説明

ディレードコーキング方法

超重質原油供給源から誘導された石油コークスは、炉の下流側でコーカー補給物に対して水または水/軽油の混合物を添加することによって、より急冷し易いものにすることができる。通常揮発性である液体を高温コーカーフィードに対しこのように添加した結果得られるコークス製品は、なおも比較的高密度であるが、よりもろく、通常は緻密で比較的自由に流動する顆粒状の形をしている。コークスはドラム内での均一な急冷をさらに受け易く、したがって、コークスピット内でまたはその後コークスを取扱い輸送する時点での爆発の危険性および火災の危険性が減少した状態で切断し放出させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディレードコーキング方法に関し、より具体的には、コークスピット内または後続する輸送および取扱い中に発火する傾向をもたないコークスを製造するためのディレードコーキング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディレードコーキングは、重油を有用なより軽質の製品へと転換するために製油所において使用される複数のタイプのプロセスの1つである。ディレードコーカーにおいては、重油フィードは連続作動式プロセス炉内で加熱されて限定的範囲の熱分解を起こし、その後このフィードが大きい縦型円筒容器またはコーキングドラム内に入り、この内部でコーキング反応が発生する。「ディレード」コーカーという用語は、コーキング反応が炉内で発生せずむしろ油がコークスドラムに入るまで遅延されるという事実を意味している。コークスドラム内では、大きな油分子がさらに熱分解されて、追加のより軽質の製品と残留コークスを形成し、こうして容器は満たされる。より軽質の炭化水素は、蒸気としてドラムから流出し、さらに燃料製品へと加工される。次第にコークスは、ドラムがコークスでほぼ満杯となるまで、ドラム内に蓄積する。ドラムがほぼ満たされた時点で、炉からの高温油は空のコークスドラムへと導かれ、その間に満杯のドラムからコークスが取り出される。コークス取出しサイクルには、ドラムを冷却し減圧するステップ、スチームでそれをパージして残留炭化水素蒸気を除去するステップ、ドラムの上面および底面ヘッド(閉塞装置)を開放するステップそして次に高圧水ランスまたは機械式カッターを用いてドラムからコークスを取り出すステップが関与する。コークスはドラムの底面からピット内に落下し、そこで水がドレンされ、コンベヤがコークスを貯蔵庫または軌道車まで運搬する。ドラムは次に閉鎖され、別のコーキングサイクルのために準備完了の状態となる。
【0003】
ディレードコーカー用の原材料は典型的には、通常常圧蒸留塔および減圧塔を含む原油分留ユニット内で分離される原油の最も重質の(沸点が最も高い)留分である。形成されるコークスの性質は、コーカー原材料の特性ならびにコーカー内で使用される作動条件により大幅に左右される。結果として得られるコークスは一般に価値の低い副産物として考えられるが、そのグレードに応じて、燃料(燃料用コークス)、アルミニウム製造用電極(アノード用コークス)として一定の価値を有し得る。一般に、ディレードコーカーは、異なる価値、外観および物性を有する3つのタイプのコークスを生成すると考えられている。最も一般的であるのは、ニードルコークス、スポンジコークスおよびショットコークスである。ニードルコークスは、3種類の中で最も高品質であり、これには特に高い価格が設定されている。さらに熱処理をした時点で、ニードルコークスは高い導電率(および低い熱膨張係数)を有し、電気アーク鋼の生産における電極の製造に使用される。それは硫黄分および金属が少なく、多くの場合、接触分解装置および熱分解タール由来のスラリーおよびデカントオイル(decant oil)などの芳香族原材料をより多く含むさらに高品質のコーカー原材料の一部から生産される。典型的には、それは残油タイプのフィードのコーキングでは形成されない。より品質の低いコークスであるスポンジコークスは、有意な量のアスファルテン、ヘテロ原子および金属を有するさらに品質の低い製油所コーカー原材料から製油所内で形成されることが最も多い。硫黄および金属含有量が充分低い場合、スポンジコークスをアルミニウム産業向けのアノードの製造のために使用することができる。硫黄および金属含有量がこの用途にとって高すぎる場合、コークスを燃料として使用することができる。「スポンジコークス」という名称はその多孔質でスポンジ様の外観に由来する。減圧残油原材料を使用する従来のディレードコーキングプロセスは典型的にスポンジコークスを生産し、これは、ドリリングおよびウォータージェット技術を含めた広範な取出しプロセスを必要とする凝集塊として生産される。
【0004】
