説明

デジタルサイネージ装置、プログラムおよび記録媒体

【課題】 誘引性、誘目性を向上することで、広告効果を高めることができるデジタルサイネージ装置を提供する。
【解決手段】 デジタルサイネージ装置1は、LCDパネル21およびバックライト22を含む画像表示部11と、バックライト22の温度を測定する温度センサ19と、画像表示部11における表示領域Vの表示形態を調整する映像信号処理部16と、映像信号処理部16を制御するCPU13とを備え、CPU13は、画像表示部11に表示されるべき原画像の画像情報における画素値と、温度センサ19によって測定されたバックライト22の温度とに基づいて、画像表示部11における表示領域Vの照度を算出し、画像表示部11周辺における外光の照度、および、算出した表示領域Vの照度に応じて赤色または青色を選択し、選択した色が表示領域Vの少なくとも一部分である色表示領域vに表示されるように、映像信号処理部16を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告効果を高めることができるデジタルサイネージ装置、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、公共の場所などにおいて不特定多数の者に対して広告・宣伝を行うためのツールとして、デジタルサイネージ(電子看板)装置が用いられている。デジタルサイネージ装置は、デジタル画像によって作成された広告画像を表示可能な画像表示部を備えて構成され、広告の内容を容易に変更することができる。これにより、最新の情報を視聴者に提供することができ、従来の看板に比べて優れた広告効果を有する。
【0003】
一方、デジタルサイネージ装置は、屋外など外光の照度が大きく変化するような環境で使用される場合、画像表示部に表示される表示画像の視認性が大きく変化してしまう。特に、外光の照度が低い環境で使用される場合には、プルキンエ現象、すなわち人間の視感度特性の変化によって、表示画像における赤色が暗くくすんで見え、青色が明るく鮮やかに見える傾向があることが知られている。
【0004】
たとえば特許文献1には、使用する周囲環境の照度および入力映像における映像特徴に応じて、映像信号処理およびバックライトの調光制御を行うことにより、画質および視認性を改善する技術が提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、白色光源と赤の着色光源とによってバックライトを構成し、周辺環境が暗い場合に、白色光源の強度を下げ、赤の着色光源を点灯するように制御することによって、画質を向上する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−285063号公報
【特許文献2】特開2006−39520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
デジタルサイネージ装置は、画像表示部に表示される広告の内容を、装置周辺の人々に視聴させることによって、広告・宣伝用のツールとして機能する。したがって、デジタルサイネージ装置には、広告効果を高めるために、外光の照度に影響を受けないように、常に装置周辺の人々の関心または注意を集めるような工夫(誘引性、誘目性の向上)が求められている。
【0008】
上記の特許文献1および2には、使用環境の照度に応じて、映像信号を処理し、および/またはバックライトを制御することによって、画像表示部に表示される表示画像の画質および視認性を改善することについては記載されているが、使用環境の照度に加え、表示画像の輝度レベルおよび、視感度特性の変化に応じた誘引性、誘目性向上のための工夫については言及されていない。
【0009】
本発明の目的は、誘引性、誘目性を向上することで、広告効果を高めることができるデジタルサイネージ装置、プログラムおよび記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、画像を表示可能な表示パネルおよび該表示パネルに対しその背面側から光を照射するバックライトを含む画像表示部を備えるデジタルサイネージ装置であって、
前記バックライトの温度を測定する温度測定部と、
前記画像表示部に、画像を予め定める表示形態で表示させる表示形態調整部と、
前記表示形態調整部を制御する制御部であって、
画像表示部に表示されるべき原画像の画像情報における画素値と、前記温度検出部によって測定されたバックライトの温度とに基づいて、画像表示部における表示領域の明るさを算出し、
画像表示部周辺における外光の明るさ、および、画像表示部における表示領域の明るさに応じて選択した色によって、前記予め定める表示形態の画像が前記画像表示部に表示されるように、前記表示形態調整部を制御する制御部とを含むことを特徴とするデジタルサイネージ装置である。
【0011】
また本発明は、前記表示形態調整部は、画像表示部に表示されるべき原画像の周縁に、前記制御部によって選択される色を表示させるための色表示領域を設けた画像を、前記画像表示部に表示させ、
前記制御部は、前記色表示領域に前記選択した色が表示されるように、前記表示形態調整部を制御することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記表示形態調整部は、画像表示部に表示されるべき原画像に文字画像が含まれている場合に、その文字画像の周縁に、前記制御部によって選択された色を表示させるための色表示領域として、下線、枠、ハイライトおよび陰影のうちのいずれかを付すための領域を設けた画像を、前記画像表示部に表示させ、
前記制御部は、前記色表示領域に前記選択した色が表示されるように、前記表示形態調整部を制御することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記表示形態調整部は、表示領域において一の画像から他の画像に画面転換される場合に、前記一の画像の表示と他の画像の表示との間に、前記制御部によって選択された色を用いた画像を、前記画像表示部に表示させることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、画像を表示可能な表示パネルおよび該表示パネルに対しその背面側から光を照射するバックライトを含む画像表示部を備えるデジタルサイネージ装置であって、
前記バックライトの温度を測定する温度測定部と、
画像表示部における表示領域の周辺に設けられ、予め定める複数の色の光を発光可能な光源を備える発光部と、
前記発光部における光源を点灯制御する制御部であって、
画像表示部に表示されるべき原画像の画像情報における画素値と、前記温度検出部によって測定されたバックライトの温度とに基づいて、画像表示部における表示領域の明るさを算出し、
画像表示部周辺における外光の明るさ、および、画像表示部における表示領域の明るさに応じて選択した色の光が発光されるように、前記発光部を点灯制御する制御部とを含むことを特徴とするデジタルサイネージ装置である。
