説明

ディスク装置

【課題】ディスクトレイ端部のトレイカバー及びトレイホルダの厚みを薄くすることができ、トレイカバー及びトレイホルダの組み立てを容易に行うことができ、且つ、トレイカバーが外れ難い構成のディスク装置を提供する。
【解決手段】トレイカバー40に突設されたバネ係合リブ50をホルダ20の前壁21に形成された矩形開口21bに挿通し、前壁21の後側にて、線バネ60の巻回部分61をホルダ20のバネ固定部29に固定すると共に、線バネ60の両端をバネ係合リブ50に係合させる構成とする。トレイカバー40のバネ係合リブ50には、矩形開口21bへの挿通方向に交差する方向に平行板部を設け、ホルダ20の前壁21には、矩形開口21bの周縁部分に、バネ係合リブ50の平行板部に対向する舌片部を設ける。ホルダ20の前壁21より後側に設けられた柱状のバネ固定部29に線バネ60の巻回部分を挿通して固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばDVD(Digital Versatile Disk)又はブルーレイディスク等のディスク状記録媒体(以下、単にディスクという)に対するデータの読み出し及び/又は書き込み等を行うディスク装置に関し、詳しくはディスクを載置するトレイが装置の筐体から出入する構成のディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DVD又はブルーレイディスク等のディスクが記録媒体として広く普及している。ディスクに対するデータの読み出し及び/又は書き込みを行うディスク装置は、ディスクの装着構造に関して種々のものが存在する。これらの中で、ディスクを載置するトレイが装置の筐体から出入する構造が、例えば液晶テレビなどに接続されて、映画などの映像を再生するディスクプレーヤ又はテレビ番組を録画するディスクレコーダ等のディスク装置に広く採用されている。
【0003】
トレイが筐体から出入する構成のディスク装置では、筐体内への塵埃の侵入防止及び装置内の騒音の漏洩防止等のために、トレイが筐体内に収納された状態においては、トレイを出入するために筐体に設けられた出入口を閉塞することが好ましい。このためトレイの端部には、筐体の出入口を閉塞するためのカバー(トレイカバー)が設けられる。トレイの端部に設けられるトレイカバーは、ディスク装置の筐体の出入口を確実に閉塞するため、上下左右方向(トレイの出入方向に直交する平面方向)に移動可能な構成とすることが求められる。このため従来のディスク装置では、トレイ及びトレイカバーの間にトレイホルダを介在させ、トレイカバーをコイルバネによってトレイホルダに付勢して取り付け、コイルバネの変形に伴ってトレイカバーが移動する構成としていた。
【0004】
また、特許文献1においては、トレイ本体に対してトレイカバーを板バネのバネ力により上下方向及び左右方向に揺動可能に支持することによって、トレイカバーがフロントパネルのディスク出入口を確実に密閉することができるディスク記録再生装置が提案されている。このディスク記録再生装置は、ディスクプレーヤ本体のフロントパネルのトレイ出入口から排出位置及び収納位置に移動可能としたトレイ本体に、トレイ本体が収納位置に引き込まれたときトレイ出入口を閉止するトレイカバーを備えている。トレイカバーは、トレイ本体に保持されるトレイカバー中枠と、トレイカバー中枠に対した板バネを介して上下方向及び左右方向へ揺動可能に支持されるトレイカバー外装パネルとから構成されている。
【0005】
特許文献2においては、光ディスク用のトレー体を装置本体の開口部に挿通させて収納及び突出の位置を取らせる記録再生装置において、トレー体の前部に蓋体を配設し、この蓋体に装置本体の開口部を間隙が生じないように閉塞させる構成が提案されている。この記録再生装置では、トレー体に固定されるベース板に対して蓋体を弦巻バネによって付勢して、ベース板を介してトレー体に蓋体を連結する。蓋体がトレー体に対して所定の位置を取るためのガイドとして、ベース板に形成された通孔と、蓋体に設けられ、弦巻バネで付勢されて通孔に挿入される突出部材とを記録再生装置は備えている。また蓋体が所定の位置で開口部を閉塞するためのガイドとして、装置本体に設けられたガイド片と、このガイド片に係合する蓋体の内側壁とを記録再生装置は備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−358770号公報
【特許文献2】特開2009−004051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、金属線を筒状に巻回させた形状のコイルバネを用いた構成の従来のディスク装置では、コイルバネがトレイカバーに垂直な方向に設けられるため、トレイカバー及びトレイホルダの部分の奥行き方向(トレイの出入方向)に関する長さ(厚み)が大きいという問題があった。弦巻バネを用いる特許文献2に記載の記録再生装置についても同様である。また、特許文献1に記載のディスク記録再生装置のように幅広の板バネを介してトレイカバーが支持される構成では、トレイカバーの上下方向への揺動を柔軟に行うことができないという問題がある。更に、このような構成のディスク装置では、トレイカバー及びトレイホルダの組立容易性を向上すること、並びに、トレイカバーがトレイホルダ又はトレイから外れ難いことなどが求められる。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、トレイ端部のトレイカバー及びトレイホルダの厚みを薄くすることができ、トレイカバーを柔軟に揺動することができ、トレイカバー及びトレイホルダの組み立てを容易に行うことができ、且つ、トレイカバーが外れ難い構成のディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るディスク装置は、筐体の出入口から出入し、ディスクが載置されるトレイ部と、該トレイ部の進出方向の端部に固定されたホルダと、該ホルダに保持され、前記トレイ部が前記筐体内に退入した場合に前記出入口を塞ぐ板状のトレイカバーとを備えるディスク装置において、前記ホルダ及び前記トレイカバーの間に介在する直線状のバネ部材を備え、前記トレイカバーは、該トレイカバーの裏面に突設され、前記バネ部材を係合させる係合突部を有し、前記ホルダは、前記係合突部を挿通させる開口部が形成され、前記トレイカバーに対向配置される壁部と、前記壁部を間にして前記トレイカバーとは反対側に設けられ、前記バネ部材を固定するバネ固定部とを有し、前記バネ部材は、前記壁部に沿って配され、前記バネ固定部に固定されると共に、前記開口部を挿通した前記係合突部に係合され、前記トレイカバーを前記ホルダ側へ付勢するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るディスク装置は、前記バネ部材の付勢力を調整する調整手段を更に備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るディスク装置は、前記調整手段が、前記係合突部に設けられ、前記バネ部材との係合位置を変更可能にしてあることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るディスク装置は、前記係合突部には、前記バネ部材と係合する複数の係合部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るディスク装置は、前記係合突部には凹所が形成してあり、該凹所内に移動可能に収容され、ねじ穴が形成された移動部と、該移動部のねじ穴に螺合されたねじとを備え、前記移動部に前記バネ部材と係合する係合部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るディスク装置は、前記調整手段が、前記ホルダに設けられ、前記バネ固定部による前記バネ部材の固定位置を変更可能にしてあることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るディスク装置は、前記ホルダには、前記バネ固定部が複数設けられていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るディスク装置は、前記ホルダには凹所が形成してあり、該凹所内に移動可能に収容され、ねじ穴が形成された移動部と、該移動部のねじ穴に螺合されたねじとを備え、前記バネ固定部は、前記移動部に設けてあることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係るディスク装置は、前記係合突部には、前記開口部への挿通方向に交差する方向に長い平板部が設けられていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るディスク装置は、前記ホルダの前記壁部には、前記開口部に挿通された前記係合突部の前記平板部に対向する対向部が設けられていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係るディスク装置は、前記ホルダに設けられ、前記バネ部材の前記係合突部による係合位置及び前記バネ固定部による固定位置の間にて、前記バネ部材に当接する