説明

デジタルなライ角および/または他の角度の測定機器を有するゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッド

一つまたは複数のスイングパラメータを測定するように構成されたセンサを有するゴルフクラブヘッドが提供される。ゴルフクラブヘッドはいくつかのジャイロスコープおよび加速度計を含みうる。一つの態様において、クラブヘッドは、異なる直交軸に沿って角速度データを測定する三つのジャイロスコープを含む。少なくとも一つのジャイロスコープはアナログジャイロスコープでありうる。加速度計は、ジャイロスコープに関連する三つの直交軸に関するデータを提供することができる。クラブヘッドは、一つまたは複数のスイングパラメータを決定するためのコンピュータ実行可能な方法を行うソフトウェアおよび/またはハードウェアをさらに含みうる。例示的クラブヘッドは、スイングパラメータの出力を表示するための表示装置を含みうる。本発明のさらなる局面は、スイングパラメータに関係する測定値を計算するための新規の方法およびアルゴリズムに関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は概してゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドに関する。より具体的には、本発明の局面は、一つまたは複数のスイングパラメータを検出するための複数のセンサを有するゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ゴルフは、多種多様なプレーヤ、すなわち異なる性別ならびに劇的に異なる年齢および/または熟練度レベルのプレーヤによって楽しまれている。ゴルフは、そのような多様なプレーヤの集まりがゴルフのイベントで互いに直接競いながらいっしょにプレーし(たとえば、ハンデ付きのスコア、異なるティーボックス、チームフォーマットなどを使用して)、なおもゴルフのラウンドまたは競技を楽しむことができるという点で、スポーツの世界ではいくぶんユニークである。これらの要因が、テレビにおけるゴルフ番組(たとえばゴルフトーナメント、ゴルフニュース、ゴルフの歴史および/または他のゴルフ番組)の視聴可能性の増大および著名なゴルフスーパースターの出現と相まって、少なくとも部分的に、近年、米国および世界中でのゴルフ人気を高めた。
【0003】
ゴルファーは、すべての熟練度レベルにおいて、パフォーマンスを改善し、ゴルフスコアを良くし、その次のパフォーマンス「レベル」に到達しようとする。すべてのタイプのゴルフ用具の製造者はこれらの要求に応え、近年、業界はゴルフ用具における劇的な変化および改良を目撃した。たとえば、今や、広い範囲の異なるゴルフボールモデルが利用可能であり、ボールは、特定のスイングスピードおよび/または他のプレーヤ特性もしくは好みを補うように設計され、たとえば、一部のボールは、より遠くかつ/またはよりまっすぐに飛ぶように設計され、一部は、より高いまたはよりフラットな弾道を提供するように設計され、一部は、より多くのスピン、コントロールおよび/または感触(特にグリーン周りの)を提供するように設計され、一部は、スイングスピードがより速くまたはより遅くなるように設計されている。ある人のゴルフスコアの低下を支援すると約束する多数のスイング補助具および/または補助教材も市場で入手可能である。
【0004】
プレー中にゴルフボールを動かす唯一の道具であることから、ゴルフクラブもまた、近年、多大な技術的研究および進歩の対象であった。たとえば、市場は、近年、パター設計、ゴルフクラブヘッド設計、シャフトおよびグリップにおける劇的な変化および改良を見てきた。さらには、ゴルフクラブの様々な要素および/または特性ならびにゴルフボールの特性を特定のユーザーのスイング特徴または特性により良く適合させようとして、他の技術的進歩が達成されてきた(たとえばクラブフィッティング技術、ボール打ち出し角計測技術、ボールスピン速度など)。
【0005】
近年の進歩により、ゴルファーは莫大な数のゴルフクラブコンポーネントパーツを利用可能である。たとえば、クラブヘッドは多種多様な製造者によって多様な異なるモデルで製造されている。さらに、個々のクラブヘッドモデルは、複数の変形、たとえばロフト角、ライ角、オフセット特徴、ウェイト付け特性における変形(たとえばドローバイアスクラブヘッド、フェードバイアスクラブヘッド、ニュートラルウェイト付けクラブヘッドなど)を含みうる。たとえば、クラブヘッドを多様な異なるシャフト、たとえば異なる製造者からのシャフト、異なる剛性、フレックスポイント、キックポイントまたは他の屈曲特性などを有するシャフト、異なる材料からできているシャフトなどと組み合わせることができる。シャフトおよびクラブヘッドの利用可能な変形として、文字通り数百個の異なるクラブヘッド/シャフトの組み合わせをゴルファーは利用可能である。
【0006】
クラブフィッターおよびゴルフプロフェッショナルは、ゴルファーのスイング特性およびニーズに適したゴルフクラブにゴルファーをフィッティングする手助けをすることができる。現在、適切なクラブフィッティングは大部分が試行錯誤の手順であり、この手順はかなり時間がかかることがあり、フィッティングを行うプロフェッショナルの熟練度に大部分が依存する。クラブフィッターが容易かつより正確に測定を行って、ある個人をクラブに適切にフィッティングすることを可能にする、クラブフィッティング技術の進歩が、当技術分野において歓迎されるであろう。
【発明の概要】
【0007】
概要
以下、本発明およびその様々な特徴の基本的理解を提供するために、本発明の局面の概要を提示する。この概要は本発明の範囲を限定することを決して意図したものではなく、以下の詳細な説明についての一般的な概観および文脈を単に提供するだけである。
【0008】
本発明の局面は、一つまたは複数のスイングパラメータを決定するように構成されたゴルフクラブに関する。例示的スイングパラメータとしてはライ角、クラブフェース角およびロフト角を挙げることができる。一つの態様において、ゴルフクラブヘッドは、クラブヘッド内に複数のジャイロスコープおよび加速度計を有する。一つの態様において、クラブヘッドは、異なる直交軸に沿って角速度データを測定する三つのジャイロスコープを含む。一つの態様において、少なくとも一つのジャイロスコープはアナログジャイロスコープである。ゴルフクラブヘッドは、ジャイロスコープに関連する三つの直交軸に関するデータを提供する加速度計を有しうる。クラブヘッドは、一つまたは複数のスイングパラメータを決定するためのコンピュータ実行可能な方法を行うソフトウェアおよび/またはハードウェアをさらに含みうる。一つの態様において、クラブヘッドは、スイングパラメータを表示するための表示装置を含みうる。
【0009】
本発明のさらなる局面は、一つまたは複数のスイングパラメータを決定するための方法に関する。特定の態様において、方法は、クラブヘッド内のハードウェアおよび/またはソフトウェア上でコンピュータ実施される。一つの態様において、方法は、ゴルフクラブヘッド内に置かれるジャイロスコープからの角速度データの収集を含む。一つの態様において、データは三つの異なる直交軸から得られる。別の態様において、データは、同じ三つの直交軸に沿った三つの加速度計から収集可能である。一つの態様において、少なくともセンサ、たとえばジャイロスコープまたは加速度計からのデータがアナログフォーマットであると決定されることがある。これに応答してアナログデータを積分器に伝達することができる。別の態様において、積分器からの出力をデジタルデータに変換する。
【0010】
一つの態様において、衝突イベントが発生したと決定されない限り、一つまたは複数のセンサからのデータが処理されないことがある。衝突イベントが発生する場合、データの少なくとも一部分が処理用に同定される。同定は所定の時間フレーム、たとえば衝突イベントの前および/または後の時間に基づきうる。データの処理は、角速度データを分解して空間固定座標を得ることを含みうる。ロールデータおよびピッチデータを計算することができる。さらなる態様において、ロールデータおよびピッチデータを空間固定座標と併せて使用してスイングパラメータを計算することができる。一つの態様において、スイングパラメータとしてはクラブヘッドのライ角、クラブフェース角およびロフト角のうち少なくとも一つを挙げることができる。さらなる態様は、少なくとも一つのジャイロスコープまたは少なくとも一つの加速度計からのデータが飽和しているか否かを決定することができる。一つの態様において、飽和データを再構築することができる。一つの態様において、再構築は、スイング中のクラブヘッドの角速度に関係する公知の要因に基づきうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付図面を考慮して以下の詳細な説明を参照することにより、本発明およびその特定の利点のより完全な理解を獲得することができる。
