説明

ディスプレイ用品

【課題】産褥用パッド装着時の使用状態などが視認可能であり、移動時にも嵩張ることなく取り扱いに優れたディスプレイ用品を提供する。
【解決手段】ディスプレイ用品1は、産褥用パッド3装着時の使用状態を確認するものであって、透明或いは半透明の柔軟性のある素材で形成され、内部に気体が充填されることにより女性の腰部を模倣した形となり、充填された気体を排出させることにより縮小させることのできる本体10と、前記本体10の胴部側Cから脚部側A,Bへと穿通するように形成された管挿入孔11と、液体が注入され、前記管挿入孔11に挿入可能に形成された液体注入管12と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産褥用パッド装着時の使用状態などを視認できるディスプレイ用品に関する。
【背景技術】
【0002】
産褥用パッドの使用状態を視認可能に構成されたディスプレイ用品は、例えば、看護学校などでの実習、或いは産褥用パッドの販売促進などのために非常に有用なものである。
【0003】
特許文献1では、女性の下半身、腰から下で大腿部より上の部分の形状を型取りして成型された本体にショーツが着用され、ショーツの内表面に装着された生理用品の被覆範囲を外表面から視認可能なディスプレイ用品が提案されている。
【0004】
このディスプレイ用品は、モデルを石膏やシリコンなどで型を取った後、合成樹脂などを成型加工して作成された成型物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−114855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のディスプレイ用品は、成型物であるので移動時に嵩張るという問題があった。
【0007】
また、このようなディスプレイ用品では産褥用パッドの使用状態を確認することができず、産褥用パッド装着時の具体的には、身体との密着性、吸収パッドの皺や折れ、よじれの状態、装着状態の適切さ、及び吸収パッドによる液体の吸収状態などを目視で確認することができるものが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した技術背景に鑑み、産褥用パッド装着時の使用状態などが視認可能であり、移動の際にも嵩張ることなく取り扱いに優れたディスプレイ用品の提供を目的とする。
【0009】
即ち、本発明は下記[1]〜[4]に記載の構成を有する。
【0010】
[1] 産褥用パッド装着時の使用状態を確認するためのディスプレイ用品であって、
透明或いは半透明の柔軟性のある素材で形成され、内部に気体が充填されることにより女性の腰部を模倣した形となり、充填された気体を排出させることにより縮小させることのできる本体と、
前記本体の胴部側から脚部側へと穿通するように形成された管挿入孔と、
液体が注入され、前記管挿入孔に挿入可能に形成された液体注入管と、
を備えることを特徴とするディスプレイ用品。
【0011】
[2] 前記液体注入管は、透明或いは半透明の素材で円筒形に形成されることを特徴とする前項1に記載のディスプレイ用品。
【0012】
[3] 前記管挿入孔は、前記本体の腹部側から脚部側へと傾斜するように形成されることを特徴とする前項1または2に記載のディスプレイ用品。
【0013】
[4] 産褥用パッド装着時の使用状態を確認するためのディスプレイ方法であって、
透明或いは半透明の柔軟性のある素材で形成された本体の内部に気体を充填することで女性の腰部を模倣した形を形成し、
前記本体の胴部側から脚部側へと穿通するように形成された管挿入孔に挿入された液体注入管に液体を注入し、前記本体に装着された前記産褥用パッドに前記液体を吸収させることを特徴とするディスプレイ方法。
【発明の効果】
【0014】
上記[1]に記載のディスプレイ用品によれば、本体が透明或いは半透明素材で形成されているので、産褥用パッド装着時の使用状態を容易に確認することができる。また、気体が充填されただけの柔軟性のある構成なので、大腿部の角度を変えるなど、実際に患者が産褥用パッドを装着した際に想定しうる様々な姿勢での使用状態を確認することができる。
【0015】
また、ディスプレイ用品は、本体内部に気体が充填された風船状となり、気体を抜いて小さくすることができるため嵩張ることもなく、容易に持ち運びなどができる。
【0016】
上記[2]に記載のディスプレイ用品によれば、液体注入管が透明或いは半透明の素材で構成されているので、注入される液体を視認することができ、注入量の加減がし易い。
【0017】
上記[3]に記載のディスプレイ用品によれば、管挿入孔が腹部から脚部方向に傾斜するように形成されることによって、液体がより流れ易くなる。
【0018】