当接部を更に備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係るディスク装置は、前記バネ部材には巻回部分が設けられており、前記バネ固定部は、前記バネ部材の巻回部分を挿通する挿通部と、該挿通部に連ねて設けられ、前記バネ部材の前記挿通部への挿通方向の移動を係止する係止部とを有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係るディスク装置は、前記係合突部が、前記トレイカバーに2つ設けられ、前記バネ部材は、中央側にて前記バネ固定部に固定され、両端側にて2つの前記係合突部に係合するようにしてあることを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係るディスク装置は、前記トレイカバーの裏面に突設されたトレイ側リブと、前記筐体に設けられ、前記トレイ部が前記筐体内に退入した場合に、前記トレイカバーの裏面に対向する壁部と、該壁部に突設された筐体側リブとを備え、前記トレイ部が前記筐体内に退入した場合に、前記トレイ側リブ及び前記筐体側リブが隣り合うようにしてあることを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係るディスク装置は、前記トレイ側リブが、前記トレイカバーの裏面縁部分の一周に亘って環状に設けてあり、前記壁部は、前記トレイ部が挿通する開口が形成してあり、前記筐体側リブは、前記開口を囲んで環状に設けてあり、前記トレイ部が前記筐体内に退入した場合に、前記筐体側リブが前記トレイ側リブ内に収まるようにしてあることを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係るディスク装置は、前記トレイカバーの裏面に突設された可撓性を有するリブと、前記筐体に設けられ、前記トレイ部が前記筐体内に退入した場合に、前記トレイカバーの裏面に対向する壁部とを備え、前記トレイ部が前記筐体内に退入した場合に、前記リブが前記壁部に当接するようにしてあることを特徴とする。
【0025】
本発明においては、トレイカバー及びホルダの間に、直線状のバネ部材(例えば線バネ又は幅が小さい板バネ等の細長形状のバネ)を介在させ、トレイカバーがホルダに対して上下左右方向へ柔軟に移動できる構成とする。ホルダには板状のトレイカバーに対向する壁部を設け、バネ部材はホルダの壁部に沿って設け、バネ部材によりトレイカバーをホルダ側へ付勢する。直線状のバネ部材をトレイカバーに沿って配する構成とすることで、トレイカバー及びホルダの厚みを低減することができる。
上記の構成を実現するために、トレイカバーの裏面にバネ部材を係合させるための係合突部を突設し、この係合突部が挿通する開口部をホルダの壁部に形成する。トレイカバーの係合突部をホルダの開口部に挿通し、ホルダに設けられたバネ固定部にバネ部材を固定すると共に、トレイカバーの係合突部にバネ部材を係合させる構成とする。これにより、バネ部材の取り付け、トレイカバー及びホルダの組み立てを容易に行うことができる。またバネ部材はホルダの壁部を間にしてトレイカバーと反対側に配される構成であり、ホルダの開口部を挿通した係合突部にバネ部材が係合される構成であるため、トレイカバーがホルダから外れ難い構成とすることができる。
【0026】
トレイカバーが筐体の出入口を閉塞するために、ディスクトレイが筐体内に退入した(収納された)状態において、トレイカバーがバネ部材によって付勢されて出入口の周縁部分に密着することが望ましい。しかしながら、バネ部材は製造バラツキなどによってその付勢力にバラツキが生じるという問題があり、バネ部材の付勢力がディスクトレイを収納するモータなどの力より大きい場合、ディスクトレイの収納が阻害される虞がある。
そこで本発明においては、バネ部材の付勢力を調整する手段をトレイカバー又はホルダに設ける。
【0027】
バネ部材はトレイカバーの係合突部に係合される構成であるが、バネ部材と係合突部との係合位置を調整することによって、バネ部材による付勢力を調整することができる。
例えば係合突部には複数の係合部を設けて、バネ部材をいずれか1つの係合部に選択的に係合させる構成とすることで、バネ部材による付勢力を段階的に調整可能な構成とすることができる。また例えば、ねじの回転に応じて移動する移動部を係合突部に設け、この移動部に係合部を設ける構成とすることにより、ねじの回転に応じてバネ部材による付勢力を連続的に調整することができる。
【0028】
またバネ部材はホルダのバネ固定部に固定される構成であるが、バネ固定部によるバネ部材の固定位置を調整することによって、バネ部材による付勢力を調整することができる。
例えばバネ固定部を複数設けて、バネ部材をいずれか1つのバネ固定部にて選択的に固定する構成とすることで、バネ部材による付勢力を段階的に調整可能な構成とすることができる。また例えば、ねじの回転に応じて移動する移動部をホルダに設け、この移動部にバネ固定部を設ける構成とすることにより、ねじの回転に応じてバネ部材による付勢力を連続的に調整することができる。
【0029】
また、本発明においては、トレイカバーの係合突部には、開口部への挿通方向に交差する方向(例えばホルダの壁部に平行な方向)に、平板部を設ける。この平板部は、ホルダの壁部に沿って設けられるバネ部材の押さえとして用いることができ、バネ部材の脱落などを防止でき、トレイカバー及びホルダをより外れ難くすることができる。
また係合突部の平板部に対向する対向部を、ホルダの例えば開口部の周縁部などに設ける。これにより、係合突部が開口部を挿通した後では、平板部及び対向部が当接するため、係合突部が開口部から抜け出すことを防止でき、トレイカバー及びホルダをより外れ難くすることができる。
【0030】
また、本発明においては、バネ部材がトレイカバーの係合突部に係合される位置と、バネ部材がホルダのバネ固定部に固定される位置との間において、バネ部材に当接する当接部をホルダに設ける。これによりバネ部材の移動が規制され、バネ部材による付勢力を高めることができると共に、バネ部材の脱落などを防止できる。
【0031】
また、本発明においては、バネ部材にはその一部を巻回して巻回部分を設け、例えば柱状などの挿通部にバネ部材の巻回部分を挿通して、バネ部材をホルダに固定する構成とする。これにより、バネ部材の固定を容易に行うことができる。
また挿通部に連ねて、バネ部材の移動を係止する係止部を設ける。係止部を適宜の位置に設けることによって、係止部をバネ部材の位置決めに利用することができ、バネ部材の固定をより容易且つ正確に行うことが可能となる。
【0032】
また、本発明においては、トレイカバーには係合突部を2つ設け、ホルダの壁部に開口部を2つ形成し、各係合突部を対応する開口部にそれぞれ挿通させる構成とし、2つの係合突部がバネ部材の両端側に係合し、ホルダのバネ固定部がバネ部材の中央側を固定する構成とする。これによりトレイカバー及びバネ部材が2箇所で係合されるため、トレイカバーの外力に対する耐性が高まり、トレイカバー及びホルダをより外れ難くすることができる。
【0033】
また、本発明においては、トレイカバーの裏面にトレイ側リブを突設する。ディスク装置の筐体には、トレイカバーの裏面に対向する壁部を設け、この壁部に筐体側リブを突設する。トレイ側リブ及び筐体側リブは、トレイ部が筐体内に退入した場合に隣り合うよう、それぞれ突設位置が定められる。これによりディスク装置は、筐体外から出入口を通して塵埃などが侵入する経路中にトレイ側リブ及び筐体側リブを設けることができ、筐体内への塵埃などの侵入を防止することができる。
【0034】
また、本発明においては、トレイ側リブをトレイカバーの裏面縁部分の一周に亘って環状に設ける。同様に、筐体側リブは、トレイ部が挿通する壁部の開口を囲んで環状に設ける。トレイ側リブ及び筐体側リブは、トレイ部が筐体内に退入した場合に、筐体側リブがトレイ側リブ内に収まるように、それぞれ突設位置が定められる。これによりディスク装置は、トレイ部が挿通する開口をトレイ側リブ及び筐体側リブにて閉塞し、筐体内への塵埃などの侵入をより確実に防止することができる。
【0035】
また、本発明においては、トレイカバーの裏面に可撓性のリブを突設する。このリブは、トレイ部が筐体内に退入した場合に、筐体の壁部に当接して撓む。これによりディスク装置は、筐体外から出入口を通して塵埃などが侵入する経路の一部又は全部をリブにて閉鎖することができ、筐体内への塵埃などの侵入を防止することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明による場合は、直線状のバネ部材を用いてトレイカバー及びホルダを連結する構成とすることによって、トレイカバー及びトレイホルダの厚みを薄くすることができ、ディスクトレイの出入の移動量が限られている場合であっても、ディスクの載置位置を前方(ユーザ側)に設けることが可能となるため、ユーザがディスクを載置しやすいディスク装置を実現できる。また直線状のバネ部材を用いることによって、ホルダに対してトレイカバーを柔軟に移動させることができる。またトレイカバーの係合突部をホルダの開口部に挿通し、ホルダのバネ固定部にバネ部材を固定すると共に、トレイカバーの係合突部にバネ部材を係合させる構成とすることにより、組み立てが容易であり、且つ、トレイカバーが外れ難いディスク装置を実現できる。