【0012】
【図1】例示目的の例示的ゴルフクラブの正面図を示す。
【図2A】ゴルフクラブのライ角を決定するために使用可能なインパクトテープを有する例示的ゴルフクラブを示す。
【図2B】ゴルフクラブのライ角を決定するために使用可能なインパクトテープを有する例示的ゴルフクラブを示す。
【図3】本発明の一つの態様の例示的ゴルフクラブヘッドの分解後面斜視図である。
【図4】本発明の一つの態様にしたがって実施可能な一つの例示的方法の流れ図である。
【図5】本発明の一つの態様にしたがって表示装置に表示可能な例示的出力のスクリーンショットを示す。
【図6】本発明の一つの態様にしたがって利用可能な例示的方法の流れ図である。
【図7】本発明の一つの態様にしたがって複数のジャイロスコープを含むように構成されうる例示的ゴルフクラブヘッドの正面斜視図である。
【図8】本発明の一つの態様のゴルフクラブにおける少なくとも一つのセンサからの飽和信号を示す例示的出力を示す。
【図9】本発明の一つの態様の飽和信号の例示的再構築を示す。
【0013】
読者は、添付図面が必ずしも原寸に比例して描かれてはいないことに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
本発明の様々な例示的構造に関する以下の説明においては、本明細書の一部を形成し、本発明の様々な例示的接続アセンブリ、ゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブ構造が実例として示されている添付図面を参照する。さらには、本発明の範囲を逸脱することなく、パーツおよび構造の他の具体的配設を利用することができ、構造的および機能的変更を加えることができることが理解されよう。また、本明細書においては、本発明の様々な例示的特徴および要素を説明するために「上」、「下」、「前」、「後」、「後方」、「側方」、「下面」、「頭上」という語が使用されることがあるが、これらの語は、本明細書中、たとえば図に示す例示的向きおよび/または通常の使用における向きに基づいて便宜上使用される。本明細書におけるいかなる記載も、本発明の範囲に入るために構造の特定の三次元的または空間的向きを要するものと解釈されるべきではない。
【0015】
A. 本発明に関係する背景情報の一般的説明
スイングに適したクラブにゴルファーを適切にフィッティングすることは、ゴルファーがスイング中にボールとのより良好でより一貫した接触を行うために役立つことができ、ゴルファーがスコアを減少させるために役立つことができる。いくつかの要因がゴルファーのスイングに影響する。たとえば、ゴルフボールと衝突中のクラブのライ角、ロフト角およびクラブヘッド角は、ボールの弾道に大きく影響する。ライ角の説明を行うことで特定の態様の利点を示すが、本発明の局面は、ロフト角およびヘッド角ならびに他のパラメータを決定することを指向するシステムおよび方法にも関する。
【0016】
ゴルフクラブの「ライ角」は、ゴルファーのスイングおよびスイング中に実現される結果に影響する、重要なパラメータである。図1に示すように、ゴルフクラブ100の「ライ角」は、(a)ゴルフクラブ100のシャフト102の中心軸と(b)地面Gとの間にできる角度として定義される。ゴルフ業界において、アイアンを測定する際には、ライ角は「グリーンゲージ」の使用により決定される。グリーンゲージは、クラブを定位置にロックし、ライ角を各クラブの実際のライ角に調節する。必要に応じて、測定目的で、クラブフェース106のスコアライン104は、ゴルフクラブの自然なライ角を発見するためのより良い基準系を提供することができる。というのも、クラブのソール108は概して曲面であり、したがって、ソール108がいつ地面Gと平行になるかに関しては推測することしかできないためである。したがって、フェース106上のスコアライン104を使用してクラブ100の自然なライ角を決定することができる。
【0017】
いくつかの理由によって、「ライ角」はゴルフスイングに重要である。たとえば、ゴルフスイングの完全なポテンシャルを得るには、クラブをスイングするときにクラブヘッドのスコアラインを地面に平行にする必要がある。クラブは、衝突時点のその適切なライ角において、より正確な飛球、より高い弾道およびより長い距離を促進する。逆に、クラブヘッドがその適切なライ角になければ、そのせいでボールはより短く地面に対してより低く飛ぶようになる。また、衝突時のライ角がクラブヘッドの自然なライ角よりも鋭角であれば、これはボールを「フック」させることがあり(すなわち、右利きのゴルファーでは飛球が右から左に動く)、このことは正確さが失われることになる。衝突時のライ角がクラブヘッドの自然なライ角よりも鈍角であれば、これはボールを「スライス」させることがあり(すなわち、右利きのゴルファーでは飛球が左から右に動く)、このことはやはり正確さが失われることになる。
【0018】
したがって、適切なゴルフスイングおよび良好な結果の実現に関するライ角の重要性は十分に認識されている。しかし、それぞれのゴルファーは異なっており、ゴルフクラブは決して「一つのサイズで全員にフィットする」製品ではない。ゴルフスイングは約三秒間続くが、その短い時間に関わるプロセスは極めて複雑である。両足がしっかりと立っている間、腰が回転し、両肩が回転し、肘が曲がり、手首が曲がり、ボディはその重心を移動させて運動量およびエネルギーを獲得および放出する。さらには、各人は身長、体重、柔軟性および運動能力に基づいて本質的に異なる。これらの要因がゴルフスイングの複雑さに追加されるとき、各個人のゴルフスイングが独特であって二名の人物が同一のスイングを有することがないと言うことができる。ゴルファーがクラブからベストの結果を得るには、スイング時の自然なライ角とは何かを見つけ、次にその仕様に合うようにできたクラブを有することが必要である。そこでカスタムフィッティングの出番である。
【0019】
各人がスイングにフィットしたライ角を有するクラブを必要としていることから、それぞれのゴルフクラブフィッターは、各人のライ角の発見をカスタムフィッティングプロセスに組み込んでいる。ある人がゴルフクラブカスタムフィッティングプロセスを経験して自然なライ角が見つかったとき、必要なそのライ角を有するクラブを提供することができるように、ゴルフクラブ製造者は、異なるライ角を有するクラブセットを作製している。
【0020】
しかし、図2Aおよび2Bとの関連で以下で説明するように、ライ角を決定するための現行のプロセスは最適とはほど遠い。公知のライ角を有する標準的なクラブ200(一般的には6番アイアン)がフィッティングプロセスに使用される(このクラブは、フィッティングを受けるゴルファーが現在所有するクラブのうちの一本、またはフィッターが提供する正規のクラブでありうる)。まずクラブフェースの幾何学的中心を決定するが、この決定は通常、クラブフィッターがクラブヘッドフェースを単に「じっくり見て」、フェースの中心が位置する区域の決定(または推測)を行うことによって達成される。次に一本のインパクトテープ202をクラブ200のソール204に貼り付け、ここでインパクトテープ202の中心206はクラブフェースの幾何学的中心の推定場所に一致している。
【0021】
図2Bを見ると、フィッティングを受けるゴルファーは次に、地面または他の表面212に設置されるインパクトボード210からゴルフボール208を打つ。インパクトテープ202が、硬い表面に接触して、クラブのソール204がボード210に衝突したライン214をより良く示すように、ボード210を使用する。クラブヘッドのソール204がボード210に衝突したライン214の場所を観察することにより、特定のゴルファーにとっての自然なライ角を決定することができる。通常、決定されるライ角は、一回のショットではなく複数回のショットに基づく。