ショットコークスは、最も低品質のコークスとみなされている。「ショットコークス」という名称は、典型的には直径約1〜約10mmの範囲内のその球形または卵形のボール様形状に由来する。ショットコークスは、他のタイプのコークスと同様、特にスポンジコークスとの混和物の中で、時として直径1フィート超のさらに大きい塊へと凝集する傾向をもつ。これにより、製油所の機器および加工上の問題がひき起される可能性がある。ショットコークスは、通常、最低品質の高樹脂−アスファルテンフィードから製造され、特にセメントキルンおよび製鋼業において使用するための優れた高硫黄燃料供給源を構成している。スポンジコークスとショットコークスの間のモルフォロジーを有するコークスを意味する「トランジションコークス」と呼ばれる別のコークスも存在する。例えば、ほぼスポンジ様の外見を有するものの小さなショット球体が明らかに離散的形状で形成し始めているコークスである。「トランジションコークス」という用語は同様に、スポンジコークスと結合したショットコークスの混合物をも意味する。
【0005】
時に遭遇することのある別タイプのコークスは、一般にその高い密度のため「高密度コークス」と呼ばれる。それは、ベネズエラのオリノコ重油帯(Orinoco Heavy Oil Belt)に由来するものなどの重質原油およびタールサンドに由来するものなどの非常に低比重(重質)のフィードを使用した結果としてもたらされる。これらの高密度コークスは加工がむずかしい。すなわち、重量が大きいために、コーカードラムに追加の応力がかかり、ドラムから切り出すのがむずかしく、取り扱いの容易な粒子を直ちに形成せず、多くの場合、大きく重い巨石様の集合体を形成する。特有の問題は、その密度のため、高密度コークスを、ショットコークスさらにはスポンジコークスのような要領で容易に急冷することができないという点にある。ショットコークスはその表面積のために、サイクルの急冷段階中にコークスが水を吸収でき、こうして比較的均一に冷えるようになっている。換言すると、ショットコークスはサイズが小さいため、原則的に少なくともこの製品を許容可能な程度の短時間で急冷することができる。しかしながら、このプロセスの結果、ドラム内に存在する2つ以上の種類のコークス製品のコークスモルフォロジー組合せが発生した場合、急冷は不均一になるかもしれず、ドリリングが始まるか底辺ヘッダーを通してコークスが放出された時点で爆発と放出が起こり得る。この点において非常に重質の油から生産された高密度コークスは、重く高密度で非多孔質であるためにコークス塊に急冷水がうまく進入するのを妨げる傾向を有する。こうして特に燃料製品の需要を満たすために増々多くの重質原油が精製されるにつれて、急冷が緩慢である結果もたらされる問題にさらに頻繁に遭遇する傾向が見られるために高密度コークスは極めて厄介である。急冷されていないコークスは、自然発生的なコークスピット火災を発生させるかもしれず、荷船上に塔載した場合、コークス荷船に火災を発生させることから、特に危険である。この問題は、高密度コークスを形成する重油フィードから他の多くのフィードよりも大きい割合のコークスが生産され、こうして問題の範囲および重大性を悪化させるという事実によって、増幅される。
【0006】
急冷可能なコークスは、高密度で多孔率の低いコークス形態と比べてより均等に冷えるので、ドラムの高温とコークス火災を回避するまたは最小限にするために、ディレードコーカードラム内で冷却し急冷可能な重油からコークス製品を生産する能力を有することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
今回本出願人は、超重質原油供給源から生産された重油フィードから生産された石油コークスのモルフォロジーを制御するために一部のアルカリ添加物を使用できるということを見出した。本発明によると、通常は高密度コークス製品を生産すると思われる重油フィードが、アルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩の水溶液の存在下で、ディレードコーキングに付される。プロセス中でアルカリ添加物を使用する結果として得られるコークス製品は、添加物の無い状態で得られると思われる高密度コークス製品に比べて低い密度そして高い多孔率を特徴とする。その上、それはよりもろく通常は緻密で顆粒状であり、そのため難なくドラムから放出(又は排出)させることができる。より低密度のコークスはドラム内でより容易に均一な急冷を行うことができ、したがって、コークスピット内あるいはその後コークスを取扱い輸送する場合の爆発の危険性および火災の危険性を減少させた上で、切断し放出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ディレードコーカーユニット内でモリチャル(Morichal)の砂貯留層由来の合成原油から誘導された減圧残油を加工して生産された高密度コークスの光学画像である。
【図2】添加物無しでモリチャル(Morichal)の砂貯留層由来の合成原油から誘導された減圧残油から生産された高密度非多孔質コークスの光学顕微鏡写真である。
【図3】添加物無しでモリチャル(Morichal)の砂貯留層由来の合成原油から誘導された減圧残油から生産された高密度非多孔質コークスの交差分極光下の光学顕微鏡写真である。
【図4】アルカリ添加物を用いてディレードコーカーユニット内でモリチャル(Morichal)の砂貯留層由来の合成原油から誘導された減圧残油を加工して生産されたコークスの光学画像である。