【0037】
また本発明による場合は、バネ部材による付勢力を調整する手段を設けることにより、バネ部材の付勢力のバラツキによってディスクトレイの収納が阻害される不良の発生頻度を低減することができるため、ディスク装置の歩留まり向上、又は、安価なバネ部材を利用してディスク装置のコストダウン等を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】ディスク装置の外観を示す斜視図である。
【図2】ディスク装置の外観を示す斜視図である。
【図3】ホルダ及びトレイカバーの構成を示す斜視図である。
【図4】ホルダ及びトレイカバーを下方から見た構成を示す平面図である。
【図5】ホルダ及びトレイカバーを下方から見た構成を示す平面図である。
【図6】ホルダの構成を示す一部拡大図である。
【図7】ホルダの構成を示す一部拡大図である。
【図8】ホルダの前面視の構成を示す図である。
【図9】バネ係合リブの構成を示す拡大斜視図である。
【図10】バネ係合リブの構成を示す拡大斜視図である。
【図11】バネ係合リブの構成を示す拡大斜視図である。
【図12】ホルダ及びトレイカバーの組み立てを説明するための図である。
【図13】ホルダ及びトレイカバーの組み立てを説明するための図である。
【図14】ホルダ及びトレイカバーの組み立てを説明するための図である。
【図15】バネ係合リブを矩形開口に挿通する手順を説明するための拡大断面図である。
【図16】トレイカバーをホルダから取り外す手順を説明するための拡大断面図である。
【図17】実施の形態2に係るディスク装置のホルダ及びトレイカバーの構成を示す模式図である。
【図18】実施の形態2のトレイカバーに設けられるバネ係合リブの構成を示す拡大図である。
【図19】実施の形態2の変形例に係るディスク装置のホルダ及びトレイカバーの構成を示す模式図である。
【図20】実施の形態3に係るディスク装置のホルダ及びトレイカバーの構成を示す模式図である。
【図21】実施の形態3に係るディスク装置のホルダ及びトレイカバーの構成を示す模式図である。
【図22】実施の形態3の変形例に係るディスク装置のホルダ及びトレイカバーの構成を示す模式図である。
【図23】実施の形態3の変形例に係るディスク装置のホルダ及びトレイカバーの構成を示す側断面図である。
【図24】実施の形態4に係るディスク装置の外観を示す斜視図である。
【図25】実施の形態4に係るディスク装置の構成を示す側断面図である。
【図26】実施の形態4に係るディスク装置の構成を示す側断面図である。
【図27】実施の形態5に係るディスク装置の外観を示す斜視図である。
【図28】実施の形態5に係るディスク装置の構成を示す側断面図である。
【図29】実施の形態5に係るディスク装置の構成を示す側断面図である。
【図30】図29の一部拡大図である。
【図31】実施の形態5の変形例に係るリブの構成を示す側断面図である。
【図32】実施の形態5の変形例に係るリブの構成を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1及び図2は、ディスク装置の外観を示す斜視図である。図において1は、ディスク装置の筐体である。筐体1は、扁平な直方体状をなしており、細長の一側面(前面)を操作用のスイッチなどが配されたパネル面1aとしてある。ディスク装置は、DVD又はブルーレイディスク等のディスク99に対するデータの読み出し及び/又は書き込み等を行う装置であり、ディスク99が載置されるディスクトレイ10を備えている。筐体1のパネル面1aには、ディスクトレイ10が出入するための左右方向に長い略長方形の出入口2が形成されており、ディスクトレイ10は、筐体1に収納された位置(図1参照)と、筐体1から前方へ最も突出した位置(図2参照)との間を、筐体1内の図示しない搬送機構によって出入口2からスライドして搬送される。
【0040】
ディスクトレイ10は、上面視が略長方形をなす板状のトレイ本体11と、トレイ本体11の突出端に固定されたホルダ20と、ホルダ20に揺動可能に保持されたトレイカバー40とを備えて構成されている。トレイ本体11は、その上面に略円形の凹部12が形成されており、凹部12内にディスク99が載置される。トレイカバー40は、筐体1の出入口2と略同じ長方形状をなす板状部材であり、ディスクトレイ10のトレイ本体11が筐体1内に収納された場合に出入口2を閉塞するためのものである。トレイカバー40によって出入口2を閉塞することによって、筐体1内への塵埃の侵入を防止でき、筐体1内の機械機構から発せられる騒音が外部へ漏れることを防止できる。
【0041】
図3は、ホルダ20及びトレイカバー40の構成を示す斜視図であり、ホルダ20及びトレイカバー40をディスク装置の後下側から見た構成を示してある。また、図4及び図5は、ホルダ20及びトレイカバー40を下方から見た構成を示す平面図であり、ディスクトレイ10が筐体1から外部へ突出した状態でのホルダ20及びトレイカバー40を図4に示し、ディスクトレイ10が筐体1内に収納された状態でのホルダ20及びトレイカバー40を図5に示す。図6及び図7は、ホルダ20の構成を示す一部拡大図であり、ディスク装置の後下側から見た構成を図6に示し、ディスク装置の前上側から見た構成を図7に示してある。図8は、ホルダ20の前面視の構成を示す図である。
【0042】
ホルダ20は、前壁21、後壁22、側壁23、24及び天壁25で囲まれ、底部分が開放された略直方体形の容器状をなす部材であり、合成樹脂などの一体成型品である。ホルダ20の前壁21、後壁22及び天壁25は、側壁23、24の数倍〜十数倍程度の長さを有する長方形状をなしており、その長さはトレイ本体11の左右方向の長さと同程度である。ホルダ20の後壁22には、その上端から後側へ向けて、天壁25と連続するようにひさし部26が延出して設けられている。またホルダ20の後壁22及びひさし部26の左右両端は、その後面及び下面に連結された補強板部26aによりそれぞれ補強されている。各補強板部26aは、ひさし部26の左右後側の端部に沿って略L字型に屈曲して設けられている。
【0043】
ホルダ20の後壁22の後面下端には、左右方向の適宜の2か所に、後側へ突出する爪部22aがそれぞれ設けられている。同様に、ひさし部26の下面後側には、左右方向の適宜の2か所に、下側へ突出する爪部26bがそれぞれ設けられている。後壁22の爪部22a及びひさし部26の爪部26bは、ホルダ20とトレイ本体11とを固定するためのものであり、トレイ本体11の突端部分に設けられた凹部又は溝部等(図示は省略する)に爪部22a及び26bを係合させることによって、ホルダ20をトレイ本体11に対して不動に固定することができる。
【0044】
ホルダ20の前壁21には、左右の両端部近傍に円形開口21aがそれぞれ形成されている。また前壁21には、各円形開口21aと並べて、円形開口21aよりも中央側の位置に、矩形開口21bがそれぞれ形成されている。矩形開口21bは、前壁21の左右方向に長い略矩形をなしている。矩形開口21bの下辺部分の略中央には、略矩形の舌片部21cが上側へ向けて延設されている。
【0045】
前壁21、後壁22、側壁23、24及び天壁25に囲まれたホルダ20の内部は、側壁23、24と略平行に配された2つの内壁27及び2つのU字壁28によって5つの部屋に仕切られている。2つの内壁27は、前壁21の円形開口21a及び矩形開口21bの間の位置に設けられている。また2つのU字壁28は、その下側を上下に長い切欠28aを形成して略U字形としたものであり、矩形開口21bの短辺部分近傍(ただし、前壁21の中央側)に設けられている。
【0046】
またホルダ20の天壁25には、左右方向の中央位置に、後壁22に寄せて、下面視が十字形(+形)をなす柱状のバネ固定部29が、下方へ向けて立設されている。バネ固定部29は、線バネ60を固定するためのものである。線バネ60は、直線状の金属線の中央部分を巻回させ、左右の両端部分を略直角に屈曲させた態様のバネである。線バネ60の巻回部分61をバネ固定部29に挿通させることによって線バネ60がホルダ20に固定される。またバネ固定部29は、その上下方向の中途位置に段部29aが形成されており、段部29aによって線バネ60の上方への移動を規制することによって、線バネ60の上下方向の位置決めを行うようにしてある。
【0047】
トレイカバー40は、前面視が左右方向に長い略長方形をなすカバー板部41と、カバー板部41の後面の左右両端にそれぞれ設けられた側板部42とを備えて構成されており、合成樹脂などの一体成型品である。カバー板部41は、ディスクトレイ10がディスク装置の筐体1内に収納された場合に、筐体1の出入口2を閉塞し、筐体1の外装の一部分をなす。カバー板部41は、ホルダ20の前壁21より一回り大きい略長方形をなしており、カバー板部41の後面とホルダ20の前壁21の前面とが対向するように、トレイカバー40はホルダ20に保持される。
【0048】
トレイカバー40の2つの側板部42は、それぞれ略矩形の板状をなし、カバー板部41の左右両端に対向配置されている。2つの側板部42の間の距離は、ホルダ20の前壁21の左右方向の長さよりも長く、トレイカバー40がホルダ20に保持された状態では、2つの側板部42の間にホルダ20が挟まれた状態となる。