【0015】
また本発明は、前記制御部は、外光の明るさおよび表示領域の明るさのいずれもが、予め定める明るさよりも暗い場合に青色を選択し、外光の明るさおよび/または表示領域の明るさが、予め定める明るさに等しいまたは予め定める明るさよりも明るい場合に赤色を選択することを特徴とする。
【0016】
また本発明は、コンピュータに、
画像表示部に表示されるべき原画像の画像情報における画素値と、温度検出部によって測定されたバックライトの温度とに基づいて、画像表示部における表示領域の明るさを算出するステップと、
外光の明るさおよび表示領域の明るさが、予め定める明るさよりも暗いか否かを判断するステップと、
外光の明るさおよび表示領域の明るさのいずれもが、前記予め定める明るさよりも暗い場合に青色を選択し、外光の明るさおよび/または表示領域の明るさが、予め定める明るさに等しいまたは予め定める明るさよりも明るい場合に赤色を選択するステップと、
選択した色によって、予め定める表示形態の画像を表示させるステップとを実行させることを特徴とするプログラムである。
また本発明は、前記プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、デジタルサイネージ装置の画像表示部には、広告用の原画像に、人の目を誘引するための色表示が行われる色表示領域が付加された画像が表示され、その色表示領域には、プルキンエ現象を考慮して選択された色、すなわち、デジタルサイネージ装置の周辺環境が暗所である場合には暗所で明るく見える青色が、また周辺環境が暗所でない場合には赤色が表示される。このように、周辺環境に応じた色が色表示領域に表示されるので、デジタルサイネージ装置周辺の人々の関心または注意を、画像表示部に表示される広告画像に効果的に集めることができる。これにより、広告画像の注目度すなわち、誘引性、誘目性を向上して、広告効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るデジタルサイネージ装置1を概略的に示す系統図である。
【図2】デジタルサイネージ装置1を構成する画像表示部11の構成を概略的に示す断面図である。
【図3】画像表示部11において外光を採り込むための窓部Wが設けられる位置の一例を示す図である。
【図4】デジタルサイネージ装置1の構成を示すブロック図である。
【図5】映像信号処理部16において行われる表示形態の調整処理の一実施例を説明するための図であり、図5(a)は、AD変換処理部15から受け取った画像情報を表示させたときの画像を示し、図5(b)は、映像信号処理部16において調整処理された後の画像情報を表示させたときの画像を示している。
【図6】映像信号処理部16において行われる表示形態の調整処理の他の実施例を説明するための図であり、図6(a)は、AD変換処理部15から受け取った画像情報を表示させたときの画像を示し、図6(b)〜図6(e)は、映像信号処理部16において調整処理された後の画像情報を表示させたときの画像を示している。
【図7】画像表示部11における各色成分の画素値ごとの輝度特性の一例を示すグラフ51である。
【図8】比視感度特性を示すグラフ55である。
【図9】第1の実施形態に係るデジタルサイネージ装置1における表示形態の調整処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】画面転換時における画面挿入を説明するための図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るデジタルサイネージ装置1Aの構成を示すブロック図である。
【図12】デジタルサイネージ装置1Aを構成する画像表示部11の構成を概略的に示す正面図である。
【図13】センサ較正部81をさらに備えたデジタルサイネージ装置1,1Aを概略的に示す系統図である。
【図14】センサ較正部81の構成を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るデジタルサイネージ装置1を概略的に示す系統図である。デジタルサイネージ装置1は、デジタル画像によって構成される広告用の画像を表示可能な画像表示部11と、明るさ検出部12と、温度センサ19とを含んで構成される。
【0020】
図2は、デジタルサイネージ装置1を構成する画像表示部11の構成を概略的に示す断面図である。本実施形態では、画像表示部11は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:略称LCD)パネル21とバックライト22とを備える液晶表示装置によって実現される。画像表示部11は、LCDパネル21およびバックライト22のほかに、偏光板23,24と、拡散板25と、保護ガラス26とを含んで構成される。
【0021】
LCDパネル21は、液晶層61と第1および第2のガラス基板62,63とを有する。第1のガラス基板62は、その厚み方向一方側の表面に、カラーフィルタ64、透明電極65および配向膜66が積層形成されている。また第2のガラス基板63は、その厚み方向一方側の表面に、配向膜69および、画素を形成する透明電極68、ならびにこれと接続される薄膜トランジスタ67が積層形成されている。
【0022】
LCDパネル21は、配向膜66,69が対向するように配設された第1および第2のガラス基板62,63の間に液晶を封入し液晶層61を形成することによって構成されている。
【0023】
バックライト22は、LCDパネル21の背面側、すなわち第2のガラス基板63の厚み方向他方側の表面(以下、「光入射面」と称する)に対向するように配置され、LCDパネル21に対してその背面側から光を照射する機能を有する。
【0024】
本実施形態では、バックライト22は、複数のLED(L ight Emitting Diode)光源を、第2のガラス基板63の光入射面の面方向に沿って、平面的に並べることによって構成されている。すなわち、バックライト22は、直下型のLEDバックライトとして構成されている。バックライト22は、このような構成に限らず、たとえばエッジライト型のLEDバックライトとして構成されたり、冷陰極管を並設することによって構成されてもよい。
【0025】
偏光板23は、第1のガラス基板62の厚み方向他方側の表面(以下、「光出射面」と称する)に配置され、偏光板24は、第2のガラス基板63の光入射面に配置されている。偏光板23,24は、互いに直交する直線偏光を透過するように設けられている。
【0026】
拡散板25は、第2のガラス基板63の光入射面に配置された偏光板24とバックライト22との間に配設され、バックライト22から出射された光を全方向に拡散させる機能を有する。保護ガラス26は、偏光板23の第1のガラス基板62に臨む側とは反対側の表面に配置され、LCDパネル21を保護する機能を有する。
【0027】