【図5】添加物として炭酸カリウム塩を用いた処理の後モリチャル(Morichal)の砂貯留層由来の合成原油から誘導された減圧残油から生産されたコークスの光学画像である。
【図6】SEMX線データにより図5のコークス中のカリウムの均一な分布を示す顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、超重質原油供給源から生産される重油フィードのディレードコーキングで遭遇する問題に対処することに向けられている。このタイプの原油供給源は、より軽質で加工が容易な原油の供給がさらに減少し、よりコスト高になっていくかまたはより貴重な用途のために使用されていくにつれて、燃料生産において使用される頻度が高くなってきている。この種の原油供給源は、カナダ(Canada)(アサバスカ、アルバータ(Athabasca、Alta.))、トリニダード(Trinidad)、南カリフォルニア(Southern California)(ラブレア(La Brea)ロサンゼルス(Los Angeles))、マッキトリック(McKittrick)(ベーカーズフィールド、カリフォルニア(Bakersfield、California))、カーピンテリア(Carpinteria)(サンタバーバラ郡、カリフォルニア(Santa Barbara County、California))、ベルムデス湖(Lake Bermudez)(ベネズエラ(Venezuela))のタールサンド、タールピットおよびピッチレーキなどのタールサンドおよびテキサス(Texas)、ペルー(Peru)、イラン(Iran)、ロシア(Russia)およびポーランド(Poland)の類似の埋蔵物を含む。これらのうち、現時点で商業的に最も有意であるのは、ベネズエラのタールサンド帯、特にオリノコ(Orinocoタール帯およびこの地帯のセロネグロ(Cerro Negro)部分である。これらの油田に由来する原油は一般に、典型的には5〜20°APIの範囲内、多くの場合6〜15°、そして一部のものは8〜12°APIの範囲内である低いAPI比重(低い水素含有量)を特徴とする。例としては、8.5°APIのセルロネグロ(Cerro Negro)瀝青および、モリチャル(Morichal)(8〜8.5°API)、ホボ(Jobo)(8〜9°API)、ピロン(Pilon)(13°API)およびテムブラドール(Temblador)(19°API)油田由来の原油がある。これらの超重質油は通常は、交互スチーム浸透法を含めた従来の強化型回収方法によって生産される。これらの油のうち最も重質のタイプ、例えばモリチャル(Morichal)およびホボ(Jobo)原油は、通常、井戸の先端において、ガスオイルまたはより軽質の原油または加工済み石油留分、例えば重質ナフサ、蒸留留出物(distillate:留出液、蒸留液又は留分)またはコーカーガスオイルおよびコーカーナフサを含む熱分解産物で希釈されて、その高い粘度が低下させられパイプラインによるその輸送が容易になっており、例えばモリチャルセグレガシオ(Morichal Segregatio)(12.5°API)として公知の商業ブランド、またはピロンセグリゲージョン(Pilon Segregation)(13.5°API)として販売されているピロン(Pilon)とテンブラドール(Temblador)のブレンドまたはその地域から産生された全ての原油が隣接するサントーム(San Tome)地域からのより軽質の原油と17°APIまで希釈されているピロン(Pilon)ブレンドなどの合成原油としてのその販売仕様を達成している。希釈剤として使用可能な留分は、それ自身、ビスブレーキング、ディレードコーキングなどの熱分解プロセスにより生産されてもよい。
【0010】
これらの原油は、従来の精製技術によって、所望のさらに価値の高い炭化水素製品へと加工されてもよい。通常、希釈された合成原油備蓄に対して行なわれる加工には、脱塩とそれに続く常圧および減圧蒸留が含まれ、希釈剤を含む軽質最終生成物を除去し、沸点の高い残留留分を残し、これは次にさらに加工されてより軽質の製品を生産することができる。ディレードコーキングおよびフルードコーキングは、これらの残留留分を転換するために特に適しているが、これは、残油分解用に特異的に設計されているのでないかぎりその高いCCRが通常、接触分解作業中に余剰のコークスを被着させるからである。これらの原油供給源から誘導された重油フィードが商業向サイズのユニット(典型的には底面が円錐形断面を有する直径8mを超えるドラム)内でのディレードコーキングに付される場合、例えばドラム内で約100または150kPag(15または22psig)超の中圧そして約400〜500℃(750〜930°F)例えば415℃(780°F)の温度という正規のコーキング条件下で、大量の非常に高密度で、硬質で、非多孔質のコークスが結果として得られる。ドラム内のコークス塊密度は、スポンジコークスおよびショットコークスの両方について典型的なディレードコーカーコークス密度が830〜930kg/m(52〜58lb/ft)であるのに対して、典型的に1040〜1120kg/m(65〜70lb/ft)の範囲内にある。以上で指摘したように、これらのコークスが形成する硬質の塊は、適切に急冷することそしてドラムから取り出すことが困難であり、たとえ取り出された場合でも長い冷却期間が経過してしまうまでひきつづき火災の危険性を呈する。APIが最も低い原油から誘導された残留フィード、特に10°未満のAPI密度を有する残留フィードを加工する場合、そして最も顕著には9°API以下の原油から誘導されたフィード例えば共に8〜8.5°APIの範囲内にあるモリチャル(Morichal)およびセルロネグロ(Cerro Negro)原油供給源からのフィードの場合、この問題は特に顕著である。
