説明

ディスク装置

【課題】汎用のディスク回転モータを使用したディスク装置において、ディスク回転中であってもレーベル面上の文字等を視認できるように、ディスク回転に同期してレーベル面上に照射するストロボライトの発光を制御する。
【解決手段】アドレス検出回路8はディスク2から絶対時間情報を検出する。マイコン9は検出された絶対時間情報からディスク回転数を算出してストロボライト3の点灯パルスを発生する。マイコン9から出力されたパルス信号は、ライト駆動回路10に入力され、ストロボライト3の点灯を制御する。ディスクのレーベル面に照射されたストロボライト光は反射されてカバー4のフィルタを通じて外部に出射されることにより、レーベル面に描かれた文字・絵等を視認出来る程度にゆっくり回転した状態にすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ディスク回転時においてもディスクのレーベル面に表示された文字・絵等の認識が可能なディスク装置、特に音楽データ等が記録されたCD等の光ディスク装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】音楽データが記録されたCDは一般に普及しており、かかるCDを再生する装置として、持ち運びができるポータブルタイプ等各種のCDプレーヤが存在する。かかるCDプレーヤの中には、装着されたディスクが外部から視認できるようにディスク上面を覆うカバーに透明部分が設けられているものがあり、使用者は、かかる透明部分よりディスクが装着されていることを確認することができるとともに、ディスクのレーベル面に表示された文字・絵等を読み取ることによってそのCDがどのアーティストのどのアルバムであるか、どんな曲があるのかを認識することが可能である。また、レーベル面には視覚的にも楽しめるようなイラスト等が設けられている場合もあり、ディスクを装置より取り出すことなく、かかるイラストを楽しむこともできる。
【0003】しかしながら、かかるレーベル面に描かれた文字等は、ディスクが回転していない未再生時においては視認可能であるが、再生時においてはディスクが高速で回転するため、視認不可能である。かかる不都合を回避するために、ディスク再生時においてもレーベル面に描かれた文字等を視認できるように、ディスクの上面を照らすライトを設け、かかるライトの発光をディスクの回転に同期するようにして、視覚上文字が静止したようにした技術が開示されている(特開平6−342552号,実開昭63−191499,実開平2−84190)。
【0004】しかし、以上の文献に開示されているものは、ディスクの回転と同期する信号を検出するために、スピンドルモータに回転数を検出するための回転検出用歯を設けたり、フォトダイオードやリードスイッチを設けたり、ターンテーブルの裏面に磁石を設けホール素子により回転を検出するようにしている。しかしながら、スピンドルモータに回転検出用歯やフォトダイオードやリードスイッチを設けるということは、そのような部品が設けられた特別なモータが必要となり、汎用のモータが使用できず、コストアップにつながることとなる。また、ターンテーブルに磁石を設け、これと対向する位置にホール素子を設ける場合は、その分だけ部品点数の増加につながるとともに、かかる部品の取り付け工数の増加をもたらすこととなり、コストアップにつながることとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、ディスク回転中にレーベル面上の文字等を視認できるようにするためにディスク回転に同期する信号を得るために汎用のモータが使用できない、部品点及び工数の増加、それによるコストアップといった問題点が存在する。そこで、本発明は、かかる問題点を解決することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ターンテーブル上に載置されたディスクを回転してディスク上に記録された情報を再生するディスク装置において、ディスク上の再生位置に基づいてディスクの回転を制御する回転制御手段と、載置されたディスク上面に光を照射する発光手段と、ディスク上に記録されたアドレスを検出するアドレス検出手段と、検出されたアドレスよりディスクの回転周期を検出する回転周期検出手段と、回転周期検出手段より検出された回転周期に基づいて発光手段の発光を制御する発光制御手段を設けたことを特徴とするものである。かかるアドレス検出手段はアドレスを読取ることによって現在のディスク上の再生位置を検出し、回転周期検出手段は現在の再生位置におけるディスクの回転周期を検出し、かかる検出信号に基づいてディスクの回転にほぼ同期した発光手段の発光を制御する。