【0049】
トレイカバー40のカバー板部41の後面には、左右の両端部近傍に十字リブ43がそれぞれ突設されている。十字リブ43は、後面視が十字形(+形)をなす先細の柱状であり、2つの十字リブ43間の距離は、ホルダ20の前壁21に形成された2つの円形開口21a間の距離と略等しくしてある。また十字リブ43のサイズは、円形開口21aの直径より小さく、十字リブ43は円形開口21a内に挿入可能にしてある。即ち、ホルダ20がトレイカバー40を保持し、トレイカバー40のカバー板部41の後面とホルダ20の前壁21の前面とが対向した状態では、トレイカバー40の十字リブ43はホルダの円形開口21aに挿入された状態となる。トレイカバー40の十字リブ43及びホルダ20の円形開口21aは、ホルダ20に対するトレイカバー40の上下左右方向に関する位置決めを行うためのものである。
【0050】
またカバー板部41の後面には、各十字リブ43と並べて、十字リブ43よりもカバー板部41の中央側の位置に、バネ係合リブ50がそれぞれ突設されている。2つのバネ係合リブ50の立設位置は、ホルダ20の2つの矩形開口21bに対応した位置であり、ホルダ20がトレイカバー40を保持した状態では、トレイカバー40のバネ係合リブ50がホルダ20の矩形開口21bをそれぞれ挿通する。
【0051】
図9〜図11は、バネ係合リブ50の構成を示す拡大斜視図であり、トレイカバー40のバネ係合リブ50の周辺を拡大した図と、更にバネ係合リブ50を拡大した図とを示してある。バネ係合リブ50は、トレイカバー40のカバー板部41の後面に対して略垂直に突設された矩形板状のベース板部51と、このベース板部51の先端部分を略垂直に下方へ屈曲又は湾曲させた態様で設けられ、カバー板部41の後面に対して略平行に配された平行板部52と、この平行板部52のカバー板部41との対向面に、ベース板部51とは所定の間隔を隔ててカバー板部41へ向けて突設された係合爪部53と、平行板部52の反対面に突設された略直方体形の突出部54とを備えて構成されている。
【0052】
ベース板部51は、トレイカバー40の長手方向(左右方向)に長い略矩形をなし、その中途部分に厚みが変化する段部51aが形成されている。またベース板部51には、トレイカバー40の左右方向について隣接する十字リブ43側の端部に、カバー板部41の後面とベース板部51の根元部分とを直角三角形状の部分で連結した態様のスロープ部51bが設けられている。平行板部52は、ベース板部51と同様にトレイカバー40の左右方向に長い略矩形をなしている。係合爪部53は、ベース板部51から離れた長辺側に、且つ、トレイカバー40の左右方向について、ベース板部51のスロープ部51bが設けられた側と同じ側の平行板部52の端部に、カバー板部41側へ向けて突設されている。係合爪部53は、厚みが徐々に薄くなるように突出端に傾斜を設けた矩形板状をなしている。
【0053】
バネ係合リブ50のベース板部51、平行板部52及び係合爪部53にて三方を囲まれた略U字形の凹所には、ホルダ20のバネ固定部29に固定された線バネ60の端部が係合するようにしてあり、この凹所が線バネ60との係合部をなしている。線バネ60は、トレイカバー40をホルダ20へ向けて付勢する構成であり、その付勢力はバネ係合リブ50の平行板部52に対して加えられる。平行板部52は、線バネ60との接触面積の増大を担うものである。また係合爪部53は、線バネ60がバネ係合リブ50から脱落することを防止するためのものである。
【0054】
図12〜図14は、ホルダ20及びトレイカバー40の組み立てを説明するための図であり、図12から図14へ組立手順を時系列に示してある。なお、図12及び図13には、ホルダ20及びトレイカバー40の下面視の構成を、その一部を破断して示してあり、図14には、ホルダ20、トレイカバー40及び線バネ60の斜視図を示してある。また、図15は、バネ係合リブ50を矩形開口21bに挿通する手順を説明するための拡大断面図であり、図の左側から右側へ挿入手順を時系列に示してある。
【0055】
ホルダ20及びトレイカバー40の組み立て(ホルダ20によるトレイカバー40の保持)を行う場合、まずトレイカバー40の2つの十字リブ43をホルダ20の前壁21に形成された2つの円形開口21aにそれぞれ挿通させると共に、トレイカバー40の2つのバネ係合リブ50をホルダ20の2つの矩形開口21bに挿通させる。その後、線バネ60の巻回部分61をホルダ20のバネ固定部29に固定し、線バネ60の両端部分を矩形開口21bからホルダ20内に挿通されたトレイカバー40の2つのバネ係合リブ50にそれぞれ係合させる。これによりトレイカバー40は、線バネ60を介してホルダ20に揺動可能に保持され、ディスク装置の上下左右方向にトレイカバー40を揺動させることができる。
【0056】
ここで、ベース板部51及び平行板部52の左右方向の長さは、ホルダ20の前壁21に形成された矩形開口21bの左右方向の長さより短い。しかし、平行板部52の上下方向の長さは、矩形開口21bの舌片部21cが設けられていない部分の上下方向の長さより短いが、舌片部21cが設けられている部分の上下方向の長さより若干長い。またトレイカバー40の2つのバネ係合リブ50は、各平行板部52がホルダ20の各矩形開口21bの舌片部21cに対向するように配置されている。よって、平行板部52と舌片部21cとが当接し、容易にバネ係合リブ50を矩形開口21bに挿通させることはできないように構成されている。
【0057】
そこで、平行板部52と舌片部21cとが当接する位置までバネ係合リブ50を矩形開口21bへ挿入した後、トレイカバー40を上方(舌片部21cから離れる方向)へ若干移動させる。次いで、トレイカバー40に力を加えてバネ係合リブ50を撓ませながら(場合によっては、トレイカバー40をホルダ20に対して傾けるなどして)矩形開口21bへ押し込み、平行板部52が矩形開口21bを挿通した後にトレイカバー40を下方へ戻す。
【0058】
トレイカバー40のバネ係合リブ50がホルダ20の矩形開口21bを挿通した後、ホルダ20の前壁21の後側にて、バネ係合リブ50の平行板部52と矩形開口21bの舌片部21cとが対向する。このため、ホルダ20からトレイカバー40を取り外す方向(ホルダ20及びトレイカバー40を離隔する方向)へトレイカバー40を移動させた場合、ホルダ20の前壁21の後側にて、バネ係合リブ50の平行板部52と矩形開口21bの舌片部21cとが当接し、容易にトレイカバー40がホルダ20から取り外すことができないように構成されている。即ち、トレイカバー40のバネ係合リブ50の平行板部52及びホルダ20の舌片部21cは、トレイカバー40の前方への移動を規制し、トレイカバー40のホルダ20からの離脱を防止するためのものである。
【0059】
トレイカバー40の十字リブ43及びバネ係合リブ50をホルダ20の円形開口21a及び矩形開口21bにそれぞれ挿通した後、ホルダ20のバネ固定部29に線バネ60の巻回部分61を固定し、バネ係合リブ50に線バネ60の両端を係合させる。この状態において線バネ60は、トレイカバー40をホルダ20へ接近させる方向(即ちディスク装置の奥方又は後側)へ付勢している。ディスクトレイ10がディスク装置の筐体1内に収納された状態では、トレイカバー40の後面の周縁部分と筐体1の出入口2の周縁部分とが当接し、トレイカバー40の奥方への移動が係止されるが、トレイ本体11及びホルダ20はディスク装置の搬送機構によって更に奥方まで移動される。よってこの状態においては、トレイカバー40とホルダ20とが離隔し、トレイカバー40が線バネ60の付勢力によって筐体1の出入口2に密着し、出入口2が閉塞される(図5参照)。
【0060】
また線バネ60は、前壁21、後壁22、側壁23、24及び天壁25で囲まれたホルダ20内に配される。ホルダ20内はバネ固定部29とバネ係合リブ50が挿通する矩形開口21bとの間にそれぞれU字壁28が設けられており、線バネ60は巻回部分61と左右の端部との途中位置にてU字壁28の切欠28a内を通される。ディスクトレイ10が筐体1内に収納されてトレイカバー40がホルダ20から離隔した状態では、線バネ60がトレイカバー40側へ引っ張られ、線バネ60がU字壁28の切欠28aの内面に当接するよう、U字壁28が構成されている。これにより、U字壁28との当接位置にて線バネ60が湾曲するため、線バネ60によるトレイカバー40の後方への付勢力を高めることができる。
【0061】
図16は、トレイカバー40をホルダ20から取り外す手順を説明するための拡大断面図であり、図の左側から右側へ取り外し手順を時系列に示してある。上述のように、トレイカバー40のバネ係合リブ50をホルダ20の矩形開口21bに挿通させた後は、バネ係合リブ50の平行板部52と矩形開口21bの舌片部21cとが当接するため、トレイカバー40をホルダ20から容易に取り外すことはできない。しかしながらトレイカバー40をホルダ20から取り外す必要が生じる場合もあるため、このような場合には図16に示す手順でトレイカバー40の取り外しを行うことができる。
【0062】