【0022】
カスタムフィッティングにおいて使用されるこの現行のライ角決定技術は、旧式であって、不正確でかつあまり再現可能ではないことがある。上記で言及したように、フェースの幾何学的中心が、カスタムフィッティングを行う人によって決定される場所にあると仮定されることから、第一の段階には多くの誤差が起こりうる。別の誤差の原因は、ボード210上のクラブヘッドの衝突が作り出すインパクトテープ202上のライン214に関係する。ライン214は、通常は曖昧で幅広いものであり、クラブヘッドソール204にわたって不自然な角度で広がることがある。それにもかかわらず、適切なライ角をこのライン214から推定しなくてはならない。さらに、インパクトテープ202上には度数マーキング216があることがあるが、これらのマーキングの場所は汎用的である(したがって、複数の異なるクラブヘッドについて同一のインパクトテープが使用されることがある)。各クラブが異なるソールの曲率半径を有していたことから、カスタムフィッティングを行う人が、インパクトテープ202がその上にあるコントロールクラブを使用しないならば、このことによって別の潜在的な誤差の原因が追加される。
【0023】
このライ角測定技術は、不正確で再現不能な結果を生むことがあるという事実に加え、必ずしもユーザーフレンドリーではない。一般に、ゴルファーに対してカスタムフィッティングプロセスを行う人々は、システムを設計しなかったため、測定プロセス内に誤差を導入する可能性があるシステムの、すべての微妙な点に精通していないことがある。さらには、スイングごとに(または非常に少ない数のスイングの後で)新たなインパクトテープを貼り付けなければならないため、誤差の起こりやすさが増大する。インパクトテープおよび別個のインパクトボードの使用に関する要件も、プロセスをあまり「ユーザーフレンドリー」でないものにする。
【0024】
インパクトテープを使用する技術は、ボードの使用に由来するもう一つの潜在的な不正確さの原因も導入する。実際のプレーにおいては、ボードよりも通常はるかに軟らかい草の上にボールが位置するときにゴルフショットが実行される。普通のいかなるゴルファーもこの事実を知っていることは確実である。ボードから打つことは草から打つことよりもはるかに難しいと言うこともできる。ゴルフは莫大な量の集中を必要とするメンタルなゲームであり、ゴルフのゲーム中の特定の事柄は、この集中を奪うものであり、スイングの欠陥を引き起こすことがある。これらの事柄としては、目標ライン内の水、目標ライン内の物体(木などの)、およびプレーヤがボールにアドレスするときにボールがどのようにセットされているかが挙げられる。プレーヤがボードなどの硬い表面から打つことをわかっている場合、スイングを(少なくとも潜在意識で)改変することが可能である。基本的に、ボードから打たなければならない場合には、ある人のスイングはいつものスイングと異なる可能性があり、したがって、前記プロセスにおいて決定されたライ角は、必要である正確な角度ではないことがある。
【0025】
したがって、ライ角または他のパラメータを決定する上で誤差の原因を減少させるかまたは排除するシステムおよび方法は、当技術分野において歓迎される進歩であろう。
【0026】
B. 本発明の例のゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブの一般的説明
概して、上記のように、本発明の局面は、ゴルファーのスイングの適切なライ角および/または他の特性をたとえばゴルフクラブフィッティング目的で測定および決定するためのシステムおよび方法に関する。本発明の局面のより詳細な説明は以下の通りである。
【0027】
1. 本発明の例示的ゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブ構造
本発明の一つの局面は、複数のジャイロスコープおよび複数の加速度計を含む、ゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブに関する。図3は、例示的クラブヘッド300を分解した後面斜視図である。例示的クラブヘッド300は標準的「アイアン」タイプクラブヘッドとして描写されているが、本発明の局面は、任意のアイアンタイプゴルフクラブヘッド(たとえば0番アイアンまたは1番アイアンからウェッジまでの任意の所望のロフトの)、フェアウェイウッドクラブヘッド、ウッドまたはアイアンタイプハイブリッドゴルフクラブヘッド、パターヘッドなどをはじめとするが、これらに限定されない、任意の種類のクラブヘッドに適用することができる。さらに、本開示の利益を得る当業者は、使用中に少なくとも二つの異なる軸を横断するように構成された他の種類のスポーツ器具、たとえばバット、スティックおよびポールが本開示の範囲内であることを容易に理解するであろう。
【0028】
クラブヘッド300およびハウジング302(以下で論じる)は、一つまたは複数の材料から製作することができる。一つの態様において、少なくとも一つの金属材料をクラブヘッド300またはハウジング302の構築において利用する。例示的な金属としては、ゴルフクラブヘッドの構築において通常使用される軽金属、たとえば、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ニッケル、これら金属の合金、鋼、ステンレス鋼など、そして任意で陽極酸化された仕上げ材料を挙げることができる。あるいは、必要に応じて、クラブヘッド300および/またはヘッド302の様々な部分またはパーツのうち一つまたは複数を、剛性ポリマー材料、たとえばゴルフクラブ業界において通常知られ、使用されているポリマー材料から作製することもできる。本発明を逸脱することなく、同一のまたは異なる材料から様々なパーツを作製することができる。一つの具体例において、様々なパーツのそれぞれは、硬質陽極酸化仕上げを有する7075アルミニウム合金材料から作製される。金属加工および/またはポリマー製造の分野において知られ、使用される好適なやり方でパーツを作製することができる。一つの態様において、ハウジング302の少なくとも一部分は、任意の収納された電子部品に対する衝突を緩衝する助けとなる一つまたは複数の圧縮性または可撓性材料を含みうる。
【0029】
ハウジング302は、クラブヘッド302に取り外し可能に固定されるように形成することができる。たとえば、ハウジング302は、ねじを受け止めるための一つまたは複数のねじ込み中空円筒を含みうる。一つの態様において、クラブヘッド300は、ねじを受け止めるための一つまたは複数の相補的ねじ込み円筒306を含み、これにより、クラブヘッド300をハウジング302に取り外し可能に固定することが可能になる。さらに他の態様において、たとえばリベット、接着剤などの結合剤、または任意の他の機構を用いて、クラブヘッドをハウジング302に取り外し不能に固定することができる。さらに他の態様において、ハウジング302は、ねじまたはリベットなどのさらなるハードウェアを必要としないようにクラブヘッド300に「スナップイン」するように形状化される。一つの態様において、ハウジング302に嵌合するキャビティを有する標準的なクラブヘッドまたは特殊なクラブへのアタッチメントとなるようにハウジング302を構成することができる。
【0030】
一つの態様において、電子回路308が、ハウジング302に固定可能に構成されている。本明細書において使用する電子回路は、プロセッサとコンピュータ可読媒体との組み合わせを含む。コンピュータ可読媒体は、プロセッサによって実行される際にクラブヘッド300のスイングパラメータを検出するコンピュータ実行可能命令を含むように構成することができる。スイングパラメータとしては、少なくとも一つの加速度計および少なくとも一つのジャイロスコープをはじめとする、ハウジング内に置かれるセンサからの入力を挙げることができる。さらなるセンサを異なる態様において利用することができ、ひずみゲージ、導電性インク、圧電装置、無線周波数センサなどの電磁センサ、もしくは超音波センサ、および/または圧力トランスデューサを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0031】