【0011】
非常に重質の原油供給源由来のディレードコーカーフィードは、残留タイプのフィード、すなわち約500℃未満の沸点を有する成分の含有量が最小限であるフィードである。一般にフィードは、525〜550℃(975〜1025°F)の範囲内またはそれを超える初留点、約20°以下のAPI比重そして約20〜40重量パーセントのコンラドソン残留炭素分含有量を有する。大部分の場合において、コーカーフィードは、脱塩、常圧蒸留、真空蒸留を含めた通常のプロセスにより非常に重質の原油供給源の1つから生産された減圧残油である。
【0012】
フィードは典型的には、通常は管状炉である加熱炉の中で約480℃〜約520℃の温度まで加熱することによりディレードコーキングに付され、その後、ドラムの基部にある入口を通ってドラムに入る移送ラインを通してコーキングドラムへと放出される。炉内の圧力は典型的には約350〜3500kPag(約50〜550psig)であるが、ドラム内の圧力は通常、揮発性物質を塔頂留出物(overhead:又はオーバーヘッド)として取出すことができるように比較的低く、典型的には約100〜550kPag(約15〜80psig)である。ドラム内の典型的な作動温度は約410℃〜475℃の間である。高温原材料は、コーカードラム内で一定の時限(「コーキング時間」)にわたり熱分解し続け、コークス塊を通して連続して上昇し塔頂流出油として収集される揮発性炭水化物製品で主として構成されている揮発性物質を解放する。揮発性製品は、コーカーガス、ガソリン、留出液、軽質軽油および重質ガスオイル留分の蒸留及び回収用のコーカー精留塔に送られる。製品ストリーム内に存在する重質コーカーガスオイルの一部分を、リサイクルのために精留塔から捕捉し、新鮮なフィード(コーカーフィード成分)と組合せ、かくして、コーカー加熱器またはコーカー炉の投入物を形成させることができる。大部分の場合において、新鮮な重油フィードは、フィード中に残留する軽質最終生成物をストリッピングすると同時にドラムからの製品を分留するというその機能から組合せ塔とも呼ばれるコーカー精留塔を通してコーカーユニット内に導入される。新鮮なフィードは通常ドラム蒸気のレベルよりも高いレベルで塔の中に入り、コーキング蒸気と流入するフィードの間の直接的熱交換を提供する。低いドラム圧および低いリサイクル体積が、重質フィードでの最適な作動のためには好適である。約150kPag(約22psig)未満の圧力が好適であるが、多くの既存のユニットは、150〜350kPag(約22〜50psig)の範囲内の圧力で作動する。リサイクルの役目は一般に炉の汚損を避けることにあるため、炉の運転が許す場合には、リサイクルをゼロまで削減してもよい。このフィードでは、1:20〜1:4のリサイクル比(リサイクル:新鮮なフィード)が通常適切である。
【0013】
コーカーユニットへのフィードは、1つ以上の金属を含有するアルカリ添加物の水溶液を用いた処理に付される。適度に均一であるコークス製品の形成を促進するため、添加物は残油中に均一に分散されるべきである。添加物が残油と混合される温度は、添加物が注入される点により左右され、これは、炉の上流側、炉の出口、ドラムへの移送ライン内、ドラム本体の内部、または多数の場所であってもよい。したがって大まかに言って温度は典型的に約70〜500℃である。添加物は好ましくは、炉の下流側およびドラムの上流側で残油中に注入されるが、添加物が残油と混合できるようにする他の場所で注入することもできると思われる。添加物溶液の導入点は例えば、炉のフィード投入ポンプの放出点またはコーカー移行ラインの出口近くでもあり得ると考えられる。フィードは、その粘度を考慮すると、通常、それが添加物溶液との混合のために適切な流動性をもつ条件にある温度にあり、この条件は、組合せ塔の下流側の全ての点において満たされているものである。このような温度は典型的には、約70〜500℃、通常は約185〜500℃である。
【0014】
さまざまな程度で有用であることを本出願人が見出しているアルカリ添加物は、アルカリ金属、通常はナトリウムまたはカリウムの炭酸塩である。炭酸ナトリウムは、コークスの生産量を増大させる(こうして液体収量を削減する)ことがわかっており、この理由から、炭酸カリウムが好適である。炭酸ナトリウムは、ドラム内の発泡を増大させる傾向も同様に有し、これは、発泡が発生する場合にドラムをさほど高くは充填できないことから処理量(一日あたりのフィードトン数)を減少させる別の要因である。