トレイカバー40の取り外しは、まず、前壁21に対して略垂直にトレイカバー40をホルダ20から離隔する方向へ移動させ、バネ係合リブ50の平行板部52とホルダ20の舌片部21cとを当接させる。次いで、舌片部21cの延出端の角部分を支点としてトレイカバー40を下方へ回動させる。ただし、回動の途中でトレイカバー40の突出部54がホルダ20の矩形開口21cの上縁部分に当接し、回動が係止される。この状態でトレイカバー40に対してさらに下方へ力を加え、バネ係合リブ50を撓ませながら矩形開口21bから抜き取ることによって、トレイカバー40をホルダ20から取り外すことができる。なおトレイカバー40のバネ係合リブ50に設けられた突出部54は、トレイカバー40が下方へ回動された場合に、トレイカバー40がホルダ20から容易に取り外されることを防止するためのものである。
【0063】
以上の構成のディスク装置においては、線バネ60がホルダ20及びトレイカバー40の長手方向(左右方向)に配され、ディスクトレイ10のトレイカバー40が線バネ60を介してホルダ20に保持される構成であるため、例えばトレイカバーがコイルバネを介して保持される構成と比較して、ホルダ20及びトレイカバー40の幅(前後方向の距離)を小さくすることができる。また線バネ60を介する構成とすることによって、例えば板バネなどを用いる構成と比較して、ホルダ20に対するトレイカバー40の上下左右方向の揺動を柔軟に行うことができる。
【0064】
また、トレイカバー40に突設されたバネ係合リブ50をホルダ20の前壁21に形成された矩形開口21bに挿通し、前壁21の後側にて、線バネ60の巻回部分61をホルダ20のバネ固定部29に固定すると共に、線バネ60の両端をバネ係合リブ50に係合させる構成とすることによって、線バネ60の取り付けを容易に行うことができ、ホルダ20及びトレイカバー40の組み立て(ホルダ20によるトレイカバー40の保持)を容易に行うことができる。また線バネ60は、ホルダ20の前壁21を間にしてトレイカバー40と反対側に配される構成であり、ホルダ20の矩形開口21bを挿通したバネ係合リブ50に線バネ60が係合される構成であるため、トレイカバー40がホルダ20から離脱し難い。
【0065】
また、トレイカバー40のバネ係合リブ50には、矩形開口21bへの挿通方向に交差する方向(即ち、ホルダ20の前壁21に平行な方向)に平行板部52を設けることにより、ホルダ20の前壁21に沿って設けられる線バネ60の押さえとして平行板部52を用いることができ、線バネ60の脱落などを防止できる。またホルダ20の前壁21には、矩形開口21bの周縁部分に、バネ係合リブ50の平行板部52に対向する舌片部を延設することにより、バネ係合リブ50を矩形開口21bに挿通した後では、平行板部52及び舌片部21cが当接するため、バネ係合リブ50が矩形開口21bから抜け出すことを防止できる。
【0066】
また、線バネ60がバネ係合リブ50に係合される両端位置と、線バネ60がホルダ20のバネ固定部29に固定される巻回部分61との間において、線バネ60に当接するU字壁28をホルダ20に設ける構成とすることにより、ディスクトレイ10が筐体1内に収納されてトレイカバー40がホルダ20から離隔した場合などに、線バネ60がU字壁28に当接して湾曲するため、線バネ60によりトレイカバー40をホルダ20側へ付勢する付勢力を高めることができる。
【0067】
また、線バネ60の中央部分を1回転以上巻回して巻回部分61を設け、ホルダ20の前壁21より後側に設けられた柱状のバネ固定部29に線バネ60の巻回部分を挿通して固定する構成とすることにより、線バネ60の固定を容易に行うことができる。またバネ固定部29には、上下方向の中途位置に段部29aを形成し、段部29aによって線バネ60の上方への移動を規制する構成とすることにより、線バネ60の上下方向の位置決めを容易に行うことができる。
【0068】
また、トレイカバー40にはバネ係合リブ50を左右に2つ設け、ホルダ20の前壁21には矩形開口21bを左右に2つ形成して、2つの矩形開口21bにそれぞれ挿通された2つのバネ係合リブ50に線バネ60の左右両端をそれぞれ係合させると共に、ホルダ20の中央に設けたバネ固定部29に線バネ60の中央の巻回部分61を挿通して固定する構成とすることにより、トレイカバー40が左右両側の2か所で線バネ60と係合されるため、トレイカバー40へ加えられる外力に対する耐性を高めることができ、トレイカバー40及びホルダ20を外れ難くすることができる。
【0069】
なお本実施の形態においては、トレイカバー40の左右両側にバネ係合リブ50をそれぞれ設け、線バネ60との係合を2か所で行う構成としたが、これに限るものではない。例えばトレイカバー40の中央にバネ係合リブ50を1つ設け、ホルダ20の前壁21の中央に1つの矩形開口21bを形成して、矩形開口21bに挿通されたバネ係合リブ50に線バネ60の中央部分を係合させると共に、ホルダ20の左右両側にバネ固定部29をそれぞれ設け、線バネ60の左右両端に巻回部分61を設けてバネ固定部29にそれぞれ固定する構成としてもよい。また、バネ部材として線バネ60を用いる構成としたが、これに限るものではなく、例えば直線状とみなせる程度に細長い板状のバネ又は棒状のバネ等を用いる構成としてもよい。
【0070】
(実施の形態2)
上述の実施の形態1にて説明したように、ディスクトレイ10が筐体1内に収納された状態では、トレイカバー40が筐体1の出入口2の周縁に当接し、トレイカバー40及びホルダ20が離隔すると共に、線バネ60によりトレイカバー40がホルダ20側へ付勢された状態となる(図5参照)。このとき、ディスクトレイ10を収納する搬送機構の力より線バネ60の付勢力が強い場合、搬送機構がトレイ本体11及びホルダ20を筐体1の奥方へ搬送することができない虞がある。そこで実施の形態2に係るディスク装置は、線バネ60による付勢力を調整可能な構成としたものである。
【0071】
図17は、実施の形態2に係るディスク装置のホルダ20及びトレイカバー240の構成を示す模式図である。また図18は、実施の形態2のトレイカバー240に設けられるバネ係合リブ250の構成を示す拡大図であり、図17の破線円で囲んだ部分を拡大して示したものである。実施の形態2に係るディスク装置は、ホルダ20の構成は実施の形態1のものと略同じであるが、トレイカバー240の構成が実施の形態1のトレイカバー40の構成とは異なる。実施の形態2のトレイカバー240のバネ係合リブ250は、トレイカバー240のカバー板部41に立設されたベース板部251に複数のバネ係合溝251a〜251cが形成されている。
【0072】
各バネ係合溝251a〜251cは、トレイカバー240の長手方向(即ちディスク装置の左右方向)に長い溝であり、矩形開口21bに対するバネ係合リブ250の挿入方向(即ちディスク装置の前後方向)へ、バネ係合溝251a、251b、251cの順で形成されている。また3つのバネ係合溝251a〜251cは、略平行に略等間隔でベース板部251に形成されており、各バネ係合溝251a〜251cの幅は線バネ60の太さより若干大きい。
【0073】
線バネ60は、中央の巻回部分61がホルダ20のバネ固定部29に固定され、左右の両端部分はバネ係合リブ250のいずれかのバネ係合溝251a〜251cに係合される。このとき、トレイカバー240のカバー板部41に最も近い(即ち最も前側の)バネ係合溝251aに線バネ60の両端部分が係合された場合、線バネ60によるトレイカバー240をホルダ20側へ(即ち後側へ)付勢する付勢力が最も大きい。逆に、トレイカバー240から最も遠い(即ち最も後側の)バネ係合部251cに線バネ60の両端が係合された場合、線バネ60の付勢力が最も小さい。よって、線バネ60の両端をいずれのバネ係合溝251a〜251cに係合させるかによって、線バネ60の付勢力を段階的に調整することができる。
【0074】
そこで例えば、線バネ60をまずバネ係合部251aに係合して付勢力を最も大きくし、ディスク装置を動作させて搬送機構によりディスクトレイ10を正常に筐体1内へ収納することができた場合には、バネ係合部251aを線バネ60の係合位置と確定することができる。線バネ60の付勢力がディスク装置の搬送機構によるディスクトレイを収納する力より大きく、ディスクトレイ10を筐体1内へ収納することができない場合、線バネ60をバネ係合部251bに係合して付勢力を弱めることができる。バネ係合部251bに係合してもディスクトレイ10を収納することができない場合には、線バネ60をバネ係合部251cに係合して付勢力を更に弱めることができる。
【0075】
以上の構成の実施の形態2に係るディスク装置は、線バネ60によってトレイカバー240をホルダ20側へ付勢する付勢力を調整可能な構成とすることによって、線バネ60の製造バラツキなどによって付勢力にバラツキが生じる場合であっても付勢力を調整することができるため、ディスクトレイ10の筐体1内への収納が阻害される不良を低減できる。なお、本実施の形態2においては、バネ係合リブ250に3つのバネ係合溝251a〜251cを形成する構成としたが、これに限るものではなく、2つ又は4つ以上のバネ係合溝を形成してもよい。また図17及び図18に示したバネ係合リブ250は、平行板部52、係合爪部53及び突出部54等を有していないが、実施の形態1と同様にこれらを有する構成であってよい。