一つの態様において、電子回路308は、少なくとも一つの他のセンサからの信号ドリフトをまとめて最小化する温度補償回路と操作可能に連通している、少なくとも一つの温度センサを含む。一つまたは複数のセンサは、電子回路308内にあってもよく、それに取り付けられていてもよい。特定の態様において、一つまたは複数のセンサは電子回路308と一体化している。電子回路308は、アナログ・デジタル変換器(「A/D変換器」)をさらに含みうる。一つの態様において、A/D変換器は、一つまたは複数のセンサからアナログ信号を受信し、その信号をデジタルフォーマットに変換するように構成されている。一つの態様において、少なくとも一つのジャイロスコープはアナログジャイロスコープである。電子回路308は、一つまたは複数のコンピュータ装置から電子信号を受信および/または送信するための入力/出力ポートをさらに有しうる。一つの態様において、入力/出力ポートは、情報を無線送信するように構成された無線送信モジュールを含む。一つの態様において、入力/出力ポートは、たとえば新たなファームウェアを受信するためにコンピュータ可読媒体に対するコンピュータ可読命令を更新または置換するように構成されうる。別の態様において、入力/出力ポートは、過去のパフォーマンスをはじめとする、ユーザーのスイングに関係するデータを受信および/または送信するように構成されうる。
【0032】
クラブヘッド内のセンサの種類および量にかかわらず、クラブの空気力学に干渉しないように、本発明の態様を構築することができる。さらに、クラブヘッド300は、含まれるコンポーネントの重量および配設がクラブヘッド300のバランスまたは重心を変化させないように構成されうる。一つの態様において、クラブヘッド300の重量は、未変更のクラブヘッドの重量の6%未満である。特定の態様においては、慣性モーメント(「MOI」)も著しくは改変されていない。一つの態様において、MOIは約1500g-cm2であり、標準偏差は200g-cm2である。
【0033】
電源310を、クラブヘッド300内での設置のために、ハウジング302に操作可能に取り付けることができる。電源は、充電式でありうる電池を含みうる。一つの態様において、電源310は、充電式電池などの少なくとも一つの取り外し可能なコンポーネント、および少なくとも一つの取り外し不能なコンポーネントを含み、これにより、取り外し可能なコンポーネントの取り外しによって、電子回路308の少なくとも一つのメモリに記憶されたデータの少なくとも一部分の損失が生じることがなくなる。
【0034】
ディスプレイ312などの表示装置をハウジング302に装着することができる。一つの態様において、ハウジングの少なくとも一部分(すなわち部分314)を通じて可視区域を提供するようにディスプレイ312を向けることができる。部分314は中空構造を含みうるものであるが、他の態様において、部分314は、環境要素からディスプレイ312を保護する透明構造を含みうる。ディスプレイ312は一つまたは複数の表示構造、たとえばLED、OLED、LCD、プラズマ、または物体を表示可能な任意の他の構造を含みうる。一つの態様において、ディスプレイ312はタッチスクリーン装置を含みうるものであり、これによりユーザー入力装置として役立つ。一つの態様において、表示装置は、たとえばクラブヘッド300のライ角、フェース角および/またはロフト角に関係するパラメータを含む、一つまたは複数のスイングパラメータからの結果を表示するように構成される。ディスプレイ312の例示的出力の例示的スクリーンショットを図5に示し、以下でさらに詳細に論じる。
【0035】
一つの態様において、三つのレートジャイロスコープをゴルフクラブヘッド300内に配置する。レートジャイロスコープは、異なる軸に沿ってクラブヘッド300の角度位置を測定するようにそれぞれ構成することができる。一つの態様において、軸はx、yおよびzである。いくつかの態様は、三つの別々の軸に沿ってクラブヘッド300の角度位置を測定するように構成された単一のジャイロスコープを利用することがあるが、三つの別々のジャイロスコープを有する態様は本開示の範囲内である。実際、特定の態様において、複数(たとえば三つ)のジャイロスコープを使用して異なる軸を測定することによってクラブボディ300の空間固定角度位置が提供され、これは単一のジャイロを使用する場合には不可能である。三つのジャイロスコープを含むように構成されうる例示的ゴルフクラブヘッドは、以下で図7に関して論じる。使用するジャイロスコープ(または他の同等のセンサ)が単一であるか複数であるかにかかわらず、一つまたは複数のジャイロスコープをクラブのx軸の重心に沿って配置することができる(たとえば図7に示すクラブ700の軸702を参照)。しかし別の態様において、一つまたは複数のジャイロスコープを重心よりもわずかに下に配置することができる。
【0036】
スイングの開始直前のクラブの位置(すなわち「初期位置」)に関する知識とともに、複数の軸に沿った測定値(たとえば一つまたは複数のジャイロスコープを使用しての)を使用することによって、ボールとの衝突までの、そして必要に応じてその衝突を過ぎてのスイング中の任意の地点で、クラブフェースの角度方向を計算することが可能になる。したがって、特定の局面にしたがって、開示された態様を使用することで、アドレスからボールとの衝突までのスイング軌道、すなわちスイングイベント全体にわたるクラブヘッドの位置を推定することができる。スイング軌道に関する情報および他のスイングパラメータを、ディスプレイ312などのクラブヘッドに装着したディスプレイに表示するか、またはデータ取得装置に無線送信することができる。一つの態様において、x軸に沿って得られた測定値は、衝突時のゴルフクラブの有効なロフトを決定する助けとなりうる。別の態様において、y軸に沿った測定値を使用することで、ライ角の変化を決定することができる。しかし別の態様において、z軸に沿った測定値を使用することで、フェース角回転、または、ゴルフクラブをスイングするゴルファーのクラブがボールとの衝突時に開いているかまたは閉じているかを決定することができる。一つの態様において、ジャイロスコープの少なくとも一部分はアナログジャイロスコープである。アナログジャイロスコープを使用する例示的方法は、以下で図6を参照してさらに詳細に論じる。
【0037】
一つの態様において、少なくとも一つの加速度計はジャイロスコープの少なくとも一部分に関連しうるものであり、これにより、関連する加速度計はその特定の軸に沿ってクラブヘッド300の加速度(および潜在的には速度)を測定する。特定の態様は、たとえば計算を便利にするために、各センサアレイの要素(加速度計および関連するジャイロスコープ)を互いに直交するように向けることができる。さらに別の態様において、互いに直交しないセンサを使用することがあるが、それらの互いに対する向きは十分に正確にわかっている。
【0038】
ジャイロスコープおよび加速度計をはじめとするセンサは、電子回路308と電気的に連通している。電子回路308内のコンピュータ実行可能命令は、センサから受信した入力から一つまたは複数のパラメータを計算することができる。図4は、本発明の一つの態様にしたがって実施可能な一つの例示的方法の流れ図である。図4の方法(および本明細書に開示される他の方法)を、一つまたは複数の方法内に組み込み可能な例示的プロセスに関して説明する。これに関して、経時的順序は単に例示的なものであり、したがって、本明細書において明示的に述べられない限りは、方法の要件であると考えるべきではない。さらに、図4に示す特定のプロセスを、三つのジャイロスコープおよび三つの加速度計を有する例示的クラブヘッドであって各ジャイロスコープが加速度計に関連しているクラブヘッドに関連して説明する。したがって、角回転および加速度データが三つの直交軸から得られる。一つの態様において、少なくとも一つの加速度計は、少なくとも一つの他の加速度計よりもgが大きい加速度計として評価される。本開示の利益を得る当業者は、本発明の範囲を逸脱することなくセンサの量および種類の変更を実施することができることを容易に理解するであろう。
【0039】