上記[4]に記載のディスプレイ方法によれば、本体が透明或いは半透明の柔軟性のある素材で形成されているので、産褥用パッド装着時の使用状態を容易に確認することができる。また、気体が充填されただけの柔軟性のある構成なので、大腿部の角度を変えるなど、実際に患者が産褥用パッドを装着した際に想定しうる様々な姿勢での使用状態を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るディスプレイ用品について説明する説明図である。
【図2】図1に係るディスプレイ用品に産褥用パッドを装着した一例について説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係るディスプレイ用品1を説明する説明図、図2は図1のディスプレイ用品1に産褥用パッド3を装着した一例について説明する説明図である。
【0022】
まず、ディスプレイ用品1に装着される産褥用パッド3について簡単に説明する。
【0023】
産褥用パッド3は、出産後の悪露処理などに用いられるパッドであり、例えば、悪露などを吸収する吸収パッド32と、吸収パッド32を患者の身体に固定するためのT字型のショーツ31などで構成される。
【0024】
以降では、図1に基づいて、上述したような産褥用パッド3装着時の使用状態を確認するためのディスプレイ用品1について説明する。
【0025】
ディスプレイ用品1は、透明或いは半透明の柔軟性のある素材で形成され、内部に気体が充填されることにより女性の腰部を模倣した形となる本体10と、前記本体10の胴部側Cから脚部側へと穿通するように形成された管挿入孔11と、液体が注入され、前記管挿入孔11に挿入可能に形成された液体注入管12と、を備える。
【0026】
本体10は、気体注入口13より気体が注入されて、所謂風船状に膨張されることにより、女性の胴部Cから脚部である大腿部A,Bにかけた腰部を模倣した形状となる。特に産褥用パッド3の使用状態を確認する場合には、本体に気体が充填された状態は出産後の女性の体型の特徴がおさえられた形状であることが好ましい。一方、本体10に充填された気体を排出させることにより、本体10の体積を縮小させることができる。
【0027】
本体10は、内部に充填された気体を排出して小さくすることができるので、嵩張らず容易に持ち運びなどができる。また、本体10は、厚さ0.15mm〜0.3mm程度の軽量なシート素材で形成されるので移動時の持ち運びの負担も少ない。
【0028】
管挿入孔11は、胴部Cの中央部から脚部の大腿部A,B間にかけて直線状に形成される。管挿入孔11の上下の始端部及び終端部は開口部となっており、当該開口部から液体注入管12が挿入可能に構成されている。
【0029】
本体10内部に気体を注入するための気体注入口13は、本体10に気体を注入するための孔を塞ぐことができるとともに、且つ本体10から取り外し可能に構成された蓋部と、当該蓋部の一部を本体10と連結する連結部と、を備えて構成される。蓋部を取り外した場合であっても連結部によって本体10と蓋部が連結されているので、蓋部を紛失するなどの虞がない。
【0030】
ディスプレイ用品1には、産褥用パッド3などの装着時であっても露出する箇所に気体注入口13が設けられることが好ましい。例えば、気体注入口13は、産褥用パッド3の装着時に露出される本体10上方、つまり本体10の胴部C側に設けられるのが好適である。気体注入口13が産褥用パッド3など装着時でも露出した箇所に設けられていることにより、気体の注入・排出を容易に行うことができる。
【0031】
本体10の素材には、合成樹脂などの撥水性の高い素材が好ましい。撥水性の高い素材を用いることで、液体などが付着した場合であってもメンテナンスが容易である。
【0032】
本体10に気体を充填した状態の管挿入孔11の径は、液体注入管12の径と比較すると略同等、或いはやや径大に構成される。そのため、本体10に気体を充填させて使用状態を確認している際であっても、管挿入孔11へ液体注入管12を挿抜し易い。
【0033】
液体注入管12は、管挿入孔11の長さ、即ち、本体10胴部側Cの中央部から本体10脚部側の大腿部A,B間までの長さよりも長く形成されている。産褥用パッド3を本体10に装着した状態で液体注入管12を管挿入孔11に挿入して使用する際には、液体注入管12が本体10の胴部側C方向に突出する状態となるので、液体の注入が容易にできる。
【0034】
図2に示すように、産褥用パッド3をディスプレイ用品1に装着させると、液体注入管12は大腿部A,B間の産褥用パッド3に当接することで固定される。
【0035】
液体注入管12の本体10胴部側Cから突出する一端側より液体を注入し、他端側(以降、「吐出部」と記載する。)121から吐出された液体5が産褥用パッド3の吸収パッド32に吸収される。
【0036】
