説明

ディスプレイパネル

【課題】コントラストを向上させたディスプレイパネルを提供する。
【解決手段】ディスプレイパネルは、観察者側から発光体層側へ向けて順に特定の直線偏光の光を透過させる直線偏光板27と、可視光に対して透明な前面基板26と、前面基板の観察者側及び発光体側の少なくとも一方に配置され、直線偏光板を透過する光の偏光方向と同一方向の直線偏光を選択透過し他の方向の偏光を反射させる透過反射分離層22と、発光体層を保持する背面基板11とを備え、透過反射分離層22は、偏光方向に対して直交する面で切断したときの断面が波状の周期構造を有し当該周期が可視光の波長以下である第1の周期的構造層と、第1の周期的構造層と同様の波状の周期的構造を有し第1の周期的構造層とは異なる屈折率を持つ第2の周期的構造層とを含み、第1及び第2の周期的構造層が方向を一致させて複数積層される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイパネルに関し、より特定的には外光の入射によるコントラストの低下が低減されたディスプレイパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CRTディスプレイに代わるフラットディスプレイへの期待が高まり、奥行きを抑えた薄型の液晶ディスプレイやプラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)等が普及しつつある。特に、大画面の薄型ディスプレイにはPDPが用いられることも多い。しかし、PDPは液晶ディスプレイと比べてコントラストが低いことが問題とされている。例えば、蛍光灯の下や太陽光など明るい場所にPDPが設置されると、蛍光体層が形成された発光部内部に外光が入射して反射されるため、コントラストがより低下するという問題があった。
【0003】
これに対して、発光部の観察者側の面に透過率の低いフィルタが配置されたPDPが知られている。かかるPDPにおいて、外光はフィルタを透過した後、プラズマ発光部で反射され、再度フィルタを透過して観察者により観察される。一方、プラズマ発光部から発光された映像光は一度だけフィルタを透過して観察者により観察される。このように、外光は透過率の低いフィルタを二度透過することになるので、映像光と比べてフィルタによる影響を大きく受ける。すなわち、外光の光量低下は映像光よりも大きくなるので、明るい場所でのコントラストの低下を軽減できる。
【0004】
また、明るい場所でも高いコントラストを実現する別の方法として、例えば特許文献1の自己発光型ディスプレイが提案されている。特許文献1の自己発光型ディスプレイは、直線偏光板と透過反射分離層を備えており、蛍光体層からの光は透過反射分離層により透過光と反射光に分離される。反射光は再度蛍光体層に到達するが、このとき、反射光の偏光の角度は変化する。蛍光体層で反射された反射光は再び透過反射分離層により透過光と反射光に分離される。このような構成により特許文献1の自己発光型ディスプレイは、蛍光体層から発光された光を効率よく射出でき、外光を1/2に減衰することができるとしている。
【特許文献1】特開2002―207433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、外光が発光部内部に入射することを防ぐために透過率の低いフィルタを発光部前面に配置すると、観察されるべき映像光もフィルタにより減衰されるため、パネル輝度が低下するという問題があった。
【0006】
また、特許文献1の自己発光型ディスプレイは反射分離層が蛍光体層から離れた位置に配置されるため、反射光が広がり蛍光体層に入射し、観察すべき映像の鮮鋭度が低下するという問題があった。
【0007】
そこで本発明の目的は、コントラストを向上させたディスプレイパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、以下の構成を備えるディスプレイパネルによって達成される。ディスプレイパネルは、
観察者側から発光体層側へ向けて順に、
特定の直線偏光の光を透過させる直線偏光板と、
可視光に対して透明な前面基板と、
前面基板の観察者側及び発光体側の少なくとも一方に配置され、直線偏光板を透過する光の偏光方向と同一方向の直線偏光を選択透過し、他の方向の偏光を反射させる透過反射分離層と、
発光体層を保持する背面基板とを備え、
透過反射分離層は、偏光方向に対して直交する面で切断したときの断面が波状の周期構造を有し当該周期が可視光の波長以下である第1の周期的構造層と、第1の周期的構造層と同様の波状の周期的構造を有し第1の周期的構造層とは異なる屈折率を持つ第2の周期的構造層とを含み、第1及び第2の周期的構造層が方向を一致させて複数積層される。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、コントラストを向上させたディスプレイパネルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(実施の形態)
本実施の形態のディスプレイパネルについて図面を参照しながら説明する。図1は、ディスプレイパネルの概略断面図である。図1中、ディスプレイパネルは、互いに離隔して配置される前面ガラス基板26と背面ガラス基板11とを備えている。前面ガラス基板26と背面ガラス基板11との間の空間にはプラズマ放電を発生させる放電空間が形成されている。放電空間にはヘリウム(He)、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)、アルゴン(Ar)などを混合した放電ガスが封入される。放電空間は隔壁12により複数の区画に仕切られており、単位発光領域となる複数の放電セルが形成されている。そして3つの隣り合う放電セルの内壁及び側面に、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各蛍光体が放電セル毎に色分け塗布され蛍光体層13が形成される。
【0011】
前面ガラス基板26は、観察者側に所定の直線偏光の角度を有する光のみを透過させる直線偏光板27が貼りあわされ、放電セル側に透明電極25と電極24とが形成される。そして透明電極25及び電極24を覆うように誘電体層23が形成される。また、観察者側から放電セル側に向けて順に、誘電体層23に接するように積層層22が形成され、さらに積層層22に接するように保護層21が形成されている。このように、従来のディスプレイパネルと比較して、積層層22は蛍光体層13により近い位置に配置される。
【0012】