コンピュータ実行可能命令は、たとえば電子回路308内に置かれ、クラブヘッド300内のセンサからデータを受信することができる(すなわちステップ402)。一つまたは複数のセンサから受信した任意のデータが飽和データを含むか否かを決定するために、データを分析してもよい(すなわちステップ404)。これに関して本発明者らは、特定の態様を開発する一部として、1)ジャイロスコープからの角速度信号の波形が質的に同様であること、および2)使用するジャイロスコープの範囲に応じて、ジャイロスコープが飽和する場合があることがあり、したがってジャイロスコープの波形を「クリップする」潜在的必要性が生じることを発見した。たとえば、図8(以下でさらに詳細に説明する)は、ゴルフクラブ内のセンサが生成する飽和信号を示す。
【0040】
図4に戻ると、ステップ404において、データの少なくとも一部分が飽和していると決定される場合、ステップ406を行って飽和を補償することができる。一つの態様において、飽和を補償するように構成された一つまたは複数のアルゴリズムをステップ406において適用することができる。実際、本明細書に開示される新規の局面は、ゴルフクラブヘッドからの飽和角速度信号を再構築するように構成された一つまたは複数のアルゴリズムに関する。一つの態様において、アルゴリズムを適用することで、スイング中のクラブヘッド300の角速度に関係する公知の要因に基づいて飽和していると決定されたデータの少なくとも一部分を再構築する。一つの態様において、ステップ406は、飽和イベントの前および/または後のデータ点から一次線形回帰(たとえば図8の線808で表される)を計算することができる。一つの態様において、飽和イベント前の約50〜100個のデータ点および/または飽和点後の約50〜100個の飽和点を一次回帰のために利用することができる。このデータを使用して、二本の回帰線が交差する時点を決定することができる。次に、二次多項式関数を実施することで、交点と飽和イベントの二つの終点とのフィッティングを、終点間を通じた勾配を二本の回帰線の勾配と同一とするという制約を伴って行うことができる。多項式関数を使用することで、飽和イベントの期間にわたってデータ点を計算することができる。したがって、これらの点をジャイロ出力で置換することができ、結果的な再構築されたジャイロ信号を使用してクラブヘッドの角度方向を推定することができる。図9(以下でさらに詳細に論じる)は、この方法論を使用するジャイロスコープ信号の例示的再構築を示す。
【0041】
特定の態様において、所定の判定基準が満たされるまでは、一つまたは複数のセンサからのデータは分析されない。一つの態様において、衝突イベント(すなわちクラブヘッド300によるゴルフボールの打撃)が発生したと決定されるまでは、一つまたは複数のセンサから得られたデータは分析されないことがある。ステップ407において行われうるこの決定は、たとえば、ステップ402において収集したデータに基づいて、かつ/またはステップ406から得た補正データを用いて行うことができる。一つの態様において、少なくとも一つの加速度計からのデータをステップ407の決定において利用する。少なくとも一つの加速度計を、クラブヘッド300内の少なくとも一つの他の加速度計よりもgが大きい加速度計として評価することができる。一つの態様において、ステップ402において受信されないデータをステップ407の決定において利用する。一つの態様において、衝突が発生したか否かを決定する際に、少なくとも一つの加速度計および少なくとも一つのジャイロスコープからのデータを考慮する。ステップ407を所定の反復数繰り返すことがあるが、他の態様においては、衝突が検出されるまでステップ407を連続的に繰り返す。
【0042】
一つの態様においては、ジャイロスコープおよび/または加速度計から得たデータを使用することで、ボールとの衝突を検出するためのさらなるセンサが必要でなくなることがある。これによって、動力供給するか他のやり方で維持することが必要でありうるパーツの数がより少ない、より経済的に実行可能なクラブを得ることができる。しかし他の態様において、クラブヘッド300は、クラブヘッド300のフェースに対するゴルフボールの衝突を測定するための測定モジュールを含みうる。例示的衝突モジュールは、ひずみゲージを含みうる。
【0043】
衝突がステップ407において検出されれば、ステップ409を実施して、ステップ402において収集されたデータをさらなる処理のために同定することができる。一つの態様においては、衝突が発生したと決定した時点で、衝突の前および/または後の所定の期間に得たセンサからのデータを分析することができる。一つの態様において、少なくとも三つのジャイロスコープおよび三つのジャイロスコープのそれぞれに関連する加速度計からのデータが、さらなる分析の少なくとも一部分に含まれる。一つの態様において、衝突イベントの約4秒前および衝突イベントの約0.5秒未満後の範囲で得られたデータを選択する。一つの態様において、衝突イベントの約3.9秒前および衝突イベントの約0.1秒未満後の範囲で得られたデータを選択する。したがって、一つの態様において、少なくとも4秒のバッファでデータを収集する。一つの態様において、約3.8Khzにおいて約4秒のバッファでデータを収集する。
【0044】
ステップ408〜416を使用して、センサから集めたデータに基づいてライ角、クラブ角および/またはフェース角を計算することができる。これらの角度のうち一つまたは複数を計算するための可能なプロセスの概観をまず説明し、ステップ408〜416において一つまたは複数のプロセスを実施する特定の態様の具体例を概観の後に示す。
【0045】
ステップ408では、ジャイロスコープから受信した角速度信号(たとえばロールデータおよびピッチデータを含む)を分解して空間固定座標を得ることができる。ステップ410において、一つまたは複数のアルゴリズムを利用することで、加速度計から受信したデータからロール角およびピッチ角を計算することができる。一つの態様において、ステップ408およびステップ410を同時に行う。一つの態様において、ステップ412を実施することで、ステップ410で得たロール角およびピッチ角計算値をフィルタを通じて処理することができる。一つの態様において、フィルタは非線形フィルタである。例示的なフィルタは、ノイズおよび/または不確定性を補正するために角度位置データに適用可能な非線形可変ゲインフィルタでありうる。一つの態様において、ステップ410からの出力は、角度位置データに適用される補正信号でありうる。
【0046】
ステップ414において、ロール角およびピッチ角(ステップ410または412のいずれかから得た)と、加速度計に関連するジャイロスコープのステップ408のデータから得た空間固定座標とを組み合わせることができる。一つの態様において、ステップ414は、三つの軸に沿った速度(すなわちロール、ピッチおよびヨー速度)と未知の初期条件とを積分する一つまたは複数のアルゴリズムを利用することで、たとえばスイング中の時間関数としてクラブ方向データを提供する。
【0047】
三つの直交軸において利用可能な速度および加速度の測定値を用いて、ステップ416を実施することでライ角、クラブフェース角および/またはロフト角を計算することができる。一つの態様において、ステップ416は、クラブヘッド300の絶対ライ角、絶対ロフト角および相対フェース角を計算する。一つの態様において、クラブフェース角は、クラブヘッド300のボールとの衝突時に計算されたフェース角とアドレス時のフェース角との間の差として計算することができる。たとえば、クラブヘッド300がボールに5度クローズのフェースでアドレスし、ボールを同じ5度クローズのフェースで打つ場合、計算されるクラブフェース角はゼロ(0)である。
【0048】
ロフト角は、ボールとの衝突時のロフト角とクラブヘッド300に特定のロフト角との間の差として計算することができる。たとえば、約30度のロフト角を6番アイアンに一般に使用する。ライ角は、ボールとの衝突時のライ角と較正時のライ角との間の差として計算することができる。これに関して、ゴルフクラブは、ユーザー入力装置、たとえば、クラブが特定のライ角にあることを示すためにユーザーが押すかまたは他のやり方で起動することができる、シャフトおよび/またはクラブヘッド上に置かれるボタンを有しうる。例示的な方法およびシステムを本明細書において説明するが、本開示の利益を得る当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく他の方法およびシステムを変更してクラブを較正することができることを容易に理解するであろう。