したがって、回転検出用歯やフォトダイオードやリードスイッチなどを設けた特別なモータを用いる必要がなく、汎用のモータを使用してディスク回転中にレーベル面上の文字等を視認できるようにストロボライト等の発光手段の発光を制御することができ、部品点及び工数の削減、それによるコストの削減を図ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明が適用されるCDプレーヤを示す。ターンテーブル1に載置されたディスク2の上方には、ディスクのレーベル面上にディスク回転周期に応じたストロボ光を照射するようにストロボライト3が設けられている。そしてさらに上方にはディスクを覆うようにカバー4が設けられている。かかるカバーのディスク上面に対向する部分は、フィルタにより形成されている。かかるフィルタは、カバー外部から内部へ向かう光に対しては、透過しにくく、逆にカバー内部から外部へ向かう光に対しては透過しやすいような特性を有している。したがって、ほぼディスクのレーベル面から反射されたストロボ反射光のみがフィルタを透過することとなり、ディスク再生時においてレーベル面に描かれた文字等を外部から視認しやすくなっている。
【0008】ディスク2の記録面に対向する位置にはディスク記録面にレーザ光を照射して記録された情報を再生する光ピックアップ6が設けられている。ターンテーブル1には、ディスク2を回転するモータ5が接続されている。ここで、かかるモータ5は、回転検出のための特別な機構を設けていない汎用のモータであり、ディスクから再生された同期信号に基づいてディスクが線速度一定で回転されるように制御される。光ピックアップ6は、ディスクの再生に際してトラックに追随するようにディスク半径方向に移動するようになっている。
【0009】次に、ディスク再生時における動作を説明する。ディスク2に記録された情報は光ピックアップ6により再生され、再生された信号は、RFアンプ7に入力される。RFアンプ7では、ピックアップ6により再生された信号をI−V変換し、演算回路を通じてRF信号、フォーカス・トラッキングエラー信号(図示せず)をそれぞれ生成する。RFアンプ6より出力されたRF信号は、アドレス検出回路8に入力され、サブコードを読み取ることにより絶対時間情報(アドレス)を得る。また、RFアンプより出力されたRF信号は、EFM復調、CIRCデコード等の信号処理を施されてオーディオ信号として再生される(図示せず)。
【0010】アドレス検出回路8により検出された絶対時間情報はマイコン9に入力される。マイコン9内では、この絶対時間情報から現在のディスクの回転数が算出される。ディスクの回転数が算出されると、マイコン9は回転数に応じたパルス信号(1回転につき1パルス)を出力する。マイコン9から出力されたパルス信号は、ライト駆動回路10に入力され、ストロボライト3の点灯をディスク1回転につき1回点滅するように制御する。ディスクレーベル面に照射されたストロボライト光は反射されてカバー4のフィルタを通じて外部に出射される。ここで前述したように、フィルタは内部からの光を外部に透過しやすいようになっているので、カバーからはディスク回転周期に応じたストロボライト光のディスクレーベル面からの反射光のみが出射されることとなり、レーベル面に描かれた文字・絵等を視認出来る程度にゆっくり回転した状態にすることが可能となる。
【0011】次に、マイコン9内における絶対時間情報から回転数を算出してストロボライトの点灯パルスを発生するまでのプロセスを図2のフローチャートに示す。アドレス検出回路8により検出された絶対時間情報はマイコン内で読み取られ(S1)、この読み取られた絶対時間情報と線速度に基づいてディスク内周からのトラックの長さ(走査距離)が算出される(S2)。次に、この走査距離とトラックピッチの積が求められ、これは現在のピックアップの走査位置を半径とした円の面積に相当することからこれより現在のピックアップの走査位置の径方向における距離が算出される(S3)。径方向の距離が算出されるとこれと線速度に基づいて現在の走査位置におけるディスクの回転数が求められる(S4)。そして求められたディスク回転数に基づいて、ストロボライトを発光させる点灯パルスが発生される(S5)。
【0012】以上の実施例においては、読み取られた絶対時間情報から常にディスクの回転数が算出され、この算出結果に基づきストロボライトの点灯が制御されるようにしているが、実際には100トラックの移動に対して点灯時間の周期は0.5msec程度しか変化しないことから、常に計算を行うことはマイコンの負担の大きさを考慮すると効率的ではない。