【0076】
なお、実施の形態2に係るディスク装置のその他の構成は、実施の形態1に係るディスク装置の構成と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0077】
(変形例)
上述の実施の形態2のディスク装置は、複数のバネ係合溝251a〜251cを形成することで線バネ60の付勢力を段階的に調整する構成であるが、線バネ60の付勢力を連続的に調整可能な構成とすることもできる。図19は、実施の形態2の変形例に係るディスク装置のホルダ20及びトレイカバー270の構成を示す模式図である。実施の形態2の変形例に係るトレイカバー270のバネ係合リブ280は、ベース板部281に形成された凹所282内に、バネ係合リブ280の矩形開口21bへの挿通方向(即ち前後方向)に移動する略直方体形の移動体283が収容されている。移動体283には、線バネ60の端部を係合させるための係合溝が左右方向に形成されており、その後面にはねじ穴が形成されている。
【0078】
ベース板部281の凹所282を構成する後側の壁には、ねじ284の軸部分が挿通する貫通孔が形成されており、この貫通孔を挿通したねじ284が移動体283のねじ穴に螺合するようにしてある。またベース板部281の突端部には、移動体283に螺合したねじ284がその軸方向へ移動することを防止するねじ止め部285が設けてある。ねじ止め部285は、例えばねじ284の頭部分の一部に当接することによって、凹所282を構成する後側の壁とねじ止め部285でねじ284の頭部分を挟み込む。
【0079】
以上の構成により、ねじ284を回転させることによって、ねじ284に螺合する移動体283を、ねじ284の軸方向(即ち、ディスク装置の前後方向)へ移動させることができる。移動体283の位置を前後方向へ調整することによって、移動体283の係合溝に係合した線バネ60の付勢力を調整することができる。この構成では、移動体283の位置をねじ284の回転によって連続的に調整することができるため、線バネ60の付勢力を連続的に調整することができる。
【0080】
(実施の形態3)
上述の実施の形態2に係るディスク装置は、線バネ60の左右両端の係合位置を調整することで付勢力の調整を行う構成であるが、付勢力の調整方法はこれに限るものではない。実施の形態3に係るディスク装置は、線バネ60のホルダ20に対する固定位置を調整することによって付勢力の調整を行う構成である。図20及び図21は、実施の形態3に係るディスク装置のホルダ320及びトレイカバー40の構成を示す模式図である。実施の形態3に係るディスク装置は、トレイカバー40の構成は実施の形態1のものと略同じであるが、ホルダ320の構成が実施の形態1のホルダ20の構成とは異なる。
【0081】
実施の形態3のホルダ320は、複数のバネ固定部329a〜329cを有している。各バネ固定部329a〜329cは、実施の形態1のバネ固定部29と略同じ形状であり、下面視が十字形(+形)の柱状をなしており、中途位置に段部29aが形成されている。また複数のバネ固定部329a〜329cは、ディスク装置の左右方向の略中央に、前後方向へ略等間隔で並べて設けられている。線バネ60は、中央の巻回部分61がいずれかのバネ固定部329a〜329cに固定され、左右の両端部分がホルダカバー40のバネ係合リブ50にそれぞれ係合される。
【0082】
線バネ60の巻回部分61が、最も後側のバネ固定部329aに固定された場合、線バネ60によるトレイカバー40をホルダ320側へ(即ち後側へ)付勢する付勢力が最も大きい。逆に、最も前側のバネ固定部329cに線バネ60の巻回部分61を固定した場合、線バネ60の付勢力が最も小さい。よって、線バネ60の巻回部分61をいずれのバネ固定部329a〜329cに固定するかによって、線バネ60の付勢力を段階的に調整することができる。
【0083】
そこで例えば、線バネ60の巻回部分61をバネ固定部329aに固定して付勢力を最も大きくし(図20参照)、ディスク装置を動作させて搬送機構によりディスクトレイ10を正常に筐体1内へ収納することができた場合には、バネ固定部329aを線バネ60の固定位置と確定することができる。線バネ60の付勢力がディスク装置の搬送機構によるディスクトレイを収納する力より大きく、ディスクトレイ10を筐体1内へ収納することができない場合、線バネ60の巻回部分61をバネ固定部329bに固定して付勢力を弱めることができる。バネ固定部329bに固定してもディスクトレイ10を収納することができない場合には、線バネ60の巻回部分61をバネ固定部329cに固定して(図21参照)、付勢力をさらに弱めることができる。
【0084】
以上の構成の実施の形態3に係るディスク装置は、線バネ60によってトレイカバー40をホルダ320側へ付勢する付勢力を調整可能な構成とすることによって、線バネ60の製造バラツキなどによって付勢力にバラツキが生じる場合であっても付勢力を調整することができるため、ディスクトレイ10の筐体1内への収納が阻害される不良を低減できる。なお、実施の形態3においては、ホルダ320に3つのバネ固定部329a〜329cを設ける構成としたが、これに限るものではなく、2つ又は4つ以上のバネ固定部を設けてもよい。
【0085】
また、実施の形態2のトレイカバー240と実施の形態3のホルダ320とを組み合わせて用いることにより、バネ係合リブ250のバネ係合溝251a〜251c及び線バネ60の左右両端の係合位置の調整と、ホルダ320のバネ固定部329a〜329c及び線バネ60の巻回部分61の固定位置の調整との両方を行うことができる構成としてもよい。
【0086】
なお、実施の形態3に係るディスク装置のその他の構成は、実施の形態1に係るディスク装置の構成と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0087】
(変形例)
上述の実施の形態3のディスク装置は、複数のバネ固定部329a〜329cをホルダ320に設けることで線バネ60の付勢力を段階的に調整する構成であるが、線バネ60の付勢力を連続的に調整可能な構成とすることもできる。図22は、実施の形態3の変形例に係るディスク装置のホルダ380及びトレイカバー40の構成を示す模式図である。また図23は、実施の形態3の変形例に係るディスク装置のホルダ380及びトレイカバー40の構成を示す側断面図であり、ホルダ380及びトレイカバー40の左右方向の略中央での断面を示したものである。
【0088】
実施の形態3の変形例に係るホルダ380は、略中央に左右をガイドリブ381で仕切られ、前後を前壁21及び後壁22で仕切られた凹所が設けられており、この凹所内に前後方向へ移動可能な移動体382が収容されている。移動体382は、略長方形の板体を屈曲させた態様の部材であり、前板部、天板部及び後板部を有している。移動体382の前板部の下端面には、前板部より細い略長方形をなす板状の突起が下方へ突出して設けられており、この突起をバネ固定部383としてある。バネ固定部383には、線バネ60の巻回部分61が挿通され、これにより線バネ60が固定される。
【0089】
また移動体382の後板部には、ねじ384の軸部が挿通する貫通孔が形成されている。同様にホルダ380の後壁22には、ねじ384の軸部が挿通する貫通孔が形成されており、ねじ384をホルダ380の後側から後壁22の貫通孔に挿通し、ホルダ380の凹所内に収容された移動体382の後板部の貫通孔に挿通することができるようにしてある。ホルダ380及び移動体382を挿通したねじ384には、ナット386が螺合される。また移動体382の後板部とホルダ380の後壁22との間には、これらを離隔する方向へ付勢する付勢部材385が介装されており、これによりねじ384の軸方向への移動が係止される。移動体382は、その後板部がナット386及び付勢部材385に挟まれて前後方向の位置が決定される。
【0090】
以上の構成により、ねじ384を回転させることによって、ねじ384に螺合するナット386を前後方向へ移動させることができ、ナット386及び付勢部材385に挟まれた移動体382を前後方向へ移動させることができる。移動体382の位置を前後方向へ調整することによって、移動体382のバネ固定部383に固定された線バネ60の付勢力を調整することができる。この構成では、移動体382の位置をねじ384の回転によって連続的に調整することができるため、線バネ60の付勢力を連続的に調整することができる。
【0091】
(実施の形態4)
図24は、実施の形態4に係るディスク装置の外観を示す斜視図である。また図25及び図26は、実施の形態4に係るディスク装置の構成を示す側断面図である。なお、図24及び図25にはディスクトレイ10が筐体1から外部へ突出した状態を示し、図26にはディスクトレイ10が筐体1内に収納された状態を示してある。
【0092】
実施の形態4に係るディスク装置は、実施の形態1に係るディスク装置と同様に、筐体1の出入口2から出入するディスクトレイ10を備えている。ディスクトレイ10は、ディスク99を載置するトレイ本体11と、トレイ本体11の突出端に固定されたホルダ20と、ホルダ20に揺動可能に保持されたトレイカバー440とを備えて構成されている。実施の形態4に係るディスク装置のトレイ本体11及びホルダ20の構成は、実施の形態1に係るディスク装置のトレイ本体11及びホルダ20と同じ構成である。