【0049】
特定の態様において、アルゴリズムは、非慣習的な推定技術を使用してオイラー角を推定することができる。一つの態様において、オイラー角の推定中にスライディングモードオブザーバ(「SMO」)を利用することができる。一つの態様において、角度推定値を以下の方法によって決定することができる。
【0050】
まず、ロール角およびピッチ角を計算する。一つの態様において、これはステップ410を利用することができ、またはそれと併せて行うことができる。特定の態様において、使用データは加速度計からのみのデータである。一つの態様において、式1を使用してロール角およびピッチ角を計算することができる。
式1:

【0051】
特定の場合において、式1によるロール角およびピッチ角がノイズ(たとえば加速度計からの)によって影響されることがある。したがって、この理由および/または他の理由で、特定の態様において、不連続入力とともにSMOを使用することを実施することがある。SMOの使用によって、ステップ412における一つまたは複数のフィルタリングプロセスを置換することができ、あるいは、ステップ412または別のステップにおける一つまたは複数のフィルタリングプロセスと併せて使用することができる。特定の態様において、ロール角およびピッチ角(たとえば式1を使用してステップ410において得ることができる)をSMOに適用する。式2は、本発明の特定の態様にしたがって使用可能な例示的SMOを示す。
式2:

式中、M1およびM2は設計ゲインであり、ωはボディ角速度測定値であり、^は角度推定値を示す。
【0052】
SMO、たとえば式2に示すSMOの使用が、特定のフィルタよりも好ましいことがある。たとえば一つの態様において、カルマンフィルタのフィルタリング特性が理由で、SMOが標準的カルマンフィルタよりも好ましいことがある。これに関して、SMOの実施は、外乱およびシステム外乱に対してより強固でありうるし、より正確な信号再構築を提供することができる。
【0053】
特定の態様において、第三の状態であるヨー(φ)は観察不能であり、したがって、初期条件ゼロで常に始まる標準オープンループモードで実行されうる。特定の態様において、式3を数値的に解析してヨーを推定することができる。
式3:

【0054】
当業者は、上記式1〜3が例示的態様であって、本開示の範囲を逸脱することなくわずかな変形を行うことができることを理解するであろう。
【0055】
一つの態様において、ステップ418を実行することで、クラブヘッド300が較正されたか否かを決定することができる。ステップ418は、較正が所定の期間内に行われたか否かを決定することができる。別の態様において、ステップ418は、較正が適切に実行されたか否かを決定することができる。ステップ418において較正が不適格である(たとえば、所定の期間内に行われなかったかまたは不適格な結果を与えた)と決定される場合、ステップ420を実施することができる。ステップ420は、エラーメッセージをディスプレイ312に表示することができ、ゴルフクラブヘッド300の電子回路308上で行われる少なくとも一つのコンピュータ実施プロセスを実施または変更することができる。しかし、ステップ418において較正が妥当であると決定される場合、ステップ422を行うことができる。
【0056】
ステップ422において、測定値の出力をディスプレイ312などの表示装置に表示することができる。一つの態様において、ライ角、クラブフェース角、ロフト角またはその組み合わせをディスプレイ312に表示することができる。図5は、ディスプレイ312に表示可能な例示的出力の例示的スクリーンショット500を示す。スクリーンショット500でわかるように、ライ角(502)、クラブフェース角(504)およびロフト角(506)に関係する測定値が表示される。図示するように、ディスプレイ400はグラフィカルユーザーインターフェースを示し、ここで指示508はライ角が-2であることを示し、指示510はクラブフェース角のずれが-1であることを示し、指示512はロフト角のずれが+1であることを示す。指示508〜512によって示す結果を所定の期間表示することができる。しかし他の態様において、ユーザーは、ディスプレイ512、クラブヘッド300、シャフト、またはクラブの任意の部分上に置かれうるリセットボタン514を押すことができる。
【0057】
図5に示す態様は、結果を表示するためにグラフィカルユーザーインターフェースを利用したが、別の態様はグラフィカルユーザーインターフェースを利用しないことがある。一つの態様において、図5に示す情報は、たとえば、クラブヘッド300上の直接の刷り込み、および/またはクラブヘッド300に貼付可能な印刷材料によって、クラブヘッド上に示すことができる。これに関して、ディスプレイ312は、結果を示すために点灯する発光構造、たとえばLEDを含みうる。たとえば、指示508は、ライ角のずれが-2であることを示すように点灯したLEDでありうる。しかし他の態様において、結果は文章として表示することができる。したがって、スクリーン上の一つまたは複数のLEDまたは画素を照明することで、「-2」という文章表現を示すことができる。本開示の利益を得る当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく他のシステムおよび方法を実施して測定結果を得ることができることを容易に理解するであろう。
【0058】
上記に示すように、特定の態様はアナログジャイロスコープを利用することができる。図6は、本発明の一つの態様のアナログジャイロスコープを利用する例示的方法の流れ図である。一つの態様にしたがって、データをアナログジャイロスコープから受信することができる。アナログジャイロスコープは連続的な電気変動を生成するように構成され、一方、デジタルジャイロスコープはバイナリコードの形態の測定値のデジタル表現を生成するように構成される。したがって、ジャイロスコープから直接デジタルデータを使用することは、ジャイロスコープからのコード出力を変換し、それをディスプレイ上で数字に変換するためのプロセッサを必要とすることがある。余分な処理は処理時間および電力消費を増大させることがある。したがって、特定の例において、アナログジャイロスコープの利用はデジタルジャイロスコープの利用に対する利点を提供する。
【0059】
本発明の一つの態様にしたがって、アナログレートジャイロスコープからデータを得る(ステップ602)。例示的なアナログジャイロスコープはマサチューセッツ州ノーウッドのAnalog Devices, Inc.から市販のADXRS150である。特定の態様において、抵抗器をジャイロスコープと組み合わせることで、その測定範囲を改変することができる。たとえば、ADXRS150は一秒当たり150度の範囲を提供する。抵抗器を追加することで、感度を一秒当たり約150度から一秒当たり約300度に改変することができる。一つの態様において、電子回路308の一部である積分器にてデータを受信することができる(ステップ604)。積分器は汎用演算増幅器でありうる。積分器としての汎用演算増幅器の例示的使用は、テキサス州ダラスのTexas InstrumentsからのTexas Instruments TL082でありうる。2.5ボルトジャイロスコープのアナログジャイロスコープの基準電圧を積分器の非反転入力に適用し、次に2.5ボルトを積分器に伝達する場合、積分器からの出力はゼロとなる。本開示の利益を得る当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく他のジャイロスコープおよび/または積分器を使用することができることを容易に理解するであろう。
【0060】
一つの態様において、所定の判定基準、たとえばゴルフボールの打撃が満たされない限り、ステップ604は発生しない(たとえば図4のステップ407および409を参照)。したがって、データのサブセットは、スイングを開始する時点近くからボールとの衝突の時点近くまでに得られるデータでありうる。しかし他の態様において、他の時間フレームを利用することができる。一つの態様において、衝突の約4秒前および衝突の約0.5秒未満後の範囲で得られたデータを選択する。一つの態様において、衝突の約3.9秒前および衝突の約0.1秒未満後の範囲で得られたデータを選択する。したがって、一つの態様において、少なくとも4秒のバッファでデータを収集する。一つの態様において、約3.8Khzにおいて約4秒のバッファでデータを収集する。
