説明

デジタルカメラの自動構図位置決定装置及びその方法

【課題】 撮影中のデジタルカメラの構図位置を自動決定し、撮影したデジタル画像をカメラの構図位置に応じてメモリーに保存する装置であり、画像処理プログラムを用いてデジタル画像を視認する際に、正しい構図位置で表示する。
【解決手段】 装置は、デジタルカメラの構図位置を感知するスイッチ装置と、該スイッチの作動を支援する回路構成と、該スイッチ装置の出力に基づき、撮影したデジタル画像に対応するデータを、正しい構図位置においてメモリーに書込処理するソフトウェアとを含む。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は広くデジタルカメラに関する。具体的には、本発明は、カメラで撮影されたデジタル画像の視認及び操作を容易にするため、デジタルカメラの構図位置(即ち、横位置又は縦位置)を決定する装置を提供する。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】 デジタルカメラで撮影されたデジタル画像を画像処理用のソフトウェアを用いて視認する場合、画像は、元の構図とは無関係に横位置(水平)方向に初期表示されるのが一般的である。このため、縦位置(鉛直)方向に撮影した画像が横位置方向に表示され、本来の構図位置において視認及び利用するには、後処理工程において±90度回転させる必要がある。この問題の一例を図1に示す。バイエル社のアグファ部門のePhoto307TMデジタルカメラ等のデジタルカメラで撮影した数枚の画像を、デジタルカメラよりダウンロードし、画像処理プログラムを用いて小景表示する。本例において、撮影したデジタル画像の表示には、ePhoto307TMデジタルカメラ用の画像処理ソフトウェアPhotoWiseTMを用いている。
【0003】図1に示すように、デジタル画像12及び14は、画像処理ソフトによって撮影時の構図位置においてコンピュータディスプレイ10上に表示される。これらの画像は正しい構図位置にあり、所望の操作を行うことができ、時間のかかる90度の回転処理を行う必要がない。他のデジタル画像16及び18は、いずれも本来は縦位置に撮影されたものだが、横位置に表示されている。この様に表示すると、画像の細部の明視化が困難となり、ユーザは各画像16及び18を±90度回転させる後処理をしなければならない。図2では、回転後のデジタル画像を示す。画像のサイズや解像度により、回転処理にかなりの時間を要する場合がある。
【0004】
【課題を解決するための手段及び作用】 本発明は、こうした問題を解決するため、撮影中のデジタルカメラの構図位置を自動決定し、撮影したデジタル画像をカメラの構図位置に応じてメモリーに保存し、デジタル画像を視認する際に正しい構図位置で表示する装置を提供する。本発明による装置の好適な実施例は、デジタルカメラの構図位置を自動感知するスイッチ装置と、該スイッチの作動を支援する回路構成と、該スイッチ装置の出力に基づき、撮影されたデジタル画像に対応するデータを正しい構図位置においてメモリーに書込処理するソフトウェアとを含む。本発明の別の実施例では、デジタルカメラ本体に設けられた一以上の手動で作動させるスイッチを用いて、メモリーに保存された画像データの構図位置をユーザーが手動で指定することが可能である。
【0005】
【実施例】 本発明の目的、特徴、利点は、添付図面において詳細に示されるが、図中、同一要素には同一符号が付してある。
【0006】図3は、横位置に画像を撮影するよう位置決めした従来のデジタルカメラ20を示す。図1に示すデジタル画像12及び14は、このように撮影されたものである。同様に、デジタル画像16及び18は、デジタルカメラ20を図4及び図5に示すような縦位置に各々位置決めして撮影されたものである。
【0007】撮影した各デジタル画像は、撮影時のデジタルカメラの構図位置とは無関係に、カメラの内部メモリーにおける該カメラ付随の着脱可能な保存装置に横位置で保存される、あるいはカメラに接続したコンピュータに横位置に直接保存される。これは、デジタルカメラのCCDセンサーから画素データにアクセスする方法によるものである。デジタルカメラの動作については、アグファ出版物「デジタル写真術のガイド、理論と基礎」1996年(Agfa-Gevaeart N.V.社 (Mortsel、ベルギー)出版)に詳述されるが、ここでも参照として用いている。