このような構成により、バックライト22から出射された光のうち偏光板24を透過した直線偏光が、液晶層61を通過して偏光板23に入射する。この際、液晶層61を透過する光の偏光状態は、液晶層61に印加する電圧によって変化させることができる。このため映像信号に対応した電圧を、第1および第2のガラス基板62,63上の透明電極65,68に印加し、液晶層61に電界を印加することによって、液晶層61を通過する光の偏光状態を変え、偏光板23を透過する光の光量を制御することができる。これにより、映像信号に応じた光学画像を形成することができる。
【0028】
また、本実施形態の画像表示部11に備えられるバックライト22は、エリアアクティブ制御が可能に構成され、すなわち、バックライト22に搭載される複数のLED光源をブロック単位、たとえば1個以上の単位で点灯制御できるように構成されている。
【0029】
再び図1を参照して、明るさ検出部12は、デジタルサイネージ装置1が設置される環境における外光の明るさを検出するように構成されている。
【0030】
明るさ検出部12は、本実施形態では、明るさを検出するための検出手段として、照度センサ31を備えて構成され、外光の照度を測定する。他の実施形態では、検出手段として、分光放射輝度センサを備えてもよい。
【0031】
図1に示すように、明るさ検出部12は、照度センサ31を1台備えるほか、デジタルサイネージ装置1が設置される環境における外光を採り込むための複数の窓部Wと、各窓部Wから採り込まれた外光が、1台の照度センサ31に対して個別に入力されるように、各窓部Wから採り込まれた外光を伝送する光伝送部32とを備えて構成される。
【0032】
照度センサ31は、各窓部Wから採り込まれた外光が、光伝送部32によって伝送されて入力されると、その入力された光の照度(単位:lx)を測定する。照度センサ31は、入力された光の照度を測定すると、その測定結果を含む測定信号を、後述する中央処理装置(Central Processing Unit:略称CPU)13へ出力する。
【0033】
図3は、画像表示部11において外光を採り込むための窓部Wが設けられる位置の一例を示す図である。図3は、図1において画像表示部11を左側から見た図、すなわち、画像表示部11を、その画像表示領域(以下、単に「表示領域」と記す)Vに対向する側から見た図によって示している。
【0034】
図3に示すように、外光を採り込むための窓部Wは、表示領域Vよりも面方向外方の各領域に設けられる。本実施形態では、フレームFの正面側における矩形枠状の額縁部fにおいて、6つの窓部Wが設けられている。具体的には、窓部Wは、額縁部fにおける4つの角部と、額縁部fにおける一対の長辺部の長手方向における中央部とに、それぞれ設けられている。フレームFには、LCDパネル21およびバックライト22が収容される。
【0035】
各窓部Wの設置数およびその設置位置は、図3に示される例に限定されることなく、適宜変更することができる。本実施形態では、各窓部Wに対し、それぞれ測定用拡散板38が取り付けられている。つまり、各窓部Wは、測定用拡散板38を介して、外光を採り込むように構成されている。
【0036】
このように、各窓部Wに測定用拡散板38を取り付けることによって、各窓部Wへ入射した強い光が、後述する光ファイバ33,36を介して、照度センサ31へ直接入力されるのを防止することができる。これにより、強い光の入力に起因する照度センサ31の損傷を防止することができる。さらには、各種結像によって生ずる照度センサ31の測定精度の低下を防止することができる。
【0037】
再び図1を参照して、光伝送部32は、各窓部Wごとに設けられる第1の光ファイバ33と、照度センサ31へ連なる1つの第2の光ファイバ36と、複数の第1の光ファイバ33と1つの第2の光ファイバ36との間に設けられる連結部35と、各第1の光ファイバ33に介装される切換部34と、各切換部34における切換動作を制御する切換制御部37とを含んで構成される。
【0038】
各第1の光ファイバ33は、一方の端部が各窓部Wに設けられる測定用拡散板38を臨み、他方の端部が連結部35に連なるように設けられ、該測定用拡散板38を介して採り込まれた外光を、連結部35へ導光するように構成されている。
【0039】
第2の光ファイバ36は、一方の端部が連結部35に連なり、他方の端部が照度センサ31の入力端子に対して連結されるように設けられ、第1の光ファイバ33によって導光された光を、照度センサ31へ導光するように構成されている。照度センサ31へ導光された光は、照度センサ31によって、照度が測定される。
【0040】
連結部35は、各第1の光ファイバ33によって導光された光を、1つの第2の光ファイバ36に伝送するように構成される。連結部35は、たとえば多分岐光ファイバを用いることによって実現することができる。
【0041】
切換部34は、第1の光ファイバ33によって形成される光伝送路を、光の導光が許容される許容状態と、光の導光が遮断される遮断状態とに切換可能に構成される。
【0042】
すなわち、切換部34が許容状態であるときには、その切換部34が介装される第1の光ファイバ33では、窓部Wから採り込まれた外光を、連結部35へ導光することができる状態にある。一方、切換部34が遮断状態であるときには、その切換部34が介装されている第1の光ファイバ33では、窓部Wから採り込まれた外光を、連結部35へ導光することができない状態にある。このような切換部34は、たとえば電子シャッタによって実現することができる。
【0043】
切換制御部37は、各切換部34に対して、許容状態と遮断状態とを切換えさせるための切換制御信号を、個別に送出するように構成されている。各切換部34は、切換制御部37から送出された切換制御信号に基づいて、許容状態から遮断状態へ、あるいは遮断状態から許容状態へ切り換わるように構成されている。
【0044】
切換制御部37は、図示しない記憶装置に格納されている切換制御用プログラムに基づいて、各切換部34が、所定の順序に従って順次許容状態となるように、切換制御信号を送出する。たとえば、窓部Wが図3に示すような配置であれば、左上の窓部W、上中央の窓部W、右上の窓部W、左下の窓部W、下中央の窓部W、右下の窓部Wに対応する各切換部34が、この順番で順次許容状態となるように、切換制御信号を送出する。なお、切換制御部37は、複数の切換部34が同時に許容状態になることのないように、切換制御信号を送出する。
【0045】
つまり、切換部34全体では、すべての切換部34が遮断状態になっている状態と、いずれか1つの切換部34だけが許容状態になっている状態のいずれかの状態しか取り得ない。これにより、互いに異なる窓部Wから採り込まれた外光が、同時に照度センサ31へ入力されることを防止している。
【0046】
切換制御部37は、後述するCPU13から送出される明るさ検出処理開始命令を受け取ると、前記のように、切換制御用プログラムに基づいて、各切換部34が一通り許容状態となるように、切換制御信号を送出する。