【0093】
また実施の形態4に係るディスク装置のホルダ20によるトレイカバー440の保持構造は、実施の形態1に係るディスク装置のホルダ20によるトレイカバー40の保持構造と同じ構成である。即ち、図24〜図26にて図示は省略するが、トレイカバー440に突設されたバネ係合リブ50を、ホルダ20の前壁21に形成された矩形開口21bに挿通し、ホルダ20のバネ固定部29に固定された線バネ60に係合させる構成である。
【0094】
実施の形態4に係るディスク装置のトレイカバー440は、カバー板部41の後面(裏面)の縁部分には、後方へ突出してリブ442が設けられている。リブ442は、カバー板部41の周囲の一周に亘って設けられており、カバー板部41の後面視で略長方形の環状をなしている。ホルダ20がトレイカバー440を保持した状態においては、ホルダ20の前壁21がトレイカバー440のリブ442内に収まる。
【0095】
また実施の形態4に係るディスク装置の筐体1は、出入口2から奥方に、上下左右の周壁及び奥方の奥壁403に囲まれた凹所402が設けてある。奥壁403は、筐体1のパネル面1aと略平行に設けられ、トレイカバー440の裏面に対向するように設けられている。また奥壁403には、左右に長い略長方形の開口403aが形成されている。開口403aは、ディスクトレイ10のトレイ本体11及びホルダ20が挿通可能な大きさである。ディスクトレイ10は、開口403aを挿通して、出入口2から筐体1の内外へ出入りするように設けられている。なお凹所402内には、開口403a以外に、筐体1の内部へ通じる経路は設けられていない。
【0096】
また筐体1の奥壁403には、開口403aの周囲に、リブ404が前方へ向けて突設してある。リブ404は、開口403aの周囲の一周に亘って設けられており、筐体1の前面視で略長方形の環状をなしている。
【0097】
ディスクトレイ10が筐体1内へ収納された場合、トレイ本体11及びホルダ20は開口403aを挿通して筐体1の更に奥方へ没入する。このときトレイカバー440は、凹所402内に収容され、リブ442の突端部が凹所402の奥壁403に当接する(ただし、当接しなくてもよい)。またこのとき、奥壁403のリブ404とトレイカバー440のリブ442とが隣り合い、奥壁403のリブ404はトレイカバー440のリブ442内に収まる。
【0098】
以上の構成の実施の形態4に係るディスク装置は、ディスクトレイ10を筐体1内へ収納した場合に、トレイカバー440のリブ442及び筐体1のリブ404が、奥壁403の開口403aを閉塞する。この構成によりディスク装置は、ディスクトレイ10を収納した状態において、筐体1内に塵埃などが侵入することを防止できる。
【0099】
なお本実施の形態においては、筐体1の出入口2の奥方に凹所402を設け、凹所402の奥壁403に形成した開口403aをリブ442及び404にて閉塞する構成としたが、これに限るものではない。例えば筐体1の出入口2を囲んでリブ404を設け、リブ442及び404にて出入口2を閉塞する構成としてもよい。また、リブ442はトレイカバー440のカバー板部41の裏面縁部分の一周に亘って設ける構成としたが、これに限るものではない。例えばカバー板部41の裏面の上辺側のみなど、リブ442はカバー板部41の裏面縁部分の一部に設ける構成としてもよい。同様に、リブ404は奥壁403の開口403aの周囲の一周に亘って設ける構成としたが、これに限るものではない。例えば開口403aの上側のみなど、リブ404は開口403aの周囲の一部に設ける構成としてもよい。
【0100】
また、実施の形態4に係るディスク装置のその他の構成は、実施の形態1に係るディスク装置の構成と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0101】
(実施の形態5)
図27は、実施の形態5に係るディスク装置の外観を示す斜視図である。図28及び図29は、実施の形態5に係るディスク装置の構成を示す側断面図である。なお、図27及び図28にはディスクトレイ10が筐体1から外部へ突出した状態を示し、図29にはディスクトレイ10が筐体1内に収納された状態を示してある。また図30は、図29の一部拡大図であり、図29の破線円で囲んだ部分を拡大したものである。
【0102】
実施の形態5に係るディスク装置は、実施の形態1に係るディスク装置と同様に、筐体1の出入口2から出入するディスクトレイ10を備えている。ディスクトレイ10は、ディスク99を載置するトレイ本体11と、トレイ本体11の突出端に固定されたホルダ20と、ホルダ20に揺動可能に保持されたトレイカバー540とを備えて構成されている。実施の形態5に係るディスク装置のトレイ本体11及びホルダ20の構成は、実施の形態1に係るディスク装置のトレイ本体11及びホルダ20と同じ構成である。
【0103】
また実施の形態5に係るディスク装置のホルダ20によるトレイカバー540の保持構造は、実施の形態1に係るディスク装置のホルダ20によるトレイカバー40の保持構造と同じ構成である。即ち、図27〜図29にて図示は省略するが、トレイカバー540に突設されたバネ係合リブ50を、ホルダ20の前壁21に形成された矩形開口21bに挿通し、ホルダ20のバネ固定部29に固定された線バネ60に係合させる構成である。
【0104】
実施の形態5に係るディスク装置のトレイカバー540は、カバー板部41の後面(裏面)に、4つのリブ542が後方へ突出して設けられている。カバー板部41の後面は左右方向に長い略長方形をなしており、4つのリブ542はこの後面の四辺に沿ってそれぞれ設けられている。ホルダ20がトレイカバー540を保持した状態においては、ホルダ20の前壁21が4つのリブ542に囲まれる。
【0105】
各リブ542は、カバー板部41の後面の各辺に沿って長い略長方形の板状をなしている。各リブ542は、カバー板部41の裏面から、この裏面の外側へ向けた傾斜を設けて、後方へ突設されている。また各リブ542の突出端部には、曲面542aが形成してある。トレイカバー540は、合成樹脂による一体成型品であり、各リブ542は可撓性を有している。このため各リブ542は、例えばカバー板部41の裏面の外側へ向けて撓ませることが可能である。
【0106】
また実施の形態5に係るディスク装置の筐体1は、出入口2から奥方に、上下左右の周壁及び奥方の奥壁503に囲まれた凹所502が設けてある。奥壁503は、筐体1のパネル面1aと略平行に設けられ、トレイカバー540の裏面に対向するように設けられている。また奥壁503には、左右に長い略長方形の開口503aが形成されている。開口503aは、ディスクトレイ10のトレイ本体11及びホルダ20が挿通可能な大きさである。ディスクトレイ10は、開口503aを挿通して、出入口2から筐体1の内外へ出入りするように設けられている。なお凹所502内には、開口503a以外に、筐体1の内部へ通じる経路は設けられていない。
【0107】
ディスクトレイ10が筐体1内へ収納された場合、トレイ本体11及びホルダ20は開口503aを挿通して筐体1の更に奥方へ没入する。このときトレイカバー540は、凹所502内に収容され、リブ542の突端の曲面542aが凹所502の奥壁503に当接する。またこのとき、実施の形態5に係るディスク装置は、トレイカバー540のリブ542が奥壁503に当接して撓む程度の力でディスクトレイ10を奥方へ没入させる。トレイカバー540の各リブ542は、凹所502の奥壁503に当接した状態で、カバー板部41の外側へ向けて撓む(図30の矢印参照)。
【0108】
以上の構成の実施の形態5に係るディスク装置は、ディスクトレイ10を筐体1内へ収納した場合に、トレイカバー540の4つのリブ542が筐体1の奥壁503に当接して撓み、開口503aを閉塞する。この構成によりディスク装置は、ディスクトレイ10を収納した状態において、筐体1内に塵埃などが侵入することを防止できる。
【0109】
なお本実施の形態においては、トレイカバー540のリブ542を当接させる当接面(奥壁503)を出入口2の奥方の筐体1内部に設ける構成としたが、これに限るものではない。例えば、出入口2の周辺部分にリブ542を当接させる当接面を設けてもよい。また、リブ542をトレイカバー540に4つ設ける構成としたが、これに限るものではない。トレイカバー540に3つ以下のリブ542を設ける構成としてもよい。トレイカバー540に1つのリブ542を設ける場合、カバー板部41の裏面の上辺に沿ってリブ542を設けることが望ましい。また、各リブ542は、奥壁503に当接した場合に、カバー板部41の裏面の外側へ向けて撓む構成としたが、内側へ向けて撓む構成であってもよい。また、リブ542は合成樹脂製とし、カバー板部41と一体成型する構成としたが、これに限るものではない。リブ542は、カバー板部41と別体であってよく、例えば金属製など可撓性を有する別の素材であってよい。また図27〜図30に示したリブ542の形状は一例であって、これに限るものではない。
【0110】
また、実施の形態5に係るディスク装置のその他の構成は、実施の形態1に係るディスク装置の構成と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0111】