【0008】本発明は、図6に示すように、デジタルカメラの構図位置を決定し、必要に応じて撮影されたデジタル画像の回転変換を行うことにより、画像処理プログラムで処理する際に適正な形式で表示する装置を提供する。
【0009】図6において、本発明のデジタルカメラの構図位置装置30は、デジタルカメラの構図位置を決定する構図位置スイッチ32と、デジタルカメラで撮影したデジタル画像データ36を保存するメモリー34と、構図位置スイッチ32の出力に応じて、デジタル画像データ36のメモリー34への保存を制御する制御装置38とを含む。制御装置38は、メモリー34からコンピュータ上で作動する画像処理プログラムへのデジタル画像データの転送も調整する。制御装置38は、本技術分野で既知のいかなる方法によっても実現可能である。
【0010】本発明の好適な実施例において、構図位置スイッチ32には、重力を用いてデジタルカメラの構図位置(縦位置又は横位置)を自動的に感知する振子式スイッチを用いている。この型式のスイッチについては、例えば、米国特許番号4,183,645、米国特許番号4,801,793、米国特許番号5,541,697に開示されており、ここでも参照として用いている。当然ながら、本発明の範囲を逸脱することなく、デジタルカメラの構図位置決定を行う他の種類のスイッチを用いてもよい。例えば、デジタルカメラ本体に設けられた手動で作動させる一つ(又は複数)のスイッチ70を用いて、操作者は手動で構図位置指定を行うことも可能である。この構図位置とは、画像データがメモリーに保存され、画像処理プログラムによりコンピュータディスプレイ上に表示される構図位置、又はカメラに内蔵された(又は装着可能な)LCDディスプレイ上に表示される構図位置である。スイッチ70は、構図位置スイッチ32の代りとして、又は構図位置スイッチ32と組み合せて用いてもよい。
【0011】デジタル画像を横位置に撮影する場合、制御装置38は、その画像に応じたデジタル画像データ36を従来の方法を用いてメモリー34に保存する。しかし、デジタル画像を縦位置に撮影する場合、制御装置38によるデジタルデータの保存方法よると、画像処理プログラムによりアクセスする際にデータの元来の構図位置が維持され、従来技術で必要とされた後処理回転工程を手動で行う必要がない。
【0012】デジタル画像データ36を、横位置及び縦位置に撮影したデジタル画像のメモリー34に保存する方法の簡単な例を示す。この例では、3x2画素の仮定解像度で撮影したデジタル画像を、画像の本来の構図位置を維持してメモリー34に保存する。この例で用いた方法は、より高い解像度(例えば320x240又は640x480画素)の実際のデジタル画像の保存に容易に応用できる。しかし、以下に開示する保存方法は、デジタル画像データ36をメモリー34に保存する多様な方法の一つに過ぎないことに留意する必要がある。本発明の範囲を逸脱することなく、他の保存方法を用いることも可能である。
【0013】3x2画素の解像度で横位置で撮影したデジタル画像のデジタル画像データ40は、図7に示されるように画像処理プログラムを用いて表示される。データ40は、画素データA、B、Cを含む第一行42と、画素データD、E、Fを含む第二行44とから成るマトリクスを有する。本技術において既知であるように、所定の画素Xの画素データは、通常、赤、緑、青に各々対応する三色の成分Xr、Xg、Xbを含む。
【0014】構図位置スイッチ32が制御装置38に構図位置信号46を出力し、そのデジタル画像が横位置で撮影されたことを指示すると、データ40が制御装置38によって図8に示すような形でメモリー34に保存される。横位置画像フラグ48は、その画像が横位置に3x2画素の解像度で撮影されたことを示す。画素データA、B、C、D、E、Fを含むデータブロックが、横位置画像フラグ48の後に続く。このデータに、画像処理プログラムを用いてメモリー34からアクセスする場合、横位置画像フラグ48により、画素データが第一セグメントA、B、Cと第二セグメントD、E、Fとに分割され、図7に示すように表示される。画素データの分割は、データ受信時に画像処理プログラムによって、又は制御装置38によって行われる。