前記液体注入管12は、透明或いは半透明の素材で円筒形などの管挿入孔11を傷つけず、また挿入し易い形状に形成されていることが好ましい。透明或いは半透明の素材で構成されているので、注入される液体を視認することができるので、液体注入量の加減がし易い。更に、液体注入管12は、管挿入孔11に挿入可能な硬度で形成されていれば特にその硬度について限定はしないが、液体注入管12が本体10よりも高い硬度の素材で形成されていると、液体をより注入し易くなるので好ましい。
【0037】
前記管挿入孔11は、上述した構成に限らず前記本体10の胴部Cの腹部側から脚部側A,Bへと傾斜するように形成されるのであってもよい。管挿入孔11は、液体注入管12の吐出部121側の大腿部A,B間に配される孔の終端部111に対して傾斜するように形成されるのが好ましく、管挿入孔11の吐出部121が、常に大腿部A,B間の同位置に配置されるのであれば特に限定しない。管挿入孔11が終端部111に向かって傾斜するように形成されることによって、液体注入管12を挿入して液体を注入した場合に、液体がより流れ易くなる。
【0038】
上述したディスプレイ用品1を用いることによって、透明或いは半透明の柔軟性のある素材で形成された本体10に気体を充填することで女性の腰部を模倣した形を形成し、前記本体10の胴部側Cから脚部側A,Bへと穿通するように形成された管挿入孔11に挿入された液体注入管12に液体を注入し、前記本体10に装着された前記産褥用パッド3に前記液体を吸収させ、産褥用パッド3装着時の使用状態を確認するディスプレイ方法がなされるのである。
【0039】
以上説明したように、本発明のディスプレイ用品1は、本体10が透明或いは半透明素材で形成されているので、産褥用パッド3装着時の使用状態、具体的には、身体との密着性、吸収パッドの皺や折れ、よじれの状態、装着状態の適切さ、及び吸収パッドによる液体の吸収状態などを容易に確認することができる。また、気体が充填されただけの柔軟性のある構成なので、大腿部A,Bの角度を変えるなど、実際に患者が産褥用パッド3を装着した際に想定しうる様々な姿勢での使用状態を確認することができる。
【0040】
尚、上述した説明では、ディスプレイ用品1に産褥用パッド3を装着するように説明したが、生理用ナプキン或いはオムツなどを装着して、その使用状態を確認するのであってもよい。また、吸収パッド32がT字型のショーツ31で固定されるように説明したが、T字帯、産褥用ショーツ、生理用ショーツなどで固定されるのであってもよい。
【0041】
上述の説明中の数値については、いずれも設計事項であり、実施例に限定されるものではない。
【0042】
以上説明した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において具体的構成などを適宜変更設計できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0043】
1…ディスプレイ用品
3…産褥用パッド
5…液体
10…本体
11…管挿入孔
12…液体注入管
32…吸収パッド


【特許請求の範囲】
【請求項1】
産褥用パッド装着時の使用状態を確認するためのディスプレイ用品であって、
透明或いは半透明の柔軟性のある素材で形成され、内部に気体が充填されることにより女性の腰部を模倣した形となり、充填された気体を排出させることにより縮小させることのできる本体と、
前記本体の胴部側から脚部側へと穿通するように形成された管挿入孔と、
液体が注入され、前記管挿入孔に挿入可能に形成された液体注入管と、
を備えることを特徴とするディスプレイ用品。
【請求項2】
前記液体注入管は、透明或いは半透明の素材で円筒形に形成されることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ用品。
【請求項3】
前記管挿入孔は、前記本体の腹部側から脚部側へと傾斜するように形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のディスプレイ用品。
【請求項4】
産褥用パッド装着時の使用状態を確認するためのディスプレイ方法であって、
透明或いは半透明の柔軟性のある素材で形成された本体の内部に気体を充填することで女性の腰部を模倣した形を形成し、
前記本体の胴部側から脚部側へと穿通するように形成された管挿入孔に挿入された液体注入管に液体を注入し、前記本体に装着された前記産褥用パッドに前記液体を吸収させることを特徴とするディスプレイ方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−133177(P2012−133177A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285825(P2010−285825)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(390030052)大衛株式会社 (7)
【Fターム(参考)】