(変形例)
図31及び図32は、実施の形態5の変形例に係るリブ590の構成を示す側断面図である。なお、図31にはリブ590が撓んでいない状態を示し、図32にはリブ590が撓んだ状態を示してある。
【0112】
変形例のリブ590は、トレイカバー540のカバー板部41の後面から後方へ突設されている。リブ590は、カバー板部41の後面の一辺に沿って長い略長方形の板体を、カバー板部41から後方の突出端に至るまでに、後面の一辺に平行な方向に複数個所で折り曲げた態様をなしている。
【0113】
詳しくは、リブ590は、第1部分591〜第5部分595を有している。第1部分591は、カバー板部41の裏面から、この裏面の外側へ向けて所定の傾斜を設けて、後方へ突出した部分である。第2部分592は、第1部分591の端部から、カバー板部41の裏面に略平行に、カバー板部41の外側へ向けて屈曲した部分である。第3部分593は、第2部分592の端部から、略垂直に後方へ屈曲した部分である。第4部分594は、第3部分593の端部から、カバー板部41の裏面の外側へ向けて所定の傾斜(第1部分591と略同じ傾斜)を設けて、屈曲した部分である。第5部分595は、第4部分594の端部に、側断面が略円形となるよう、突端部分に曲面595aを設けた部分である。
【0114】
ディスクトレイ10が筐体1内へ収納された場合、トレイ本体11及びホルダ20は開口503aを挿通して筐体1の更に奥方へ没入する。このときトレイカバー540は、凹所502内に収容され、リブ590の第5部分595の曲面595aが凹所502の奥壁503に当接する。奥壁503に当接したリブ590は、カバー板部41の外側へ向けて撓む(図32の矢印参照)。
【0115】
このように、カバー板部41の裏面に対して略平行な第2部分592及び略垂直な第3部分593を設けることによって、リブ590は、図31の矢印に示すように、前後方向及び上下方向に撓みやすくなる。
【符号の説明】
【0116】
1 筐体
1a パネル面
2 出入口
10 ディスクトレイ
11 トレイ本体(トレイ部)
20 ホルダ
21 前壁(壁部)
21a 円形開口
21b 矩形開口(開口部)
21c 舌片部(対向部)
22 後壁
23、24 側壁
25 天壁
28 U字壁(当接部)
28a 切欠
29 バネ固定部(挿通部)
29a 段部(係止部)
40 トレイカバー
41 カバー板部
43 十字リブ
50 バネ係合リブ(係合突部)
51 ベース板部
52 平行板部(平板部)
53 係合爪部
54 突出部
60 線バネ(バネ部材)
61 巻回部分
99 ディスク
240 トレイカバー
250 バネ係合リブ(係合突部)
251a〜251c バネ係合溝(調整手段、係合部)
280 バネ係合リブ(係合突部)
281 ベース板部
282 凹所
283 移動体(調整手段、移動部)
284 ねじ(調整手段)
285 ねじ止め部
320 ホルダ
329a〜329c バネ固定部(調整手段)
380 ホルダ
381 ガイドリブ
382 移動体(調整手段、移動部)
383 バネ固定部
384 ねじ(調整手段)
385 付勢部材
386 ナット
402 凹所
403 奥壁(壁部)
403a 開口
404 リブ(筐体側リブ)
440 トレイカバー
442 リブ(トレイ側リブ)
502 凹所
503 奥壁(壁部)
503a 開口
540 トレイカバー
542 リブ
542a 曲面
590 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の出入口から出入し、ディスクが載置されるトレイ部と、該トレイ部の進出方向の端部に固定されたホルダと、該ホルダに保持され、前記トレイ部が前記筐体内に退入した場合に前記出入口を塞ぐ板状のトレイカバーとを備えるディスク装置において、
前記ホルダ及び前記トレイカバーの間に介在する直線状のバネ部材を備え、
前記トレイカバーは、該トレイカバーの裏面に突設され、前記バネ部材を係合させる係合突部を有し、
前記ホルダは、
前記係合突部を挿通させる開口部が形成され、前記トレイカバーに対向配置される壁部と、
前記壁部を間にして前記トレイカバーとは反対側に設けられ、前記バネ部材を固定するバネ固定部と
を有し、
前記バネ部材は、前記壁部に沿って配され、前記バネ固定部に固定されると共に、前記開口部を挿通した前記係合突部に係合され、前記トレイカバーを前記ホルダ側へ付勢するようにしてあること
を特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記バネ部材の付勢力を調整する調整手段を更に備えること
を特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記調整手段は、前記係合突部に設けられ、前記バネ部材との係合位置を変更可能にしてあること
を特徴とする請求項2に記載のディスク装置。
【請求項4】
前記係合突部には、前記バネ部材と係合する複数の係合部が設けられていること
を特徴とする請求項3に記載のディスク装置。
【請求項5】
前記係合突部には凹所が形成してあり、
該凹所内に移動可能に収容され、ねじ穴が形成された移動部と、
該移動部のねじ穴に螺合されたねじと
を備え、
前記移動部に前記バネ部材と係合する係合部が設けられていること
を特徴とする請求項3に記載のディスク装置。
【請求項6】
前記調整手段は、前記ホルダに設けられ、前記バネ固定部による前記バネ部材の固定位置を変更可能にしてあること
を特徴とする請求項2から請求項5までのいずれか1つに記載のディスク装置。
【請求項7】
前記ホルダには、前記バネ固定部が複数設けられていること
を特徴とする請求項6に記載のディスク装置。
【請求項8】
前記ホルダには凹所が形成してあり、
該凹所内に移動可能に収容され、ねじ穴が形成された移動部と、
該移動部のねじ穴に螺合されたねじと
を備え、
前記バネ固定部は、前記移動部に設けてあること
を特徴とする請求項6に記載のディスク装置。
【請求項9】
前記係合突部には、前記開口部への挿通方向に交差する方向に長い平板部が設けられていること
を特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1つに記載のディスク装置。
【請求項10】
前記ホルダの前記壁部には、前記開口部に挿通された前記係合突部の前記平板部に対向する対向部が設けられていること
を特徴とする請求項9に記載のディスク装置。
【請求項11】
前記ホルダに設けられ、前記バネ部材の前記係合突部による係合位置及び前記バネ固定部による固定位置の間にて、前記バネ部材に当接する当接部を更に備えること
を特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1つに記載のディスク装置。
【請求項12】
前記バネ部材には巻回部分が設けられており、
前記バネ固定部は、
前記バネ部材の巻回部分を挿通する挿通部と、
該挿通部に連ねて設けられ、前記バネ部材の前記挿通部への挿通方向の移動を係止する係止部と
を有すること
を特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1つに記載のディスク装置。
【請求項13】
前記係合突部は、前記トレイカバーに2つ設けられ、
前記バネ部材は、
中央側にて前記バネ固定部に固定され、
両端側にて2つの前記係合突部に係合するようにしてあること
を特徴とする請求項1から請求項12までのいずれか1つに記載のディスク装置。
【請求項14】
前記トレイカバーの裏面に突設されたトレイ側リブと、
前記筐体に設けられ、前記トレイ部が前記筐体内に退入した場合に、前記トレイカバーの裏面に対向する壁部と、
該壁部に突設された筐体側リブと
を備え、
前記トレイ部が前記筐体内に退入した場合に、前記トレイ側リブ及び前記筐体側リブが隣り合うようにしてあること
を特徴とする請求項1から請求項13までのいずれか1つに記載のディスク装置。
【請求項15】
前記トレイ側リブは、前記トレイカバーの裏面縁部分の一周に亘って環状に設けてあり、
前記壁部は、前記トレイ部が挿通する開口が形成してあり、
前記筐体側リブは、前記開口を囲んで環状に設けてあり、
前記トレイ部が前記筐体内に退入した場合に、前記筐体側リブが前記トレイ側リブ内に収まるようにしてあること
を特徴とする請求項14に記載のディスク装置。
【請求項16】
前記トレイカバーの裏面に突設された可撓性を有するリブと、
前記筐体に設けられ、前記トレイ部が前記筐体内に退入した場合に、前記トレイカバーの裏面に対向する壁部と
を備え、
前記トレイ部が前記筐体内に退入した場合に、前記リブが前記壁部に当接するようにしてあること
を特徴とする請求項1から請求項13までのいずれか1つに記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−234612(P2012−234612A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−278767(P2011−278767)
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】