【0015】縦位置に2x3画素の解像度で撮影したデジタル画像のデジタル画像データ50は、従来のデジタルカメラでは図9の如く横位置に出力される。デジタルデータ50は、画素データA、B、Cを含む第一行52と、画素データD、E、Fを含む第二行54とから成る3x2のマトリクスからなる。しかし適正な縦位置においては、デジタルカメラを横位置から縦位置に回転させる際に、時計回り(方向矢印CW)又は反時計回り(方向矢印CCW)のいずれの方向に回転させたかによって、データを図10又は図11に示すように配置する必要がある。
【0016】構図位置スイッチ32から、デジタル画像が縦位置に撮影されたことを示す構図位置信号46を受信すると、制御装置38は、そのデータをメモリー34に保存する前に回転変換する。構図位置信号46は、デジタル画像が図4の縦位置で撮影されたことを示す第一縦位置画像フラグ56、又はデジタル画像が図5の縦位置で撮影されたことを示す第二縦位置画像フラグ58を制御装置38に提供する。
【0017】図10のデータは、図12に示すような形でメモリー34に保存される。縦位置画像フラグ56は、画像が2x3画素の解像度で図4の縦位置に撮影されたことを示す。画素データD、A、E、B、F、Cを含む回転変換されたデータブロックが、縦位置画像フラグ56の後に続いている。このデータに、画像処理プログラムを用いてメモリー34からアクセスする場合、制御装置38は、縦位置画像フラグ56を用いて、画素データを第一セグメントD、Aと、第二セグメントE、Bと、第三セグメントF、Cとに分割し、図10に示すように表示する。ここでも、画素データの分割は、データ受信時に画像処理プログラム又は制御装置38により行うことができる。図1に示すデータは、図13と同様の方法によりメモリー34に保存される。
【0018】本発明の好適な実施例において、デジタルデータ36をメモリー34に保存する前に、制御装置38によって、縦位置に撮影した画像に対応するデジタル画像データの回転変換が行われる。しかし、本発明の別の実施例においては、制御装置38は、縦位置画像フラグ56又は58、及び未変換のデジタルデータブロック(画素データA、B、C、D、E、F)をメモリー34に保存する。回転変換は、データにメモリー34からアクセスした後、制御装置38又は画像処理プログラムにより行われる。この工程は、自動処理され、ユーザーによる後処理回転工程を必要はない。上記の本発明の記述は、説明及び解説を目的とするものである。しかし、すべてを網羅するものではなく、あるいは本発明をここに開示した形態のみに限定することを意図するものではなく、上記の考察の観点において、多くの修正及び変更が可能であるのは明らかである。例えば、本発明の構図位置決定システムを用いて、デジタルビデオカメラで撮影したデジタルデータを、正しい構図位置において自動的に提供及び/又は表示することが可能である。本技術分野に習熟した者にとって自明ともいえるこのような修正及び変更も、添付の請求項に規定される本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0019】本発明の実施態様を以下に記載する。
【0020】1.デジタル画像(36)の撮影時に撮像システムの構図位置(30)を決定し、前記デジタル画像を前記決定された構図位置において自動的に提供する装置を含むデジタル画像撮影用の撮像システム。
【0021】2.前記デジタル画像(36)を前記決定された構図位置において表示するディスプレイ(10)を更に含むことを特徴とする上記1の撮像システム。
【0022】3.前記デジタル画像を保存するメモリー(34)を更に含むことを特徴とする上記1の撮像システム。
【0023】4.前記デジタル画像(36)を、前記決定された構図位置において前記メモリー(34)に保存する制御装置(38)を更に含むことを特徴とする上記3の撮像システム。
【0024】5.前記デジタル画像(36)と、前記撮像システムの決定された構図位置を特定する構図位置信号(46)とを前記メモリー(34)に保存し、前記構図位置信号に基づいて前記デジタル画像を前記メモリーから前記決定された構図位置において出力する制御装置(38)を更に含むことを特徴とする上記3の撮像システム。
【0025】6.前記構図位置信号(46)は、構図位置スイッチ(32)により提供されることを特徴とする上記5の撮像システム。