【0013】そこで、読み取られた絶対時間情報から常にディスクの回転数を算出するのではなく、回転速度が大きく変化しない程度の間隔でアドレス検出回路から検出された絶対時間情報を抽出し、抽出された絶対時間情報から現在のディスク回転数を算出し、かかる回転数に応じたパルス信号を出力し、次に抽出される絶対時間情報により回転数が算出するまでの間はかかるパルス信号の出力を維持するようにしてもよい。
【0014】次に図3に他の実施の形態を示す。図1と異なる点は、マイコン29と接続されたROM31を有する点である。上述の実施例では、ディスクから検出された絶対時間情報からマイコン内でディスク回転数を算出するようにいちいち演算を行っていたが、ここではこれをテーブル化しておき、ROM31内に格納しておく。マイコン29は、読み取られた絶対時間情報から対応するディスク回転数をROM31内のテーブルを参照するのみで得ることができるので、回転数を算出するための演算の必要がなく、マイコンの負担が軽減される。さらには、絶対時間情報に対するパルスの周期をテーブル化したものであってもよい。
【0015】次に図4は、マイコン49内に演算又はテーブルを参照することにより生成されたパルス信号を所定時間遅延する遅延処理手段51を設けたものである。操作者は操作部52より所定の遅延量を設定することができ、かかる設定された遅延量に応じて遅延処理手段51によりストロボライトを点灯するパルス信号が遅延される。操作部52によりこの遅延量を連続的に変化させることにより、レーベル面上の文字等の回転速度を変えて表示させることが可能となる。したがって、かかる変化量を変えることにより、レーベル面上の文字等を完全な静止状態にしたり、回転する速度や回転する方向を変えることが可能となり、単に文字を読みとるだけでないさらに面白い視覚上の効果を奏することが可能となる。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明は、ディスク上の再生位置に基づいてディスクの回転を制御する回転制御手段と、載置されたディスク上面に光を照射する発光手段と、ディスク上に記録されたアドレスを検出するアドレス検出手段と、検出されたアドレスよりディスク回転周期を検出する回転周期検出手段と、回転周期検出手段より検出された回転周期に基づいて発光手段の発光を制御する発光制御手段とを有する。
【0017】このように、ディスク上に記録されたアドレスを読み取り、この読み取られたアドレスに基づいて現在のディスクの回転周期を求め、これとほぼ同期した発光制御信号を供給することから、回転検出用歯やフォトダイオードやリードスイッチなどを設けた特別なモータを用いる必要がなく、汎用のモータを使用してディスク回転中にレーベル面上の文字等を視認できるようにストロボライト等の発光手段の発光を制御することができ、部品点及び工数の削減、それによるコストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるCDプレーヤの構成を示した図である。
【図2】マイコン内の動作を示したフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態におけるCDプレーヤの構成を示した図である。
【図4】本発明の第3の実施形態におけるCDプレーヤの構成を示した図である。
【符号の説明】
2,22,42 光ディスク
3,23,43 ストロボライト
4,24,44 カバー
6,26,46 ピックアップ
8,28,48 アドレス検出回路
9,29,49 マイコン
10,30,50 ライト駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ターンテーブル上に載置されたディスクを回転してディスク上に記録された情報を再生するディスク装置において、前記ディスク上の再生位置に基づいて前記ディスクの回転を制御する回転制御手段と、載置された前記ディスク上面に光を照射する発光手段と、前記ディスク上に記録されたアドレスを検出するアドレス検出手段と、該アドレスより前記ディスクの回転周期を検出する回転周期検出手段と、該回転周期検出手段より検出された回転周期に基づいて該発光手段の発光を制御する発光制御手段を有することを特徴とするディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2002−150762(P2002−150762A)
【公開日】平成14年5月24日(2002.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−339063(P2000−339063)
【出願日】平成12年11月7日(2000.11.7)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)