【0047】
CPU13は、この明るさ検出処理開始命令を、所定の時間間隔ごとに送出するように構成されている。すなわち、明るさ検出処理は、所定の時間間隔ごとに実行される。この所定の時間間隔は、ユーザによって設定可能であり、たとえば1分〜10分程度の時間間隔に設定される。
【0048】
明るさ検出部12は、このような構成によって、所定の時間間隔ごとに実行される各明るさ検出処理において、各窓部Wから採り込まれた外光の照度を、窓部Wごとに一通り測定し、その一通りの測定結果を、測定信号としてCPU13に送出する。
【0049】
明るさ検出部12は、本実施形態では、明るさ検出処理が実行されるごとに、6つの窓部Wから採り込まれた外光の照度の測定結果を、測定信号としてCPU13に送出する。
【0050】
温度センサ19は、バックライト22の温度を測定するために設けられ、たとえば、サーミスタによって実現される。温度センサ19は、バックライト22に対して、1または複数設置される。
【0051】
バックライト22に対して温度センサ19が1つ設置される場合には、温度センサ19によって測定された温度が、バックライト22全体の温度として適用される。また、複数の温度センサ19が用いられる場合には、バックライト22を複数の領域に分割し、分割された領域ごとに温度センサ19が設置される。これにより、バックライト22の領域ごとの温度を測定することができる。CPU13は、温度センサ19による温度測定結果に基づいて、バックライト22全体、またはバックライト22の領域ごとの温度を検出する。
【0052】
図4は、デジタルサイネージ装置1の構成を示すブロック図である。デジタルサイネージ装置1は、図1に示した画像表示部11、明るさ検出部12および温度センサ19のほかに、CPU13と、図示しないROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびメモリ等の記憶装置と、入力端子14と、アナログデジタル(以下、「AD」と省略する)変換処理部15と、映像信号処理部16と、ドライバ処理部17とを含んで構成される。
【0053】
CPU13は、図示しない記憶装置に記憶されるプログラムを実行することによって、映像信号処理部16、ドライバ処理部17および画像表示部11を制御する。ROMには、上記プログラムが格納され、RAMには、上記プログラムが展開される。また、記憶装置は、たとえば半導体メモリによって構成され、CPU13が前記プログラムを実行するときに用いる情報が格納される。CPU13、ROM、RAMおよび記憶装置によって、制御部が構成される。
【0054】
入力端子14は、外部の情報処理装置から送信されてくる広告用コンテンツの画像情報、または、図示しない記憶装置に予め格納されている広告用コンテンツの画像情報が、アナログ信号として入力される端子である。
【0055】
AD変換処理部15は、入力端子14に入力されたアナログ信号の画像情報を、アナログ信号からデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号の画像情報を、映像信号処理部16に送る。ここで、入力端子14から入力される画像情報は、デジタル信号であってもよい。この場合には、AD変換処理部15は不要となる。
【0056】
映像信号処理部16は、CPU13からの命令によって、AD変換処理部15から受け取る画像情報に対して画像処理を行う。具体的には、デジタルサイネージ装置1周辺の人々の関心または注意を、画像表示部11に表示される広告画像に効果的に集めるために、AD変換処理部15から受け取る画像情報の画像の表示形態を調整する。映像信号処理部16は、画像処理を行った画像情報を、ドライバ処理部17に送る。本実施形態では、映像信号処理部16が、表示形態調整部に相当する。
【0057】
ここで、映像信号処理部16において行われる表示形態の調整方法について説明する。本実施形態における表示形態の調整方法は、AD変換処理部15から受け取った画像情報に基づいて、画像表示部11に表示されるべき広告用の原画像に、特定の色を付与可能な色表示領域vを付加するとともに、CPU13によって選択された色を、この色表示領域vに対して付与することにより行われる。CPU13による色の選択については、後述する。
【0058】
広告用の原画像に対して色表示領域vを付加する方法については種々の方法が考えられ、以下ではその例を示す。図5は、映像信号処理部16において行われる表示形態の調整処理の一実施例を説明するための図であり、図5(a)は、AD変換処理部15から受け取った画像情報を表示させたときの画像を示し、図5(b)は、映像信号処理部16において調整処理された後の画像情報を表示させたときの画像を示している。
【0059】
図5(a)に示すように、AD変換処理部15から受け取った画像情報をそのまま画面表示した場合、表示領域V全体に亘って、広告用の原画像Aが表示される。一方、図5(b)に示すように、本実施例における調整処理が行われた画像情報を画面表示した場合、表示領域Vの周縁部に、矩形枠状の色表示領域vが付加される。そして、その色表示領域vの内側に、色表示領域vの分だけ切り取られた原画像Aが表示される。なお、色表示領域vの形状およびサイズは、ユーザによって適宜設定可能であり、たとえば、色表示領域vとして、表示領域Vの一縁辺に隣接する矩形状の領域を設定することもできる。
【0060】
また、原画像Aは、表示領域Vから色表示領域vを差し引いた範囲内に収まるよう、表示解像度および表示サイズを調整してもよい。あるいは、実質の表示解像度(たとえば、1920×1080dot)は固定とし、周縁部に数十dot幅の色表示領域vのための余剰分を付加して構成しても良い。具体的には、矩形枠状の色表示領域vが30dot幅とすれば、表示領域Vは1980×1140dotとなり、原画像Aのための実質表示解像度は、FHD(Full High Definition:1920×1080dot)を確保することができる。
【0061】
図6は、映像信号処理部16において行われる表示形態の調整処理の他の実施例を説明するための図であり、図6(a)は、AD変換処理部15から受け取った画像情報を表示させたときの画像を示し、図6(b)〜図6(e)は、映像信号処理部16において調整処理された後の画像情報を表示させたときの画像を示している。
【0062】
本実施例における調整処理は、図6(a)に示すように、AD変換処理部15から受け取った画像情報に、テキスト情報(文字情報)が含まれている場合に行われる。具体的には、画像情報とテキスト情報とが判別できる場合に、広告用の原画像Aにおけるテキスト画像Bの近傍に、そのテキスト画像Bを強調するような色表示領域vを付加するように、調整処理が行われる。
【0063】
たとえば、図6(b)に示すように、テキスト画像Bに対し、下線に相当する色表示領域vを付加してもよく、図6(c)に示すように、テキスト画像Bに対し、そのテキスト画像Bを囲繞する矩形状の枠に相当する色表示領域vを付加してもよい。