背面ガラス基板11は、前面ガラス基板26と離隔して配置され、観察者側から順に放電セルと、維持電極28を含む絶縁体層とが形成される。
【0013】
図2は、積層層22の構成を示す拡大概略図、図3は積層層22の斜視図である。積層層22は、直線偏光板27が透過する光の偏光方向と同一方向の直線偏光を選択透過し、他の方向の偏光を反射する。図2、3に示すように、積層層22は、断面が波状の周期構造を有し可視光の波長以下の周期で配列された周期的構造層221,222が積層されている。ここで、周期的構造層は、屈折率の異なる第1の周期的構造層221と第2の周期的構造層222を含み、それぞれ方向を一致させて交互に複数積層される。本実施の形態では、積層層22には100層以上の周期的構造層が積層されている。また、第1の周期的構造層221及び第2の周期的構造層222は、例えばガラスからなり、300nm以下のピッチで配列される。なお、第1の周期的構造層221及び第2の周期的構造層222の厚みは1μm以下であることが好ましい。より好ましくは厚みが0.5μm以下である。
【0014】
このように構成されたディスプレイパネルにおいて、電極間に電圧が印加されると、放電セルに放電が発生し、励起された例えば混合ガス中のヘリウム(He)原子から紫外線が生じる。そして蛍光体層13が励起されて可視光が発生し表示動作が行われ、画像が表示される。
【0015】
次に、ディスプレイパネルにおける外光及び映像光の光路について説明する。放電セルの蛍光体層13で発光した映像光は、まず保護層21を透過した後、積層層22に到達し、透過光と反射光に分離される。透過光は、誘電体層23及び前面ガラス基板26を透過し、直線偏光板27を透過して観察者に到達する。一方、反射光は蛍光体層13に戻りランダム偏光に変換されて反射した後、再度積層層22に入射する。積層層22では先ほどと同様に、入射した光は透過光と反射光に分離される。この過程が繰り返されることにより、反射光は偏光の角度が変化し、積層層22を透過することになる。したがって、蛍光体層13で発光したランダムな偏光方向の映像光は最終的に全て直線偏光に変換されて積層層22及び直線偏光板27を透過する。また、ディスプレイパネルの観察者側には、直線偏光板27が設けられているので、ランダムな偏光方向を有する外光は遮光される。これにより、外光が蛍光体層13に入射することによるコントラストの低下を低減することができる。
【0016】
以上のように、本実施の形態のディスプレイパネルは、特定の偏光方向の光を透過させる直線偏光板と、直線偏光板と同一方向の光のみを透過する積層層を備える。この構成により、外光が放電セル内部に入射することを防止する。また、発光された映像光は、積層層と蛍光体層との間で多重反射されて偏光の角度が変化することから、ディスプレイパネルの外部に出射される。したがって、外光によるコントラスト低下は低減され、パネル輝度も増大させることができる。特に、本実施の形態では、積層層が蛍光体層と近い位置に配置されるので、映像光の鮮鋭度が低下することを抑制できる。
【0017】
また、本実施の形態では、ガラスからなる周期的構造層を用いているので、製造上高温にさらされる、前面ガラス基板の蛍光体層側に配置しても影響がない。
【0018】
なお、本実施の形態において、第1及び第2の周期的構造層にはガラス材料を用いたが、これに限られない。例えば、屈折率の高い周期的構造層に酸化マグネシウム(MgO)材料を用いてもよい。図4は、周期的構造層221の材料を酸化マグネシウムにした場合の積層層の構成を示す概略拡大図である。これにより、周期的構造層を保護層として機能させることができ、保護層を形成する工程が不要となるのでコストを削減でき、また従来よりもコンパクトなディスプレイパネルを実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、コントラストの向上が要望されるCRTディスプレイやプラズマディスプレイなどの映像表示部等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態に係るディスプレイパネルの概略断面図
【図2】実施の形態に含まれる積層層の構成を示す拡大概略図
【図3】実施の形態に含まれる積層層の斜視図
【図4】実施の形態に含まれる積層層の構成を示す概略拡大図
【符号の説明】
【0021】
11 背面ガラス基板
12 隔壁
13 蛍光体層
21 保護層
22 積層層
23 誘電体層
24 電極
25 透明電極
26 前面ガラス基板
27 直線偏光板
28 維持電極
221 第1の周期的構造層
222 第2の周期的構造層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察者側から発光体層側へ向けて順に、
特定の直線偏光の光を透過させる直線偏光板と、
可視光に対して透明な前面基板と、
前記前面基板の観察者側及び発光体側の少なくとも一方に配置され、前記直線偏光板を透過する光の偏光方向と同一方向の直線偏光を選択透過し、他の方向の偏光を反射させる透過反射分離層と、
前記発光体層を保持する背面基板とを備え、
前記透過反射分離層は、前記偏光方向に対して直交する面で切断したときの断面が波状の周期構造を有し当該周期が可視光の波長以下である第1の周期的構造層と、前記第1の周期的構造層と同様の波状の周期的構造を有し前記第1の周期的構造層とは異なる屈折率を持つ第2の周期的構造層とを含み、前記第1及び第2の周期的構造層が方向を一致させて複数積層される、ディスプレイパネル。
【請求項2】
前記前面基板が、ガラス基板であり、
前記透過反射分離層が、前記前面基板の発光体層側に配置される、請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項3】
前記前面基板の発光体層側は、観察者側から発光体層側へ向けて順に、
電極層と前記透過反射分離層と保護層とを備える、請求項2に記載のディスプレイパネル。
【請求項4】
前記前面基板と前記背面基板との間に形成された空間内に放電ガスが封入され、
前記前面基板の発光体層側に配置された表示電極と前記背面基板に配置された維持電極との間の放電により前記発光体を蛍光発光させる、請求項1に記載のディスプレイパネル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−59830(P2008−59830A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233505(P2006−233505)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】