【0015】
添加物導入の速度は、コーカーへ補給される残油フィードの性質に応じて調整可能である。顆粒状コークスの生産閾値上にあるフィードは、閾値からさらに離れた点にあるものよりも少ない添加物しか必要としないこともある。金属が400または500ppm〜1200ppmという添加物注入速度が典型的であるが、これは転換中の残油の組成および他の化学的および物理的特性に左右され、したがって典型的には300〜3000wppmの範囲にあり得るが、経済的理由から2000ppm超は有利ではない。コークス密度の1000kg/m未満の値までの有利な削減は、残油フィードとの関係において少なくとも800および好ましくは少なくとも金属が900または1000ppmという添加速度で達成可能である。800〜1200ppm、好ましくは1000〜1200ppmという範囲は、許容可能なコストでの最適な密度削減にとってきわめて有用な範囲を表わしている。
【0016】
炭酸塩添加物は典型的に水溶液の形でコーカーフィードに添加される。水中の炭酸塩添加物の濃度は、典型的に5〜50w/wパーセントであるが、機器と両立するのであれば最高で飽和までの濃度を使用してもよい。20〜40w/wパーセントの濃度が通常便利である。炭酸塩水溶液はそれ自体、炭化水素担体(carrier:キャリア又は搬送材料)例えばナフサまたは中間蒸留液留分例えばケロシンまたはディーゼル油またはガスオイル(又は軽油)の中に乳化、スラリー化または分散されて、重油コーカーフィード中への均一な混合を促進してもよい。水および担体の比率に応じて、油中水型または水中油型エマルジョンを形成してもよく、例えばKCO溶液をさらに大きい体積のナフサと混合すると、KCO溶液の液滴を伴うナフサの連続相が生成される。シェーカー試験は、炭酸カリウム溶液とナフサを混合することで、ナフサ全体にわたり炭素塩溶液の液滴が分散しているナフサ連続相が生成されることを示した。ナフサまたはケロシン留分などの炭化水素担体中への水溶液の混合を促進するため、わずかな数量の界面活性剤を添加してもよい。あるいは、そのままの状態であれ、炭化水素担体を伴ってであれ、アルコールなどの担体としての相互溶媒と溶液を混合してもよい。
【0017】
溶液中の水は、任意の揮発性担体と共に加熱した残油中に注入された時点で気化する傾向をもち、結果としてコークスの性質を部分的に変化させその硬度を低下させる可能性があるが、それ自体では、炭酸塩添加物を使用した場合に得られるものと類似の密度低下を結果としてもたらさない。添加物溶液そして任意には担体が炉の後で添加された場合、コーカードラム内に進入するストリームの温度の低下が達成される。シミュレーションにより、通常予想される値に加えて炉の出口とドラムの入口の間の約5〜8℃(10〜15°F)の公称低下が予測される。しかしながら、通常、使用される場合には類似の体積のフィードで、フィードの体積に基づいて典型的には約0.5〜2v/vパーセント、大部分の場合においては約0.5〜2v/vパーセントである急冷可能なコークスを生産するのに通常使用される量の添加物溶液を使用する場合、典型的には5℃(9°F)の比較的小さい低下が、実際の作動において通常観察される。より大きい体積の溶液または担体を使用して、ドラム内に進入するストリームの温度のさらに大幅な低下を達成してもよい。すなわち、コークスの性質を変化させる可能性のあるドラム内のコーキング速度の相応する低下と共に、ドラム入口温度の制御された低下を達成するために、より多くの低濃度溶液を使用してもよい。ドラム入口温度のさらなる制御をもたらすために、炉の出口の後にストリーム内に追加の水および担体を注入してもよい。こうして、炉の下流側でフィード中に水および/または揮発性液体を注入することで、加熱器内で使用される温度とは独立してドラム入口温度およびドラム内のコーキング速度を制御する方法が得られる。
【0018】
添加物は、耐火性ライニングの施されたクイル(quill)の使用を通してまたは他の適切な技術によって、残油流内に注入可能である。例えばコークスドラム底面入口インジェクタを設置してコークスドラム内部に遮るもののないジェットを生成することができる。移送ライン内または加熱器の上流側での高エネルギー混合かまたは静的混合装置の使用によって、添加物流体の分散を補助してもよいが、通常、これは、加熱器の後の単純なフィードクイルよりも問題の多いものであることがわかる。残油フィード中へのエマルジョン急冷液体種の均一な分散が、不均質なコークスモルフォロジー形成部域を回避するために望ましい。すなわち、コークスドラム内にコークスが実質的に自由に流動している場所とコークスが実質的に自由に流動していない他の部域があることは望ましくない。
【0019】
添加物溶液が、炉への吸気管内および炉とドラムの間の移送ライン内でフィード中に導入される場合、注入ノズルまたはクイルは好ましくは、パイプ/移送ラインの中心線流に溶液を送出するように構成されるべきである。移送ライン内で高温が優勢であることを考慮して、注入ノズルまたは注入クイルには、好ましくはノズル内に添加物塩の固体残渣を残す添加物溶液への速すぎる熱伝導とその結果としてのノズル内の溶液の気化を防ぐため断熱性サーマルスリーブが具備されている。