【0064】
また、図6(d)に示すように、テキスト画像Bに対し、ハイライトに相当する色表示領域vを付加してもよく、図6(e)に示すように、テキスト画像Bに対し、そのテキスト画像Bの陰影に相当する色表示領域vを付加してもよい。
【0065】
ドライバ処理部17は、映像信号処理部16から受け取った画像処理後の画像情報を、デジタル信号からアナログ信号に変換し、変換したアナログ信号の画像情報を画像表示部11に送る。また、ドライバ処理部17は、画像表示部11に対する制御、たとえばLCDパネル21おける赤緑青(Red Green Blue:略称RGB)駆動制御、およびバックライト22のLED光源ごとの輝度調整制御などの制御を行う。
【0066】
明るさ検出部12は、前記のように、所定の時間間隔ごとに明るさ検出処理を実行し、各窓部Wに対応する測定結果を含む測定信号をCPU13へ送出する。
【0067】
CPU13は、明るさ検出部12から測定信号を受け取ると、窓部Wごとの外光の照度に基づいて、外光の平均照度を算出する。
【0068】
また、CPU13は、映像信号処理部16に入力される広告用コンテンツの画像情報における色成分(RGB)ごとの画素値と、図示しない記憶装置に予め格納されている画像表示部11における色成分(RGB)ごとの画素値と輝度との対応関係を示すデータとに基づいて、画像表示部11における表示領域(以下、「パネル面」と称する場合がある)Vの照度を算出する。以下、パネル面Vの照度を算出する方法について説明する。
【0069】
図7は、画像表示部11における各色成分の画素値ごとの輝度特性の一例を示すグラフ51である。グラフ51は、縦軸が輝度(単位:cd/m)であり、横軸は画素値である。グラフ51は、色成分ごとに、0〜255までの各画素値を画像表示部11に表示させたときの輝度を表したグラフである。
【0070】
輝度特性511は、赤色(R)の各画素値における輝度を表している。輝度特性512は、緑色(G)の各画素値における輝度を表している。輝度特性513は、青色(B)の各画素値における輝度を表している。
【0071】
このような輝度特性は、たとえば工場出荷前に、予め専用の測定装置によって測定され、図示しない記憶装置に、画素値・輝度変換テーブルとして記憶させておく。この画素値・輝度変換テーブルは、画像表示部11に表示される画像の色成分ごとの画素値と輝度との対応関係を示すテーブルであり、したがって、この画素値・輝度変換テーブルを参照することにより、映像信号処理部16に入力される広告用コンテンツの画像情報における色成分ごとの画素値から、パネル面Vの輝度を算出することができる。
【0072】
ところで、このような輝度特性は、バックライト22から出射される光の輝度に依存するものであるが、バックライト22から出射される光の輝度は、バックライト22の温度によって大きく変化してしまう。これは、バックライト22に搭載される光源から出射される光の輝度が、光源周辺の温度に依存して変化するためである。たとえば、光源としてLED光源が用いられる場合には、バックライト22の温度が上昇すると、バックライト22から出射される光の輝度は、低下する方向に変化していく。また、光源として冷陰極管が用いられる場合には、バックライト22の温度が上昇すると、バックライト22から出射される光の強度が、上昇する方向に変化していく。
【0073】
したがって、本実施形態では、バックライト22の温度ごとに輝度特性が予め測定され、図示しない記憶装置には、温度ごとの画素値・輝度変換テーブルを記憶させておく。このとき、バックライト22から出射される光の輝度の温度依存性を考慮して、適切に換算するために必要な温度ごとに画素値・輝度変換テーブルを作成しておくことが好ましく、たとえば、−20(℃)〜80(℃)の温度範囲で、10(℃)の温度間隔ごとに作成される。
【0074】
これにより、映像信号処理部16に入力される広告用コンテンツの画像情報における色成分ごとの画素値に基づいてパネル面Vの輝度を算出する際に、温度センサ19によって測定されたバックライト22の温度に基づいて選択された画素値・輝度変換テーブルを参照することができる。これにより、バックライト22の計時変化に伴う温度変化を考慮することができ、パネル面Vの輝度を正確に算出することができる。
【0075】
なお、パネル面Vの輝度を算出する際には、映像信号処理部16に入力される広告用コンテンツの画像情報における色成分ごとの画素値として、1フレーム分の画像情報における最大の画素値を用いてもよく、また、平均の画素値を用いてもよい。また、1フレーム分の画像を複数の領域に分割し、各領域における最大または平均の画素値を用いることで、領域ごとにパネル面Vの輝度を算出するようにしてもよい。
【0076】
なお、本実施形態では、温度ごとの画素値・輝度変換テーブルを予め記憶装置に記憶させるように構成されているが、他の実施形態として、ある特定の温度で測定したときの画素値・輝度変換テーブルと、バックライト22から出射される光の輝度の温度依存性に応じた係数、すなわち温度ごとの係数とを予め記憶させるように構成されてもよい。
【0077】
このようにしてパネル面の輝度が算出されると、以下に示す換算方法を用いて、パネル面輝度(cd/m)を、パネル面Vの照度(単位:lx(ルクス))に換算する。
【0078】
点光源の場合には、1(cd/m)=4π(lx)という換算式が成立する(ここで、πの単位はsr(ステラジアン))が、面光源の場合には、裏面への照射がない(すなわち、照射角が半球)と仮定されるので、1(cd/m)=2π(lx)という換算式が成立する。しかし、実際には、輝度の半減角および光源表面からの距離による減衰を考慮する必要がある。そこで、半減角を180°とし、光源表面からの距離が1mのときの減衰率が95%であると想定すると、1(cd/m)=2π×a×b(lx)という換算式が得られる。ここで、平均的に60%の照度が得られると仮定した場合、a=0.6と与えられ、減衰率が95%であるので、b=0.05と与えられる。結果として、1(cd/m)=0.06π(lx)という換算式が成立すると考える。
【0079】
本実施形態では、上記のような換算式を用いることにより、パネル面Vの輝度から、パネル面Vの照度に換算される。他の実施形態では、上記のような画素値と輝度との対応関係を示すテーブルに代えて、画素値と照度との対応関係を示すテーブルを、予め記憶装置に記憶させてもよい。この場合には、上記のような輝度から照度への換算が不要となる。
【0080】
CPU13は、上記のようにして、外光の平均照度(lx)およびパネル面Vの照度(lx)が算出されると、これらの値に基づいて、前述する調整処理に用いる色、すなわち色表示領域vに付与する色を選択する。
【0081】