【0026】7.前記構図位置スイッチ(32)は、前記撮像システムの有限可能な位置方向を識別することを特徴とする上記6の撮像システム。
【0027】8.前記構図位置スイッチ(32)は、横位置に撮影された画像(40)と、縦位置に撮影された画像(50)とを識別することを特徴とする上記6の撮像システム。
【0028】9.前記撮像システムは、デジタルカメラ(20)であることを特徴とする上記8の撮像システム。
【0029】10.前記撮像システムは、デジタルカメラ(20)であることを特徴とする上記1の撮像システム。
【0030】11.デジタル画像(36)の撮影時に、前記デジタルカメラの構図位置(30)を決定し、前記デジタル画像を、前記決定された構図位置において自動的に提供する工程を含むことを特徴とする、デジタルカメラ(20)と共に用いる方法。
【0031】12.前記デジタル画像(36)を、前記決定された構図位置において自動表示(10)する工程を更に含むことを特徴とする上記11の方法。
【0032】13.前記デジタル画像を横位置(40)で撮影し、前記デジタル画像を、前記横位置において自動的に提供する工程を更に含むことを特徴とする上記11の方法。
【0033】14.前記デジタル画像を縦位置(50)で撮影し、前記デジタル画像を、前記縦位置において自動的に提供する工程を更に含むことを特徴とする上記11の方法。
【0034】15.前記デジタル画像(36)を、所定の構図位置においてメモリー(34)に保存し、前記保存されたデジタル画像を、前記決定された構図位置に自動変換し、 前記デジタル画像を、前記決定された構図位置において提供する工程を更に含むことを特徴とする上記11の方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】デジタルカメラで撮影したデジタル画像を、一般的な画像処理ソフトウェアで表示している様子を示す。
【図2】元来は縦位置に撮影したが横位置に表示された図1のデジタル画像を回転させて、正しい縦位置に戻したデジタル画像を示す。
【図3】横位置画像を撮影するよう位置決めしたデジタルカメラを示す。
【図4】縦位置画像を撮影するよう位置決めしたデジタルカメラを示す。
【図5】縦位置画像を撮影するよう位置決めしたデジタルカメラを示す。
【図6】本発明による装置を示す。
【図7】3×2画素の仮定解像度で横位置に撮影したデジタル画像である。
【図8】図7の3×2画素の横位置の画像を、メモリーに保存する方法を示す。
【図9】縦位置で撮影し横位置で表示された2×3デジタル画像である。
【図10】図9の2×3縦位置画像を正しい縦位置において表示する様子を示す。
【図11】図9の2×3縦位置画像を正しい縦位置において表示する様子を示す。
【図12】図10の2×3縦位置画像をメモリーに保存する様子を示す。
【図13】図11の2×3縦位置画像を正しい縦位置において表示する様子を示す。
【符号の説明】
32 スイッチ
34 メモリー
38 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 デジタル画像(36)の撮影時に撮像システムの構図位置(30)を決定し、前記デジタル画像を前記決定された構図位置において自動的に提供する装置を含むデジタル画像撮影用の撮像システム。
【請求項2】 デジタル画像(36)の撮影時に、デジタルカメラの構図位置(30)を決定し、前記デジタル画像を、前記決定された構図位置において自動的に提供する工程を含むことを特徴とする、デジタルカメラ(20)と共に用いる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開平10−210405
【公開日】平成10年(1998)8月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−367435
【出願日】平成9年(1997)12月25日
【出願人】(595022371)バイエル・コーポレーシヨン (1)
【氏名又は名称原語表記】BAYER CORPORATION
【住所又は居所原語表記】200 BALLARDVALE STREET,WELMINGTON,MASSACHUSETTS 01887,U.S.A.