【0020】
重質原油由来のフィードと共に炭酸塩添加物を使用することによって生成されるコークスは添加物の無い状態でディレードコーキングにより生産されるコークスと著しく異なる特性を有する。図1は、一部の場合においてはドラムから切出された場合に巨石と言えるほど大きいものであり得る大きな集合体である従来の高密度コークス製品の全体形状を示している。図2および3は、炭酸塩添加物無しで生産された高密度コークスの顕微鏡写真を示す。図2および3に示された高密度コークス構造と従来のショットコークスおよびスポンジコークスの間の比較については、Siskinらの論文「Chemical Approach to Control Morphology of Coke Produced in Delayed Coking」、Energy & Fuels、2006、2117−2124を参照のこと。この論文の図3および4Bに示されたショットコークスは、小さい異方性流ドメインを伴うモザイク構造内の小さな空隙の比較的均一な細かいパターン(それぞれ2〜10μm、2〜3μm)を示し、図4Aのスポンジコークスは、より大きい割れ目および10〜50μmのサイズ範囲内の流動ドメインを有する。図2の高密度コークスは、空隙が小さく数もそれほど多くない構造を有する。対照的に、添加物を用い生産されたコークスは顆粒状で、密度がより小さく、ほとんどもろいものである。それは、ドラム内で急冷され切断された時点で容易に壊れ、取扱いおよび輸送が容易にできる自由流動性の製品を形成する。重要なことに、その密度が減少していることにより、許容可能な時間内で、すなわち同じドラム内でスポンジコークスが必要とする時間に匹敵する時間内で、ドラム内において有効にそれを急冷することが可能である。このことで今度は、コークスピット火災が結果として発生せずコークスがその後発火しないというさらに大きい保証と共にコークスを放出することが可能になる。
【0021】
図4は、ドラムから放出された状態の、フィードに炭酸カリウムが添加されたモリチャル(Morichal)合成原油由来の減圧残油のディレードコーキングにより生産される典型的コークス製品の画像を示している。ここでわかるように、それは、サイズが約2〜20mmの範囲内の粒子を伴う顆粒状のテクスチャを有し、流動性があり、バルクハンドリング技術に適応可能なものとなっている。その嵩密度は典型的には1000kg/m(62lbs/ft)未満(すなわち相対密度1未満)、通常は900〜1000kg/m(56〜62lbs/ft)の範囲内、そして大部分の場合において通常920〜950kg/m(57〜59lbs/ft)の範囲内である。フィードの体積に対するこのプロセス中で生産されたコークスの体積は、典型的には少なくともコークス0.30m/フィードm(コークス1.97ft/フィードbbl)であり、コークス0.40m/フィードm(コークス2.25ft/フィードbbl)と高い範囲内にあってもよい。
【0022】
図5は、コークスの微細構造を示す。すなわちより大きい空隙空間が見えるはずであり、こうして、それだけ低い嵩密度が得られる。図6は、塊全体にわたりカリウムの分布(SEMX線による)を示し、加熱された残油中への添加物溶液の均一な分布が達成されたことを表わしている。コークス内の内部空隙により、ドラム内に導入された急冷水は添加物無しで生産された高密度コークスの場合よりもはるかに効果的にコークス塊に進入することができ、したがってコークスは、爆発およびピット火災の危険性が削減された状態で、通常の急冷作業の後ドラムから高い信頼性で切断され放出され得る。
【0023】
改善されたコークスの品質が水単独の使用のためではないことが指摘される。すなわち、加熱された油と遭遇した時点で水は気化しコークスの密度を低下させる傾向をもつことは予想され得るものの、製品が従来の高密度コークスよりも顆粒状になるにもかかわらず、(添加物無しで)水を単独で使用して達成される密度の減少は、アルカリ添加物を使用した場合ほど大きくないことが見出された。
【実施例】
【0024】
一般的手順
予備加熱ゾーンの温度が285〜295℃で、炉出口の温度が486℃、コーキングドラムの温度が400〜415℃である直径8m(26ft)の商業用コークスドラムを用いたディレードコーキングにより、オリノコ(Orinoco)重油帯由来の残油を加工した。
【0025】
実施例1
移送ライン内でフィードにKCOも水も一切添加しなかった場合、ギザギザの縁部が観察されるかなり高密度のコークスが生産された。コークス密度は1,041kg/mであり、残油フィードの体積に対する生産されたコークスの体積は、コークス2.6m/フィードm(コークス1.94ft/フィードbbl)と測定された。図2に示される通り、60倍の倍率で観察した場合、コークスは多孔率の極めて低いものであった。
【0026】
このランについては、下表1にバッチ番号1993として要約されている。
【0027】
実施例2