具体的には、外光の平均照度が予め定める照度未満であり、かつ、パネル面Vの平均照度が前記予め定める照度未満であれば、青色系の色が選択される。一方、外光の平均照度が前記予め定める照度以上、または、パネル面Vの平均照度が前記予め定める照度以上であれば、赤色系の色が選択される。ここで、前記予め定める照度は、プルキンエ現象による色知覚の変化が生ずる照度に設定され、概ね10lx程度の照度に設定されるのが好ましい。
【0082】
図8は、比視感度特性を示すグラフ52である。グラフ52は、縦軸が比視感度であり、横軸は波長(nm)である。図8では、規格CIE1924で規定される明所視の視感度特性521と、規格CIE1951で規定される暗所視の視感度特性522とを示している。
【0083】
プルキンエ現象とは、概ね10lx程度以下の暗所視において主として働く視細胞である捍体が、明暗によく反応するが長波長成分の光には反応しないため、概ね10lx程度以下の暗所視においては、赤いものは暗く見え、青い色が明るく見えるという現象である。これは、図8に示すように、暗所視では比視感度のピーク波長が、明所視における比視感度のピーク波長555nmから507nm程度に短波長側に移動することによって生ずる。したがって、前記のように、予め定める照度として、10lxを設定するのが好ましい。
【0084】
図9は、第1の実施形態に係るデジタルサイネージ装置1における表示形態の調整処理の手順を示すフローチャートである。デジタルサイネージ装置1は、その電源が投入されると、動作可能状態となる。これにより、画像表示部11には、映像信号処理部16において画像処理された画像情報に基づく画像が表示される。
【0085】
CPU13は、前記のように、デジタルサイネージ装置1が動作可能状態になると、表示形態の調整処理を開始し、ステップs1に進む。ステップs1では、CPU13は、所定の時間が経過したか否かを判定する。CPU13は、所定の時間が経過したと判定したときに、ステップs2に進む。
【0086】
ステップs2では、CPU13は、切換制御部37に対し、明るさ検出処理開始命令を送出する。これにより、明るさ検出部12では、各窓部Wから採り込まれた外光の照度が、照度センサ31によって、窓部Wごとに一通り測定される。
【0087】
ステップs3では、CPU13は、窓部Wごとに測定された外光の照度に基づいて、外光の平均照度を算出する。また、CPU13は、図示しない記憶装置から画素値・輝度変換テーブルを読み出し、この読み出した情報と、映像信号処理部16に入力された1フレーム分の画像情報の画素値と、温度センサ19によって測定されたバックライト22の温度とに基づいて、パネル面Vの照度を算出する。
【0088】
ステップs4では、CPU13は、ステップs3で算出された外光の平均照度が、予め定める照度以上であるか否かを判定する。本実施形態では、予め定める照度として、10lxが設定されている。外光の平均照度が10lx以上であると判定されるとステップs6に進み、外光の平均照度が10lx未満であると判定されるとステップs5に進む。
【0089】
ステップs5では、CPU13は、ステップs3で算出されたパネル面Vの平均照度が、予め定める照度以上であるか否かを判定する。本実施形態では、前記のように、予め定める照度として、10lxが設定されている。パネル面Vの平均照度が10lx以上であると判定されるとステップs6に進み、パネル面Vの平均照度が10lx未満であると判定されるとステップs7に進む。
【0090】
ステップs6では、CPU13は、映像信号処理部16に対し、図5(b)および図6(b)〜図6(e)に示すような調整処理の実行命令を送出する。このとき、CPU13は、調整処理によって付加される色表示領域vに対し、赤色(赤系統の色)を付与させる。これにより、画像表示部11には、画像表示部11に表示されるべき広告用の原画像に、赤色の色表示領域vが付加された画像が表示される。
【0091】
ステップs7では、CPU13は、映像信号処理部16に対し、図5(b)および図6(b)〜図6(e)に示すような調整処理の実行命令を送出する。このとき、CPU13は、調整処理によって付加される色表示領域vに対し、青色(青系統の色)を付与させる。これにより、画像表示部11には、画像表示部11に表示されるべき広告用の原画像に、青色の色表示領域vが付加された画像が表示される。
【0092】
ステップs8では、CPU13は、デジタルサイネージ装置1の電源が遮断(OFF)されたか否かを判定する。電源が遮断された場合には、CPU13は、表示形態の調整処理を終了する。また、電源が遮断されていない場合、すなわち、ON状態である場合には、CPU13は、ステップs1に戻る。
【0093】
以上のように、本実施形態によれば、デジタルサイネージ装置1の画像表示部11には、広告用の原画像に、人の目を誘引するための色表示が行われる色表示領域vが付加された画像が表示され、その色表示領域vには、プルキンエ現象を考慮して選択された色、すなわち、デジタルサイネージ装置1の周辺環境が暗所である場合には暗所で明るく見える青色が、また周辺環境が暗所でない場合には赤色が表示される。
【0094】
このように、周辺環境に応じた色が色表示領域vに表示されるので、デジタルサイネージ装置1周辺の人々の関心または注意を、画像表示部11に表示される広告画像に効果的に集めることができる。これにより、広告画像の注目度すなわち、誘引性、誘目性を向上して、広告効果を高めることができる。
【0095】
また本実施形態によれば、前記のように、外光の照度だけでなく、パネル面Vの照度も考慮して、色表示領域vに表示させる色を選択するように構成されているので、効果的に人の目を引きつけることができる。また本実施形態によれば、画像表示部11に表示させるべき広告用の原画像の内容を改変することなく誘引性を高めることができるので、実運用の面でも優れている。
【0096】
また本実施形態によれば、各窓部Wから採り込まれた光の照度が、1台の照度センサ31によって測定されるように構成されている。これにより、窓部Wごとに照度センサ31を設ける場合と比較して、デジタルサイネージ装置1全体としてのコストを低減することができる。さらには、照度センサ31間の個体差を考慮する必要がないので、外光およびバックライト22の照度を精度良く測定することができる。
【0097】
また、窓部Wごとに照度センサ31を設ける場合には、各センサの個体差、センシングおよびA/D(Analog/Digital)変換などによる動作遅延、ならびに制御遅延が発生するが、1台の照度センサ31によって測定を行うことで、前記個体差は解消され、動作遅延および制御遅延を抑制することができる。
【0098】
上記第1の実施形態では、窓部Wごとに算出される外光の照度に基づいて、外光の平均照度を算出するように構成されている。
【0099】
これに対し、他の実施形態として、窓部Wごとに算出される外光の照度を、それぞれ個別に考慮して、パネル面Vの領域ごとに、色表示領域vの色を選択するように構成してもよい。
【0100】
