフランジ65と、第1軸63とフランジ65との間に形成されたガイド軸64と、第2ディスク押え金具54を上方へと貫通して、第2ディスク押え金具54の貫通穴59を上下方向に移動し得る径とされる第2軸66とを備えている。本実施例では、第1軸63、ガイド軸64及びフランジ65の軸径は、第1軸63<ガイド軸64<フランジ65とされている。
【0041】
第2軸66の上方端には、操作用のノブ(摘み)67がセットねじ68にて取付けられている。また、ガイド軸64の外周囲には固定具付勢部材としてのコイルばね69が配置される。また、第1ディスク押え金具53の貫通穴56周辺の壁部材55の上面55aと、フランジ65の下面65aとがコイルばね69の座面を形成しており、そのため、フランジ65は、その上面65bがコイルばね69の付勢力により第2ディスク押え金具54の壁部材58の下面部58aに衝接されている。つまり、固定用ねじ軸52は、図3にて、ディスク固定具50においては、上方へと付勢されて移動した状態に保持されている。
【0042】
上記構成にて、ディスク固定具50は、固定用ねじ軸52の雄ねじ60をターンテーブル10の中心軸部11の上方端部に形成した雌ねじ14に螺合させることにより、ターンテーブル10に取り付けることができる。
【0043】
(ディスク固定装置の動作)
次に、図1〜図4及び図5を参照して、本実施例のディスク固定装置1の作動態様について説明する。
【0044】
図2及び図3に示すように、ディスク固定装置1を使用するに際しては、ディスク固定具50が取り外された状態で、ターンテーブル10の上方より、テストディスク100の中心穴部100Aをターンテーブル10の調芯機構30に装着する。
【0045】
次いで、図1、図5に示すように、固定用ねじ軸52の雄ねじ60をターンテーブル10の中心軸部11の上方端部に形成した雌ねじ14に螺合させることにより、ディスク固定具50をターンテーブル10に取り付ける。摘み67にて固定用ねじ軸52を回すことにより、第1ディスク押え金具53の開口端面53aがディスク100の上面に当接する。更に固定用ねじ軸52を回すことにより、第1ディスク押え金具53は、コイルばね69を介して所定の圧力でディスク100をターンテーブル10側へと押し付ける。固定用ねじ軸52の雄ねじ60を中心軸部11の雌ねじ14に螺入することにより、第1ディスク押え金具53がディスク100を下方へと加圧していく。従って、ディスク100は、所定のばね力にて調芯機構30の円錐台31に押し付けられる。
【0046】
一方、円錐台31は、コイルばね16により上方へと押し上げられており(図3、図5の状態)、装着されたディスク100を図5に示す矢印方向へと下方に移動させるように押圧すると、ディスク100(即ち、中心穴部100A)の中心を円錐台31の中心に移動するように力が発生し、ディスク100はセンターリング(調芯)される。
【0047】
すなわち、ディスク100を調芯機構30に装着した時、図5にて一点鎖線で示すようにディスク100がターンテーブル10に対して傾斜して、即ち、ディスク100の平面がターンテーブル10の回転軸線に対して直角ではない角度にて調芯機構30に装着された場合には、第1ディスク押え金具53の下面53a全周ではなくその一部が、傾斜して装着されたディスク100の一部に当接することとなる。この状態で、固定用ねじ軸52を更に回すと、第1ディスク押え金具53は、コイルばね69により押圧されて第1ディスク押え金具53と当接したディスク100の部分を円錐台31の傾斜面に沿って下方へと移動させようとし、その摩擦力にて、円錐台31自体もコイルばね16の付勢力に抗して下方へと移動し、また、下方への押圧力が低減すると元の位置へと復帰する。
【0048】
このような、ディスク100の下方への押圧及び円錐台31の上下方向への移動により、ディスク100の平面がターンテーブル10の回転軸線に対して直角となる。即ち、調芯される。
【0049】
なお、本実施例では、ディスク押え金具50の固定用ねじ軸52は、第1軸63の下面肩部63aが、ターンテーブル10の中心軸部11の上面11aに当接するとそれ以上のねじ込みは不可とされている(図1の状態)。
【0050】
従って、この時点にて、ディスク100のディスク固定装置1への取付け操作は終了する。即ち、ディスク100が円錐台31により調芯された状態、即ち、図1に示すように、ディスク100がディスク固定装置1に正常に装着された状態にて、ディスク100は、ディスク固定具50とターンテーブル10により挟持される。
【0051】
尚、図1に示すように、ディスク100をディスク固定装置1に装着した状態にて、
第2押え金具54の壁部材58の下面部58aと、フランジ65の上面65bとの間、及び、ディスク100の下面とターンテーブル10の上面12aとの間には、それぞれ、僅かの隙間△E1、△E2が生じるように構成されている。通常、隙間△E1、△E2は、1〜2μm程度とされる。
【0052】
これにより、ディスク100は、ばね16及びばね19により、所定の圧力にて第1押え金具53の下面53a及び調芯機構30の円錐台31により挟持された状態となる。
【0053】