炉の後の移送ライン内でフィードに対し水とナフサを同体積ずつ(フィードに対し合計1.3体積パーセント)添加して、オリノコ(Orinoco)残油をディレードコーキングに付した。この結果として、実施例1の高密度コークスよりも機械的に軟質である独特の予想外の顆粒状コークスが得られたが、コークス密度は1,041kg/mにとどまった。フィードに対するコークス体積はコークス0.30m/フィードm(コークス2.2ft/フィードbbl)であった。コークスは、図5に示されているように60倍の倍率で観察された場合より多孔質であり、急冷がより良好で、はるかに急速に切断できるように思われた。コークス中のカリウムの均一な分布は、図6に示されている50ミクロンの解像度でSEMX線データにより確認された。
【0028】
このランについては下表1でバッチ番号2005として要約されている。
【0029】
実施例3
移送ライン内でフィードに炭酸カリウム(47重量パーセントのKCO)を添加し、等体積の追加の水とナフサも同様に移送ライン内で添加して、オリノコ(Orinoco)残油をディレードコーキングに付した。残油に基づくカリウムが公称1200wppmとなるように、追加の水およびナフサを、フィードとの関係において0.3、0.3および0.6体積パーセントの速度で添加した。この方法で生産したコークスは、機械的により軟質である独特かつ予想外の顆粒状コークスであった。コークス密度は929kg/mであり、残油フィードの体積に対する体積は、コークス0.35m/フィードm(コークス2.2ft/フィードbbl)であった。コークスは、図5に示されているように60倍の倍率で観察された場合より多孔質であり、急冷がより良好で、はるかに急速に切断できるように思われた。コークス中のカリウムの均一な分布は、図6に示されている50ミクロンの解像度でSEMX線データにより確認された。
【0030】
このランについては下表1でバッチ番号2004として要約されている。
【0031】
実施例4−20
炭酸塩添加物の添加有りおよび無しの両方で類似の条件を用いて同じディレードコーカー内で、追加のディレードコーキングランを実施した。炭酸カリウムを使用する場合には、水中47重量パーセントの溶液として添加し、追加の水とナフサと合わせて炉の後で移送ラインに添加した。結果は下表1中に要約されており、適切な割合での炭酸塩添加物の添加によりコークス製品の密度の著しい低下が発生することを示している。
【0032】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)5〜20°のAPI比重を有する重質原油から誘導された石油残油フィードを、最高500℃までのコーキング温度に加熱する工程;
(b)炭酸塩を含む塩基性添加物の水溶液を前記残油中に注入する工程;
(c)ディレードコーキングドラム内で前記残油をコーキングし、この残油からコーキング蒸気生成物を収集して前記ドラム内で塊としてコークス製品を形成する工程;
(d)前記ドラム内で前記コークスの塊を急冷して固体コークス製品を生産する工程
を含むディレードコーキング方法。
【請求項2】
前記塩基性添加物の量が(残油フィードの合計重量に対する前記添加物中の金属の合計重量に基づいて)300wppm〜3000wppmである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塩基性添加物の量が(残油フィードの合計重量に対する前記添加物中の金属の合計重量に基づいて)800wppm〜1500wppmである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記塩基性添加物の量が(残油フィードの合計重量に対する前記添加物中の金属の合計重量に基づいて)1000wppm〜1200wppmである請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記残油フィードがオリノコ重油(Orinoco Heavy Oil)原油から誘導された常圧残油又は減圧残油を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記残油フィードが、6〜15°のAPI比重を有する重質原油から誘導された減圧残油を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記残油フィードが、8〜10°のAPI比重を有する重質原油から誘導された減圧残油を含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記残油フィードが、6〜9°のAPI比重を有する重質原油から誘導された減圧残油を含む請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記添加物が炭酸カリウムを含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記水溶液を、前記残油フィードに添加する前に炭化水素中に分散する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
(a)第1の加熱ゾーン内で、5〜20°のAPI比重を有する重質原油から誘導された石油残油フィードを、前記残油が圧送可能液体(pumpable liquid:又はポンプで送ることが可能な液体)となる温度に加熱する工程;