たとえば、パネル面Vのサイズが60インチを越えるような大型のデジタルサイネージ装置1を想定し、パネル面Vにおける左半分の領域周辺の外光の照度が10lx未満であり、パネル面Vにおける右半分の領域周辺の外光の照度が10lx以上であるような場合には、色表示領域vにおいて、パネル面Vの左半分に対応する領域に対して青色を選択し、パネル面Vの右半分に対応する領域に対して赤色を選択してもよい。このように、パネル面Vの領域ごとに色表示領域vの色を選択することにより、より効果的に人の目を引きつけることができる。この場合、色表示領域vに、赤から青のグラデーションを付けてもよい。
【0101】
また上記第1の実施形態では、映像信号処理部16において、画像表示部11に表示されるべき広告用の原画像に、デジタルサイネージ装置1周辺の人々の目を誘引するための色を付与可能な色表示領域vを付加するように構成されている。
【0102】
これに対し、他の実施形態として、一の広告用コンテンツの画像から他の広告用コンテンツの画像へ画面転換する際に、その2つの画像間に、外光およびパネル面Vの照度に基づいて選択された色を表示した画面を挿入するように構成してもよい。
【0103】
図10は、画面転換時における画面挿入を説明するための図である。図10では、広告の原画像A1から広告用の原画像A2へ画面転換する際に、各原画像A1,A2間に、挿入用画面A3が挿入された場合の、画面表示の流れを示している。図10における挿入用画面A3に、外光およびパネル面Vの照度に基づいて選択された色の画面を用いることにより、前記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態においても、映像信号処理部16が、表示形態調整部に相当する。
【0104】
図11は、本発明の第2の実施形態に係るデジタルサイネージ装置1Aの構成を示すブロック図である。図12は、デジタルサイネージ装置1Aを構成する画像表示部11の構成を概略的に示す正面図である。
【0105】
デジタルサイネージ装置1Aは、画像表示部11と、明るさ検出部12と、CPU13と、図示しないROM、RAMおよび記憶装置と、入力端子14と、AD変換処理部15と、映像信号処理部16と、ドライバ処理部17と、発光部18と、温度センサ19とを含んで構成される。
【0106】
図11に示すように、本実施形態に係るデジタルサイネージ装置1Aは、発光部18をさらに備えている点において、第1の実施形態に係るデジタルサイネージ装置1と構成が相違し、他の構成については、デジタルサイネージ装置1と同様に構成されている。なお、デジタルサイネージ装置1と同様の構成については、同一の参照符を付し重複する説明を省略する。
【0107】
発光部18は、赤色および青色の光をそれぞれ発光可能な複数の光源を含んで構成され、該光源は、表示領域Vの前面側に向かって発光するように、かつ表示領域Vの周辺に設置される。発光部18は、CPU13から出力される制御信号に基づいて、各光源を点灯するように構成されている。
【0108】
発光部18は、たとえば、複数の赤色LEDおよび青色LEDを、表示領域Vを囲繞するように、適度な間隔で配列することによって構成される。本実施形態では、発光部18は、赤色LEDおよび青色LEDを、それぞれ交互に配列することによって構成される。
【0109】
このように本実施形態では、発光部18における光源を点灯させることにより、所定の色の光を出射するように構成されている。すなわち、第1の実施形態のデジタルサイネージ装置1では、映像信号処理部16に入力される画像情報に表示形態の調整処理を行うことによって、人の目を誘引するための色表示を行うように構成されていたが、本実施形態のデジタルサイネージ装置1Aでは、映像信号処理部16に入力される画像情報に表示形態の調整処理を行うことなく、発光部18の点灯制御によって、人の目を誘引するための色表示を行うように構成されている。このように、本実施形態のデジタルサイネージ装置1Aは、デジタルサイネージ装置1とは異なり、色表示を行うためのハードウエア構成を備えている。
【0110】
デジタルサイネージ装置1Aにおける色表示処理では、CPU13によって外光およびパネル面Vの照度が算出されると、CPU13は、算出された照度と予め定める照度(10lx)とを比較し、外光およびパネル面Vの照度が10lxを下回っている場合には、発光部18に対し、青色LEDを発光させる制御信号を送出し、外光またはパネル面Vの照度が10lx以上である場合には、発光部18に対し、赤色LEDを発光させる制御信号を送出する。
【0111】
これにより、発光部18は、プルキンエ現象を考慮して選択された色、すなわち、デジタルサイネージ装置1Aの周辺環境が暗所である場合には暗所で明るく見える青色、また周辺環境が暗所でない場合には赤色の光を出射する。
【0112】
このように、周辺環境に応じた色の光を発光部18が出射するので、デジタルサイネージ装置1A周辺の人々の関心または注意を、画像表示部11に表示される広告画像に効果的に集めることができる。これにより、広告画像の注目度すなわち、誘引性、誘目性を向上して、広告効果を高めることができる。
【0113】
また、本実施形態のデジタルサイネージ装置1Aは、画像表示部11に表示させるべき広告用の原画像の画像情報を画像処理する必要がないので、既存のデジタルサイネージ装置に発光部18を搭載することにより、容易に実現することができる。
【0114】
図13は、センサ較正部81をさらに備えたデジタルサイネージ装置1,1Aを概略的に示す系統図である。図14は、センサ較正部81の構成を概略的に示す斜視図である。
【0115】
図13に示すように、デジタルサイネージ装置1,1Aには、明るさを検出するための照度センサ31のキャリブレーションを行うためのセンサ較正部81を、さらに備えるのが好ましい。
【0116】
センサ較正部81は、標準光源82および標準白色板83を備え、標準光源82によって標準白色板83に光を照射し、標準白色板83からの反射光が、第1の光ファイバ33に採り込まれるように構成される。
【0117】
このようなセンサ較正部81を備えることにより、照度センサ31の白点および黒点の補正を行うことができる。白点の補正は、標準白色板83で反射された標準光源82からの光を、照度センサ31に入力することによって行われる。黒点の補正は、切換部34によって第1の光ファイバ33における光の伝送路を遮断することにより、照度センサ31の暗電流による出力値に基づいて行われる。
【0118】
本発明は、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に、明るさ検出部12において測定された外光の照度の測定結果と、映像信号処理部16に入力される広告用コンテンツの画像情報における色成分ごとの画素値の測定結果に基づいて、プルキンエ現象を考慮したデジタルサイネージ装置1,1Aを制御する方法を記録するものとすることもできる。
【0119】