つまり、本発明のディスク固定装置1では、固定用ねじ軸52と第1ディスク押え金具53との間にコイルばね69が装着されており、固定用ねじ軸52のコイル座面65aからこのばねの反力によりディスク押え金具51が押し出される形となる。また、調芯機構30により円錐台31がコイルばね16の力により上方へと付勢されている。これにより略一定圧力にてディスク100がディスク固定装置1に固定される。
【0054】
ディスク100をディスク固定装置1から取り外す場合は、固定用ねじ軸52を回し、雄ねじ部60をターンテーブル12の雌ねじ部14との螺合を解除することにより達成される。
【0055】
以上のように、本発明のディスク固定装置1によれば、ディスク100を、ターンテーブル10とディスク固定具50とにより、コイルばね16、69による一定の圧力にて保持することができる。また、ターンテーブル10に備えた調芯機構30により、精度良く、しかも、安定した固定を実現する。
【0056】
更には、上述したように、本発明のディスク固定装置1は、単に固定用ねじ軸52を操作するだけで、ディスク100の着脱が可能であり、従って、ディスク100の交換が容易である。また、ディスク交換時間を短縮でき、光ピックアップ調整検査装置にも好適に使用することができる。
【0057】
上記実施例の説明では、ディスクが水平に取付けられる下面・水平取付け構造とされるディスク固定装置について説明したが、本発明のディスク固定装置は、ディスクが垂直に取付けられる下面・垂直取付け構造も可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 ディスク固定装置
10 ターンテーブル
11 中心軸部
12 フランジ部
13 モータシャフト取付穴
14 雌ねじ
15 ガイドピン・ストッパ(ガイド部材)
16 コイルばね(テーパコマ部材付勢部材)
30 調芯機構
31 テーパコマ部材(円錐台)
50 ディスク固定具
51 ディスク押え金具
52 固定用ねじ軸
53 第1ディスク押え金具
54 第2ディスク押え金具
60 雄ねじ
69 コイルばね(固定具付勢部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動機構部により回転駆動されるターンテーブルと、前記ターンテーブルと協働してディスクを着脱自在に挟持するディスク固定具とを有するディスク固定装置であって、
前記ターンテーブルは、一端部に前記駆動機構部からの駆動力が伝達され、他端部に前記ディスク固定具が取り付けられるねじ部が形成された中心軸部と、前記中心軸部と同中心にて一体に形成されたフランジ部と、前記フランジ部に設置され、ディスクが装着される調芯機構と、を備え、
前記ディスク固定具は、
円筒形状のディスク押え金具と、
前記ディスク押え金具の中心部を貫通して移動自在に設けられ、前記ターンテーブルの前記中心軸部の前記駆動力が伝達される端部とは反対側の端部に着脱自在に取り付けられる、先端部にねじ部が形成された固定用ねじ軸と、
前記固定用ねじ軸と前記ディスク押え金具との間に設置され、前記ディスク押え金具を前記ターンテーブル側へと付勢する固定具付勢部材と、
を有し、前記ディスク固定具は、前記固定用ねじ軸の前記ねじ部を前記ターンテーブルの前記中心軸のねじ部に取り付けることにより、前記調芯機構に装着された前記ディスクを前記固定具付勢部材の付勢力により前記調芯機構に押圧して調芯し、前記ターンテーブルと協働して前記調芯機構に装着されたディスクを所定の圧力にて挟持することを特徴とするディスク固定装置。
【請求項2】
前記ディスク押え金具は、円筒形状の第1ディスク押え金具と、前記第1ディスク押え金具と一体に固定された円筒形状の第2ディスク押え金具と、を備えており、
前記固定用ねじ軸は、第1及び第2ディスク押え金具の中心軸を貫通して移動自在に設置され、
前記固定具付勢部材は、前記第1ディスク押え金具と第2ディスク押え金具との間に形成された空間部にて、前記固定用ねじ軸の外周囲に配置されたコイルばねである、
ことを特徴とする請求項1に記載のディスク固定装置。
【請求項3】
前記調芯機構は、前記中心軸の軸線方向に移動自在に設置されたテーパコマ部材と、前記テーパコマ部材を前記フランジ部に移動自在に取り付けるためのガイド部材と、前記テーパコマ部材を前記フランジ部とは反対方向に付勢するテーパコマ部材付勢部材と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のディスク固定装置。
【請求項4】
前記テーパコマ部材は、前記ディスクが挿入される側が小径とされ、反対側が大径とされる円錐台とされ、
前記ガイド部材は、前記円錐台を前記小径部から大径部へと貫通して前記フランジ部に立設されたガイドピン・ストッパであり、
前記テーパコマ部材付勢部材は、前記ガイドピン・ストッパの外周囲に配置され、前記円錐台と前記フランジ部との間に配置されたコイルばねである、
ことを特徴とする請求項3に記載のディスク固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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