(b)最高500℃までのコーキング温度に炉内でさらに前記残油を加熱する工程;
(c)炉からディレードコーキングドラムに前記加熱した残油を導き、この残油から蒸気生成物を塔頂留出物として収集し、前記ドラム内で塊としてコークス製品を形成する工程;
(d)工程(b)又は(c)の前又は後で、炭酸塩を含む塩基性添加物の水溶液を前記残油中に注入する工程であって、前記塩基性添加物の量が(残油フィードの合計重量に対する前記添加物中の金属の合計重量に基づいて)300wppm〜3000wppmである工程;
(e)前記ドラム内で前記コークスの塊を急冷して固体コークス製品を生産する工程
を含むディレードコーキング方法。
【請求項12】
前記ドラムの前記温度が400〜500℃である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記塩基性添加物の量が(残油フィードの合計重量に対する前記添加物中の金属の合計重量に基づいて)800wppm〜1200wppmである請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記残油フィードがオリノコ重油原油から誘導された常圧残油又は減圧残油を含む請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記残油フィードが、8〜10°のAPI比重を有する重質原油から誘導された減圧残油を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記添加物が炭酸カリウムを含む請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記水溶液を、前記残油フィードに添加する前に炭化水素中に分散する請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記固体コークス製品が1000kg/m未満の密度を有する顆粒状コークスを含む請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記固体コークス製品が950kg/m以下の嵩密度を有する顆粒状コークスを含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
8〜10°のAPI比重を有し、オリノコ重油帯由来の超重油フィードから誘導された残油留分を含むフィードを用いて固体ディレードコークス製品を生産するためのディレードコーキング方法であって、
(a)第1の加熱ゾーン内で、前記残油フィードを前記残油が圧送可能液体となる温度に加熱する工程;
(b)最高500℃までのコーキング温度に炉内でさらに前記残油を加熱する工程;
(c)炉からディレードコーキングドラムまで前記加熱した残油を導き、この残油から蒸気生成物を塔頂留出物として収集し、前記ドラム内で塊としてコークス製品を形成する工程;
(d)工程(b)の後で、(残油フィードの合計重量に対する前記添加物中の金属の合計重量に基づいて)800wppm〜1500wppmの量で炭酸カリウムを含む塩基性添加物の水溶液を前記残油中に注入する工程;
(e)前記ドラム内で前記コークスの塊を急冷して1000kg/m未満の密度を有する固体コークス製品を生産する工程
によって前記フィードをディレードコーキングに付すことを含む方法。
【請求項21】
前記固体コークス製品が、950kg/m以下の嵩密度を有する顆粒状コークスを含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記固体コークス製品が、920〜950kg/mの嵩密度を有する顆粒状コークスを含む請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記炭酸カリウムの前記水溶液を、(残油フィードの合計重量に対する添加物中の金属の合計重量に基づいて)1000wppm〜1200wppmの量で工程(b)の後で、前記残油中に添加する請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記水溶液を、前記残油フィードに添加する前に、炭化水素中に分散する請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記炭化水素担体がナフサを含む請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−532962(P2012−532962A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519711(P2012−519711)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/041291
【国際公開番号】WO2011/005919
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】