【0061】
ステップ606を実施することで、積分器からのアナログ出力をデジタル出力に変換することができる。変換は、電子回路308内で一体化したA/D変換器を用いて行うことができる。一つの態様においては、テキサス州ダラスのTexas InstrumentsからのTLC7135である。しかし別の態様において、TLC0820をバイナリBCD変換器とともに使用することができる。一つの態様において、得られるデジタル信号は、ライ角(または他の結果)を表す電圧である。ステップ608は、ディスプレイ312などのディスプレイに表示されるようにデジタル信号をデコードすることができる。デコーダは電子回路308内に位置しうる。一つの態様において、デコーダは信号を7桁セグメント信号に変換し、ここで各セグメントは、ある数字の一部分を表すように照明されうるラインを表す。
【0062】
図7は、三つのジャイロスコープを含むように構成されうる例示的ゴルフクラブヘッド700を示す。一つの態様において、第一のジャイロスコープは、x軸704に沿って角度位置(すなわち矢印702を参照)を測定するように構成され、第二のジャイロスコープは、y軸708に沿って角度位置(すなわち矢印706を参照)を測定するように構成され、第三のジャイロスコープは、z軸712に沿って角度位置(すなわち矢印710を参照)を測定するように構成される。一つの態様において、第一のジャイロスコープを位置714の周り(x軸704に沿ったフェースの中心の近く)に配置することができる。さらに別の態様において、第二および/または第三のジャイロスコープも、実質的に位置714またはその周りに位置しうる。さらに別の態様において、一つまたは複数のジャイロスコープはx軸704の重心に沿っている。しかし別の態様において、一つまたは複数のジャイロスコープを重心よりもわずかに下に配置することができる。
【0063】
スイングの開始直前のクラブの位置(すなわち「初期位置」)に関する知識とともに、複数の軸(たとえば軸702、706および710)に沿った複数のジャイロスコープからの測定値を使用することによって、ボールとの衝突までの、そして必要に応じてその衝突を過ぎてのスイング中の任意の地点で、クラブフェースの角度方向を計算することが可能になる。したがって、特定の局面にしたがって、開示された態様を使用することで、アドレスからボールとの衝突までのスイング軌道、すなわちスイングイベント全体にわたるクラブヘッドの位置を推定することができる。スイング軌道に関する情報および他のスイングパラメータを、ディスプレイ312(図3に示す)などのクラブヘッドに装着したディスプレイに表示するか、またはデータ取得装置に無線送信することができる。一つの態様において、x軸704に沿って得られた測定値は、衝突時のゴルフクラブの有効なロフトを決定する助けとなりうる。別の態様において、y軸に沿った測定値を使用することで、ライ角の変化を決定することができる。しかし別の態様において、z軸710に沿った測定値を使用することで、フェース角回転、または、ゴルフクラブをスイングするゴルファーのクラブがボールとの衝突時に開いているかまたは閉じているかを決定することができる。
【0064】
図8は、少なくとも一つのジャイロスコープ(またはセンサ)に飽和信号を生成させるゴルフスイングの例示的出力を示す。出力800は、本発明の一つの態様のクラブを使用するゴルフスイング中にジャイロスコープから得られた例示的信号802を示す。図8に示すように、信号802は、時間(x軸806参照)に対するジャイロスコープの速度(y軸804参照)によって測定される。例示的出力800は、ラジアン/秒単位でのy軸804に沿った速度、および0.2秒間隔でのx軸に沿った時間を示すが、当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく他の単位および/または間隔を使用することができることを理解するであろう。図8にさらに示すように、信号802は少なくとも二つの場合において飽和を示す。まず、信号802は線808の近くで飽和を示す。したがって、上記で論じたように、線808よりも下で信号境界の内側の区域810をクリップすることができる。たとえば、一つまたは複数のアルゴリズム(図4、ステップ406に関して開示されたものなどの)を埋め込んで、線808またはその近くにある信号を「クリップ」することができる。同様に、線812は、線812の周りの飽和をさらに示し、したがって区域814(線812よりも上で信号の境界の内側)を再構築することができる。信号802を再構築する例示的方法を図9に示す。
【0065】
図9は、本発明の一つの態様の飽和信号の例示的再構築を示す。一つの態様において、図9に関して適用されるアルゴリズムを、図4のステップ406〜416の一部として実施することができる。図示するように、図9は、本発明の一つの態様のクラブをたとえば使用するゴルフスイング中のジャイロスコープからの出力900を示す。図8に示す信号のように、信号900は、時間(x軸904参照)に対するジャイロスコープの速度(y軸902参照)との関連で測定される。y軸902に沿った速度はラジアン/秒単位であり、x軸904に沿った時間は0.2秒間隔で示されるが、当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく他の単位および/または間隔を使用することができることを理解するであろう。一つの態様において、飽和イベントの前および/または後のデータ点から一次線形回帰(たとえば線906で表される)を計算することができる。したがって、時点908(飽和イベントが開始された推定または既知の時間フレーム)と時点910(飽和イベントが終了した推定または既知の時間フレーム)との間の期間における任意のデータを飽和データと考えることができ(911と明示された信号の一部分を参照)、したがって再構築することができる。一つの態様において、飽和イベント前の約50〜100個のデータ点および/または飽和イベント後の約50〜100個のデータ点を一次回帰の計算において使用することができる。このデータを使用して、一次回帰線912および914を使用することで、この二本の回帰線が交差する時点(地点916)を決定することができる。さらなる態様において、次に二次多項式関数を実施することで、交点(地点916)と飽和イベントの二つの終点(地点908および910)とのフィッティングを、終点908および910間を通じた勾配を二本の回帰線912および914の勾配と同一とするという制約を伴って行うことができる。この多項式関数を使用して、飽和イベントの期間にわたってデータ点を計算することで(すなわち地点908および910の間のデータ)、再構築された線918を形成することができる。したがって、特定の態様において、ジャイロスコープから受信した飽和出力を、再構築された線918に置換することができる。一つの態様において、結果的な再構築されたジャイロスコープ信号を使用して、クラブヘッドの角度方向を推定することができる。当業者は、たとえば、飽和が開始するか、終了するかまたは特定の持続時間を有するスイング位置に応じて、上記で論じた一つまたは複数のステップに加えてまたはこれらと組み合わせて他の分析式を使用することができることを理解するであろう。
【0066】
結語
本発明を実施する好ましい形態を含む具体例に関して本発明を詳細に説明したが、当業者は、上記システムおよび方法の数多くの変形および入れ替えがあることを理解するであろう。したがって、本発明の真意および範囲は、特許請求の範囲に述べられるように広義に解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサによって実行される際に以下の段階を含む方法を行うコンピュータ可読命令を有する、コンピュータ可読媒体:
ゴルフクラブヘッド内に位置し、異なる直交軸に沿って速度データをそれぞれが測定する三つのジャイロスコープから角速度データを収集する段階、
該ジャイロスコープに関連する該三つの直交軸のうち一つに沿ってデータをそれぞれが収集する三つの加速度計からデータを収集する段階、
衝突イベントが発生したと決定した時点で処理用データを同定する段階、
以下を含む、該同定されたデータを処理する段階:
該同定された角速度データを分解して空間固定座標を得ること、
ロールデータおよびピッチデータを計算すること、および
該ロールデータおよびピッチデータならびに該空間固定座標を利用して該クラブヘッドのライ角、クラブフェース角およびロフト角のうち少なくとも一つを計算すること。
【請求項2】
コンピュータ可読命令が以下の段階をさらに含む、請求項1記載のコンピュータ可読媒体:
少なくとも一つのジャイロスコープまたは少なくとも一つの加速度計からのデータが飽和データを含むと決定する段階、および
スイング中のクラブヘッドの角速度に関係する公知の要因に基づいて飽和していると決定された該データの少なくとも一部分を再構築する段階。
【請求項3】
データの少なくとも一部分が以下の段階を含む方法を使用して再構築される、請求項2記載のコンピュータ可読媒体:
飽和イベントが第一の時間フレームにおいて開始されたと決定する段階、
該飽和イベントが第二の時間フレームにおいて終了したと決定する段階、
該第一の時間フレーム前の複数のデータ点および該第二の時間フレーム後の複数のデータ点から一次線形回帰を計算して、交点において交わる第一の回帰線および第二の回帰線を得る段階、
該第一の回帰線および該第二の回帰線の該交点の場所を決定する段階、
二次多項式関数を利用して、該飽和イベントの該第一の時間フレームおよび該第二の時間フレームの間の期間にわたって、該第一の回帰線および該第二の回帰線の該交点と該第一の時間フレームおよび該第二の時間フレームとを接続するデータ点を計算する段階。
【請求項4】
飽和イベント前の約50〜100個のデータ点および該飽和点後の約50〜100個のデータ点が、一次回帰の計算において使用される、請求項3記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項5】
処理用データが、衝突イベント前の時間、衝突イベント後の時間およびこれらの組み合わせからなる群より選択される所定の時間フレームに基づいて同定される、請求項1記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項6】
同定される処理用データが、衝突イベント前約4秒および該衝突イベント後約1秒以内である、請求項5記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項7】
ロールデータおよびピッチデータの少なくとも一部分が下記式:

を使用して計算される、請求項1記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項8】
ロールデータおよびピッチデータが、ノイズの影響を減少させるように構成された不連続入力とともにスライディングモードオブザーバに適用される、請求項7記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項9】
スライディングモードオブザーバが下記式を含む、請求項8記載のコンピュータ可読媒体:

式中、M1およびM2は設計ゲインであり、ωはボディ角速度測定値であり、かつ^は角度推定値を示す。
【請求項10】
ヨー(φ)が、初期条件ゼロで常に始まる標準オープンループモードを通じて計算され、ヨーを推定するために下記式:

が利用される、請求項9記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
コンピュータ実行可能命令が以下の段階をさらに含む、請求項1記載のコンピュータ可読媒体:
クラブヘッド上に位置する表示装置に、計算されたライ角、クラブフェース角またはロフト角のうち少なくとも一つを表示する段階。
【請求項12】
コンピュータ可読命令が以下の段階をさらに含む、請求項1記載のコンピュータ可読媒体:
少なくとも一つのジャイロスコープからのデータがアナログフォーマットであると決定する段階、
該アナログデータを積分する段階、および
該アナログデータをデジタルデータに変換する段階。
【請求項13】
角速度データを測定するように構成され、異なる直交軸に沿って角速度データをそれぞれが測定する三つのジャイロスコープ、
該ジャイロスコープに関連する該三つの直交軸のうち一つに関するデータを提供するようにそれぞれが構成された三つの加速度計、
プロセッサによって実行される際に以下の段階を行う方法を行うコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータ可読媒体:
衝突イベントが発生したと決定し、これに応答して該ジャイロスコープおよび該加速度計からの処理用データを同定する段階、
以下を含む、該同定されたデータを処理する段階:
該ジャイロスコープからの角速度信号を分解して空間固定座標を得ること、
ロールデータおよびピッチデータを計算すること、および
該ロールデータおよびピッチデータならびに該空間固定座標を利用してライ角、クラブフェース角およびロフト角のうち少なくとも一つを計算すること、ならびに
該少なくとも一つの計算されたライ角、クラブフェース角およびロフト角を表示するためのディスプレイ
を含む、ゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
コンピュータ可読命令が以下の段階をさらに含む、請求項13記載のゴルフクラブヘッド:
少なくとも一つのジャイロスコープまたは少なくとも一つの加速度計からのデータが飽和データを含むと決定する段階、および
スイング中のクラブヘッドの角速度に関係する公知の要因に基づいて飽和していると決定された該データの少なくとも一部分を再構築する段階。
【請求項15】
データの少なくとも一部分が以下の段階を含む方法を使用して再構築される、請求項14記載のゴルフクラブヘッド:
飽和イベントが第一の時間フレームにおいて開始されたと決定する段階、
該飽和イベントが第二の時間フレームにおいて終了したと決定する段階、
該第一の時間フレーム前の複数のデータ点および該第二の時間フレーム後の複数のデータ点から一次線形回帰を計算して、交点において交わる第一の回帰線および第二の回帰線を得る段階、
該第一の回帰線および該第二の回帰線の該交点の場所を決定する段階、
二次多項式関数を利用して、該飽和イベントの該第一の時間フレームおよび該第二の時間フレームの間の期間にわたって、該第一の回帰線および該第二の回帰線の該交点と該第一の時間フレームおよび該第二の時間フレームとを接続するデータ点を計算する段階。
【請求項16】
ロールデータおよびピッチデータの少なくとも一部分が下記式:

を使用して計算される、請求項13記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
ロールデータおよびピッチデータが、ノイズの影響を減少させるように構成された不連続入力とともにスライディングモードオブザーバに適用される、請求項16記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
スライディングモードオブザーバが下記式を含む、請求項17記載のゴルフクラブヘッド:

式中、M1およびM2は設計ゲインであり、ωはボディ角速度測定値であり、かつ^は角度推定値を示す。
【請求項19】
ヨー(φ)が、初期条件ゼロで常に始まる標準オープンループモードを通じて計算され、ヨーを推定するために下記式:

が利用される、請求項18記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項20】
処理用データが、衝突イベント前の時間、衝突イベント後の時間およびこれらの組み合わせからなる群より選択される所定の時間フレームに基づいて同定される、請求項13記載のゴルフクラブヘッド。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2013−502981(P2013−502981A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526803(P2012−526803)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/044503
【国際公開番号】WO2011/028357
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】