この結果、上記処理を行うプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)を記録した記録媒体を持ち運び自在に提供することができる。
【0120】
なお、本実施の形態では、この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理が行われるために図示していないメモリ、たとえばROMのようなものそのものがプログラムメディアであってもよいし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであってもよい。
【0121】
いずれの場合においても、格納されているプログラムはマイクロプロセッサがアクセスして実行させる構成であってもよいし、あるいは、いずれの場合もプログラムコードを読み出し、読み出されたプログラムコードは、マイクロコンピュータの図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0122】
ここで、上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムコードを担持する媒体であってもよい。
【0123】
また、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成とすることにより、通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードするように流動的にプログラムコードを担持する媒体であってもよい。なお、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであってもよい。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【符号の説明】
【0124】
1 デジタルサイネージ装置
11 画像表示部
12 明るさ検出部
13 CPU
14 入力端子
15 AD変換処理部
16 映像信号処理部
17 ドライバ処理部
21 LCDパネル
22 バックライト
31 照度センサ
32 光伝送部
33 第1の光ファイバ
34 切換部
35 連結部
36 第2の光ファイバ
37 切換制御部
38 測定用拡散板
V 表示領域
W 窓部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示可能な表示パネルおよび該表示パネルに対しその背面側から光を照射するバックライトを含む画像表示部を備えるデジタルサイネージ装置であって、
前記バックライトの温度を測定する温度測定部と、
前記画像表示部に、画像を予め定める表示形態で表示させる表示形態調整部と、
前記表示形態調整部を制御する制御部であって、
画像表示部に表示されるべき原画像の画像情報における画素値と、前記温度検出部によって測定されたバックライトの温度とに基づいて、画像表示部における表示領域の明るさを算出し、
画像表示部周辺における外光の明るさ、および、画像表示部における表示領域の明るさに応じて選択した色によって、前記予め定める表示形態の画像が前記画像表示部に表示されるように、前記表示形態調整部を制御する制御部とを含むことを特徴とするデジタルサイネージ装置。
【請求項2】
前記表示形態調整部は、画像表示部に表示されるべき原画像の周縁に、前記制御部によって選択される色を表示させるための色表示領域を設けた画像を、前記画像表示部に表示させ、
前記制御部は、前記色表示領域に前記選択した色が表示されるように、前記表示形態調整部を制御することを特徴とする請求項1に記載のデジタルサイネージ装置。
【請求項3】
前記表示形態調整部は、画像表示部に表示されるべき原画像に文字画像が含まれている場合に、その文字画像の周縁に、前記制御部によって選択された色を表示させるための色表示領域として、下線、枠、ハイライトおよび陰影のうちのいずれかを付すための領域を設けた画像を、前記画像表示部に表示させ、
前記制御部は、前記色表示領域に前記選択した色が表示されるように、前記表示形態調整部を制御することを特徴とする請求項1に記載のデジタルサイネージ装置。
【請求項4】
前記表示形態調整部は、表示領域において一の画像から他の画像に画面転換される場合に、前記一の画像の表示と他の画像の表示との間に、前記制御部によって選択された色を用いた画像を、前記画像表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載のデジタルサイネージ装置。
【請求項5】
画像を表示可能な表示パネルおよび該表示パネルに対しその背面側から光を照射するバックライトを含む画像表示部を備えるデジタルサイネージ装置であって、
前記バックライトの温度を測定する温度測定部と、
画像表示部における表示領域の周辺に設けられ、予め定める複数の色の光を発光可能な光源を備える発光部と、
前記発光部における光源を点灯制御する制御部であって、
画像表示部に表示されるべき原画像の画像情報における画素値と、前記温度検出部によって測定されたバックライトの温度とに基づいて、画像表示部における表示領域の明るさを算出し、
画像表示部周辺における外光の明るさ、および、画像表示部における表示領域の明るさに応じて選択した色の光が発光されるように、前記発光部を点灯制御する制御部とを含むことを特徴とするデジタルサイネージ装置。
【請求項6】
前記制御部は、外光の明るさおよび表示領域の明るさのいずれもが、予め定める明るさよりも暗い場合に青色を選択し、外光の明るさおよび/または表示領域の明るさが、予め定める明るさに等しいまたは予め定める明るさよりも明るい場合に赤色を選択することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のデジタルサイネージ装置。
【請求項7】
コンピュータに、
画像表示部に表示されるべき原画像の画像情報における画素値と、温度検出部によって測定されたバックライトの温度とに基づいて、画像表示部における表示領域の明るさを算出するステップと、
外光の明るさおよび表示領域の明るさが、予め定める明るさよりも暗いか否かを判断するステップと、
外光の明るさおよび表示領域の明るさのいずれもが、前記予め定める明るさよりも暗い場合に青色を選択し、外光の明るさおよび/または表示領域の明るさが、予め定める明るさに等しいまたは予め定める明るさよりも明るい場合に赤色を選択するステップと、
選択した色によって、予め定める表示形態の画像を表示させるステップとを実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−128210(P2012−128210A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279958(P2010−279958)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】